メルカリに投資したのがきっかけ?スマホアプリ業界に詳しいVC登場!|スタートアップ投資TV

○手嶋 浩己 XTech Ventures株式会社 代表パートナー/株式会社LayerX 取締役
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1976年生まれ。1999年一橋大学商学部卒業後、博報堂に入社し、マーケティングプランニング、ブランドコンサルティング業務等6年間勤務。2006年インタースパイア(現ユナイテッド)入社、取締役に就任。その後、2度の経営統合を行い、2012年ユナイテッド取締役に就任、2018年退任。在任中は多数の新規事業の立ち上げや、メルカリ等へのベンチャー投資、複数社のM&Aの実行等で貢献。2013年-2017年メルカリ社外取締役。2018年、XTech Venturesを創業し、共同創業者兼ジェネラルパートナーに(現任)。2019年、株式会社LayerXの取締役(現任)に就任。

博報堂からスタートアップの世界へ

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。

今回は、XTech Ventures株式会社の手嶋さんにゲスト出演をいただきまして、いろいろとお話を伺っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

手嶋:
よろしくお願いします。

石橋:
今回見ていただいている皆さんはまだまだ手嶋さんのことを存じ上げない方もいらっしゃるのかなと思いますので、どういう流れでXTech Venturesを創業するに至るのかみたいなところを、それこそ前職の話も含めていろいろとお話しいただけるとありがたいです。よろしくお願いいたします。

手嶋:
では自己紹介させていただきますと、私は今43歳なんですけど、新卒では株式会社博報堂に入社しました。当時の同僚というか、後ろに座っていた人が株式会社エニグモの社長の須田とかですね。

みんなで博報堂で働いていたんですけど、それこそエニグモが創業したタイミングで、須田とかとは「いずれは俺らもいろいろやりたいよね」とか飲みながら話していたので、「俺もちょっと何かいろいろやらないとな」みたいになって、僕は博報堂を辞めて。

当時、株式会社サイバーエージェントを辞めたばかりの早川さんという人が、サイバーエージェントの副社長だったんですけど、人を介して会うことになって「何か一緒にやろうよ」となって、彼が作った株式会社インタースパイアという会社に、10人ぐらいのときに副社長として入りました。というのが、いわゆるスタートアップコミュニティみたいな、当時はベンチャーと言われていましたね。

なので博報堂は6年ぐらい勤めて、28歳のときに転身してます。

IVS LAUNCHPADで準優勝、数千万ダウンロードのCocoPPa

手嶋:
モバイルの広告代理店の事業とかを立ち上げたり、テックビジネスですらないんですけど、営業とかをやって、2回合併しまして、2012年にユナイテッド株式会社という会社になりました。

当時、株式会社ネットエイジ(後のngi group株式会社、現:ユナイテッド株式会社)と合併して、僕は当時スマートフォンアプリの事業の責任者をやっていて、合併後もその事業領域の担当役員だったんですけど、ngi groupにベンチャー投資の部門があったので、合併して半年ぐらい経ったときにIVS(Infinity Ventures Summit)LAUNCHPADに僕が出まして。

石橋:
手嶋さんがですか?

手嶋:
僕が出たんですよ。ユナイテッドという会社として。

それで準優勝したんですけど、「CocoPPa」というサービスがあって、グローバルで数千万ダウンロードされていたので、かなりガッといって。

翌日「第2のLINE」というので日経新聞に出たりとかして、時価総額がバッと上がったときがあったんですけど。

ちなみにそのときの1位がフリー株式会社で、3位が株式会社マネーフォワード、4位が株式会社ココナラでしたね。

メルカリへの3億円投資、GMV20万円の時代

手嶋:
当時はスマートフォンアプリ業界というのがありまして、僕は結構詳しい人としてある種認知されていたので、多分それを見て今の株式会社メルカリ(旧:株式会社コウゾウ)の山田進太郎さんがネットエイジの投資窓口のところに、ウノウ株式会社のときもネットエイジが出資していたので、連絡をくれて「また会社作ったんです」と。「このサービスを作ってる人と話したいです」とか言われて出たのが僕ですね。

そのときのやり取りは、いわゆる日経からメルカリの上場直前に出ているメルカリの本『メルカリ 希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間』に結構細かく書いてあるので、それを見ていただくといいと思うんですけど。それが初めてのベンチャー投資で。

