創業を考えていても、資金調達の方法や進め方がわからず立ち止まる方は少なくありません。資金調達ができず、事業を立ち上げられない不安に駆られるのも自然なことです。
実際には、日本政策金融公庫の創業融資や自治体の制度融資などを活用すれば、自己資金が限られていても開業資金を確保できます。
本記事では、創業期に活用できる資金調達方法の種類をテーマに、融資と出資の違いやステージ別の資金調達の進め方、よくある失敗と回避策まで詳しく解説します。

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資金調達とは

資金調達とは、事業に必要な資金を確保することです。開業資金・設備投資・運転資金など、事業の成長段階ごとに必要な資金が異なります。自己資金・融資・出資・補助金など複数の手段を組み合わせて資金を確保するのが一般的です。
融資(デット)と出資(エクイティ)の違い
資金調達を検討するうえで、押さえておきたいのが「融資(デット)」と「出資(エクイティ)」の違いです。どちらも事業資金を確保する手段ですが、資本コストや返済義務、経営権への影響などが異なります。
選択を誤ると、資金繰りだけでなく将来の意思決定や事業成長にも影響が及ぶため、仕組みと特徴を理解することが大切です。ここでは、融資と出資のメリット・デメリットや創業期における使い分け方などを解説します。
融資(デット)は資本コストが低く経営権を守れる
融資は、金融機関からお金を借り入れ、元本と利息を返済していく資金調達方法です。出資(エクイティ)では、資金調達の対価として株式を発行するため、既存株主の持分比率が下がる「希薄化(ダイリューション)」が発生します。これは、資金調達のたびに自身の経営に対する影響力が低下することを意味します。
一方、融資では株式を発行しないため、経営権が希薄化しません。
コスト面でも融資には優位性があります。日本政策金融公庫の創業融資であれば金利は年2〜5%程度で、支払利息は法人税法上の損金に算入できます。
出資の場合、投資家が期待するリターンは年20〜30%以上に及ぶことも珍しくありません。数字だけを比べれば、融資の資本コストが圧倒的に低いことは明らかです。
出資(エクイティ)は返済不要だが株式希薄化が起きる
出資(エクイティ)は、投資家に株式を発行して資金を得る方法です。融資と異なり返済義務がなく、調達した資金は自己資本に組み込まれます。月々の返済負担がない分、プロダクト開発や採用などに資金を多く振り分けることができます。
一方で、株式の希薄化に注意が必要です。たとえば、プレマネーバリュエーション1億円の企業が1億円を調達した場合、創業者の持分比率は100%から50%まで低下します。結果、経営における意思決定に株主の同意が必要になります。
シード期に持ち株比率を下げすぎると、シリーズA以降の追加調達によって希薄化が進み、創業者の議決権が3分の1を下回る可能性もあります。
「返済不要」という点だけで出資を選択するのではなく、どの程度の持分を、どの評価額で手放すのかを冷静に判断しましょう。
エクイティファイナンスの種類や株式発行時に注意すべき点については以下の動画でも解説しています。
創業期は融資(デット)を先に確保するのがセオリー
創業期の資金調達では、まず融資(デット)で運転資金を確保し、その後に出資(エクイティ)を検討するのが合理的です。
日本政策金融公庫の創業融資は売上実績がなくても事業計画ベースで審査を受けられます。令和7年度上半期の創業融資実績は15,926先・904億円と先数・金額ともに増加しています。実績がなくとも活用できる数少ない資金調達手段であるため、早期に検討・準備を進めましょう。
さらに重要なのが、デットを先に確保することで、その後のエクイティ調達における交渉力が高まる点です。融資によって一定の運転資金を確保しておけば、「直ちに出資を受けなければ事業が立ち行かない」という状況を回避でき、バリュエーションや出資条件について主導権を持って交渉でき、株式の希薄化を抑えやすくなります。
創業期に使える資金調達方法の種類
創業期に活用できる主な資金調達方法は、下記の5つです。
- 日本政策金融公庫の創業融資
- 自治体の制度融資
- エンジェル投資家からの出資
- 補助金
- クラウドファンディング
それぞれ、調達可能額や審査の難易度、返済の有無といった条件が異なるため、自社の状況に応じて適切な手段を選択することが重要です。
以下では、各資金調達方法の特徴と利用条件を解説します。
日本政策金融公庫の創業融資
日本政策金融公庫の創業融資は、売上実績がない段階でも申し込める数少ない公的融資制度です。
