【要注意】起業家が知っておくべき法的整理の重要性を解説/スタートアップが大企業との業務提携で注意すべきこと【スタートアップ法律相談所 vol.11】

◯渡部 峻輔 パートナー弁護士(第二東京弁護士会所属)
プロフィール▶︎ https://www.azx.co.jp/members/law/shu…
2007年 立教大学法学部 卒業
2009年 慶應義塾大学法科大学院 卒業
    司法試験合格 司法研修所 入所
2011年 クリフォードチャンス法律事務所 入所
2014年 AZX Professionals Group 入所
2017年 株式会社ゼットン 社外監査役就任(その後、2020年より社外取締役監査等委員)
2018年 AZX Professionals Group パートナー 就任(現任)
2020年 47ホールディングス 社外監査役就任(現任)
2020年 株式会社リボルナバイオサイエンス 社外監査役 就任(現任)
2023年 FRAIM株式会社 社外監査役 就任(現任)

なぜ自社サービスの法的整理が重要なのか

近藤:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ法律相談所、Gazelle Capital株式会社の近藤です。

今回取り上げさせていただくのは「自社サービスの法的整理とその重要性」についてです。渡部先生に教えていただきます。改めて、どうぞよろしくお願いいたします。

渡部:
よろしくお願いいたします。

近藤:
簡単に自己紹介いただくことは可能でしょうか?

渡部:
承知しました。AZX総合法律事務所の弁護士の渡部と申します。私はもともと外資系の法律事務所で4年ぐらい働いていたことがあるので、事務所では英語を使った案件も多くやっているんですけれども、主には発行体側でアドバイスすることが多い弁護士でして。

今日はこのトピックでお話しさせていただくのは、スタートアップが大きくなっていく中で、自社サービスの法的整理というのが重要ということを知っていただきたいと思って今日は来させていただきました。

近藤:
自社サービスの法的整理の重要性とはどういったものなんでしょうか?

渡部:
例えば、他の会社さんに使っていただく時に、「このサービスは違法です」みたいなサービスは使えないですよね。

特に大企業さんとかだと中には弁護士さんとかいらっしゃったりして、コンプライアンスみたいなところで、このサービスはそもそも使うのが適法なのかとか、裏側で動いているシステムに変なところはないのかとか、いろいろ気にされるじゃないですか。

その時にきっちりと「自社のサービスはこういうふうに整理しているので法的に問題ありませんよ」というところを説明できないと導入につながらなかったりですとか、あとはデューデリジェンスとかを受ける時に説明ができないと、そこも止まってしまいますよね。

許認可と著作権、見落としがちな2つの落とし穴

近藤:
法的に問題があるようなケースはどういったものがあるんでしょうか?

渡部:
一番簡単なところでいうと、そのサービスは許認可を取らなくて良いんですか?とか、法的に届出をしておかないといけないんじゃないですか?とか、やっておかなければそのサービスを提供してはいけない場面もあるのが典型ですよね。

あとよく問題になりがちなのは、コンテンツ系だと著作権ですよね。自社サービスを開発している時に、業務委託先の方に依頼されたりとかするじゃないですか。

その時に権利をちゃんと自分のものにしておかないと、人のものを使わせてもらっているみたいな感じになってしまうかもしれないので、ちゃんと権利を持っていますという意味での法的整理も重要なんじゃないかなと思いますね。

SaaS事業者が知らない電気通信事業の届出義務

近藤:
SaaSの事業者さんが見ておくべき項目や許認可の部分はありますか?

渡部:
SaaS系で一番「知らなかった」という意見が多いのが、電気通信事業の届出なんですけれども。

いわゆるクローズドチャットといわれるメッセージ機能ですよね。特定の人でしか見られないようなメッセージのやり取りをする機能、これは簡単につけられるんだと思うんですけれども、これは電気通信事業に該当してしまうので届出することになっています。

我々が利用規約のご相談をいただく時に、「届出をしていますか?」と聞くと、「何ですかそれは?」みたいな感じになりやすいですね。

近藤:
その他に見ておられるような、見逃しているような許認可の制度などはありますか?

渡部:
個人情報の活用をどうするかみたいなお話は考えなければいけないところなのかなと。プライバシーポリシーを作るのは当然やっているにしても、サービスの中で受け取った個人情報を果たしてどこまで使えるのかみたいな話は別の問題になるので。

自分の手元にあるから何でも使っても良いというわけでもないというところもありますので、注意しなければいけないなと思うことはありますね。

ビジネスモデル別に見る法的リスクのポイント

近藤:
ビジネスモデルで適用されるような、見ておくべき観点や制度はありますか?

渡部:
例えばインターネット上のプラットフォーマーで、お酒の取扱いをして良いのかとかですね。あとは資金の移動ですよね。

人と人をマッチングする時にお金を1回お預かりしてお渡しする流れになることが非常に多いと思うんですけれども、資金の移動をお手伝いしていると「資金移動業の登録が必要」という問題があったりするので、そこを契約上できっちり明記をして、「為替取引はやっていない」ということを説明できるようにしておかなければいけないというところは典型的なところとして挙げられます。

大企業連携で陥りがちな契約書の罠

近藤:
一番最初に大企業さんとの連携の時にも自社サービスの法的整理は重要だとお話をいただいたと思うんですけれども、そういった連携の時に考慮するべき点やミスをされたケースはありますか?

