投資資金枠130億円のCVCの投資戦略|起業家に求める資質【オリエンタルランド・イノベーションズ 豊福力也 vol.01】

◯豊福力也 株式会社オリエンタルランド・イノベーションズ-代表取締役社長
株式会社オリエンタルランド・イノベーションズ▶https://www.oli.olc.co.jp/ 2004年
新卒で株式会社オリエンタルランドへ入社。
その後、出資先への出向やMBA取得など様々なキャリアを経て、同社経営戦略室へ。
新規事業としてCVCを提案したことから、2020年に株式会社オリエンタルランド・イノベーションズを設立。
積極的に出資をする傍ら、様々なメディアからのオファーも数多くこなす。

石橋
皆さんこんにちは、スタートアップ投資TV、Gazelle Capitalの石橋です。今回はオリエンタルランドイノベーションズの豊福力也さんにご出演をいただきます。よろしくお願いいたします。

豊福
よろしくお願いします。

石橋
オリエンタルランドイノベーションズさんから出資を受けたい、何かしら協業したいというスタートアップの起業家の方が、これさえ見れば全て分かるという動画に仕上げていきたいと思っておりますので、
早速ですが、まずオリエンタルランドイノベーションズさんの創業の経緯とか、豊福さんがどういう背景で立ち上げられたのか、簡単にプロフィールも教えていただければと思いますが、お願いしても大丈夫ですか。

豊福
分かりました。オリエンタルランドイノベーションズ自体は2020年の6月に設立しまして、ちょうどコロナが始まったタイミングで設立をしてます。

石橋
確かに。緊急事態宣言2、3ヶ月後ですよね。

豊福
そうですね。2月の終わりだったのでそれぐらいの時期です。ただ、検討自体は2019年の秋頃から検討はしていて、我々の事業がどちらかというと舞浜という場所に一極集中してるもあり、そのビジネスリスクを回避しようというもあってしていたら、ちょうどコロナになってしまったので。

石橋
確かに。

豊福
まさにそのリスクが顕在化したってこともあって。スケジュール通りにコロナのタイミングで行ったというのがあります。で、自分自身は2004年にオリエンタルランドに入社をして。

石橋
じゃあ20年選手でいらっしゃるんですね。

豊福
そうですね、22年目になっちゃいましたね。

石橋
すげえ。

豊福
その中で、最初いろんな新規事業をオリエンタルランド独自で拡大していくというタイミングもあったので、そういったところに携われたらなということで募集もあり自分も入ってというのがあるんですけども、それからずっとどちらかというとテーマパークに関係することだったり、そうじゃなかったりでも新規事業にはあまり関わらない仕事をしておりまして。今回そういったチャンスを頂いたというところもあって、提案をしてCVCを提案して立ち上げて、というのが、背景というか立ち上げの経緯という形になりますね。

石橋
豊福さんが提案して始まったって感じなんですね。

豊福
そうですね。ちょうど経営戦略部にその時所属してまして、新規事業自体をやっていくというのは会社としても非常に重要なミッションだった時に、CVCみたいな方法というのをきちんと提案して会社に「是非やりましょう」って言ったら「やろう」と。「じゃあ、やるよね」って言われたんで、「あ、やります」みたいな感じで。主語が途中から会社から僕みたいな感じに変わっていきつつ、そのまま提案してやらせてもらったという機会をいただいたって感じですね。

石橋
まだまだ最近CVCも増えてるじゃないですか。とはいえ、CVCってソリューションに出会うっていう機会もあまりないのかなと思うんですけど、豊福さんがその経営企画の中で、VCとかCVCを立ち上げていく必要性があるって思い始めたのはなんでだったんですか。

豊福
そうですね。もちろん自分たちでM&Aだったりとかそういったことも色々検討していくんですけども、どうしてもやっぱり個社個社の判断になってしまうというか。その自体がうまくいったとしても、じゃあそれってどういう意味があるのっていうのを本体の事業規模から比べるとそういうところも出てくるかもしれませんし。

石橋
規模が大きいですからね。

豊福
まだ失敗したら失敗したで、どちらかというとコンセプトはいいんだけどその会社の課題でということになってしまったりとなると、継続性みたいなところを考えると、ポートフォリオで組みながらいいところにさらに追加出資していくみたいなことも、結果としては今はそういう形でしてるんですけども、できる座組かなというか、仕組みかなというの思ったので。CVC自体はその時そこまで深くは考えてなかったですけど、やっていく中では非常にいい仕組みになったかなと思ってますね。

石橋
いいですね。今日はちょっとその仕組みのところも是非1弾2弾の動画でお伺いしていこうと思ってるんですけれども、まずは外観のところというか基本情報も押さえていきたいんですが。OLIさんの運用してる金額で言うと、どのぐらいの規模をスタートアップに投資していこうみたいな今スタンスでいらっしゃるんでしたっけ。

豊福
元々設立した時は30億という形でBS(バランスシート)で出資する形にしてたんですけども、去年の10月に拡大しまして、プラス100億ということで130億円という形で今、運営をしてるという形でありますね。

石橋
おめでとうございます。

豊福
ありがとうございます。

石橋
その累計で言うと130億円は現在も運用されてるわけだとは思うんですけれども、累計すると投資先というのは今何社ぐらいスタートアップにはもう既に出資はされてらっしゃるんでしょう。

豊福
投資は19社ベンチャー投資はしてまして、あとはベンチャーキャピタルの方にも7本ぐらいにしてますね。

石橋
結構VCファンドのいわゆるLP投資も積極的にやってきていらっしゃったって感じだったんですね。

豊福
そうですね。当然最初にやる時には自分たちもあまり知識がなかったですし、そういった経験を積んだ人も中途採用でいるわけでもなかったので、LP出資を最初させていただいて、そこで色々投資のイロハというか、お作法を学ばせていただいたっていうところの意味合いもありましたね。

石橋
ありがとうございます。ちょっと後ほどそこも是非ブレイクダウンできればと思いますが、一旦スタートアップの方々の、これ起業家の方が多くが見ているので、そっちのご質問していければと思いますが、今まで19社投資されてる中で、大体チケットサイズですとかどういう領域に投資してきているとか、そういうところちょっと改めてお話しいただければと思うんですけどどうでしょう。