メルカリが出て1ヶ月くらいでAndroid版が出ていて、iOS版がそろそろ出るみたいな、月の流通取引総額(GMV)が20万円とかそれくらい出しましたという時期ですよね。

広告を踏まないと伸びない事業なので、ちょっと資金調達しようと思って、こうしたらいいんじゃないか、ああしたらいいんじゃないかとか話しているうちに「投資してくれ」となって、ユナイテッドとしても思い切って3億円投資しまして、18%ぐらい当時のシェアで取らせていただいて。

石橋:
めちゃくちゃ思い切ったタイミングですよね。

手嶋:
というのがきっかけで初めてベンチャー投資をしたという感じですね。それが2013年ぐらいですね。

ベンチャー投資の世界との出会い

手嶋:
それがきっかけで、いわゆるベンチャー投資の世界というんですかね、僕が初めてまともに話したベンチャー投資の人が投資家の松山太河さんです。

彼は僕より先にメルカリに投資していたので、それで会って話して。ベンチャーキャピタル(VC)の人と会ったことすらなかったので。僕も興味なかったですし、自分の事業を伸ばすことに集中していたし、そういうVC産業ということ自体が視野の外でした。

石橋:
完全に事業サイドの方ですよね。

手嶋:
そうですね。メルカリも後から高宮さんとかも入ってくるじゃないですか。そうすると取締役会とかでいろいろ話しているわけですけど、「こういう人たちもいるんだな」というのが当時の印象ですよね。

メルカリきっかけで、ポツポツ紹介で投資話が入るようになりまして。CMとかをやる前のクラシル株式会社とか、「手嶋さんはスマホアプリに詳しいんですよね?」とか言って。

石橋:
そういうイメージにどんどんなっていくんですね。

手嶋:
そうですね。当時、株式会社Gunosyの福島さんの紹介でdely株式会社の堀江さんとあるときに会って投資しました。だからユナイテッドのときは結局7~8件ぐらい、2013年から辞めるまで4~5年の間に、1年に1.5件ぐらい。僕もそれに専念していたわけではないし、ミッションでもなかったので。

石橋:
手嶋さんのところにどんどん紹介だったりとか、連絡が来るみたいな感じだったんですね。

手嶋:
結果、わかる領域でしかも結構厳選してやっていたので、それなりの会社が出ていきました。

僕もやっているうちに「こういう仕事があるんだな」とか「こういう観点で面白いんだな」みたいなのが理解できるようになってきて。

西條氏との出会い、XTech Ventures創業へ

手嶋:
メルカリも新規株式公開(IPO)が見えてくる頃に、話を端折るとユナイテッドを退任することにして、「何も考えずに1回辞めようかな」というので1年ぐらい段取りをして辞めて。

その前後ぐらいから「どうしようかな」みたいなところの中で、西條さんが少し接点はあったんですけど、彼は当時株式会社WiLにいて、「会社を辞めてこういうのやろうと思ってるんだ」みたいな。

今思うとXTech構想ですけど、あまり意味がわからなくて、「持ち株があって、VCも作るし事業もやりたいこと全部やろうと思ってるんだよね」「ちょっと我慢してたところもあるからさ」みたいなことを言って。

そういうのをやっている人が日本にいないので、あまりフレームワークはよくわからなくて、どれくらい現実的なのかな?とか思いながら聞いていたんですけど。

彼は僕が辞めると思ってないので、「そうなんですね」と聞いていて、いざ辞めるとなったら「あれ?手嶋さんも辞めるんですか?」みたいな。

彼的には事業もやり込んでいて、ベンチャー投資の世界でも比較的両方できそうな人はそんなにいないという中で、たとえ話でいくと「青柳さんとか手嶋さんとか何人かくらいしかいないですよね?」みたいな話になっていて。

「せっかく同じタイミングで辞めるので何かできないですか」みたいな。「XTechの中で何か一緒にやりましょうよ」みたいな。「事業でもいいし、VCでも何かやりたいことないですか?」みたいなところから、最初はスタートしていて。

