投資契約の落とし穴|起業家が資金調達で注意すべき条項5選【スタートアップ法律相談所 vol.21】
◯杉山 友朔 AZX Professionals Group パートナー
2014年 中央大学法学部法律学科 卒業
2016年 中央大学法科大学院 卒業
司法試験合格 司法研修所 入所
2018年 AZX Professionals Group 入所
2025年 AZX Professionals Group パートナー 就任
投資契約書の理解が起業家に不可欠な理由
近藤:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ法律相談所、Gazelle Capital株式会社の近藤です。
今回は、投資契約書を攻略せよ!起業家が知るべき重要事項トップ5をご紹介したいと思っております。今回も前回に引き続き、杉山先生に来ていただいております。よろしければ皆さんに自己紹介をお願いします。
杉山:
AZX総合法律事務所の弁護士の杉山と申します。

杉山:
スタートアップやベンチャーキャピタル(VC)を支援している事務所の弁護士でして、日常的にスタートアップファイナンスについてのご相談ですとか、VCさん側で気にしていることを把握しながら、VCさん側で作業するところもありますので、今回はそういった視点も含めて、投資契約書のポイントについて解説できればと思っております。
よろしくお願いします。
近藤:
今回は、起業家の皆さんが知るべき重要用事項トップ5というところで、投資契約書自体の内容を理解することはどれだけ重要なものなんでしょうか?
杉山:
基本的に起業家にとって不利に見える条項が入っていますけれども、それについては投資家として適切なリスクテイクをするために必要な条項になっていますので、どういった意図でその規定が入っているかというところを理解しないと、適切な交渉ができないというところが1つポイントになってきます。
投資家さんも自ら有利な雛形を用意していますので、それをまるごと受け入れることは必要ではないので、起業家としては自分たちの運営を過度に縛らないような形で交渉していくところが大事になってきます。
近藤:
重要な条項がたくさんあると思いますが、今回取り上げてくださるものはどういった条項になるんでしょうか?
杉山:
投資契約は重要な事項がいくつかあるんですけど、今回は株式の取り扱いに関する重要事項ということで、5つピックアップさせていただきました。

杉山:
1つ目が役員退任時の株式売渡義務。これが一番重要かなと思います。2つ目が新株引受権。3つ目が経営株主・投資者による株式譲渡。4つ目が先買権・共同売却権になります。5つ目がドラッグ・アロング・ライトというところになります。
条項1:役員退任時の株式売渡義務──ベスティングで保有継続を交渉
近藤:
早速、1番の役員退任時の株式売渡義務についてお話しいただければと思うんですが、そもそもどういう条項なんでしょうか?
杉山:
これは、経営株主が取締役などの地位を喪失する時に保有する株式を、当社の請求に応じて売り渡す義務についての規定になります。
近藤:
そもそもなぜこの条項が存在しているんですか?
杉山:
日本のスタートアップ実務では、やはり創業期においては経営株主の重要性が高いというところで、新規公開株式(IPO)の実務においても、経営株主が一定シェアを持ち続けて上場まで目指していくというところが慣行としてあるので、もし経営株主が退任してしまうという時には、後任者に株式を引き継いでいかないと会社の存続ができないというところもあって、規定されているものになっています。
近藤:
起業家の皆さんの退任時のリスクを防ぐような取り決めは、この条項の中でどうされているんでしょうか?
杉山:
そもそもこれを全く受けないという交渉をすることもあるんですけど、今みたいな背景もあるので、投資家さんのスタンスにもよりますが、全く受けないということは、交渉上難しいケースもあります。
そうなってくると、どの地位を喪失した時に株式を売り渡さなければいけないかというところを交渉する。あとは売り渡す株式の数を、一定の数は持てるように一部だけ売渡義務を負うという形に交渉する。

