【TBSのCVC】強力なメディアパワーを持つTBSがCVCを設立した経緯/ラジオなどメディアを活かした協業事例【TBSイノベーション・パートナーズ 西川さん vol.1】

◯西川 直樹 TBSイノベーション・パートナーズ合同会社 代表
TBSイノベーション・パートナーズ合同会社 HP▶︎ https://tbs-ip.co.jp/
X(Twitter)▶︎https://x.com/nishikawa_tbs
新卒でヤフー株式会社に入社し、投資部門を担当。 2015年にTBSに転職し、CVCであるTBS-IPでキャピタリストの業務に従事。報道局経済部での記者経験を経て、2021年7月からTBS-IPでパートナーを務める。

石橋
皆さんこんにちは、スタートアップ投資TV、GazelleCapitalの石橋です。
今回はですね、TBSイノベーションパートナーズ代表パートナーの西川直樹さんにご出演をいただいておりますので、今回からよろしくお願いいたします。

西川
よろしくお願いいたします。

石橋
僕自身、先だってTBSさんにも行かせていただきましたけど、普段から慣れ親しんでいるドラマとかバラエティとか、こんだけ手掛けられてらっしゃるんだなってすごくよくわかりましたし、元々は一視聴者として見ていたところから、こういう会社さんがCVCやってるんだなっていうのをすごくいい意味で痛感したんですけれども、まず第1本目はTBSさんがそもそもどういう会社さんで、どういう背景からCVCをやっていらっしゃって、実際どういう投資をしてらっしゃるのかを色々とお伺いをしていければと思っておりますので、はい、改めてよろしくお願いします。

西川
よろしくお願いいたします。

石橋
まずはじゃあ、ぜひ大きいところから、そもそもTBSさんて改めてどういう会社群を持っているのか、みたいなところをちょっと簡単に触れていただければと思いますが、お願いしてもよろしいでしょうか。

西川
はい。TBSはですね、1950年代に立ち上がった会社で、放送事業を核にしている会社になります。元々ラジオから始まって、その後すぐにテレビ放送を始めて、このマスメディアの時代で色々な情報やコンテンツを皆様にお届けしてきたという、結構長い歴史のある会社になっています。

最近、皆さんもテレビを持たない人が増えているみたいな話はよく聞くと思いますし、実際そういう若い人中心にあんまりテレビをリアルタイムで見るっていう人が減ってきているという時代の変化に伴って、TBSグループが今後どういう形で成長していくのかというところが、本当に2000年代以降すごく大きな経営のテーマになってくる中で、CVCは2013年に立ち上がってるんで、もう10年以上ですね。

石橋
割とじゃあ早いですよね、CVCができたタイミングとかで言うと。

西川
そうですね。今だともうちょっと信じられないぐらいかもしれないですけど、例えばYouTubeに関して言うと、もう放送の敵なんじゃないか、っていう形で見ていて。今考えたらもうYouTube使わない番組ってないぐらいなんですけれども、今まで自分たちが届けていた提供価値が技術の変化によって脅かされるかもしれないっていう時の1歩目どう動くか、みたいなところが、なかなか動ききれないと。そこを動いてしまうと本業棄損するんじゃないかっていうのも当然あったりするので、そこをこうリスクを取ってやれるような組織もあんまりなかったです。

事業部だけではなくて、外部の意見だったりとか、今世の中こうなってるっていうトレンドを理解した上で、ちょっとリスクテイクしてみる組織が必要なんじゃないかと。それで情報を得たりとか、実際ご出資をして、ご出資先と協業をしてみるっていうことで初めてちゃんとYouTubeのことが分かるとか、広くデジタルの世界ですよね、のやり方がなんか分かってくるんじゃないかと。いうことで、今の世の中でちゃんと流行ってるビジネスとかを理解したり、技術のここから先のトレンドをちゃんとキャッチアップするための組織として立ち上がったのがTBSイノベーションパートナーズですね。

石橋
ちなみに、そのタイミングから始められて、もう累計で言うと何社ぐらい出資ってされていらっしゃるんですか。

西川
個別のスタートアップへのご出資に関しては、40社弱ぐらいなので。

石橋
年間で4社か5社ぐらいのペースで、これもうコンスタントにずっとやってらっしゃるって感じなんですね。

西川
そうですね。

石橋
へえ。ちなみになんか改めて、イノベーションパートナーさんとしては、全体の運用サイズってのは決めて、元々13年の頃から始めてらっしゃったんですか。

西川
13年の頃は、18億円というファンドサイズで。我々、BS(バランスシート)からの投資ではなくて、TBSイノベーションパートナーズ1号ファンド、2号ファンド、3号ファンドという形でファンドを3、4年に1回ぐらいのペースで組成をしていて。で、それを運営するための子会社として、TBSイノベーションパートナーズ合同会社も作ってっていう形で、やっています。で、2号ファンドと3号ファンドはそれぞれ30億円という規模感でやっています。

石橋
じゃあ、累計すると約80億円ぐらい運用は今までされてきてるって感じなんですね。平均すると本当に1社1億、2億円ぐらいがチケットサイズとしては多いっていう感じなんですかね。

西川
もうちょっと実際の投資額は少なくてですね。というのも、そのファンドサイズの中で、独立系のVCさんの運営するファンドにLPとして入るってところもやっているので、実際のその個別のスタートアップの出資で言うとその全体80億弱のうちの6割から7割ぐらいの中で個別投資をしてるという形になっていて。平均すると5000万から1億の間ぐらいという風に考えてもらえると正確かなと思います。

石橋
ありがとうございます。まさに放送事業を軸にした会社さんとしてのイノベーションパートナー、CVCだと思うんですけれども、セグメントとか領域で決まっているもんなんですか。どういった感じなんでしょうか。

西川
そうですね。領域が日々洗えてるというか、これで切ってるわけではないんですね。なんで、年々変わってきてるなという感じなんですけれども。大きな軸としては、TBSグループのIRで発表してるような事業セグメントで言うと、いわゆる放送とか配信とか、広くエンターテインメント領域の事業体があるのと、もう一個ライフスタイル事業セグメントっていうのがあります。