制度上の融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)とされていますが、実際の開業時における調達額はこれよりも小規模になるケースが一般的です。2025年度の調査では、開業時の自己資金平均は279万円で、資金調達全体に占める割合は約22.9%にとどまっています。こうした実態を踏まえると、数百万円から1,000万円台の融資が現実的な目安といえるでしょう。
自己資金要件は、2024年4月の制度改正により形式上は撤廃されています。ただし、審査では自己資金の額やその蓄積過程が「事業への本気度」を測る判断材料とされている点に変わりはありません。目安として、総資金の3割程度を自己資金で用意しておくと、審査通過の可能性が高まります。
必要書類は借入申込書・創業計画書・本人確認書類などです。審査では以下の点が重視されます。
- 事業の目的や内容が明確で、収支計画に合理的な根拠があること
- 将来性や返済能力が具体的な数値で示されていること
- 自己資金の形成過程から計画性が読み取れること
なかでも創業計画書の完成度は審査結果に大きく影響します。
自治体の制度融資
日本政策金融公庫とあわせて検討したいのが、各自治体が独自に設けている制度融資です。
制度融資は、自治体・金融機関・信用保証協会の連携のもとで提供されています。信用保証協会が保証人となることで、実績の少ない創業者でも民間金融機関から資金調達しやすい点が特徴です。
保証の対価として保証料が発生しますが、多くの自治体ではその一部または全額を補助しています。
たとえば東京都の創業融資では、限度額3,500万円、金利は1%台後半から設定されており、保証料補助を加味すると実質的な負担が公庫融資を下回るケースもあります。
全国的にも、金利1.5〜3%程度に保証料補助を組み合わせた制度が広く整備されています。
さらに、女性・若者・シニアなどの属性に応じて金利優遇を設けている自治体も多く、条件に該当すればより有利な条件で借入れできる可能性があります。
制度内容は自治体ごとに異なるため、「○○市(区) 創業融資」などで情報を確認し、利用できる制度を把握しましょう。
エンジェル投資家
エンジェル投資家は、創業初期のスタートアップに個人資産から出資する個人投資家です。銀行融資が難しいシード期でも、事業の将来性を評価して数百万〜数千万円規模の資金を提供してくれる可能性があります。
エンジェル投資家との接点づくりに悩む方も少なくありませんが、出会いの機会は複数あります。主な方法は以下のとおりです。
- ピッチイベント・デモデイ:Techstars Tokyoなどのアクセラレーターが主催し、投資家に向けて直接プレゼンできる場
- 株式投資型クラウドファンディング(ECF):FUNDINNOなどのプラットフォームを通じて、個人投資家から少額出資を募る仕組み
- 起業家・投資家マッチングイベント:JAPAN INNOVATION WEEKのように、投資家と直接対話できる機会
- アクセラレータープログラム:採択されるとメンター支援を受けられ、最終的なデモデイで資金調達につながる可能性がある
近年は、ECFの発行上限額が1億円から5億円へ引き上げられるなど制度面も整備されており、以前より活用しやすくなりました。
出資を受けるためには、ピッチ資料と事業計画書の準備が必要です。ピッチ資料には事業概要・市場分析・チーム紹介・財務計画を盛り込み、事業計画書では将来の成長シナリオを数値で示しましょう。
エンジェル投資家の投資判断の基準や出資後の関わり方については、以下の動画でも詳しく解説しています。
詳しくはこちらの記事も合わせてご覧ください。
補助金
補助金の魅力は、返済義務がないことです。たとえば小規模事業者持続化補助金(創業型)では、補助率2/3・上限200万円の支援を受けることが可能です。
ただし、設備投資や各種経費は一度自己資金で支払い、事業完了後に実績報告と審査を経て、はじめて補助金が交付されます。申請から入金まで半年以上かかるケースも珍しくありません。
採択される保証がないうえ、採択された場合でも入金までの期間は自己資金や他の資金で事業を継続する必要があります。このタイムラグが資金繰りを圧迫し、黒字倒産につながることもあります。
創業期に補助金を活用する場合は、日本政策金融公庫の融資や制度融資と組み合わせて資金計画を立てることが重要です。
小規模事業者持続化補助金の特徴や活用メリットについては、以下の動画でも詳しく解説しています。
クラウドファンディング
クラウドファンディングには、購入型・株式投資型・融資型の3つのタイプがあり、それぞれ資金の性質やリスクが大きく異なります。
| タイプ | 性質 | 特徴 |
|---|---|---|
| 購入型(Makuake等) | 事前販売 | 手数料約20%、市場検証と資金調達を同時に実現できる |
| 株式投資型 | エクイティ | 年間上限5億円に引き上げ、個人投資家の上限も緩和傾向 |
| 融資型 | デット | 返済義務あり、デットファイナンスの一種 |
