「VCから資金調達したいが、何から始めればいいかわからない」「株式をどこまで渡していいのか判断がつかない」などの悩みを抱える経営者は少なくありません。

VC(ベンチャーキャピタル)からの資金調達は、返済不要の多額の資金を得られる一方で、株式の希薄化やEXITに対するプレッシャーなどのデメリットもあります

この記事では、VCの仕組みや融資との違い、メリットや注意点などについて解説します。あわせて、アプローチから入金までの流れや、交渉の失敗を防ぐ方法なども紹介します。

VCからの資金調達には株式発行が伴うため、資本政策や契約条項の設計が極めて重要です。適切な準備なしに進めると、持株比率の過度な希薄化や将来の調達に支障が生じる可能性があります。

VC調達に向けた事業計画の設計や投資契約の確認など、専門的な判断が必要な局面では、早期に資金調達の専門家へ相談することが成功への近道です。

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目次

VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達する仕組みとは︎融資との根本的な違い

資金調達の仕組みやデータのイメージ

VCが株式と引き換えに出資を受けるのに対し、融資は返済義務があるお金を借ります。資金調達を成功させるには、VCのビジネスモデルと各タイプの特徴を理解しておく必要があります。

VCの仕組みと融資との違いについて、以下3つの観点から解説します。

  • 株式と引き換えに出資し、EXIT時のリターンで利益を得る”VC”
  • 融資は返済義務ありの「借金」、VC出資は返済不要の「投資」
  • VCの種類は独立系・CVC・政府系・アクセラレーターの4つ

自社に最適な資金調達方法を判断するため、それぞれの違いを確認していきましょう。

株式と引き換えに出資し、EXIT時のリターンで利益を得る”VC”

VCは、未上場株式を取得し、IPOやM&AといったEXIT時に売却して得る利益(キャピタルゲイン)によって収益を得ています

シード期から段階的に出資し、採用支援や事業提携などを通じて企業価値を高め、その成長分をリターンとして回収します。

ファンドの成果指標にはIRR(内部収益率)やTVPI(投資倍率)が用いられ、年率20〜30%以上のリターンが必要です。

日本ベンチャーキャピタル協会の調査によると、組成後10〜12年経過したVCファンドのネットマルチプル(投資元本に対する回収倍率)は平均2.8倍です。2012年組成ファンドでは4倍を上回る水準に達しています※1。

このような高いリターンを前提としているため、VCは大きな成長が見込める企業に投資します。この前提を理解しておくことが、VCとの交渉を有利に進めるうえで重要です。

エクイティ(出資)ファイナンスの仕組みや株式の種類については、以下の動画でも紹介しています。

融資は返済義務ありの「借金」、VC出資は返済不要の「投資」

銀行融資は、元本と利息の返済義務を伴う負債です。一方、VCからの出資は株式と引き換えに受け取る資金であり、返済は不要です

エクイティ(出資)ファイナンスは返済の必要がないため、新規事業や研究開発など、先行投資が必要な取り組みに活用されることが多い資金調達手段です。

融資は毎月の返済がキャッシュフローに影響を与えますが、VC出資は返済負担がない分、事業成長に資金を集中しやすい特徴があります。その一方で、株式を渡すことで経営への関与を受け入れる必要があります。

また、審査の視点も大きく異なります。融資では過去の財務実績や信用力が重視されるのに対し、VC出資では将来の市場成長性や経営チームの実行力が重視されます。

自社の事業ステージや成長戦略に応じて、どちらの手段が適しているかを見極めることが重要です。

デット(融資)とエクイティ(出資)の使い分けについては、以下の動画でも解説しています。

VCの主な種類は独立系・CVC・金融系・政府系・大学系の5つ

VCは運営母体によっていくつかの種類に分かれ、それぞれ投資目的や支援スタイルが異なります。
特に代表的な種類は次の5つです。

  • 独立系VC
  • CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)
  • 金融系VC
  • 政府系VC
  • 大学系VC