で、こちらは2008年にTBSのグループインしたスタイリングライフ・ホールディングスという会社。一番皆さんに知っていただいてるブランドで言うとプラザっていう。

石橋
ああ、へえ。

西川
日本全国に店舗を持っている雑貨だったりコスメとか。

石橋
そうですよね。コスメ中心な売店さんのイメージありますね。

西川
そこの小売事業、ECも含めてやっている会社、ここにホールディングスなので、いくつか事業があるというのが大きくあるんですけど、それと、あと2023年の6月末にやる気スイッチグループという教育の会社をTBSホールディングスとして買収したというのもありまして。この教育の部分も今ライフスタイルセグメントの中で見る形になってるので、こういったその小売・コマース・教育っていうところ。ここはTBSグループの持つメディアのパワーとの掛け合わせで、すごく事業が伸びるんじゃないかというところで、会社全体で今力を入れてる領域なので、関連するようなスタートアップの出資というのもやってるという感じです。

石橋
やっぱりTBSって名前を聞いてしまうとエンタメ系のイメージがすごい強かったんですけど、もちろんそれはもう大前提の大前提で、その領域は今後も拡大されていくのかなと思いつつ、この生活に紐づいてるようなサービスの動画結構多くいらっしゃるって感じなんですかね。

西川
そうですね。実際に直近の投資先でもそのザ・エンタメみたいなところだけではなく、割と幅広くご出資もさせて頂いてますね。2024年の1月に投資しましたっていうリリースを出したところで言うと、ファーメンステーションさんという会社にご出資させて頂いてるんですけれども、今まで捨てられていた食品、残渣みたいなものを発酵させる独自の技術を活用することで、化粧品だったり将来的には食品も含めた素材に生まれ変わらせるっていう技術を持ってる会社さんにご出資をしたりしています。

で、これはその先ほど言ったスタイリングライフ・ホールディングスってところで、その化粧品製造の部門もありますので、そこで何か連携できるんじゃないかというところでご出資をさせて頂いたりしてるので、ちょっとエンタメっぽくない投資先も見ていただくと結構あるかなという感じですね。

石橋
たくさんの方にご出資いただいているんですけれども、一般論で言うと、投資スタンスとしては、リード・フォローというような大きく二分するとするならば、フォロー投資のみを行ってますみたいな方々がほとんどだと思うんですね。やはりシナジー投資だったりすると、リード取る必要性ってのがないみたいなケースもあると思うんですけど、そこの部分でリード・フォローの考え方っていうのはTBSイノベーションパートナーさんとしてはどんなスタンスでいらっしゃるんですか。

西川
本当にチャンスがあればリード投資も積極的に行っていきたいという風に考えてまして、実際過去にも何件かリード投資させて頂いたケースもあります。で、その場合はしっかりとそのラウンドのリード投資家として、契約書の交渉も、バリエーションも含めてもちろんやるんですけど、社外取締役も派遣させて頂いて、TBSグループと出資先でしっかりと協業が生まれるようなコミュニケーションを密に取ってるという形でやってますね。

石橋
なるほどですね。そこは相性次第で全然リードもやりますよねって感じなんですかね。

西川
そうですね。やっぱりTBSグループとしてこのCVCに多分期待してもらってる部分としては、1つは既存事業の延長線上にあるような新規事業をきちんと生み出していくっていうところで、ここに関して言うと、やっぱりTBSグループのいろんな部門の人たちを巻き込んで、投資先と何度もやり取りをしながら、ご出資先にも同じ目線間で付き合っていただくというか、時間がかかるし、難しいところもあるけど、一緒にやりましょうって話をしていくというのが前提になるので、しっかりとリードで入らせていただいて、その分こちらもリソースを使って取り組んでいくっていう形がいいかなと思ってます。

なんでも、そういうケースも今後も含めてどんどんやっていきたいなと思いつつ、それってすごく工数もかかるので全部そういうスタンスでというよりは、今既存事業の延長線上にもそもそもあるのかよくわからないとか、将来的とこの技術とかこのビジネスモデルがTBSグループにどんな影響を及ぼすのか、今この瞬間は判断しかねるけれども、世の中としてはすごく期待されているっていう領域も結構あると思うんで。

で、そういうところにリスクを取って出資できることこそがCVCの良さでもあると思うので。

石橋
おっしゃる通りですね。

西川
そういったケースでは、こうリードというよりはフォローで入らせていただいて、最初の段階ではいきなりシナジーの話はそんなにしないっていう感じですね。将来的に本当に3年とか5年のスパンで見た時に、こういう事業連携がありえるんじゃないかっていう仮説のもとにご出資もさせて頂いて、先方の事業進捗を見ながら、今このタイミングだったら、しっかりと協業の話できるんじゃないかなっていうのを見極めて、必要な人を紹介していくみたいな形で、ちょっと使い分けてる感じですね。

石橋
ちなみに、いざ出資検討するとなると、大体どのぐらいのスケジュールが必要だったりとか、これ見てる起業家の方だと、これから起業しようとまさにエンタメ系とかライフスタイル系のところで起業されてる方もいらっしゃるとは思いますので、何ヶ月前ぐらいにはコミュニケーション始めるといいよねみたいなイメージなんでしょうか。

西川
そうですね。本格的な検討が始まってから、大体3ヶ月ぐらいの中でフォロー投資の場合でもそれぐらい時間をかけてやってるかなというところでして。CVCとして、2億円までの金額感だとCVCの決済の中でできるんですが、TBS本体の役員が何人か入る諮問委員会っていう投資委員会みたいなところで決済を取る必要があって。なかなかじゃあ、毎週時間取れるかっていうとそうでもなかったりするので、月に1回ぐらい決められたところで最後提案して承認を得るっていう形になるので、そこの部分の時間が一定はかかるかなというところはありますね。