購入型はMakuakeなどのプラットフォームを通じた「商品・サービスの事前販売」です。経営権への影響はありませんが、手数料が調達額の20%前後かかるため、1,000万円を集めても手元に残るのは約800万円という点は押さえておきましょう。
株式投資型は、非上場株式を投資家に発行して資金を集める方法です。2025年の制度改正で発行総額の上限が1億円から5億円に引き上げられ、個人投資家の年間投資枠も拡大されました。ただし、株式を発行する以上、経営権の希薄化は避けられません。
融資型は投資家から集めた資金を企業に貸し付ける仕組みで、返済義務があります。名称が「クラウドファンディング」でも実態は借入れのため、銀行融資と同様のリスク管理が必要です。
類型ごとの手数料・返済義務・経営権への影響を把握したうえで検討しましょう。
FUNDINNOをはじめとする株式投資型クラウドファンディングの仕組みや特徴については以下の動画でも解説しています。
資金調達方法を選ぶときに確認すべきこと
資金調達の種類を把握したら、次は自社に合った方法を選ぶ判断基準を持つことが重要です。
ここでは、返済義務の有無・経営への関与度・調達完了までの期間という3つの観点から、資金調達方法の選び方を解説します。
返済が必要かどうかを確認する
資金調達方法を検討する際、最初に確認すべきは返済義務の有無です。返済義務のある融資を選べば毎月の返済がキャッシュフローに乗り続け、返済不要の出資を選べば経営権の一部を渡すことになります。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
| 調達手法 | 返済義務 | 経営権への影響 |
|---|---|---|
| デット(融資) | あり | 維持できる |
| エクイティ(出資) | なし | 株式の希薄化が発生 |
| 補助金・助成金 | なし | 影響なし(ただし後払い) |
融資は毎月の返済が発生する代わりに、経営権を100%維持できます。毎月のキャッシュフローに返済を組み込めるかどうかが、融資を選べるかの分岐点になるでしょう。
出資(エクイティ)は返済不要ですが、株式の一部を投資家に渡すことになります。株式の希薄化によって、経営に影響がおよぶ可能性があります。
補助金・助成金も返済不要ですが、全額後払いです。経費は先に自己資金で立て替え、事業完了後の審査を経てようやく入金されます。申請から支給まで半年以上かかるケースも珍しくなく、手元資金が薄い創業期には資金繰りを圧迫するリスクがあります。
見るべきは、月次キャッシュフローが黒字化するまでの期間です。損益分岐点までの月数と毎月の返済額を確認すると、自社がどの手段を選べるのかを判断しやすくなります。
経営への関与をどこまで許容するかを決める
エンジェル投資家やVCからの出資は、資金調達と同時に経営への関与が伴う点を理解しておく必要があります。
融資の場合、返済負担はあるものの、経営の意思決定は創業者が主体的に行えます。一方、出資では投資家が株式を一定以上の比率を持つことになると、事業戦略や採用方針、追加資金調達のタイミングなどの経営判断に対して意見される可能性があります。
経営方針の不一致が生じた場合、事業の進行に影響を及ぼすだけでなく、創業者自身の意思決定の自由度やモチベーションにも影響する点に注意が必要です。
こうしたリスクを回避するために、出資を受ける前に、投資家との価値観や事業の成長シナリオについて十分にすり合わせを行うことが重要です。
エンジェル投資家からの出資が向いている起業家の特徴についてはこちらの動画でも解説しています。
詳しくはこちらの記事も合わせてご覧ください。
資金調達にかかる期間を把握する
資金調達の手段ごとに、申込みから資金が手元に届くまでの期間が異なります。
| 調達手段 | 目安期間 | 備考 |
|---|---|---|
| 公庫融資 | 1〜2か月 | 申込〜着金まで |
| 補助金 | 半年以上 | 申請〜入金まで9段階の手続き |
| 出資 | 数ヶ月 | デューデリジェンス・条件交渉を含む |
日本政策金融公庫の創業融資は、申込みから面談・審査を経て着金まで概ね1〜1.5ヶ月が目安です。書類準備に2〜3週間かかることも多いため、少なくとも2ヶ月前から動き始めるとよいでしょう。
補助金・助成金は公募開始から採択結果の公表まで1.5〜3ヶ月かかり、さらに事業実施・報告・検査を経て入金されます。入金まで半年以上を要するケースが一般的です。
VC・エンジェル投資家からのエクイティ調達も、デューデリジェンスや条件交渉で数ヶ月を要します。資金が必要な時期の6〜9ヶ月前には準備を始めてください。
短期の資金需要には融資、中長期の成長投資には補助金や出資といった組み合わせが現実的です。