それぞれの特徴を理解し、自社のフェーズや事業領域に応じて、適切なVCを選びましょう。

独立系VC

親会社を持たないVCで、主にシード〜アーリー期のスタートアップへ投資します。経営者の資質や市場の成長性を重視し、リード投資家として事業面にも深く関わる支援(ハンズオンやハンズイフ支援)を行う点が特徴です。スタートアップの成長を後押しする役割を担います。

CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)

事業会社が戦略目的で設立するVCです。投資先企業との連携やシナジー創出を重視しており、販路や技術基盤を活用できます。

CVCは、金銭的なリターンに加えて、自社事業との相乗効果を目的に投資するケースが多いとされています。国内では、KDDI、NTTドコモ・ベンチャーズなど、多くの事業会社がCVCを運営しており、業種もIT、製造、不動産、鉄道など多岐にわたります※2。

金融系VC

銀行・証券会社・保険会社などの金融機関が母体となるVCです。グループ内の融資機能やネットワークと組み合わせた支援が強みで、資金調達の幅を広げやすい点が特徴です。
SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタルなどが代表例で、比較的レイターステージの企業への投資が多い傾向があります。

政府系VC

政府系VCは公的資金をもとに運営されており、社会課題の解決や産業育成を目的とした分野に投資します。産業革新投資機構(JIC)などの官民ファンドが代表例で、VCファンドへの出資やスタートアップへの投資を行います。

民間では投資判断が難しい長期・高リスクの案件にも対応できる点が特徴です。

大学系VC

大学の研究成果や知的財産の事業化(技術移転)を目的に設立されたVCです。ディープテックやライフサイエンスなど、研究シーズを起点としたスタートアップへの投資に強みを持ちます。
東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)や大阪大学ベンチャーキャピタルなどが代表例です。大学の研究者ネットワークや知見を活用できる点が、ほかのVCにはない特徴です。

このほか、海外のVCが日本のスタートアップに直接投資するケースも増えています。各VCの投資方針や支援体制を比較し、資金面だけでなく事業成長に必要なサポートを得られるかどうかも含めて検討することが大切です。

独立系VCであるシードVCの投資方針や注目領域については、以下の動画でも詳しく紹介しています。

VCから資金調達する4つのメリット

VCから資金調達する4つのメリットは以下のとおりです。

  • 返済不要で資金繰りの負担が生じない
  • 創業初期や赤字段階でもまとまった資金を調達できる
  • 経営戦略・採用・提携先紹介などハンズオン支援を受けられる
  • 上場やM&Aに向けた経営体制の整備が進む

VCからの資金調達が自社の成長ステージや調達目的に合っているかを確認していきましょう。

1. 返済不要で資金繰りの負担が生じない

VCからの出資は株式の発行による資金調達であり、元本や利息の返済は発生しません。融資のように毎月の返済負担が生じないため、資金繰りの圧迫を抑えることができます。

その分、調達した資金をプロダクト開発や人材採用などの成長投資に集中できる点がメリットです。

創業初期やアーリー期の企業は、実績不足から銀行融資の審査を通過しにくいケースも少なくありません。将来の成長性を評価して資金を提供するエクイティは、事業立ち上げ期に効果的な資金調達方法です。

2. 創業初期や赤字段階でもまとまった資金を調達できる

融資は過去の財務実績や担保を重視するのに対し、VCは将来の成長性や市場規模、経営チームの実行力をもとに出資を判断します

そのため、売上が立っていない段階や赤字の状況であっても、ビジネスモデルの拡張性や成長余地を示せれば、まとまった資金を調達できる可能性があります。実際にタイミーは創業1年未満で5,600万円の資金調達に成功しています※3。

スタートアップ向け資金調達の多様な支援体制については、こちらの動画でも紹介しています。

3. 経営戦略・採用・提携先紹介などハンズオン支援を受けられる

VCから資金調達に成功すると、経営戦略の立案やCxO人材の採用支援、大手企業との提携機会の提供など、成長を加速させるための支援を受けることができます

また、著名なVCから出資を受けていること自体が信用力の向上につながり、次の資金調達や融資の場面でもプラスに働くケースがあります。さらに、投資先企業同士の連携など、新たな事業機会につながる可能性もあります