豊福
そうですね、チケットサイズというところでいくと、実績ベースで行けば3000万から1億みたいなところが最初の投資では今までの実績としてはありますと。

石橋
1社1億ぐらいも行くんすね。

豊福
そうですね、最初の方はそういう形をしてることが多くて、最近は大体3000万とか5000万とかが多いパターンがありますね。で、実際どういう領域かという観点でいくと、今注目してるところとしてはOMOみたいな言い方をしてまして、オフラインとオンラインがマージするような、そういった領域を考えてます。

自分たちもどちらかというとオペレーションが強い会社だなというに思っているので、しっかりとオペレーションを必要とするような会社さんのところに出資をして、出向みたいなところもしているんですけども、そこでバリューアップができるようなところを1つ切り口としてみていますね。

石橋
ありがとうございます。投資するタイミングみたいなところ、いわゆるスタートアップの方のステージと呼ばれるやつですね。僕らなんかで言うとシード・プレシード、創業期がメインだったりするんですが、3000万円から5000万円ぐらいがメインのチケットとなると、どういうタイミングでスタートアップの方とご一緒することが多いんですかね。

豊福
そうですね、メインとしては今はちょうどPMFしたぐらいの、我々としても適切なタイミングかなという風に思っています。ですので、シリーズAとかそれぐらいがベストなタイミングかなと思ってますね。

石橋
なるほどですね。だいぶ概観のイメージはしてきたんですが、リード投資とフォロー投資かっていうところでなんか方針は決まってらっしゃるんですか。

豊福
そうですね、まず大きく新規事業の目的で出資するものと、既存の事業に貢献するものっていうの2つでありますと。
新規事業の方で出していくものっていうのは先ほどの注目してるところ、OMOみたいな領域だったり、それに関係するような観光とか人材とか学びみたいなところがあって。

もう1つが既存事業の方に関しては、我々がやってる事業に貢献するようなものに関係していくってところがあって。シード系、3000万とか5000万っていう出していく方っていうのはどちらかというと新規事業の方で出していくやつで。既存事業の方に関係するものは、もう少しレーターのステージでも出してたりしますね。

石橋
なるほどですね。そこによってちょっとチケットも含めて、フェーズも投資対象のフェーズも異なってくるっていう感じなんですね。

豊福
そうですね。

石橋
ありがとうございます。ここから、これからやっぱり起業家の方が見ていただいてるとなると、オリエンタルランドイノベーションさんないしは豊福さんが、どういう起業家の方に投資をしていきたいと思われているのか。まさに昨年2024年の10月頃に100億円の予算が増額されたとなると、これからめっちゃ投資していく感じなんだろうなと安直に想像がつくので。 もちろん事業領域でも構わないですし、人物像とかでも構わないですし、こういうアグレッシブなチャレンジしてる人みたいなところを是非ちょっとお話いただければと思うんですけど、どういう人を探してますか。

豊福
まずどういう事業かみたいな観点と、どういう人がっていう、その2軸でお話するとすると、やはりそのどういう事業かみたいなところは、やっぱりオペレーションを持ってるようなところだと思ってます。

石橋
必須なんすね、ある意味。

豊福
そうですね。新規事業という鑑定においては、そういうところが我々として貢献できるところかなと思ってまして。我々もCVCとしてやってる時に選ばれないといけないというに思っているので、そうすると我々の強みがどこかっていうと、そういったところを1つ軸として考えていますと。
で、そうすると具体的な会社さんでいくと、NOT A HOTELさんとか、先ほど言ったコノセルさんであったりとか、もう1つ客室清掃のDXやってるEdeyansさんて会社なんですけど、全部こう何か施設を持ってたり、人を多く抱える会社だったりする、そのオペレーションっていうとが非常に重要な会社になっていて。

そこの中でもオペレーションという言葉でも、どっちかというと効率性を高めるというよりも、お客さんとの接点の中でホスピタリティだったりが生きてくるような点がKBFになるようなオペレーションというところで、我々が貢献できるようなというに我々としてはちょっと注目しているというところが、まず事業の視点という観点ではそうですね。

石橋
何でしょう、前ちょっと豊福さんと雑談させていただいた時に、CVCなんだけれどもPEファンドっぽい動きもしているみたいなお話をキーワードで伺った記憶がありまして。テーマが合えば必ずしもスタートアップじゃなくても投資対象になってくるみたいなイメージであってるんですかね。

豊福
そうですね、まさにおっしゃる通りそういうイメージを持っていて。我々としても、先ほどのコノセルさんみたいな事例も、最初に出資をしてその後20億、OLI単独で出させていただいたんですけども、そういう形でしっかりこう大きく取っていって。それでお互いを望めばグループインだったりとか、またそうでなくとしてもクロスオーバーでIPOされた後も持つとか。

そういった中の1つとして、そういった我々のオペレーション力っていうのを世の中に解放して、そこでこういろんなエッジの効いたアイデアっていうのが社会に還元されていって、社会的に価値を出していくっていうこと自体が、オリエンタルランドグループとして夢・感動・喜び・安らぎの提供していくっていうのが我々のミッションでありますけども、それの実現の1つの形かなと思って、そういうようなPE的なプレイスタイルっていうのもあってもいいなと思ってますね。

石橋
なんかこれ本当にCVCをやられてる方にとっても象徴的な話かなとも思いつつも、起業家さんですね。やっぱり実業をちゃんとやられてらっしゃって、場合によってはそれこそ施設運営とかをされてる方々だと、VC行こうとは思わないじゃないですか。

資金調達しようでエクイティやろうって言っても、VCやっぱちょっと違うかなって。 けど今日のお話とかをしっかり発信させていただくことの意義って、OLIさんしかり、そういうPEファンドっぽい投資もやってる人たちがいるんだっていうところは、なんか起業家の方からとってもすごくいい情報なんじゃないかなと思っているので。

