製造・物流特化のIDATEN Ventures代表パートナー!科学技術研究からVCへ転身した経緯とは!?|スタートアップ投資TV

○足立健太 IDATEN Ventures/代表パートナー
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公式HP▶︎https://www.idaten.vc/
大学院在学中にスタートアップ企業の役員を務めた後、
事業会社やアドバイザリファームで、飛び込み営業から商品企画・経営企画、グローバルM&AやIPOなど、幅広く担当。
数々の知識経験を積んだ上で、再びスタートアップを経営した後に、
当初からの想いである「科学技術の力で世界をよくしたい」をベースに、
これまで培った科学技術・事業開発・ファイナンス・スタートアップ経営の知識経験をミックスして、科学技術に寄り添ったベンチャーキャピタリストとして活動している。

物理研究者からリクルート営業へ、異色のスタート

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。

今回は、IDATEN Ventures合同会社から足立さんにご出演をいただきまして、この番組をお送りしていきたいと思っておりますので、足立さん改めてよろしくお願いいたします。

足立:
よろしくお願いします。

石橋:
僕自身も実は足立さんと今回初対面でして、どんな方なのかというのをオープンにいろいろとお伺いしていきたいと思っているのですが、そもそもIDATEN Venturesさんを創業されたのは約2年前ですよね?

もともとベンチャーキャピタル(VC)業界みたいなところでいうと、足立さんはいつ頃からいらっしゃっていたというか、VC歴でいうとどんな形なんでしょうか?

足立:
立ち上げる前は、孫泰蔵さんのMistletoe株式会社というところでやっておりました。ちょうどMOVIDA JAPAN株式会社からMistletoeに変わったときに入らせていただきまして、そこでスタートアップ投資とかVCへの出資とか、そういったところの担当をやっておりました。

石橋:
もともとMistletoeさん時代でいうと、何年くらいその業界にいらっしゃったんですか?

足立:
4~5年くらいかな、たぶんそれくらいですね。

石橋:
もともとMistletoeさんにいらっしゃる前でいうと、どういうキャリアパスというか、新卒はどういうキャリアから歩まれ始めているんですか?

足立:
新卒は全然違って、新卒自体も実はあまり就職する予定がなかったので、ずっと理系の大学院生で物理を研究していたんですよね。ところが学会で発表していくと、ちょっと世間との距離があって。

ちょうどそのとき起業ブームでホリエモンさんとかがいっぱい出ておられて、若気の至りというか、良いなと思って。学生でベンチャーをやらせてもらって、その流れでビジネスは面白いなと思って、新卒では株式会社リクルートに入りました。

リクルートで最初は営業担当ということで、担当テリトリーが新宿区の歌舞伎町とかで、ビルをコンコンとノックして「求人広告をお願いします」というところからスタートして。そのときはVCという言葉は全然知らなくて、存在も知らなかった。

石橋:
ちなみに学生ベンチャーというのはどういうことをやられていたんですか?

足立:
それはコンサルティングでして、コンサルティングといっても経営コンサルではなくて、たまたま学校の寄付講座で経営コンサルタントの方が来られていて、その方が起業したいとおっしゃっていて、その話を聞くと、経営コンサルじゃないけども、イメージコンサルティングという仕事があって。

何かを伝えたいときには、字面だけ変えるんじゃなくて、服装とか部屋の照明とかそういうものも全部変えないと伝わりませんよという、そういうイメージコンサルティングをやりたいんだというお話があって。「面白そうですね」みたいな、そんな感じで入りました。

M&A、スタートアップ経営を経てVC業界へ

石橋:
そういう学生ベンチャーとかも経験されながらリクルートに入られて、最初は営業から始められて、そこからどういうふうにMistletoeに結びついていくんですか?

足立:
不思議な縁なんですけど、リクルートは面白い会社で、社内で手を挙げて好きな仕事をさせてもらったりするんですけども、最終的にグローバルの合併と買収(M&A)をやるような部署に入ることができまして、そこでファイナンスに触れていったと。

そこからファイナンスは面白いなということで、ファイナンスの道というか、KPMGグループの会社に行って、その後はまた事業会社側のM&Aの人として株式会社デジタルガレージという会社に行って、そこでM&Aとか投資向け広告(IR)とかそういった経営企画みたいなことをやらせてもらいまして。

そうこうしているうちに「スタートアップで経営者をやらないか」というお話があって、そこに行って、それを経てMistletoeに行ったと。

最初は大企業で全然違うことをやっていて、もっというと大学院で全然違うことをやっていて、M&Aに移って、そこからだんだんスタートアップの方に行って、今度は投資家側にまわっているという感じですね。

石橋:
デジタルガレージさんの後のスタートアップの代表をやられているというのは、デジタルガレージグループの出資先とかですか?

