エクイティとデットのどちらで調達すべきか、迷っていませんか。
株式の希薄化をどこまで許容するかは、判断に悩みやすいポイントです。返済義務を負うリスクと、経営権に影響が出るリスクのどちらを優先するかは、事業の状況によって変わります。
資金調達は会社の将来に直結する重要な意思決定です。両者の違いは、「返済義務の有無」と「経営権への影響」にあります。
本記事では、エクイティとデットの違いを整理し、成長段階ごとの選び方や、調達前に押さえておきたい準備まで解説します。

「自社のフェーズに合った調達方法がわからない」「融資と出資、どちらから進めるべきか判断できない」
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エクイティとデットの違いは「返済義務」と「経営権」の2点
エクイティとデットの違いは「返済義務の有無」と「経営権への影響」の2点です。返済義務がない代わりに持分を手放すのがエクイティ、持分を維持する代わりに返済義務を負うのがデットという、トレードオフの関係にあります。
それぞれの定義と特徴は以下のとおりです。
- エクイティは「株式と引き換えに調達する返済不要の自己資本」
- デットは「利息を付けて返済する他人資本」
両者の違いを理解し、自社に合った調達手法を選びましょう。
エクイティは「株式と引き換えに調達する返済不要の自己資本」
調達した資金は貸借対照表(B/S)の純資産に計上され、借入のような返済義務はありません。
投資家は利息ではなく、株式価値の上昇によってリターンを得ます。
一方で、新株発行により既存株主の持分比率は下がります。議決権を通じて、経営への発言権の一部を投資家に渡すことになる点には注意が必要です。
返済がないというメリットだけで判断せず、持分の変化と経営への影響も踏まえて検討することが重要です。
▶関連記事 エンジェル投資家とのトラブル回避術|契約前に知るべき注意点と信頼できる投資家の見分け方 | スタートアップ投資TV ライブラリ
デットは「利息を付けて返済する他人資本」
デットファイナンスは、金融機関や投資家から資金を借り入れ、元本と利息を返済する調達手法です。
貸借対照表(B/S)では負債として計上され、将来的に必ず返済が必要になる点がエクイティとの違いです。
代表的な手段には、銀行融資、社債発行などがあります。いずれも、利息を含めて返済する前提で資金を受け取る仕組みです。
主な調達手段は次の3つです。
| 調達手段 | 特徴 |
|---|---|
| 銀行融資 | 返済期間・金利が契約時に決まる一般的な借入手段 |
| 日本公庫 | 創業期や中小企業向けに低金利で利用できる |
| 社債(コマーシャルペーパー含む) | 企業が債券を発行して資金を集める方法 |
いずれの手段でも、返済義務と利息負担は避けられません。資金繰りに一定の制約が生まれる点は、経営上の前提として押さえておく必要があります。
一方で、債権者は原則として経営判断に関与しません。株式を発行しないため持分の希薄化も起こらず、経営権は維持されます。
返済負担を引き受ける代わりに、経営の自由を保てる点がデットファイナンスの特徴です。
エクイティ、デットのB/S(貸借対照表)上の位置づけ

同じ1,000万円を調達した場合でも、貸借対照表(B/S)での扱いは異なります。デットであれば負債が増え、エクイティであれば純資産が増えます。
この違いは単なる会計上の区分ではなく、「自己資本比率」に直接影響します。自己資本比率は総資産に対する純資産の割合を示し、財務の安定性を判断する基本指標です。
エクイティで調達すれば自己資本比率は上がり、財務の安定性は高く見えます。一方、デットで調達すれば負債が増えるため、比率は下がりやすくなります。
例えば、総資産2,000万円・純資産1,000万円の企業が1,000万円を調達した場合は次のとおりです。
| 調達方法 | 調達後の自己資本比率 | 変化 |
|---|---|---|
| デット | 約33% | 50%から低下 |
| エクイティ | 約67% | 50%から上昇 |
エクイティで調達すると自己資本が厚くなり、金融機関からの信用も高まりやすくなります。その結果、後のデット調達で有利に働くことがあります。
エクイティとデットはどちらか一方を選ぶものではなく、段階に応じて組み合わせるものです。
【比較表】エクイティとデットの違いを示す6項目
エクイティとデットの違いは、下記のとおりです。
| 比較項目 | エクイティ | デット |
|---|---|---|
| 返済義務 | なし(配当は任意) | あり(元本+利息) |
| 利息負担 | なし | あり(金利が発生) |
| 経営権への影響 | 議決権の希薄化リスクあり | 原則なし |
| 株式の希薄化 | 発生する | 発生しない |