是非なんか具体の話もお伺いしていければと思うんですけれども、まずは先ほどお名前も上がった、かつ2本目の動画で創業者の田辺さんにもご出演いただく予定なんですが、コノセルさんから。 なんで投資したんですかっていうところを是非お伺いを、もうちょっとブレイクダウンして深掘りしていきたいんですが。あの、コノセルさんのやっている事業と、田辺さんの簡単な他己紹介を豊福さんからお願いします。

豊福
はい、そうですね。まずやってる事業としては、OMO型の個別指導塾ってのをやっています。 元々田辺さん自身がスタディサプリの事業責任者であったっていうところもあって、そのサプリっていうところだったり、デジタルを使ってティーチングみたいなところをデジタル化していくってのが1つと。 ただやっぱりアプリだけだったり、デジタルだけだとなかなか「いつでもできる」勉強の環境っていうのは「いつでも勉強しない」ということと同義だったりもしたりするところもあって。

しっかりこう場があってみんなで生徒が集まったり、先生だったり講師のアルバイトの人が背中を押してくれるっていう環境があることが、その学びっていうのをより促進していくっていうのを田辺さん思われていて。それでリアルの場とデジタルの組み合わせたOMO型の個別指導塾っていうのをやってるっていうのがコノセルさんの特徴ですね。

石橋
元々コノセルさんとはどういう事業ステージのタイミングでOLIさんとしては出会われたんですか。

豊福
そうですね、シリーズAだったかその前だったかで、我々がLPで出資してるところの会社さんが出資してるタイミングで、そこであの紹介していただいたっていうのが出会いですと。で、まだその時には町田に2店舗しかない状況だったんですけども、今日だともう103教室ぐらいに、この4、5年で拡大しているんですけども。まそのタイミングでちょうど出資をさせていただいたっていうところですね。

石橋
店舗数は少ないということは、まだ生徒の数も少なかったかもしれないですし、売上規模ももしかしたら小さかったとなるけど、なんか何が起きて「これはもう絶対いけるでしょう」って思ったから、その時点でも投資したみたいな。当時の、まさに踏み込んだ「なんで投資したんですか」ってとこはどんな理由だったんですか。

豊福
そうですね。当時はそこまでPMFということを正緻に見ていたかというと、そこまではなかったかもしれないですけども。振り返って今、質問いただいて考えてみると、2店舗っていう中でもしっかり生徒が集められていて。で、かつモデルっていうことが、しっかり実現しようとする世界観ってよく分かって。

かつそれを拡大していく時に、やはり人の課題だったり組織の課題であったり、どう大きくしていくかみたいなところって、我々のオリエンタルグループのオペレーションが生きるんじゃないかという仮説を持って投資したっていう形ですね。

それが結果的に今は実現されてきてると思うんですけども、そういうのを見てやっぱりそういうタイミングってのがベストだったよね、だったらそれを言葉にするとPMFってタイミングなのかな、みたいなそんなところですかね。

石橋
PMFもすごい解釈がありとあらゆる人たちで別れる、いい意味で抽象度も高い概念だとは思いつつも、オリエンタルランドさんとかOLIの解像度というのも今のコメントで理解はできたんですが。 さらっと言ってましたけど、OLIさん単体で20億円追加で投資してるじゃないですか、コノセルさんに。

豊福
はい。

石橋
CVC、一旦ちょっとCVCで属性にしますと、CVCでこういうディールやれる会社いるんだっていうか、本当にエポックメイキング、象徴的な出来事だったし、今後オリエンタルランドイノベーションズさんとコノセルさんのディールをベンチマークじゃないですけど、すごい増えてく可能性もある取り組みなのかなと思ってたんですけど。 あそこまで踏み込んだ投資するってことは、最初にシリーズA前後でご一緒されてから、相当何かが成長したりとか、相当期待以上の何かが起きてないと、さすがにしないじゃないですか。

豊福
うんうん。

石橋
何があった、あのディールに至るまでのプロセスは何があったんですか。

豊福
そうですね。まず最初に2店舗のところから新しく教室を4、6店舗出していくっていう時に、我々のメンバー1人出向をしています。で、教室長という形で出向していったんですけども。

石橋
ゴリゴリ現場にいるんですね。

豊福
ゴリゴリ現場に行って。で、まさにその中から彼自身が中に入り込んで、教室の拡大していくための標準化をどういう風にパッケージ作っていくとか。あとは人事の施策とか制度もそうですし、勤怠とかそういったことも含めて整備していったっていうのもそうですし。あとは会社のミッションみたいなものを、しっかり新しく入ってくる人たちに、どんどん拡大していくので伝えていくみたいなところを彼が中心でやってきてまして。

その結果今103教室になっているということがホームページ上ではそうなってますけども、それの全体のオペレーションの本部長みたいなのを彼が4個か5個ぐらい上がってその仕事をやってるっていうところ見た時に、非常に相性はいいなと。その後2番目3番目に送った人も非常に相性、それぞれの個性を生かして良くて。

田辺さんからも非常に可愛がっていただいて、評価していただいてっていうとかあった時に、会社でのその中身もよく分かって、株主というだけじゃなくて、しっかり出向というのを通じて相手のこともよく理解できているとした時に、非常にいいパートナーだな、事業として素晴らしいなという風に思って、その20億というのを踏み切りましたと。

ただおっしゃる通り、もしファイナンシャルなプレイをするんだとすると、もう少しポートフォリオを組んで、100億のうちも1社に20%使うっていうようなプレイってなかなか、もし財務目的とするなら私も多分しないんですけども。
やはりオリエンタルランドという中で新規事業を一緒に作っていける会社ってなった時には、やっぱり大きく踏んで、その中でも1つでも大きいものができていく、で、またそういったパートナーを1つでも増やしていくって方がいいなと考えた時には、そういった時に少しPEっぽいプレイをした方がその目的に合ってるんじゃないかということで、そういうジャッジをしたというとこありますね。

石橋
今20億っていうサイズをお伺いすると、シンプルにやっぱ大きいなと思うんですけど、先ほどお話いただいた投資の、既存事業のサイドの方もそういった規模感で考えられてらっしゃるんですか。