で、これがリード投資になると、さらにその業務提携みたいなところもやっぱりやりたくて。マストまではいかないんですけど、その将来のこんな形かもしれないっていう仮説よりはやっぱり確からしいものを作っていく必要が出てくるので、社内のディスカッションにもしっかりと時間をかけてやりますし、そもそもリード投資だと、条件交渉とかの部分も増えてくるので。

石橋
そうですよね。

西川
プラス1、2ヶ月はかかってくるかなというような感覚ですね。

石橋
ちなみに第3弾でもお伺いしていくんですが、基本的には、投資先全社と何かしらの協業を走らせていくっていうのが一番ベストという感じになるんですかね。

西川
そうですね。ご出資をした後にきちんとコミュニケーションをしていくことで、この会社であればこういうパターンだっていうのを各投資担当が考えて、日々提案したりしてるっていうのは基本ですね。工数の掛け方っていうのは、当然ある程度その出資比率、持ち分比率だったりとか、あとはご出資してから最初の1年はかなり携わる、模索していくのは間違いなくやってますね。

石橋
ちなみに先ほどもライフスタイル領域での投資先の事例の話も一部頂きましたけれども、そもそも一番注力、注目もしていらっしゃるまさにエンタメ系の領域ですと、既存の投資先の方だと、なんかどんな感じの方がいらっしゃって、どんな理由で投資したてところのは、例えばどんな会社さんがいらっしゃるんでしょうか。

西川
そうですね。2023年の11月にご出資をした、NATSLIVEさんという会社があります。クックパッドグループの子会社として運営されていた事業がMBOするって形で独立したところにご出資させて頂いたという形で。2つ大きく事業があるんですけれども、1つはNATSLIVEって名前のアプリを運営しています。ライブ配信アプリなんですね。で、アイドルの方・声優さん・芸人さんが料理を作っていく様子をライブ配信していくっていう、そういうコンテンツを配信しています。元々クックパッドの傘下だったのでお料理の強みがあるってところなんですけど。

石橋
クラシル的なニュアンスのするサービスなんですね。

西川
一番最初は実はそのクラシル的な文脈もあったりとかして、スーパーにサイネージを置いて、そこでどんな料理が作れるか献立を表示させて、で、食品を売るみたいなことやったんですけど、そこからピボットしてエンタメ事業に振り切ってるって感じなんですね。そこで芸人さんとかアイドルの方が料理を作っていく様子をライブ配信するだけじゃなくて、そこのスタジオにちょっと観覧席をつけて、30席ぐらいの限定なんですけれども、そこチケットを売るってことを始めていて。配信だけじゃなくて、リアルでも推し活ビジネスをやって。

で、その箱があるんだったら配信に使ってない昼間はこのカフェとして普通に運営できるんじゃないかってことで、いろんな漫画とかアニメのIPとコラボして、いわゆるコラボカフェを運営してる会社。

TBSもこれからいろんなエンターテインメント、いろんなコンテンツIPっていうものを自分たちで作っていくということを今注力してるんですけど、作ったコンテンツをどう楽しんでいただくかっていうところの1つの武器としてコラボカフェだったりとか、その配信っていう形で、例えばTBSで番組に出ていただいてる方がそちらにも出るとか。今後TBSとしてアーティスト、アイドルのマネージメント的なこともしかしたらあるかもしれないって時に、そういった場でファンとコミュニケーションしていただくっていう文脈でもいいなと思うのと。

あと今実はTBS、2028年開業の街づくりを進めてまして。赤坂エンターテイメントシティって名前でエンターテイメント感のある店舗っていうのは、どんどん増やしていきたいっていうニーズがある中で、NATSLIVEの知見がすごく生きるんじゃないかなってことでご出資させて頂きました。

石橋
エンタメ系ってなると最近だと、やっぱりIPっていうキーワードも伴って出てくるケース多いのかなと思うんですが、そういったIP周りのスタートアップさんにも出資されたりしてらっしゃるんですか。

西川
そうですね。分かりやすいところだと、Webtoonの制作を事業にしているソラジマさんにもご出資させて頂いてますね。やっぱりWebtoonから良質な映像コンテンツとかアニメーションが生まれるっていう流れが韓国中心に出てきているトレンドがもう2020年、21年ぐらい確実にあって。で、TBSグループとしてもそこをやっぱり原作をいかに作れる体制を作るか、というところでソラジマさんに募集をさせて頂いて、ドラマの企画を考えてるチームにご紹介したりとか。アニメも今TBSすごく力を入れてるので、原作も講談社さん、集英社さんとかの超人気のものを取りに行くってのもちろんあるんですけど、自分たちでオリジナルコンテンツを作れないかみたいなことを考えてる時にソラジマさんと一緒にまず原作を作るみたいなことも今後検討していきたいなって話をしてますね。

石橋
ポートフォリオとか拝見すると、UPDATERさんとかにもご出資されてるのかなと思ったりはしたんですけども、こちらの方はさっきのセグメントで言うとエンタメ系ではなくて…

西川
ライフスタイルの文脈ですかね。

石橋
そうですよね、

西川
2018年にご出資したんですけど、当時まだSDGsって言葉もあんまり一般的じゃないみたいな文脈の中で、そこがこれから世の中で当たり前になっていくし、特に上場企業とか中心に、いかにサステナビリティを意識した経営が必要になるかっていうトレンドがあることが理解できて。TBSグループにおけるSDGs、いかにサステイナビリティ戦略の重要なパートナーとして、リードで投資をさせて頂いたというケースになります。

社外取締役も派遣してがっつりと組んでいきましょうっていう中で、1つ事例としては、TBSラジオの電波を送信する送信所の電力を彼らのサービスを使って100%再エネに切り替えました、みたいなことやって。

石橋
え、すごい。

西川
それでTBSラジオにとってはサステイナビリティって重要な何かをしなきゃいけないと求められてる中での1つのアクションとして出せるし、UPDATERさんにとっては、TBSラジオってある程度知名度のある会社と共同リリースしていただける機会になるということもお互いそのブランディング面でのシナジーみたいなのがあるんじゃないかということでまずスタートして。