| B/S上の区分 | 純資産(自己資本) | 負債(他人資本) |
| 調達コストの性質 | 将来の株式価値の分配 | 利息(損金算入で節税効果あり) |
どちらを選ぶべきかは、成長フェーズや資金の使い道によって異なります。
エクイティ、デットそれぞれのメリットと注意点

エクイティとデットは、それぞれメリットと注意点がセットになっています。どちらか一方だけが有利というわけではありません。
エクイティは返済が不要なため、資金をそのまま成長投資に回せます。一方で、新株発行により株式が希薄化し、経営への影響が生じます。
デットは株式を渡さずに資金を確保できるため、経営権を維持できます。ただし、元本と利息の返済が必要になり、キャッシュフローへの負担が発生します。
それぞれの特徴は、以下のとおりです。
- エクイティ|成長投資に振り向けられる一方、株式希薄化が伴う
- デット|経営権を維持できる一方、返済義務とキャッシュフロー負担が伴う
自社のフェーズや資金の使い道に応じて、どちらを優先するかを判断しましょう。
エクイティ|成長投資に振り向けられる一方、株式希薄化が伴う
エクイティの強みは、返済義務がない点です。赤字のフェーズでも返済に追われることがなく、調達資金をそのまま成長投資に回せます。
B/S上では純資産が増えるため、自己資本比率も改善します。結果として、銀行融資の審査で有利に働くこともあります。さらに、成長期待が評価に反映されれば、次のラウンドでより良い条件を引き出せる可能性もあります。
一方で、新株発行により既存株主の持分比率は下がります。
第三者割当増資やストックオプションの発行は、いずれも希薄化を伴います。スタートアップは調達を重ねるたびに、持分が徐々に薄まっていきます。
例えば、シリーズAで発行済株式の50%に相当する新株を発行すれば、創業者の持分は単純計算で半分になります。持分が下がれば、議決権の過半数を失うリスクも現実的になります。
また、VCが株主に入ると、月次の経営報告などが求められるケースが一般的です。透明性は高まる一方で、役員人事や大型投資に株主の同意が必要になるなど、意思決定の自由度に影響が出る場面も増えます。
どこまで許容するかは、フェーズによって変わります。シード期は資金確保を優先しやすい一方、シリーズB以降は持分の維持が重要になります。
デット|経営権を維持できる一方、返済義務とキャッシュフロー負担が伴う
デットのメリットは、株式を一切手放さずに資金を調達できる点です。経営権を100%維持したまま成長資金を確保でき、利息は損金算入されるため法人税の節減効果も得られます。
利息は損金として扱われるため、結果的に税負担が軽くなる「負債の節税効果」があります。その分、税引後の企業価値が高まりやすくなります。
また、返済実績を積み重ねることで金融機関との信用関係が構築されます。これにより、将来の融資で金利の引き下げや借入枠の拡大といった条件改善につながる可能性があります。
注意点は、シード期にデットを活用するハードルが高いことです。売上実績や担保が乏しい段階では、民間銀行の審査を通過するのは難しくなります。
例外として、公庫の創業融資は自己資金10%以上などの要件を満たせば担保不要で申請できます。信用保証協会の保証制度と組み合わせることで、シード期でも利用しやすくなります。
もう一つの注意点は、返済によるキャッシュフローへの影響です。赤字が続く中で元本と利息の返済が重なると、資金繰りは一気に厳しくなります。
さらに、融資契約には財務制限条項(コベナンツ)が設定されることがあります。これに抵触すると、期限の利益を失うリスクもあります。
こうした点を踏まえ、返済計画は余裕を持って設計することが重要です。
エクイティ?デット?スタートアップの判断基準と選び方

エクイティとデットのどちらを選ぶべきかは、事業フェーズと成長戦略によって明確に異なります。シード期・PMF達成後など、自社の現在地に応じた最適な組み合わせを把握することが、資金調達の成否を分ける判断材料です。
スタートアップが資金調達手法を選ぶ際の判断基準として、以下の3つを解説します。
- 自社がどちらに向くかを判断する3つの視点
- シード期はエクイティ+補助金の組み合わせが基本
- PMF(プロダクトマーケットフィット)達成後はデット併用で希薄化を回避
自社のフェーズに当てはめながら、最適な調達戦略を考えてみましょう。
自社がどちらに向くかを判断する3つのポイント
自社の適性を判断するには、事業モデル・成長志向・経営の優先度という3つの軸で考えるのが現実的です。
1. 事業モデル:赤字先行型か、安定収益型か
R&D投資を優先し、当面は赤字が続く見込みの事業であれば、返済負担のないエクイティが適しています。
一方で、すでに月次で黒字が出ている事業であれば、安定したキャッシュフローをもとに返済できるため、デットも現実的な選択肢になります。
2. 成長志向:市場シェア優先か、利益重視か
