【南都キャピタルパートナーズ】南都銀行の顧問を経て、銀行グループのVCファンド代表取締役に就任⁉︎|スタートアップ投資TV
◯堺敦行 南都キャピタルパートナーズ株式会社 代表取締役社長
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公式HP▶︎https://www.nanto-cap.com/
トーマツにて法定監査に従事後、経営共創基盤(IGPI)にて企業再生、事業・財務DD、新規事業開発、投資業務に従事。南都銀行顧問を経て、当社設立と同時に代表に就任。公認会計士
Windows 95との出会いが起業への原点に
石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。
今回から、南都キャピタルパートナーズの堺さんにご出演いただいておりますので、堺さん、今回からよろしくお願いいたします。
堺:
よろしくお願いします。南都キャピタルパートナーズの堺です。
石橋:
もともと堺さんとは、業界のカンファレンスイベントと言えばいいんですかね、そのIVS(Infinity Ventures Summit)というイベントで登壇をしていらっしゃるところに僕の方からご挨拶をさせていただいて、今回ご出演をいただいているわけですけれども。
改めて僕自身もまだまだ堺さんのことを知らない部分も少しあるかなとは思っているので、本当に人となりのところからいろいろお伺いをしていければと思うんですけども、もともと堺さん、どういうところからキャリアは始まっていらっしゃるんですか?
堺:
学生ぐらいから遡ると、大学生ぐらいのときに、いわゆるITバブルという時代だったんですね。2000年前後ぐらいで、そのときに自分自身では起業したいと思っていて。
ちょうどWindows 95が出たときに中学生で、PC9821というNEC(日本電気株式会社)のパソコンを親に買ってもらったんですけど、そこから結構面白いなと、これは世の中だいぶ変わってきそうだなと。そこにはずっと関心を持っていたんですよ。
大学生ぐらいのとき、当時のパソコンは1台30万円くらいしたんですよ。買うとよくわからないソフトがいっぱい入っているんですよ。こんなの買っても普通の人はいらないじゃんと。
パソコンはもっとみんなが持つべきものだなと思っていたので、当時の普及率は40%ぐらいだと思うんですけど、これをもっと安く作ったりできないかみたいなことをそのとき考えて、起業しようみたいな思いを持っていたんですよ。
アメリカ旅行での散財が会計士への道を開く
堺:
そのときに、起業するにはアメリカに行って勉強しようとよくわからないことを思ったんですよ。大学1年の夏に1人でアメリカに1ヶ月ぐらい旅行したんですけど、いろんな大学とかを見たりしていて、そんなこんなでアメリカを楽しんで家に帰ってきたんですよ。
その後、アメリカで買ったもののクレジットカードの請求が来たんですよ。当時1ドル100円ぐらいだったので、20ドルは2,000円ぐらいですよね。20と書いてあると安く見えるんですよ。だから、いっぱい買い物しちゃったんですよね。
結果、いっぱい請求がきて自分では払えないので、最終的に親に泣きついて払ってもらったんですけど。そのときに思ったんですよ。起業しようと思っていたけど、基本的なお金の使い方もできないのはヤバいなと。これはお金の勉強をするところから始めようと。
そのときにちょうど高校時代からの友人が会計士試験の勉強をしていたので、「お前も会計士になったら金のことわかるぜ」と。じゃあやってみようということで始めて、運よく学生のときに受かりまして、監査法人に入ったんですね。
ベンチャーキャピタリストとの出会いが転機に
堺:
最初は大企業の監査をやっていたんですけど。あるとき、たまたま縁があって産学連携系のベンチャーキャピタル(VC)の監査をやることになりまして、初めてVCみたいな人たちと出会ったんですけど、この人たちは見ていることが違うなと。
僕らはそれまで内部統制がどうだとか、この数値は縦計が合っていませんとかやっていたんですけど、この人たちはそうじゃなくて、このビジネスがどうなるか先の話をやっているなと。
