【ファンド総額600億】大企業への紹介支援・長期的な追加投資が可能な実力派VCの投資戦略【三井住友海上キャピタル 細谷 裕一 vol.01】

◯細谷 裕一 三井住友海上キャピタル株式会社 投資部 マネージャー X(Twitter)▶︎https://x.com/hosoya_yuichi
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公式HP▶︎https://www.msivc.co.jp/
2009年 KDDIに入社。
CVC部門にてベンチャー投資に関わり、ファンド運営・協業推進、投資先支援等を経験。
その後、M&A担当部門にて資本業務提携等に携わる。
2018年12月 三井住友海上キャピタル株式会社に入社。

600億円を運用、100億円ファンドを2年ペースで組成

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。

今回は、三井住友海上キャピタル株式会社の投資部マネージャーでいらっしゃる細谷さんにご出演いただきます。細谷さん、今回からよろしくお願いいたします。

細谷:
よろしくお願いします。

石橋:
今回、なかなか視聴者の皆さんも三井住友海上キャピタルと聞いて、僕らの業界で言うと知らない人はいないぐらい有名というか、知られた存在かとは思いますけど、もしかしたら起業家さんにとっては「知らないな」みたいな人もいるかもしれないので。

この動画さえ見れば三井住友海上キャピタルさんに投資検討してもらいたい起業家さんにとって、全部わかったわというような1本にしていければと思っておりますので、いろいろと話しにくいこともあるかと思いますが、突っ込んで全2回にわたって聞いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

細谷:
よろしくお願いします。

石橋:
まず結論というか、大きいところからいきたいんですけど、三井住友海上と名前がついているぐらいなので、今までに運用してる金額はむちゃくちゃ大きいんですか?どのぐらいスタートアップ向けに運用されていらっしゃるんですか?

細谷:
直近としてはファンドの規模としては600億円弱、総額でやっているというところですね。

石橋:
超直近でやられているやつだと累計が600億円で、でも足元は結構大きい規模でやられていらっしゃいますよね?

細谷:
そうですね。基本的には直近は100億円のファンドを継続的に設立をしているという状況になっていまして、一番新しいのが2025年6月に作ったMSIVC2025V投資事業有限責任組合(2025V)というファンドになります。

その100億円規模が始まったのが2018年からになりまして、2018年、2020年、2021年、2023年、2025年。

石橋:
コンスタントに2年ずつぐらいでやっているんですね。

細谷:
そうですね。1年半から2年ぐらいで100億円のファンドを消化するという投資ペースなので、今の5本で500億円あるという感じですね。

KDDI出身、スタートアップ投資歴10年超のキャリア

石橋:
コンスタントに投資されているということなのかなと思うんですが、改めて細谷さんはいつ入社されて、いつぐらいから関わっていらっしゃるんですか?

細谷:
私が当社に入社したのは2018年の12月になるので。

石橋:
まさにさっきの100億円ファンドが始まった時ぐらいだったんですね。

細谷:
そうですね。2018年のファンドができた後ぐらいに増員という形で入社していて。その前のファンドは、実は50億円規模だったんですね。2016年のファンドとかは50億円とかだったので、そこで大きくするというので入ったところが経緯になりますね。

石橋:
もともと何をされていたんですか?

細谷:
もともと新卒でKDDI株式会社に入社をしていて。

石橋:
スタートアップ投資でもわりと有名な会社ですね。

細谷:
はい、最初は全然違うコーポレートの人事の部署に配属をされて、そこから定期的な人事異動で、今のKDDI Open Innovation Fund(KOIF)ですね、グローバル・ブレイン株式会社さんとやられているファンドのKDDI側をやっている部署、戦略推進部という部が当時あって、そこに人事異動で異動したのが2014年の10月になりますね。

石橋:
スタートアップ投資に関わり始めてから、だいぶ長いんですね。

細谷:
そうですね。もう10年以上関わっている感じになっていて。2014年当時がちょうどKDDIのファンドでいうと2号ファンドが50億円で組成をされたというところで、1号ファンドのマネジメントと2号ファンドの新規組み入れみたいなところから関わり始めました。

石橋:
なんで今の三井住友さんに異動されたんですか?

細谷:
2018年の3月末まで実はKOIFの部署にいて、主にファンドの管理とか投資先の管理とかをやっていたという感じになっていて。3号ファンドを作るところまでお手伝いをして、これまた人事異動で離れてしまうというところで。合併と買収(M&A)のお仕事ですね、今度KDDI本体のM&Aの部署の方に半年ぐらいいまして。

石橋:
異動をされたんですか?

細谷:
一応、青天の霹靂というか、よくありがちな感じで、もうちょっと先かなと思っていたんですけど、異動をするというところで。ただ、この仕事を続けたいなと思ったところもあって、転職活動をしている中で知ったという感じになりますね。

石橋:
1回コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)側に入ってきた人は、部署異動すると退職しがちというのは業界あるあるかもしれないですね。

細谷:
業界あるあるではあるんですけど、多分かなり早い時期だったので、「こんなキャリアの人見たことないね」というのは言われましたね。

「保険会社の名前」でも、シナジーは投資判断に影響しない

石橋:
改めて、そんな細谷さんが、足掛けもう7年ぐらいになるんですかね?

細谷:
そうですね。当社では7年ぐらいですね。

石橋:
今回、1弾2弾の動画なので、2弾の方では細谷さんが実際どんなところに投資をしているのか、具体の話も理由も含めて聞いていきたいと思っているのですが。

足元の100億円ファンドを、実際どれぐらいの規模のスタートアップの方々に、チケットサイズいくらぐらいでとか、リード投資するのかどうかとか、それこそ三井住友海上とついているのでCVCなのか、シナジーとかどうなんだっけみたいなところとかも、方針的なところ、大きいところをお伺いしたいんですけど、どうでしょう?