成長を加速させる支援を受けられることや、次の資金調達に良い影響をもたらす点は、VC特有のメリットです。

VCからの支援を活かしたファイナンス戦略の実例については、こちらの動画でも解説しています。

4. 上場やM&Aに向けた経営体制の整備が進む

VCが株主として参画することで、ガバナンス体制や管理会計、コンプライアンスなど、IPOに向けて必要な仕組みを早い段階から整備しやすくなります

社外取締役の選任や月次決算の運用といった、上場審査で重視される項目も前倒しで構築できる点が特徴です。

こうした体制の整備は外部からの信用力向上につながり、金融機関との融資交渉や大企業との提携も進めやすくなります

IPOやM&Aを見据える企業にとって、経営管理体制を早期に整えられる点はメリットといえるでしょう。

VCからの資金調達には多くのメリットがある一方で、株式発行を伴う以上、資本政策の設計や契約条項の理解が欠かせません。持株比率の希薄化や経営への関与など、長期的な影響を見据えた準備が必要です。

資金調達のタイミングや手段、契約交渉など、専門的な判断が求められる場面では、早期に資金調達の専門家へ相談することで、自社に最適な成長戦略を描くことができます。

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その反面デメリットも︎?VCからの資金調達における3つの注意点

VCからの資金調達には多くのメリットがある一方で、株式発行を伴う以上は創業者の持株比率や経営の自由度に影響を及ぼすといったデメリットもあります。

VCからの資金調達における主な注意点は、以下の3つです。

  • 創業者の持株比率が下がる
  • VCの意向に沿った経営判断を求められる場合がある
  • EXIT(上場・M&A)への努力義務が発生する

自社のリスク許容度と照らし合わせながら、それぞれの注意点を確認していきましょう。

1. 創業者の持株比率が下がる

VCから出資を受ける際は、新株発行によって株式数が増えるため、創業者の持株比率は低下します。例えば、時価総額1億円の企業が1,000万円を調達すると、創業者の持分は約90.9%まで希薄化します。

さらに、資金調達を重ねるごとに持分は段階的に下がっていきます。過半数を下回ると、重要な意思決定を単独で行うことが難しくなるため、経営の自由度にも影響が及びます

エクイティによる資金調達は、返済の必要がなく成長投資に使いやすい一方で、持株比率の低下を伴う点には注意が必要です。そのため、融資(デット)とのバランスを考えながら調達手段を選ぶことが重要とされています。

持株比率を適切に維持するためには、事前に資本政策のシミュレーションを行い、ストックオプションの設計も含めて戦略的に検討することが欠かせません。必要に応じて専門家へ相談しましょう。

2. VCの意向に沿った経営判断を求められる場合がある

VCから出資を受けると、投資契約に基づいて経営判断に関与されることがあります。多くの場合、株主間契約によって、取締役の派遣やオブザーバー参加を受け入れる形になります。

また、新株発行や大型の借入れなど、重要な意思決定については、VC側の事前承認が必要となる条項が設けられることが一般的です。

企業価値の向上を目的とした支援の一面もありますが、成長の進め方や時間軸に対する考え方が異なる場合には、経営方針をめぐって調整が必要になることもあります

そのため、契約交渉の段階で、自社としてどこまで経営の独立性を確保したいのかを整理し、必要に応じて専門家と相談しながら慎重に判断することが重要です。

3. EXIT(上場・M&A)への努力義務が発生する

VCファンドには通常8〜10年程度の運用期限があり、その期間内に株式を売却して出資者へリターンを返す必要があります

このため、VCから出資を受けた時点で、IPOやM&AといったEXITを前提とした経営が求められます。

短期的な売却を強いられるわけではありませんが、投資家へのリターンを意識した意思決定が必要となる場面は避けられません。自分のペースで事業を成長させたい場合でも、方向性の調整が求められる可能性があります