おそらく登っている山は一緒かもしれないけど、見ている角度が違うし、彼らの見ている角度がすごい面白そうだなと。
話していると自分も得るものもあったので、僕もそういうビジネスをちゃんとビジネスとして見る世界に行きたいなと。そのときにちょうどコンサルティング会社に行こうと思ったんですね。
リーマンショック直後に経営共創基盤へ、事業再生から成長支援へ
堺:
時はリーマンショックの直後ぐらいでして、ほとんど全ての戦略コンサルティングファームみたいなところは門戸をかなり絞っていると。いくつか面接も受けて、ある程度通ったんですけど、その中で株式会社 経営共創基盤(IGPI)という、冨山和彦さんという方がやっている会社がありまして。
冨山さんのことも前から存じ上げていたので、面接も受けて運良く通りまして、いろんな形で企業とか事業の価値を作り上げていくんだという話を伺って、これは面白そうだなということでジョインしたというのが最初ですね。
そこでコンサルティングの世界に足を踏み入れまして、最初は再生ばっかりやっていましたね。
石橋:
時期的にそうなりますよね。
堺:
そんなことをやったりしていて、世の中自体がだいぶ良くなってきたので、成長支援とかの話もテーマとして増えてきたんですね。
会社としてもともと経営共創基盤が最初に110億円ぐらい集めていたので、それも使って投資もしていこうという話がありまして、1つのテーマとして産学連携系のVCに投資をしていこうという文脈がありまして、そこのチームにジョインして、東京大学発のベンチャー企業とか早稲田大学のベンチャーとか、そういうところにいくつか投資をしていました。
ディープテックの難しさを経験、独立へ
堺:
大学発ベンチャーは特に僕らがやっていたのは、今でいうディープテックという世界なので、本当に大変でお金がかかるんですよね。この技術を応用できる範囲は結構あるなとか当然いろいろあるわけですけど、その1つ1つに行き着くまでのお金のかかり方がえげつないんですよね。
そんなこともやって、自分としては経営共創基盤の中でやれることを結構やったなというのもあったり、縁もあって次の話もあったので辞めたというか、1回独立していろんなところの支援をやっていたんですね。
IPO(新規株式公開)の支援のオペレーション業務もやったりしましたし、オープンイノベーションみたいなことをサポートする会社をやっている友人がいたので、一緒にそういうのをやったりとか、手伝ったりしていて。
そんなときに、経営共創基盤時代の先輩に地銀の仕事をやるから手伝ってくれと言われて、その人はもともと金融庁に出向していたんですけど、お手伝いするようになっていったのが株式会社南都銀行だったと。
東京生まれが奈良の地銀でVC代表になるまで
石橋:
南都銀行の地場である奈良とかと、何か所以があるわけではなく?
堺:
全くないです。私は東京生まれ東京育ちで、もう完全にご縁ですね。コンサルから入って顧問という形で、銀行全体の経営計画の策定とかに関わっていまして、銀行として成長ストーリーみたいなものを書いていたというのがあって、その中でエクイティをきちんと使っていかないといけないと。
その文脈で、新しい会社を作ろうという話が出てきたんですね。それが銀行グループの中の投資会社みたいなものを作ると。最初は、私が自分でやるということを想定していなくて、「誰かいませんかね?」みたいな。そうしたら「堺さんどうですか?」みたいな話になって。
ある程度、投資を久しぶりにやって、かつ地域と絡んだところで何かできることがあったら、それはそれで面白いし。ある意味これは、学生時代に会社を作りたかったとか、自分でやってみたかったという気持ちが冷静に考えるともともとあったなと。
バックトゥベーシックじゃないですけど、もう一度戻ってみたら、自分の組織みたいなものを作り上げていくこと自体が面白いのかなと思って、会社を作って代表になったというようなところです。
銀行の成長戦略の中核としてのVC活用
石橋:
ちなみに勉強のための質問になってしまうかもしれないんですけど、最初は南都銀行さんに関わり始めて、全体の戦略であるとかコンサルタントとして動かれている中で、なんでVCを作ろうという話に南都銀行さんに対してご提案というか、そういう動きになっていたんですか?