52億円の1号ファンド、独自のスタイルで運用

手嶋:
VCをそんなにすごくやろうと思ってユナイテッドを辞めていないんですけど、「ベンチャー投資の仕事も面白いと思っていますよ」みたいな。

でも僕も西條さんも「お金を数十億円ベンチャーに投資するぞ」という感じでもなかったので、そんなお金もないですし、「じゃあVCを作りますか?」みたいになって始めたのがXTech Venturesですね。それがXTechのグループの1社で。

すごい細かい話でいうと、XTech VenturesというのはXTechと僕個人の合弁会社にしているという感じですね。

西條さん自体はXTechグループの運営の中でXTech Venturesもやっているし、僕はXTechグループの中でXTech Venturesにコミットしながら、株式会社LayerXの役員の仕事とかもやっていると。

石橋:
そういうスタイルだからこそフレキシブルといいますか、そういうこともできているんですね。

手嶋:
そうですね。なのでXTech Venturesを創業したのは2018年、2年前に創業しまして。今はそこから集めて52億円の1号ファンドを今運用しています。

石橋:
ありがとうございます。今簡単にお話もいただいたんですけれども、次回は手嶋さんが今やっていらっしゃるXTech Venturesさんについて、どういった投資方針でやっていらっしゃるですとか、どういう投資先がいらっしゃるのかというところをまた深掘ってお伺いしていきたいと思っておりますので、次回もよろしくお願いいたします。

手嶋:
よろしくお願いします。

【XTech Ventures】2人で成功させよう!小規模でも多面的な支援を行うVCがやりがいを覚えたきっかけは!?|スタートアップ投資TV

52億円ファンドを2人で運営する投資戦略

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。

今回も手嶋さんにご出演いただきまして、前回手嶋さんにどういう経緯でXTech Venturesさんに行き着いているかというお話をいただいたんですけれども。

そのXTech Venturesさんとして具体的にどういうファンドをやっていらっしゃるのか、どういう方針で起業家の方に投資していらっしゃるのか等をお伺いしていければと思っているんですけども、概況でいうとどういうファンドになるんでしょうか?

手嶋:
いろんなリミテッドパートナー(LP)さんから累計で15社ぐらい入っていて、少数個人も入れていただいているんですけど、52億円のファンドを運用しておりまして、それを2人でやっているというような状況です。基本的には2人、両方やると言ったら投資しようと、一定の議論をしてやろうよというような形でやっています。

今の日本のベンチャー投資だと52億円はなかなか難しいサイズでして、シリーズAとかだと普通に5億~10億円集めるじゃないですか。

シリーズAでリードを取ろうと思うと、50億円のファンドで「5億円とか出すの?」と。そういうのだと分散ができないので、リスクは取ろうと。

そういう意味だとプロダクトマーケットフィット(PMF)も全然しなくてもいいから、シードか10億円未満ぐらいのバリュエーションで、5,000万~1億円ぐらい出すというのが基本的なメインゾーンですね。

一方、これはファンドをやりながらそういうのもたくさん来るので、やろうと決めたのはプレIPOですね。

僕はVCファンドを運用するのは初めてなので、「そういうものなんだな」と学習しながら日々やっているんですけど、西條に関してはVCファンドの運営も結構やっていたので、ポートフォリオマネジメントの観点が結構強いんですよね。

とすると、ファンドのリターンを早期に一定出していくとか、安定して最低限のイグジットを早期に出していくということでいくと、プレIPOも来るので、ちゃんと適切に選んだ上で出すのが良いんじゃないかということで、例えば株式会社スペースマーケットとか投資して1年ぐらいで上場したんですけど、ああいうプレIPOに関してはサブ的にやっていこうという、そういうファンドをやっています。

特定領域にこだわらず、自分たちが理解できる事業に投資

石橋:
ラウンド感でいうとよくわかったんですけれども、マーケットとかどういうところを対象にみたいなものは何かあるんでしょうか?

手嶋:
僕らは自分たちの中で「これいいよね」みたいなものは、「これ軸はいいよね」というのは1件1件投資判断しながら、議論しながら集約していくみたいなことはありますけど、基本的にあまり決め込まないようにしていますね。

1つあるのは、自分たちが話を聞いた時点で詳しくないことはやらない。僕も西條も良くも悪くも結構この産業にいるので、一定の情報は知っているはずなんですね。

その僕らですら全くわからなくて、ゼロから「なんだこれ?」と調べなきゃいけないようなことは、あまり判断しない方がいいかなというのがあって、あまりわからな過ぎることはやめようと。

結果、宇宙とかそういうのは投資しにくいなというのはあります。

石橋:
とはいえ、特定の市場というのは、いわゆるバーティカルSaaSみたいに呼ばれるものとか、別にそれはそれでみたいな形なんですか?

