【取引先1万社超】「地方投資」を本気で盛り上げる20億円ファンドの挑戦 | 投資基準や連携戦略がこの1本で丸わかり【ちゅうぎんキャピタルパートナーズ 石元 玲 vol.01】
◯石元玲 株式会社ちゅうぎんキャピタルパートナーズ 取締役 投資部長 X(Twitter)▶︎https://x.com/IshimotoKingdom
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岡山県出身。明治大学卒業後、新卒でベンチャーキャピタル入社、主に東京にてスタートアップ投資に従事。2009年から福岡で後継者不在企業向けの事業承継ファンドを運営。2015年、地元岡山に戻る。中国銀行グループの投資専門会社設立準備段階から関与し、2022年、ちゅうぎんキャピタルパートナーズ取締役就任。
2020年に1号ファンド、2022年に2号、2025年に3号
石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。
いつも僕はお世話になっているんですけれども、株式会社ちゅうぎんキャピタルパートナーズ取締役の石元さんにご出演いただきますので、よろしくお願いいたします。
石元:
よろしくお願いします。
石橋:
この動画さえ見れば、これからちゅうぎんキャピタルパートナーズさんに投資の検討をしてもらいたい起業家さんが全部分かるよねというように、だいぶ突っ込んでお伺いできればと思いますので、忖度なく色々と教えていただければと思います。
以前にも石元さんに一度ご出演いただいている時に自己紹介はいただいているんですけれども、軽く石元さんの自己紹介を先にいただいても大丈夫ですか?
石元:
分かりました。私は大学を出て最初のキャリアがベンチャーキャピタル(VC)の日本アジア投資株式会社に入りました。
その後、関連会社のプライベート・エクイティ(PE)のバイアウトの部門に行って、その後2015年に地元が岡山県なんですけど、岡山県の株式会社中国銀行に入りまして、3年前からこのちゅうぎんキャピタルパートナーズで投資の責任者をさせていただいています。
石橋:
プロフィールを拝見するとちゅうぎんキャピタルパートナーズのほうに構想段階から関わっていらっしゃったという感じなんですね。
石元:
そうですね。2020年ぐらいから構想していまして、1年半ぐらいかけて立ち上げたという感じです。
石橋:
今は足元2022年に始められたというお話だったんですが、直近だと3号ファンドをやっていらっしゃるんですよね?
石元:
そうですね。
石橋:
撮影時点が2025年の10月末なので、約3年強くらいで3号ファンドというのはめっちゃ高速だなと思うんですけど。
石元:
1号ファンドは会社ができる前から始まっているので、2020年に1号ファンドで、2022年に2号、2025年に3号という感じですね。
石橋:
2~3年ずつぐらいのタームでやっていらっしゃる感じですね。
3号のファンドサイズは20億円、地元5県はシードから投資
石橋:
今回は3号ファンドにフォーカスしてお話を伺っていきたいんですけれども、大体ファンドサイズとしてはどのぐらいのサイズで、どういうステージの起業家にまずは投資していこうというイメージなんでしょうか?
石元:
ファンドサイズは20億円です。地元に限らず全国どこでも投資できるようになっています。分けると、地元はシードから、できればリードでやりたいという意向でやっています。
東京とかになるとシードはごちゃごちゃしてしまうと思うので、これから先はコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)みたいな感じで銀行グループと連携できそうな会社さんをやっていきたいので、ステージはプレA辺りからが中心になっているという感じですね。
石橋:
なるほど。今「地元」という言い方がありましたけど、どこからどこまでがちゅうぎんキャピタルパートナーズさんの言うところの地元になるんですか?
石元:
中国銀行は岡山県なんですけど、僕らはもっと広く定義をしていまして、岡山県の上下左右1県ずつ、なので広島県・香川県・兵庫県・鳥取県も地元と捉えてやっていますね。
石橋:
地域で投資されている方によく聞く内容かもしれないですけど、地元で登記している起業家さんのこと、それとも地元出身の起業家さんのことも含む?
石元:
地元出身も含むでやっていますね。
石橋:
であれば、シードから投資していくみたいな感じなんですね。
石元:
シードじゃないですけど、東京の会社さんにはかなり投資していますので、その延長で色々な方にお声掛けしていただいているという感じですね。
創薬以外は幅広く、平均投資額3000万円で約30社へ
石橋:
大体ステージ感とかは分かってきたんですけども、基本的には全市場・全領域なんですか?触らないテーマとかやらないことは基本的にないという認識で良いですか?
