リーマンショックがきっかけ?ベンチャーキャピタル投資特化で独立!|スタートアップ投資TV

○関兵馬 栖峰投資ワークス株式会社-代表取締役
Twitter▶︎  / 113hyoma  
公式HP▶︎https://siwi.info/
同志社大学(経済)卒。ロンドン大学大学院金融論(Post Graduate Diploma)修了。
大阪中小企業投資育成㈱において20年間に亘り、
ベンチャー投資および中堅・中小企業への投資に携わる。
ベンチャー投資では、主に近畿圏のテクノロジー系企業に創業期から投資し、
経営支援から投資回収(株式上場・M&A)まで担当。
また中堅・中小企業への投資では、安定株主を軸とした資本政策の立案や
事業承継の円滑化にも従事。
企業の創業期から成熟期までの各フェーズで、
豊富な支援経験と良質なネットワークを持っている。

マザーズ創設前夜、1997年からのVC人生

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。

今回は、栖峰投資ワークス株式会社から代表取締役の関さんにご出演をいただいておりますので、改めて関さん、よろしくお願いいたします。

関:
どうぞよろしくお願いします。

石橋:
今回は、僕自身が栖峰投資ワークスさんとまだまだコミュニケーションが足りていないというか、拠点は関西圏でやられていらっしゃると思うので、なかなか直接お話をする機会もなかったと思うんですが、関さんご自身についてお伺いしていきたいと思っております。

そもそも関さんはVC業界と言いますか、どういうキャリアで歩まれてきたのかお話いただければと思うんですけれども、いかがでしょうか?

関:
私自身は大学を卒業した後で、この会社を創業する前に勤めていた会社に、普通に就職をしました。その会社がベンチャーキャピタル(VC)投資もやりつつ、中堅・中小企業さん、ミドルステージの会社さんに投資をする。安定株主として投資をするみたいな、そういうことをやっていた会社でした。

私は両方やっていたんですけれども、徐々に2つの投資が分かれることになって、どちらかというとVC投資にしなさいということで、そちらのベンチャー投資専門のチームに配属されていました。

石橋:
ちなみに何年ぐらいのときのお話ですか?

関:
私が入社したのが1997年です。マザーズとかができる前後ですかね。かなり古い、おじいちゃん的な感じの話になりますけど。

要するにそういう新興市場ができたので、アーリーステージに投資するということはかなり現実的になってきたので、今まで自分たちがメインでやってきた中堅・中小企業に安定的に投資をするというところから、もうちょっとVC投資を増やしましょうということで、徐々にその比率が多くなってきました。

2002年くらいに正式にその部門に配属をされて、2016年くらいまで。

石橋:
約15年間くらいを、その当時も関西拠点でVC投資をやられていらっしゃったんですか?

関:
おっしゃる通りです。拠点は関西で大阪でやっていまして、ベンチャー投資については全国、そうは言っても関西と東京みたいな感じになってしまうんですけれども、そういう形で投資活動をやっていました。

リーマンショック後の「お葬式状態」から独立へ

石橋:
新卒の頃からファーストキャリアで、その会社でVC投資部門でずっとやられていらっしゃる中で、なんで独立を急にそのタイミングでされ始めるというか、もちろん諸先輩方で独立をそういったタイミングでされる方も多いと思うんですけど、プロパーでずっとやっていたところから急に出て独立される方は少ないのかなと思うんですけど、どういった背景だったんですか?

関:
実はリーマンショックの後くらいから、ベンチャー投資をどうするんだというような議論がその会社の中で盛り上がってきました。今すごくベンチャーブームなんですけれども、当時は逆に完全にお葬式状態で、これ本当に儲かるんだっけ?みたいな話もありました。

その中で、その前の会社のメインのビジネスは、どうしても中堅・中小企業に対して投資をするというものと、いわゆるVCとしてハンズオンでかなり創業期から投資をするというところの、同じ投資なんだけど違う種類だねというところがありまして、最終的にはどんどん縮小していこうという話になっていきました。

私は最後までベンチャー投資部門の最後の1人まで残って、ベンチャー投資部門を終わりにするというところまで全部やりまして、2016年からそれを兼務しつつ、今度はその会社のメインのビジネス。

石橋:
中堅どころに投資をするという?

