自分が輝ける職に就きたい!多趣味な元バンドマンVC!|スタートアップ投資TV

○坪田拓也 株式会社サムライインキュベート Investment Manager Investment Group
公式HP▶︎https://www.samurai-incubate.asia/
Twitter▶  / takuyatsubota  
1989年大阪府出身、京都大学卒業。オプトにてWebマーケティングや新規商材企画を経験後、グループ会社で複数のtoCサービスの企画〜運営における事業責任者等を経験。2017年にサムライインキュベート入社。大企業の新規事業立ち上げ支援に従事した後、現在では投資部門にて投資先の事業支援・スタートアップへの新規投資を担う。

「夢中には勝てない」京大院生が感じた研究への違和感

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。

今回は、サムライインキュベートから坪田さんにご出演をいただきまして、いろいろとお話を伺っていきたいと思っております。

坪田:
よろしくお願いします。

石橋:
楽しみにしておりました。よろしくお願いします。

早速なんですけど、髪型もイケてる感じだと思うんですけど、元々バンドマンなんですよね?

坪田:
音楽をずっとしてましたね。

石橋:
どういうキャリアというか、バンドマン時代があって、どういうふうにしてベンチャーキャピタル(VC)業界に入ってくるんですか?

坪田:
学生のときからでいうと、学生しながらバンドとかも大阪でしていたんですけど、関西出身なので大学は京都大学の工学部の中の化学をやる部門だったんですね。うちの大学の学科でいうと9割ぐらいが大学院に進学するんですよ。理系のあるあるで。

なので就活を3・4年生でしたことがなくて、言ってしまえば何も考えずにそのまま大学院に行って、大学院行った最初とかもこのまま就職するんだろうなと。

石橋:
その化学を活かしてみたいな。

坪田:
そうですね。メーカー職とか研究とか。

そういうところに行くんだろうなと思ってふと周りを見渡したときに、めちゃくちゃ好きで研究とかをやっている人がすごいたくさんいたんですよね。自分がそこまでのめり込めなかったということがあって。

この中で食べていくことは多分できるんだろうけども、そこで輝くことはできないなと。やっぱり夢中には勝てないというのをそのとき感じて。

サイバーエージェントのインターンで見た東京の感度

坪田:
そこでやっと就活をもう少し広く見るようになって、当時株式会社サイバーエージェントのインターンに行ったりしたことがあって、2週間のやつですね。

そこでインターネットとかにも触れて、初めて東京に行くようになって、この領域だったら自分が熱中して若いときから輝けるんじゃないかと思って、この領域に就職するというのが始まりで。そこで最初に株式会社オプトに入社したというのが社会人の始まりですね。

石橋:
学生時代にサイバーエージェントさんとかIT系の事業会社のインターンとか行くと、同年代でそのときに出会った人が起業したりというのもやっぱりあったりするんですか?

坪田:
ありますね。そもそも起業していた人もいました。

石橋:
いますよね。学生起業家でインターンにいるみたいな。なんなら採用目的で来ている人とかいますよね?

坪田:
そうですね。そこは東京の感度の高さにすごい驚きましたね。地方だと、大阪とか京都でも全然そういった情報は当時なかったので。なので若い間は東京にいようと、そこで思いました。

新卒1年目で社内起業、アマチュアスポーツチームマッチングサービスに挑戦

石橋:
まずはオプトさんに入社されて、オプトさんではどういうことをされていたんですか?

坪田:
最初はインターネット広告の領域で、当時で言うレコメンド型リターゲティング広告という、いわゆる見た商品が出てきたりするところで、それの導入支援というのを大企業さん相手にやっていて。

その中で元々は事業がやりたくて入ったので、ちょうど1年目のときに新規事業の社内起業家の輩出のプログラムがあって。

元々それがしたかったので新卒で1年目のときだったんですけど、一応そこに応募して、そのときに第1回で選んでいただいて。

2年目からは株式会社オプトインキュベートという、グループの中の新規事業を立ち上げて量産するような会社ですね。そちらの方に移って、自分で起案した新規事業の立ち上げと、あとは社内の新規事業のインキュベーションだったりとか、あとは大企業さんと一緒に新規事業の立ち上げ支援というところをやってました。

石橋:
ちなみに当時はどういう新規事業を?ビジネスコンテストはどういうのを提案して優勝されて、その後に実際やっていらっしゃったんですか?

坪田:
そのときはアマチュアスポーツチームのマッチングというもので。当時はまだそんなにマッチング系もなかったときだったので、チーム同士がコートは取っているんですけど、練習試合の相手がいないみたいなところのチーム同士をマッチングして、一緒に対戦してあげるというようなサービスを立ち上げました。最初はフットサルでやっていましたね。

石橋:
今のお話だけ聞くと、必ずしもオプトさんと直接的な関係は事業的にはないのかなと思ったんですけど、なんでその事業をやっていこうと思われたんですか?

