【AI】社会課題の解決と持続的な利益の両立を目指す!上場企業VCが語る新しい資本主義の形”善進投資”とは【ユナイテッド 早川 与規 vol.01】
◯早川 与規 ユナイテッド株式会社 代表取締役社長 兼 執行役員
公式HP▶︎https://united.jp/
早稲田大学政治経済学部卒業
1992年 株式会社博報堂入社(営業職)。
1998年 米国シラキュース大学経営大学院に私費留学。
1999年 株式会社サイバーエージェント常務取締役。
2000年 同社取締役副社長兼COOを務める。
2004年 モバイルサービスを展開する株式会社インタースパイアを設立、代表取締役社長CEOに就任。
2009年 株式会社エルゴ・ブレインズと合併し、株式会社スパイア代表取締役社長CEOに就任。
2012年12月 モーションビート株式会社(現ユナイテッド株式会社)と合併、ユナイテッド株式会社代表取締役会長CEOに就任。
2020年6月 代表取締役社長 兼 執行役員に就任(現任)。
◯八重樫 郁哉 ユナイテッド株式会社 キャピタリスト/マネージャー
X(Twitter)▶︎https://x.com/f_yaegashi
立教大学社会学部卒。
新卒でスタートアップの1号社員として入社し、ビジネスサイド全般の立ち上げを推進した後、2020年より独立系VCにて、大手企業や自治体向けのイノベーション関連のコンサルティングに従事。
2022年5月にユナイテッドに入社後は、HR Tech、バーティカルSaaS、コマース、エンタメ等幅広い領域で投資を実行。
2024年より投資事業本部キャピタリストチームマネージャーに就任。
◯井上 怜 ユナイテッド株式会社 投資事業本部 本部長
Facebook▶︎ / inoue.ryo.9
公式HP▶︎https://united.jp/
日本大学文理学部卒。
2007年にエルゴ・ブレインズ(現ユナイテッド)に入社後、広告営業、メディア運営、Web/APPプロモーションに従事。
その後、コーポレートカルチャー本部副本部長として、採用、育成、広報、人事制度など組織創りを担当。 2018年から投資事業に従事、数十社の投資実行及び投資先支援の他、業務提携投資やLP出資も複数実行。 2022年より投資事業本部長就任。
また、プライベートでは2007年より私立佼成学園高等学校アメリカンフットボール部コーチを務め、現在はヘッドコーチとしてチーム運営に関わり、5度の日本一に貢献。
2社合併から生まれた上場企業の投資戦略
石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。
今回は、知っている方も多いと思いますが、ユナイテッド株式会社 代表取締役社長の早川さんにご出演いただきます。よろしくお願いします。
早川:
よろしくお願いします。
石橋:
普段からお付き合いはカジュアルにさせていただいていますが、今回は合計3本ユナイテッドさんにご出演いただきます。まずはそもそもユナイテッドという上場企業が結構異質な会社なんじゃないかなと思っているので、改めてどんな概略で、どんな方針で投資活動しているのかをお伺いしていきたいと思います。
この1本の動画さえ見れば、ユナイテッドさんから投資を受けたい会社やスタートアップの方が全部分かるという状況に仕上げていきたいと思っています。
まずは簡単に、ユナイテッドさんについてどんな会社なのかを話していただいてもよろしいでしょうか?
早川:
ユナイテッドというのは2012年の年末に、上場している会社同士の2社が合併してできた会社です。もともと株式会社ネットエイジからの流れでやったモーションビート株式会社という会社と、僕が起業して1回合併してるんですけど株式会社スパイアという会社、この2社が2012年の年末に合併してできたのがユナイテッドです。
石橋:
もう13年前ぐらいということですね。
早川:
そうですね。その頃はスマホに切り替わった時だったので、スマホの広告がメインだったんです。前はアドテクがブームだったので、これを柱にしていて、投資事業に関してはずっとモーションビートの流れで投資事業をやっていました。
僕も投資案件というのは持ち込まれてくるので、そういった意味ではベンチャーへの投資というのもやっていたんですけれども、大きな流れとしてはモーションビートでやっていたものが、我々がやっているところのもともとの流れですね。
石橋:
今となっては僕の中で、ユナイテッドさんといえば投資会社なんじゃないかぐらいむちゃくちゃやっているイメージなんですけど、今ももちろん事業もやっていらっしゃるとはいえど、今ほど投資活動をブーストし始めたのはいつ頃ですか?当時の2012~2013年からもそうだったんですか?
早川:
そんなことはなくてですね。株式会社メルカリに出資したのは2013年なんですけど、その時はあまり積極的にベンチャー投資をやっているというタイミングではなかったです。
2022年にパーパスを策定しまして、背景はいろいろあって、メルカリさんが2018年に上場をされて、我々もキャピタルゲインをたくさんいただいたので。
石橋:
ざっくりどのくらいのリターンでした?