石元:
創薬はやっていないですが、その他はほぼやっていますね。
石橋:
基本的にはシード~アーリーフェーズの、地域も問わないし、領域も幅広に見ていらっしゃる感じですね。
石元:
むしろ皆さんがやらないところも結構やっているかもしれないですね。
石橋:
その辺りの事例はぜひ2話で、具体的な投資事例、なんで投資したんだっけ?というところでお話しいただければなと思うんですけど。
実際シードラウンドから触られるとなると、投資計画もまちまちなのかなと思うんですけど、ちゅうぎんキャピタルパートナーズさんとしては大体1社にいくらまで追加投資する方針なんですか?
石元:
シードの場合は2000万円まで見ています。なんとなく3000万円ぐらいまでが累計出資になりやすいぐらいの目安ですかね。平均すると3000万円前後に落ち着いているというふうに理解しています。
石橋:
そうなると大体30社ぐらいに投資するということですか?
石元:
そうですね。1号ファンドが5億円で19社、2号が10億円で30社ぐらいになりますね。
石橋:
着々にサイズアップもずっとされていらっしゃるということなんですね。
石元:
むしろ今度は5000万円を超えると少なくなる、全体の15~20%ぐらいで、1億円を超えている会社も何社かあるので、そこを濃淡をつけて、先ほど言った事業連携をできそうなところから1回目をさせていただいて、深くなったら追加するという前提のスタンスですね。
石橋:
なるほどですね。
岡山のスタートアップエコシステム、見える化が進む
石橋:
Gazelle Capitalの社内とか、地域系の方とお話しする時に、岡山県の最近の動向みたいなところが、僕らの投資先でも起業家さんも首都圏出身で登記は首都圏にあるんだけれども、一番最初の事業の開始が岡山県であったりとか、岡山県周辺であったりとか、この前もスタートアップイベントのStartupGO!GO!がありましたけど、優勝されたmizuhachi株式会社さんも岡山県じゃないですか。
n数は少ないんですけど、すごく増えているなと思うんですよ。これはちゅうぎんキャピタルパートナーズの皆さんからしても、やっぱり増やせてきているという所感なのか、元々このぐらいはいたみたいな話なのか、岡山県や中国地方の最近の動向はどんなイメージなんですか?
石元:
僕らからすると増えているというよりは、多分見える化できているというか。今まではそういった方の存在も知らずに、StartupGO!GO!に出てもスルーされていたのが、一定程度僕らも活動し始めて、地元にそういう地銀のVCもあるみたいな感じで認知されてきているという感じです。
石橋:
仕組みが整っているという感じですかね。
石元:
そうだと思います。
9年続く岡山イノベーションスクール、ABABA久保氏も輩出
石橋:
今は地元の起業家さんの収支をやられているところかと思いますが、ちゅうぎんキャピタルパートナーズさんとして、地域の開拓や育成みたいなプログラムやお取り組みは、何か特徴的なものはあるんですか?
石元:
ちゅうぎんキャピタルパートナーズは中国銀行グループで、地元の新聞社さんと一緒で、9年前から創業のアクセラレーションプログラム「岡山イノベーションスクール」をやっていますね。石橋さんにも今年講師として来ていただきました。
石橋:
こんなにテクニカルなことを話して良いのか?みたいなことでほぼ終わってしまったような気がしますけど、お伺いさせていただきました。
石元:
ここで毎年20〜30人ぐらい毎年来ていて、中には株式会社ABABAの久保くんが在籍していて、アクセラレーションプログラム中にABABAのサービスを出して。
石橋:
出資もされていらっしゃいますよね?
石元:
出資もしていますね。何人かそこを経て東京に出て行ってファイナンスしている方もいて、5人以上エクイティ調達を実現できている。年1回ぐらいで考えていただいて良いですね。
石橋:
毎年コンスタントにやっていらっしゃるということですね。
石元:
そうですね。必ず誰かが出資を受けたり、僕らも出したりしています。
石橋:
大体何月ぐらいに募集を開始しているんですか?
石元:
募集は12月~2月ぐらいです。
石橋:
あれは地元に住んでいる人じゃないと申し込めないプログラムなんでしょうか?
石元:
そこは大丈夫でして、岡山県と広島県の境の辺りのエリアで事業を立ち上げたい方であれば大丈夫ですね。過去にも東京や大阪府から参加されている方は一定数いらっしゃいます。
来年もやりまして、事例をたくさん作っていって、僕らなりの銘柄と言うんですかね。僕らのプログラムからの成功事例をたくさん作っていきたいと思っています。
石橋:
まさに先ほどお名前を挙げていただいたABABAの久保さんみたいなケースを、より仕組みとしてたくさん作っていけるようにということなんですね。
僕らも最近、「岡山県絡みの人が増えているよね?」みたいなことがあって、そういう仕組みが増えてくるとより加速していくのかなと思っているので、勝手に楽しみにしておきます。
ぜひ皆さんも毎年12月~2月頃に募集されているということですので、岡山イノベーションスクールを調べてみていただければなと思います。
GMOエンペイのIPO、GMOグループ入りを支援
石橋:
代表的な1号ファンドからもやっていらっしゃるので、イグジット事例だったりとか、投資先が上場しているケースだとか、どんなところが代表的な今の投資先のイメージになるんでしょうか?