赤字を掘ってでもシェアを取りたいフェーズでは、株式の希薄化コストを将来の企業価値向上で吸収しやすくなります。利益率を保ちながら着実に伸ばしたい場合は、持分を守れるデットの方が合理的でしょう。
3. 経営の優先度:自由度か、資金規模か
株主の経営関与を避けたいなら、デットで自由度を確保する方が向いています。大きな成長資金を一度に確保し、プロダクト開発やマーケティングに集中したいならエクイティが有力な手段です。
判断が割れる場合や迷いが残る場合は、資金調達の専門家に相談するのが効率的です。
ビジネスモデルに応じた資金調達手法の選び方については以下の動画でも紹介しています。
▶関連記事 シリーズAとは?スタートアップの成長を加速させる資金調達の基本を解説
シード期はエクイティ+補助金の組み合わせが基本
シード期の企業は売上実績や担保資産が乏しく、銀行融資の審査を通過するのは現実的に困難です。VCやエンジェル投資家からのエクイティ調達が資金確保の中心になります。
ここで意識したいのが、返済不要の補助金・助成金との併用です。SBIR(中小企業の技術革新を支援する制度)やものづくり補助金といった制度は、採択されれば返済も株式の放出も不要で資金を得られます。
エクイティだけに頼ると希薄化が進みやすいシード期だからこそ、補助金で調達総額の一部をカバーし、放出する株式を少なくする戦略が現実的でしょう。
シード期のエクイティ調達額は、2,000万〜1億円程度が目安です。
この段階では、まずエクイティや補助金で事業の基盤を整え、売上が見え始めてからデットを組み合わせていく流れが現実的です。
融資と補助金を組み合わせた資金調達の鉄則については以下の動画でも解説しています。
▶関連記事 シードラウンドとは?起業の第一歩となる資金調達の全貌を徹底解説 | スタートアップ投資TV ライブラリ
PMF達成後はデット併用で希薄化を回避
PMF達成後に売上が立ち始めると、エクイティだけに頼らない資金調達が現実的になります。ベンチャーデットやRBFといったデット系手法は、月次売上という返済原資があって初めて現実的な手段になるからです。
STARTUPS JOURNALによると、2022年にスタートアップが調達した資金のうち、エクイティ以外の「その他」は約2,538億円でした※1。
その大半はデットファイナンスとみられます。前年の約1,137億円から倍増しており、スタートアップの間でデットファイナンスの活用が急速に広がっている裏付けといえます。
希薄化の影響はラウンドを重ねるほど大きくなります。例えばシリーズA時点で創業者の持分が30%でも、エクイティ調達を繰り返せば10%前後まで低下するケースは珍しくありません。経営の意思決定権に直結する数字のため、どの投資をエクイティで、どの投資をデットで賄うかという役割分担の設計が重要です。
実務では、新規事業や大型の成長投資はエクイティ、運転資金や既存事業の効率化投資はデットと使い分ける考え方が基本です。
早い段階から資本政策に組み込んでおくことで、シリーズB以降の交渉でも有利に働きやすくなります。
補助金を活用した資金調達の特徴や注意点については以下の動画でも紹介しています。
エクイティとデットの中間「メザニンファイナンス」という選択肢も
エクイティかデットかの二択だけが資金調達の全てではありません。両者の性質を併せ持つメザニンファイナンスと呼ばれる中間的な手法があります。
| 手法 | 特徴 | スタートアップでの活用場面 |
|---|---|---|
| 新株予約権が付いた社債(転換社債) | 社債として発行され、一定条件で株式に転換できる権利が付いた債券 | バリュエーション交渉を先送りしたい場合 |
| ベンチャーデット | VC出資を受けたスタートアップ向けの融資。株式希薄化なしで調達可能 | シリーズA以降の運転資金確保 |
| RBF(レベニューベーストファイナンス) | 将来の売上に連動して返済する融資 | SaaSなど継続売上のある事業 |
| デット・エクイティ・スワップ | 既存の負債を株式に転換する手法 | 財務改善を図る場合 |
スタートアップが現実的に検討するのは、社債として利息を受け取りつつ一定条件で株式へ転換できる転換社債、株式ワラント付きの融資であるベンチャーデットの2つが中心です。いずれも「株式希薄化を抑えつつ資金を調達したい」というニーズに応える手段ですが、契約条件が複雑になりやすいため、実務経験のある専門家との連携が必要です。
資金調達を進める前に押さえるべき4つの準備

資金調達の成否は、動き出す前の準備段階で大きく左右されます。必要資金の見積もりや資本政策の設計が曖昧なまま交渉に入ると、不利な条件を提示されたり、経営権を想定以上に手放すリスクが高まります。
資金調達を始める前に押さえるべき準備は、以下の4つです。