坪田:
結構それは個人的な興味というのも大きかったですね。元々toCとかエンタメ領域というのが好きだったので。

なので今、そういったオプトとのシナジーと言われると非常に心苦しいところもあるんですけど、やっぱり好きだったというところと、当時2014年ぐらいで草野球のマッチングサイトとかですごく人気があったところなんですけど、本当に1990年代のようなインターフェースの掲示板とかが未だにアクティブに使われていたので。

石橋:
なんなら今でも使われ続けていますよね?

坪田:
そうですね。これをアプリでもっと使いやすくすればチャンスがあるんじゃないかなというところで、最初提案したところですね。

事業の挫折から学んだマネタイズの重要性

石橋:
その後最終的にオプトインキュベートに移動されて、新規事業をご自身で作りながらコンサルというかサポートもやられていたという感じなんですね。

坪田:
そうですね。最初新規事業の方をやっていて、結論から言うと思っていたより上手くいかなくて。

そこから自分の事業を一旦縮小することになり、そこから他の事業の支援だったりとか、大企業さんと一緒に新規事業の立ち上げをするというところに移ったという感じですね。

石橋:
すごく最後の方のワードが、そのまま今サムライインキュベートさんでやられているようなことなのかなというふうなイメージを受けてしまったんですけど、なんで最終的にVCに転職をしていこうというふうに思われたんですか?

坪田:
正直ベースで言うと、誘われたというのがきっかけではあるんですけども。

石橋:
元々オプトインキュベート時代にサムライインキュベートの榊原さんであるとか、社内の方と繋がりがあったというところなんですか?

坪田:
そうですね。オプトインキュベートのときに一緒に働いていたメンバーがサムライインキュベートに行ったので、そのときに後に誘っていただいてというのがきっかけだったんですけど。

元々自分でも将来もう一度事業をやりたいという思いがあった中で、一番サービスを考えるのが自分は好きだったりとか得意だったりしたんですけど。

そこから実際にビジネスに持っていく、要は誰からどんなマネタイズをするかとか、しっかりと需要を捉えてお金を払ってでも使いたいサービスを作るとか。あったら良いというよりもないと困るようなサービスというところが、結構弱いなと当時は感じていたんですよね。

VCに来てシード期だとそれこそいろんなサービスが生まれた瞬間からビジネスになっていく過程を数多く見られるので、そういったところを一旦学びたいというのが元々の思ったところですね。

サムライインキュベートで見つけた新たなステージ

石橋:
そういった理由で転職されて、今はサムライインキュベートさんで活動されているというところなんですね。

坪田:
そうですね。サムライインキュベートの中でも最初の方は別のグループにいて、当時大企業さんの中の新規事業の立ち上げの支援とか、それこそフレームワークとか社内の仕組み作り、あとは投資先の支援だったりとか、結構いろいろやるグループだったんですけど。

2019年からいわゆるInvestment Groupという、新規投資だったりとか投資先の支援をするところに専属になって、今やっているというような流れです。

石橋:
ありがとうございます。非常に分かりやすい流れというか、オプトインキュベートでの経歴がすごく大きそうですね。

坪田:
そうですね。やっぱり新規事業を1から立ち上げるとか、それを体系立てて見ていくというところは、そのときの下積みがあるのかなと思っています。

ボードゲームにスムージー、多趣味が生む「着想」の力

石橋:
ちなみにお仕事面はだいぶイメージができてきたんですけど、今でもプライベートのときは音楽をやったりとか、エンタメ系のことをやったりとか、どういうふうに過ごしていることが多いんですか?

坪田:
結構業界の中だと趣味が多いほうだと思っていて、ギターもそうですし、あとは最近ボードゲームにめちゃくちゃハマってますね。

石橋:
大体みんなサウナとかここで言い出すので、そういう感じじゃなくてよかったですね。

坪田:
サウナとか筋トレと言う人が多いので、それ以外にしようと思ったんですよ。サウナと筋トレはなんなら結構行きますよ。先週サウナに行きましたし、今朝パーソナルトレーニングに行ってから来てるので。

石橋:
本当に多趣味なんですね。結構意識して、それこそエンタメ業界に投資していくんだという文脈でいろいろ見ていこうという感じなのか、純粋にいろいろ好きという感じなんですか?