石元:
投資の実績で上場した企業は3社ですね。(※2026年3月時点で5社に拡大)
石橋:
素晴らしいですね。
石元:
中でもGMOエンペイ株式会社さんという、最近GMOインターネットグループ株式会社にグループインしています。
石橋:
よく存じております。
石元:
保育園などの幼保施設の集金をするサービスです。
石橋:
スタートアップなんですか?
石元:
スタートアップですね。集金をアプリでやるというサービスなんですけど。
石橋:
めっちゃシンプルですね。
石元:
シンプルです。なのでお取引先さんは学校の給食代とか、学童保育のおやつ代とかですね。現金回収がすごく多いので、保護者と施設がLINEの友達でつながって、月末に「1,850円です」という通知がきて、それを見てクレジットカードやPayPayで決済して終わりなんですけど、今でもやっぱり現金回収しているので。
石橋:
茶封筒に入れて集金するのを未だにやっているところが多いんですか?
石元:
結構多いです。それをデジタルトランスフォーメーション(DX)化したということです。
これは中国銀行グループがGMOエンペイさんの相手先ブランド製造(OEM)の提供を受けて、私たちが売っていくというのがあったので、スタートアップの商材をそこまで組み込んで、出資をしてイグジットをしていただいて、私たちのすごく良い事例ですね。
石橋:
今でも変わらずOEMのシステム提供を受けながらも、地元でもお客さんウケが良いんですか?
石元:
そうですね。岡山市さんはまとめて導入していただいたりとかしますので。
石橋:
市が運営している施設とかもあるということですね。
1万数千社の取引先ネットワークで事業連携を支援
石橋:
GMOエンペイさんに限らず、投資先のサービス連携や導入支援を積極的にされていらっしゃるんですか?
石元:
そうですね。銀行はビジネスマッチングという制度があるので、お客様を取引先に紹介する。法人取引先が中国銀行だけで1万何千社ぐらいあるので。
石橋:
そんなにあるんだ。
石元:
なので先ほど言った東京のスタートアップとかは、B向けを中心に投資していますけど、顧客を紹介できるし、そのツールが地域に広まってくると業務の効率化につながるということで、意識的にこういった企業さんにアプローチをしていますね。
石橋:
実際にちゅうぎんキャピタルパートナーズから3号ファンドで出資を受けたいとなった場合は、もちろんお問い合わせをしてコンタクトはできるかと思うんですけれども、金融機関系のVCの方とかだと検討が長そうなイメージじゃないですか。
どれぐらい前からコミュニケーションしておいて、どれぐらいが検討期間として起業家さんに見ておいていただけると、ちゅうぎんキャピタルパートナーズさん的にはやりやすいイメージになるんですか?
石元:
意思決定は早くできるんですけど、先ほど言った事業連携のシナリオ作りに時間が必要ですね。私たちだけじゃなくて、銀行の違う事業部と話し合ってもらって、僕らが見てできそうだから出資するというシナリオを作るのは時間がかかるので、最低3ヶ月を見ていただくと余裕を持ってできる。
一番ベストなのはファイナンスをした後にご紹介いただく。そうすると次に1年ぐらいかかるので、その間に僕らが一生懸命事業を組み立てていくと、出資も問題ないし、出資できた後の広がりを確実に絵が描けるので、先ほど言った出資金額もがっつりいけるということです。
できれば1年ぐらいを見させていただくと、すごく良い絵が描けるということです。
石橋:
理解です。
地方VCのファンド・オブ・ファンズ戦略、地方を盛り上げる投資家を応援
石橋:
大体チケットサイズや検討スケジュールは理解できてきたんですけれども、中国銀行さんとちゅうぎんキャピタルパートナーズさんとしては、どういう戦略でファンド連携やファンド投資を本体のCVC投資と有機的につなげていくイメージの絵図を描いていらっしゃるんですか?
