「カーブアウトとスピンオフは何が違うのか」「事業を切り出す具体的な手順がわからない」「出資比率や許認可の承継で判断を誤りたくない」

事業再編の手段としてカーブアウトを検討しつつも、類似手法との違いや実務の全体像がつかめず迷う方も多いでしょう。

資本関係の設計や契約承継の判断を初期段階で誤ると、資金調達の手段が狭まり、事業の成長戦略に深刻な影響を及ぼします。

ここでは、カーブアウトの定義とスピンオフ・スピンアウトとの違いを整理し、実務手順やメリット・注意点を解説します。それぞれの特徴を理解し、自社の事業再編に適した手法を判断するための参考にしてください。

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目次

カーブアウトとは「事業の一部を切り出して独立させる」経営手法

カーブアウトとは「事業の一部を切り出して独立させる」経営手法

カーブアウト(Carve out)は、企業が自社の事業の一部を切り出し、外部資本を活用しながら独立した会社として成長させる事業再編の手法です。事業を完全に売却するわけでも、親会社から完全に独立するわけでもないため、双方のメリットを生かしながら事業の成長を目指せる点が特徴です。

ここでは、カーブアウトの基本的な仕組みについて、次の2つのポイントに分けて解説します。

  • 外部資本を活用した”完全売却でも完全独立でもない”第三の選択肢
  • 近年は起業の手法として活用される事例が増えている

外部資本を活用した”完全売却でも完全独立でもない”第三の選択肢

カーブアウトの特徴は、親会社が事業を法人として切り出し、VCやPEファンドなど外部資本を組み合わせる点にあります。

完全売却(M&A)では親会社は経営から手を離し、社内の一事業部のままでは経営の自由度が限られます。カーブアウトはその中間に位置し、親会社が一定の出資を残しつつ、外部資本の参加で新会社の独立性と成長余地を確保する構造です。

起業家視点での違いは次の3点に集約されます。

  • 資本関係:親会社と外部投資家が共同出資し、持分を分け合う
  • 経営権:出資比率の設計次第で、新会社側に大きな裁量を持たせられる
  • 親会社の関与:技術供与や人材派遣など、必要な支援を継続できる

カーブアウトは、事業を「売却する」「社内に残す」という二者択一ではなく、親会社との関係を維持しながら独立性も確保できる点から、「第三の選択肢」と呼ばれています。

なお、「カーブアウト」は契約法務の分野では「特定の条項や対象を適用除外とすること」を意味する場合もあります。文脈によって意味が異なるため、混同しないよう注意しましょう。

近年は起業の手法として活用される事例が増えている

日本では研究開発の多くを大企業が担っています。2024年度の企業研究費は17兆4,303億円に達し、そのうち資本金100億円以上の企業が12兆6,045億円と全体の72.3%を占めています※1。

一方で、研究開発によって生まれた技術や事業アイデアのすべてが事業化されるわけではありません。こうした活用されていない技術や知見を社外へ切り出し、外部資本や起業家の力を取り入れながら事業化を目指す手法として、近年カーブアウトへの注目が高まっています。

経済産業省は2024年4月に「起業家主導型カーブアウト実践のガイダンス」を公表し、起業家が経営を主導しつつ外部資金を調達して成長を目指すモデルを後押ししています※2。大企業にとっても、優先度の低かった技術を事業化できる合理的な方法です。

実例として、ユニ・チャームとBCGデジタルベンチャーズの共同プロジェクトから独立したOnedotや、JAXA発の宇宙関連スタートアップなど、既存組織では困難なスピードで事業を立ち上げた事例が生まれています。

大企業の技術や知見を活かすアプローチは、創業期のリスクを抑えたい経営者にとって検討に値します。

カーブアウトとスピンオフ・スピンアウトの違いは「資本関係の有無」

カーブアウト、スピンオフ、スピンアウトはいずれも事業を切り出して独立させる手法ですが、親会社との資本関係や独立後の運営形態が異なります。そのため、自社の目的や事業フェーズに応じて適切な手法を選ぶには、それぞれの特徴を理解することが重要です。