坪田:
純粋に好きから始まってますね。最近ちょっと知り合いにストレングスファインダーをお勧めされて、どういう強みがあるかとかで、多分僕は着想みたいなところが強いんですよね。

結構いろんなところに触れて、この仕組みは抽象化するとこっちに行けるんじゃないかとか、そういうアイデアの種が数多くあったほうが自分の能力が活きるというのが最近思ったところなので、いろいろ触れてますね。

最近は料理とかもすごいします。毎朝、スムージー作ってます。

石橋:
何を目指しているんですか?スムージー飲んでから筋トレしてから来ていただいているんですね。ありがとうございます。

坪田:
あとは結構この業界の中では比較的、大学時代の友達とかと飲みに行ったりとかも結構します。僕もこの番組の収録を見ていたんですけど、結構疎遠になるというのもあるじゃないですか。

石橋:
独特なスタートアップ村と揶揄されるような、ちょっと狭いコミュニティだったりしますもんね。

坪田:
そうですね。また別の話にもなるんですけど、うちのファンドでいうと今は割とリアルな産業、物流だったり建設だったりとか、要はインターネットに完結しない事業体というのも数多く支援しているので、IT業界とかインターネットに閉じた世界にいると視野も狭くなっちゃうので。

全然違う業界に行った知り合いの話とか、あるいはインターネット業界から離れると「このサービスは全然知られてないんだ」とか新たな気づきになるので、そこは結構自分でも学びになるなと思って、意図的にじゃないですけど、土日とかはそういうふうに過ごしています。平日はどっぷりこっちなんですけど。

石橋:
最終的に休日も仕事のことを考えながらという感じになっちゃってるんですね。

坪田:
半々ですけどね。頭的には。

石橋:
ありがとうございます。今回は坪田さんにご出演をいただいているわけなんですけれども、次回の配信では坪田さんが活動されていらっしゃるサムライインキュベートさんについていろいろと深掘ってお伺いしていきたいと思っておりますので、改めてよろしくお願いします。

坪田:
よろしくお願いします。

【サムライインキュベート】たとえアイデアがなくても!起業を全力でサポートするベンチャーキャピタル!|スタートアップ投資TV

ファンド事業と大企業支援の両輪で成長を後押し

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。

今回も前回に引き続き、サムライインキュベートから坪田さんにご出演をいただきまして、いろいろとお話を伺っていきたいと思っております。

僕が調べている限りサムライインキュベートさんはファンドもやられていると思うんですけれども、ファンド事業だけではなく、大企業の方々との事業も何かやられているのかなと思っているんですけど、どういう形で今はサムライインキュベートさんという組織全体としては動かれていらっしゃるんですか?

坪田:
事業においては、おっしゃっていただいたようないわゆるVC事業ですね。新規投資を行う事業体と、あとは大企業さんのイノベーションの支援を行うところですね。

石橋:
具体的にはイノベーションの支援というのはどういうことをやられているんですか?

坪田:
例えばアクセラレータープログラムみたいなオープンイノベーションの支援をするようなところがあったりとか、社内の新規事業の伴走支援をやったり、それもひとつのスタートアップみたいな形で。

あとは社内の起業家の方々の教育や支援をやっているような事業体ですね。

石橋:
まさに坪田さんの前職のオプトインキュベート時代にやっていらっしゃったようなことを、外の大企業の皆さんに対して提供しているみたいなイメージなんですか?

坪田:
そうですね。あとはやはりVCをやっていた経験があるからこそスタートアップと大企業のオープンイノベーション支援というところも注力してやっているところですね。

石橋:
そういうことをやりつつ、そういう大企業の方の社員さんのスピンアウトのところに投資したりとかはあまりないんですか?

坪田:
現状まだ実績はないですけど、いずれそういったところもやっていきたいなと思っています。

6号ファンド34.5億円、日本・イスラエル・アフリカに投資

石橋:
大企業側の事業じゃなくてファンド側のお話を深掘っていきたいなと思ってるんですけど、ファンドでいうと今6号ファンドを運用されているかと思うんですが、どういうところに特に投資されていたりとか、どういうラウンドの方々に投資されているんでしょうか?

坪田:
6号ファンドでいうと、今の対象地域としては日本とイスラエルとアフリカですね。結構ぶっ飛んでいると思うんですけど、その中で僕は今国内投資を担当していまして、大体34.5億円のファンドの約半分が今日本になっています。

特徴としては、ファンドのいわゆるリミテッドパートナー(LP)と呼ばれるファンドに出資してくださっている方々が、日本のオープンイノベーションを積極的にやっている事業会社の方々が多く入っていただいているのが特徴の1つになっています。

石橋:
例えばどういった会社さんがやっていらっしゃるんですか?