手嶋:
そうですね。それはそれでやります。比較的来るものこだわらずみたいな、選ばずみたいな感じで、インバウンドで来たものに関してちゃんと精査するというスタンスです。事業領域に特定のこだわりはないですね。

投資先とのコミュニケーションは起業家に合わせる

石橋:
実際に投資した後の投資先の皆さんとのコミュニケーションでいうと、手嶋さんが直接取っていらっしゃるのか、どういう形でやっていらっしゃるんですか?

手嶋:
1号ファンドに関しては、これも話し合った結果、1号は52億円というサイズで「正直2人でできちゃうね」という話をまずして、2年ぐらいで投資し終えるじゃないですか。

チームというのもそんなにできあがらないと思うので、1号ファンドに関しては割り切って2人で結果を出そうと決めていたんですよね。

僕と西條で入ってきた案件で基本的にはやって、一部チームメンバーが取ってきた案件も数件だけありますけど、基本的には僕か西條に入ってきたやつを投資していると。

ただ、僕と西條どっちかが担当になり、あとはチームメンバーもついてもらうので、2人1チームみたいなので投資先に向き合っているという感じですね。

石橋:
結構頻度高くコミュニケーションとかも取られているんですか?

手嶋:
何をもって頻度高くとか、何をもってハンズオンかという、ちょっと崇高な問いはあるんですけど、僕らは正直自分で事業もやっていたじゃないですか。なので、投資家がやれることは結構限定的だなとは思っているんですね。

もしかしたらVCの人に「僕こういうふうにやっていますよ」と言うと「それはハンズオンですね」とか言っていただくかもしれないですけど、基本的には気分はいつもハンズオフな感じで、「やれることは少ないよね」と思いながらやっているから。

ただ、常時チャットで相談とか乗りますし、月に1~2回ぐらいは会ったり、Zoomとかで会議に出たり話したりはしますけど、それ自体もハンズオフと言えばハンズオフだよねという、四六時中それをやれないし、それはそういう気持ちではやっています。あとは基本的に、起業家の人に合わせますね。

投資するときに「どうしたい?」と聞いて、基本放っておくこともできるし、関わることもできるけど、「どうするのが一番いいの?」と聞いて、「この感じがいいです」とすり合わせてからやるようにしていますね。

石橋:
起業家の方次第でもあるということですね。

手嶋:
そうですね。

delyの堀江氏に見た、圧倒的な執着心と調査力

石橋:
今までかなりの数のスタートアップに投資をしてきていらっしゃって、すごく印象的な投資先ですとか、意思決定するタイミングにここをすごく評価したみたいなところの観点はなにかあるんでしょうか?

手嶋:
昔のやつでいくと、dely株式会社(現:クラシル株式会社)の堀江さんは結構議論した上で「これやった方がいいな」と決めて、やっぱり最初から全然違いましたね。

若手起業家の中では当時は全然無名です。無名なんですけど、話していると全然違うなというのはわかったという感じです。とにかく調べられることは全部調べていたという、その執着心で全然違いましたね。

彼は当時、動画メディア「クラシル」に移行したときで、Facebookで分散型メディアみたいにやっていて、アプリも作って資金がいる時期ですよね。

クックパッドのことをとにかく調べていて、当時から「クックパッドを倒すには50億円必要なんですよ」みたいな。「いきなり50億円は集まらないので、アンカー投資家が必要なんですよ」みたいな。「手嶋さんなってくださいよ」みたいなことを、「50億円のうちの最初の5,000万円~1億円どうですか?」みたいな感じで言われるわけですよ。

でも、なんで50億円必要かというのを全部緻密に説明するわけですね。クックパッドが始まったのは彼が小学生とかのときですよ。そのときからのことを調べたりしているわけですよね。なので、この執着心とかは結構全然違うなというのは思いました。