その先の先ぐらいまで行っていて、UPDATERの社長の大石さんが今もうレギュラーのラジオ番組のメインパーソナリティをやって頂いてる。社長ご自身やっていただいて、今は小泉今日子さんと一緒にやってるんですね。サステイナビリティとかSDGsとかっていうキーワードで色々なアクションを撮られてる各界のチャレンジャーの方々をゲストでお呼びして、お話するってことで、UPDATER自身がサステイナビリティを意識してるっていう発信にもなりますし、そこでゲストで来ていただいた方と次なんかできるんじゃないかっていうビジネスを作っていくきっかけ作りにもなるっていう形で、もう3年以上UPDATERさんには番組をやっていただいてるっていう形で、すごくTBSらしいご支援になってるんじゃないかと思ってます。

石橋
僕らもYouTubeをこういった形で、いろんなVCとか起業家の方に来ていただく形式でやらさせて頂いてると、まさにそこがきっかけに何か縁が広がったりですとか、そもそもそうでもしないとなかなか個別で改まってお話をする機会って持てないので、そういった意味でもまさにだなとは思いますね。

今回ちょっと本当にずらずらとというか、まずTBSさんがどういう会社でっていうところからどういう背景でCVC始められてっていうところを伺いしてまいりましたが、そこのCVCで代表パートナーやってらっしゃる西川さんどんな人なんだっけみたいな話を色々お伺いしていきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

西川
よろしくお願いいたします。

TBS報道局での経験を活かしたスタートアップ投資/Yahoo! JAPANからの転職を決めた理由と契機【TBSイノベーション・パートナーズ 西川さん vol.2】

石橋
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、GazelleCapitalの石橋です。今回もですね、前回に引き続きまして、TBSイノベーションパートナーズ代表パートナーの西川さんにご出演をいただいておりますので、西川さん、今回もよろしくお願いいたします。

西川
よろしくお願いいたします。

石橋
今回は第2弾なんで、西川さんご自身のお話をちょっと伺っていければと思うんですけれども、元々、西川さん自身のご経歴で言うと、そのVC業界がそもそも長いのか、元々プロパーでずっとTBSさんにいらっしゃるのかで、どんなところからキャリアって始まってらっしゃるんでしたっけ。

西川
そうですね。今ので言うとどちらでもない感じなんですけど。2011年に大学を卒業して新卒でヤフー株式会社に入社しています。

石橋
はいはい。

西川
自分としてはYahoo!ニュースとかYahoo!ショッピングみたいな、ああいうサービスに携わるかなと思ってたんですけど。

石橋 そのイメージありますもんね。

西川
最初の配属で、投資関連の部署に配属をされて、そこでヤフー本体のM&Aだったりとか、すでに出資をしてるグループ会社の経営管理みたいなことだったりとか、競合調査してみたりとか、そういうことをやってる中で、ちょうど自分が在籍中にYJキャピタルっていう、ヤフーグループからのCVCが立ち上がるとこをちょっと横でお手伝い、ていうぐらい、まあそんなに関わってないですけど、見てたっていうのがあったんですね。

石橋
へえ。

西川
で、当時2012年にYJキャピタルはできてるんですけど、その年にはTBSイノベーションパートナーズもできていて、そんなタイミングでTBSの方で、最初も本当に2、3人で立ち上げて、やる事いっぱいあるんで、人が足りないということで、その投資チームとして初めての中途採用をやるってところで、たまたまご縁があってというか、それこそヤフー時代の先輩がですね、Facebookではいはい、「TBSグループもCVCやってるんだ」「人募集してるんだ」、みたいなことを投稿してたんです。

それを見て僕が応募するっていう。ヤフーの先輩から間接的に教わったみたいな感じなんですけども。で、それで受けたら、たまたまご縁があって入ることになったっていうのが入社の流れですね。

石橋
元々はじゃあ、ヤフーさんの中でもVC投資、スタートアップ投資っていうよりかは、M&Aとかそっち側の投資部門にいらっしゃったってところからなんですね。

西川
そうですね。どちらかというとそっちの文脈の方が強いチームにいましたね。

石橋
もちろん今のお話の中で、そのYJキャピタルの創業期って言うんですかね、は、横で見てたし、一部関わってたって話もありましたけれども、なんでそのタイミングでその転職に至ると言いますか、まさにじゃあYJキャピタルさんの方に部署替えするとかていう選択肢もなくはないのかなと思ったりする中で、なんでもうちょっとそのM&Aとか経営企画っぽいレイヤーからスタートアップ投資とかVC投資みたいなところに一歩キャリアを進め変えていこうみたいなとこって、なんかどういったところから思われるようになったんですか。

西川
もう気づいたらこうなってたみたいなところかもしれないですけど、もうちょっとちゃんとお話しすると、このYahoo!ショッピングとかYahoo!ニュースみたいな、本当に多くの人が日常で当たり前に使うような大きなサービスに携わりたいっていう思いが元々面接とか受けてる時からあって。当時からテレビ局はすごく志望度も高かったんですね。

石橋
そうなんだ。

西川
ただ、ほとんどもう1次面接ぐらいで落ちちゃったんで、新卒のタイミングでは全然縁がなかったんですけれども。その投資の仕事をちょっと3年半ぐらいしてる中で、そのTBSが投資の部門を立ち上げて人を募集してます、というのがあって、「あ、放送局も投資やるんだ」と。で、まだ立ち上がって間もないので、組織としても固まってないタイミングであれば、割と自分でやれる範囲も大きいんじゃないかなみたいな想像をしたりとか。

元々そのテレビ局の志望度が高くて、テレビのコンテンツもすごい好きだったので、放送局自体のビジネスが進化していくタイミングで何か携われると面白そうだな、ていうぐらいの感覚で。正直自分が受かるとは思ってなかった、その時は。面接に行ってもザ金融マンみたいな人が結構ずらっといらっしゃったので。