坪田:
株式会社丸井グループさんであったりとか、ダイキン工業株式会社さんとか、あと建設領域で前田建設工業株式会社さんとか、結構いろんな業界の方々が入ってくださっていますね。

なので投資領域としても、今までのファンドでいくとインターネットを基軸としたサービスに数多く投資してきたんですけども、LPさんの事業領域に伴う形で、物流・建設・ヘルスケア・金融・小売・MaaSモビリティというような6つの領域に注力してやっていますね。

LPとの共創で三浦半島のMaaS事業が始動

石橋:
逆にそういう企業の皆さんと、先ほどの前段のオープンイノベーションの支援というところの文脈があるのかなと思うんですけど、一緒に投資したりするんですか?どういうサポートをLPの皆さんと一緒にその投資先について還元していらっしゃるんですか?

坪田:
こういった領域だと、インターネットだと自分たちで、例えばメディアとかをWordPressですぐに立ち上げてとか、リリースして結果を見てということもできると思うんですけど。

建設やモビリティだったりとかは、なかなかクイックにリリースするとか、実証実験の場がなかったりとか、それを社会実装するための場が必要だったりとかすると思うんですけども。

そういったところはLPさんが持っているアセットとかを提供してもらったりとか、実験施設を貸してもらうことで、スタートアップだけではなかなかできないようなクイックな立ち上げをやったりとか。

6号ファンドは基本的にはプレシード・シードというところを中心にやってるんですけど、そこで出資して実際に事業が成長した段階で、その領域に対してLPさんからの直接出資をしていただいたりとか、そういったサイクルで全体的に支援しているという流れです。

石橋:
もうすでにそういう事例とかも出てきたりしているんですか?

坪田:
6号ファンドから直接の支援まではしていないですけど、協業が実際に進み出したりとか、実証実験が始まっているところは実際にありますね。

石橋:
公開情報で出ているところで具体例とか挙げられたりしますか?

坪田:
今うちで言うとscheme verge株式会社というMaaS系ですね。この前NewsPicksさんのモビエボという番組の第1回も出ていたんですけども、そこがうちの6号ファンドから出資させていただいて。

その後LPさんである京浜急行電鉄株式会社さんとアクセラレータープログラムの第3回を今一緒にやっているんですけども、そこで採択されて三浦半島で今一緒に共同事業をやっています。

石橋:
まさにある意味、理想的な事例というか。

坪田:
そうですね。

プレシード特化のプログラム「The First Movers」と「BootCamp」

石橋:
LP出資をいただいている皆さんとの共創をする、そういうことを念頭に置いた投資活動もあると思うんですけど、プレシードの段階だとどういうふうに起業家の方とコミュニケーションとったりですとか、サポートとかをしていらっしゃるんですか?プログラム的な支援とか何かあったらぜひ教えていただけると嬉しいです。

坪田:
プレシードを支援となると、まだ事業がそもそもないとか、事業案もまだ固まっていないということが多いと思うので、そういった方々にいくつかプログラムを提供していまして。

1つがThe First Moversと呼ばれる、いわゆるバッチ型のプログラムというんですけど、期間を定めてフェーズ1・フェーズ2を作って、ある程度事業の種があればOKという形で参加しまして。

まずフェーズ1では、1~2ヶ月の間に最初の事業案の仮説というのを一緒に壁打ちしながら固めきる。サムライインキュベート中で持っている事業創造のフレームワークもレクチャーをしっかりして、一緒に事業アイデアを作り込むというのがフェーズ1。

そこで実際に少額の資金を数百万単位で出資させていただいて、その事業を、しっかりプロダクトをいわゆる実用最小限の製品(MVP) のような感じで作り込まずに、その数百万で実際のお客さんに当てて検証してもらうというのがフェーズ2です。

そこでうまく仮説がピタッとはまったりとか、これはいけそうだというタイミングで、追加で数千万の追加出資をさせていただくというようなプログラムを1つやっています。

石橋:
ちなみに参加している方でいうと、学生さんも社会人の方もまんべんなく参加されていらっしゃるんですか?

坪田:
そうですね。学生さんから、多分20代前半から40~50代の方もいらっしゃいますね。

2日間で協業案を創出する「BootCamp」

坪田:
それとは別に、先ほどお伝えした事業会社のLPさんと一緒に共同開催のプログラムもやってまして、これがBootCampというものですね。

先ほどのThe First Moversは数ヶ月のプログラムで、例えば建設・物流とかの注力領域であればどういう事業アイデアでもOKというものなんですけども。

BootCampは本当にLPさんとの協業がすぐに推進できるようなところに特化するために、結構LPさんとお話ししながら「建設の中でも特にここ」前回で言えば建設の中の3Dプリンティングで「こういった素材を作れるところ」とか。

石橋:
大分絞られてますね。

坪田:
それで募集するという、結構集めるのも大変なんですよ。

石橋:
間違いない。

坪田:
それで2日間、LPさんの方にも丸2日コミットいただきまして、スタートアップ1社に対して我々とLPさんが1人ずつ入ったりして、2日間でどうやったら共創事業が作れるかどうかというのを案出しをして。

そこで良かったところに対して2,000万~3,000万円の出資をするというプログラムもやっていますね。

孫正義に学ぶ「ビジョン投資」

石橋:
6つの注力領域があるとお話いただいたかと思うんですけれども、坪田さん個人としてはどういうところをやっていきたいですとか、こういう起業家に会いたいみたいなイメージは何かお持ちですか?