ここでは、次の2つの観点から違いを解説します。

  • スピンオフは「親会社との資本関係を維持する」独立手法
  • スピンアウトは「資本関係を解消して完全に独立する」手法

それぞれ詳しく見ていきましょう。

スピンオフは「親会社との資本関係を維持する」独立手法

スピンオフは、親会社が新会社の株式を一定比率保有し続ける形で事業を独立させる手法です。新会社はグループ会社に位置づけられ、親会社のブランドや顧客基盤、信用力を活用しながら経営を進められます。

大企業が事業ポートフォリオを再編する際や、子会社を上場させる場面で多く採用されるスキームです。

起業家にとって、この「資本関係が残る」点が重要な分岐点になります。親会社が株主に留まる限り、意思決定に意向が反映されやすく、スタートアップ特有のスピード感ある経営判断が難しくなる場面も出てくるでしょう。外部VCから見ても、親会社の高い出資比率はガバナンス上の懸念材料となります。

経営の自由度や独自の資金調達を重視する起業家にとっては、スピンオフよりもカーブアウトやスピンアウトが現実的な方法です。

スピンアウトは「資本関係を解消して完全に独立する」手法

スピンアウトは、親会社との資本関係を完全に解消し、社員が事業を引き継いで独立起業する手法です。グループの傘から完全に離れるため、経営の自由度は最も高くなります。

意思決定にグループの承認フローは不要であり、事業の方向転換やピボットも経営者の判断で即座に実行できる点が大きな魅力でしょう。

反面、親会社との関係が切れることで生じる実務上のハードルも大きな課題となります。

  • 資金面:親会社の出資がなくなり、独立前に自力で調達先を確保する必要がある
  • 顧客・販路:親会社のブランドや契約は引き継げず、信用をゼロから構築する必要がある
  • 管理機能:経理・人事など、親会社が担っていたバックオフィス機能を自前で立ち上げる負担が生じる

起業家にとって身近な独立形態ですが、すべてを自力で賄う覚悟が必要です。親会社の支援を一定程度受けながら独立できるカーブアウトは、現実的な中間策として検討に値するでしょう。

企業がカーブアウトを実施する2つの手法

企業がカーブアウトを実施する2つの手法

カーブアウトを実施する際の法的スキームは、「会社分割」と「事業譲渡」の2つに大きく分けられます。両者は、資産や契約、権利義務を包括的に引き継ぐか、それとも個別に選択して引き継ぐかという点が大きな違いです。そのため、事業の規模や引き継ぐ資産・契約の内容に応じて適した手法を選ぶことが重要です。

ここでは、次の2つのスキームについて解説します。

  1. 会社分割|資産・契約を包括的に引き継ぐ
  2. 事業譲渡|資産・契約を個別に引き継ぐ

自社に適した手法を判断する際の参考にしましょう。

1. 会社分割|資産・契約を包括的に引き継ぐ

会社分割は、対象事業に紐づく資産や負債、契約などを包括的に新会社へ一括承継できる法的スキームです。

大きな特徴は、一定の手続きを経ることで、契約や権利義務を包括的に承継できる点にあります。事業譲渡では契約ごとに相手方の承諾が必要となるケースが多い一方、会社分割では個別の承諾を要しない契約も多いため、契約関係が複雑な事業でも手続きを効率的に進めやすくなります。取引先や契約数が多い事業では、この違いがスケジュールや業務負荷に大きく影響します。

また、承継する資産や負債、契約は分割計画書(または分割契約書)で明確に定めるため、承継範囲を整理しやすい点もメリットです。

一方で、債権者保護手続きなど会社法上の手続きは必要となります。そのため、事業規模が大きく契約関係が複雑なケースでは、会社分割と事業譲渡の特徴を比較し、自社に適したスキームを選択することが重要です。