関:
そうです。例えばラーメン屋さんに投資をするとか、酒造会社とか、そういう会社に投資をするという二足の草鞋をやって。それというのもVCがどんどんなくなっていくので、「関、暇なんだからこっちも兼務しろよ」みたいな。僕はやっていましたから「やりますよ」と言ってやっていました。

その中で、どうしても自分の中でVC投資をやりたいなという思いがずっとありまして、このままサラリーマンとしてここに残るのも、その仕事自体も全然嫌いではなかったので、これは楽しいなと思いますし、それこそ投資先の社長さんとお話をするのも楽しかったので、これも良いなと思っていたんですけれども、一念発起して独立をして、今に至るというような形です。

石橋:
最終的にVC投資部門がなくなったということが、最後のダメ押しになって独立されたという格好なんですかね?

関:
そうですね。それがないと競業の問題もありますから、もし前職の中で「VC投資が盛り上がっているからもう一回やろう」というふうな話になるのであれば、私は喜んでやっていたと思います。

会社がそういう方針であることは、それはサラリーマンとして仕方ない話なので、そこには従わざるを得ないというような形ですね。

子供の頃からの夢「投資家」を実現

石橋:
ちなみに、もともとVC業界とか投資業界にキャリアとして進まれたのは、どういった理由からだったんですか?新卒の頃から投資業界隈にいらっしゃると思うんですけど。

関:
端的にいうと、投資がしたかったということなんですよ。子供の頃はいろんな夢があると思うんですよね。

その中で、例えば学者になりたかったなとか、あるいは小説家になりたかったなとか、いろんな夢があったんですけれども、それは果たせませんでした。

ただ、投資家はすごく面白そうだなと子供の頃から思っていて、今でいうと外資系の証券会社さんで合併と買収(M&A)のファイナンシャル・アドバイザーの仕事はあると思うんですけれども、ああいう仕事も面白そうだなとか、いろんなことを思っていました。

ただ、当時は情報がなかったので、そういう会社があるかどうかすらわからなかったんですけれども、当時の就職活動って、株式会社リクルートさんからハガキでバサッと来るんですよ。どこまで続いたかわからないんですけど、当時はそういうものがあって。

それをパラパラめくっていくと、VCっぽい会社がある。投資会社っぽい会社があるということに気がついて、そこに電話をすると「実はそうです」という話があって、いろいろ話を聞いて非常に面白そうだと。

ベンチャーもやっているし、中堅・中小企業もやっているというところもあったので、非常に堅実だし、差別化志向もあるし、自分の好き嫌いと結構合う会社だなと思ったので、「これ良い会社だな」と思って、ほぼその会社しか受けないみたいな、そんな感じでした。

関西拠点で全国投資、バイオ村で学んだ日々

石橋:
ちなみにVC業界、特にスタートアップの起業家の方でもそうかなと思うんですけど、関西から創業とか、なんだかんだ東京に途中に来たりする方も多いのかなという印象を持っていたりするんですけど、関さんとしてVCのキャリアをずっと関西圏で続けてきていらっしゃる背景は、何か思いであったりとか、何か特別な理由をお持ちだったりするんですか?

関:
特に理由があるわけではないんですけれども。

石橋:
結果的にそうなっている?