坪田:
先ほどの6領域以外の話でいうと2つありまして、1つが今まさにやろうとしているビジョン投資というのをやろうかなと。

The First Moversは、ある程度事業の種がある人を中心にやっているんですけれども、ビジョン投資は本当に事業のアイデアなしでOKという、「人とビジョンに投資すること」をやろうとしていまして。

孫正義さんがジャック・マーさんに出資を決めたという話がすごい好きで。それは、孫さんが中国に行って数名の起業家にプレゼンしてもらって、優秀なビジネスパーソンが事業計画とかビジネスモデルを話すんですけど。そこでジャック・マーさんだけが、インターネットが中国とか世界をどう変えるかというビジョンだけを説明して、そこに対して孫正義さんが出資を決めたという話がありました。

そういった形で、事業案がなくても「こういった世界を作りたい」とか「これをとにかく成し遂げたい」という人に、人とビジョンに対してまずは数百万円出資するというような。

先ほどのThe First Moversのもうちょっと前段階から一緒にやるようなプログラムをやりたいので、「こういった未来をとにかく作りたいんだ」というのを持っている人に出資したいというのが、人の側面でいうと1点。

エンタメ領域で3つの注力テーマ

坪田:
もう1点、個人的に投資領域というか注目でいうと、やっぱりエンタメのところはどうしても好きなので、そこはやろうと思っていますね。

大体エンタメの中でも3つありまして、日本初で世界に影響を与えられるような可能性のあるエンタメコンテンツですね。

今僕の担当でいうとMyDearest株式会社という会社が「東京クロノス」とかのゲームを作っているんですけども、ああいったところだったりとか。

あとはエンタメが世の中に増える仕組みを作っているところ。さっきのscheme vergeのところもアート旅の支援をしたりとか、瀬戸内の芸術祭とかそういったところを快適に回れるMaaSアプリを作ったりするんですけど。

そうするとどこでどんなアーティストが見られたりとか、ここに作品を置けばもっと見られるとかがあるので。

石橋:
データがちゃんと取れる。

坪田:
そうですね。間接的にはアーティストを支える仕組みがあるので、そういったところとか。

あとはエンタメ従事者。例えば元バンドマンとか、あるいは広く言うとプロスポーツもエンタメなので元アスリートとか、そういった人のいわゆる起業家としてのセカンドキャリアの支援というところもやっていきたいなと思っていますね。

連絡はTwitterが最速。シードVCは人となりで選ぶ時代

石橋:
起業家の方がまだビジョンしかないとかアイデアしかないみたいな方が、どういうふうに坪田さんとかサムライインキュベートさんに連絡をすると一番良さそうなんですか?Twitterとかですか?

坪田:
そうですね。サイトでもTwitterでもなんでもいいんですけど、やっぱりTwitterの方が各キャピタリスト、僕以外の人も含めて人となりとかその人の注目領域とか相性もあると思うので、特にシード系のVCに連絡するときはTwitterが一番早いかなと正直思いますね。

石橋:
それは間違いないかもしれないですね。大体みんなやっていますからね。

坪田:
そうですね。

石橋:
ありがとうございます。今お話もいただいたように、ぜひこの動画を見て坪田さんに話を聞いてもらいたいなと思ったら坪田さんのTwitterは概要欄の方にも載っておりますので、サムライインキュベートさんに1回話を聞いてみたいなと思ったら概要欄の方にも載っているホームページからお問い合わせできるかなと思いますので、ぜひご連絡してみてください。

【スタートアップの仮説検証】最初に考えるべきは「Who」!?より良いサービス設計に必要なもの!|スタートアップ投資TV

高解像度の仮説設計が、高精度の検証結果を生む

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。

今回は、前回に引き続き、サムライインキュベートから坪田さんにご出演をいただきまして、お送りしていきたいと思っています。

今回の動画のテーマは、これから起業していく人ですとか、シードの一番最初のファイナンスを得た人たちがどういうふうに仮説設計をしながら事業を進めていくと、より精度が上がっていくのかですとか。

実際にサービスを考えていくとき、設計していくときにどういうところに注意しておくと、より成功確率が上がったりですとか、実現可能性が上がっていくのかというのを、1号~6号ファンドまでシードに振り切って投資をされてきているサムライインキュベートさんのノウハウをいろいろと坪田さんに教えていただきたいなと思っています。

少しセミナーみたいになってしまうかもしれませんが、ぜひよろしくお願いします。

坪田:
お願いします。

石橋:
早速ではあるんですが、シードラウンドでこれからやっていく、サービスを考えているみたいなときに、どういうふうにサービス設計に気を付けていくと、坪田さんとしてはより資金調達が上手くいくですとか、実際に成長していけるみたいにお考えだったりするんでしょうか?