豊福
いや、そこはそれほど大きいことを考えていなくて。そこはあの通常の既存事業とのシナジーを考えられるところの、CVCさんと同じ考え方で、どちらかというと少なめというか、5000万とか1億とか3000万とか、そういう形で貼らせていただいて、既存事業とちゃんと接続をして、より事業の貢献にできるようなところがっていうのを見極めていくって感じですね。

石橋
そこはちゃんとポートフォリオバランス考えながらっていうところでもあるんですね。

豊福
はい、そうですね。

石橋
もっと突っ込んで聞きたいんですが、その話は2本目の動画で、まさに田辺さん創業者の方も合わせてご出演いただいて突っ込んで聞いていきたいと思うので、2社目の投資事例の方に移っていきたいと思うんですが。 2社目の方の、改めて社名と代表名と、どういう会社なのか豊福さんに触れていただいてよろしいでしょうか。

豊福
はい。えっと株式会社Edeyansという会社でありまして、代表は片山さんと言われる方です。 で、事業自体としてはJtasと言われる、ホテルと、ホテルの清掃、客室清掃をやる会社の間の、そのコミュニケーションのSaaSを作っている会社で。かつ彼ら自体も清掃事業を自分たちでもオペレーションしてやっているという、その組み合わせをやってる会社という形ですね。

石橋
なるほど。Edeyansさんは出資されたのはいつ頃なんでしたっけ。

豊福
えっと出資したのは2024年の1月頃に出資をしてますね。

石橋
その頃で言うと、ご出資されたタイミングでどういう事業ステータスというか、事業規模でいらっしゃったんですか。

豊福
はい、そうですね。あの清掃事業自体はしっかりやりつつ、Jtas(SaaS)自体も何施設かに、何ホテルかに導入が始まってきているというところの状態でしたね。

石橋
今のそのEdeyansさんの事業領域をお伺いすると、オリエンタルランドグループとの親和性もありそうだなという風な想像がつくんですけれども。実際なんかそのタイミングで投資を踏み込めた理由と言いますか、どこに1番期待感を持って投資って実行されたんですか。

豊福
そうですね。やっぱり我々自体も、コノセルさんと一緒のような形であのオペレーションっていうのが重要な、Edeyansさんもそういう会社だと思っていたので。我々の持つオペレーション力ってのがもしかするとサポートになるんじゃないかなと。

例えばその客室清掃する上でも、彼らも事業を持ってますので、そういった中であの非常にやはり人の管理だったり組織を大きくしていく、また外国人採用をやっていくみたいなところが行った時に、我々自体もそういったところの経験はグループとして持ってるところもあるんで、そういうところで還元できる可能性があるんじゃないかというところを仮説を立ててやったっていう感じですね。

石橋
なるほどですね。先ほどのコノセルさんのケースだと、実際に社員の方から出向に、現場にも出向、投資先出向ですね、行かれて、よりシナジーというか戦略リターンも作ってきたお話のエピソードもいただきましたが、Edeyansさんの場合も何かそういった取り組みって始まってるんですか。

豊福
そうですね。Edeyansさんの場合は、グループ会社のところで清掃会社が我々もあるので、そことのコミュニケーションを強くしていたりっていうのもあったりしますね。 そこでしっかりこう、我々の成功してきたこともそうですし、失敗してきたもそうですし、そういったときちんと教訓してお伝えしつつ貢献してるというか、寄与してるってところがありますね。

石橋
なるほどですね。Edeyansさんって、今までもエクイティファイナンスとかVCがドカドカ入っててみたいな方ではないイメージなので、そんなにわざわざPRもされておらず、露出してなかったから、知らないVCの人も結構いたんじゃないかなと思うんですけど。OLIさんで何経由で知り合ったんですか。

豊福
そうですね、あの我々のメンバーがドアノックして、電話してっていう形か、何か問い合わせをしたみたいな、そんなことが最初だったという風に聞いてます。

石橋
PEファンドっぽいってのも変ですけど、本当に実業とか施設運営とかを伴ってる会社さんを、もうOLIご自身たちで調べて、どんどん積極的にアプローチを主体的にもしてらっしゃるって感じなんですね。

豊福
そうですね。ただオペレーションだけっていう会社だと、あまりそこに対してプラスのバリューってのがなかなか難しいかなと思うので。今回のEdeyansさんの場合っていうのはSaaSもあって、そこが組み合わさってっていうところもあるんで。そういう我々のオペレーションっていうのが、何かそのやろうとしてることにプラスアルファで生きて、掛け算になっていくみたいなところを探してるっていう方が、もしかするより正確かもしれませんね。

石橋
なるほどっすね。Edeyansさん、片山さんが創業者でいらっしゃるかと思うんですが、改めて片山さんにどういう、清掃業界出身だったりとか、どういう人物像でいらっしゃって、こういうところを魅力を感じてるから投資したんだ、みたいな感じってあられますか。

豊福
そうですね。片山さんとよくお話をする中で感じるのは、非常にフラットというか、誠実な方だなと思っていて。やはりチームの人たちのこういう意見があるからこうだということだったりとか、自分としてはこういう熱い思いがあるからこうだとか、そういったのをしっかり経営チームの中でもぶつけてるんだろうなっていうのがすごく分かる。

等身大でっていう表現が適切か分かりませんけど、悩みの部分もお伺いすることもあったりして、そういったところが非常に誠実性があるなという風に思ってるって感じですね。

誠実性というかフラットというか、しっかりと事業のミッションに思いつつ、利己、リターン、いろんな考え方あると思うんですけども、利己だけじゃなくて、しっかり利他っていうのを、利己をセーブしつつ利他を拡大していけるような人みたいなところが、片山さんにも当てはまるし、田辺さんにおいてもまさにそういう形で当てはまるなっていうところが、さっきの人の部分での見る視点というか、投資したいなという起業家かってところの性格みたいなところですかね。

石橋
この後の撮影でお会いできるのがシンプルに楽しみになるようなエピソードではあるんですけど。 今改めてそのEdeyansさん、投資された1年半前ぐらいから、どのぐらい今爆速で伸びていってるというか、劇的な成長を遂げてらっしゃるんですか。

豊福
そうですね、先ほどご説明をしたJtasというところの導入しているホテルの客室数でいくと、累計も3万というところの客室数を超えているという風には伺ってまして。