圧倒的に自分は若くて、当時26歳とかなんで、これはちょっと無理だろうなと思ったんですけど、実はそういう手を動かせる人も求めてたっていうタイミングだったんだと思うんですよね。それでうまく入ることができた。

石橋
ある意味、VCとかに転職しよう、よりも先にTBSさんに関わっていきたいみたいなところが1つの大きいきっかけにもなったって感じなんですね。

西川
そのキャピタリストっていう職種で何か探していたというよりは、大きなメディアの中での新規事業とか投資っていうところへの興味で、TBS以外は別に受けてないですね。

石橋
改めて転職されたのが何年の頃になるんでしたっけ。

西川
2015年の4月にTBSに入ってるので、もう10年ぐるっといたっていう感じですね。

石橋
なるほど。最初はゴリゴリキャピタリストとしてフロントマンから?いきなり代表パートナーではないってことですよね。もうずっとTBSさんのイノベーションパートナーズ付けで今に至るまで、だから約9年目とかですかね。

西川
そうですね。基本的にはずっとこのTBSイノベーションパートナーズで、最初の頃は本当にCVCを運営していくのがメインの部署だったんですけれども、徐々にやれることを増やしていこうっていう中で、TBS本体からの投資とかM&Aとかも見ていくチームにだんだん変わっていったので、それに併せて自分のやることも増えていくっていうのが、5年ぐらいかけてちょっとずつやれることを増やしていく中で、2020年の7月から1年間だけ、TBSテレビ報道局経済部、記者っていう肩書きで。

本当に世の中いろんなところ行って取材をして、取材先からレポートしたりとか、自分で記事書いたりとか、いうこと、まさにTBSらしい現場の仕事を1年間やらせていただいて、で、また2021年の7月に戻ってから今に至るっていう感じです。

石橋
20年までの約5年間はキャピタリストとしてゴリゴリやってて、急に1年間だけ報道のお仕事をしてたと。それ、西川さんが希望してそうなったんですか。それとも、基本的に皆さん、イノベーションパートナーズさんに中途入社すると、みんな1回現場挟むんですか。

西川
いや、全員が全員そうというわけではないですね。で、僕自身はその入社した時に、そのやっぱテレビのビジネス自体、コンテンツ、いろんな情報も含めて、それ自体に興味があるっていう形で入っていたので、5年越しぐらいにですね、「そういえば西川、報道興味あったよな」って言われて。ずっと「報道行きたい」と言ってたわけではなかったんですけども、1回やっぱ現場を知ることはすごく意味があるという風に当時の上長から言われて、「分かりました」ということで行ったんですけど、結構やっぱり大変でしたね。

ヤフーからTBSより、TBSの中のこの働き方のギャップの方が圧倒的に大きい感じで。最初は慣れるのに苦労しましたけど、最終的にはやっぱすごく社会的に意義のある仕事だなという風には思いますし、自分もCVCの仕事に戻る中で、どれだけこうメディア、TBSの持つメディアを絡められるかみたいなところを意識しながらの活動を、戻ってからより強化してるっていうような感じですね。

石橋
なるほどっすね。劇的な働き方の変化とかがあられたみたいなお話でしたけど、お仕事をどういうリズムでやってた1年間みたいになるんですか。

西川
そうですね。CVCの仕事って、スタートアップの方、投資家の方との面談を重ねていって投資先を決めていくので、当然カレンダーにどんどん先の予定が入っていく。

石橋
どんどんアポイントメントが入りますよね。

西川
で、空いてる時間でこの作業しようとかっていうの、なんとなく分かるじゃないですか。ヤフー時代も含めてそういう形でずっと社会人やってきてたんですけど、報道局に行くと、まずほとんどみんなカレンダー使ってないんですね。

やっぱその日起きたことに対して取材に行く、みたいな。もちろん事前に用意をしていたネタを取材する人もいるんですけども、全員が全員そういうわけではないし、事前に用意してても、その日大きな事故とか事件があったら「すいません」言ってこっちに行くってことがあるので、カレンダーで明日の予定が何も書いてないっていう、結構恐怖体験ですね。自分、明日何するか分からないっていう。

経済部における編集長みたいな人が「今日はこのラインナップでやっていこう」、今日決まるんです。

石橋
ま、あの前日に決まることもあれば。

西川
本当にその日の朝に「今日この企画やろう」って。で、それに対して、じゃあリーダーとしてはこの人が全体の企画考えてくれと。で、この企画にはまるような取材先をみんなで電話して見つけてこよう、みたいな感じで。

当時、コロナ禍ただ中だったので、やっぱり新型コロナウイルスの蔓延による経済に対する影響っていろんな角度で取材してたんですけど、僕もう一番よく言ったのは飲食店とかですね。緊急事態宣言延長されて、営業再開できると思ったらできなくて悔しい、みたいな方々の取材を、今日行けそうな取材先ある?って電話したりとか。
その日あったことにいかにフットワーク軽く動けるか、本当にスポーツに近いような感覚もありましたね。

石橋
へえ、面白い。ある意味その、イノベーションパートナーズさんに戻ってくる前提での期限付きの配置換えみたいな感じだったんですか。

西川
一応そういう形ではい、行きましたね。で、そうじゃないと、結構「いつまでいるんだろう」みたいなのは最初行く瞬間は思ってたので、「期限付きですよね」って話はしていたんですけど。半年ぐらいしてだいぶ慣れてきてからは、すごくやりがいのある仕事だなとも思っていたので、もう本当に最後終わりの何ヶ月かは、もう今いれる中で最大限やれることやろうということで、当時経済部にスタートアップ担当みたいなチームって明確になかったんですけれども、スタートアップの取り組みを紹介する企画を何個かやりたいって話をして、いくつかご取材もさせていただきました。