細谷:
当社は、三井住友海上火災保険株式会社の100%子会社という形になっています。ビークルとしては1990年に設立をされて35年目というような感じで、歴史は結構長い会社になります。

石橋:
結構古いですよね。

細谷:
そうですね。なので昨今流行りの、協業とかオープンイノベーションみたいな座組とはちょっと違う時代に出来上がっているというのがあって、座組としてはグループの保険料をお預かりして運用する純投資という立て付けになっていますね。

石橋:
シナジーは極端に言うと全無視、もはや議論にすらならない?

細谷:
基本的にシナジーの有無は投資の判断には影響しない、なしという形になっています。

石橋:
どうしても起業家さんとかからすると、社名の冠に引っ張られてしまうケースはあるあるなんですか?

細谷:
そうですね。「保険と協業がないとダメなのか」みたいなことは、すごく気にされるところがありますけど、実は純投資なので。先ほどのキャリアの話でもお話ししましたけど、私も保険に関しては別に詳しいわけではないというところでありますね。

石橋:
社内の人も、細谷さんみたいな外部の方が多いんですか?

細谷:
フロントに立っているメンバーはほとんど外部からのプロパー社員となっていまして、社長ですとかバックオフィスとか統括みたいなところが出向者というような形の会社になっていますね。

石橋:
そもそも細谷さん含めて、フロントマンの体制からしても、完全に純投資体制のCVCになっているって感じなんですね。

細谷:
お金の出元がC(個人)で、投資方針はVCで、みたいな感じになるかなと思いますね。

リード3割・フォロー7割、投資金額は1,000万円から5億円

石橋:
わかりやすいです。ちなみに、純投資となるとリード投資もするんですか?

細谷:
そうですね。リードとフォローの比率で言うとフォローの方が多くて7割ぐらいで、リードは3割ぐらいでやっています。

石橋:
チケットサイズはいくらぐらいからで、ラウンドはどこぐらいから触り始めるんですか?

細谷:
純投資なので、ラウンドの制限というのは基本的にはないという形になっていまして、業種もほぼ問わないという形になっています。チケットサイズは今で言うと、大体下限が1,000万円から上限が1回当たり5億円、累積で10億円までというのがルールとしてはあります。

石橋:
幅広いですね。さすがにキャピタリストの人の癖じゃないですけど、「こいつシード多いな」とか「こいつシリーズAばっかだな」とか、さすがにそういう色合いは出てくるんですか?

細谷:
そうですね。極端な言い方をすると、担当領域を定めているわけではないので、その人の好き嫌いはかなり出ているかなというところはあると思います。

石橋:
なるほど。もしかしたら細谷さん以外の担当者の方の個性も理解した上で、誰にドアノックするべきなのか考えるべきと。細谷さんの好みは2本目の動画を見るとわかってくると思うんですけど。

大体リード3割・フォロー7割ぐらいで、チケットは1,000万円からエントリーは5億という話でしたけど、バイオとかも触れるんですか?

細谷:
ファンドの満期の関係があるので、やはりディープテックの創薬みたいなところは、どうしても初期から触れるというのは難しいのかなと思いますけれど、投資対象外には定めてないという。

石橋:
本当にオールラウンダーという感じなんですね。

細谷:
そうですね。チケットの下限が1,000万円というところはありつつも、完全なシードとか、会社設立していませんみたいなところまで行ってしまうと、ちょっと相性が良くなくなってくるのかなというところはあります。

私が持っている中で古い案件になりますけれど、プレ2億円ぐらいのラウンドから入っていたりとかという会社さんもあったりするので、Gazelle Capitalさんと一緒か、その次ぐらいのラウンドから、早いところだと入ってくる感じですね。

石橋:
全然あるんですね。面白いな。普通に勘違いしている視聴者の方とか起業家の方、めちゃめちゃいそうですね。

細谷:
そうですね。意外に思われるというところは多いかなというところですね。ただ、件数としてはシードとかポストシードというのはそれほど多くないというところはあります。メインとしてはやっぱりシリーズA前後が中心にはなってくるのかなというところですね。

石橋:
ちなみに、約35年間やられていらっしゃるとなると、イグジット事例とか累計投資社数とか、えげつないことになってそうなイメージがあるんですけど、三井住友海上キャピタルとして代表的なイグジット事例だよねとか、成功ケースだったよねみたいな振り返りをするとどんな感じですか?

細谷:
直近でわかりやすいイグジット先と言うと、株式会社QPS研究所さんとか。

石橋:
福岡の会社さんですよね?

細谷:
そうですね。

石橋:
結構、時価総額も上がっていらっしゃいますよね?

ファンドを跨いだ追加投資、リードで大きくシェアを取る戦略

細谷:
そうですね。多分、QPSさんとかわかりやすい事例で、当社の場合は追加投資がファンド跨ぎでできるというのが独特。さっき石橋さんが驚かれたような「そんなにリードやってるの?」という中には、実は初回投資はリードじゃないというのがあって。追加投資の際にリードを取らせていただいて、がっつりシェアを持っていくということがあるということですね。

石橋:
めちゃめちゃ良いですね。ファンドを跨いでディープポケットで、しっかり良いところに張り続けるという感じなんですね。

細谷:
そうですね。そういうことになるので、ばらまいていろいろなところに入れていますというタイプではなくて、ちゃんとデューデリジェンス(DD)をさせていただいて、「ここが良い会社ですよね」というところで投資をさせていただいて、その上で事業が順調に進捗しているのであれば、追加投資をさせていただくというのが特徴的なところかなと思います。

石橋:
そうなると、ちゃんとDDをするとして、細谷さんとかに初めましての起業家さんが行くと、ちゃんと投資委員会を通すためには最低限必要だよというのは、何ヶ月ぐらいのイメージなんですか?