早川:
まだ未実現分を含めてですけど、おおよそ3億円を出資させていただいて、これが500億円ですね。大変ありがとうございます。山田さんと小島さんにはもう足を向けて眠れない。
石橋:
3億円が500億円。
メルカリ500億円リターンから始まった事業再構築
早川:
我々は事業会社でもあるので、この軍資金をいただいて、事業にどんどん投資しようということで、当時流行っているありとあらゆるものに手を出しまして、なかなかうまくいかなくてですね。
2022年にもう1回、事業ドメインから考え直そうということでパーパスを策定しました。それが「意志の力を最大化し、社会の善進を加速する」というパーパスを設定して、その中でコア事業を3つ定めました。
我々の生い立ち的なところからいくと、投資事業というのはコアの1つの強みであるということと、人材マッチング事業、それと教育事業。この3つをコア事業にして仕切り直したのが2022年からですね。
そこから私も投資の担当役員になりまして、そこから投資件数を結構増やしているという感じですね。
石橋:
冒頭で大御所というような表現をしてしまいましたけど、もしかしたらYouTubeを見ている若い視聴者は早川さんって誰?かもしれないので、簡単になぜ起業したのか自己紹介いただいても大丈夫ですか?
早川:
1992年に株式会社博報堂という広告会社に入りまして、そこから2年間アメリカに大学院留学するつもりで行ったんですけど、1998年のアメリカはインターネット大ブームなんですよ。
Windows 95ができて、そこから新しいサービスが実態として出始めて、これは大変なことになると、日本でも同じことが起きるぞというので、大学院は1年で中退して。
たまたま1年目の夏休みの時に株式会社サイバーエージェントができて1年ちょっとだったんですけど、20人ぐらいの時にインターンをしまして、そのままサイバーエージェントに入りました。副社長を丸5年間やって。
石橋:
良いですね。
早川:
その時は大変な時期で、万年赤字会社と呼ばれていた。今は大変素晴らしい会社ですけど。5年間いたんですけど、副社長として黒字化して株価も戻し、副社長としてはやるべきことはやったなと。
石橋:
早川さんがインターンしていた時は、もう上場していたんでしょうか?
早川:
全然してないです。ただ代表取締役社長の藤田さんは「上場しますから」というので、当時は店頭市場に行くぞということで準備をしていて、ただサイバーは9月の決算なんですけど。
僕がインターンしていたのは7月と8月の夏休みまで。9月が決算しまして、これで店頭市場に行きますというようなことだったんですけど、監査法人を入れて決算したら赤字になっちゃいましたと。
僕は株式を公開しているということの意味があまりよく分かっていなかったので、「そうですか」と。僕はどちらかというとインターネット広告に興味があったので、これは伸びるから何も気にしてなかったんですけど。
やっぱり藤田さんが持っているのは、赤字になりましたといった時に東証マザーズ市場ができたんですよ。本当に1~2ヶ月で急に東証マザーズができますと。これは赤字でも良いですと。インターネット企業大歓迎ということで、その翌年の3月に上場できたんですよ。
石橋:
そこから約5年間、副社長を務めていらっしゃったということですね?
早川:
そうです。
石橋:
いつどうやって起業して今のユナイテッドになってきているんですか?
早川:
2004年の9月が決算で、初めて黒字になりました。時価総額も初値天井で、上場した初日がピークだったんですよ。
石橋:
当時はいくらぐらいだったんですか?
早川:
最初は約700億円ですね。
石橋:
売上6億円で700億円ついてたんだ。
早川:
225億円調達できた。それはインターネットに対する期待感だったんですよね。
そこから5年やって、初めて黒字になって時価総額も戻りというところで、スタートアップの数というか、自分で会社を起こす人が増えた方が良いなということで、うまくいくかどうかは分からないけど自分でもチャレンジしてみようというので、会社を作ったのが2004年の年末ですね。
石橋:
そこからいろいろあった上で、統合したりとか合併して、今のユナイテッド社になっているということなんですね。ありがとうございます。
年間15億円、30社への投資戦略の全貌
石橋:
その上でさっきのお話に戻していくんですけれども、ユナイテッドさんとしては大きかったのがメルカリさんへの投資と大きなイグジットで、2022年パーパス再設定された上で、今の直近の、2022年以降の投資活動となるとどんな方針でどのぐらいのバジェット、年間なのか、多分ファンドにはしていらっしゃらない認識なので。
早川:
そうですね。うちはバランスシート(BS)から出しているので、全部自己責任。
石橋:
年間の予算が決まっているんですか?
早川:
おおよそは設定していまして、約15億円をトータルで見ています。投資件数で言うと約30件をやろうという感じです。
石橋:
1社大体3,000~5,000万円ぐらいを安定的に毎年投資していこうという感じなんですかね?
早川:
そうですね。3,000~5,000万円出すものと、後でお話しするんですけど、善進投資というものを我々はやっていまして、これは3~5億円ぐらいとか、場合によってはもう少し大きく出すケースもありますけど。
石橋:
理解です。一旦今の3,000~5,000万円の方から少しブレイクダウンして、ユナイテッドさんの中でいうとテック投資と言われているカテゴリーの話なのかなと思いますけど、テック投資の方はどんなラウンド間のところでリード・フォローとかどんなスタンスで投資されていらっしゃるんですか。
早川:
我々多いのはプレシードからアーリーのステージで、リード投資を取るケースもありますけれども、フォローの方が多いかなという形ですね。
石橋:
ユナイテッドさん、先ほど早川さんからパーパス再設定された上で、HRと教育というところが事業ドメインとしては張っていらっしゃる、もちろん投資事業部というところもあられるわけですけど、三本柱でやっていらっしゃる中で、とはいえ事業会社さんじゃないですか。
なのでHRと教育に紐づくところに、テック投資のバジェットで、毎年30社ぐらいやっているという感じなんですか?