なので、事業の数字は見てないですね。当然分散型メディアでは結果が出ていましたけど、アプリに移行してどうかはわからないというのは思い出であります。

全品回収の危機を乗り越えたSpartyへのリード投資

手嶋:
あとは、ファンドでやった案件でいくと、株式会社Spartyというカスタマイズシャンプーの会社に投資しまして、これは公表されているんですけど、Spartyは2018年にサービスインして、秋頃にB Dash Campのコンテストみたいなので受賞したりとかして、結構勢いがあるときに資金調達の相談に乗って。

そのときはいろんな会社が決まりそうだったんですよ。他で決まりそうだったから「俺はそんなに無理しなくてもいいかな」と思っていたんですけど、相手先ブランド製造(OEM)先の事故がありまして。ある種彼らも被害者で騙されてしまったということなんですけど、商品が全品回収になったんですね。

当時あった売り上げがレピュテーションも含めて、資金調達のモメンタムがあったのがいきなりにバーンと落ちて。当時、代表の深山さんがスーツを着て僕のところにも挨拶にきて「俺にあまり時間使わなくていいよ」と。みんな投資家もバーッと去ってしまって。

元々は「元博報堂です」という繋がりで、Twitterで深山さんから連絡が来たんですよ。「そうなんだね」と話して、僕は元博報堂の起業家の人とよく会うことがあったので、博報堂の方はすごいクリエイティブな方で優秀な方が多いんですけど、良くも悪くも企画屋っぽい人が多いんですよね。

「またそんな感じなのかな」と思って会ったら、深山さんは全然違ったんですよ。「結構事業がいけるかもしれないな」という感じがあったので、当時から検討していたんですけど、そういうのがあって、僕もちょっと様子見だよねと思って。

ただ、定期的に連絡はくれていたので、プロセスを全部見ていたんですよね。全品回収をちゃんとして、「株主にこういう報告しています」とか、あとブリッジファイナンスを一部の会社が受けてくれたりして生き残っていて。

「ここからOEM先も変えて出直したいです」というときに、投資家も引いちゃっているので「どうにかしたい」というタイミングで相談を受けて。

そのプロセスを見て、結構ちゃんと対応しているし、深山さんが事業ができる人なんじゃないかというような感覚は残っていたので、「僕らがリード取るから」と、当時は1.2億円集めて、「6,000万円出すから残りの6,000万円集めてきて」と言って集まって、今結構大成功していますね。

石橋:
その話を聞くと、やっぱり気合いの入ったタイミングのディールなんですね。

手嶋:
印象深いというか、やりがいがありますね。投資の仕事はこういうやりがいがあるんだなという事象の1つですね。

石橋:
ありがとうございます。今回はそういった形でXTech Venturesさんの投資方針ですとか、すでにコミットメントされているところだったり、前職の投資先のエピソードもいただいたんですけれども。

今いただいた2つのお話も創業初期というか、「これからまた成長していくんだ!」みたいなタイミングの話だと思うので。

次回の3回目の配信では、どういうふうにしてそういった投資先がより大きく成長していって、シリーズA・Bに向かっていくのか、いわゆるPMFというのはどういうふうに迎えていくのかみたいな話を、手嶋さんの立場からいろいろと教えていただきたいと思っておりますので、またよろしくお願いいたします。

手嶋:
お願いします。

【起業家のオーラ?】変貌を遂げてこそ繋がる投資!|スタートアップ投資TV

Spartyは9ヶ月で企業価値7〜8倍を達成

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。

今回は、XTech Venturesの手嶋さんの第3回目ということで、前回はXTech Venturesさん自体のお話ですとか、現状の投資先についても簡単に触れていただいたんですけれども。

XTech VenturesさんはいわゆるプレシリーズAラウンドを中心にもちろんシードラウンドから投資されていらっしゃると思うんですが、そういった皆さんがどういうふうにしてシリーズA・Bと成長していったりですとか、いわゆるPMFを迎えていくのかというところを、いろいろと具体例を交えながらお話いただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

手嶋:
よろしくお願いします。

石橋:
前回お話に挙げていただいたSpartyさんでいいますと、OEM先の事故のタイミングから投資を6,000万円してから今グーッと大きく成長されていらっしゃるかと思うんですが、大きくまたドライブし始めるタイミングとか、ユーザーさんに対してのマーケットフィットはどういったタイミングで迎えていらっしゃったんでしょうか?