足立:
違います。全然社長でもなくて、普通のスタートアップでして、社長はいるんですよ。DCMベンチャーズってあるじゃないですか、DCMさんが出資されているところがあって、そこの本多さんとお会いして「最高執行責任者(COO)として来ないか?」とおっしゃっていただいて、行きました。

孫泰蔵氏との出会いが開いた「投資家」という道

石橋:
最終的にそういった経験を得た上で、またMistletoeさんを経て、VCのIDATEN Venturesさんをやられていると思うんですけど、投資界隈に戻ろうと思ったきっかけは何だったんですか?

足立:
投資に戻ったつもりはあまりなくて、もともと投資をやっていなかったので、M&Aですから投資ではなかったので、全然できるとは思っていなかったんですけども。それは泰蔵さんとお会いしてお話しするときに、投資家という仕事があるんだというところがあって。

紐解けば、私は科学技術が好きなんですね。なので物理をずっと研究していたりとかして、科学技術で世の中を変えたいなという気持ちはずっと昔からあったんですけど、自分の力不足で、学会とかでずっとやっていても、自分の力じゃ無理だと思って、紆余曲折あってビジネスに入ったんですけど、やっぱり技術を応援したいなという気持ちはあって。

裏側でビジネスをやる中、M&Aとかファイナンスとかいろいろ学んでいって、ひょっとしたらその経験とスタートアップも経営させてもらいましたし、そこをミックスしたら実はそういうスタートアップを自分の力で応援できるんじゃないかな、みたいな感じがあって。

泰蔵さんと会ったときに、泰蔵さんも世の中をすごく良くしたいということをおっしゃっていて、ひょっとしたらご一緒させていただいたら何かできるかもという、それがベンチャー投資をする仕事だった、みたいなところですね。

「科学技術で世の中を変える」一貫した想いが結実

石橋:
そういった流れでMistletoeさんを経て、最終的には今現在IDATEN Venturesさんとして独立をされていらっしゃると思うんですけど。その上でVCとしての独立、ある意味科学技術を使ってご自身でスタートアップを創業されるという選択肢もなかったのかなと思うんですけど。

投資業で独立をされたというところは、最終的にはどこにきっかけというか、ダメ押しになった部分はどういったところだったんでしょうか?

足立:
これもご縁でして、孫泰蔵さんなんですよね。泰蔵さんが「足立くん、独立してみないか?」みたいなことをおっしゃっていただいて、出資もいただいて。

もちろん簡単にはいかなくて、「もし独立するとしたらどんなVCやるの?」「どういう投資戦略をやるの?」みたいな話があって、それをいろいろ考えて「これでどうでしょう?」と言って、「面白いね」と「やってみようか」みたいな感じで背中を押していただいた。

石橋:
明確に「投資業で起業するんだ」と決めていらっしゃったからMistletoeに入ったわけでもなくて、ご縁が繋がっていて、最終的にはIDATEN Venturesさんというご自身のバックグラウンドも活きてくるような、科学技術を活かしているようなスタートアップにも投資していくファンドになっていくという感じなんですね。

足立:
結局Mistletoe内で投資をいろいろさせていただく中で、実は技術系のところが多かったんですよね。なので、そこの知見・実績もありましたし、そこで培ったネットワークも活かしやすいというのもありましたし、自分のもともとのバックグラウンドで科学技術を使って世の中を良くしたいということで、そういう投資テーマがいろいろ繋がってきたというところですね。

石橋:
ありがとうございます。普段は短距離走の選手でもいらっしゃるという話を聞いていたので、本当はもうちょっとプライベート部分を掘り出してみたいなと思っていたんですが、ぜひ次の配信で、そんな足立さんが立ち上げられていらっしゃるIDATEN Venturesさんのファンドについて詳しくお伺いしていきたいと思っておりますので、次回もご出演よろしくお願いいたします。