杉山:
あとは、売り渡しの株価をもう少し高い株価に設定するというところが主な交渉ポイントになってくるかなと思います。
交渉ポイント①:地位喪失の条件設定
近藤:
1つ目は地位を喪失した時に発動する諸条件かなと思うんですが、ぜひ具体的に教えていただければと思います。
杉山:
通常は代表取締役=経営株主になっていることが多いと思いますので、代表取締役の地位がなくなったというところが条件に設定されていることが多いかなと思います。
場合によっては、代表者ではなくなって取締役としての関与になることもありますし、さらに従業員としての関与になるかもしれないので、地位が変わっても会社に関与している限りは保有を継続できるという交渉をすることも考えられます。
この点は、代表者として会社を率いていくというところが、投資家さんとしては気になっているところであると思いますので、なかなか交渉しにくいところかなと思います。
交渉ポイント②:売り渡す株式数とベスティング
近藤:
2つ目が売り渡す株式の数でしたっけ?
杉山:
はい。ここが一番交渉できるポイントかなと思います。新株引受権の時にもベスティングという概念があると思いますけど、同じような形で在任している期間に応じて、一部株式の保有を継続できるような交渉をすることが穏当な対応かなと思っています。
近藤:
実際にベスティングをする場合は、どういった形で決められることが多いんでしょうか?
杉山:
例えば、長期間在任していれば全部持っていられるようにしたほうが、当然起業家としては有利であると思うんですけど、そうしてしまうと、後任に株式を渡せないということになってしまいますので、大体10~50%の範囲内で最大保有できる。
その10~50%を在任期間に応じてベスティングする、付与されていくというような形で、付与できる株式数を除いた株式数を売り渡すという形に交渉することがあり得るかなと思います。
近藤:
退任をされた理由によって変わることはあるんですか?
杉山:
病気とかやむを得ない事由に限っては、そういったベスティングを認められるケースもありますので、逆にそういったケースでなければ、今みたいなベスティングをそもそも認めないという交渉をされることもあります。
その点は、このベスティングをどう考えていくか、元々働いていた対価としてしっかり保持したいのか、退任した事由によって全部置いていかなければいけないという規定として投資家さんとして整理されているかというところは、投資家さんによって違うので、その辺りも交渉ポイントになるかなと思います。
あと、今のはかなりシード期の話になるんですけれど、ある程度成長してきた時には創業者以外の経営メンバーに引き継いでいくこともありますので、ミドルやレイターステージになってきた時には違う取り扱いを検討しても良いのかなという認識を持っております。
交渉ポイント③:株価の設定
近藤:
最後は株価ですよね。それはどのように決まっているものなんでしょうか?
杉山:
基本的には、投資家さんの雛形ですと、通常は取得した価格、株式を購入したというか、出資をした時の価格で売り渡す。あるいは、貸借対照表上の純資産価格を株式数で割った金額の、どちらか低い金額とされているケースが多いかなと思います。
近藤:
株価においての交渉術みたいなものはあるんですか?
杉山:
はい。例えば直近のラウンドの株価で交渉できれば良いんですけれど、そうすると当然バリュエーションとしては非常に高いものが出ていますので、それで経営株主の株式を100%や80%で買えるのかという問題が出てきます。なので、なかなかそういった交渉は難しいかなと思います。
あり得る交渉としては、先ほどお伝えしたような、取得価格・純資産価格のどちらか高い金額というような設定をする。
あとは、あまり契約で書くことに意味はないんですけど、他にも協議して合意した金額で買えるみたいなところを書いておいて、実際の退任事由や退任した経緯も踏まえて、柔軟な株価設定ができるような規定にしておくというところが1つあり得るかなと思います。
近藤:
改めて、今回の条項に対して起業家の皆さんが気をつけるポイントと、交渉のポイントを簡単にまとめていただいてもよろしいですか?
杉山:
どういった地位を喪失した時に売渡の義務を負うかというところと、売り渡すべき株式の数は何%分にするのか、ベスティングのところですね。あと株価をいくらに設定するかというところになります。