また、投資契約には以下のような条項が含まれることが一般的です。

条項内容
EXIT協力義務VCの株式売却時に創業者も協力する義務
ドラッグアロング・ライトVC主導の売却時に同条件での売却を強制される権利
株式の買取請求権
(近年は削除されてきています)
特定事由の発生時にVCが株式買取を請求できる権利

これらの条項が適用されると、創業者の判断だけで売却を拒否することは難しくなります。そのため、出資を受ける前に契約内容を確認し、必要に応じて専門家へ相談することが重要です。

VCが出資先を判断する4つの評価基準

VCが出資先を判断する際の評価基準は以下のとおりです。

  • 市場規模と成長性|数兆円規模の市場が狙えるか
  • プロダクトの独自性|競合と差別化できる技術・ビジネスモデルか
  • 経営チームの実行力|創業者と主要メンバーの実績・専門性はどうか
  • EXIT戦略の現実性|IPOまたはM&Aを実現できるか

評価基準と自社の現状と照らし合わせ、VCからの資金調達に適しているかを確認してみましょう。

市場規模と成長性|数兆円規模の市場が狙えるか

VCはファンド全体で高いリターンをめざすため、十分に大きな市場で成長が見込めるかを重視します。一般的には、数千億円〜数兆円規模の市場が対象です。

近年はIT領域だけでなく、製造業や半導体、物流などの既存産業におけるDXにも大きな投資機会があるとされています。

市場規模を示す際は、マクロデータから全体市場を捉える「トップダウン」と、顧客数×単価などで積み上げる「ボトムアップ」の両方を組み合わせることで、より説得力のある説明が可能になります

ピッチ資料の精度を高めるためにも、早い段階で市場分析を行いましょう。

投資家が市場をどのように評価しているかについては、以下の動画でも詳しく解説しています。

プロダクトの独自性|競合と差別化できる技術・ビジネスモデルか

VCは、競合に簡単に模倣されないプロダクトかどうかを重視します。独自性は、長期的な競争優位を支える要素です。

主な参入障壁の例は、次のとおりです。

参入障壁の要素内容
技術的優位性特許や独自アルゴリズムなど模倣困難な資産
ネットワーク効果ユーザー増加に伴いサービス価値が向上する構造
スイッチングコスト他社製品への乗り換えに伴うデータ移行などの負担

また、PMF(プロダクトと市場の適合)の達成度も評価対象です。リテンション率の高さや解約率の低さは、顧客に価値が届いていることを示す指標になります

PMF前の段階であっても、初期のユーザー数や利用状況などのトラクションをもとに、今後の成長可能性を示すことが重要です。

経営チームの実行力|創業者と主要メンバーの実績・専門性はどうか

VCの投資判断では、経営チームの評価が重視されます。プロダクトやビジネスモデルは変化し得ますが、事業を前に進めるのは「人」であるためです。

VCは出資だけでなく、経営への助言や支援を通じてスタートアップの成長に関与する役割も担っています。

とくにアーリー期では、困難な状況を乗り越える実行力や、方向転換(ピボット)の判断力、粘り強さが問われます。完成された組織であるかよりも、課題に向き合い続ける姿勢や学習スピードが重要です。

また、チームに不足している機能については、採用計画として整理しておくことで補完可能です。あわせて、業界課題への理解や一次情報の蓄積など、自社ならではの強みを具体的に示すことが求められます。

「なぜ自分たちがこの事業に取り組むのか」という必然性を、明確に伝えることが重要です。

投資家が評価する起業家の特徴については、以下の動画でも解説しています。

EXIT戦略の現実性|IPOまたはM&Aを実現できるか

VCの投資は、株式売却によるリターンを前提としています。そのため、IPOやM&AといったEXITの見通しが描けていない場合、出資を受けることは困難です。

「IPOを目指すのか」「M&Aを前提とするのか」「両方を視野に入れるのか」といったシナリオを整理し、想定時期や類似企業の評価額などの根拠とあわせて示す必要があります。