2. 事業譲渡|資産・契約を個別に引き継ぐ

事業譲渡は、事業に必要な資産や契約、権利義務などを個別に選択して新会社へ移転する手法です。会社分割のような包括承継ではないため、引き継ぐ対象を柔軟に決められる点が特徴です。

大きなメリットは、不要な資産や負債、将来的なリスクを切り離しやすいことです。承継する資産や契約を個別に選択できるため、必要な事業だけを引き継ぎたい場合や、リスクを限定したい場合に適しています。

一方で、事業譲渡では取引先との契約や許認可などについて、個別の手続きや承諾が必要となるケースが多くあります。契約件数が多いほど交渉や手続きに時間を要するため、十分なスケジュールを確保することが重要です。会社分割が包括承継による手続きの効率性を重視する手法であるのに対し、事業譲渡は承継対象を柔軟に選択できる点に強みがあります。

そのため、特定の技術や知的財産、顧客基盤など、必要な事業資産だけを切り出したい場合には、事業譲渡が適しています。引き継ぐ範囲をコントロールしやすく、不要な資産やリスクを切り離せることから、自社の目的に応じた事業再編を進めやすい点がメリットです。

起業家がカーブアウトで起業する3つのメリット

起業家がカーブアウトで起業する3つのメリット

カーブアウト起業は、親会社が培ってきた技術や人材、事業基盤を活用しながら新会社として独立するため、ゼロから起業する場合と比べて事業を軌道に乗せやすい点が特徴です。

主なメリットは以下の3つです。

  1. 親会社の技術・人材・信用を引き継いで早く立ち上げられる
  2. VCや補助金など外部資金を調達しやすくなる
  3. 起業家として裁量と成長機会を得られる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 親会社の技術・人材・信用を引き継いで早く立ち上げられる

ゼロからの起業では、技術開発や顧客開拓、人材採用を同時に進めなければなりません。カーブアウト起業なら、親会社が築いた経営資源を引き継ぎ、立ち上げの流れを大幅に短縮できます。

引き継げる資産と現場での効果を確認しましょう。

  • 技術・ノウハウ:製造の流れが確立済みのため、開発期間を圧縮して早期に市場投入できる
  • 顧客基盤・取引先信用:既存の販路や仕入先が残り、ゼロからの営業開拓が不要になる
  • 従業員のスキル:事業を熟知した人材が移籍し、採用や教育のコストを抑えて即戦力組織を構築できる

ソニーのPC事業(現VAIO)では、約300名の社員と技術資産を承継し、独立から2年で黒字化を達成しています。ゼロ起業なら数年かかる収益化を短期間で実現した好例です。

独立直後の経営リスクを下げる仕組みとしてTSA(移行サービス契約)も適しています。親会社が経理や人事などのバックオフィス機能を一定期間継続提供する取り決めです。体制が整うまでのつなぎとして機能し、事業運営に集中できる環境を維持できます。

2. VCや補助金など外部資金を調達しやすくなる

親会社の一事業部門のままでは、VCやエンジェル投資家からの出資を受けることは構造的に困難です。独立法人として切り出すことで、第三者投資家が参加しやすい株主構成が生まれ、IPOやM&Aを見据えた資本政策を設計できます。

VCが投資判断で重視するのは、起業家がフルコミットできる体制と、親会社の過度な制約がないガバナンス設計です。こうした条件は、事業部門の立場では整えにくいものです。

資金調達の手段は出資だけではありません。独立法人のステータスを得ることで、スタートアップ向け補助金や公的融資制度の申請対象にもなります。成長ステージに応じて出資や融資、補助金を組み合わせれば、資金繰りの安定と事業拡大を両立しやすくなるでしょう。

どの資金源をいつ、どんな条件で組み合わせるかは、資本政策全体の設計と密接に関わります。判断を誤ると将来の調達余地を狭めるため、早い段階で専門家と全体像を整理しておきましょう。

▶関連記事 資本政策の作り方|スタートアップの実務手順と失敗例

▶関連記事 スタートアップの資金調達方法は?創業期〜シリーズAまで各手法のメリット・デメリットを解説

3. 起業家として裁量と成長機会を得られる

親会社の事業部門として事業を運営する場合、価格設定や予算配分、新規投資などは社内の承認手続きを経る必要があり、市場環境の変化に迅速に対応しにくいケースがあります。