条項2:新株引受権──ストックオプションプールと行使期間に注目
近藤:
続いて2つ目の条項のお話しを進めていただければと思うんですが、新株引受権でしたっけ?
杉山:
これは投資者が持ち株比率を維持するために、投資家が入ったラウンド以降のラウンドで株式を発行すると思うんですけど、その際に自分の持ち株比率を維持するために一部を引き受けることを会社に要請できる権利ということになります。
これは投資家さんとしても、自分が持っている株式のシェアを維持したいというところが強い要請としてありますし、これはフェアな条項だと思います。
なので、お作法的に直さなければいけないところについて、注意いただきたいポイントを伝えていければと思います。
1つ目は、ストックオプションについての例外をしっかり定めるということになります。投資家さんも最近配慮いただいて入れていることが多いと思うんですけれど、ストックオプションは非常に有利な設計になっているかなと思います。
例外に関連するものとしては、ストックオプションプールというものがありまして、基本的にはストックオプションを発行するタイミングで、株式数の10~20%ぐらいの新株予約権であれば発行できるように設定する枠になるんですけれど、そういったところは議論されることになるかなと思います。
2つ目は、引受ができる権利を一定期間行使しなかったら失効するというところをちゃんと明記しておくことが大事かなと思います。概ね10~30日あたりで設定されることが多いかなと思います。
逆にこれが長く設定されてしまうと、資金調達の手続きの中で行使するかどうかが不透明なまま進んでしまうことになってしまうので、これを早期に確定するという意味では、この期間を短くできていたほうが起業家としては有利ということになるかなと思います。
他方で投資家さんとしても、これを引き受けるのかどうかというジャッジを内部でしなければいけないというところもあるので、短い期間だとそこの時間が足りないということになりますので、投資家さんのスタンスを確認いただいて交渉すべきポイントになるかなと思います。
近藤:
改めて条項2つ目では、新株引受権についてお話をいただきました。希薄化を防ぐという意味でVCが入れているような条項になると思いつつ、交渉や確認をするべき観点というところで2つあるんですね。
条項3:経営株主・投資家による株式譲渡──譲渡制限の背景を理解する
近藤:
3つ目は経営株主・投資家による株式の譲渡でしたっけ?
杉山:
はい。こちらも交渉するポイントがあまりないんですけれど、この背景を説明していければと思います。
会社法上の譲渡制限付株式があると思うんですが、未上場会社については譲渡制限がすべてついているということになります。ただ、その譲渡制限というのは会社法の手続きに沿って株式を譲渡することができてしまうんですね。

杉山:
譲渡制限が付いていても、「譲渡を承認してください」ということを株主として言える。それを拒否されたとしても、「代わりに買ってくる人を見つけてください」ということも株主の主張として言えてしまう。
近藤:
起業家に対してということですね。
杉山:
最終的に見つけられなかった時には承認せざるを得ない状況になってしまうということなので、結局売れてしまうということになります。
なので、そこに加えて勝手に株式が散逸してしまうというところで、譲渡制限が入っているケースがあります。
経営株主の譲渡制限──役職員へのインセンティブ譲渡は例外に
近藤:
どういった項目で制限されているんでしょうか?
杉山:
経営株主と投資者それぞれの譲渡制限の話がありまして、まず経営株主の点からお伝えできればと思います。
経営株主については、ファウンダーとして株式をしっかり保有した上で事業を継続していくことを求められますので、基本的には投資家の承諾がなければ売れなくなっていることが多いです。
経営株主の株式譲渡に関する制限についてはポイントが1つありまして、インセンティブ目的で役職員に株式を譲渡する時に、制限なく譲渡できるかどうかというところになってきます。
先ほどストックオプションプールの話があったと思いますが、大体10~20%程度の枠しかないので、コーファウンダーのような形で、創業メンバーとして入ってもらう方には20%程度の株式を渡すこともあるので、その方にストックオプションを渡してしまうと、それだけで枠を消費しきってしまうということになります。
そのため、一定の範囲で株式を役職員に譲渡する場合には、譲渡の制限が適用されないように例外の規定を定めておいたほうが良いということになります。
投資家の譲渡制限──反社・競合への売却をどう防ぐか
杉山:
次は投資者による株式譲渡というところになりまして、投資家はイグジットの機会を維持したいというところがありますので、基本的に譲渡ができないという規定を設けることは難しい。基本は自由に譲渡できるというところが、ある種確認的に記載されていることが多いです。
ただ、何でも自由に譲渡して良いのかというところが1つポイントになってきまして、大きく交渉できる要素としては2つあります。
1つ目は反社に売るなというところで、これは当然の話なので、確認的に追記したほうが良いという話になります。
2つ目が競合への売却を制限するかどうかというところがポイントになります。株主になってしまうと、当然株主間契約といった各種契約で権利を持つ可能性もありますし、そうでなくとも一定の議決権を持っていれば、会社法上の帳簿の閲覧請求などの権利を行使することもできますので、会社の情報が株主にバレてしまう。
その中で競合に株主に入られてしまうと、自社の情報が知られてしまうということになりますので、そこをどこまで制限するかというところが1つポイントです。
他方でここは非常に難しいところでして、競合の事業の範囲はどうするのかというところも抽象的になってしまいますし、そこを明記するのかどうかというところも実際の交渉ではポイントになりますし、そもそもこの規定が受け入れられない可能性も非常に高いです。
どうしても投資家さんが株式の買い手を探すにあたって、興味を持ってくれるところは似たような事業をやっていることが多いんですよね。
近藤:
なるほど、確かにそうですね。
杉山:
そうなってくると、むしろ競合への売却は意外と影響度がないように見えても、売り先がかなり限定されてしまう可能性があります。
条項4:先買権・共同売却権──株式の流出防止と売却機会の公平性
近藤:
続いて4つ目の条項ですかね。こちらは先買権・共同売却権とお話しいただきましたが、これをピックアップされた理由といいますか、注意をするべき観点はどういったところになるんですか?
杉山:
検討の前提として、先買権は既存の株主が株式を売却する時に、自分たちに優先して売ってもらうように請求できる権利と、共同売却権は一緒に売らせてもらうという権利ですね。
それぞれが誰の株式の譲渡かというところで、経営株主の株式譲渡の時にはその規定がいずれも入っていることが多いです。
加えて、投資者が株式譲渡をする時に、そういった規定が適用されるかどうかというところも論点になります。経営株主であろうと、投資者であろうと、株式譲渡する時にはその規定の適用があるという前提でお話しできればと思います。
先買権──既存株主への株式集中を図る