早川:
そこは全く関係なく、純粋に投資先を見てやっているだけですね。
石橋:
逆にやらない領域とかはないんですか?例えば極端に言うとバイオとか創薬とか。
早川:
バイオとか創薬はやらないです。
石橋:
あくまでも、インターネットしているところにテック投資という?
早川:
基本そうですね。基本インターネット周り、善進投資だと別のケースもありますけど。
最短3ヶ月、フレキシブルな投資判断プロセス
石橋:
理解です。そこは後ほど深掘りできればと思います。
テック投資とかの場合は、早川さんとかユナイテッドの皆さんと起業家の方が初回接点とか面談してから、どれぐらいの時間を見ておくと投資検討してもらえるなみたいな、検討プロセスというか期間でどのぐらいのイメージになるんですか?
早川:
お急ぎであれば急ぎますという感じですけど、テック投資だったら3ヶ月ぐらいでいけると思いますけどね。もっと早くもいけます。
それはご事情に合わせて、そこは我々フレキシビリティを持ってやろうと思っているので。
石橋:
良いですね。
早川:
ファンドではないので、投資委員会は都度開催できますし、金額にもよるんですけど、大体私と事業本部長の井上が揃っていれば大体判断できますので。
石橋:
理解です。逆にその投資をいただいた後とかの起業家さんが、もしユナイテッドさんを引き受け元にしようとなった場合に、その後はハンズオフっぽく関わっていらっしゃるのか、逆にこういうことはユナイテッドさんに期待を持っていても、起業家さんとしてはズレがなさそうだみたいなところはどんなところだったりするんでしょうか?
早川:
今トータル150社あるので、全部ハンズオンはできないですね。なのでハンズイフでやるわけですけれども、早いステージの会社が多いので、1つは管理会計、数値の管理がなかなかできないというか。
その辺は我々も事業をやっているのでノウハウがあり、キャピタリストもそうですけども、例えば我々の経営管理本部が、うちの経営企画のメンバーが入って、こういうふうに数値管理をしたらどうですか、こういうフォーマットを使ったらどうですかということをやったりしますね。
石橋:
そこは上場企業として長くやっていらっしゃるからこそ、そういうところもノウハウとしては提供するという感じですね。
起業家の「エネルギー」を最重視する投資哲学
石橋:
先ほど投資検討のプロセスのところで、事業会社の方とは思えないぐらいフットワーク軽く、起業家ファーストでご対応いただいているのかなと思いますけど、早川さんから見てテック投資でアーリー投資するんだったら、こういうところの起業家さんとか、こういう観点を持っている人とか、どういう基準でシード・アーリーを見極めていらっしゃるみたいなところは、どういうふうに答えることが多いですか?
早川:
一番は起業家にエネルギーがあるかどうか。この市場伸びていますよというのは当然大事。
上りのエスカレーターでダッシュした方が良いですよねと。下りのエスカレーターでダッシュするより、上りのエスカレーターでダッシュした方が良いですよねということなので、そういうことを選んでるかどうかも大事なんですけど。
ただ、起業家にエネルギーがないと。エネルギーというのは剥き出しに出してる必要はなくて、内に込めていても良いんですけど、とにかくやり切れるかどうかということだと思うので、そういうエネルギーがある方かなというのは、僕はすごく気にします。
石橋:
大前提かもわからないですけど、マーケットのところとチームというか創業者というところに尽きるんですかね?
早川:
もちろんチームもありますけど、早いステージだとあまりチームが揃っているということはないので、チームを作れるかどうか。
この人はむちゃくちゃ優秀なんだけどチーム作れないなというケースもあると思うので、現状でいくとそういうチームを作れるかどうかが大事だと思います。
石橋:
ありがとうございます。今テック投資のお話を聞いてきているんですけど、メルカリさんはめちゃくちゃ分かりやすいポートフォリオのイメージはあると思うんですけど、他にはどんなところが実際にイグジットされていらっしゃったりとか、実際ユナイテッドさんの投資先が成長している事例はどんなところになるんですか?
早川:
直近の新規株式公開で言うとdely株式会社(現:クラシル株式会社)さんですね。
石橋:
堀江さんのところですね。
早川:
堀江さんもエネルギーの塊みたいな人なので、誰が見てもエネルギーを感じる人ですけど。
石橋:
やっぱりスタートアップ界隈に根差して、領域問わずいろいろなところに投資されているという感じなんですね?
早川:
そうですね。入口のところであまり選り好みはしないようにしていますね。
社会課題解決と収益性を両立する「善進投資」
石橋:
今までテック投資側のお話を聞かせていただいてきたので、善進投資とはそもそも何なのか、ということから教えていただいて大丈夫ですか?
早川:
非常に分かりやすく言うと、社会課題の解決と利潤の追求、収益性の追求、事業性、これを両立させようというのが善進投資ですね。
よくあるのは、すごく社会課題に取り組んでるんだけどなかなか事業性がない、収益が上がらない、そうするとサステナブルにできないので、やっぱり社会の課題を解決しようと思ったら、資本主義なのでちゃんと利益が出ないといけない。そういう形の事業はなかなか難しいんですけど。
石橋:
より難しいですよね、おそらく。
早川:
ただ最近の若い起業家はそういう方多いので、非常に社会を良くしようとか。
僕らの時はちょっと違う。インターネットがすごいというのがベースにあって、もちろんそれは大事なんですけど、もう少し社会にとって意味のあることを事業で解決したいという方たちは結構出てきていると思うので、そういう方のお手伝いをしたいなというふうに思っています。
石橋:
善進投資とテック投資で、投資のパッケージと言いますか、レギュレーションはちょっと異なるんですか?