石橋
めちゃめちゃいいですね。

西川
それがすごく自分としては、今のCVCの活動にもつながる取り組みができたなという風に思いまして。その時にご取材させていただいたスタートアップが、その後資金調達するっていう時にご連絡いただいたりとか。

石橋
うわ、嬉しい。いいですね。

西川
でも、本当にニュースで取り上げさせていただいたことで、サーバーが落ちちゃいました、まあそれ自体がいいことではないにしても、反響がちゃんとあるんだなっていうのはすごくやりがいも感じる仕事でしたね。

石橋
今まさにお話いただいてるところって、めちゃくちゃ分かりやすい事例なんじゃないかなと勝手に思ってる部分とかがあるので、まさにテレビ局系CVCならではの支援みたいなところ、ちょっと第3弾でお伺いしていきたいと思っているんですけれども。

その1年間の配置換えが終わられて戻ってきた時の後の見え方がちょっと変わったみたいなニュアンスもコメントいただいてましたけれども、なんかどんなところが目線感であるとか、関わり方、スタンスっていうところに変わってきた部分だったりするんでしょうか。

西川
出資検討してる段階での面談含めて、スタートアップの皆さんとお話する中で、TBSの持つメディアとの連携の部分に関しては、ご期待いただく部分結構あるんですよね。自分がその中で働いていない中で、社内の雰囲気的になかなか難しいだろうって、やっぱ勝手にこう蓋をしてしまってる部分も、正直昔はあったかなと思います。それは自分自身の反省点ではあるんですけれども。

もちろんすごく忙しいので、なかなか難しいっていうのは前提としてはあるものの、ベース、やっぱりすごくみんな知的探究心もありますし、新しいこと、あとチャレンジしてる人とかが好きな人たちが放送局には多いので。報道に限らず、情報番組でもバラエティでも、ドラマとか含めても、なんかそういう新しいチャレンジしてる人を紹介すること自体のニーズ自体、やっぱこの会社にあるんだなってのはすごく理解できたんですよね。

タイミングとかをちゃんと計らないと、もちろん反応はないんですけれども、そこをしっかりやることが、結局他の投資家、VCさん、CVCさんと比べた時のTBSグループの1つの強みに、改めてできるんじゃないかなという思いを強くした体験でしたね。

なので、他の中途でキャリア入社って形で入ってるメンバー、半分ぐらいはそのプロパーの新卒TBSの人間がいるので、番組プロデューサー10年やってましたみたいな人とか。

石橋
へえ。

西川
アナウンサーさんとかも今チームメンバーでいるので、TBSイノベーションパートナーズのチーム一覧っていうのを見ていただくと、「こんな人いるんだ」っていう風になると思うんですけど。彼らのネットワークで、もちろん社内繋がれる部分もありますけど、瞬間瞬間のそのキャピタリストとして投資先と向き合ってる時とか、これから出資するかもしれないスタートアップとお話してる時に、これぐらいのご支援ができますって、やっぱちゃんと言えるかどうかっていうのって、実体験とかが伴ってるとより明確にお伝えできる部分あるかなと思うんで、僕自身はすごく意味があったなとは思ってますね。

石橋
西川さん、現時点で当然代表パートナーになられてらっしゃると思うんですけど、9年、約もうもはや10年間ぐらいですかね、やられてる中で、投資先との成長支援もすごく、まあ1キャピタリストとしてもすごくうまくいってるし、投資先も成長してるしって、そういう部分がご評価受けて、やっぱそういうポジションになってらっしゃったっていう感じなんですか。

西川
これはちょっと分からないですね。自分からなかなかお伝えするのは難しい部分もありますけれども。

石橋
あんまり、いらっしゃらなくないですか。その現場のCVCの現場のチームの方々からキャリアが始まって、代表になったって人、西川さんの周りに結構いらっしゃいますか。

西川
そんなに多くはないかな、という風には思いますね。実質的なリーダーをそういう人が務めている場合でも、肩書きは本体の役員だったり兼務するってケースも結構あると思うんですけれども。そこはTBSグループの懐の深さっていうんですかね。やっぱりスタートアップと向き合う仕事なので、若い目線で考えられる人がリードした方がいいだろうっていう考え方もすごくあったんだと思います。

で、それは僕の前任の、もう本当にお世話になってる片岡さんていう方が、やっぱり若い力でスタートアップとのオープンイノベーションを作っていくことが、今後のTBSグループの成長にも絶対繋がるんだ、て思いで指名してくれたのかなと思いますね。

ちなみに、僕だけではなくて、もう1人、喜久田さんという共同代表制を撮ってまして。喜久田さんは2019年に入ったんですけど、喜久田さんも中途で入ったメンバーっていう形なんですけれども。プロパーじゃないとなんか役割もらえないみたいなことは全然ない会社だなっていうのは、ありがたいですし、意気に感じて頑張んなきゃなと思ってることですね。

石橋
第1弾でもちょっと一部お伺いはしましたけれども、そのTBSさんの放送事業やられてるCVCさんだからこそのご支援とか、そこの難しさみたいなところも、その1年間報道の現場に行ったことによって、より解像度上がった部分なのかなとも思ってはおりますので、また是非ちょっと第3弾で詳しくお伺いできればと思っております。改めて最後までご清聴ありがとうございます。

西川
ありがとうございます。

石橋
それでは皆さんですね、次回も見逃しのないようにチャンネル登録してお待ちいただければと思いますので、次回も是非ご覧ください。それではさよなら。

【スタートアップ投資】新たなビジネスを生むTBSの巨大ネットワーク/CMでビジネスを拡散する投資支援【TBSイノベーション・パートナーズ 西川さん vol.3】

石橋
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、GazelleCapitalの石橋です。
今回もですね、前回に引き続きまして、TBSイノベーションパートナーズ代表パートナーの西川さんにご出演をいただいておりますので、西川さん、今回もよろしくお願いいたします。