関:
結果的にそうですね。もともと大阪のオフィスで一生懸命ベンチャーを探すとなると、関西の会社が多いですと。そうすると何が起きるかというと、ヘルスケアが多くなるんですよね。

相対的にヘルスケアの多い地域で、京都大学・阪大があったりとかありますから。私は当時VCチームの中で最年少だったので、「みんなバイオわからないから、関やっとけ」みたいな。

私も生物学は確かに高校で勉強したんですけど、アミノ酸とタンパク質はどっちがどっちだっけ?みたいなところからもう一回勉強し直して。一方で、バイオ村の人たちもまだまだこれからやっていくぞみたいな感じだったので、快くいろんなことを教えていただいて。

そうすると、東京の案件でもバイオテックの会社に投資ができたりとかしています。だんだんテクノロジーの幅が広がっているので、結果として大阪のオフィスにいるんですけれども、全国をカバーして投資活動ができるようになっている。

テクノロジーの世界は東京に偏在しているわけではないので、インターネット系のベンチャーだと別なんですけれども、それ以外のテクノロジーはほぼ全国にある感じなので、じゃあ東京にいる必要もないねというところはありました。

京都オフィス設立、東京が2なら関西は1の市場

関:
大阪のオフィスにいたので、今度独立するときに、今度はどこに行こうかという話が次に出てきました。そのときにいろいろ考えたんですけれども、まず私は京都に住んでいます。

これを引き払ってどうのこうのするような時間さえもったいなかったので、まず自分の家の近くにオフィスを作って、自分の稼働率をいかに高めるかということを考えたんですね。

それで京都にオフィスを作って、今のマネジメントチームとか、財務担当取締役とか、顧問弁護士とかもお願いしたので、結果として今ここにいて、そこからものを見ているというところがあります。

このファンド自体は関西に投資するということになっているんですけれども、これはなぜかというと、現実的に私が今関西にいるので、おそらくリーチとしては関西が多いでしょうと。

その中で、なんで関西になるかというと、大学とか学生の数からいくと、東京が2で関西が1なんですよね。

石橋:
半分はあるという。

関:
そうなんです。ただ、関西からいくら上場が出てますかというと、大体10%くらいなんですよ。

この差分は何かと言ったら、関西の人が今おっしゃるように東京に行っているわけで、この流れの中で東京に投資しても良いし、関西からゆくゆく東京に行かないとな、みたいに思っている会社にも投資もしても良いし、この流れの中でどこかで投資ができるだろうと。

その流れを掴めれば、かなり個性のあるファンドになるかなと思っていますのでそうしました。

結果的に全件「関西出身者」に投資していた

関:
ちなみに、前の会社でも大阪のオフィスでサラリーマンとして東京の案件を投資していて、後で調べてみると、狙ったわけじゃないですけど、全て関西出身者に投資していました。これは狙ったわけじゃないです。

石橋:
結果的に、戦略的にそうなっていたという感じなんですか?

関:
結果、そうなんですよ。だからそれも考えて、そういえばそういうこともあって、投資して何年何ヶ月も経ってから「社長、大阪出身なんですか?」みたいな。「言ってなかったっけ?」みたいな。そういうこともあってですね。

「じゃあ僕が今からやったとしてもそういう人たちに投資するんだろうな」と思っています。別に関西人以外はダメとかそういうわけじゃないんですけど、結果そういうことです。

石橋:
ありがとうございます。今回は、どういう流れで関さんご自身がVC業界に入ってきて独立をされていらっしゃるのかというのを伺ったんですけれども、次回の配信では、そんな関さんが栖峰投資ワークスさんとしてどういうファンドをやられていらっしゃって、どういう投資活動をしているのかというお話をいろいろとまた伺っていきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

関:
よろしくお願いします。

【栖峰投資ワークス】攻めのファイナンスに20億円の投資!!|スタートアップ投資TV

20億円ファンドが狙うプレシリーズAラウンドの投資戦略

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。

今回は、前回に引き続きまして栖峰投資ワークスから代表取締役の関さんにご出演をいただいておりますので、関さん、今回もよろしくお願いいたします。

関:
よろしくお願いします。

石橋:
今回は、前回関さんがどういうような背景でVCとして独立をされていらっしゃるのか伺って参りましたので、その上で栖峰投資ワークスさんとしてどういう投資活動をしているのかというところを、いろいろとお伺いしていきたいと思っております。

早速なんですけれども、栖峰投資ワークスさんとして運用されていらっしゃるファンドの外観でお伝えすると、どういう規模のファンドでどういうところに投資をするファンドをやられていらっしゃるんでしょうか?