一方、カーブアウトによって独立法人となれば、経営判断を自社で行えるため、営業戦略の見直しや新規投資、採用方針の決定などをスピーディに進められます。意思決定の迅速化は、市場参入のタイミングや人材獲得など、事業成長において大きな強みとなります。

また、独立法人では経営陣や従業員向けに株式やストックオプションを活用したインセンティブ制度を設計しやすくなります。事業の成長が企業価値や報酬に反映されやすいため、経営陣だけでなく初期メンバーのモチベーション向上にもつながるでしょう。

このように、カーブアウトは親会社の支援を受けながらも経営の自由度を高められるため、迅速な意思決定と成長機会の拡大を両立しやすい点がメリットです。

カーブアウト起業の検討時に押さえておきたい注意点

カーブアウト起業の検討時に押さえておきたい注意点

カーブアウト起業はメリットが多い反面、事前に把握しておかないと計画が頓挫しかねない実務上の課題も存在します。出資比率の設計ミスや許認可の承継漏れは、資金調達や営業開始の遅延に直結します。

押さえるべき注意点は以下の2つです。

  • 親会社の出資比率が高いと外部からの資金調達が難しくなる
  • 許認可や取引契約の再取得が必要になる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

親会社の出資比率が高いと外部からの資金調達が難しくなる

親会社が大株主なら資金面は安心と考える方も多いでしょう。現実には、親会社の出資比率が高すぎることがVC調達の大きな障壁になります。

VCが懸念するのは、親会社が過半数を握ることで経営の意思決定が起業家主導にならない点です。承認フローが足かせとなり、スタートアップ特有のスピード感が失われると判断されます。

もう一つ見落としやすい要素が「スタンドアロンコスト」の影響です。これは経理や人事などの管理機能を独立後に自前で賄うコストを指す概念です。この費用が財務諸表上で過大に見積もられると、収益力が実態より低く評価され、投資判断にマイナスに働きます。

こうした影響を踏まえ、資本政策の調整は交渉の初期段階から設計に組み込んでおきましょう。切り出しの時点で、外部投資家が参加しやすい株主構成を整えておくことが大切です。

許認可や取引契約の再取得が必要になる

スキーム選択の違いは、許認可や取引契約の承継可否にも直結します。

会社分割では権利義務が包括的に移転する反面、許認可は業法ごとの個別規定が優先されるため、原則としてそのまま引き継ぐことは困難です。金融商品取引業や宅建業のように承継制度がないライセンスでは新規取得が必須です。建設業許可は事前認可による承継が可能になりましたが、許可業種の一部だけを選んで承継することはできません。

事業譲渡ではハードルが一段上がります。取引先との契約は個別に同意を得なければ移転できず、大口顧客ほど再交渉に時間を要します。交渉が長引けば営業開始時期がずれ込み、資金計画にも影響を及ぼすでしょう。

手続きの遅れを防ぐには、スキーム決定の段階で対象の許認可と主要契約をリストアップし、再取得にかかる期間やコストを見積もっておきましょう。法務面の準備は想像以上に時間を要するため、早い段階で専門家と連携して進めてください。

【実務手順】カーブアウトを活用して起業を進める方法

【実務手順】カーブアウトを活用して起業を進める方法

カーブアウト起業の実務は、母体企業との条件交渉から資金調達計画の策定まで、法務・税務の論点が各段階に絡みます。全体像を先に把握しておくと、専門家への相談タイミングも判断しやすくなります。

実務の流れは以下の3段階です。

  1. 母体企業とカーブアウトの条件を交渉する
  2. 資本政策と出資比率を設計する
  3. VCと補助金を組み合わせた資金調達計画を立てる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 母体企業とカーブアウトの条件を交渉する