堺:
順番から言うと、実は南都銀行は先にVCを作っていたんですよ。南都銀行がリミテッドパートナー(LP)になって作っていたやつがありまして、そこのアドバイザーとして関わったんですね。
銀行全体の戦略を作ったときには、そのVCの活用も含めて投資をきちんとやっていこうと。それはVCもそうだし、プライベートエクイティもそうで、要は地域の会社の承継だったり再生だったり、そういうこともテーマとしてはやっていけるかもしれないと。
いずれにしろ、銀行の融資の利ざやというのはすごく低いので、これだけやっていても苦しいという中で、投資をやっていかないといけないだろうというのは、あるべきストーリー。
大事なのはVCがあることではなくて、そのVCをどう活用していくと、自分たちの地銀としての強みの出た南都銀行ならではの投資ができるのか、そこをきちんと考えるということが一番最大のテーマかなと。
VC業は「総合格闘技」、飽きっぽい性格にフィット
石橋:
改めてキャリアとして振り返っても、VC業にここまでコミットするとは思っていらっしゃらなかったという感じなんですか?
堺:
そうですね。あまり思ってなかったです。VCの世界は総合格闘技だと思うんですよね。いろんなスキルが必要になりますし、何か1つすごい強みを持って、他のものはうまくやるということで。
昔、再生をやっていたときも、再生は総合格闘技だなと思っていたんですけど、総合格闘技好きなんだとは思うんですよ。
結構飽きっぽいので、1つのことだけをやるよりは、複数の会社を見ているとすごく楽しいなというのがあって、その話が来たときに「綺麗にハマるな」と思って。そういうところかなと思っています。
石橋:
ご自身にとってのやりがいみたいなところは、まさに今お話いただいているところが完全にフィットしていたという感じですか?
堺:
そうですね。フィットしましたね。南都銀行の方々、皆さん人がいいというか、外の人に託してくれるというのはなかなか難しいですけれども、最初に私を南都銀行のプロジェクトに誘ってくれた先輩が、今南都銀行の副頭取になっていまして。
石橋:
副頭取になってるんですか!?
堺:
そうなんですよ。そういう関係もあって、南都銀行がこの日本で一番古いエリアの銀行なんですけども、今いろんな新しい血というか、外の血を入れながら、きちんと自分たちの向かうべき方向性みたいなものを探っていると。その中の一環で僕もいるというような形です。
石橋:
ありがとうございます。もともとは縁もゆかりもなかった奈良で、地銀系VCの代表をやられているのかというのが、だいぶよくわかってきたような気がします。
次回の配信では、そんな堺さんがやっていらっしゃる南都キャピタルパートナーズさんがどんなVCファンドをやられていらっしゃるのかというところを、深く掘り込んで伺っていきたいと思っておりますので、改めて次回もよろしくお願いします。
堺:
よろしくお願いします。
【南都キャピタルパートナーズ】︎地域の事業創出からSDGsまで!CVCファンドの実態に迫る!|スタートアップ投資TV
単独GPへの転換、30億円ファンドの全貌
石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。
今回も、前回に引き続きまして、南都キャピタルパートナーズの堺さんにご出演をいただいておりますので、堺さん、今回もよろしくお願いいたします。
堺:
よろしくお願いします。
石橋:
前回は、堺さんがどういう経緯で奈良の地銀である南都銀行さんに関わり始めて、南都キャピタルパートナーズに就任をされていらっしゃるのかというお話をいただいたわけなんですけれども、改めて南都キャピタルパートナーズさんがどういうファンドをやっていらっしゃるのかというところを、今回は深くお話を伺っていきたいと思っております。
改めて直近のファンドだと、どういったファンドでやっていらっしゃるんでしょうか?
堺:
今リリースしたファンドは、大体30億円のファンドなんですけれども、基本的に南都銀行の地盤である奈良県とその周辺、大阪、京都、和歌山、一部兵庫県で展開していらっしゃる企業、それから個人の皆さま、そういうところに何らかの価値を生み出せるような投資をしていくVCになります。
要は、ベンチャー企業に投資をして、単純に投資をするにとどまらず、その投資先を事業でもいいですし、拠点を作ってもらうのもあるかもしれないですし、あとはそこでやっているサービスを地域の事業者向けに展開してもらうのもありますし、南都銀行を含む地域の皆さまに価値を還元できるようなVCというのを考えて実行しております。
石橋:
今まで複数のファンドを過去にも運営していらっしゃると思うんですけれども、今回のファンドと何か決定的な差分は何かあったりするんですか?