関:
我々が投資しているファンドはイノベーションディスカバリーファンドと銘打っていまして、組成規模が20億円です。

どういうところに投資をしているのかというと、国内の創業期、主にプレシリーズAラウンドが結構多いです。

プレシリーズAラウンドから追加投資をしていて、AラウンドBラウンドみたいなところまでフォローアップしますよみたいな、そういうファンドをやっていまして、金額感としては1社あたり3,000万~5,000万円×2~3くらいのイメージを考えていますと。

セクターとしては特にこだわっていなくて、サービス系、コンシューマーインターネットの会社もあれば、SaaSの会社もあれば、ディープテックもあります。

ただ20億円という金額を聞いちゃうとすごく大金だと思うんですけれども、投資ロットとしては細切れにすると3,000万~5,000万円ですので、あまり死の谷の深くないところ。

我々の投資だけでまずはここまで行って、次のラウンドでそんなにお金はいらないけど攻めのファイナンスをしますよみたいな、そういうところまで行けるような案件に投資をすることが多いです。

プロダクトカスタマーフィットが鍵。プレシリーズAの定義とは

石橋:
シード時期のような事業があるかないかみたいなステータスの方々に投資をするようなVCさんもあれば、プレシリーズAラウンドとおっしゃっていただきましたが、どういうステータスのスタートアップの売上の規模感なのか、重要業績評価指標(KPI)なのか、プロダクトがあるかないかみたいなところでいうと、プレシリーズAはすごい難しいタイミングなのかと思うんですけども。

どんな投資先が多いというか、どういうイメージなんでしょうか?

関:
いきなり何もないところでアイデアがあるというのは、多分シードだと思います。

ここは今のVC業界のプロモーションに皆さん騙されている的なところが若干あるんですけど、シリーズAって昔は、ものができたところがシリーズAだったと思うんですね。

最初に発行するものがシリーズAだからシリーズAですというだけの話で、それはいつですか?と言ったら、ものができましたとか、これから売っていきますという話です。

ただインターネットのサービスとかプロダクトを作るのがだんだん簡単になっていきますから、それだと技術的なリスクをヘッジしたことにならない。あるいはビジネスとして成功する一里塚を越えたことにならないということもあって、だんだんシリーズAはめちゃめちゃ売れてからみたいになっていて。

石橋:
プロダクトマーケットフィットしてから、みたいなやつですね。

関:
シリーズAに投資するよと言っても、今と前とはちょっと違うと思うんですけど、シリーズAは結構スケールするよねというところですね。その間はプレシリーズAですよね。

ここは技術とかビジネスのプルーフ・オブ・コンセプトがある状態というふうに僕としては思っていまして、そのプルーフ・オブ・コンセプトがどれくらい確からしいかというのを、例えばKPIとかから見ていくと。

もうちょっと概念的にいうと、プロダクトカスタマーフィットしているかどうかが鍵かなと思っていて、それからシリーズAというのがプロダクトマーケットフィット、スケールしますねと。それが最終的に黒字になるかどうかという話でいくとプロダクトビジネスモデルフィットみたいな、そういう話なのかなと僕の中では思っていまして。

サービスなりプロダクトがどういうお客さんに喜ばれていますかと。そのお客さんがどういう人たちで、そこからマーケットサイズもある程度わかっていて、でもスケールしないのは何か理由があるんですか、これをこうすればこうなりますみたいなものがあると、プレシリーズAで確かなプルーフ・オブ・コンセプトがあって、シリーズAに行けそうですねということで投資をする、というふうな形で考えています。

おてつたびへの投資判断。マッチングビジネスの「確からしさ」を見極める

石橋:
なるほどですね。ちなみに現在の栖峰投資ワークスさんの投資先だと、わかりやすくプレシリーズAからまさに入られたような投資先はどういったところがあったりするんでしょうか?