早川:
異なりますね。基本的には善進投資はリードでやります。
石橋:
なるほど。そこは根本的に大きくスタンスが違うところなんですか?
早川:
大きく違うと思います。
石橋:
金額も3,000~5,000万円というよりかは、リード投資になるともうちょっとフレキシブルに?
早川:
大きいケースが多いです。
石橋:
そうなんですね。善進投資は社会問題に根差していれば、これも領域は問わずという感じなんですかね?
早川:
テーマはいくつか決めていまして、例えば日本の課題の最たるもので言うと高齢化ですね。健康寿命を延伸するというのも大事ですし、そういうことを含めて高齢化とか、あとは地域の課題ですね。
あとは農業を含めた食の領域、あとはカーボンニュートラルですね。実際多いのは高齢化とか地域とか農業を含めた食というところが今、善進投資でいくと多いところですね。
石橋:
善進投資は、僕の立場から想像するとより投資難易度が高そうというか、そもそも善進投資の対象となるような起業家さん、発行体が、それを社会性と利益の追求を両立させることが難しいように、そこに投資をして回収するというのも、すごくレベルが高いのかなと思うんですけど。
どうしてユナイテッドさんとしては、そのより難易度の高いような投資も含めてやっていこうと、2022年前後から意思決定されたんですか?
早川:
1つは、その高い難易度のところが成功した場合はリターンが大きいだろうと。
石橋:
なるほど。
早川:
より高いリターンが得られるというのは大前提です。我々上場していますので、当然これは株主に対してリターンを提供しないといけないというところですので。
テック投資はどっちかというと時間軸は比較的短いというか、3~5年ぐらいで結果は出るかなと。善進投資に関してはもう少し時間軸を長く捉えていまして、そこが我々がBSから出資している、ファンドではないというところの1つの特徴というか、そういうことを活かしていこうというところで。
例えば時間軸が10年かかる、もしかしたらもうちょっとかかるかもしれない。ただこれは間違いなく大きく成長させられるし、その時のリターンはより大きいものが得られるだろうと。
僕が1つ思ったのは、善進投資で、例えば営業利益が10億円出ましたと。この10億円はとても尊い10億円だと。社会課題の解決をして、ちゃんと利益も出している。株は皆さんに共感を持ってもらうことが大事だと思うので。
石橋:
応援するとか、期待を持つみたいなところで買う人はたくさんいらっしゃいますもんね。
早川:
そういった意味でも、善進投資というのはリターンが大きくなるんじゃないかなというふうに考えてやっています。
石橋:
ユナイテッドさん自身も資本主義の中でやっていらっしゃるからこそ、善進投資も社会貢献のためだけにやっているというよりかは、ちゃんと投資戦略に基づいて、どっちの両面もやっていらっしゃるって感じなんですね。
早川:
パーパスも綺麗事を言っているというよりは、そのパーパスに基づいてちゃんと儲けるんだという前提でやっているので、そういうつもりでやっていますね。
メルカリ投資の舞台裏「最後はチームに賭けた」
石橋:
理解です。ちなみに善進投資先でもテック投資先でも構わないんですけど、今まで長く早川さんが投資事業も携わっていらっしゃる中で、印象的だった投資先とか、ここは激しかったなみたいなところっていらっしゃいます?
早川:
激しかったのはやっぱりメルカリになるんですけど、メルカリも多分苦労はあったと思うんですけど、山田さんをはじめとして皆さん1回起業された経験というのが生きていると思いますし、その中で経営チームもすぐに作られて、小島さんもそうですけども、良いチームに作られたので。
うちの役員もいろいろ考えたと思うんですけど、僕はもしこのフリマアプリがうまくいかなくても、このチームだったらピボットして、きっと何かやってくれるだろうなというふうに思って。
最後はアプリがまだリリースされる前だったので、最後は目を瞑ってというか、もうこのチームに賭けようと。当然その議論とか分析を尽くした上で、そういった判断をしたんですけど。
石橋:
チームとしてのエネルギー量はすごかったということなんですね。ありがとうございます。
シリコンバレーで感じたAI革命の本質
石橋:
最後にというか後半になってくるんですけれども、早川さんがキャピタリストとして向こう半年、1年間ぐらいで、こういうところのエレベーターに乗っかっていく人はめっちゃ良いと思うんだけどなと思われているようなテーマだとか、領域とかビジネスモデルとか何かあられますか?
早川:
やっぱりAIですよね。先月サンフランシスコ、シリコンバレーに行ってきて、いわゆる1年に1回ぐらい行って、向こうのキャピタリストとか起業家にお会いするようにしているんですけど。
去年とか一昨年ぐらいはあまり日本と変わんないかなというところだったんですけど、今年はもう全然違うよと。もうAIだと。
逆にAI以外に投資しているのはあまり聞かないというか、それ以外のテーマはない。これは結構日本と違うと思いませんか?