足立:
ありがとうございます。

【IDATEN Ventures】その名に恥じぬ行動力!その投資方針や実例とは!?|スタートアップ投資TV

シード〜シリーズAでリアル産業に特化する理由

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。

今回は、前回に引き続きまして、IDATEN Venturesの足立さんにご出演をいただいております。足立さん、改めてよろしくお願いいたします。

足立:
よろしくお願いします。

石橋:
前回の自己紹介パートでは、足立さんがどういう経緯でVCになられていて、IDATEN Venturesさんを創業されていらっしゃるのかというところをお話しいただきました。

今回は、足立さんが創業されていらっしゃるIDATEN Venturesさんの投資方針であるとか、すでに投資活動もかなりの数をやられていらっしゃいますので、どういう投資先にどういった魅力を感じて投資をされていらっしゃるのかみたいなところを掘り下げていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

足立:
よろしくお願いします。

石橋:
さっそくではあるんですが、改めてIDATEN Venturesさんはどういうラウンドで、どういうマーケットに投資をしていらっしゃるVCファンドでいらっしゃるんでしょうか?

足立:
ラウンドについては比較的アーリーな方、シードとかシリーズAとかが中心だったりします。一番すごいときは会社を一緒に作るとか、社名から一緒に考えるみたいなときもあります。

領域としてはいわゆるリアル産業、リアルといっても私の方で考えているのは、製造業とか建設業という世の中に何かものを作る方々がお使いいただくような技術、要するにBtoB技術ですね。

もしくは、そういう方々がお作りになったものを世の中に広げる物流業の方々、そういった方々にお使いいただけるような技術に特化した投資をしております。

石橋:
前回の足立さんのバックグラウンドのお話を聞いていると、物理畑でいらっしゃったところから、マーケットで投資していこうというか、toB向けの技術に特化していこうと思われたのはどういった背景だったんですか?

足立:
長らく私も物理で研究していると、結局物理とかで研究されたことはBtoB技術として使われることが多くて、そこが考えやすかったというところが1つあります。

インターネットの次は製造業──30年サイクルで見る産業転換

足立:
それだけだと他にもいろいろありそうなんですけども、なぜ製造・建設等のものづくりとか物流業という物運びを選んだかというと、やっぱりインターネットの影響が大きくて、直近の30年はGoogleとかfacebookとか、要するにGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)とかですね。そういうものがすごく伸びましたと。

その理由は何かというと、やっぱりインターネットビジネスがすごくサイクルが早くて計画・実行・評価・改善(PDCA)をどんどん回せるからだと思うんですけども、その前30年は製造業とかがものすごく伸びたわけですよね。

そのペースよりもPDCAがあまりにも早いインターネットが先行したんですが、今後どうなるかというと、インターネットで培われたPDCAサイクルの考え方とかいろんな手法が、製造業とかリアルに活きていくような土壌ができてきたんですね。

例えば3Dプリンターとかデジタルツインとか、もっというとビッグデータとか量子コンピューティングとか、そういったもので、今までできなかったことができるようになってきたと。

となると、もともとすごく大きな産業、製造業とか建設業とか物流業、インターネットに比べると成長速度が劣ってしまったところ、今後はそこが来るはずなんですよ。

そうするとイネーブリング・テクノロジー、その成長を次の製造業とか次の建設業、次の物流業を実現するようなイネーブリング・テクノロジーは必ず注目されるだろうというふうに思っていまして。

であれば、そこにVCとして次の10年・20年を作っていかなきゃいけないので、そこをいち早く出資しておくことで次の10年・20年を作っていけるんじゃないかというところですね。

3年前から見えていた潮流とコロナによる加速

石橋:
なるほどですね。それこそ昨今といいますか、デジタルトランスフォーメーションと呼ばれるようになってきた部分も、本当に今お話いただいたことが徐々に顕在化してきているフェーズになってきているのかなとも思いますし、コロナでそういったところが加速しているというところもあると思うんですけど。

IDATEN Venturesさんは、約3年前にファンドとして始められたということは、準備期間も含めると、3~4年ほど前からその潮流というところに足立さんはベットしていらっしゃったのかな、というふうに思うんですけど。

当時の足立さんとして、そこまで確信を持って「絶対にこういうふうになるはずだ」とか、まだまだ顕在化はしてなかったかもしれないんですけど、「こういう動きが当時あった」みたいなところで、何かよく覚えていらっしゃるようなところはお持ちですか?