関:
一番分かりやすいのは株式会社おてつたびさんという会社。

地方の旅館ですとか、あるいは果樹農家とか、そういったところとお手伝いに行きたい、あるいはそういう田舎に旅をしたいみたいな、今だと学生さんが多いんですけど、そういう人たちを繋げるという、わかりやすいビジネスです。

僕らとしては、そもそもこの人たちが本当に集まるんですか、あるいはこの人たち本当にマッチングするんですか?マッチングした結果、何か炎上しませんか?とか。

石橋:
トラブル系ですね。

関:
そうですね。お互い知らないもの同士なので、マッチング系はそういうものを気にすべきところだと思いますし、それはサプライヤーとしての義務だと僕は思うんですよね。

それをちゃんとできていますか?あるいはそういう熱量の高いコミュニティができていますか?みたいなところが結構クリアになってきたので、こういうコンセプトはおそらく日本中で何人かが考えていることではあると思うんですけれども、やはりおてつたびに投資をすべきだなと思って僕らは投資しましたと。

ですから、おてつたびのアイデアに投資したわけではなくて、結果として今やっている活動のプルーフ・オブ・コンセプトが確からしいと思ったので、これは次のラウンドに進める、あるいは極論ラウンドをすっ飛ばしてどんどん成長していくだろうと思ったので、我々としては投資をしました。

コロナ禍でも見極めた成長可能性。オペレーションの丁寧さが決め手

石橋:
言える範囲で構わないんですけど、おてつたびさんの場合は、どういうところがプルーフ・オブ・コンセプトのサインだったと関さんたちとしては解釈されたのでしょうか?

関:
マッチングのビジネスなので、1つはどれくらい人が集まってくるかなという話です。

ちょっと難しかったのはコロナ禍において、社会的に都会の学生を地方にどんどん派遣して良いのか、受け入れをする側も結構遠慮されるところがあって、そこを数字で完全に示すことは難しいと思ったんですね。

コロナが明けたときに、この会社はどこまでビジネスが伸びるんだろうということを考えなくてはいけなくて、そのためにうちのアソシエイトが実際にコミュニティのウェビナーをされていたのでそこに入ってみたりとかしましたし、結構苦労したのは、この会社のポジショニングは何なんだろうみたいな。

例えばワーケーションみたいな文脈もありますし、リゾートバイトというところもあると思うんですよね。リゾートバイトとも違うしワーケーションとも違う、でもちょっと似ているしそういう文脈でもあるよねというのは、こういう系のカッチリとした定義はなかなか難しいんですけれども、それのどれに当てはまるんだろうみたいなところを、結構いろいろ議論をして。

なるほどこのポジショニングであれば、確かにおてつたび独自のポジショニングだし、そこにはまる人たちは一定数いることがわかったので、僕らとしても投資をしました。

永岡さんという社長さんともお話をしている中で、なんでこのビジネスをやろうと思ったんですかという話も結構してきました。その中で彼女のコミュニティに対する思いとか、ある程度一本軸があって、この軸に従っていろんな人たちを集めているんだなというのがわかったので、多分マッチングもできるだろうと。

難しいのは受け入れ側の人たちが学生さんをマッチングしたときに、ちゃんとマニュアルが整備できなかったりとか、その辺はどうなんですかみたいな話も結構いろいろ聞いたんですよね。どういうふうに事故るかというのを全部リストアップしたんですよ。

それを全部聞いていくと、まあまあクリアできていたんですよね。ここまで細かいところまで気を使ってちゃんとマッチングをしているんであれば、それはそれでできるだろうということで投資をしたということなんです。

なので、「こういうアイデアがあるので簡単ですよ」みたいに言われていたら、僕らはそんなに簡単なビジネスじゃないと考えていたと思うので、そこは実際のオペレーションをどこまで丁寧にやっているかというのを結構見ました。

京都拠点VCのリモート支援体制。月1回の定例とメリハリある関与

石橋:
なるほどですね。ちなみに投資先に対してのコミュニケーションの頻度とかサポートの体制でいうと、拠点は京都拠点でやっていらっしゃるというところも特徴的なのかなと思うんですが、普段どういう形で既存の投資先をサポートしていらっしゃったりとか、コミュニケーションの頻度とか決まっていらっしゃるんですか?