細谷:
もちろんDDの期間ですとか課題の大きさとかによって変わってきてしまうんですけど、大体3ヶ月弱は見ておいていただいた方が良いのかなと思います。

石橋:
多少余裕を持った段階で、余裕を持ちながら、特に2回目以降とかのファイナンスで早めからコミュニケーションしておいてということですね。でも1,000万円から5億って言われると、チケットも本当に何でもできるから、本当に全方位って感じですね。

細谷:
そうですね。それこそシードに近いところからプレIPOラウンドまで、投資しているという感じになりますね。

親会社の顧客ネットワークへのアクセスも可能

石橋:
理解です。ちなみに投資をした後の話も聞きたいんですけど、先ほど純投資でお話しいただいたので、逆にシナジーとか期待してはいけないのかなとか。

もちろんグループ会社で言うといろいろな事業体の方々がいらっしゃると思いますけれども、皆さんに出資いただいた後だと、どんなことを期待していただいても良いみたいな感じのイメージになるんですか?

細谷:
そういう意味で言うと、もちろん親会社、グループ会社へのご紹介というのは、ご希望されればおつなぎさせていただきますし、保険のご相談ももちろん親身になって受けさせていただくというところと。

あともう1つ大きなところが、やはり親会社のお客様へのおつなぎということもできるというような形になっていまして。

大手企業さんで普通に事業をやっていて保険の契約がございませんというのは、なかなか考えがたいというところになっていたり、大手さんになればなるほど1社だけでは受けられないので、皆さんで徒党を組んで保険を引き受けするみたいな感じになってきますので、大体接点があるというところになります。

もちろん接点の濃さ薄さみたいなのがあるので、必ずしもご紹介できるというわけではないんですけれど、そういうようなところにおつなぎを希望するところであれば接点をたどって、ご紹介をさせていただくですとか。

結構お客様の中でもオープンイノベーションですとかスタートアップとの取り組みがしたいとか、こんなサービスはないかみたいなご相談というのは受けていたりするというところなので、その辺は全国の営業マンに向けてご紹介をしていたりというのが、協業を推進する担当の者が当社内におりますので、そこを通じて接点を探りに行くというのはお手伝いをさせていただいてるという感じですね。

石橋:
なるほどですね。

アクティブ投資先200社を8人で支援する体制

石橋:
ちなみに累計すると何社ぐらい投資をされていらっしゃるんですか?

細谷:
大体、今アクティブな投資先が200社ほどいらっしゃるということになっています。

石橋:
それを、何人でやっていらっしゃるんでしたっけ?

細谷:
私たちフロントが今8人ぐらいだったと思います。

石橋:
年に何社投資するんでしたっけ?

細谷:
年間で言うと大体30件ぐらい、30〜40件で、平均すると1億から1億円弱ぐらいがアベレージになります。

toC・アプリ領域に特化する投資戦略

石橋:
これは三井住友海上キャピタルさんというよりかは、今のお話でも人によってだいぶ濃淡があるというお話だったので、今回で言うと細谷さんのお話になると思うんですけど。

オールラウンドでどのジャンルでもいけるとなると、それぞれが何を見ているのかとか、今足元で新しく作られた100億円のファンドでは、細谷さんとしてはどういう領域に張っていこうと思われているみたいな好みのお話を、2本目で過去の投資事例に基づいてお話いただくので。

足元の過去に基づかないお話でいくと、どんな領域とか、「これ系は僕にくれ」みたいな感じになりますか?

細谷:
そういう意味で言うと、私は前職がKDDIだったというところもあるので、結構toCビジネスですとか、アプリを利用しているサービスですとか、IT系、メディア系みたいなのは好んで投資をしている傾向は、ポートフォリオを見ていただくと強いのかなというところはありますね。

石橋:
確かに、第2弾の動画で出てくるのもそう言われてみると……

細谷:
ほとんどそれです、みたいな感じですね。

石橋:
いくつか事例を挙げていただいてその中から3社ピックアップさせていただきましたけど、結構toCが多い。せめてBtoBtoCだったりとか、シードとかが多いですね。

プロダクトの手触り感を重視

石橋:
細谷さん的には、ご前職がKDDIだったところ以外の観点とかで、変わらずtoCにコンスタントに投資し続けられているのはどんなところ、単純に別の好みの要因だとか別の背景とかってあられたりするんですか?

細谷:
2つぐらいあると思っていて、1つは自分自身でプロダクトに触れるというのはかなり大きいのかなと。

toCビジネスでやられている投資家さんのサービスは、結構自分でそのまま会員登録して触っていたりして、そこのアプリの出来とかサービスの出来とかというのは結構手触り感が私自身がある領域なので、そこでよくできているなという話なのか、ちょっとイマイチだよねとなってしまうのかというのはかなり見させていただいているというのと。

やっぱりtoC領域は成長のバジェットが無限大というか、極端な話、来年100倍の規模になっていても耐えられてしまうという、ITサービスならではのところがございますので。

石橋:
理論上は全然そうですもんね。

細谷:
そういう意味で、エクイティ投資との相性が良いのかなと個人的には思っていますので、そういう領域は結構積極的に見させていただいてるということですね。

100億円問題を見据えた投資判断

石橋:
逆に言うと、そのtoCとかアプリケーションサービスとかのレイヤーの中で、直近のファンドであれば、例えばこういう領域なのか、こういうビジネスモデルなのか、特にtoCと言っても広いとは思うので、どういう領域を見ていこうと思っているかとかのイメージはあられるんですか?