手嶋:
Spartyでいくと、僕らは2019年の3月に投資をして12月に6億円増資したんですけど、9ヶ月で企業価値は7~8倍くらいになっているんですよね。なので、かなり業績は伸びました。

これは端的に言うと、彼らがやっているのはDtoCなので、プロダクトのニーズがかなり明確に世の中にあるので、出せば伸びる状態だったというのは結果としては言えるでしょうね。僕らが投資したときはちょっとわからなかったので、まだ「どうかな?」ぐらいだったんですけど、ニーズはそもそも強かったというのがあって。

あとは代表の深山さんが元博報堂なので、やっぱりクリエイティブとかデジタルマーケティングがかなりこなれていますよね。ナンバー2に榊原くんという方もいて、彼も博報堂出身なので。

あの2人がかなりやり込んでいる中で、「これは金をかければかけるほど伸びるじゃん」というサイクル、当然アッパーがどこに来るのかというのは誰もわからない世界なんだけど、「これはやればやるほど伸びるじゃん」というのは、投資して数ヶ月ぐらいしたときにはわかりましたね。

PMFとは「リソース投入以上に伸びる」状態

石橋:
事故のタイミングから出資してそういうふうになっているんですね。

手嶋:
そうですね。

石橋:
逆にC向けではなくB向けとかですと、必ずしも広告宣伝費をかけ続けて伸びるタイプじゃない人たちもいらっしゃると思うんですが、B向けの投資先とかですと、グーッと伸びてきたような事例とか、こういうタイミングだとPMFと言えるんじゃないかみたいなところは、手嶋さんとしてはどういうふうに捉えていらっしゃいますか?

手嶋:
B向けもいろんなタイプがありますけど、でも変わらないですよね。PMFとは何かでいくと、追加でリソースを投入すれば、リソースを投入した以上に伸びることが立証されたタイミングで、それゆえ資金を調達しますと。

お金をかけて広告宣伝をするか、人を採用するかという感じじゃないですか。BtoBだと、それが広告宣伝費じゃなくて、人を採用して営業を強化しようみたいなことも多いわけですけど、いずれにせよ何かしらのリソースを投入したら結構反応するという状況が、ある程度確からしいという感じですね。

100%確からしいことはほぼないと思うので、20%ぐらいのときはまだありますよね、シリーズAは正直。そこから70%ぐらい、20~70%ぐらいの間で確からしいなというのが、シリーズAぐらいにおけるPMFかなという感覚はあります。

1社平均1億円、40社のポートフォリオ戦略

石橋:
ちなみにXTech VenturesさんはシリーズAラウンドで追加で出資されることもあるんですか?

手嶋:
僕らでいくと、52億円のファンドで40社ぐらいのポートフォリオを元々作ろうと、大体1社1億円で40社ぐらいで考えていたので、平均でそうなるような感じのイメージは持っていて。

最初の投資が5,000万ぐらいだったら積極的に追加投資していきますし、最初から1億円ぐらいいっていると、よっぽど良ければ追加でさらに1億円とかもありますし、そうじゃなくても次の資金調達を成功させるために数千万出したりとかはやっていますね。

シリーズA調達には「オーラ」が必要

石橋:
プレシリーズA前のシードの方にも一部出資はされていると思うんですが、そういったシードの方がプレシリーズAを超えてシリーズAに向かっていくときに、手嶋さんご自身も事業家だと思うんですけど、事業家として、起業家としてどういう観点で創業期に気を付けておくべきことというか、こういうところをちゃんとやっていかないとなかなかシリーズAに行けないよみたいなところの観点は何かあったりはしますか?

手嶋:
事業家としてというよりかは、むしろVCを始めて本格的にベンチャー投資を始めて、いろんなところから学習しているという感じですけど、やっぱり会社自体にオーラみたいなのはありますよね。

「いけるぞ!」みたいなオーラが出ていないと、シリーズAで数億円調達するというのはなかなかファクトだけで説明するのは、みんな「ファクトを見ている」と言うんだけど、オーラで結局後押しを受けている部分もあると思うんですね。なので、オーラをいかに出してもらうか。

PRである程度露出することもそうかもしれないですけど、社長自身が自信を持って結構エネルギーが出てくるタイミングがあると思うんですよね。顔が疲れていないとか。

あとは経営チームがちゃんとできているかみたいな。1人じゃなくてチームとしてオーラがある状態とか、そういうのは資金調達を成功させるという観点でいくと、結構大事だなと思っていますね。

経験が人を変える。オーラは後天的に身につく

石橋:
すごく変数にしにくい話ではあると思うんですけど、オーラというのはシード期からどういうふうにして醸成していくものなのか、完全に先天的なものなのか、手嶋さんとしてはどういうふうに捉えていらっしゃいますか?