関:
コミュニケーションの頻度は、最低でも月に1回あります。

その中でリードインベスターになっているところもあればなってないところもありますし、リードインベスターになっているなっていないに関わらず、支援がすごく必要なタイミングがあると思うんですよね。それによって結構メリハリをつけています。

どうやってアクセスしているのかというと、今Gazelle Capitalさんもわりとそうかもしれないんですけど、VCと投資先はWebでミーティングするのが当たり前になってきていて、もともと私たち京都拠点だったので、東京の案件もコロナ前からそういうふうにしていたんですね。

それがどんどん当たり前になっていったので、こちらとしては助かっているところもあると。ただ、ちゃんとFace to Faceで話さないといけないところは多分あると思うので、それがどのタイミングでどういうことなんだろうというのは、考えておく必要があったりするのかなと思います。

投資担当者が僕を含めて3名いるんですが、1人はもうプリンシパルになっているので、彼自身もリモートなんですよね。そうすると彼の自分の家からリモートで頻繁にコンタクトを取って、彼はおてつたびさんの担当なので、結構いろんな会社さんとか地方公共団体の方とかを紹介したりとかしています。というような形ですね。

ハンズイフ支援は自己満足になってはいけない

石橋:
いわゆるハンズイフというか、必要なタイミングで必要なサポートをきちんとやられていくみたいなスタイルでやっている感じですね。

関:
そうですね。経営支援はVCの自己満足になってはいけないと思っているので。良かれと思ってやったのになんか感謝されていないとか、ありますよね?

石橋:
間違いないですね。難しいですよね。

関:
向こうも向こうで、VCに対してありがた迷惑だったとか言いたくないから、「関さんありがとうございます」とか言ってくれるんですけど、「苦情でも何でも言ってください」みたいなところも僕ら側でも確かにあって、それを自己満足化してしまうと良くないと思っているので、平素のコミュニケーションを月次で取りつつ、「これ必要ですよね」と言って投入するみたいな、そういうやり方をしています。

石橋:
だいぶわかりやすく、ファンド全体のことをお話いただけたかなと思っております。

次回は、関さんの過去のキャリアと栖峰投資ワークスさんを踏まえて、地域出身の起業家の方が資金調達活動をどうしていくべきなのか、ものをこれから作るところとマーケットフィットしましたみたいな狭間で、ファイナンスした後の起業家がどういうところで注意するべきなのか、みたいなお話をいただければと思っておりますので、また引き続きよろしくお願いいたします。

関:
どうぞよろしくお願いします。

【面白いファイナンスの事例とは】ポテンシャルに投資をするVCの本音!|スタートアップ投資TV

地方と東京、ファイナンス環境の決定的な違い

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。

今回も前回に引き続きまして、栖峰投資ワークスから代表取締役の関さんにご出演をいただいておりますので、改めて関さん、今回もよろしくお願いいたします。

関:
こちらこそよろしくお願いします。

石橋:
今回は少しテーマトークというところで、まず1つのテーマは、関西圏もしくは地域からスタートアップをこれから始められる方々がシード期、それこそプレシリーズA時期で、どういうふうに資本政策であるとか資金調達とか、気を配っていくべきなのかみたいなところのポイントの話と。

それとプレシリーズA、栖峰さんがよくプレシリーズAラウンドから投資されていることなので、プレシリーズAラウンドを終わった後のスタートアップがシリーズAまでの到達角度を上げていくために失敗しないポイントみたいなところを伺えればと思っております。

まず1つ目のテーマからお伺いできればと思うんですが、関西でも前職含め多くのスタートアップに投資活動されていらっしゃると思うんですが、地域出身の起業家の方が資金調達活動でよく悩まれるポイントであるとか、よく陥る罠みたいなところはどういうところがあったりするんでしょうか?