細谷:
ファンドとしては結構ヘルスケア・AI・ITみたいなところというのは注力ポイントにはなっていたりはするんですけれど、その上に大前提として純投資というところがございますと。そこの注力領域から外れていたら投資検討しないというわけでは全然ないという感じになっています。

さらに具体的に言うと、昨今100億円問題みたいなところがある中で言うと、やはり一定のスケーラビリティみたいなところは必須になってくるのかなというところで、マーケット的に大きい領域でやられているサービスというのはかなり前提として入ってくると、そこでかなり絞られてしまうので、そこから先については私自身も色眼鏡をつけずに、フラットに見させていただいてるという感じですかね。

石橋:
理解です。100億円問題というキーワードも出てきたのであれなんですけど。

セカンダリー投資は限定的、純投資の観点で判断

石橋:
ちなみに純投資でオールラウンドとなると、投資先の某社さんが過去に投資していた投資先の株式を途中で引き受けてくれないかとか、セカンダリーの売買の買い手としてのご相談も、オールラウンドでやっているからこそ、かつディープポケットだからこそありえそうな気もするんですけど、セカンダリーはやっているんですか?

細谷:
数は少ないですけど、やっていますね。

石橋:
積極的にやってるわけではないが、できないわけではないという感じなんですね。

細谷:
例えば投資先の中でどうしてもというような話があったりですとか、そうなってくると純投資ですので、投資パフォーマンスの観点でご検討させていただくというのはありますね。

アンチポートフォリオ──タイミーを見送った理由

石橋:
改めてだいぶ三井住友海上キャピタルさんについてわかってきたんですけども、7年間強、細谷さんはすでにキャピタリストをやっていらっしゃるということは、いわゆるアンチポートフォリオ、要は投資をお見送りしてしまったが、例えばそれはtoC向けだったとして、触っていて当時は微妙だなと思っていたけど結果むちゃくちゃ爆発して成功した会社さんですとか。

ないしは投資先とかでめちゃめちゃタフなシチュエーションがあったけど、こういうふうにうまく乗り越えて大逆転してきてるよねみたいな、伸びている投資先とか事例とかってございますか?

細谷:
投資できなかったという意味で言うと、一番大きいのは株式会社タイミーさんかなと思っています。

コロナの真っ盛りにご相談いただいて、個人的にはすごくスポットワークが面白いなと思って投資したいですとあげたんですけれど、当時の投資方針に人材派遣とかはダメだよというのがあったので。

ちょっとスポットワークは人材派遣と違うんじゃないかと個人的には思っていたんですけど、なかなかそこが通らなかったというところで、検討初期でお見送りしてしまったというのは、もうちょっと粘ってもよかったのかなみたいな。

投資方針だからというところで早々に引いてしまったんですけど、今思えばというところは大きいですかね。

石橋:
当時どのぐらいのラウンド規模だったか覚えています?プレAぐらいですか?

細谷:
プレ100億円ぐらいのラウンドだったと思うんですけど。

石橋:
とはいえ、15倍とか20倍ぐらいになっていますもんね。

細谷:
そうですね。今思えばというところは大きかったですね。

石橋:
タイミー以外もあられたりするんですか?

細谷:
タイミー以外は明確に見逃したというのはないかなと思うんですけど。

シード期から伴走したアイカサ、大逆転の成長ストーリー

細谷:
あとハードシングスのところで言うと、今私のポートフォリオの中で一番古いのが実は株式会社Nature Innovation Groupさんという、サービス名で言うとアイカサというサービスをやられているところがあるんですけれど。

駅とかで見たことはあるかと思うんですが、傘のシェアリングを提供している会社さんになっていまして、サブスク形式もスタートしているんですが、雨が降った時に傘を定額で提供されているという会社さんになっていまして。

当時は渋谷で実証実験がスタートしたぐらいのラウンドで、当時前職で渋谷に勤務していたこともあって、サービスがあるというのは知っていたんですけど。

石橋:
むしろエンドユーザーとして知っていたという。

細谷:
そうそう。

石橋:
当時はほぼ渋谷でした?

細谷:
そうですね。

石橋:
だいぶ結果大きくなっているんですね。

JR東日本との資本業務提携で一気に拡大

細谷:
そうですね。東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)さんが一緒に入られるラウンドだったので。

石橋:
そうなんだ。

細谷:
そこでJR東日本さんですね。

石橋:
資本業務提携ですね。

細谷:
そうですね。CVCから入れていただいたという事例になりますので、そこで一気にJR東日本さんには置けるようになったよねと。

今現段階で、首都圏・関東に関して言うと、ほぼ全鉄道業者でOKが取れているというところなので。

石橋:
普通にインフラだな。

細谷:
昨今大阪にも進出を始めていますので、大阪の方でもだいぶ見られるようになるのかなというところですね。

1,000万円から始まった追加投資の軌跡

石橋:
ちなみに最初はエントリー1,000万円と、当然最初はシードだったので、その後はさっきの話で言うと追加投資していらっしゃるんですか?

細谷:
そうですね。次のラウンドで今度4,000万円の追加投資をさせていただいて、その時は株式会社丸井グループさんが入られるというところで、タームを当社で書かせていただいたところで、丸井グループさんの方が金額としては大きかったんですけど。

石橋:
VC慣れしていらっしゃる皆さんがリード投資、実質リード投資家みたいな形でやっているという感じなんですね。

細谷:
合わせて1.5億円ぐらいのラウンドを成立させたという感じですね。

石橋:
そういう意味で言うと、三井住友海上キャピタルがなぜレンタル傘に投資するのかと言われれば、シナジーはないですよね?