資金調達の際、調達手法の選定や条件の検討など、様々な場面で専門的な知識が求められます。十分な知識がないまま進めると、自社に最適な調達条件や進め方を見極めるのが難しいこともあるでしょう。
Gazelle Capitalが運営する「資金調達の窓口」は、年間1,000社以上の面談実績を持つ、あらゆる調達手法をサポートするサービスです。調達手法の選定などご相談いただけますので、ぜひご活用ください。
ステージ別に見る資金調達の進め方

事業のステージによって最適な資金調達方法が異なります。
本章では、創業前とシード期、PMF後に分けて資金調達の進め方を解説します。
創業前は自己資金と公庫融資の準備を優先する
創業前の段階では、自己資金の確保と日本政策金融公庫の融資準備を最優先で進めることが重要です。
開業資金の中央値は600万円とされています。30%程度にあたる170〜200万円前後の自己資金を用意しておくと、融資審査で有利に働きます。2024年3月の制度改正により形式上の自己資金要件は撤廃されましたが、実務上は自己資金の額や蓄積過程が「事業への本気度」を示す指標として重視される傾向に変わりはありません。
日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、融資限度額7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、原則として担保と保証人は不要です。
申込時には、創業計画書や借入申込書、設備資金の見積書などが必要です。
自己資金を軸にした起業の考え方についてはこちらの動画でも紹介しています。
シード期はエクイティ調達の検討を始める
プロダクトの初期検証が進み、事業の方向性が見え始めるシード期は、エクイティ調達を本格的に検討するタイミングです。
国内ではシード・アーリー段階におけるVC投資も活発で、1回あたり数千万円から数億円規模の出資が行われています。返済義務がないため、調達資金をプロダクト開発や採用に集中できる点がメリットです。
エンジェル投資家からの出資は、数百万円から数千万円規模が中心で、VCに比べて意思決定が早い傾向があります。一方で、投資判断が個人の価値観に左右されやすいという特徴もあります。
加えて、近年注目されているベンチャーデットと呼ばれる新株予約権付の融資では、株式の希薄化を抑えながら資金を確保できます。
投資家からの信頼を得るためには、初期ユーザーの獲得実績やチーム構成の妥当性、数値に基づいたピッチデックの整備が必要です。
シード期にエンジェル投資家とつながる方法についてはこちらの動画でも紹介しています。
詳しくはこちらの記事も合わせてご覧ください。
PMF後は銀行融資とVCラウンドの併用を検討する
PMF達成後は、売上や顧客データといった事業実績が蓄積されるため、銀行のプロパー融資とVCラウンドの併用も実現できる可能性があります。
銀行融資は資本コストが低く、株式の希薄化が生じない点がメリットです。借入実績を半年〜1年程度積み重ねることで、信用保証協会付き融資からプロパー融資へ移行できる可能性が高まり、金利の交渉の余地も広がります。
一方、返済負担がキャッシュフローに影響を与えるため、月次試算表をベースにした財務管理と、銀行格付を意識した運営が欠かせません。
シリーズA以降のVC・CVCからの出資は数億円規模に達することも多く、資金供給に加えて事業開発や採用面でのハンズオン支援を受けられるケースも増えています。
パートナー選定においては、単なる資金提供にとどまらず、事業シナジーを共に創出できるかという観点が重要です。
バリュエーション設計や株式の希薄化管理、ガバナンス条項の調整など、検討すべき要素が増加します。財務や法務の専門家のサポートを受けることで、経営の自由度を維持しながら最適な資本構成を設計しやすくなるでしょう。
ベンチャーデットを含む融資調達手法の最新トレンドについてはこちらの動画でも詳しく解説しています。
創業期の資金調達でよくある失敗&回避策
資金調達の手段や進め方を理解していても、実行段階で思わぬ落とし穴にはまるケースは少なくありません。本章では、創業期に特に起こりやすい失敗パターンと、その回避策を解説します。
自己資金比率が低すぎて融資審査に落ちる
金融機関が自己資金比率を重視するのは、「この人は本気で事業に取り組むのか」を数字で判断しているためです。開業資金総額に対して自己資金20〜30%が1つの目安とされています。
自己資金と融資額の関係の一例は以下のとおりです。
| 自己資金 | 融資上限目安 | 合計 |
|---|---|---|
| 50万円 | 450万円程度 | 約500万円 |
自己資金を増やして審査基準を満たす
自己資金は、融資希望額の20〜30%程度を目安に準備しておくことが重要です。通帳の入出金履歴によって資金の蓄積過程が確認されるため、直前に借入で用意するのではなく、半年〜1年以上かけて計画的に積み上げましょう。