杉山:
先買権については、売りたい株主を株主Aとすると、株式譲渡を希望される場合は、株主Aは他の株主に対して株式数や株価の条件付きで株式を譲渡することを通知をする。
そうなった時に、他の株主Bと仮定しますけど、Bが買いたいとなった時には、株主Bさんが元々株主Aさんが売りたいとされていたところに優先して株式を譲り受けるということになります。
他方で、株主Bさんの形で買取を希望される方がいなければ、元々意図していた通りに株主Aさんは当初の譲り受け人(第三者C)に株式を譲渡できるということになります。
コンセプトとしては、株式が知らない第三者に流出してしまうことを防止する。既存株主に株式のシェアを集中するというところがポイントになってきますので、誰に集中させるように設計するかというところが1つ論点になってきます。
起業家さんの立場からすると、経営株主としても、投資家さんが第三者に株式を売る時には自分もそれを買いたいと要請できた方が良いので、自らに権利を与えるというところも1つポイントですし、もし交渉できるのであれば、他の投資家に優先して自分たちが先に買えるようにしておくことがあり得るかなと思います。
共同売却権──抜け駆け売却を防止する
近藤:
続いて、もう1つが共同売却権ですよね?こちらどういった条項になるんでしょうか?

杉山:
株式を譲渡することを希望される株主Aさんがいたとして、どういった条件で株式を譲渡するかというところを他の株主に通知をするということになります。
この時に、株主Bさんが自分も同じ条件で売却することを希望した時には、株主Aさんと株主Bさんの株式を同時に売却するという前提で譲渡を進めていくということになります。
逆に共同売却権の行使がなかった、売却する株主がいらっしゃらなかった時には、当初の条件で株式を譲渡できるということになります。
こちらもコンセプトとしては、一部の株主が売却機会を独り占めしてしまう、抜け駆け的に売り抜けることを防止するというところなので、経営株主・起業家さんとして何か交渉するポイントがすごくあるかというと、そうではないかなと思いますので、中身を理解しておくというところが重要かなと思います。
VCの事情による例外規定──ファンド満期への対応
杉山:
関連してお伝えしたいトピックとして、VCについて深掘りする回があったと思うんですけれど、VCさんの事情によって例外規定が定められるケースがあります。
近藤:
例えばどういったものなんですか?
杉山:
仮に投資家さんが株式を譲渡したいとなった時に、先ほどの先買権や共同売却権という規定があると、譲渡が制限されてしまうことになってしまうので、そうすると意図したイグジットがしにくいということになります。
特にファンドの場合には、投資したファンドから別のファンドに株式を譲り渡すというケースも場合によってあり得たりしますし、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンドのような形であれば、親会社やグループ会社への譲渡も検討されるということです。
ファンド満期というところも前回でお伝えしましたが、10年でファンドを閉じなければいけなくなるので、閉じなければいけないのに売れないとなってしまうと、ファンドとしても清算がうまくできずに困ってしまうことになりますので、そういった場合を想定した例外規定が設けられることがあります。
近藤:
売れないし、譲れないし、どうしようもないという状況を回避するような例外があるということですね。
ちなみに、今まで共同売却権と先買権の条項理解のお話があったかなと思うんですが、起業家の皆さんにとってこの条項がリスクになるようなケースとか、検討しておかないといけないようなケースは何かあったりするんでしょうか?
杉山:
先ほどの経営株主の株式譲渡の場合と同じになるんですけれど、同じように役職員向けにインセンティブ目的での株式譲渡をしたいという時に、先買権や共同売却権の規定が適用されてしまうと、意図したとおりにできないということになりますので、同じようにしっかり適用除外や例外の規定を整合的に定めておくというところが1つポイントになると思います。
条項5:ドラッグ・アロング・ライト──M&A強制の条件を経営株主の承諾に
近藤:
そして条項5つ目ですね。最後はドラッグ・アロング・ライト。この名前は私も聞いたことがあるんですけど、改めてどういった条項なんでしょうか?
杉山:
投資家が他の株主に買収を強制できる権利ということになります。