堺:
これまでは、一部単独で我々がやっていましたが、基本的に大きなメインのファンドは、他のVCさんと一緒に共同のジェネラルパートナー(GP)という形で運営していました。
今回の新しいファンドは、南都キャピタルパートナーズが単独でGPをやるという形にしております。
4年の経験を経て、なぜ単独GPに踏み切ったのか
石橋:
そこはどういった背景から、最初の頃は外部のVCさんと一緒にやられていて、今回の新しいファンドで言うと、単独で始めるってことになったんですか?
堺:
南都銀行グループで新しくVCをやろうといったときに、銀行なのでLPとしての出資経験というのはもちろんありますと。
ただ、GP業務というのはこれまで金融機関でやったことがない業務なんですね。そういうときに、特にソーシング面で何の縁もゆかりもない人たちが急にやって、急に入って、急に事業の目利きをしてということができるかというと、当然ながらプロの世界なのでそんなに容易ではないですよねと。そのため、最初は知見のある会社と一緒になってやりましょうという形でスタートしていました。
一番古いファンドになると、作ってからもう約4年ぐらい経っていまして、その中でGPの会社さんと様々な形で連携して、途中から私どもの会社を作ってから、共同GPという形で関与してきているおかげで、知見もかなり溜まっていますし。
私は前職でも投資もしていましたので、そういったメンバーも入ってきたりとか、自分たちだけでやっていける体制が整ってきたかなと。
もう1つは、冒頭で申し上げた私どものファンドの特徴というのを考えたときに、どうしても他のGPさんと一緒にやっているときに、他のGPさんは当然ながら全体としての利益の最大化ということを主要論点で出してきます。
私どもは、ある意味コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)としての観点があるので、価値をどれだけ地域に還元できるかということにフォーカスしていきますと。やはりちょっと目線がずれがちですね。
私どものファンドとして、CVCという目的に照らすなら、私どもが単独できちんとやっていくというのは1つやり方としてあるのかなというようなところで、だいぶ我々自身も経験を積めて、我々としてのやり方の投資ができるようになってきたかなというようなところでございます。
ただ、これまで一緒にやってきた会社さんのファンドにも、できればいろんな形で関わっていきたいなというところは、銀行グループ全体としてはもちろん思っています。
平均5,000万円、アーリー後半からミドル前半が中心
石橋:
ちなみに直近の新しいファンドとしては、1社あたりどういうサイズ感だったりですとか、どういうラウンドからとか、そういった投資戦略みたいなところはどういった形なんでしょうか?
堺:
1社あたり中心になるのは3,000万円から1億円ぐらいの、平均すると5,000万円ぐらいのところになってくると思います。
ラウンドでメインになるのは、おそらくアーリーの後半からミドルの前半ぐらいのところ。要は、プロダクトないしサービスがある程度出来上がって見えてきていて、例えば地域の事業者にこういうものですというふうに紹介して、実際に使っていただけるような段階というのが一番イメージしやすいかなと思っています。
石橋:
いわゆるリード投資とかフォロー投資とかというところのスタンスとかってあるんでしょうか?
堺:
基本的にはフォロー投資が中心になってきます。私どもは地域に限らない領域で投資をしていますが、例えば、北海道の会社のリードをしますと言っても、なかなか物理的な遠隔性もありますので、難しいところもあって、奈良とかその周辺の会社であれば、場合によってはリードもやっていくというような形で考えています。
観光・DX・事業創出・SDGs、4つの投資テーマ
石橋:
何かビジネスモデルであるとか、こういうマーケットみたいなところは、投資ターゲットとしては何か決まっていらっしゃるものはありますか?