母体企業との交渉で握るべき項目は、知財・人材・資本の3点セットで確認しましょう。全体像が見えないまま個別条件を話し始めると、後から合意が崩れるリスクがあります。

交渉前に、各項目で「譲歩しやすい条件」と「譲歩しにくい条件」を仕分けしておくことが大切です。例えば、知財の排他的ライセンスを売上の数%で提供し、軌道に乗った段階で譲渡へ切り替える方式は、母体企業側の抵抗感が比較的小さい傾向にあります。コア技術の特許を創業時に完全譲渡する提案は、社内承認のハードルが高く交渉が長期化しやすいでしょう。

人材面では、事業の中核を担うキーパーソンの参画や転籍について、早い段階で合意を得ることが重要です。特に、経理や法務、人事などの管理機能を担う人材が不足すると、独立後の事業運営に支障をきたす可能性があります。

資本面では、初期の出資額や引き継ぐ設備・資産の範囲を明確にしたうえで、資金調達計画を検討しましょう。また、親会社の持株比率によっては外部投資家が出資しにくくなる場合もあるため、将来的な資金調達も見据えて適切な資本構成を設計することが重要です。

優先順位を固めたうえで、合意書に知財の利用形態や転籍時期、出資比率の上限を明記しておくと後工程の手戻りを防げます。

2. 資本政策と出資比率を設計する

カーブアウト直後の持分構成は、一度確定すると後からの修正が困難です。「株は渡したら取り戻せない」という原則のもと、初期設計に十分な時間をかけてください。

設計の軸になるのは、母体企業・創業者・将来のVC出資枠という3層のバランスです。創業者チームはシード調達後も80%前後の持分維持が目安です。50%超を確保しておけば、取締役の選任など重要な意思決定権を創業者側に残せます。

特有の難しさとして、母体企業が技術や人材提供の見返りに大きな持分を求めるケースがあるでしょう。親会社の持分が過大になると、外部投資家が経営の自由度を懸念し、シリーズA以降の調達条件が悪化するリスクが高まります。

1回の調達で20%を超える希薄化は慎重に検討すべきであり、将来の調達ラウンドを見据えて、あらかじめ余裕を持った資本政策を設計することが大切です。母体企業との関係を維持しながら、外部投資家にとって魅力的なキャップテーブルを実現するには、高度な判断が求められます。資本政策に精通した専門家と早い段階で方針をすり合わせることが、理想的な持分構成を実現する近道となるでしょう。

▶関連記事 バリュエーションの計算方法|資金調達時の算出ポイント

3. VCと補助金を組み合わせた資金調達計画を立てる

補助金とVC出資は性質が異なるため、事業フェーズに応じた使い分けの設計が必要です。

シード期に検討したいのが補助金の先行活用です。出向起業補助金の一般枠は所属企業の資本比率20%未満で申請でき、試作や実証の外注費などを最大500万円(ハードウエア開発時は1,000万円)まで補助されます。株式の希薄化が起きない点は大きなメリットです。

反面、補助金には使途制限があり、人件費は対象外です。要件を満たさなくなった場合の返納リスクも見落とせない要素です。こうした制約を超えて事業を加速させるタイミングで、VC出資の段階的な導入を検討する流れが合理的でしょう。

カーブアウト起業では、母体企業の出資条件がVCの参加可否を左右します。親会社に過度な拒否権が残っていると外部投資家が入りにくくなるため、資本政策との整合が大切です。

初期からEXITまで見据えた全体設計により、調達の手段を広げられます。要件確認や交渉を一体で整理したい方は、専門家と早めに壁打ちしておきましょう。

資金調達の際、調達手法の選定や条件の検討など、様々な場面で専門的な知識が求められます。十分な知識がないまま進めると、自社に最適な調達条件や進め方を見極めるのが難しいこともあるでしょう。

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カーブアウトに関するよくある質問

カーブアウトに関するよくある質問

カーブアウトの検討段階では、類似手法との違いや資金面の疑問が浮かびやすいものです。ここでは実務判断に直結する3つの疑問を取り上げます。

  • カーブアウトとMBOはどう違う?
  • カーブアウト起業に使える補助金はある?
  • カーブアウト後も親会社の支援は受けられる?