坪田:
僕たちでいうと、普段意識していることはいろいろあるんですけど、2つ大きくあって、1つは仮説検証を繰り返すというのが、いわゆるスタートアップがやっていくことだと思うんですけども、高い解像度の検証結果というのは、高い解像度の仮説設計からしか生まれないかなと思っていて。

ざっくりとした事業アイデアから、例えば「Who・What・How」という、特にどういったターゲットに対して、どういった提供価値をどんな仕組みとか機能で提供するのかというところを、1つずつ言語化して落とすというところでもだいぶ変わります。

なので、例えば実際にサービスのアイデアを考えた後に、例えばMVPを作ったりとか検証というのをすると思うんですけども。

そういった中でもしっかりと高い「Who・What・How」を1つずつ定量化したりとか言語化していくと、実際にお客さんに当ててインタビューしたときも使われた・使われなかったとか、満足度高かった・低かったじゃなくて、こういったターゲットの人には使われたけど、こういった人には使われなかった、じゃあターゲットはこっちだったねとか。

あるいはターゲットは合っていたんだけども、例えばめちゃくちゃ安いということを価値に感じられると思っていたら、実は速さだったりとか種類の多さみたいなところが刺さっていたりとか。あるいはそこは合っていたんですが、仕組みが「もっとこうした方が彼らは満足した」とか、そうすると「もっとより安くできるね」とか。

それによって「ターゲットを変えてもう一度ピボットしてみよう」とか、「提供価値を変えてやり直してみようか」というところが、より精度の高い仮説検証サイクルが回せるので、逆にそこがないと「使われなかった、やめよう」という、闇雲に毎回ピボットして当たるまで博打を打つみたいな感じになっちゃうので。

Who(誰に)から考える、ターゲット設計の鉄則

石橋:
「Who・What・How」の考え方にまだ慣れていらっしゃらないとか、これから初めてそういうフレームワークで考える方もいらっしゃるのかなと思うんですけど、そういうときに考えるコツといいますか、何か「こういうふうな考え方を癖づける」とか、コツとかがあると、より結果的に精度の高い仮説を持つことができるんじゃないかみたいな、そういうノウハウは何かあったりしますか?

坪田:
一番最初にターゲットが誰か、「Who」のところから入るというのが大事かなと思っていて、ターゲットが変わると求めるものが絶対変わるので。

よく社内で言ってるのが、99.9%最初にこれが出た瞬間に使うという人は、どんな特徴がある人か。それは恐らくその行動を特にいつもニーズを強くやっていて、一方で今の世の中にある既存の代替品とか代替手段に対して不満が高い人ですね。

レシピ動画サービスにしても、例えば元々「クックパッド」があると思うんですけども、当然料理をあまりしない人は初期のターゲットになり得ない。

特にめちゃくちゃ料理を頻度高くする人とか、する必要がある人は「どんな人だろう?」とまず考えて、その中でもクックパッドで満足いかない人は「どんな人だろう?」と次に考えてみる。

そうすると「そういう人たちはこういう人だね」となると、例えば若い人で、大学まで料理をしてこなかった人。就職とともに地方から出てきて料理をしないといけなくなったけど、仕事も忙しいので入念にテキストを読む時間もなくて、いちょう切りを見るともう1回いちょう切りを調べないといけなくて、それだと「動画の方が早いじゃん」となるので。

そういった人がターゲットじゃないかというところで、その人たちに仮説検証してみるとか、そういった形でターゲットを考えてみると良いのかなと思いますね。

VCが知らない一次情報こそ、最大の武器になる

石橋:
「Who・What・How」の前の段階というか、市場を選ぶときに、例えば今サムライインキュベートさんでいうと、「これから起業するんです」という学生さんですとか、地域の起業家の方とか、地域にまだお住まいの方とかともコミュニケーションの機会が多いのかなと思うんですけど。

これは僕の意見なんですが、学生さんだと自分の身の回りのマーケットからどうしても選びがちで、例えば就活のサポートをするようなところで起業したりとか、別にそれも必ずしも悪いわけでは全然ないと思うんですけれども、やっぱりプレイヤーが多かったりとか、VCさんを回っていると「マーケットが小さいよね」とか言われるみたいなことが結構起こりがちなのかなと思うんですが。

「Who」の前に、どういうふうにすると市場選びで苦労しないというか、市場選びのコツというか、そこはどういうふうに考えると良いのか坪田さんとしてはお考えだったりしますか?