石橋
めちゃめちゃ伸びてますね。じゃあいわゆる著名な大手をどんどん抑えていってるって感じなんですね。

豊福
そうですね。まずアカウントをしっかりそのホテルのアカウントを開いて、そこで横展開して客室を伸ばしていくっていう戦略でやられてますけども、非常にそこが刺さってるなと。 やっぱり今自分たちでその実業やって、自分たちも清掃事業やってるんで、そこの課題をこうしっかりプロダクトに生かしてるってところも、プロダクトの性質自体もそうですし、セールスの観点でも非常にいいんだろうなと思っていて。

そのプロダクト自体の1回導入した時のチャーンは少なかったっていうのは認識をしているんですけども、それがそのまま拡大しても引き続いてそのチャーンは少ないなというところがあの今の実態として成長してるって感じですね。

石橋
最後にですね、そういった事例を持つようなオリエンタルランドイノベーションさんだと思うんですけれども、是非今後、こういうところを目指していこうと思ってるだとか、こういうところを成し遂げるために、ある意味今回、昨年の2024年10月に予算も増えられて、こういうチャレンジしていくんだっていうのを、見ている起業家の方向けにですね、メッセージいただければと思いますので、お願いいたします。

豊福
はい、分かりました。少し先ほどお伝えしたことと重なるんですけれども、やはり我々としてオリエンタルランドグループが持つそのオペレーションの力というところを世の中にしっかりと解放して。やはりHteというところで世の中の社会的課題を解決する場合もそうですし、またよりワクワクを作っていくという会社さんもそうですし、そういったところとしっかりと組み合わさって何か価値を出していくっていうことに、我々としては非常に力を注いでいきたいなという風に思ってます。そういった思いであの投資をしているというところを、もし頭に留めていただければと思います。

石橋
ありがとうございます。それでは第二弾でですね、もう少し突っ込んで、今日事例にもあがったコノセルさんの創業者の田辺さんも含めてお話を伺っていければと思いますので、よろしくお願いいたします。

【総額23.5億円出資】OLIが教育業界に仕掛ける「出向による事業伴走支援」とは?【オリエンタルランド・イノベーションズ 代表 豊福力也×コノセルCEO 田辺理】

◯田辺理 株式会社コノセル-CEO
株式会社コノセル▶https://conocer.co/
日本政策投資銀行、米国留学(UC Berkeley MBA)、BCGを経てQuipperに入社。
同社にてスタディサプリの事業責任者、グローバルでのプロダクト責任者等を歴任。
2020年1月、株式会社コノセルを共同創業。

石橋
皆さんこんにちは、スタートアップ投資TV、Gazelle Captialの石橋です。今回は株式会社コノセルCEOの田辺理さんにご出演をいただきますので、よろしくお願いいたします。

田辺
よろしくお願いいたします。

石橋
今回の動画では、実際第1弾でオリエンタルランドイノベーションズさんがコノセルさんにご出資をしているというお話もさせていただきましたが、これからオリエンタルランドイノベーションズさんから出資を受けようかなと検討されてる方にとって、より学びの深い動画にできればなと思っております。よろしくお願いいたします。

田辺
よろしくお願いいたします。

石橋
早速冒頭なんですけれども、ズバリ累計で申し上げると、オリエンタルランドイノベーションさん、OLIさんからコノセルさんはいくらご出資を受けていらっしゃるんでしたっけ。

田辺
金額だと合計で23.5億円になります。

石橋
23.5億円。むちゃ1番金額出資受けている株主さんなんですか?

田辺
金額ベースそうですね。最終ラウンドで単独で出していただいてるのもあって、1番金額を出していただいてますね。ちょっと、内訳をお話しした方がいいですか。

石橋
ぜひぜひ。

田辺
元々がシリーズAの時に、僕らがシードの時からお付き合いのあったジェネシア・ベンチャーズさんのご紹介でお会いをして、シリーズAの時は本当に最後にご参加いただいたような感じで。ただそれでも5000万円を出していただきました。で、シリーズAからBの間に僕らの場合結構期間があって、JKISSを少し修正したようなブリッジラウンドをやりました。ブリッジを5億円やった時に、3億円をオリエンタルランドイノベーションさんに出していただいて。

石橋
あ、そうなんだ。

田辺
なので、そのシリーズAからそういうずっとお付き合いがあって、最近の20億円のシリーズB単独っていうのに至っているということなので。結論の金額大きいんですけれども、多分豊福さんも同じ気持ちだと思いますが、お互いに色々なチェックがあって。

石橋
はいはい。

田辺
それからこれぐらい大きな金額を出していただけてるのかなと思ってます。

石橋
やはり第1弾でも軽く申し上げていたんですが、CVCの方々が単独でその金額出資するって、まあ業界的に見てもほぼ聞かないお話かなとは思ってるので、ちょっとその内情とか内側は詳しくお伺いしていこうと思うんですが。改めてコノセルさんがどういう課題を解決するために創業されていて、どんな事業を創業期から展開されてるのかってところをご説明いただいてもよろしいでしょうか。

田辺
はい、分かりました。私たちがまず取り組んでいる課題っていうのは大きく2つあります。
1つ目は、生徒側の課題で、それは生徒さんの経済状況によって受けられる教育のサービスの格差があるよねと。やっぱり手頃な値段で、本当に身近ないいサービスってのはなかなか少ないんじゃないかっていうのが1つの課題意識です。

もう1つが、我々はリアルビジネスやってるんですけど、そうなってくるとやっぱり先生側の問題っていうのがあって。これ教育業界のような目の前のお客さんがすごい喜んでくださる業界では起きがちだと思うんですけど、頑張りすぎちゃう。

石橋
先生が頑張りすぎちゃう。

田辺
そう、先生が頑張りすぎちゃうから、結構その先生っていう職業の魅力が下がってきている。だったら先生っていう、やっぱり本質的には素晴らしい職業をもう1度いいものにしようっていうことで、先生の労働力不足とか労働環境改善。で、この2つを解きたいってのが、ちょっとわがままというか欲張りなんですけど、それが僕らの大きなテーマになってます。