石元:
僕らは石橋さんと3年ぐらいのお付き合いがあって、ファンド・オブ・ファンズでご出資をさせていただいています。皆さんは地方を見ていると言いながら、本当に見ているだけで、行く人がいなくて。実際に来ていただいて、起業家の方とお話しいただくとか、投資するとなると、正直ものすごく少ないです。
地方を見るではなく、実際に行って、本当に地方から投資したいという人を応援したい。その方々の良い投資家を増やしたいっていうのが1つ。
あとは1号ファンドがなかなか難しいじゃないですか。できればインキュベイトファンド株式会社さんみたいに1号から金融機関もコミットすると、起業家のシードファイナンスみたいな感じで、前職に何かお付き合いがあって独立する時に社会の信用がなくなるので、僕らは信用を維持したまま、チャレンジを最初にサポートする役目になりたいという思いですね。
最後は石橋さんもそうですけど、岡山県だけに投資してくださいという意味じゃなくて、地方への投資の量を増やしたいので、他のエリアで九州地方でやりますとか、北海道でやりますとか、地方を盛り上げてやってくれる方に出したとして、例えば九州や北海道が盛り上がると。
それを僕らは横目で嫉妬して、我々もやらなければいけないという、地方に火をつけてくれる投資家をたくさん増やすという意味で、そういう方々に投資をしていこうと思って今やっています。
石橋:
僕らに限らず、今のテーマでいくつかすでにVCさんに投資されていると思うんですけど、例えばどんなところが今連携して実際に出資をされている先になるんですか?
石元:
例えば9Capital合同会社さんという北九州市が本社なんですが、前職にレオスグループにいらっしゃった竹山さんが独立されて、北九州でエコシステムを作られています。瀬戸内海を含めて、地方から世界に出る起業家を発掘するみたいな感じですね。
実際に今は岡山県でもアクセラレーションプログラムを回していただいていたりとかして、そういう志がある方は大歓迎なので、この方に投資しない選択肢はないので。
石橋:
1号で地方地域で、拠点も北九州ですね。
石元:
断る理由がない。前職の時から懇意にさせていただいたので、竹山さんには出資済みですね。
石橋:
他はどんなところだったりするんでしょう?
石元:
2号ファンドも出まして、この時はライトアップベンチャーズ株式会社さんという大阪拠点の中村さんに実は最初にやっていますね。
石橋:
中村さんは大阪に根付いていらっしゃる感じですよね。しかもそこは1号ファンドですね。
石元:
そうですね。他にも中国銀行の時にもリミテッドパートナー(LP)出資をやっていたので、その時にも他の地銀が投資していないところに投資をするという変態プレイをやっていて、他の地銀さんが入ってきてくれるというパターンをいくつかさせていただいています。
例えば石橋さんが最初にスタートアップに投資して他の投資家が入るような形で、僕らがそういう存在になれると地域にいろんな投資家さんが入ってきてファンド自体が盛り上がるので、そこのきっかけになれれば良いなという目線で投資していますね。
一次産業×テック、瀬戸内海エリアに注目
石橋:
CVC側に話を戻して、石元さんに2つの軸で聞きたいんですけど、ちゅうぎんキャピタルパートナーズとして3号ファンドで特に注目しているような領域やテーマ、あとは石元さんがキャピタリストとして特に掘っていきたいところとか、ホットだと思っているところは、2つの軸でお伺いできればと思うんですが、どんな感じのイメージをお持ちでしょうか?
石元:
地方は関係なくて、一次産業・二次産業・三次産業という言葉があるように、ベースはやっぱり一次産業で、そこに食とかの需要があるので、ここを変革すると後ろの産業が変わってくる。
林業・漁業・農業、この辺りをずっと見ていて、一部投資もしているんですけれども、まだビジネスチャンスはむちゃくちゃあるし、僕らがバリューを発揮できる取引先のご紹介とか、地方銀行がやることによってのレバレッジを利かせてスケールがさせられやすいということで、この領域は投資したい。
中でも瀬戸内海などの海もあるので、波がなくて島がある?なんかできる?みたいな。ドローンを飛ばすのでも良いし、船が行き来するとか、このあたりはテーマとしてやっていきたいなと思っていますね。
あとは個人的には重めなスタートアップですかね。ディープテックとは言わないけど、ものづくり系スタートアップだったりとか、地元企業との掛け合わせがすごい親和性が高いと思っています。
地方にいる地元の中堅企業とか、皆さんスタートアップに興味を持ち始めたので、ここに起業家と地元企業の掛け合わせで何かバク進させるものを僕らが描けると、東京の投資ではないものができて、しかも地銀らしさが出るので、このロールモデルを僕らが最初に作りたいなと思っています。
石橋:
それでは次回の動画では、なんで石元さんがこの会社に投資したんだっけ?みたいな、色々と突っ込んだお話を伺っていきます。それでは次回もお会いしましょう。さようなら。
【なぜ投資した?】地方VCが出資する起業家の条件|急成長SaaSに追加出資する判断軸とは【ちゅうぎんキャピタルパートナーズ 石元 玲 vol.02】
岡山移住で挑む、農業バイオスティミュラント市場
石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。
今回も前回に引き続き、ちゅうぎんキャピタルパートナーズ取締役の石元さんに来ていただいていますので、よろしくお願いします。
石元:
よろしくお願いします。
石橋:
もうだいぶ緊張もほぐれたかなと思いますので、今回は、なんで投資したんだっけシリーズみたいなところで、3〜4社さんぐらい実際に投資した先に、どんな会社でいつぐらいに投資して、どういう仮説とか、どういう目論みで投資したんだみたいな話を、色々と突っ込んでお伺いしていきたいと思っています。
まずはサクッと1社目からいきたいんですが、どちらから取り上げていきましょうか?