石橋:
ですね、そこまで極端にはまだなっていないと思います。
早川:
やっぱりAIのスタートアップが少ない。僕は1998年にアメリカに留学している時に、間違いなく日本にもインターネット来るぞと。
1998~1999年になって、この1年は全然違う1年だったので、そういう同じようなことを今感じていて、今年・来年というか、半年・1年でいくとAIというのが大テーマだと思うんですけど。
ただ日本の場合はAIに関して言うと、出てきてほしいと思いますけどね。
石橋:
逆にAIとなると、もちろん見ていただいている起業家さんの中にもすでにAI領域で起業されている方もいっぱいいらっしゃると思うんですけど。
AIであれば何でも良いというのはさすがにないとは思うので、もうちょっと掘り下げたところとかのビュー、それこそ早川さんは海外からもインプットする中で、こういうテーマはありなのかなとか、肌触り感のあるところとかってあられますか?
早川:
具体的にどれというよりかは、既存のビジネスモデルがAIで全く変わってしまうということはあると思うので注目したいなと思っています。
今想像しえないようなビジネスモデル、例えばインターネットが出る前だと、本は本屋さんで買うものだと。アメリカに言うとバーンズ・アンド・ノーブルという本屋さんのチェーンがあって、ここはすごいらしいと。
何がすごいかというと、本屋さんなのに中にスターバックスがあるらしいと。スターバックスでコーヒー飲んでる間に、そこにある本を読んで買わなくて良いらしい。そういう競争ですよね。
本屋さんの中の差別化だったのが、ある日アマゾンができて、僕の田舎の学生寮の扉の前に、すごくマニアックな授業で使う本が翌日届くという、そういう競争になってしまう。
今やっていることにAIを活用するということじゃなくて、AIで全く違うビジネスモデルができるということを考えている人たちがいるんじゃないかと、出てきてほしいと思いますし、そういう変化かなと思います。
石橋:
僕らも普段シードベンチャーキャピタル(VC)としてやらせていただいている中で、新しい概念としてお話をいただく人より、既存の事業に立脚されるような、AI化してどうこうという方が多いような気もするんですけど。
言われてみれば、それぐらいの破壊的な変化があってもおかしくないフェーズだとは思うので、この1年・2年でそういうチャレンジを志している方はユナイテッドさんに。
ちなみに、普通にコーポレートサイトのお問い合わせフォームから連絡すれば?
早川:
大丈夫です。
石橋:
概要欄の方に載せさせていただきますので、その辺のエッセンスも含めて第2弾の方で、なぜこの会社に投資したのかということを、ぜひ突っ込んでお伺いしていければと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
早川:
よろしくお願いします。
【事例紹介】有機農業・デジタルトレカ・確定申告DX・製造業DXに出資するCVCの投資戦略を解説【ユナイテッド 早川 与規・八重樫 郁哉 vol.02】
アイガモロボで農業を変革するNEWGREEN
石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。
今回も、ユナイテッド株式会社 代表取締役社長の早川さんにご出演いただいております。引き続きよろしくお願いします
早川:
よろしくお願いします。
石橋:
今回は1本目でユナイテッドさん自体の簡単な略歴とか、善進投資とテック投資、それぞれの方針とか内容の大枠のところをお伺いしてまいりましたので、おそらくカットされていなければ4社出てくるんですけど。
まずは早川さんから2社ほど、善進投資の方から1社、まずは取り上げていただければと思いますが、どんな会社になるんでしょうか?
早川:
株式会社NEWGREENという会社があるんですけど。
石橋:
NEWGREENさん、何をやっている会社なんですか?
早川:
新しい農業の形を作ろうとしているというか。例えば、国策で有機農業の比率を高めようと決まっているんですけども、ここに対して有機米を作ろうという時に、アイガモロボというのをNEWGREENという会社はプロダクトの1つで持っていまして。
アイガモ農法というのがあって……
石橋:
アイガモを解き放って、虫とかを食べてもらうやつですか?
早川:
そうです。雑草を食べるとか、そういうのをやる代わりで、ルンバみたいなものですね。これが水田の中を走り回って、ソーラーなので全部自分で、燃料を使わない。スマホで全部見られるんですけど、ちゃんと均等に動いています。
何をしているかというと、動き回ることによって水田の水を濁らせるので、雑草というのは光合成をすると雑草が生えてきます。
石橋:
なるほど。
早川:
光合成ができないように濁らせまくっているので、そうすると除草剤をまかなくてもお米ができるというような会社で、これが主なプロダクトなんですけど。
これ以外にも、去年の米騒動がありまして。
石橋:
ありましたね。
早川:
去年の秋から今も米価上がっています。このトレンドは変わらないと思うんですけど、その前から彼らは有機に取り組んでいるのと、有機じゃない形で効率化をすごく追求した農業というのもあって、乾田直播と言うんですけど、要は田んぼを耕して水を張らなくても良い、乾いた土に苗にする前の状態のものを植えていくわけですね。そうすると芽が出てくる。
NEWGREENはちゃんと水を張ってプレミアムなお米を作るという有機米みたいなものと、乾田直播である程度合理化して作るというようなもの、新しい農業の形というのをやろうというような形で。
これに限らず、NEWGREENはいろいろな話がすごく入ってくる状況になっていて、新しい農業の在り方というのを作ろうとしている会社です。
最初は有機米デザイン株式会社という名前だったので、有機米を作るためのソリューションだったんですけど、それに限らずということでNEWGREENという社名変更をされている。
三井不動産出身の起業家が描く農業の未来
石橋:
起業家さんは農家出身の方とかがやっているんですか?