石橋
確かに。改めて、元々なんでそういう事業体で起業されたというか、田辺さんのご略歴みたいなところも簡単にお話しいただいていいですか。

田辺
はい。そしたら、この会社に直接関係するところで言うと、前職がQuipperという会社で、そこからEdテックの業界に入っています。

石橋
はいはい。

田辺
で、前職にいる間にリクルートグループに買収をされて、それから私はQuipperの日本を見ていたので、その縁でスタディサプリっていうのを結構見るようになりましたと。

石橋
はいはい、みんな知ってますね。

田辺
そうですね。バンバンCMやってるんで認知はすごい高いかなと。で、私が入ってからの5年間の間でも、BtoCの学生向けのアプリもやりましたし、BtoB、またBtoSという学校向けの営業もやりましたし、あといわゆるピュアなBtoBとしての塾向けなんかもやってきましたと。
で、私の大きな学びがいくつかあって。1つは、取り組み始めた頃っていうのは割と無邪気に「いいアプリを届ければみんな勉強するだろう」と思っていたけど、それはそんなことはないなと。

石橋
うん。

田辺
世の中にいい参考書があるのに勉強しないのはなぜかと言うと、やっぱり勉強するのが難しいであるということで。ただアプリを生徒に届けていたのは、じゃあ100人の生徒のうちの100人に届くかっていうとそんなことはなくて、やっぱり10人、20人のやる気ある子だよねと。で、本当に勉強しなきゃいけないのってそうじゃない子たちだなとした時に、じゃあこの人たちにどうやってサービスを届けるかと考えると、じゃあやっぱり塾さんと組もうと。

学校・塾に営業に行くんですけど、学校・塾は基本的に紙の教材使っていて、冒頭お伝えしてる通り結構忙しいですと。したら、足し算でデジタル教材持ってこられても困っちゃうよと。ということで、意外と使っていただけない。

マスの教育を変えようと思うと、BtoCのアプリプレイしててもダメだし、BtoBで営業しててBtoB SaaSしててもダメだなという風に考えまして。じゃあ最後は自分たちがBtoCのリアルの授業を立ち上げると何かあるんじゃないかなと、6年ぐらい前に思いまして。で、思い立ってBtoC ×リアルで学習塾で起業したっていうのが流れです。 なので、最初からこういうことやろうと思ってたわけじゃなくて、これしかないかなっていう感じで始めました。

石橋
スタディサプリの現場感を圧倒的に知っていらっしゃったからこそ、見えてきた課題というか一周回ってこれだなっていう。

田辺
そうですね。もうこのやり方じゃないと、こういう古くて大きい産業は変わらない。VCの方も多くそういった肌感覚を持ってらっしゃると思うんですけど、その典型的な事例なんじゃないかなと思ってやりました。

石橋
ありがとうございます。外観から見える情報だと「順調なんだろうな」っていうのは素直に思うところなんですが、乗り越えてきたハードシングスとか大きな壁だったこととかってあられたんですか、この約6年間ぐらいで振り返ると。

田辺
この業界の方なんでよく分かると思うんですけど、うまくいくことって基本的にないですし、大変なことはもう毎日毎月ある。まずいくつかキャッチーなので言うと、箱物で起業したらコロナが来た。

石橋
ああなるほど。

田辺
2020年1月に会社を始めたらコロナになって緊急事態宣言が出た。分かりやすいハードシングス1。

石橋
はい。

田辺
あとはそうですね、やっぱり資金調達のために、こういう業態なのでやっぱり好き嫌いが分かれますから。

石橋
いや、そうでしょうね。

田辺
本当、投資家さんには50社ぐらい毎回お会いして、基本的には厳しいフィードバックをいただく。

石橋
うんうんうん。

田辺
みたいなこともあるので。そういう感じですかね。

石橋
ちなみに、いわゆる学習塾を運営されている上場企業様、もちろん複数社いらっしゃると思うんですけれども、あんまりエクイティ調達をしてとか、VCからやってみたいなところで事業伸ばされてる、そういう経営スタイル取られてる方って、相対的には少ないのかなと思ってはいるんですけれども。田辺さんがコノセルさん創業されて、エクイティ調達も受けながら伸ばしていこうと決められた理由とかってあるんですか。

施設運営系、いわゆる施設系のビジネスであれば、デッドファイナンスも引きやすいのかなと思ったりもしますし。

田辺
なるほど。そういう意味では、まずデッドファイナンスが端的に言うと難しいってのは1つあると思います。デッドファイナンスをある程度の規模でやるっていうのは、まず経常黒字2期連続みたいなのが、まずほぼ絶対条件として出てくるんじゃないかなということと。 銀行さんが考える、私元々銀行出身なんですが、基本的にEBITDAの何倍でしか借入はできないよっていうベースラインがあるんですね。

石橋
はい。

田辺
なので、そうすると僕らのように急速に発展をしようと思うと、やっぱりエクイティリスクになってくるっていうのが現実問題としてあると。で、逆にそれは分かっていましたし、それで引けるだけ引いて頑張りきれば、事業キャッシュフローで十分回る世界持っていけるっていうので、そこまで走れるかどうかの勝負だなとは思ってました。

石橋
そこからもう初手の初手というか、早期の頃からエクイティでも調達されてたって感じなんですね。

田辺
はい。もうだから新規出店の赤字も含めてカバーできる図体まで、どうやって最速で大きくなるかって、そういうゲームだと思います。

石橋
いいですね、ありがとうございます。直近ラストラウンドという表現もされていらっしゃいましたけれども、ラストラウンドで20億円単体でご出資受けてらっしゃると思うんですけれども、それを受けて、どういうところを今後短期的には目指していくのかみたいな、こういうような連携していきたいよねってところを軽くご説明いただければと思いますがいかがでしょう。

田辺
そうですね。じゃあいくつかの要素に分けてお伝えをしますと、まず大きな意味で何をやるかという意味だと、生徒の経済環境によらずいい教育を手頃な値段で受けられるようにするとか、先生ってのは魅力的な職業だってことを世の中に新しく理解を改めてしていただく、こういうことを皆さんに理解していただくっていうのが、まずやるべきことだと思っていて。