石元:
岡山県の株式会社WAKUという会社です。植物系の肥料を作っている会社です。
グルタチオンというアミノ酸とかが結合しているタンパク質ですね。これが植物の生育を促進するというもので着目されていて、それを作って農家さんとかに販売するというスタートアップです。
石橋:
だいぶトリッキーな感じはするんですけど、岡山県でやっている会社さんなんですね。
石元:
そうなんです。元々ENEOS株式会社の方3人で創業された会社です。
石橋:
ENEOSと肥料って関係あるんですか?
石元:
ENEOSの新規事業で研究されていた方で、最高技術責任者(CTO)の方がグルタチオンの研究をされていて、社内でなかなか事業化できなかった方と、もう2人植物工場の新規事業でやられようとした方がいて。この2つのチームが両方とも採択されずに、でも近いテーマなので一緒になったのがWAKUです。
なぜ岡山県かというと、グルタチオンの研究をしている第1人者の先生が岡山県にいらっしゃって、この研究をするなら岡山県しかないということで、移住してやろうというので立ち上がったスタートアップです。
石橋:
出身者でもなければ、元々住んでいたわけでもなく、引っ越してきて移住してということですね。
石元:
そうですね。
石橋:
その先生と一緒にスタートアップをやっていらっしゃるという感じですか?
石元:
そうですね。その先生は岡山県農林水産総合センター 生物科学研究所というところにいる小川先生と一緒に開発している会社です。
肥料でも農薬でもない、第三の選択肢
石橋:
具体的には、工場で化学物質を混ぜ込んで作っている感じになるんですか?
石元:
これは肥料との違いがあって、バイオスティミュラントという新しい領域で、農薬でもなく肥料でもなくて、人間でいうとプロテインを飲むのが肥料みたいな、外から吸収して自分の筋肉にする。
彼らがやっているこのグルタチオンというのは、植物の内部にある機能を高めて、光合成を自分でたくさんするための活性化するような効果をグルタチオンは持っていて。
どちらかというと肥料と混ぜることによって、外から吸収したものをより自分で活性化させるとか、外から光をたくさん吸収させるみたいなところをセットでやることによって、例えばネギが約1.5倍になるとか、3ヶ月ぐらいで育つ植物が2ヶ月に短縮できるみたいなところに貢献できる。
これを今彼らが開発しているという感じです。
銀行支店経由で出会った、20代の起業家
石橋:
何をされている会社さんなのかとか、どんなチームなのかというのは理解できたんですけど、岡山県に移住されてきてから石元さんのチームと知り合われたんですか?
石元:
岡山県に移住されてきて、資金調達をされたいということで、岡山市から1時間半くらいかかる高梁市の中国銀行の支店に行かれて、支店の方から「WAKUさんがちゅうぎんキャピタルパートナーズに会いたいらしいですよ」というので会ったのが最初ですね。
石橋:
エクイティ調達は全然やっていないということですか?
石元:
やっていないです。
石橋:
そこからご縁があって、割とスムーズに投資されたんですか?
石元:
そうですね。本当は銀行の支店経由で来る人は何か怪しかったり、研究おじさんとか、あまり良い案件がないので、しかも肥料を作ると言われているので、ちょっとこれは難しいなと思って、とりあえず会ったんですけど。
代表の姫野さんという方はまだ20代ですけど、食に対する問題意識がすごく高くて、話を聞いていて引き込まれてしまって。ちょうど2週間後ぐらいにお会いした後に、株式会社クレストスキルパートナーズの南さんが岡山県に来られる機会があって。
飲み会だともったいないのでイベントをしようと思って、彼らにピッチをさせたら、南さんに気に入られて「出資したい」となったので、「それなら」みたいな感じで、僕らも一緒に出資に乗りました。
石橋:
シードの頃から出資されてという感じですか?