坪田:
まずはどんな課題を解決しようとしているかというところですね。本当に大きな課題を持っている人がいれば、何かを解決して満たすことができればビジネスになると思うので。

例えば初期の解決する事業アイデア自体の市場は小さいとしても、そこで得られたアセットから次に市場に展開できるところで、大きいビジネスを描くところは、むしろVCと一緒に議論しながらお手伝いするのも私たちの1つの仕事なので。

まずはキャピタリストとかVCが知らないような、一次情報のリアルな課題を徹底的に深掘りしてほしいなと。やっぱりスタートアップにとって一次情報はとても大事だと思うので。

特にシードの時期でキャピタリストに会ったりとかVCの話をするときであれば、例えばよくあるのが「86%の人が困っています」とか「経験したことがあります」というのは、結構定量的な情報というよりも「実はこの人たちは未だにFAXでやりとりしているんです」みたいな、そういう生の情報。

それをどうやって解決できるかというような事業アイデアにしていったほうが、絶対手触り感のある事業アイデアになるので、まずはそういった一次情報を積極的に取りに行くことが大事かなと思いますね。

地方の山間部で見つけた、真逆の顧客ニーズ

坪田:
過去の経験でいうと、僕が新規事業のことをやっていたときに、いわゆる地方の買い物難民と呼ばれる方々の買い物支援をしようとなったときに、東京の感覚、東京の「買い物に困っていない」感覚からいくと、山間部とかにいるおじいちゃん・おばあちゃんかな?と。

石橋:
そのイメージがありますね。

坪田:
実際に地方の山間部のおじいちゃん・おばあちゃんにインタビューしに行ったんですよ。そしたら80歳を超えていても自分で車を運転するし、全然自分でスーパーに行くし、なんなら「買い物は困ってない」と言っていたんですよ。

むしろ「自分で買いに行きたいし、働きたい」と言っていたんですよ。僕らからするとどんどん便利にしてあげた方が彼らはハッピーになると思うんですけど、彼らからすると逆に仕事も辞めて、そこで食べ物とかまで届けられちゃうと、社会に生かされている感覚になるので、むしろ「もっと貢献したい」という感じだったので。

その人たちを働き手にすれば良いんじゃないかという、アイデアが次に変わっていくと思うんですよね。そういった形で一次情報を取りに行くことが非常に大事かなと思ってます。

石橋:
余談ベースの質問になってしまうかもしれないんですけど、起業家の方からそういう一次情報をある意味教えてもらうということもあると思えば、VCとしてご自身たちで一次情報を取りに行くということもあるのかなと思うんですけど、そういうときはサムライインキュベートさんとしてはどういうふうに動かれていたりとか、何かしていることはあるんですか?

坪田:
一次情報は取りに行かないと分からないというのもあるので、うちの別のメンバーでいうと、今1ヶ月間広島に移住していて、実際の地方の交通事情だったりとか、地方の起業家に会いまくるということをやってますね。住まないと分からないことが絶対あるので。

石橋:
ちなみになんで広島だったんですか?

坪田:
彼が広島好きなんです。

石橋:
そういうことなんですね。

東京と地方で異なる、起業家の思考パターン

坪田:
ユニークな事業アイデアが多いですね。これは僕も地方では思うんですけど、東京は結構課題が減ってきているというのがあるんですよ。

石橋:
いろんな起業家の方がいらっしゃいますしね。

坪田:
これは本当に感覚的にはなりますけど、東京の起業家の方々とお会いしてると、先ほどの「Who・What・How」みたいな感じでいうと、「How」の部分から入ることが多い。

「AIでこういうことをします」とか、「ブロックチェーンでこれを解決します」とか。結構「How」を使ってビジネスアイデアを探すというのがあるんですけど、地方だと「ずっとこの課題を解決したくて事業をやってきました」と。

そこで、こういった技術とか、こういうサービスが出てきているから、これを解決できるアイデアで今回スタートアップをしますみたいな。そういったところが多かったりもするので、地方に行かないと分からない課題とか、行かないと見えない課題があるのが結構特徴的なところかなと思います。

石橋:
最近だと「とりあえずSaaSだ」みたいな感じで、「SaaSでどこをどう解決しよう」みたいなふうに捉えてしまって、本当に「How」発進の人は傾向としては増えてしまっているような気はしますよね。