堺:
今テーマとしているのが、1つは観光事業に絡むものですね。当然ながら奈良県は観光地としては価値のある文化財がたくさんあります。
あとは、地域の生産性向上に資するものが1つ。これは、おそらく日本全国どこの地域でも必要だと思いますけども、デジタルトランスフォーメーション(DX)等を含めて生産性を高めていくことに寄与するようなサービス、プロダクト、こういうところには投資していきたいと。
もう1つが事業創出という観点なんですけども、実は奈良県という地域は、社長の地元率がすごく低いんですね。奈良県内の事業者の社長が、県外の人の率がすごく高いんです。
実はこれ、47都道府県で最下位だったりするんですね。これはあくまで仮説ですけれども、大阪府とか京都府という大都市が隣にあって、そこで作られている会社のチェーン店みたいなところが結構展開しがちというのが1つ。
ひょっとすると、あまり起業という意識がないのかもしれない。やはりいろんな会社の事業創出ということをしていきたいというのは強く思っていまして、そういうところに貢献するような何かサービスがもしあればということですね。
あともう1つのテーマがSDGsですね。これは、やはり銀行グループとしても掲げているテーマになっていまして、私どものファンドとして見たときに、この事業ってすごく価値があって世界全体を変えるかもしれないというサービスに、私どもの地域と関係ないから投資できないとなるのは、それはあまり意味がないかなと。
世の中全体を変えるようなサービスが、言ってみれば最終的にSDGsに落ち着いてくると思うので、そういったサービスに関しては私どもが投資をできる余地を残しておこうと。
一応、どれぐらいの割合ずつ投資しますよというテーマごとのポートフォリオは決めて、そういった形で取り組んでいこうというふうにしています。
READYFORで実現した、神社仏閣×クラウドファンディング
石橋:
地域とうまく連携をしている過去の投資先とか、分かりやすい事例とかって何かありますか?
堺:
スタートアップとして非常に有名なREADYFOR株式会社さんがあげられるかなと思います。
出資したときに、南都銀行から人を出向で派遣しています。私どものそもそもの狙いとして、先ほど観光領域に投資するということを申し上げたんですけども、様々な神社仏閣というのが当然ながら奈良にはあります。
もともとは寄付で、例えば何らかのお堂の修繕等が成り立っていたんですけども、檀家さんも減ってくるというのもありますし、昔は企業からの寄付というのも結構多かったんですけれども、例えば今、南都銀行に寄付してくださいと言われて、「はい、わかりました」と言ってやれるような、株主に対して説明をするということも含めて、なかなか難しい時代というのが来ていますと。
でも、私どもとしては地域に根差しているので、これをこのままにするのはというのは忸怩たる思いがもともとありまして、なんとかクラウドファンディングを活用してできないかというのがそもそもあったんですけども、そんな中でREADYFORさんにたまたま投資の機会をいただきまして、それによって地域のいろんなお寺とかに回りながらクラウドファンディングを立ち上げていくことができるようになったんですね。
実はお寺とか神社というのは、これまで銀行取引として多額にやるような先かというと、いろいろ国のお金とかも出ますので、あまり銀行で融資して云々というのはそこまで大きくないんですね。
そうすると、なかなかたくさん回れないというのはあったんですけども、クラウドファンディングという目線ができたことによって訪問して、何らかの課題ありませんかというところで、お寺との関係性、神社との関係性というものを作っていくことができて、そういうことに寄与していくことによって地域の中での存在意義みたいなものできてきますし。
若手の行員からすると、地方銀行で働く方というのは実は多くが地元に何か還元したい、貢献したいという気持ちがすごく強い人が多いんですけれども、そういった観点でそういうクラウドファンディングの取り組みとかを行員の方とかが実際見たり、自分も関われたりすると、非常にやりがいになるというか、そういうのもあって非常にいい形でうまく回っています。
ちなみに、いくつかそのスキームで南都銀行が紹介した、南都銀行から出向している人が担当してやるというので7件ぐらいやっているんですけど、全て達成しています。
このお寺のこの見せ方でも結構いけるなというのが見えて、非常に面白かったなと思っています。
TENTIALとの連携、奈良の繊維産業をつなぐ
石橋:
READYFORさんのケースはシナジーも分かりやすいと言いますか、しかも奈良県ならではみたいなところが強かったと思うんですけど、それ以外の投資先だとどういった事例とかが分かりやすいところだったりするんでしょうか?