西川
よろしくお願いいたします。

石橋
第1弾、2弾と、TBSイノベーションパートナーズさんについての投資の外観みたいなお話も含め、西川さんのご経歴とか自己紹介も2本目でいただいてまいりましたが、ご出資先に対してどういう支援ができるのか、もちろんこれはTBSさんという単位もそうなんですけれども、テレビ局系CVCの方々で、こういった方々、名古屋テレビさんですとか、首都圏のキー局の方々だけではなくて、割と地方とか地域のテレビ局さんとかでもCVC結構あられるなっていうのを、まあ見聞きしてる程度ですけれども、感じる所もありまして。

テレビ局CVCらしい支援とかっていうのは、なんかこんなところとか、こういうことができるよねとか、逆になんかスタートアップの皆さんが、こういうギャップがあるかもしれないよね、みたいなところをちょっと色々とオープンにお伺いしていければと思うんですけれども。

1番イメージしやすいところは、まさにTBSさんの何かしらの番組で取り上げていただいて、まあそこ、投資先だから取り上げてるし、そうするとサーバーが落ちるくらいの反響があったっていうところ、そのくらいのインパクトあったって話だったと思います。が、仮にtoC向けのサービスとかやられてたら、まあtoBでもそうと思いますけど、強烈な投資先サポートになるんじゃないかなと思っちゃうんですけど、なんかそういうのってガンガン投資先の皆さんに対してやってらっしゃったりするのが、なんかテレビ局CVCのあり方みたいな感じになるんですかね。

西川
そうですね。そこを、やっぱメディアをうまく活用して支援するっていうのは、TBSに限らず、各放送局系CVCは一定程度コンセプトに組み込んでやってるとは思います。で、僕らもそれは常々、いろんな形で、報道だけじゃなくて情報バラエティとか、チャレンジできるポイントないかなっていうのは模索しているんですね。

ただ一方で、報道局だからやりづらくなる部分っていうのは実はあったりしまして。やっぱ報道って、その公平性、平等性みたいな観点で物事を取り上げるっていうのが重要で。1つの角度から物事を伝えるっていうのは、まあこれはいわゆる偏向報道みたいなこと言われ方することもあるので、あまり放送局として褒められたもんじゃない。まあ、基本的にはその放送法でもそういう形で取り上げることは許されてないっていうのがあるので。

出資先だから取り上げてます、一社だけをことさらに強調するような伝え方っていうのは、まあやりづらい部分の現実問題としてはあるので。まああくまで宣伝ではなくて、これを知っていただくことが世の中にとって何か刺激を与えるような情報がそこにあるのである、っていうのが大前提になると思いますし、会社を紹介するというよりは、あくまで世の中が今こうなってるというトレンドをご紹介する中の切り口として、実際にこういうサービスが今伸びてますとか、こういう会社が立ち上がってます、みたいな伝え方がどうしても必要になってくるっていうところですかね。

石橋
なるほどですね。例えばじゃあ、投資先ではないかもしれないですけど、じゃあ人材不足問題みたいな所のテーマを報道しながら、事例としてタイミーさんが出てきたりとか、あとはじゃあ外国人労働者系のスタートアップの方が出てきたりとか、そういうイメージなら、まあ報道としても取り上げられるかなってイメージになるんですかね。

西川
そうですね。

石橋
なんか報道って言葉の定義が、僕の中で意外に曖昧だなと今お話伺ってても思いました。例えばニュース番組とかで取り上げていただくんなら、まあまさに今の西川さんの話ってイメージしやすいですし、確かに普段見るやつも、大体なんかトレンドの話して、個別具体の話とかで何社が出てくるな、言われてみればそういう形で見てるケースよくあるなと思ったんですけど。

バラエティ番組とかって、もうちょっと恣意的にやってもいい範囲のコンテンツとか、場によっては、まあこの番組自体もYouTubeでやらせていただいてます、TBSさんもYouTubeのコンテンツってやられてると思うんですけど、そっちだったら割とライトに取り扱えるみたいなことがあったりもするのか。もちろん最初の創業でいうラジオだったりしていらっしゃるので、なんかテレビじゃなければみたいな説って何かあるんですか。

西川
ラジオに関しても、あとは配信、YouTubeとかのメディアに関しても、TBSグループとして関わって世の中にこう発信していく時には、先ほど言った報道の話といったような形で、恣意性があまり見えないような形を取ることがすごく重要かなという風に思いますし、繰り返しになりますけども、なんかそれを伝えることが押し売りではなくて、知っていただくことで便利になるとか、こんな働き方があるんだっていう気づきが与えられるみたいな要素は、まあ報道であろうと情報番組であろうと、まあバラエティ番組で何かご紹介する場合であっても、一体程度やっぱり意識はしていく必要はあるかなという風には思います。

ただやっぱり、特にバラエティ番組であれば、本当にその会社の持つ技術とかサービスがこの番組のコンセプトにすごく合って、すごくコンテンツ自体を面白くするのにも不可欠である、ということであれば当然採用はできる部分があるので。

ちょっと過去の事例で言うと、「オトラクション」という番組がありまして、火曜の19時台に放送してる、家族で見ていただけるような時間帯のバラエティ番組なんですけども。こう体全身を動かして、リズムに合わせてなんか体を動かして得点を競うみたいな、まあそういうバラエティ番組なんですね。アトラクションがいっぱい出てくるんですけど、そのアトラクション自体をリトプラっていう出資先に作ってもらって、出演者さんが実際にプレイするっていう構造を作れたんですけど、それはやっぱりリトプラという会社の持ってる開発力だとかデザイン力が、すごく番組の必要としてるものだったので、うまく座組みとしてはまって、番組で毎週ご紹介というか、そのアトラクション自体を番組の企画の中で露出する機会があった。

で、リトプラとしては、その番組で芸能人の方々がやっているのと同じアトラクションを、自分たちの運営してるテーマパークに置くということで集客する。で、あの番組の企画をやってみたいと思った人が、その出資先のリトプラのテーマパークに足を運ぶって形でのご支援に繋がった部分はあったかなとは思いますね。