細谷:
一応保険の引き受けみたいな話は、損害保険みたいなのはあるにはあるんですけれど、事故の際みたいなところ、ただそれは投資検討とは切り離して全然関係なくやっていますので。

石橋:
しかもちゃんとシード期で入っていただいて、もちろん事業が前に進んでいる前提だと思いますけど、きちんと追加投資もしてくださっているというのは、起業家の方にとっても、それこそアーリーとかシードに近い方でも皆さんにコンタクトを取るというのはやっぱ面白いケースですね。アイカサか。

細谷:
知りませんでした?

3ヶ月無料施策でサブスク会員が急増

石橋:
社名は知りませんでした。もちろん丸川さん(Nature Innovation Group 代表取締役)とは創業期にご縁とかあって、お話ししていましたけど。

それで言うと、Nature Innovation Groupがもし上場とかしたら、余裕でアンチポートフォリオですね。

細谷:
石橋さんのアンチポートフォリオ。

石橋:
余裕でアンチポートフォリオなんですけども、上場とかそういう世界線なのかこれは、というのが全然わからなかったですね。気がつけば、エンドユーザーとしてもめちゃめちゃ見る機会が増えて。

細谷:
傘のレンタルは、類似の会社さんは多分いらっしゃらないのかなと思うんですけど、例えばモバイルバッテリーのChargeSPOT(株式会社INFORICH)さんとかは上場されていたりするので、そういう意味合いで言うと、競合というかセグメントの1つ。商材が傘みたいなところですから。

石橋:
わかります。

細谷:
大逆転というほどじゃないんですけど、おっしゃる通りアイカサは単価が低いので広告が打てないというのがあって、投資をしてから結構悩んでいたというか、悩んでいた時期は長かったのかな。

当初、傘の表面に広告が入るんですけど、あれでグロースをしますと思っていたというのは当初の投資仮説ではあったんですけど、なかなか難しいよねという中でいうと、サブスクスタイルに課金の形態をスタートしていて。

実はこれもサブスクが出た当初は全然伸びないというのは課題としてあって、丸川さんと話している時に、アイカサは原価がほとんど傘なので、傘を貸しても何かすり減るというのはしないので。

丸川さんに「1ヶ月だと多分良さがわかんないから、3ヶ月無料にしなよ」と私が言ったんですよ。「3ヶ月間無料にして、そしたら新規取れるんじゃないの?」と言ったら、よく取れて、3ヶ月無料を今もやっているんですけど、ずっとデフォルトにサブスク会員の方は3ヶ月無料になっています。

石橋:
サブスクを単月で課金するイメージは、体験をしないと100%ないです。そんな雨降るとか、雨降っていますけど、偶発的にビニール傘買うのが毎回ストレスですけど、安定的にあるかと言われるとちょっとよくわかんないですし。

細谷:
そうなんですよ。1ヶ月の間に私の感覚でも、もう1回あるかなというと、もしかしたらカスタマーサクセス的にはイマイチかなと思っていたので。

石橋:
3ヶ月は良いですね。とりあえず3ヶ月無料なら1回。

細谷:
もう1回多分お世話になる可能性が出てくるとなると、やっぱあってよかったなと思っていただけるのかなというところで。

石橋:
それで伸び始めていらっしゃるんですね。

細谷:
そうですね。スポットでも借りられるんですけど、やっぱりスポットだとその場で課金をされてしまうので、サブスクに流れる方が多いというふうに聞いていますね。

石橋:
ぜひ地方とかから東京とかに出てきていらっしゃった際に、運悪く天気が雨で、傘持っていなくて移動しないといけないみたいなときは、ぜひ「アイカサ」と調べていただけるとアプリでも出てくると思いますし、駅のその場でQRとかで読むと使えるんですよ。

なのでサブスクなのかスポット利用なのか、ぜひ気軽に使ってみていただけると面白いですよね?

実際にあれがスタートアップだと言われると若干難しいですけど、スタートアップの方々が作っていた商品サービスがあのような形でインフラになって社会実装されるところも体験していただけるんじゃないかなと思いますので、ぜひ確かめてみていただければなと思っております。

次回予告──なぜ投資したのかシリーズ

石橋:
第2弾も、引き続き細谷さんにご出演いただいて、具体のお話も何社さんかいただきましたけれども、特に細谷さんとして印象深いと言うべきなのかな。

印象深い投資先になぜその当時にそのラウンドで投資できたのか、したのかみたいなところを振り返りながら、なぜ投資したんだシリーズにお付き合い頂ければなと思っておりますので、引き続きよろしくお願いします。

細谷:
よろしくお願いします。

【伸びる会社の共通点】なぜ投資したのか|お買い物・家計簿アプリが伸びた成長戦略とテイクアウト特化SaaSの勝ち筋を成功事例から解説【三井住友海上キャピタル 細谷 裕一 vol.02】

ソーシャルコマース「カウシェ」への投資とスモールピボット

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。

今回も、前回に引き続きまして、三井住友海上キャピタル株式会社 投資部マネージャーの細谷さんにご出演いただいております。細谷さん、今回もよろしくお願いいたします。

細谷:
よろしくお願いします。

石橋:
前回、三井住友海上キャピタルさんのこの動画さえ見れば全部わかるとお話ししたんですけれども、前回お伺いしたところによると、キャピタリストの方が複数名いらっしゃる。その中でもどのテーマの、どの規模のスタートアップでも、安定的に1,000万円から5億円ぐらいまで新規投資できるぞという話だったので。

細谷さんにフォーカスをして、細谷さんがどういうキャピタリストで、どういうふうな投資活動をしてきているのかというのを、過去の事例でなんで投資したんだっけというところを掘り下げてお伺いしていきたいと思っているんですけれども。

第1弾の方でざっくりと細谷さんはtoCとか、BtoBtoCの方が得意な領域、好きな領域であると。もちろんそれ以外もやっていらっしゃると思うんですけど、まずはtoC向けのどんなところに投資されたのか、1社目を教えていただけると良いなと思うんですけども、例えばどこから行きましょう?