市場環境の変化を踏まえ、自社に合ったEXITの方向性を早い段階で検討しておくことが重要です。

M&AによるEXITの実例については、以下の動画でも紹介しています。

【アプローチから入金まで】VCから資金調達する流れ

VCからの資金調達は、アプローチから入金まで通常3〜6か月を要します。各段階で求められる準備や対応が異なるため、全体の流れを把握したうえで計画的に進めることが大切です。

VCから資金調達する流れは、以下の6段階です。

  • 事業計画書・ピッチデックを作成する
  • 自社のステージに合ったVCをリサーチする
  • イベント・紹介・直接コンタクトでアプローチする
  • 面談・ピッチを経てデューデリジェンス(DD)を受ける
  • タームシートで投資条件を交渉する
  • 投資契約を締結し資金を受け取る

それぞれの段階で必要な準備と注意点を確認していきましょう。

1. 事業計画書・ピッチデックを作成する

VCへの初回アプローチでは、10〜15枚程度のピッチデックが必須です。投資家の関心を惹きつけるため、以下の7要素を網羅しましょう。

要素内容
課題顧客の深刻なペイン
解決策自社プロダクトによる課題解決のアプローチ
市場規模TAM(総市場)・SAM(対象市場)・SOM(獲得可能市場)の3層構造
ビジネスモデル収益化の具体的な仕組み
トラクション売上やユーザー数などの成長指標
チーム創業メンバーの強みと事業の必然
資金使途調達資金の配分とマイルストーン

各スライドは1メッセージに絞り、構成を心がけてください。詳細な収益予測を含む事業計画書も併せて準備し、専門家の添削を通じて資料の精度を高めましょう。

2. 自社のステージに合ったVCをリサーチする

VCごとに投資ステージや対象業界、出資額の基準は異なります。ミスマッチを防ぐため、STARTUP DBやINITIALなどの情報サービスを活用し、自社に最適な候補を絞り込みましょう。データベースから投資家属性や過去の実績を検索できます。

選定時は資金規模だけでなく、以下の点も確認してください。

確認項目内容
投資実績同ステージ・同業界への出資経験
支援の質採用や事業提携などの具体的な伴走体制
取締役指名権経営関与の度合いを示す重要条件

日本ベンチャーキャピタル協会の調査によると、国内VC市場全体のカバー率は金額ベースで74%に達しています。公正価値評価を採用するファンドの割合も金額ベースでは48%に及んでいます※1。複数のVCと並行して交渉を進めることが一般的ですが、各社への対応の質の維持や情報管理が重要です

進捗や条件の共有に一貫性を持たせ、誠実に対応することが、信頼関係の構築と交渉の円滑化につながります。

3. イベント・紹介・直接コンタクトでアプローチする

VCへのアプローチでは、既存投資先や士業ネットワークを通じた紹介が、面談につながりやすい方法です。あらかじめ信頼関係のある相手を介することで、検討に進みやすくなります。

また、ピッチイベントやDemo Dayも、多くの投資家と効率よく接点を持てる機会です。紹介やイベント参加が難しい場合は、VCの公式サイトから直接連絡する方法もあります。投資方針に合った相手を見極めたうえで、簡潔なメッセージを送りましょう。あわせて、複数社とのやり取りはスプレッドシートなどで管理し、進捗や対応漏れを防ぐことが大切です。

4. 面談・ピッチを経てデューデリジェンス(DD)を受ける

初回面談では事業の全体像を共有し、その後の面談でユニットエコノミクスなどの詳細を確認していきます。投資委員会での検討を経て、財務・法務・事業の3領域に関するデューデリジェンス(DD)が始まります。

DDでは、過去の決算書や契約書、知的財産の状況など、幅広い資料の提出が求められます。あらかじめ資料を整理しておき、必要に応じて弁護士や会計士の支援を受けると安心です