石橋
え、面白いですね。恣意的なのは良くないとはいえど、うまいことなんか企画一緒に作っていきましょうとか、何かその報道の方に提案していきましょうっていうような関係は、期待しても違和感ないかなっていうところなんですかね。

西川
そうです。やっぱりなかなか、こう地上波の視聴率がこれからまた右肩上がりでっていうのは描きづらい世の中になってる中で、1個1個の番組がいろんな形でファンとのコミュニケーションを広げて、タッチポイントを増やして、で、マネタイズの技を増やすみたいなこと今求められている中で、結構いろんな番組と今相談できる状況にあるので。

僕らとしては、バラエティとかドラマとかと連携したらなんか新しいビジネス生まれるんじゃないかと思うような、エンターテイメント系の会社さん、特になんか1つのIPをより広げるみたいな文脈で特徴を持ってる会社さんにご出資できると、いろんな番組にご紹介できる機会は増えるかなと思っています。最近はIPをいかに拡張するかみたいなところのテーマ、すごく意識していろんな方々と面談してますね。

石橋
ちなみに、なんかそういう放送とか、そういうパブリシティの支援をする以外の文脈ですと、テレビ局系CVCの方、実はこういうリソースとかアセットがあって、こういう連携の仕方もありうるみたいなところって、何か観点あったりするんでしょうか。

西川
そうですね。1つは、テレビCMの、まあラジオも含めてCMは、えっと、もちろん我々にとってもすごく稼ぎの源泉になっていくすごく重要な部分で。ここを、どんどん新しい、これからメガベンチャーになっていく、上場を目指していくとか、そういう勢いのあるスタートアップの方々に使ってもらうかって、すごく経営戦略として大事なんですね。

なので、今うちの営業局っていう、そのCMを売ってる部門と投資チーム、CVCのチームで定例会議を持っていて。最近出資した会社の紹介もするんですけども、結構ミドルからレイターぐらいで、この1年以内ぐらいにテレビCMもやるかもしれません、みたいな会社があればどんどん紹介をして。で、いち早くうちの営業マンが「じゃあちょっと話をしたい」と、直接広告代理店の方を挟まずとも、直でクライアントのスタートアップ企業と営業が話をする機会を作って、「じゃあまずやってみましょう」みたいな話ができたりするといいなって話はずっとしてるので。これも1つ、放送局ならではかなとは思いますね。

あとは、TBSだと、全国に28局、TBSを含めて系列局っていうのがあるんですね。

石橋
28局もあるんですか。

西川
そうですね。もう北から南まで、結構いろんなところに。局がない県も一部あるんですけど、結構全国を網羅している系列局のネットワークがあって。彼らもすごく新しい事業をいかに生み出すかっていうところ、すごく意識しているので。TBSが出資した会社とか、出資してない会社も含めて、ビジネスが東京だけではなくて日本全国でニーズがあるというものに関しては、どんどんお繋ぎをしていきたいなと思っていて。

都心を中心に活動してるスタートアップにとっても、いかに地方の中小企業とかも含めてサービスを使ってもらうかって、すごく大事なテーマだと思うんですよね。SaaS系のビジネスとかって、本当の意味でDXって、多分都心のスタートアップに使ってもらう以上に、地方の中小企業とかに使ってもらうことが大事で。

ただそこの接点をいかに作るかみたいな時に、地方局って、東京におけるTBS以上に、その県における地方局のプレゼンスって高かったりするので。地元の有力企業はもうみんな繋がってる構造があったりするので、そこにうまくスタートアップの情報を組み合わせられれば、一緒に地元のDXを進めましょうみたいな話までできるんじゃないかって話をしていて。

実際今年の10月に、系列局のBSNさん、新潟の放送局とTBSイノベーションパートナーズで共同でイベントをやるんですけども。新潟の県だったり自治体とか企業の方々に集まっていただいて、東京から何社か、地元のスタートアップも何社か参加してもらって、カンファレンス、ピッチをやったりとか、イベントもやっていこうと。そういう橋渡しが僕らとしてできるといいなって、今すごく意識してるところですね。

石橋
TBSさん以外だと、そういう系列局をいっぱい持ってるっていうのは、もうほぼキー局の方々に限られるんですか。

西川
まあそうですね。キー局の方は同じぐらい全国に拠点を持ってるって感じですね。

石橋
へえ。じゃあ、まああくまでも冒頭でお話しさせていただいたような、配信面とか報道面とかパブリシティのところだけを期待するだけじゃなくて、TBSさんとかであれば、まさにローカル面というか地域でのアセットってところをうまいこと活かして、自社の事業をグロースさせられる可能性が全然ありえるって感じなんですね。

西川
そうですね。そこは僕らとしても1つ、放送局らしい支援のパターンとして強化したいなと思ってる所ですね。

石橋
ありがとうございます。是非、ご覧をいただいてるですね、地域とか地方の顧客の方々が多いみたいなセグメント、場合によってはこれtoCのコンシューマーの方々でも言えるのかなと思いますけれども、そういったセグメントの方であれば、単純に報道のところでの連携ってところを期待する以外のご連携とかご協業の可能性ってのはあるのかなと思いますので、是非お問い合わせをしていただければと思いますが、ちなみに西川さんたちとかTBSイノベーションパートナーズさんに何かコンタクトしたいってなったら、どこのチャネルからコンタクトするのが一番良さそうでしょうか。

西川
そうですね。まあTBSイノベーションパートナーズの公式サイトにお問い合わせフォームがあるので、そこでもいいですし、私自身もXの運用をしっかりと始めているところなので、そこにお問い合わせいただくというところもありかなと思ってます。

石橋
ありがとうございます。動画の概要欄の方にですね、イノベーションパートナーズさんの公式ホームページのURLですとか、あとは西川さんのXのURLなども記載をさせていただいておりますので、改めて是非コンタクトを取ってみていただければと思っております。それでは西川さん、最後までご出演ありがとうございます。

西川
ありがとうございました。