細谷:
1社目は株式会社カウシェから行きましょうか。

石橋:
知っている人も多いんじゃないですかね。

細谷:
そうですね。もうだいぶ増えているんじゃないかなと思いますね。

石橋:
ざっくりサービスを教えてもらっても大丈夫ですか?

細谷:
サービスとしてはソーシャルコマースをやられている会社というところになるんですが、アプリでECのプラットフォーム事業をされていると思っていただくと、結構わかりやすいのかなと思いますね。

石橋:
エンドユーザー目線での質問になってしまうんですけど、何でも売っているんですか?というのと、ソーシャルコマースとはなんですか?

細谷:
ソーシャルコマース自体は中国発祥で、SNSみたいな人間関係のつながりからコマースにつながってくるというところの領域になるんですけど、何でも売っているのかというと、まだそこまで何でも売っているというよりも、日用品、食品、小型家電、化粧品みたいなところがメインかなと思いますね。

石橋:
今後は、いろいろなカテゴリーでという感じなんですかね。ちなみにそのカウシェさん、足元でも資金調達のニュースとか、それこそスモールピボットされたみたいなニュースも出ていた気がするんですけど、あのタイミングで投資されたんですか?どのようなタイミングで投資されたんですか?

細谷:
その前のラウンドで投資をさせていただいていますので、2022年5月に投資をさせていただいているという形になります。

石橋:
まさにあの記事(「変化」の劇薬を飲み続けた540日間の回顧録 ※概要欄のURLをチェック)でのストーリーを、全部株主として見守っていたという感じですね。

細谷:
そういうことになりますね。

共同購買から探索型コマースへの転換

石橋:
良いですね。逆に言うと、当時のカウシェさんと今のカウシェさんは、絵姿は当然あの記事の中にも書かれていらっしゃいましたけど、ちょっと違うとは思うので、当時の投資仮説の当たっていたところと違った部分は、細谷さんの振り返りも一部あるのかなと思うんですけど、当時はどんな形式で、なんでいけると思って、こんぐらい投資したみたいな、どんな感じだったんですか?

細谷:
当時はまだ共同購買、2人以上で買うことというのが一種条件になっていたというようなサービスでした。

投資仮説としては、やっぱり日本のEC化率がかなり低いという中では、まだまだECで伸びるところがあるよねというところは当時思っていたというところと、共同購買・ソーシャルコマースみたいなところの投資仮説というのがあったというところで、伸びも良かったというところで投資をさせていただいたんですが。

やっぱり資金調達環境がだいぶ変わってきたというところと、ビジネスモデル単体で見ると、広告宣伝費が重くなってきた。広告宣伝費というか割引みたいなところの原資が重くなっていたというのは、やっぱり持続が難しかったのかなというところですね。

石橋:
前回ラウンドから今回ラウンドにかけて、細谷さん目線で印象的だった出来事ですとか、もちろん一部の内容は起業家ご本人が書かれている記事にも重複する部分があるとは思うんですけど、株主目線で見るとどんな感じの、今回ラウンド、足元のラウンドに至るまでという感じだったんですか?

細谷:
そもそも1人で買えるようになりましたという大きなピボットをして、ただソーシャルコマースとして友人たちとつながりながらショッピングを楽しむという形態は変わらないというところですね。その上で彼らも言っていますけど、探索型というか、出会いを作るというところがかなり大きいのかなと。

ECは皆さんおわかりだと思うんですけど、何か買うときは指名買いが多いんですよね。これが欲しい、日本全国どこで一番安いのみたいな話になりがちという中で、どちらかというとカウシェの場合はアプリを開いて、そこでレコメンドされてくる日用品、食料品で、「いつも買っているものよりちょっと安いかも」というところがすごく魅力で。

生きていると絶対使うものがあるじゃないですか。そこがいつもよりちょっと安い、じゃあ買ってみようかなというところが今非常に受けていると理解していますね。

石橋:
足元はスモールピボットというか、若干の事業編成も通じて伸び始めているという感じなんですね。

レスキューではなく成長投資としての追加投資

細谷:
一旦スモールピボットをしてはいますが、当社としては売上が初回投資から伸びているというところで、かなり壮絶なラウンドではあったと思うんですが、実は私もかなり踏ん張りまして、追加投資をしているというのが、株主への思い入れの強いところかなというところですね。

社内も大変でしたというところはあるんですが、事業としては伸びていますし、その経緯とトラクションの兆しみたいなところは個人的には感じていたので、これは何としても通したいというところは強く思っていたということですね。

石橋:
既存投資家さんでも、だいぶなかなか追加投資できないという方も当然そういうスモールピボットとはいえど、されていらっしゃるといった中で、追加投資ができるという話だけじゃなくて、実際そういうふうにハードシングスがあった方々とも含めてやっていらっしゃるというのは、起業家さんからするとめちゃめちゃ心強いし、ありがたいですよね。

細谷:
基本的に救済出資(レスキュー)はしないよというスタンスは持っているんですけど、カウシェの場合は重要業績評価指標(KPI)が伸びていましたので、レスキューではないと。

石橋:
スモールピボットはしたかもしれないけど、レスキューではない。

細谷:
成長しているからということで追加させていただいたという。

石橋:
理解です。聞きそびれてしまいましたけど、起業家さんはどんな人なんでしたっけ?

細谷:
代表の門奈さんは、もともと株式会社Loco Partnersの1号社員というところで。

石橋:
ReluxをやっているLoco Partnersさんですね。あれはKDDIが買ったんだ!

細谷:
そうなんですよ。初回の面談で、いらぬところで盛り上がって、多分同じフロアで働いていたんじゃないかなみたいな。

石橋:
まだKDDIにご在職中だったということなんですね?