そう考えると我々今100教室あるんですけども、小さいよねと思っています。例えば外食さん、小売さんで誰でも知っているものの数を見ると、首都圏で大体やっぱり300とか普通にあるわけですよね。それぐらい目にして初めて「あ、これって普通のサービスなんだ」っていう風に多分マスの認識が変わると思っているので、まずその認知量までどうやって走っていくかってのが1つやるべきことで。 多分ここまでやって初めて「あ、こういうアプローチがありうるかもしれない」って皆さんに思っていただけるっていうのが、会社として大きな意味でやるべきことかなという風に思ってます。

資金面で言えば、かなり手当てはできているので、じゃあ既存事業ちゃんと育ててそこから生むキャッシュをちゃんと効率的に投資をしていけば、今言ってる規模まで走っていけるだろうという風に思っています。
じゃああとはクオリティコントロールであり、サービスの質の改善、ここをどうやってしっかりやっていくのかと。

ここで、なんでオリエンタルランドグループさんなのかっていうのが出てくるんですけれども。やっぱり僕もどちらかというとデジタルというかIT出身の人間で、やっぱり、500教室ぐらいあるとお客様3万人とかいらっしゃるんで、そういうのをどうやってリアルでマネージするかっていうのは1つの挑戦ではあると思っています。 他の塾さんとかからも当然学ばしていただくんですけれども、やっぱり我々は「500拠点でクオリティを担保したい」みたいな、ある種ちょっと教育産業とは違うコンセプトでやってるので、やっぱり他業種からの学びが重要だなと思っていて。

我々がこれから教室展開を増やしていくと、例えば今100で、これが300、500となっていって。そうすると例えば300の時って、おそらく教室運営に関わる人だけでも400名近い人たちが毎日やると。で、その我々の特徴としては、お客さんが思春期の中学生とか小学生なんで、現場が結構混乱をすることもよくありますので。

そこでどうやって品質を担保しながら、300あって本部から全部が見えない中で、どの教室でもお客さんが毎日満足して帰っていただけるか、やるべき教育サービスを提供して帰っていただけるか。こういったオペレーションを作っていくところを、オリエンタルランドさんと是非一緒にやっていきたいなと思ってます。

石橋
でも確かに、そういう現場感を想像すると、1番やっぱり相性が良さそうなのは、ほぼ筆頭にオリエンタルランドイノベーションさん出てくるの、すごい頷けるというか。

田辺
これは本当にたまたまタイミングが良かったなと思っていて。オリエンタルランドイノベーションズさんがファンドを作られて、かつファンドから直接LP投資じゃなくてやられるタイミングで運よくお会いできて。しかも最初の頃に入っていただいてたんで、僕らが大きくなる間の数年間、ある種DDをしながら踏み込んでいただけたっていうのは、タイミングの妙かなとは思いますね。

石橋
確かに。ありがとうございます。ちょっとここからは、まさに今お名前最後にも挙げていただいたオリエンタルランドイノベーションズの豊福さんにもお話を双方から伺っていければと思いますので、よろしくお願いします。

田辺
はい、お願いします。

石橋
はい。それではここからは改めてオリエンタルランドイノベーションズの代表取締役である豊福さんにも来ていただきまして、実際のところをお伺いしていければと思うんですが。先ほど第1弾でもちょっと一部お伺いはしましたが、まずはシンプル、ズバリ、なんでOLIさんがコノセルさんにご出資をされたのか、みたいなところを、ちょっと豊福さんから一言で申し上げると、どんなところなんでしょうか。

豊福
我々オリエンタルランドグループとしても子供のハピネスみたいなところに対して注目してるのが1つあります。もう1つは、そのオペレーションというところが我々として貢献できるところがあるんじゃないかということで、出資をしたっていうのが経緯ですね。

石橋
ありがとうございます。田辺さんからは先ほど3回に分けてご出資のラウンドがあった、機会があったってお話を伺いましたが、1番最初の投資の時は、先ほど豊福さんから「2店舗のステータスの時に投資をされた」っていう風に伺ったんですけれども。その規模の時にも、何でしょう、決め手になったところとか。で、その次のラウンドでも3億円投資されてるので、どういうところがそれぞれのラウンドで投資の決め手になったっていうところだったんでしょう。

豊福
そうですね。最初のところは2店舗でもしっかりと仮説が検証されてるなってのが1つのところで。その後は、順調に、田辺さんは「そうじゃない」という風に言われるかもしれませんけれども、しっかりと我々の視点からすると順調に拡大されていて。 我々、出向者を送ってるところもあるので、その人間から見ても成長していて、いい意味での成長痛での課題もあるっていうところもあったので、そこはリアルにその情報を得て判断してきたというところもありますね。

石橋
ありがとうございます。改めて、何度かその「出向」というキーワードもOLIさんで言うと特徴的なのかなと思うんですけれども、何社ぐらいの投資先に出向されてるですとか、そもそもなんでそういう取り組みをされてらっしゃるみたいなところ、お伺いしてよろしいですか。

豊福
出向自体は4社か5社ぐらいには行ってまして、累計6名という形で出向してます。コノセルさんには今現在3名という形で出向しています。

石橋
めちゃめちゃいますね。「いますね」って言い方は良くないですね。

豊福
そういう形でしています。先ほど言ったオペレーション作っていくみたいなところって、何かこう文書でお渡ししてできるっていうようなものではなくて、どちらかというと中で一緒に作っていく、まさに文化を作っていくというか慣習を作っていくというところなので。 それっていうのは、やはりオリエンタルランドグループで経験した人間が中に行って作っていくのが1番いいのかなというのを思ってるっていうのが1つの背景です。 また、自分がスープストックに出向したっていう経験もあって、大企業のそういった経験と成長している企業のこのブレンドっていうのが非常に価値を出す可能性もあるんじゃないかなっていうところもあって。人材育成の観点もありますし、その人にとっても成長する観点にもなるかなというところもあって、その出向ということを1つの切り口として行ってますね。

石橋
ありがとうございます。その出向受けてる側の田辺さんにもお伺いしていきたいと思ってるんですけど、実際その受ける側としては、隣にいますけど忖度なく、実際どうなんだろうなって、これちょっと教えていただきたいです。