また、起業家側もVCの支援実績や意思決定の進め方を確認し、自社に合った相手かどうかを見極めることが重要です。

5. タームシートで投資条件を交渉する

DDを通過した後に提示されるタームシートは、最終契約に向けた投資条件の骨子となる文書です。企業価値、投資金額、優先株の条件、取締役指名権、反希薄化条項などを一つひとつ確認する必要があります。

特に優先株の設計は、将来の持株比率やEXIT時のリターンに影響します。経済条件そのものには法的拘束力がない場合もありますが、独占交渉権や守秘義務などは署名時点で効力が生じることがあります

条項には専門的な内容が多いため、スタートアップ法務に詳しい弁護士に確認を依頼しましょう。

6. 投資契約を締結し資金を受け取る

タームシートの内容をもとに、最終的な投資契約を締結します。契約書には、表明保証や取締役指名権、資金使途の制限など、将来の経営判断に影響を与える条項が含まれます。内容を十分に確認し、必要に応じて専門の弁護士と連携しながら進めることが重要です。

契約締結後は出資金の払込みが行われ、資金が着金します。その後、原則として2週間以内に資本金の変更登記を完了させる必要があります。

初回の接触から入金までには、一般的に3〜6か月程度を要します。デューデリジェンスや条件交渉が長引く可能性も踏まえ、資金が不足する前に余裕を持って動き始めましょう。

VCからの資金調達には、ピッチデック作成から投資契約の締結まで、多岐にわたる専門的な準備が必要です。初めての資金調達では、どこから着手すべきか判断が難しい場面も少なくありません。

資金調達の窓口では、事業計画の設計からVC選定、契約交渉まで、一貫してサポートしています。まずはお気軽にご相談ください。

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VCからの資金調達を成功させる3つのコツ

VCからの資金調達を成功させる3つのコツ

VCからの資金調達を成功させるには、契約前の緻密な準備が必要です。資金を得ることだけに注目しがちですが、持株比率の設計や契約条項の理解、VCとの相性確認を怠ると、経営権の喪失や将来の資金調達に支障をきたすリスクがあります。

押さえておくべきコツは以下のとおりです。

  • 資本政策を設計し持株比率のシミュレーションを事前にしておく
  • 投資契約の条項(優先株式・反希薄化条項など)を弁護士と確認する
  • 投資前からVCとの信頼関係を築き、支援内容の相性を確かめる

VCからの資金調達を成功させるコツについて、それぞれ確認していきましょう。

資本政策を設計し持株比率のシミュレーションを事前にしておく

シード期に資本政策の設計を怠ると、後続ラウンドで過度な希薄化を招く可能性があります。一度放出した株式は原則として取り戻せません。

創業初期の持株比率は、創業者70〜80%、投資家10〜20%、ストックオプション10〜15%程度が一つの目安とされています。シリーズA・Bを見据え、各ラウンドでの希薄化を事前にシミュレーションしておくことが重要です

また、エクイティとデットを適切に使い分けることで、不要な希薄化を抑えつつ、次回の資金調達に向けた余力を確保できます。

過半数を割り込むと意思決定のスピードが著しく低下します。各ラウンドの放出上限を明確に設定し、根拠を持って条件交渉に臨んでください。

投資契約の条項(優先株式・反希薄化条項など)を弁護士と確認する

投資契約の内容は、創業者の経営権やリターンに影響します

たとえば、優先株式に付与される残余財産分配の優先権や議決権の設計によっては、EXIT時の創業者の取り分が大きく変わる可能性があります。

また、反希薄化条項(フルラチェット方式など)は、企業価値が下がった場合に創業者の持分を大きく減少させるリスクがあります。

こうした条項は内容が複雑なため、契約締結前にスタートアップ投資に詳しい弁護士や会計士へ相談し、影響を理解しておくことが重要です。

投資前からVCとの信頼関係を築き、支援内容の相性を確かめる

VCとは、EXITまで5〜7年以上にわたって関係が続きます。資金条件だけで選ぶと、投資後に経営方針や支援スタイルの違いが表面化し、意思決定に支障が出る可能性があります。