足立:
今でこそちょっと減りましたけど、オープンイノベーションという形で、大企業さんとスタートアップとの繋がりとかあったと思うんですけども、それ以前に各企業さんの中で、新規事業等がすごく増えてきたというのがあって、そういうものが求められてきたんだな、というところが1つありました。

あとは先ほど申し上げた通り、やっぱりインターネットが先行したんですけども、これはインターネットだけではないはずで。本質を割り出すと、早いサイクルで改善を回せるかどうかに尽きていて。

それを実現できるようなものは、今まで制約条件としていろいろあったわけですけども、それをコンピューティングパワーとかでどんどんうち崩れてきているのが見えていたので、これがビジネス化するのはそう遠くはない時期かなというのと、ちょうど30年サイクルで物事が結構変わっていたので、これは来るだろうというところですね。

そしたら狙い通り来たのと、幸か不幸かコロナウイルスのパンデミックが起こって、「もっと次世代製造業しないと」「次世代物流しないと」という話にちょうど重なって、今ものすごく加速していますが、遅かれ早かれこういうものが来るだろうなと。

石橋:
来るはずの未来が少し早く来たという感じですね。

足立:
来たんじゃないかなと思っています。

疑似CFOから事業開発まで──起業家目線の支援スタイル

石橋:
基本はシードからシリーズA前後で投資をしていらっしゃると思うんですが、普段は投資先の皆さんとはどういうコミュニケーション頻度といいますか、どういうサポートをしていらっしゃるんでしょうか?

足立:
それは決めていなくて、もちろん定例で毎週とか時間はあるんですけども、今の時代FacebookとかSlackとかそういうもので繋がってますので、「何かあればどんどん来てくださいね」という話で。

頻度によっては疑似最高財務責任者(CFO)みたいなことをして、プレゼンテーション資料を作って自分でファンドレイズを回って社長に繋いだりということももちろんやりますし、あまり決めてないですね。その時々で一番必要と思われているようなことをやっていくと。

その経験というのは、自分でスタートアップのマネジメントをさせてもらった経験があるので、「こういうときにこういう手助けがあったら助かるな」とか、「今これ言われても困るな」とかあるじゃないですか。

そういう肌感覚とか、あとは大企業側でM&Aの方がいたので、「スタートアップとしてはこういう点があると嬉しいな」というのもあるので、そこを「今のうちに作っておいた方が良いですよ」というのをなんとなく伝えているという感じですね。

石橋:
なるほどですね。本当にご自身が起業家目線でもあったからこそ、コミュニケーションがしやすいというか、適切なタイミングで足立さんの中で最大限のパフォーマンスを出して、サポートしていらっしゃるという感じなんですね。

足立:
そうですね。そうありたいなと思っています。

エクサウィザーズとQuantumCore──技術×事業開発の掛け算

石橋:
ちなみに、ホームページ上でもたくさんの投資先のポートフォリオを公開されていらっしゃるかと思うんですが、IDATEN Venturesさんとしてすごく象徴的だなというか、「印象的な投資先だったな」みたいなところは何かありますか?

足立:
1つが株式会社エクサウィザーズですね。一番早い投資先の1つなんですけれども、実はもともとエクサウィザーズの石山社長がリクルート時代の同期という繋がりはあったものの、エクサウィザーズになる前の会社のときに出資をさせてもらいまして、確固たる技術をお持ちだったんですよね。

主には介護系のところへのソリューションとして提供していたんですけれども、それによってすごく喜んでおられるユーザーの方が多かったと。本当に技術で世の中を変えていっていると。綺麗事じゃなくて、実際に喜んでおられるお客様がいるというところが非常に良くて。

あとは営業力というのも変ですけど、技術力を持って事業開発していけばいけるなというときに、石山社長が入られたわけですけど、ものすごくその辺りが強い方で、「これはいけるな」というようなところですね。

ポイントとしては、私は技術系を見ることが多いんですけども、何らかのコアとなる強みがあって、ただそこが伸びていない原因がきっと何かあって、それを今のチームメンバーで解消できるかどうか、というところがピンときたらいきますね。実際3年前から想像できないぐらいすごく成長していますね。

石橋:
ポートフォリオを拝見すると、株式会社QuantumCoreさんに投資をされていると思うんですけど、QuantumCoreさんに投資された当時はどういう状況でいらっしゃったんですか?