早川:
2人代表取締役がいらっしゃるんですけど、Spiber株式会社がありますよね?Spiberの隣にスイデンテラスというのがあるんです。
これは田んぼの真ん中にものすごくかっこいいホテルがあるんですけど、これを作ったのが山中さんという株式会社SHONAIの代表でもあり、NEWGREENの代表でもあるんですけど。
石橋:
情熱大陸的なやつに出ていますよね?
早川:
カンブリア宮殿です。
石橋:
カンブリア宮殿だ。
早川:
山中さんはもともと三井不動産株式会社に勤めていて、ショッピングモールを作る仕事をやっていたらしいですね。
ただ自分として、もう少し社会にインパクトのあることをやりたいということで、最初Spiberに入社される予定だったらしいんですけど、鶴岡でいろいろな流れからそのスイデンテラスを作り、農業があったりとか。
子供向けのKIDS DOME SORAIというのがあるんですけど、素晴らしい建物を作ったりとか、あと人材をやっていたり、いろいろなビジネスをSHONAIグループとしてやられているんですけど、その中の1つの農業、ここが一番今コアな事業でNEWGREENという会社です。
石橋:
SHONAIさんのグループ会社という感じだったんですか?
早川:
そうです。持ち分はそんなに、連結にはなってないんですけど。
石橋:
関連会社と言うべきなのかな?
早川:
ざっくり言うとグループ会社ですね。
石橋:
そこが外部調達もして、もっと伸ばしていこうという時に、ユナイテッドさんたちとご縁ができたということだったんですね。
農家の平均年齢67歳、供給不足が生む巨大マーケット
石橋:
先ほど有機米がとか米騒動で値段がとか、善進投資だったとしてもマーケットが重要だというお話がありましたけど、早川さんとしてはNEWGREENさんが相対しているマーケットが、どういうふうに変化していくから、めちゃめちゃ良いよねという感じなんですか?
早川:
最初は有機米ですね。国策で有機の比率を増やすというところでいくと、農薬を使ったものを敬遠される方もいらっしゃるので、そういった方々がプレミアムな値段で買われるというところだったので、これは米価がここまで上がっていない状況でもチャンスだなと。
伸びるマーケットだし、ここはチャンスだと思っていたんですけど、お米は全体的に今こういう状況にはなっているので、多少は価格変動があるんだと思うんですけど、完全に供給が追いついてないので。流通がとかということもあると思いますけど、生産量は正確に把握できていない。
農家の平均年齢は67歳で、どんどん高齢化している。辞める人はどんどん出ているというような状況の中で、そういう大規模化するとか合理化するとかということで、農業のチャンスはあるなと思ったので。
あまり取り組んでる人はいない。流通をやっているとか、栽培工程の中の一部のソリューションをやっているというスタートアップはあると思うんですけど、NEWGREENはトータルで、全体の中でのソリューションを提供してるという形ですね。
事業投資とテック投資、それぞれの投資基準
石橋:
善進投資について、全体像というのがなかなか肌触り感がない起業家さんとかもいらっしゃったのかなと思うので、善進投資をされた時はプレスリリースでも「善進投資です」と書いてあるんですか?
早川:
書いているケースが多いですね。
石橋:
そうすると、起業家さんの方も調べやすいというか、こういう感じなんだなというところはより肌触り感が出やすいところかと思います。
場合によっては、僕らみたいなシンプルなVC受けはもしかしたら良くないかもしれないけど、この両立でいくんだというところであれば、善進投資側でご縁が広がるというところは当然あるかとは思いますので、そういった起業家さんはぜひご連絡いただけると良いのかなとは思います。
早川:
そうですね。事業が何らかの社会課題を解決しているということであれば。
我々、先ほどテーマとして、カーボンニュートラル、地域の課題、あと食というふうに言ったんですけど、これ以外やらないということではないので、注力してるテーマはそこだということです。
石橋:
社会的な課題にきちんと立脚をしているのであれば、わりと多方面で見ていくという感じなんですね。
早川:
あと、ちゃんと収益を上げようという。
石橋:
そこは大前提で一番大事?
早川:
大事ですね。
学生起業家が挑むプロスポーツのDX、ventus
石橋:
早川さんからも、善進投資以外のテック投資の事例も1社挙げていただければと思いますがいかがでしょう?
早川:
株式会社ventusという会社があるんですけど。
石橋:
変わった名前ですね。何の会社なんですか?
早川:
デジタルトレカですね。分かりやすく言うと、プロ野球の球団のトレカをデジタルで発行していますという会社なんですけど、やっぱりコアなファンが多くて。
どことは言いませんが、意外な球団が意外に売り上げが伸びていたりとか、その辺はすごく面白いなと思うんですけど。スポーツチームやプロ野球に限らず、推し活の1つの形ですけど。
この会社はすごく業績が伸びているんですけど、我々なりに支援ができたなというのは、グループ会社にスポーツマーケティングの会社があるんですね。
株式会社インターナショナルスポーツマーケティングという会社があるんですけど、ここはかつて球団の公式ホームページを作っていましたとか、球場の演出をやっていましたとか。
石橋:
繋がりが深いんですね。
早川:
このネットワークを使ってventusが取り組むことで、なかなかプロのスポーツの世界というのはスタートアップにとって認めてもらうハードルが高いところもあるので、非常に良い形で取り組みができて、我々としては事業的な支援という意味では、今一番成果が出ているかなというようなケースですね。
4~5年前のシード投資から80人規模へ成長
石橋:
もともとどのぐらいのタイミングで出資はされていらっしゃったんですか?