細谷:
そうなんですよ。M&AをKDDIが決めてグループインして、門奈さんはうちのオフィスに頻繁に来られていた時期で、私はCVCの舞台にいたみたいなところはあるので、日付だけ見ていると「あれ、かぶってる?」みたいな話にはなっていましたね。

CVCからのソーシングの実態

石橋:
出会ったのは結構アーリー期で、投資されたのは2022年だと思いますけど、もともとは結構前から門奈さんとのつながりがあってのところですか?

細谷:
なかったんですよ。相手の存在を認識していないので、お互い知らないんですよ。

石橋:
僕がもし門奈さんみたいにソーシャルコマース系の会社をやっていて、三井住友海上キャピタルという名前のCVCにドアノックしに行くかで言うと、シナジーなさそうだなということで行かないですもんね。

細谷:
私自身カウシェの調達のプレスとかは見ていて、お話したいなというところで、グローバル・ブレインの立岡さんにお願いをしていて、次のラウンドがあったら教えてくださいというのは実は言っていたというところで。

石橋:
現、株式会社alphaの立岡さんですね。

細谷:
そうですね。

石橋:
あちらはシナジーではなく純投資でやっていらっしゃるというところの、本当にわかりやすいケースなのかなと思います。ありがとうございます。

コロナ禍に一度も会わずに投資「テイクイーツ」

石橋:
ぜひ2社目のケースも、toC向けだけじゃないところもぜひ見ていきたいと思っているんですけど、どこが良いでしょう?

細谷:
2社目は株式会社ランプ、テイクイーツというサービスをやられている会社さんになりますね。

石橋:
1回関西でエンジェル投資家の株式会社kubellの社長の山本 正喜さんがよくエンジェル投資されていると思うんですけど、山本さんからご紹介いただいたのかな。株主でもいらっしゃって、関西の企業だから応援しているんだ、もちろん事業が魅力的だという前提がありますけど。

テイクアウトサービスのSaaSみたいなことをされてるんですよね?

細谷:
テイクアウトに特化したSaaSのサービスの提供会社という感じですね。

石橋:
ニッチな気もするんですけど、最近結構大きい調達もしましたよね?

細谷:
そうですね。ニッチのように見えてマーケットとしては結構広いのかなと思っているのと、実は初回投資の時はコロナの真っ盛りで、実は1回も会わずにご投資をさせていただいた印象がある会社になりますね。

石橋:
コロナ中はUber Eatsみたいなデリバリーは超伸びていたと思いますけど、テイクアウトというのも伸びていたんですかね?

細谷:
そうですね。中食みたいな、飲食が禁止されていた時期だったと思うので、お店で買ってお家で食べようみたいなのがちょっと流行っていた時期ではありますね。

Uber Eatsが届けられないケーキ市場の可能性

石橋:
あれはテイクアウトサービスを提供している飲食店様向けのソリューションで、エンドユーザーは別に恩恵を受けられるようなものではないんですか?ざっくりサービスとしてはどういう形になっているんでしょうか?

細谷:
彼らが得意としているのが、和洋菓子とかを中心としたテイクアウトになるんですけれど。例えばUberでケーキのデリバリーができないのを知っていますか?

石橋:
知らないです。

細谷:
崩れてしまうから、実は対象外なんですよね。

石橋:
主にラーメンしか頼んでないので、ラーメンを食べるシーンでしか使ってないんですけど。確かに言われてみると見たことはないです。

細谷:
そうなんですよ。サービスとして、都心にいるとUberは結構身近なサービスになってきているとは思うんですけど、よくよく聞いてみるとサービスの提供範囲が結構狭いよねとか。Uberの手数料はかなり高額なので。

石橋:
そうですね。

細谷:
当たり前ながらこの高額な手数料を負担できる人は実はそんなにいるんだっけとかを考え始めると、実はそんなに伸びないのかななんて思った時に出会ったのが、彼らのサービスというところで。

電話予約の課題を解決するテイクアウトSaaS

細谷:
彼らが強みとしているスイーツと言われている領域は、結構電話でも予約が大変なんですよ。誕生日ケーキとかを頼まれる方は絶対予約するじゃないですか。何のケーキですか、サイズは何センチですか、ネームプレートどうしますか、ロウソクはどうしますかとか、かなり多いんですよね。

石橋:
名前をミスっていてネタにされている動画とか見たことがありますね。そういうのは電話とかでオーダーしているから当然、しかも最近だと現場で外国人労働者の方がお仕事されていたりとかすると、新橋の餃子屋とかでたまに予約すると、中華系の人で伝わってんのかなみたいな、でもギリ予約取れてるみたいな。

そういう体験は予約という単位でもあるので、意外にペインは深そうですね。

細谷:
そういうところで自分も予約してみると、これは電話でやらないといけなかったんだっけと思うところはすごくあって、スイーツの領域だけでも意外にマーケットとしては巨大だなと思っていて。

あと郊外ですよね。Uber Eatsがやらないような郊外のところでパーティーとかお祝いしようというと、お寿司を桶で買ったりとかというようなマーケットは結構あるよなと。

そうするとおのずと単価も高いので、みんな取りに行ってしまうんですよね。そこに入るのはUberじゃないよねというのはすごく思っていたということですね。

石橋:
今はECで物を買うみたいな感じでテイクアウトを予約できるようになってるんですか?

細谷:
そうですね。オンラインでオーダーして、ピックアップは自分で取りに行く。決済はウェブ上でやれたりというような感じになるので、お店さん側からしても決済されているので取りに来ないみたいなリスクは全然ないと。

石橋:
確かに。コロナ禍に投資したんですよね?