坪田:
例えばSaaSとなっても、いわゆるバーティカルの領域であれば、その業界を知っていることが必要じゃないですか。

石橋:
間違いないですね。

坪田:
思想としては良くても現場になかなか受け入れられないとかになったりすると思うので、そこはぜひ一次情報を取り入れていただきたいなと思って。

僕もLPのある方に言われたのが、物流とか建設は、実際の働いてる現場がどうなっているか一般的に見えにくいじゃないですか。でも日雇いのバイトとかを普通によく募集しているじゃないですか。

ああいうのに1日行けばどんな感じで働いてたりとか、何を使っているかというのが分かるので、「未だにここは紙でやってるんだ」とか。1日行くだけでも全然事業アイデアの解像度が変わってくるので。

知り合いの起業家とかでも、半年間その業界でアルバイトして事業アイデアを固めている。実際に自分の目で見るというのはすごい大事かなと思います。

開発せずに検証する、リソース効率を最大化する方法

石橋:
次のステップで、例えば「Who・What・How」が決まってきました、仮説が作れました、やっぱり検証していかないといけないと思うんですけど、検証していくときに、もちろんなかなかリソースも限られている中、どういうふうに検証を進めていくと、より効率的だったりとか、より良い検証結果が得られるみたいな、そっちのノウハウというかコツは何かあったりするんでしょうか?

坪田:
実際にできるだけ開発を伴わない形で検証と、よく言うんですけど、有りものを使ってやる。本当に今はいろいろ便利なものがあるので、Webサイトなんてペライチだったりとか、LINEを使ったりとか、いろんなやり方があるので、それを使ってまずは価値を提供してみる。

それを一度開発してみると、先ほどの話で言うとターゲットが違うとまた作り直しとか、そこにお金も時間もかかってしまうので、作らない形で実際に検証する。

そしてターゲットをしっかり決めて、闇雲に例えば50人に検証するよりも、Aというセグメント、Bというセグメント、Cというセグメントを例えば10人ずつでやってみると、大体それで実際に検証後にヒアリングとかしていくと、経験上でいうと2人ぐらいでありかなしか大体分かってくるので。

5人ぐらいやっていくと「やっぱりこの人たちか」とか「やっぱりここの機能はいらなかったのか」とか。10人ぐらいやっていくと大体言っていることが固まってくるので、そういった形でしっかりどういった人たちに検証してるかというのをそこで設計するというのが大事かなと。

本当に作り込まない形で実際に当ててみる。やらないと分からないことは出てくるなと思っていて。

手ぶらキャンプで学んだ、現場でしか見えない顧客の本音

坪田:
細かい設計までありますね。うちでいうと、Campifyというキャンプ初心者をターゲットにしたサービスで、自分たちで器具を用意したりとか、当日設営とかをしなくても、当日手ぶらで行くだけで設営から撤収まで、しかも超クオリティの高い機具を使っておしゃれなキャンプが楽しめるというものがあります。これは第1回のThe First Moversから生まれた企業なんですけども。

そこも実際に検証してみると、例えば全てお手軽にやることが一番価値だと思うじゃないですか。なので全て気軽にご飯を用意しようと思ったらですね、キャンプは行かれたことありますか?

石橋:
あります。

坪田:
例えば近くに市場があって、そこで買った肉とか魚でバーベキューしたりとか、鍋をしたりとか、そういうのがしたいから食事は自分で買いたいとか。それ自体も日中のコンテンツになったりするので、そこはなしで大丈夫とか。それは当ててみないと分からなかったりするので。

あと本当に細かいところでいうと、当日焼肉のタレとか醤油とかも用意してあげるんですけど、それが結構商品名とかそのままの生々しいやつだと、おしゃれ感でインスタの写真で撮ったときに綺麗に映らないので、ちゃんと別の容器に移し替えたりとか、実際に当ててみないと見えない部分があるので。

石橋:
ユーザーさんの誰に当てて、声を聞いてという感じなんですね。

坪田:
そういうターゲットが変われば当然他も変わると思うので。

石橋:
ありがとうございます。だいぶ詳らかにというか、細かく教えていただけたので、それこそ見ていただいている皆さんにもこれから起業を目指していらっしゃるような方もたくさんいらっしゃると思いますので。

ぜひ概要欄の方からサムライインキュベートさんのホームページですとか、坪田さんのTwitterにご連絡してみて、一緒にビジョンの段階からでも、アイデアのない段階からでも、アイデアベースでも構わないと思うので、積極的にご連絡してみると良いのかなと思っております。

改めて全3回にわたりまして坪田さんにご出演いただきました。改めてありがとうございました。

坪田:
ありがとうございました。