早川:
4~5年前のタイミングで、その時はプロ野球の球団は1球団か2球団ぐらい。
石橋:
実質シードに近いというか、かなりアーリー気味という感じですか?
早川:
そうですね。プロダクトとしてはあったんですけど、広がりがなかったというか。
学生起業家で梅澤さんという社長で、東京大学の学生でスポーツにすごく興味があって、その中で自分が事業を起こしたいということで、今80人ぐらいになっているそうです。
石橋:
そんなに規模が出ているんですね。
早川:
まず今デジタルトレカから入っているんですけど、日本のプロスポーツはまだデジタル化というか、デジタルトランスフォーメーション(DX)する余地がたくさんあると思うので。
ventusに関しては入り口がそういうデジタルトレカから入っていますけど、これで急成長していてそれなりのスケールにもなってきてるんですけど、それだけじゃなくてもう少し大きい絵図を描いている。僕はすごく期待もしていますし、というような会社です。
静かな学生起業家が持つ「懐に入る力」
石橋:
それこそ4~5年前に投資された時は、デジタルトレーニングカード市場がこうなっていくはずだみたいな仮説にのっとって投資をされたんですか?
早川:
デジタルトレカは一定のマーケットはあるだろうなというふうに思いましたし、それも梅澤さんという社長ですね。彼は見た目物静かで、すごく紳士的というか、若いのに落ち着いているというか、イケメンですけど。すごく内に秘めているものがあって芯が強くてですね。
プロのスポーツの業界は若い起業家が行くとなかなか難しいところを、ちゃんと懐に入り込んでですね。
そこはうちのインターナショナルスポーツマーケティングも支援はしているんですよ。しているんですけど、そこからちゃんと形にしてるので。
石橋:
しかも学生起業家さんで、セールス経験がないけど、ちゃんと懐に入り込んでやっているという感じなんですね。
早川:
デジタルトレカのマーケットももちろんあるんですけど、もっと大きいところを梅澤さんには見て欲しいなというか、プロスポーツの収益機会とかDXの余地というのはたくさんあると思うので、ここにすごく期待しているというところですね。
石橋:
ありがとうございます。後半戦の2社は、ユナイテッドさんの投資事業本部マネージャーの八重樫さんですね。
以前もYouTubeのユナイテッドさんの動画で取材させていただいたところで出ていただいていたので、後半戦は主にテック投資側の話になるかと思いますが。
早川:
うちのエースキャピタリスト、八重樫が登場しますので。
石橋:
良いですね。非常に楽しみにしておりますので、後半もぜひご覧になっていただければなと思います。それでは早川さん、ありがとうございました。
早川:
ありがとうございました。
年間20社に投資するエースキャピタリストの目利き力
石橋:
では改めまして八重樫さん、これからよろしくお願いします。
八重樫:
よろしくお願いします。
石橋:
八重樫さんの簡単なご略歴とかは、以前にもユナイテッドさんの動画に出ていただいている時にプロフィールとかの話をいただいています。その動画は概要欄の方にURLを記載させていただいているので、そちらをご覧いただければと思います。
さっき早川さんからエースキャピタリストとご紹介がありましたけれども、直近のざっくり1年間ぐらいだと、ユナイテッド社の中で毎年30社ぐらいが会社として投資しているとお話ありましたけど、八重樫さんは何社ぐらい投資されていらっしゃるんですか?
八重樫:
去年で言うと20社前後ぐらいですかね。
石橋:
30社のうち20社前後ぐらいは八重樫さんが投資している?
八重樫:
もちろんチームで動いているというところはあるんですけれども、大体それぐらいの会社さんとご一緒させていただいているという形です。
石橋:
八重樫さんの振り返りも兼ねてかもしれないですけど、ぜひ2社さんほど、なんで投資したのかというのをお伺いしていければと思いますが、まず1社はどんなところからいきましょう?
八重樫:
1社目は、株式会社タックスナップという会社をご紹介させていただければと思います。
石橋:
ざっくり、どういう事業をやっている会社なんですか。
八重樫:
フリーランスとか個人事業主向けに、確定申告のサポートをするアプリを提供しているという会社になっています。
スワイプだけで確定申告、タックスナップの革新性
石橋:
その事業だけ聞くと、別にfreeeとかマネーフォワードとかで良いんじゃないみたいなふうに思ってしまう方も、しかもこの番組見ていただいている方で起業家さんもいれば、個人事業主の方とかフリーランサーの方もたくさんいらっしゃるので、何が既存のツールとタックスナップで違うんですか?
八重樫:
そもそも確定申告という作業自体がめちゃくちゃ面倒くさいというところがありまして、そもそもフリーランスの方は会計の知識に対して知見があるわけでもないですし、使った費用みたいなところがどの費用項目にどう記載すると良いかみたいなところは、対処するのが難しいみたいなところ。
確定申告期にまとめてやろうとすると、いつどのタイミングで何のために使ったレシートだっけみたいなところもわからないというところで、かなりペインが深いところで、確定申告があるからフリーランスが嫌だ、もうやめようみたいなところの声もあるぐらいすごく面倒なペインになっていますというところですね。
実際にタックスナップという会社が何をやっているかというところなんですけれども、今ご説明させていただいた通り、確定申告のアプリです。
スマホで確定申告ができるというアプリなんですけれども、端的に言うと、口座とカードとタックスナップのアプリを連携すると、カードで使ったところの明細というのがカード形式で出てきますと、それをスワイプする。
これは経費か経費じゃないかというのをスワイプするだけで、確定申告書類が作れるというサービスになっています。
石橋:
経費か経費じゃないかだけで良いんですか?