堺:
1つは比較的最近投資した会社さんなんですけど、株式会社TENTIALさんですね。スポーツ系のDtoCの会社です。
実は、TENTIALの最高財務責任者(CFO)の酒井さんがいるんですが、彼は私の前職のときにインターンか何かの採用で僕が関わっていて。
全然違ううちの担当がTENTIALにたまたま出会って、当然ながら会社としても非常に事業として面白くて、スポーツの力を使って様々な健康上の課題とか、そういうところを解決していくようなDtoCをやっているんですけれども。
もともと奈良県内には靴下産業を中心として、スポーツに直接絡まないんですけど、繊維に絡むようなところとかで、いろんな会社がありまして、プロダクトもいろいろ作っていたりとか、そういったところをTENTIALさんにご紹介して繋げていくとか、いわゆる普通のVCに近いプラスアルファみたいな支援もやっているケースがあります。
地域シナジーの可能性は、想像以上に多様
石橋:
新しいファンドでも、基本的には先ほどお話いただいたように、アーリー前後以降から3,000万円から1億円で、地域とシナジーが見込めるようなところに積極的に投資されていくという感じですかね?
堺:
そうですね。そういうところにどんどん投資していきたいなと。
地域とのシナジーというのは、スタートアップの皆さんが想像している以上にいろいろな形があったりします。事業者さんを紹介するのももちろんありますし、ユーザーのテストマーケティングみたいなものをやっていくことだってできますし、人のプールとして使っていくということもあるかもしれないです。
そういう様々な使い方があると思っていて、そこを我々もいろんなパターンを全部試し切っているわけではないので、いろいろな会社さん、スタートアップとお話をして、その中ではひょっとしたら地域とこういう付き合い方ができるんじゃないか、そういったディスカッションをどんどんしていきたいなというふうに思っています。
石橋:
相談しようと思ったら、どういった窓口からご連絡するのが良さそうでしょうか?
堺:
弊社はホームページからも問い合わせできますし、場合によっては南都銀行にお問い合わせいただいても繋いでいただけるようになっています。
石橋:
概要欄の方には南都キャピタルパートナーズさんのURLも記載をさせていただいておりますので、ぜひ、これはシナジーがあるのかなとか、地域で何か一緒にできるのかなというところ、迷っていらっしゃるような方々もぜひご連絡をいただくといいのかなと思っております。
それでは堺さん、改めて第2弾もご出演ありがとうございます。
堺:
ありがとうございます。
【南都キャピタルパートナーズ】SMEとの仲介役の重要性とは!?地銀系CVCが投資で注意していること!︎|スタートアップ投資TV
スタートアップと地場企業、文化の壁をどう越えるか
石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。
今回も、前回に引き続きまして、南都キャピタルパートナーズの堺さんにご出演いただいておりますので、堺さん、今回も改めてよろしくお願いいたします。
堺:
よろしくお願いします。
石橋:
第2弾の方では、南都キャピタルパートナーズさんがいかにシナジーを意識しながら地域でスタートアップと地場の方々、地場の市民生活を接続していくのかというお話をいただいたと思うんですけれども、改めて地銀CVCという文脈でいうと、国内に結構な数がいらっしゃるじゃないですか。
実際、スタートアップと地場産業は繋がっていけるんだっけみたいな、シナジーは極端な話、幻想なんじゃないっけみたいなところにいろいろと堺さん目線でのご意見をいただきたいなと思っておりまして。
改めて、そういう失敗事例じゃないですけれども、文化圏とか常識が違う人たちがそんなにスムーズに連携とかできるもんなんでしょうか?