関:
まずファイナンスという意味でいくと、やっぱり東京が圧倒的に有利で、これは間違いないと思います。

石橋:
やっぱりVCさんの数が多いというところですかね?

関:
そうですね。あとはエンジェル投資家も結構いらっしゃるので、そのアイデアに対して投資をするという、僕らもできないところをカバーされている投資家もいらっしゃいます。これはすごく良いというか、東京は良いなと思っています。

地方の会社はやっぱりそうじゃなくて、ブートストラップと言うんですけど、自力でのし上がってくるみたいな、わりと根性のある経営者がすごく多いですし、僕はそこがすごく好きなんですよね。

一方で、やっぱり会社は経路依存性がありますから、例えばこういう人を雇う、こういう調達をしてきた、だからこういう経営スタイルになるみたいな話があって。

経路依存性が生む、地方スタートアップ特有の課題

関:
例えば東京だと、アイデアがあります、エンジェルが投資をします、それに向かって0~1までやって、それから1~10までやって、VCが投資をするみたいな、綺麗なストーリーが描きやすいと思うんですよね。

ところが地方だと、そういうVCとなかなか出会えなかったりとか、あるいは結構地方だと地銀さんが地方のために一生懸命頑張っていらっしゃるところもあるので、デットの調達とかも結構あるんですよね。

でもデットの調達をすると、どうしても保守的な経営をせざるを得ない。これは良かれ悪かれそういうことですので、「VCの投資先じゃないんじゃないの?」みたいな話にもなりがちで、そこのところをうまくバランスを取りつつやっていかなくてはいけなくて。

人もおそらくは、「スタートアップにいきたい」という人と、「僕は普通の中小企業に就職したつもりなんですけど」みたいな人と、いろいろいらっしゃると思います。

そこをうまく自分の中で折り合いをつけつつ、経路依存性をどうやってマネージするかというところがすごく必要かなというふうに思っています。

大阪発インゲージ、攻めと守りのバランス戦略

石橋:
関西圏出身であったりとか、他の地域出身の起業家の投資先でも、投資先じゃなくても構わないんですけど、上手いこととか面白いファイナンスをしているようなところの事例とかは何かお持ちだったりしますか?

関:
大阪の本社の会社なんですけど、株式会社インゲージという会社があって、今私たちが投資をしています。もともと彼らは今新宿にある株式会社ラクスという、楽楽精算とかをやっていらっしゃる会社ですね、あの会社は実は大阪の会社で、エンジニアリングチームも大阪と東京にいるらしくて、そこの海外事業をやっていたチームが独立をして、3名で始めた会社です。

石橋:
ラクスさんからスピンアウトで出てきたチームの方々ということですね。

関:
そうですね。エンジニア2名と、エンジニア出身なんですけどビジネス系が分かっている社長さんとの3名が共同創業者としてあって。

彼らもB向けの投資をするマルチチャネル型のコミュニケーションプラットフォームというものを作っているんですけれども、その会社をやるときには結構苦労されたらしいです。

自分たちでのし上がってきて、お客さんもついて、そのときに我々としてもプレシリーズAラウンドくらいのときに投資をしました。結構デットでの調達も可能な状況で、攻めと守りのバランスをすごく良い感じでやっている会社ですね。

最近、我々が投資した次のラウンドで、銀行系のVCさんと一緒にさらに追加投資をしました。

銀行系のVCさんは、例えば計数管理とかKPIの管理とか、営業の体制とかビジネスモデルとかで結構見られると思うんですけれども、その辺をオーソドックスに普通に説明をして、「良いですね」ということで投資をしていただいて、さらにスケールしようというふうに目論んでいる会社ですね。

石橋:
まさにインゲージさんは、プレシリーズAラウンドで投資されていらっしゃるということですね。

プレシリーズA後の最大の罠「お金で成長を買えるか」

石橋:
次のテーマに移っていければと思うんですけども。プレシリーズAラウンドを終えたスタートアップについて、先ほどのインゲージさんはその次のラウンド、いわゆるシリーズAラウンドまで到達されているのかなと思うんですが、どういうところによくある罠というか、失敗ポイントとかがあって、どういうふうにしていくとそういうのを避けられたりすると関さん目線でお考えでしょうか?