足立:
QuantumCoreはまさに出来立ての会社でした。そこも人的な繋がりが大きいんですけども、社長の秋吉さんがMistletoeのときの同僚というか、秋吉さんはエンジニアサイドの人で、私は投資家サイドだったんですけども。

その時から秋吉さんの研究力とかエンジニアリング力をよく知っていて、ものすごいなと思っていたんですね。

あるとき秋吉さんが「すごく面白い技術ができました」と、「完成しました」というお話をFacebookに投稿していて、「これは何ですか?」と連絡をして聞いていくと、非常に面白いと。

実際にそれをCEATECという展示会で発表したら、全然名もなき会社なのにものすごい反響があって、「これはいけそうだ」と。

ただ先ほどと同じで技術はすごいんですけども、事業開発はこれから頑張らないと、というときに、まさにどシードだったんですが、私たちが入ることで事業開発等々をお手伝いさせていただけるなと、そしたら伸びるなと思ったのでジョインさせてもらったという感じですね。

起業家からの紹介が最多──技術系投資家としての信頼

石橋:
その2社のお話を聞いていくと、やはり技術で確固たるものが一部あって、それをしっかり売っていくチームみたいなところが1つ掛け算になっているのかなと思ったんですけれども。

ある意味、そこまで技術をしっかり持っているチームと巡り合えている理由といいますか、もちろんご自身で積極的に探しに行かれているというのもあると思うんですけど、どういったところでそういった投資先の案件というのをしっかり獲得をしていらっしゃるというか、ご縁を作っていらっしゃるんでしょうか?

足立:
一番多いのは起業家からの紹介が多いですね。

たまたまエクサウィザーズとQuantumCoreはもともと知り合いだったというのもあるんですが、そういうポートフォリオの会社さんにちゃんと頑張って支援していくと、「あの投資家は良いよ」と、「なんとなく技術もわかるっぽいし、起業家目線で喋ってくれるときもあるよ」みたいな、そんな感じで紹介いただくと、同じフィールドの起業家の方々を紹介いただくことが多いのかなと。

逆にtoCの方に来ていただいてもあまり知見もないですし、中々何かをお返しするというのは難しいかもしれないですけど、そういうところを語れるキャピタリストもまだまだ少ない、もちろんいないことはないですけど、そういうところの中で、ピックアップいただいてご紹介いただくということが多いかなと思っています。

石橋:
承知しました。ありがとうございます。

足立さんのファンドの投資先を、ポートフォリオをかなりの数公開されていらっしゃると思うので、ぜひ視聴者の皆さんも今お話いただいたエッセンスというのは、おそらく投資先の他の会社さんとかの事業内容ですとか、投資受けた時期とかも調べてみると、かなり参考になる部分が出てくるんじゃないかなと思います。

ぜひ概要欄の方にもIDATEN Venturesさんのホームページを掲載させていただいておりますので、ぜひチェックしていただけると良いのかなと思っております。

【専門外での起業】市場選定の際に必要になるものとは!?|スタートアップ投資TV

業界知見は起業の必須条件なのか

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。

今回も前回に引き続きまして、IDATEN Venturesから代表パートナーの足立さんにご出演をいただいております。足立さん、今回もよろしくお願いいたします。

足立:
よろしくお願いします。

石橋:
今回は、前回までの配信で、IDATEN Venturesさんがどういうファンドなのか十分に伝えられたと思いますので、改めてシード時期に投資をしている足立さんだからこそ、これから起業していく人たちがどういう市場選定をしていくべきなのか、みたいなところをテーマにお話を伺っていければと思っております。

早速ご質問させていただければと思うんですが、IDATEN Venturesさんは、製造業であったりとか物流であったりとか建設・建築であったりとか、既存産業にインターネットの力を入れていくB向けの方々に投資していらっしゃると思うんですけれども。

そういうマーケットを選んでいくような起業家の方は、どうしても業界知見がないと厳しいのかなという見方もできるマーケットなのかなと思うんですけれども、足立さんご自身の体験談も含めて、どういう起業家の方じゃないとなかなか厳しいとか、何かそういう目線はあるんでしょうか?