また、開業費や設備投資の内訳を見直し、融資希望額を抑えることで、結果として自己資金比率を高める方法も効果的です。
自己資金比率が低い場合、仮に融資を受けられたとしても、高い金利や創業者の個人保証、担保の提供を求められる可能性があります。
補助金の入金タイムラグで資金ショートする
補助金は後払いであるため、採択された場合でも、対象となる設備投資や経費は一度すべて自己資金で支払う必要があります。たとえば、2,000万円の設備投資に対して補助率2/3(約1,333万円)が採択された場合でも、2,000万円を一時的に自己負担しなければなりません。この期間に運転資金が不足すると、売上が発生していても資金繰りが行き詰まり、黒字倒産に陥るリスクが生じます。
補助金前提の資金計画を作らない
補助金を前提にした資金計画は避け、実行に必要な資金はあらかじめ自己資金や融資で確保しておくことが重要です。補助金はあくまで「後から戻ってくる資金」として位置づけましょう。
キャッシュフローの空白期間に備えるためには、以下の対策が効果的です。
- 補助金入金までの運転資金を事前に見積もる
- つなぎ融資や信用保証付き融資の活用を検討する
融資と補助金を組み合わせて資金繰りを設計することで、事業の継続性を高めることができます。
融資と補助金を併用した資金繰りの考え方については、以下の動画でも詳しく解説しています。
親族借入の見せ金で法的リスクを負う
親族から一時的に借りたお金を自己資金に見せかける行為は、「見せ金」と呼ばれる違法行為です。公正証書原本不実記載等罪に問われる可能性があるため、絶対に避けてください。
親族や知人からの借入で自己資金を補う場合は、金銭消費貸借契約書を作成し、返済期日や利率を明確にしておく必要があります。適切に対応しないと、みなし贈与として課税対象になります。
親族借入は正式な契約として処理する
親族から資金を借りる場合は、金銭消費貸借契約書を作成し、正式な借入として扱うことが重要です。契約書には以下の項目を明記しましょう。
- 資金使途
- 借入金額
- 弁済期
- 利率および利息支払方法
さらに、毎月の返済スケジュールを設定し、実際に通帳へ振込履歴を残すことで、税務上も適切な借入であることを証明できます。
自社に合わない資金調達方法を選ぶ
創業期に多い失敗は、「実績がない段階でエクイティ調達を前提にする」「補助金に依存して資金繰りが崩れる」「融資と補助金のスケジュールが噛み合わず両方うまくいかない」といったケースです。いずれも、審査基準や入金タイミング、経営への影響を十分に比較しないまま進めてしまうことが原因です。
資金調達手段ごとに、「誰が」「どのような基準で」「いつ資金を出すのか」は異なります。この違いを理解せずに並行して進めると、優先順位が定まらず、結果として調達機会を逃すおそれがあります。
専門家の力を借りる
融資・補助金・エクイティを併用して検討する段階では、それぞれの審査基準や必要書類、スケジュールを踏まえたスケジュール設計が必要です。
優先順位の整理や最適な組み合わせについては、専門家の知見を活用しましょう。
「資金調達の窓口」では投融資の紹介・補助金申請の支援を無料で相談できるため、自社の状況を共有するところから始めてみましょう。
まとめ
本記事では、創業期に活用できる資金調達方法の種類から、融資と出資の違い、選び方のポイント、ステージ別の進め方、よくある失敗と回避策まで解説しました。自社の事業フェーズや経営方針に合った手段を見極めることが、資金調達成功につながります。迷いを感じたら、早めに専門家へ相談してみましょう。

資金調達は、早い段階でプロに相談するほど選択肢が広がります。自社の状況を客観的に整理でき、タイミングを逃さず最適な手法を選びやすくなります。
資金調達の窓口では、融資・補助金・エクイティの中から御社のステージに合った手法の相談などを無料で対応。事業計画書がない段階からでもご利用いただけますので、まずはお気軽にご相談ください。
参考文献
※1 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
※2 日本政策金融公庫「令和7年度上半期 創業融資実績15,926先 904億円 〜創業融資実績の先数、金額がともに増加〜」
※3 日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」
※4 東京信用保証協会「都創業融資(略称:創業)」
※5 日本証券業協会「「株式投資型クラウドファンディング業務に関する規則」の一部改正案に関するパブリックコメントの募集について」
※6 e-GOV法令検索「刑法第157条 公正証書原本不実記載等」
※7 国税庁「No.4420 親から金銭を借りた場合」
※8 さいたま市「金銭消費貸借契約書」