田辺
じゃあ、今3人受け入れてるってことは、結果すごい良かったっていうことなんですけど。最初はですね、まず多分出資をご検討いただく時点から「できれば出向もしたい」と。

石橋
へえ。

田辺
やんわりとしたことは聞いていて。

石橋
はい。

田辺
で、出資を受けますと。そうするとお金だけいただいて「ありがとうございました」ってわけにもいかないかなと。

石橋
はい。

田辺
そう行かせる技もあったのかもしれないんですけど、いかないだろうなと。

石橋
うんうん。

田辺
最初は結構僕ごねた記憶がありますね。まず人数もすごい少なかったですし、結構やっぱりカルチャーフィットだったりフェーズにフィットする人材をこっちは厳選しているつもりだったと。一方で出向いただくとなると、そこの選考プロセスは我々は噛めないと。

石橋
うんうんうん。

田辺
いうのはもう明確に言われていたので、「誰が来るかわかんないのは嫌だ」と。

石橋
まあそうですよね。

田辺
「最悪お返ししてもいいですか?」みたいな話をちょっとして、本当に合わなかったら仕方ないね、みたいなことを話し合った上で最初の1人を受け入れたと。というのが経緯ですね。なので、おっしゃる通りで、最初から「これは間違いなくいい施策だ」と思ってたわけじゃないです。ただ、やってみたらすごく良かったですね。

石橋
どこが田辺さん、当初の想像と全然違ったんですか。

田辺
当初は、深く想像していたわけではなくて、少ない人数の中に1人増えるってことのインパクトが大きいんで、普通の採用でも怖さがあるのと同様だったと思います。 で、来ていただいた方はすごく良かったですね。この「大企業から出向してきてる」っていう認識がご本人にもなかったんじゃないかなっていうぐらいアグレッシブだったので。今もうちの会社の中でも「彼が出向だ」っていうのはもう鉄板のネタになっていて。

石橋
そんなにもうカルチャーフィット含め、もう馴染んでるんですね。

田辺
馴染んでますね。だから、みんな「オリエンタルランドさんに出向して返すんじゃないか」みたいな、それぐらいの認識をしてる雰囲気があるぐらい馴染んでますね。

石橋
へえ。そういう1人を、どういう風に決まっていってるんですか。

豊福
そうですね、ほとんどの場合が人材公募という形で行ってます。なので、コノセルさんの場合もコノセルさんのこういう業務、みたいなところを明示して、そこに手を挙げてきた人っていう形で、その中から選んでるって形ですね。 オリエンタルランドグループっていうことで、何をしないといけないかってことに対するロイヤリティがきちんとありつつ、その中でしっかりと出向先に対しても高いパッションを持って熱いミッションを持って行うというようなそういう人っていうのを選んでいて。で、もちろん所属の評価みたいなところも合わせつつ、面接だったりっていうのを行って、という形ですね。

石橋
なるほどですね。ちなみに、先ほど1番最初の方の出向のエピソードはいただきましたけど、何でしょう、今は3人の方がいらっしゃるってお話でしたが、どちらからのお話で実現に至ってらっしゃるんですか。

田辺
これは毎年のように僕がお願いをしてます。

石橋
そうなんですね。

田辺
で、これ1人目の方に来ていただいて、2人目で確信に変わったんですけど。皆さんも中途採用やってると感じると思うんですけど、やっぱりいい事業会社に新卒で入ってる人で、かつ転職回数が少ない人って、中途市場で言うと多分プライム人材なんです。

石橋
なるほど。

田辺
で、それが出向って形で来てくれる。で、やっぱりスタートアップに中途で来る人って、ある程度そのリスクを取るようなタイプだったりするんですけど、やっぱり出向で来る方って、それももうちょっとちゃんとしてたりするので。そういうなかなか稀有な人材と毎年出会えるチャネルだなっていう僕は認識を改めてから、毎年恥ずかしげなくおねだりをしてます。

石橋
なるほどですね。オリエンタルランドさん的にも願ったり叶ったりっていう感じなんですか。

豊福
そうですね。「毎年毎年」って話、初めて聞いたんで、そう言われるとそうだなと思いましたけれども。でもそういった形で、1人だけじゃなくてしっかりといろんな人が関わって、その出向してる人間もそうですし、投資してる側の人間もそうですし、そういったところでオリエンタルランドっていうところを、その人間たちを通じて理解していただいてるってのは非常に嬉しいなと聞いて思いました。

石橋
ありがとうございます。是非最後に、それぞれの目線で是非メッセージとしていただければと思いますが、一旦田辺さんからお願いしてもよろしいでしょうか。

田辺
僕の中では、やっぱりサービスを提供するプレイヤーとしては、競争、コンペティションの方でやっぱり追いつきたいなという風にすごく思ってます。 テーマパークに行くとクオリティすごい高くて、今までは純粋に楽しめたんですけど、「あ、この出向に来てた人たちがやれてるんだよな」って思うと、「じゃあなんで僕らが今のサービスでこのレベルにできないんだろう」と思うようになっていて。 そういう意味で、非常に高いレベルのベンチマークとしてこれからも学んで、いつか近づきたいなっていうそっちの気持ちはすごい強いですね。

石橋
ありがとうございます。是非豊福さんからもメッセージいただければと思います。

豊福
そうですね。やはりオリエンタルランドグループとしては「夢・感動・喜び・安らぎ」っていうのが我々のミッションで、それを今テーマパークの事業だったりリゾートの事業で実現しているところあると思うんですけども。 やはり我々のそのビジョンっていうのは、それ以外の事業でも成し遂げていけるなといった時に、やっぱり自分のことをしっかりと認めたり、自己肯定感を高めたりとか、そういった人としての喜びっていうのをやっていくっていうことでいくと、田辺さんのやられてる事業って非常に共感しますし、そこの親和性も高いと思っていますので。そういった世界観っていうのを、しっかり共同投資の中で実現していきたいなと思ってますね。

石橋
ありがとうございます。改めて今回第2弾に渡りまして、今回またご出資先の起業家の方、ご本人にも来ていただきまして、改めてお2人ともありがとうございました。