それぞれ確認していきましょう。

Q.カーブアウトとMBOはどう違う?

MBO(マネジメント・バイアウト)は、対象事業の経営陣が自ら買い手となって事業を取得するスキームです。

カーブアウトは親会社による「切り出し」を指すのに対し、MBOは「誰が買うか」に着目した概念です。買い手が経営陣ならMBOとなり、MBOはカーブアウトを実行する手法オプションの一つに位置づけられます。

経営陣が買い手となる場合、事業への深い理解が引き継がれるため継続性を担保しやすいメリットがあります。反面、個人の資金力には限界があり、SPC(特別目的会社)の設立や金融機関からのローンを組み合わせた調達設計が必要です。

親会社との関係維持や外部VCの活用方針に合わせ、資本政策全体の中で最適な手法を判断してください。

Q.カーブアウト起業に使える補助金はある?

一般社団法人 社会実装推進センターの「出向起業等創出補助金」は、カーブアウト起業を直接支援する数少ない公的制度です。

所属企業から在籍出向で新設会社へ移る起業家が対象となります。2024年度では、補助率は経費の1/2以内で、上限は通常500万円、ハードウエア開発を伴う場合は1,000万円でした※3。申請要件として所属企業の議決権比率が20%未満であることが条件です。試作や実証の外注費が対象であり、人件費は含まれない仕組みです。

審査では技術の独自性や事業計画に加え、知財の利用条件や出資比率など親会社との関係整理が重視されます。

要件確認や書類作成に手間がかかるため、早い段階で専門家に相談しましょう。

Q.カーブアウト後も親会社の支援は受けられる?

資本関係の有無は、独立後に親会社から受けられる支援の範囲や継続性に大きく影響します。

親会社が一定の出資比率を維持するスピンオフ型では、技術ライセンスの提供や人材の出向など、継続的な経営支援を受けやすい点が特徴です。親会社のブランドや信用も活用しやすいため、事業を安定して成長させやすい環境が期待できます。

一方、資本関係を解消するスピンアウト型では、親会社との関係は業務委託やライセンス契約などを中心とした契約ベースとなります。経営の自由度は高まりますが、契約内容によっては支援が終了する可能性も考慮する必要があります。

立ち上げ直後に親会社の経営資源を活用したい場合は、資本関係を維持する方法が適しているケースがあります。一方で、将来的にVCなどから大規模な資金調達を予定している場合は、親会社の出資比率も踏まえた資本構成を検討することが重要です。事業計画に応じた資本政策を実現するためにも、早い段階で専門家へ相談するとよいでしょう。

まとめ

まとめ

カーブアウトは、親会社の経営資源を活用しながら事業を独立させる有力な手法です。一方で、会社分割と事業譲渡にはそれぞれ異なる特徴があり、出資比率の設計や許認可の承継など、検討すべき実務上の論点も少なくありません。

構想段階から専門家の視点を取り入れることで、自社に適したスキームを選択しやすくなります。何から着手すればよいか迷っている場合や、自社に合ったプランを具体化したい場合は、専門家に相談しながら進めましょう。

資金調達は、早い段階でプロに相談するほど選択肢が広がります。自社の状況を客観的に整理でき、タイミングを逃さず最適な手法を選びやすくなります。

資金調達の窓口では、融資・補助金・エクイティの中から御社のステージに合った手法の相談などを無料で対応。事業計画書がない段階からでもご利用いただけますので、まずはお気軽にご相談ください。

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スタートアップ投資TVの解説動画も参考にしてください。

参考文献

※1 総務省「2025年(令和7年)科学技術研究調査結果の概要
※2 経済産業省「事業会社からのスタートアップ創出を促すための「起業家主導型カーブアウト実践のガイダンス」を取りまとめました
※3 一般社団法人 社会実装推進センター「【令和6年度】出向起業補助金 公募要領


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