そのため、投資前の段階でVCとの相性を確認しておくことが重要です。事前のリサーチや「逆デューデリジェンス」を通じて、既存の投資先からの関与の度合いや支援内容、業績が振るわない場合の対応などを把握しておきましょう

あわせて、複数のVCと面談を行い、自社事業への理解度や支援方針を比較することも効果的です。

長期的に信頼できるパートナーかどうかを見極めたうえで資金調達を進めることが、結果として事業の成長につながります。

VCからの資金調達に関するよくある質問

VC調達にあたり、多くの起業家が直面する疑問に回答します。

  • VCから資金調達するまでの期間は︎どれぐらい?
  • VCから出資を受けるのに担保や保証人は必要︎?
  • VC出資以外にスタートアップが使える資金調達方法はある︎?

Q. VCから資金調達するまでの期間は︎どれぐらい?

初回接触から資金の着金までは、一般的に3〜6か月程度が目安です。面談、デューデリジェンス(DD)、契約交渉にそれぞれ一定の期間を要します。

シード期は比較的短期間で進むケースもありますが、ラウンドが進むほど、複数VCとの調整や詳細なDDにより長期化する傾向があります。

そのため、資金が必要になる時期の少なくとも6か月前にはアプローチを開始し、余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが重要です。

Q. VCから出資を受けるのに担保や保証人は必要︎?

VCからの出資では、担保や保証人は不要です。株式と引き換えに資金を受け取るエクイティ調達であり、返済義務がないためです。

融資のように不動産担保や個人保証を求められることはありませんが、その代わりに株式を通じた経営関与を受け入れる必要があります。

VCは担保ではなく、事業の成長性や市場性、経営チームの実行力を重視して投資判断を行います。この点を理解したうえで、調達手段を選択することが重要です。

Q. VC出資以外にスタートアップが使える資金調達方法はある︎?

スタートアップの資金調達には、VC以外にも複数の選択肢があります。それぞれ特徴が異なるため、目的や事業ステージに応じて使い分けることが重要です。

調達方法特徴
日本政策金融公庫無担保・無保証で最大7,200万円の融資。希薄化なし
補助金・助成金返済不要。国や自治体が政策に沿った事業を支援
コンバーティブルエクイティ将来の株式転換を条件とした迅速な調達
クラウドファンディング資金調達と同時に市場の初期検証が可能

補助金や助成金は返済が不要である一方、要件や審査が設けられているため、計画的な活用が求められます。

調達額やスピード、経営権への影響などを踏まえ、各手段の特徴を比較しながら、自社に合った方法を選択しましょう。必要に応じて専門家に相談してください。

まとめ

ここまで、VC調達の仕組みやメリット、成功を左右する実践的な考え方を解説しました。

日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)の調査によると、組成後10〜12年経過した国内VCファンドのネットマルチプルは平均2.8倍に達しています※1。VCは高いリターンを追求する投資事業として機能しています

事業計画の精査や資本政策の設計など、投資前の実務準備は多岐にわたります。自社への適合性や契約交渉に不安がある場合は、早期に資金調達のプロフェッショナルへ相談し、最適な成長戦略を立てましょう。

「自社に合う資金調達方法がわからない」「そもそも誰に相談すればいいのかわからない」とお悩みではありませんか。Gazelle Capitalが運営する「資金調達の窓口」では、御社のステージに合った調達プランをご提案しています。

融資先・投資家の紹介から補助金・助成金の申請サポートまで幅広く対応しており、事業計画書がない段階でも無料でご相談いただけます。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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参考文献

※1 日本ベンチャーキャピタル協会|国内VCパフォーマンスベンチマーク第6回調査を行いました(2023年版)
※2 日本ベンチャーキャピタル協会|CVC会員
※3 PR TIMES|「すぐ働くことができ、すぐお金がもらえる」ワークシェアアプリ”タイミー”運営元の株式会社タイミーが総額5,600万円の資金調達


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