足立:
こういう方じゃないと厳しいかどうかはわからないんですが、起業全般に言えることとしては、誰もが気付いていないネタ・チャンスにいかに気付いて、そこでビジネスを作ることができるかと。

作った上で防御壁をどう張っていけるか、モートとかよく言われているやつですね。という話かなと思うんですね。

私は製造業とか物流業とか建設業をやっていくわけですけども、そこにおいて誰もが気付いていないようなチャンスに気付けるかどうかというと、やはりインサイダーの人のほうが気付きやすい。

石橋:
情報が早そうですね。

足立:
早いですよね。これは別に製造業とかに限らず、医療においてもそうだと思いますし、例えば「メディカル系で起業します」というところに、バリバリのドクターと全然知らない人ですと言われると、やっぱりドクターのほうがいろいろ見えてそうだなと思うので、そういった意味ではアドバンテージがあるかもしれないですけども。それは紐解いてみると実はそうじゃない可能性もあるので、ちょっとわからないです。

ただ確率論的にすごく大きなマーケットですし、すごく細分化されているマーケットなので、やっぱりご自身が専門性を持っている業界の中で、「こういうものがあるな」と気付けるかどうか、そこを持っている人は良いかなと。

そういった意味では、アンテナが立っている人というのは非常に大切だなと思いますね。

70歳・元日銀支店長が大型ドローンエンジンで起業

石橋:
IDATEN Venturesさんの過去の投資先も含め、もしかしたら前職の投資先も含めかもしれませんが、そのマーケットの中にいなかったけど、そのマーケットで起業している方々はいらっしゃるんでしょうか?

足立:
例えばIDATEN Venturesのポートフォリオで行くと、エアロディベロップジャパン株式会社(ADJ)という会社があって、大型ドローン向けのエンジンを作っている会社なんですね。

ここの背景を言いますと、ドローンはご存知の通りすごく流行りましたけども、基本的には小さめのドローン、25キロ以下でカメラとかを乗せられるぐらいで、それだとリチウムイオンバッテリーで動力源としては十分良いんですけども、バッテリー自体が重いので、重い上に物を運ばないといけないとなると、重さあたりの浮き上がる能力が結構必要なんですね。

大きなドローンになってくると、リチウムイオンバッテリーだとしんどい面があって、その代替策としては航空機のエンジンを持ってくるという考えもあるんですけど、デカすぎるというところで。

その中間ぐらいの100~200キロぐらいのドローン向けの良いエンジン、動力源があればいいなと。そういう最適なものがないので、そこを作っていこうとしている会社なんですけども。

そこの社長が、全然エンジニアじゃないんですね。御年70歳の人で、もともと日本銀行で長崎の支店長を務めていて、その後大学の先生とか学長とかをしていたような大ベテランなんですね。

なぜその人がエンジンを作る会社を作ったかというと、その人のアイデアはオリジナルではないんですけども、JUIDA(一般社団法人 日本UAS産業振興協議会)という日本のドローン協会があって、そこの副理事長の千田さんという方がおられて、その方とADJの社長の田邉さんが非常に仲良くてですね。

ディスカッションしているうちに、JUIDAの千田さんが気付いていたオリジナルの気付きがあったんですけど、それをインストールして、インストールされたときにADJの社長としては「そういう課題があるんですね」と。

自分のこれまでの日銀とか大学とかのネットワークを使うと、日本は点在した優れた技術がいっぱいあって、エンジン技術・加工技術・素材技術、そういったものを点ではなく線で結びつけて、システムズイノベーションと言うんですけども、横串連携すると実は誰も気付いていない課題にソリューション提供できるんじゃないかということで作った会社なんですね。

そういった意味で、自分がそういう業界に特殊なニーズとか気付きを持っていなかったとしても、そういうことを知っている人とかとどんどん繋がれるかどうか、アンテナを張って情報収集できるかどうかというのは非常に重要かなと思いますね。

石橋:
70代でいらっしゃったとしても、業界知見の深いご友人から事業のタネをいただいたときに、実行するというところもすごいというか、アイデアだけじゃ何も変わらないみたいなところもわかりやすい事例なのかもしれないですね。

足立:
そうですね。おっしゃる通り、実行力というのは投資させていただく上では大切にしていますし、逆にそれがないと起業するとしんどいでしょうね。

理学療法士が開発した「転んだ時だけ柔らかい床」

石橋:
一方で、業界知見があったからこそ課題に気付けて立ち上がってきた、みたいな事例とかは投資先でいらっしゃるんですか?