関:
先ほどの経路依存の話を踏まえてお話をすると、インゲージの場合はサブスクリプションだったので、もっとお金を調達して投資をしようという方策もあったと思うんですよね。

ただ、プレシリーズAの場合は、まだプルーフ・オブ・コンセプトがあって、彼らの場合はある程度受注も取れていた状況なんですけれども、これで、お金で成長を買えるかどうかというところがまだ分からなかった段階だと僕は思っております。

なので、まず私たちが投資したときに目標にしたのは、「お金で成長を買えるようになりましょう」と。「今は良かったね」と、とりあえずはビジネスとして立ち上がってきて、プルーフ・オブ・コンセプトがあって、自分たちがご飯を食べられるようになったんだけれども。

調達をしたからといって、お金を攻めの方に投下するんじゃなくて、まずは自分たちがお金で成長を買えるような会社になっているのか、というところをちゃんと確認してからやりましょうと、これができたら次のラウンドに進みましょうという話をしていて。

それができるというふうに判断をしたので、今回は増資をしましたというふうな流れになりました。

KPIとビジネスのギアが噛み合わない失敗例

関:
これがないと、おそらく僕らが投資しなかった事例でいくと、このときにファイナンスして、「なんでここで数字が上がってないんだろう?」みたいな話があって、それを紐解いていくと、「このときのKPIの見立てがそもそも間違っている」というか、KPIは積み上がっているんだけれども、ビジネスとしてギアが噛み合ってませんよねと。

最終的にお金をどうしても将来キャッシュフローが企業価値になるので、理論的にそうなので、そうすると将来キャッシュフローを生まないようなKPIを見て投資をする、それは判断として良くないから、だったらもっとギアを噛ませるために、まずはそこに一生懸命頑張るべきでしょうと言ったことがありまして。

その辺が、VCから調達をすると、どうしても認められたとか、東京に限らないと思うんですけど、多分地方は余計にそうだと思うんですよ。例えば東京のVCから投資を受けて認められたとか。

そうではなくて、VCというのはポテンシャルに投資をしたので、「認められるように頑張ってくださいね」と投資をしているわけなので、そこの辺の行き違いというか、ちゃんとそこは落ち着いてギアを噛ませるようにして、プロダクトマーケットフィットまで行ってほしいなというふうに思います。

投資家と起業家、目標が同じなら対立しない

石橋:
逆にそのギアを掛け違えているような投資先、もしくは投資候補先だと、関さんと議論になったりとか、どういうふうにそこの掛け違いを修正していくというか、投資家目線でいうとコミュニケーションしたりされていらっしゃるんですか?

関:
そこは、目標は一緒だと思うんですよ。投資家はその事業が成功することによって投資を成功させたいわけで、目標は一緒ですと。

ただ、目標の手段が今のままで良いんですかね?という話があると思うんですよね。「KPIが噛み合ってませんね」「こういうふうに噛み合わせた方が良いんじゃないですか」という代替案を出して、「僕はこう考えますけど」と言って、それよりもっと良い案が出てくれるんだったら、それはそれで良いですし。

「なるほどね、それ関さんそのままもらいます」みたいな話もあるし、「じゃあこのKPIでまず回してください」みたいな話もありますし。

結局、目標が同じであれば理屈上、手段の議論で対立するはずがないんですよ。対立するということは、結局この成功するという目標にベクトルが、起業家が向いていない。もしくはVC側が向いていなくて、自分の意見を押し付けようとしているだけなので。

意見の違いというよりは、目標がちゃんと共有できているか。そこを見るとあまり対立しなくて、ちゃんとうまくコミュニケーションできるのかなというふうに思います。

石橋:
ありがとうございます。全3回にわたり関さんご自身の話やファンドの話からテーマトークも含め、改めてご出演いただきましてありがとうございます。