1,000万円から7億円ラウンドまでの伴走

細谷:
はい、それが2022年4月で、ドシードに近くて、一部飲食店と洋菓子店で使われているというところで、1,000万円というようなところから入らせていただいた感じですね。

石橋:
本当にドシード系は少額から始めて、事業がちゃんと伸びてくれば、さっきのアイカサさんみたいなケースもランプさんみたいなケースも、追加投資で徐々に金額を増やしていくという。

細谷:
その後、結構事業としては進捗していたので、翌年の5月のラウンドは5,000万円でリードを取らせていただいて投資をさせていただいているというところですね。

石橋:
綺麗だな。

細谷:
直近プレスが出ているのが7億円の大型ラウンドについては、当社は1億円追加させていただいているという感じになりますね。

シリアル起業家・堀井氏が率いる「スマートバンク」

石橋:
ぜひ3社目に移っていきたいんですけれども、今度はtoC向けにしますか。

細谷:
そうですね。3社目がまた有名どころで申し訳ないんですが、株式会社スマートバンクさんですね。

石橋:
事業について簡単にご説明いただくと、起業家さんが何より業界でいうと有名なのかなと思うので、ぜひ起業家さんについても。

細谷:
事業としては家計簿プリカというサービスで、もともとB/43というサービス名なんですけど、今はワンバンクというサービスに変わられているのかなと思いますが、共同口座、ピア口座みたいな切り口で事業展開をされているというサービスになりますね。

石橋:
マネーフォワードMEの夫婦版みたいな感じなんですかね?

細谷:
そうですね。日本の場合、共同口座というような銀行口座がないものですから、共働き世帯が7割・8割の昨今にある中で、そういう需要は深掘りしていくとアナログな対応をされているというのが多いというのが彼らの課題だったというところと。

正直この領域はフィンテックなので、手数料もそうそう取れないという意味でいうと、かなり難しい領域だと個人的には思っていて。領域だけ聞いてしまうと大丈夫かなと思うところはあるんですが、それをひっくり返してきたのがCEOの堀井さんという起業家の力なのかなという気はしますね。

FRIL創業者・堀井氏の事業解像度の高さ

石橋:
改めて堀井さんの簡単なご経歴というか、凄みみたいな感じを教えていただいても良いですか?

細谷:
有名なところはFRIL(現:ラクマ)ですね。FRILを作られて、今は楽天グループ株式会社にM&Aされて、スマートバンクが2社目の起業というような起業家さんになりますね。

この会社も実は2022年7月に初回投資で、2024年10月に追加投資という形をさせていただいています。

石橋:
2022年当時は、先ほどなんとなくの仮説はお伺いできましたけど、事業数値だったりとか規模はどのぐらいだったんですか?まだこれからって感じですか?

細谷:
まだこれからというところですし、サービスとしてもデビットカードのピアカードができたというところになります。

その当時から、いろいろな事業展開をしたいみたいな話というのは計画としてはいただいていたものの、その通りいくのかなというのは、かなりアグレッシブな数字でもあったので、この数字を達成できたらすごいよねというのはずっと思ってはいながら、投資後を見させていただいたという会社ではありますね。

石橋:
結果、凄みのある堀井さんたちが達成したという感じだったんですか?

KPIを恐ろしいほど見る経営スタイル

細谷:
そうですね。ほぼオントラックに近かったのかなというふうに理解をしていて、その辺を分解していくと、かなり細かくKPIの数字は恐ろしいほど見られていて、その数字の悪いところを徹底的に叩きに行くというのは、事業解像度の高さというのはすごく印象的な投資先の1つかなと思いますね。

石橋:
ある意味、2回目の追加投資の時は、1回目は本当に難易度高いよなと思われていたところだったけれども、わりと安心感を持ってしっかり追加投資されたということですか?

細谷:
そうですね。

石橋:
そういうシリアル(連続起業家)からのご相談とかもあるんですか?

細谷:
基本的にイベントでお会いするかご紹介いただくかというのが、今ほとんどのソーシングになっているのかなと思います。その辺りから見させていただいてるという感じですね。

家計簿機能開放でさらに広がるマーケット

石橋:
逆に堀井さんたちというか、スマートバンクさんの今後でいうと、こういうところまで行けるんじゃないかなというか、期待しているところとかってあられたりするんですか?

細谷:
まだまだシェアという意味で言うと可能性がある会社さんだと思いますので、特に新規で今後も、新婚だったり同棲だったりという方々がずっと増えていく世界だと思いますので。

直近ですと、家計簿機能を開放し始めているので、同社のプリペイドカードを使わなくてもサービス使えますよね、みたいになってきているという意味で言うと、今までその対象じゃなかった、もうすでに夫婦間で使っているクレカがあるよね、みたいな人たちまでサービス対象になってきているという意味で言うと、よりマーケットが広がってきているのかなとは思いますね。

キャピタリストの好みを知って指名する時代へ

石橋:
細谷さん以外の人の好みも何かでアウトプットしてもらいたいですね。もちろん細谷さんだけがすべて対応できるわけじゃないじゃないですか。多分好みも違うとは思うし。

細谷:
そうですね。今、当社のホームページの方でキャピタリストの代表的な担当ポートフォリオを掲載させていただいていますので、その辺りで指名していただけると良いかなと思います。

石橋:
ありがとうございます。第1弾も出ていただいて、2弾も出ていただく中で、もちろん三井住友海上キャピタルとしての方針の全体感も見えてきた気もしますし、何より細谷さんはどちらかというとご担当者ベースというところの好みというのも見えてきたかとは思っているので。

もちろん見ていただいている起業家の方から直接ご連絡、お問い合わせはSNS等とか公式サイトとかからしていただくのも良いかと思いますし、当社のほうからご紹介できるところもあるかなと思いますので、ぜひ引き続きよろしくお願いします。

細谷:
よろしくお願いします。