杉山:
あるスタートアップを買収したいという案件があった時に、例えば既存の投資家さんが売却を既存の株主に提案することができる。
その時に一定の株主の方が賛同した時には、それを反対した株主についても株式の売却や買収に必要な手続きに協力しなければいけないという権利になります。
近藤:
その条項はなぜ取り決めが始まったといいますか、存在し得るものなんですか?
杉山:
少数株主が合併と買収(M&A)のディールとかに応じないことによって、良い買収の案件が進まないことを防ぐことが1つと、経営株主がM&Aに応じることを義務付けたいというところで、基本的には投資家サイドの要請で定められることが多い規定で、ほぼ優先株の投資の時には規定されていることが多いかなと思います。
シードステージでは経営株主の承諾を条件に
近藤:
起業家の皆さんがこの条項を見られた時に注意をするべきポイントや交渉するべきポイントはあったりするんでしょうか?
杉山:
ポイントは基本的に1つになりまして、起業家さんの立場としては、買収の強制をする時に、「経営株主として承諾した場合に限って強制を受ける」という規定に交渉することが重要かなと思います。
その場合には、先ほど背景として2点お伝えしたんですけど、基本的には少数株主を買収に協力してもらうという制度として位置づけることになると思いますので、そういった設計になっているかというところが重要です。
特にシード初期のラウンドであれば、そういった規定になっていることの方が多いかなと思います。
レイターステージでは投資家主導の条件も
杉山:
他方で注意いただかなければいけないのは、ラウンドが進んでいくと、いつ上場やイグジットするかというところをお伝えした形で、かなり高いバリュエーションで投資を受けるということになってくると思います。
そうすると、投資家さんとしても一定の投資リターンがあることを見込んでの投資になるので、何でも経営株主の意向に沿って買収の条件を決めるということにならない面があります。
原則は、経営株主の承諾が必要という設計になるんですけど、ある時点を超えた時には、経営株主の承諾なく買収を強制できると定められたり、買収額がいくら以上と見込まれている買収であれば、経営株主の承諾なく進められることになってしまうケースもあります。
近藤:
今回の動画では、5つの条項について教えていただきました。改めてお話を伺いしている中で、定義を知るとか、リスクを知る、交渉のポイントを知るというのが非常に重要だなと実感しました。

近藤:
ぜひ起業家の皆さんに、杉山先生から最後に一言いただければと思っておりますが、お願いしてもよろしいでしょうか?
杉山:
今回は、起業家さんとしても重要視される株主の取り扱いにフォーカスして説明させていただきました。各規定は、投資家のスタンスで定められていることが多いと思いますので、その背景を理解したうえで、必要な交渉をしていくことが重要になってきますので、改めて確認いただければと思っています。
そういった背景も分かって交渉することで、起業家さんと投資家さんとの信頼関係の構築に貢献すると思いますし、投資のディールを円滑に進めるということにも繋がってきますので、今回の動画をそこにお役立てしていただければと思っております。
近藤:
ぜひ先ほどの5つの条項を思い出して、振り返っていただければと思っております。
それでは次の動画で、さようなら。