堺:
スムーズにいきなり連携できるかというと、それはなかなか難しいとは思います。なので、そこを繋げていくという役割が非常に重要になります。
前回お話をしたところで、READYFORさんの話をしたと思うんですけども、南都銀行から出向している人と、例えば地元のお寺の人は東京の言葉で喋る人が現れて話されると「冷たく感じる」とおっしゃる方がいるんですね。
それが南都銀行の地元の人が挟まることによって、丁寧なコミュニケーションをしてもらっていると。これは、おそらく気持ちの問題なんですけど、それぐらいスタートアップの人が頭よく何かをまくし立てたとして、そのペースについてこられるのかというのは1つあります。
なので、その障害は誰かが取り除かないといけない。地域金融機関というのは、どちらかというと地域の中では、ある程度いろんな勉強してきた方が揃っていたりするので、比較的通訳としては、ほどよく通訳できるポジションというのがあるかなというふうには思います。
営業リソース不足のスタートアップに必要な「仲介役」
堺:
仲介役がきちんといて繋がっていくということができれば、スタートアップと地域の会社というのも繋げられるかなと。
逆にそれがないと、ほぼすべてのスタートアップが営業リソースが不足しているので、地方の津々浦々まで、自分たちで回るのは絶対無理じゃないですか。
特に中小企業(SME)を対象としたビジネスをやっている方々は、スタートアップからすると、そういう仲介役になってくれる人たちがいるかいないかというのは大きく違うかなというふうに思いますね。
石橋:
他の地銀系CVCを通じて、営業リソースが限られている中で通訳をしてくれる人というところをうまく活用するためには、どういうふうなことをスタートアップ側は気をつけないといけないというふうに、堺さん目線では思われたりしますか?
堺:
進むスピード感みたいなものが、自分たちの進んでいるスピードとは違うんだよな、ということはまず大前提として理解していた方がいいかなとは思います。
ただ、それはスタートアップ側から見たときに、例えば地方のSMEみたいなところを自分たちが取りに行きたいんだったら、それはもう必要なものだと思って向き合うべきだし、もし向いていないと思ったら、むしろそこはターゲットにすべきではないんですよね。
ただ、自分たちのプロダクトやサービスがそこに向けたものなんだとしたら、お客様はそういうものなんだというふうに思って向き合うべきだと思います。
プロダクトの「分かりやすさ」が成否を分ける
堺:
あともう1つは、そういうふうに説明コストがある意味かかるので、自分たちのプロダクトやサービスをどれだけ分かりやすくするかというところ。ここは、どんなものでもそうですけども、ものすごく重要になってくるかなと。
なので、BtoBのサービスだと、自分たちの常識を押し付けがちなところがあったりしますけど、ひょっとしたら分からないかもしれないという前提でプロダクトを作っていく。
あとは、我々のような地方金融機関系のVCでも、地域そのものでもいいですけども、そういうところからなるべくフィードバックをもらうようにするというのは心がけた方がいいと思います。
基本的に、そういうSMEの方々に、今までのビジネスマッチングとかでも「このサービス使いました」「いつの間にかやめていました」というふうになっているだけだと、続けたかやめたかしか分からないじゃないですか。
そうではなくて、自分たちのサービスのどこが良かった、悪かった、もっとこうした方がいい、そういうことをどんどんコミュニケーションしていくことで、お互いにユーザー側の企業や地方のSMEからしても、「こういうふうに使い方が変わってくれたんだったら使いやすいな」というふうに変わってきますし。
プロダクトの開発をしているスタートアップ側も、そういう声をきちんと取り込んで、当たり前のことですけど、そういう開発をどんどんやっていくというのが必要かなと思います。
石橋:
スタートアップがそういうところに気をつけないといけないし、そこの仲介者になりうるような地銀系CVCの方もそういう意識を持っていただくのが大事なんですね。
地域限定投資の落とし穴、40数社中2社が奈良県内の理由
堺:
そうですね。地銀系CVCで、私どもが気を付けているところは、自分たちの地域の会社にしか投資しないと決めてしまうケースというのがあります。
ただ、例えば私どもは今40数社投資していますけど、その中で奈良県内の会社は実は2社しか投資してないです。
大阪や京都も地域なので、そこまで入れればもっと増えますけども、そもそもそこにある投資対象になるような会社が、分母もおそらく1桁、場合によっては2桁の前半ぐらいになってしまうので。
東京都で投資しましょうと言ったときに、スタートアップ1,000社の中から絞られていって、というふうになりますけど、この絞っていくという概念がそもそもないと、投資の成功確率は下がりますよね。
やはり母集団をちゃんと増やさないと投資はうまくいかないので、その母集団を増やせるようにそもそも設計してないといけない。
あとは運良く南都銀行がVCを始めたときに、他のこれまでの経験のある方々にお願いしたと。途中から段々連携しながら自分たちのものにしていったという、このやり方は結構大事だなと思っていまして。
もともと少ない母集団でやってしまう最大の原因は、これが良いか悪いかを目利きができないから、とりあえず来たものをうつという、ある意味素人的な投資をやってしまうというところですね。これは大企業のCVCでも結構あると思っていて。
外部の目を入れる重要性、アドバイザー活用の意義
堺:
視野を広げるためには、今までの中の人だけではない目を必ず入れないといけないのかなと。
私たちもそこはかなり肝に銘じていて、今度の新しいファンドでも、外部の有識者の方をきちんとアドバイザーに入れて、我々に対して違うものは違うと言ってもらうような形を作っています。
石橋:
南都キャピタルパートナーズさんでいうと、それだけマクロに件数を見られたうえで、2社は奈良県内の会社に投資されているわけじゃないですか。逆にどういうケースで投資していらっしゃるんですか?