- 必要資金額とランウェイを算出する|調達目標額と資金が尽きるまでの期間を明確にする
- 資本政策のシミュレーションを作る|希薄化や経営権への影響を事前に把握する
- 事業計画書・ピッチデックを整備する|投資家・金融機関への説得材料を揃える
- 手段を棚卸しして専門家に整理してもらう|融資・エクイティ・補助金など最適な組み合わせを検討する
具体的な進め方を順番に確認していきましょう。
1. 必要資金額とランウェイを算出する
調達規模を決める出発点は、月次バーンレートの把握です。給与、開発費、家賃、外注費などの固定費から売上などの入金を差し引いた「純キャッシュアウト」を基準にします。
例えば、月次バーンレートが500万円で手元資金が5,000万円の場合、ランウェイは約10か月です。資金調達には3〜6か月かかることが多く、交渉が長引くケースも珍しくありません。ランウェイが12か月を切ると、調達中に資金が尽きるリスクが現実的になります。
目安としては、最低でも12〜18か月分のランウェイを確保できる金額を設定します。月500万円であれば、12か月分で6,000万円が必要です。
過大に見積もると不要な負担が増え、過小だと資金ショートにつながります。直近3か月以上の実績をもとに算出することで、精度は大きく高まります。
必要資金の規模が見えてきたら、資本政策のシミュレーションへ進みます。
ものづくり補助金の採択率を上げるノウハウについては以下の動画で詳しく紹介しています。
2. 資本政策のシミュレーションを作る
エクイティ調達を検討するなら、資本政策表で持分の変化を事前に確認しておくことが重要です。
創業者・投資家・ストックオプションプールの3つに分け、増資ごとに持分比率がどう変わるかを追います。ストックオプションは採用のための枠として、シード期に10〜15%を確保しておくのが目安です。
注意したいのは、初期に株式を出しすぎることです。調達を重ねると持分は確実に下がるため、最初の配分が後に効いてきます。
例えば、創業時に80%あった持分が、追加調達の結果47%まで下がると、過半数を失い重要な意思決定を主導しにくくなります。
目安としては、シリーズA後でも創業者が50%以上を維持できる設計を意識します。ここから逆算すると、初期に外部へ渡せる株式の上限が見えてきます。
複雑なツールは不要です。スプレッドシートで簡単にシミュレーションするだけでも、判断の精度は大きく上がります。調達交渉に入る前に必ず準備しておきましょう。
3. 事業計画書・ピッチデックを整備する
エクイティ・デットいずれの調達でも、投資家や融資担当者が最初に目を通すのが事業計画書とピッチデックです。
ピッチデックは、課題から始まり解決策や市場規模、ビジネスモデル、トラクション、資金使途などの順に組み立てます。各スライドで事業に資金を投じる価値がある理由を一貫したストーリーで伝えましょう。
見落としがちなのがバリュエーションの相場感の把握です。一般的な水準を知らないまま交渉に臨むと、過度なディスカウントや想定以上の持分放出を求められるリスクが高まります。
根拠の甘さも致命的です。市場規模の参照元や売上予測の条件があいまいな主張では、投資家の信用を得られません。データソースと条件の明示を徹底しましょう。
4. 手段を棚卸しして専門家に整理してもらう
エクイティやデット、補助金、RBFなど資金調達の手段は多く、それぞれ調達額や返済義務、実行までの期間が異なります。
成長段階ごとの組み合わせパターンも押さえておきましょう。シード期は補助金とエクイティで返済負担を抑えて開発資金を確保し、成長期には融資やメザニンを組み合わせて希薄化を最小限にします。スケール期ではシリーズ投資にデットを併用し、大型の成長投資を支えるのがセオリーです。
調達方法の全体像を自社だけで正確に把握するのは難しい局面でしょう。見落としていた手段が1つ加わるだけで調達条件や交渉の進め方は大きく変わります。経験豊富な専門家へ手段を整理してもらうことで、調達期間の短縮や条件面の有利化、思わぬリスクの回避につながるケースは少なくありません。
どの手段をどの順番でいくら調達すべきか確信が持てない段階でこそ、一度プロの視点を借りてみてください。
スタートアップにおける補助金の活用方法については以下の動画でも解説しています。

資金調達の際、調達手法の選定や条件の検討など、様々な場面で専門的な知識が求められます。十分な知識がないまま進めると、自社に最適な調達条件や進め方を見極めるのが難しいこともあるでしょう。
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エクイティファイナンス・デットファイナンスの違いに関するよくある質問

エクイティファイナンスとデットファイナンスに関して、実務で生じやすい疑問をFAQ形式で解説します。
Q.「エクイティ」と「エクイティファイナンス」は何が違う?