石元:
そうですね。構想の段階で出資しました。まだグルタチオンを何から抽出するかという議論があって、実際のグルタチオンは医療現場で使われたりとか、コスメで使われたりとか、どこでも出回っているんですけど、どこから調達して抽出して安く作るかというのを彼らが特許で開発していて、そこにチャレンジする段階でしたね。
地域リソースと起業家の組み合わせに賭ける
石橋:
その段階で、かつディープテック系なのかなと思うんですけど、どういう仮説でというか、別の目論みがあったかもしれないですけど、何が最終的な決め手として当時の投資ができたんですか?
石元:
1つは先ほど言った岡山県農林水産総合センター 生物科学研究所の小川先生がある種の岡山県のリソース、アセットなので、起業家の方が来ていただく組み合わせの投資は、僕らからするとほっとけないというのが最初の1つ。
もう1つは食の問題で、農家さんは今結構厳しくて、特に気候変動で植物が育たない。なのでキャベツが500円まで高騰した問題とか、化学肥料をできるだけ使わないようにしたいけど、使わないと育たないということで、農業現場はすごい課題が多かったんですね。
彼らは先ほど言ったように、肥料とセットにすることによって化学肥料も抑えられて、自律的に植物の成長を促す。そうすると、化学肥料が5000億円規模ぐらいのマーケットがあると思うんですけど、その中の一部を代替できるので、初期的には取れるだろうと。あと新規参入で好き好んで入ってくる人は今いないので。
石橋:
いなさそうですね。
石元:
時代的に全部はひっくり返らないですけど、一定程度取れて、かつ先ほど言った他の領域に展開できるので、安価にたくさん作れるようになると、医療とかコスメとか他にも展開できるということで、その可能性で投資をさせていただいたという感じです。
石橋:
石元さんはものづくりが好きですね。
石元:
好きですね。
石橋:
ちゃんと成功するとインパクトも大きいですよね。もちろんハードルはあるんでしょうけど、大きいところも狙えるんだろうな。ありがとうございます。
鳥取県発、建設DXで世界を目指す学生起業家
石橋:
1社目がまさにシードで、岡山で地域と外の人の掛け合わせみたいなところでしたけど、2社目はどんな会社さんのお話にしましょう?
石元:
2社目はONESTRUCTION株式会社。広義の意味で、建設DXのソフトウェアの会社ですね。本社は鳥取県です。
石橋:
ギリギリ地元の案件ですね。
石元:
地元です。
石橋:
どんな起業家さんがやっていらっしゃる会社さんなんですか?
石元:
西岡大穂さんという、今27〜28歳の方ですね。
石橋:
若手の方ですね。
石元:
そうですね。京都府のご出身で、鳥取大学を卒業する間際にこの会社を作られて。
石橋:
学生起業家さんですか?
石元:
学生起業家です。4期目ぐらいに私たちが当時のラウンドで最初のリードで、シードで投資させていただいた会社です。
鳥取県が本社なんですけど、地盤は東京都にも出ていらっしゃって、今東京と鳥取の2つでやっていらっしゃいます。
BIMで建設業界の課題を解決
石橋:
建築・建設DXとはいえ、建設と言っても広いじゃないですか。具体的にいうと、建設業界の誰の、何を、どのように解決している会社なのかご説明いただくとどんなイメージになってくるんですか?
石元:
BIMと呼ばれる、ビルディングインフォメーションモデリングという、3Dに3次元化するまでは今の建設業はいっているんですけど、その先に、例えば資材の1つのデータを持たせると言うんですかね。これがいくらで、どこからなのか紐づけていくというのをBIMと言って。
これをやることで、建設業界の人手不足や建設資材高騰といった色々な問題の業務効率ができるということで、世界的にすごい注目されている領域で、そこに関連するソフトウェアです。切り口がいくつもあるんですけど、例えばBIM化しても、社内で共有できるようにするダッシュボードを作るとか。
あるいは建設業界は広いので、色々なツールが使われていて、それはもちろんPDFとかを含めてですけど、変換するためのツールがないので、そこを含めて彼らが提供したりとか。
BIM自体が国際規格もあって、日本もこれから「建築申請やBIMを使ったので申請してください」と出ているんですけど、彼らはそういったルールメイキング側に回っていて、自分たちのソフトウェアを使うと海外でも通用するみたいなところもやっています。
あとは純粋にモデリングするところも、大手の企業さんから受託してやったりしています。
石橋:
もう一度聞きますけど、学生起業家さんですよね?