渡部:
まず1つは大企業さんに自社のサービスを使っていただく場合ですと、「このサービスを使っても違法じゃないよね?」みたいな。

「個人情報はどうやって取り扱っているんですか?」とか、「このサービスを使う時の権利義務はどうなっているんですか?」とか、「誰がどう責任を取ってくれるんですか?」みたいなところを整理しておくことが大事だったりします。

業務提携になると、大企業さんもスタートアップとの連携が初めてのところも結構多くて、「どういう契約にすれば良いのかわかりません」みたいなことがあるので、自分たちの権利を守るために契約上で整理をしていくことが大事になる場面が比較的多いなと思うことがありますね。

大企業さんは法務部があって、雛形がいっぱいあるんですよね。お話を詰めて「こういう建付けでいきましょう」みたいな感じになって、いざ契約書を作ろうといって出てきた雛形がただの業務委託契約みたいなことが何度かありました。

大企業さんとしては、「業務委託先にはいつもこの雛形でやっているので、これでやってください」ということだと思うんですけど、そういう実態に合っていない契約が出てくることが注意点かなと思っています。

役割分担と優先権、曖昧にしてはいけない契約条項

近藤:
その他に気をつけておくべき観点はありますか?

渡部:
役割分担は明確にしておいた方が良いと思うことは結構多いですね。

先ほどの業務委託契約みたいな感じだと、一方的に自分たちが何かをやるだけになってしまうじゃないですか。そうじゃなくて業務提携だと、「あなた方はこれをやって、我々はこれをやります」みたいな形でお互いにwin-winになるから、お互いに良いと思ってこの提携をやろうという話だと思うので。

なので、それが契約書上で明確になっていないと、例えば担当者が変わった時に「こういう話だったんですけど」と言っても「私は知りませんから」みたいな感じになると、説明ができないですよね。

それが契約書にバチッと書いてあれば、「当時はこういう役割分担でやるというお話をしたので、こういう前提だったんです」という説明をすごくしやすくなると思うので、役割分担を明確にしておくことが1つ重要なのかなと思うところはありますね。

近藤:
その他によく見ておられる事例や注意をするべきものはありますか?

渡部:
契約書に良く書かれるんですけど、弁護士の目線で見てよくわからないと思うところが、優先権みたいなものを契約上求められることがあるんですね。

近藤:
優先権とは何ですか?

渡部:
そこなんですよね。「優先権」と書かれても、何を優先するのかがよくわからないというのが問題なのかなと思っていて。優先という言葉だけでいうと、何が優先なのかというのは私が思っているのと近藤さんが思っているのでも違うと思うんですよね。

皆さんが思っている優先という言葉がそこの契約書の中に落とし込まれていて、「優先とは何を優先するの?」みたいな状態でドラフトが上がってくることも結構あったりとかするので。

変に優先権だけを渡していると、スタートアップ側としてはものを使って別のことができるかもしれない、でも今やろうとしている業務提携先に迷惑をかけるわけでもないという時に、優先しなければいけないと書いてあるからこっちを取って良いのかどうか、よくわからないことが結構あると思うんですね。

何を優先しているのかというところとか、いつまでこれを優先しなければいけないのかみたいなところは、結構明確に書いておいた方が、後で別のところと何かをやりたいと思った時に結構重要なんじゃないかなと思っています。

専門家への相談で早期に法的整理を進める方法

近藤:
自社サービスの法的整理はどういうふうに対策をするべきでしょうか?

渡部:
そういうのは専門家に見ていただいた方が早いと思うので、顧問弁護士さんがいらっしゃるのであれば顧問弁護士さんに相談いただいて、きちっと整理するのが良いと思います。

我々AZX総合法律事務所であればビジネスモデル無料審査やオンライン無料相談を初回30分無料で提供させていただいていますので、もし何か気になる方がいらっしゃれば、気軽にご相談いただければなと思っております。

近藤:
動画の概要欄にURLを付けさせていただいていますので、無料の相談をしたいという方はそちらから登録いただければと思っております。

最後に皆さんに向けて一言いただけると嬉しいんですけれども、お願いしてもよろしいですか?

渡部:
私がスタートアップをサポートさせていただき始めて、自社のサービスがプロダクトとして良いものであるということを説明するのも重要なんですけれども、使っていただいて問題ないということをきちっと説明してあげるというのも、それと同じくらい重要なんじゃないのかなと思っているんですね。

なので、自社サービスについて法的に違法なところがないのかとか、きちんと整理したほうが良いのかなと思いますし、そういった整理をしていくと、先ほどお話しさせていただいたように、業務提携みたいなすごく良いお話につながることもあると思うので。

その中で自社サービスの法的な整理とか、自分たちにどういう権利があるのかとか、どういう権利を守らなければいけないのか、逆にその提携によって自社のサービスの可能性を潰すことはないのか、そういったところをきちっと整理するということが、会社の成長にとっては非常に重要なのかなと思っているので、目を向けて考える時間を使っていただきたいなと思っております。

近藤:
それでは次の動画で、さようなら。