「エクイティ」は本来、B/S上の自己資本そのものを指す金融用語です。企業の財務体質を示す指標として使われます。
「エクイティファイナンス」は、株式を発行して自己資本を増やす資金調達の手段を意味します。
実務では「エクイティで調達する」と短縮して使われる場面が多く、混同の原因になります。文脈によって意味が変わるため、投資家や金融機関との対話で誤解を防ぐには表現の使い分けが大切です。
- 財務状態を語るとき →「自己資本」「自己資本比率」
- 調達手段を語るとき →「エクイティファイナンス」「増資」
用語の精度は融資面談での信頼感に直結します。迷ったときは略さず正式名称で伝えましょう。
Q.創業期でもデットファイナンスは利用できる?
創業期でもデットファイナンスは十分に活用できます。実績がなくても、創業前や創業直後を対象とした公的融資制度が整備されています。
代表的なのが公庫の創業融資です。最大7,200万円まで借り入れできます。事業計画書に売上見込みや資金使途を具体的に記載すれば申請可能です※2。
使途が明確な運転資金など、回収見込みの立つ資金であればデットファイナンスも選択肢の1つです。
一方で、収益化までの時間が読めない開発費は、エクイティで賄うほうが返済リスクを抑えられるでしょう。
Q.エクイティとデットは併用できる?
エクイティとデットの併用は実務上の標準です。どちらか一方に絞る必要はありません。
エクイティで自己資本を厚くすると金融機関からの信用力が高まり、デットの調達条件も改善されます。成長投資にはエクイティ、運転資金にはデットと役割を分ければ、株式の希薄化を抑えながら資金を確保できます。
成長ステージごとの典型的なパターンも押さえておきましょう。
| 成長ステージ | 調達パターン | 狙い |
|---|---|---|
| シード期 | エクイティ+補助金 | 返済負担を最小化 |
| シリーズA〜B | エクイティ+ベンチャーデット | 調達規模を拡大 |
| 成長期以降 | エクイティ+銀行融資 | 経営権を維持 |
自己資本比率30〜50%を維持しながらデットを組み合わせるのが1つの基準です。最適なバランスは事業モデルによって変わるため、資本政策に詳しい専門家と一緒に設計することを検討してください。
Q.エクイティ調達後にデット調達するとどうなる?
エクイティで自己資本を厚くしたうえでデットを組み合わせると、融資を受けやすくなります。金融機関は自己資本比率を重視しており、純資産が多ければ貸し倒れリスクが低いと評価されやすいためです。
実務でも、エクイティと融資を組み合わせた支援は一般的に行われています。
また、デットを取り入れることで、追加の株式発行を抑えられます。結果として、持分の希薄化を抑えながら成長資金を確保できます。
まとめ
ここまで、エクイティとデットの根本的な違いや成長ステージ別の選び方まで解説しました。自社に合った調達手法は、事業フェーズや財務状況によって変わります。最適な資金調達戦略を描くには、金融機関や投資家と対等に交渉できる知見が必要です。
何から着手すべきか、自社に合ったプランへ落とし込みたいと考える方は、プロと一緒に整理するのも1つの方法です。
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「自社に合う資金調達方法がわからない」「そもそも誰に相談すればいいのかわからない」とお悩みではありませんか。 Gazelle Capitalが運営する「資金調達の窓口」では、御社のステージに合った調達プランをご提案しています。
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参考文献
※1 STARTUP DB Media「デットファイナンスとは?メリットとデメリットを解説。スタートアップの活用進む理由は?【ゼロから分かる用語解説】」
※2 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