手嶋:
後からやっぱり艶っぽくなってきますよね、みんな。やっぱり経験は大したもので、人を変える面があるなと。

シードとかプレシリーズAのときも、僕らは「これは黒字化まではやれるね」とか「彼はピボットしても事業を成功させられるタイプだよね」みたいなそういう議論はするわけですけど、シードとかプレシリーズAは正直わからないし、ある種目線が少し低めの議論もあったりはするわけですね。どうなるかわからないけど、最悪こういうことがあっても彼はやるかもしれないと。

シリーズAは正直大成功するかどうかみたいなのを見られ始めるじゃないですか。だからある程度オーラをまとわないと「IPOしそう」とか、M&Aにしても「結構大型いけるかも」と、なんとなくそういうのが感じられなかったりすると思うので。

逆にシードとかプレシリーズAは、他の人はわからないですけど、僕らは全部が全部そんなことになるわけじゃないというのは理解して投資しているわけですよね。当然そういう企業もあっていいと思うし、世の中で企業が一定の成功を収めるというのは美しいことだから、それは僕らも一定確率、全部が全部IPOするとは限らないけどやっていこうよという姿勢はあるので。

ただシリーズAぐらいになっちゃうと、みんな「IPOできるかな」みたいな目線で見るので、オーラというか、少し変貌が必要だなというのは結構学習していて思いますね。

23歳の女性起業家が「風格」を身につけるまで

石橋:
逆に手嶋さんもやりながら学習していったとおっしゃっているように、ご自身の投資先でシードから後天的にオーラが付いてきている投資先はあるんですか?どういったところが代表的なんでしょうか?

手嶋:
まだシリーズAは行ってないですけど、トリコ株式会社という、僕らがシードからやっていて、実はユナイテッドのときにM&Aした会社にインターンしていた大学生の女性が「起業するので」という相談をされて、当時23歳とかですよね。

その子はめちゃくちゃ働いていたんですよ。めちゃくちゃ働くから「わかった」と言って。でも僕らは投資層がミドル層と言っていたので、最初のほうで「西條さん、全然ミドル層じゃないんですけど、この子めちゃくちゃ働くんですよ」と話して、「2,000万くらいだったらいいんじゃないですかね?」とか言って投資したんですけど。

そのときは大学を出て1年ぐらい経ったときだったのでそういう感じでしたけど、今プレシリーズAまでやって、株式会社ポーラさんとかから1億円ちょっと集めたんですけど、やっぱりだいぶ変わってきましたよね。風格が出てきたという感じで。

僕も普通に対等に話すようになってきたので、「すごいな」と思うことも結構ありますし、あと成功体験がやっぱり自信になるし、自信というのは態度に出るし、意欲とか野心とか、あと世界観の広がりも出てくるから、学習している幅も大きいですよね。なので人はすごい変わるなと思って、すごい面白いし、頼もしいなと思って見ていますね。

石橋:
なるほどですね。やっぱりそうすると成功体験とか後からの環境要因で、着々と前に進んでいけているからこそ自分に自信が付いてきたりとか、より発言にも力が入ってきたりとか、やっぱり人としても成長していかれるという感じなんですね。

ありがとうございます。今回、全3回にわたりましてXTech Venturesの手嶋さんにお話をいただいたわけですけれども、多分今まで何人だろう?十何名の方にご出演いただいていたんですけど、明確に「オーラ」というふうに言い切っていただいたのは、多分手嶋さんが初めてです。

それはいろんな会社を見ていらっしゃって、しかもご自身が事業家というのは少しニュアンスとしては違うのかなと個人ながら感じました。改めてご出演いただきまして、ありがとうございます。

手嶋:
ありがとうございました。