堺:
株式会社ファーストグループ(現:cars株式会社)という奈良の会社がありまして。この会社は奈良の天理市というところにある中小系オーナー企業を継がれた方が今の社長なんですけれども、もともと自動車の整備をやっている会社だったんですね。
車検の時期が来たときの整備だけ受けていてもどんどん業績が悪くなると。このままではいけないので、自分たちのやっていることを全部ある程度システム化しようということで、Salesforceを使ってどんどん自分たちのやっているオペレーションを見える化していって、かつそれをやりながらいろんな会社を合併と買収(M&A)で買って、拡大するというのをやっていたんですね。
天理市の自動車整備会社が見せた、DX×M&Aの成功モデル
堺:
あるとき、M&Aでどんどんやっていっても、全部自分たちで最終的な、会社を綺麗にするところもやらないといけないと。
今まで自分がやってきた勝ちパターンみたいなものを全部システムにしてしまえばいいと。クラウド型のシステムにするということで、それを全部作り上げるというのをやっている会社です。
なので、それが分かってくると、例えばAさんが持っている車があって、この車がどういう整備をされてきたのかという情報と、市場にあるデータと組み合わせると、この車が今マーケットでいくらで売れるというのが分かるんですよ。
そうすると、今あなたの持っているこの車は、今ここで売ればいくらですよということもユーザー側にも分かる。
ただ、整備だけやっているだけじゃなくて、中古車販売のところが結構稼ぎの中心になってくるので、保有しながら売却できるストックにしていくというビジネスをやろうとしていて。
そもそも今の社長はずっと東京で働いていたので、そういうところから戻ってきたときに、それまでの知見も活かして変えていこうみたいな取り組みをされていくというのは、それはどこの地方にでもあると思いますけど、私どもの中でも、そういうところで当然銀行とのお付き合いもずっとあった会社なので、そういう会社に投資していくということがうまくできたかなというところですね。
石橋:
今後、そういうのも増えるんですかね?
堺:
そうですね。できれば増やしたいとは思っています。
ただ、突然変異的なところもあって、そういう取り組みをやっている会社さんがあって成功事例が出てくると、地域の中で「自分も」という方がいますし、地域の中でそういう取り組みをして頑張っていらっしゃる方々もいて、私どももそういうところはまだ投資はしていない段階でも、適宜コミュニケーションしながらサポートできるところはサポートしていくというような話を今もいろいろやっているところがあります。
石橋:
増やしたいけれど、県内というところだけにとらわれないで幅広く見ていくことが大事ですね。
堺:
要は、幅広く見た結果、この県内のこの会社は投資してもいいなというふうに思って投資しているという、そういう順番になってきますね。
石橋:
承知しました。ありがとうございます。
今回、全3回にわたって、改めて地銀CVCとしてのあり方もそうですし、今後の方向性というところもお話しいただきまして、改めてご出演ありがとうございます。
堺:
こちらこそ、ありがとうございます。