石元:
そうですね。当時学生で、農業分野で起業されようと思っていたみたいなんですけど、やっぱり大きな市場ということで、ナンバー2の方と出会ってBIMに興味を持って。
最初の4年間は自社プロダクトじゃなくて、BIMはその時に何も波が来ていなかったので、受託でゼネコンさんのモデリングをやったりとか。
結果的にそこでいろんな情報収集ができて、彼らが自社プロダクトでやろうとした時には、そことチャンネルができているという構造でやっています。
週末起業家との偶然の出会い
石橋:
出会ったきっかけもずいぶん前からなんですか?
石元:
投資が2024年4月です。出会ったのはちょうどその1年前ですね。
石橋:
まだ全然、受託事業をやっていらっしゃった時代からですか?
石元:
そうですね。その時の彼は会社員でした。起業したんですけど、リクルートの社員で、土日と夜だけONESTRUCTIONをやっていました。
石橋:
学生起業をしたものの、普通に就職もして、週末起業状態だったんですね。
石元:
そうですね。
石橋:
そして受託事業でお客さんを建築・建設業界に回していて、何で知り合うんですか?普通にサラリーマンをやっているんですよね?
石元:
鳥取県のピッチのイベントがあって、休みだったので僕がたまたま行ったら、彼もピッチしない派だったんですけど、その日だけされていて、そこで初めてお会いしました。正直僕もたくさん会っていますけど、超イケている起業家で。
僕の感覚的に投資は難しいなと思ったんですよ。僕じゃなくて石橋さんとか、東京のイケているVCに投資してもらったら良いなと思って、友達になりたかったので「ご飯食べに行きましょう」と誘っていたんですよ。
途中から「VCでこんなところが来てます」と、僕らが投資したいという意味じゃなくて、純粋に「どう思いますか?」というのをやって仲良くなっているうちに、「中銀さんは僕らに投資とかできるんですか?」と言われたので、「それはできます」と言って投資しましたね。
最初から「鳥取から世界へ」みたいなことを今も言っていますけど、真面目にずっと言っていて、この人だったらできるなと思って、僕は絶対に投資してサポートしなければいけないなと思いましたね。
石橋:
当時は無償でいろんな国の方々に使っていただいていたというお話でしたけど、リード投資されてから成長はしてきているという感じなんですか?
石元:
そうですね。有償プロダクトも大手スーパーゼネコンも入っています。かなりの社数が入っています。
石橋:
1本目でお話いただきましたけど、建築・建設業界のお客様もすごく銀行としても付き合いが多いとなると、相性もなおさら良いという感じなんですね。
石元:
そうですね。今はスーパーゼネコン向けなんですけど、この後は地方のゼネコン向けのプロダクトも今準備中で、ここを僕らは相当手伝えるなと思っていて、この2本柱で面を取っていこうみたいな感じですね。
石橋:
次もシリーズAみたいな感じなんですね。
石元:
そうですね。今撮影している2日後に、2回目の追加の出資もするので、順調に成長されています。
石橋:
良いですね。
バックオフィス丸投げ、東京発SaaSへの投資
石橋:
これもある意味地元の起業家さん、WAKUさん、ONESTRUCTIONさんと続いているので、違うセグメントと違うカテゴリーの方もぜひ事例としてお話しいただければと思うんですが、他だとどういう方になるでしょうか?
石元:
次は株式会社SoVaという会社です。バックオフィスのクラウドのサービスです。会計・税務・労務を安価に行えます。
石橋:
株式会社マネーフォワードとかフリー株式会社とはまだ全然違う?
石元:
そうですね。マネーフォワードは会計特化ですけど、登記や法務などのあらゆるバックオフィス業務を一括して請け負うサービスです。将来的には一番顧問数が多い税理士事務所っぽいところを目指しているみたいなイメージですかね。
石橋:
類似競合でいうと、税理士法人や会計事務所さんが類似競合みたいな感じになるんですかね?
石元:
そうですね。社会保険労務士事務所とかもなるかもしれませんけど、彼らが一括で請け負う。特に創業期から10人ぐらいの会社で、個別に契約するよりはSoVaでやった方が全部安く提供を受けられるというところで、今は爆増している、クライアントが急に伸びているような会社です。
石橋:
これは東京の会社になるんですか?
石元:
東京の会社ですね。
石橋:
どんな起業家さんがやっていらっしゃるんですか?
石元:
山本健太郎さんという、学生の時に公認会計士を取られて、SoVaの前はスタートアップの最高経営責任者をやりながら、SoVaは5~6年前にやっているんですけど、兼務でCPA会計学院という日本で一番公認会計士を輩出している学校で人気講師もやっています。そういう方がやっている会社ですね。
石橋:
業界知見のある方がやっているという感じなんですね。
石元:
そうです。
石橋:
ちゅうぎんキャピタルパートナーズさんが出資されたのはどのぐらいのタイミングだったんですか?