足立:
結構たくさんありますね。例えば、浜松の会社なんですけども、株式会社 Magic Shieldsという会社があって、何を作っているかというと、転んだときだけ柔らかくへこんで骨折を予防するという床なんですね。

どういう床かというと、普段は硬くて歩けるんですけど、転んだときだけフニャッとなって転倒骨折を防ぐと。立ち上がるとまた元通り硬いという床を作っている会社なんですね。

これをなぜ作ったかというと、社長と共同創業者が理学療法士なんですけども、高齢者の方とか要介護の方とかがおられますと。

1回そういう方々が転んでしまうと、大腿骨折とかしてしまったら、骨折を治すためにベッドに寝ていただくじゃないですか。そうすると、そこで寝たきりになってしまって、そこからボケてしまったりとか、もしくは生命力が落ちてしまうということがあって。

転倒骨折を防がなきゃいけないけれども、防ぐために柔らかい床にすると、今度は歩きにくくて歩けないわけですよ。

普通でも歩けないのに、足腰弱い方がそこを歩けませんし、車椅子で通ろうとしてもへこんでしまって進めなくなってしまうんですよね。

なので、転んだときだけ柔らかい床があれば良いなというニーズを、たまたま理学療法士の共同創業者の人とか社長が経験上で知っていて、それを自身のバックグラウンドがずっとエンジニアをしていて、そこの知識を使ってそういう床を作った。

誰も気付いていないニーズに自分オリジナルの技術でそういうものを作った。そこから発表して以降、すごく引き合いが来てますね。

石橋:
それもエンジニアの方が代表をやられているんですか?

足立:
それは代表です。ただ業界というか、転倒骨折を防がなければいけないというものを知っていなければ、なかなかそういうスタートはなかったと思います。

「ぼんやり」では起業すべきでない理由

石橋:
業界知見のところで1回テーマに戻らせていただくと、シード時期で投資をされていらっしゃるからこそ、まだ事業案もあまりまとまっていませんみたいな方々も一定数いらっしゃるかと思うんですけど、そういう方々は改めてどういうふうにマーケットを選んでいくべきというか。

今でいうと、デジタルトランスフォーメーションというのが若干バズワードっぽくなっている中で、そのマーケットに関心を持っている方も良い意味でも悪い意味でもたくさんいらっしゃるのかなと思うんですけど、そういう方々から問い合わせというか、面談の機会があったら、足立さんはどういうふうにマーケットを選ぶべきかアドバイスされますか?

足立:
マーケットを選ぶかどうかの以前に、まだぼんやりとしていたら起業すべきじゃないかな、というアドバイスをします。

起業してしまうと、良くも悪くもそこにフォーカスしなきゃいけないので、なんとなく「こうかな?」とおっしゃっている方であれば、やはりそこは厳しいかなと。

「自分はこういうニーズに気付いているんです」と。自分の今まで持ってきたものとか、あるいは知り合いの知見を活かして「こうできるんです!」と、「だからこういう事業をやりたいんです」だと「良いですね」となりますけども、それがなく「DX良さそう」みたいな感じとかで来ちゃうと、後で苦労されるんじゃないかなという気がしています。

石橋:
なるほどですね。

良い意味でも昨今であれば、「とにかく起業するんだ」みたいな人たちもいらっしゃる。どちらが良い悪いというものではないかと思うんですが、やっぱり起業してファイナンスすると、確かに後戻りできないというか、それは間違いないですもんね。

足立:
そうですね。特に私の領域はピボットがしにくい領域だったりしますので、そういった意味では、ちょっと違ったからピボットということをやると致命傷になりますから、ある程度起業前からしっかりと固めておいたほうが良いのかなと思っています。

技術のタネがある方はぜひ相談を

石橋:
ありがとうございます。ちなみに視聴者の皆さんが足立さんにご連絡とかご相談とか、「こういう技術のタネを持っていて、話を聞いてほしいんだけど」みたいなときは、どういうチャンネルから連絡を差し上げるのが一番良さそうですか?

足立:
ホームページの問い合わせ欄が一番多いんですけれども、Twitterも全然フォロワー数いないんですけども、Twitterを見ていただくのでも大丈夫です。

石橋:
概要欄の方にIDATEN Venturesさんのホームページのお問い合わせが載っているところですとか、あとは足立さんご自身のTwitterのアカウントのURLも記載させていただいておりますので、ぜひ技術のタネがある方であったりとか、「誰も気付いてないはずだ!」みたいな感じのアイデアとか事業プランがある方は、ぜひお気軽に足立さんにご連絡していただけると非常に良いのかなと思います。

改めて足立さん、全3回にわたりましてご出演いただきましてありがとうございます。

足立:
こちらこそ、ありがとうございます。