石元:
出資は2023年4月ですね。追加投資も2024年7月にしていますね。
石橋:
結構大きくなっているスタートアップさんなんですかね?
石元:
そうですね。当時は1回目の時はまだそれほどユーザーがいらっしゃらなかったんですけど、今は月にその時よりも10倍ぐらいになっている感じですね。サービスも機能の充実を図って、かなり伸びていますね。
自分がやりたかった事業を見つけて
石橋:
表面的にお話だけ聞くと、昔っぽく言うと社会保険労務士法人や税理士会計法人を統合したものみたいな感じですけど、何が新しいんだろうというのが表面的だとなかなか分かりにくいのかなと思うんですけど。
石元さんとしては、どこの部分を当時のまだお客さんがそんなにいらっしゃらなかった中のSoVaさんに何か可能性を見出したというか、ここはめちゃめちゃポテンシャルがあるんじゃないかみたいなポイントは何だったんですか?
石元:
最初に知ったのがICCパートナーズ株式会社のピッチイベントを見ていて、僕はそういうバックオフィスのサービスで起業をするか、そういう何かをずっとしたいと思っていたんですよ。事務所同士で契約していると月額で7万円とかはもったいないから、僕が請け負えないかなとか。
後ろで束ねてやるサービスをやろうかなと思っていたらSoVaが出ていたので、「これだ」と思って、勝手にSoVaを知り合いの起業する子に紹介していたんですよ。
石橋:
自分がやりたいと思っていた事業をやっている人がいたから、困っている人に紹介していたんですね。
石元:
「これはすごいサービスだからやった方が良いよ」と言っていたら、SoVaの山本健太郎さんから連絡がきて、まだユーザーが少ない時に岡山県のユーザーが増えていて、紹介元に石元さんと書いているので、「1回お礼が言いたい」と言うので、ミーティングの設定依頼が来て、初めてお話ししました。
ファイナンスの時にも「1円でも良いので」と言われたので、それで出資したという感じですね。
石橋:
発見した当時は、すぐに出資しようとは思わなかったんですか?
石元:
その時はまだ1~2回のファイナンスが終わって、まだファイナンスの話がなかったのかな。ちょうどお会いして1年ぐらいですかね。
今はバックオフィス丸投げサービスという、記帳代行を含めて投げておけば全部やりますよとか、通知が来て、この時に何かやらなければいけないというのをやるので。
2〜3人でやっていて、バックオフィスがない方にとっては、SoVaだけを見ていると月次も安心だし、フリーやマネーフォワードさんなどの別途で契約しなければいけないサポートのサービスも付いていて、夜中は顧問税理士さんが対応してくれませんけど、24時間いつでも連絡をすると誰かが回答してくれます。
石橋:
土日とかも基本は休んでいますよね。
石元:
そうです。それをやってくれるということで、要は創業・起業される方にとってはものすごくウケている。岡山市も今SoVaを担いでくれていて、SoVaを受講すると特定創業支援事業というか、創業する時に登記にかかる税金が安くなるというのを提携していただいている感じです。
地方から世界へ、志の高い起業家を支援したい
石橋:
改めて、3社さんをご紹介いただいてありがとうございます。
最後のまとめに、ちゅうぎんキャピタルパートナーズとして、どんなことをスタートアップ投資活動を通じて成し遂げていきたいとか、結果論としてこういう起業家にまた出会っていきたいとか、ご一緒したいところを、ぜひカメラ目線でメッセージをいただければなと思いますので、お願いしてもよろしいでしょうか?
石元:
私たちは岡山県という地方都市で投資活動をやっていますので、地方から世界に打って出たいという志の高い方、地方でも諦めずに頑張れる起業家の方に、できるだけ僕らが役目として投資をしていきたいと考えています。もちろん岡山県を見ている方がいれば、ぜひ立ち上がっていただければ嬉しいです。
石橋:
ありがとうございます。ぜひお気軽にコンタクトをまず取っていただいて、WAKUさんのケースだと支店の方経由でお話もしていると思うので、あらゆるチャンネルがあるかと思いますので、各種SNS等のURLやちゅうぎんキャピタルパートナーズさんのホームページのURL等も概要欄に掲載させていただいておりますので、ぜひそちらからコンタクトしてみていただけるといいと思います。
それでは石元さん、少し先にはなるかと思いますが、次は広島県でちゅうぎんキャピタルパートナーズの出資先のKGモーターズ株式会社さんの出張撮影に行きたいと思っておりますので、少し間が開いてしまうかもしれないですけど、お見逃しのないようにお待ちしていただければと思います。
楽しいコンテンツになると思っていますので、ぜひよろしくお願いします。それでは次回の配信でもお会いしましょう。さようなら。