八重樫:
そうですね。どの費用項目なのかみたいなところも自動で精査できるというアプリですね。
個人事業主の方はもちろんケースバイケースなんですけども、自分の家の食費に使いますみたいなクレジットカードと、お仕事で使うクレジットカードを分けていないケースがあったり。
石橋:
わかります。気持ちはとってもわかります。
八重樫:
仕事で使うものは仕事で使うものとして整理しなきゃいけないというところはあるんですけれども、それを簡単に仕分けられるというところですね。
これは何の費用項目で入れないといけないのか、というところから既存のサービスだと入らないといけないと思うんですけれども、経費か経費じゃないかというところだけでそれができる。
石橋:
フリーランスの方とか知らない方は、ぜひ。
八重樫:
ご覧になっていただいている個人事業主の方とか、ぜひご利用いただければなと思います。
ベータ版段階での投資判断、3つの決め手
石橋:
ちなみに、いつぐらいのラウンドとか時期に投資をされたのですか?
八重樫:
ご出資をさせていただいたのは2年ぐらい前という形ですね。
石橋:
結構前ですね。当時はタックスナップさんはどういう事業ステータスだったんですか?
八重樫:
アプリがもうすぐ出るかなぐらい。もうベータ版にリリースしていて、確定申告直前を初めて迎えるという時期間でのご出資だったという形ですね。
石橋:
フリーランスの働き方みたいなのは広がっているのかなと思いますけど、似たようなプロダクトもなくはないのかなと想像もしてしまうのですが、どういう仮説感とかどういう期待値を持って、当時ベータ版だったタックスナップさんに投資をしようというところになったんですか?
八重樫:
大きく3つかなというふうに思っていて、1つが先ほどおっしゃっていただいたように、フリーランスとか個人事業主は働き方の多様化でめちゃくちゃ増えていますし、引き続き伸びていくだろうというところも明確にビューとしてはあったので、そこの伸長性はもちろん評価をさせていただいていました。
もう1つが、ラッキーなところでもあるんですけれども、私がもともと株式会社サムライインキュベートという独立系のVCでお仕事をさせていただいていまして、タックスナップ代表の田中さんもサムライインキュベートで一時、一緒の職場で働かせていただいていました。
自分がもともと学生時代に株式会社じげんという会社でアルバイトをしていて、かぶってはないんですけど、田中さんは新卒でじげんに入られていて、共通の知り合いとかもいて。
もちろん一緒に職場でお仕事させていただく中での田中さんのやり切り力みたいな、気合みたいなところとか、もともとじげんで働いていた方から聞く田中さんの突破力みたいなところは聞いていたので、そこで田中さんという起業家を信じられたみたいなところはありますね。
もちろん田中さんのやり切る力とか実行力みたいなところはそうなんですけど、田中さんご自身が1回フリーランスを経験されているんですよ。
当事者だったというところで、もともとVCなので、金融リテラシーが高い方でもそういう苦労があったというところで、相当このペインが深いのであろうというところも信じられたというのもあったので。当事者としての課題に対する解像度と、もともと今申し上げたような実行力みたいなところは結構あったかなと思っています。
3つ目は、この2つ目に付随するところではあるんですけれども、チームも当時エンジニアだったりとかマーケティングみたいな、ある種アプリを提供するにあたってのエッセンシャルなチームがすでにできていて。
かつ学生時代から仲良かったチームで、かなり組織の結束力もできていましたし、そういうところを総合的に勘案して、トラクションみたいなところというよりも、マーケットのところとチームというところで判断ができたというところは幸運だったかなと思っています。
半年間のディスカッションを経て投資、FAcraft
石橋:
ありがとうございます。まさにユナイテッドさんのシード・アーリー投資をしているらしい事例のお話だったのかなと思いますけれども、もう1社あげるとしたらどんな会社になるんでしょう?
八重樫:
もう1社は、前回スタートアップ投資TVで出させていただいたのがきっかけで、お問い合わせをいただいて、その後半年間ディスカッションした上でご出資させていただいたという会社で、株式会社FAcraftさんという会社です。
何をやっているかというと、設備保全、製造業のものを生産する生産機器のメンテナンスをする方向けの業務効率化だったりとか、生産性を上げていくというところのAIソリューションを作っている会社をご紹介させていただければなと思っています。
石橋:
スタートアップ投資TVの八重樫さんの出演を見ていただいて、問い合わせに入ってきた時は、どういう事業ステータスでいらっしゃったんですか?
八重樫:
まだ事業については構想中というステータスでしたね。
代表が沖盛さんという方なんですけれども、もともと自動車部品を作っている会社で設備保全をやっていらっしゃったという方が創業している会社ですね。
なので、ここのペインを一番良い角度で入っていけるという、ドメインがどこなんだろうかみたいなステータスでお声掛けをいただいて、そこからディスカッションを半年くらいさせていただいてからご出資をさせていただいた会社になります。
半年間の伴走──事業アイデアから投資実行まで
石橋:
ディスカッションをしていたというふうにおっしゃいますけど、課題はそういうご経歴の方なのでよく知っていらっしゃって、どういう角度でビジネスを作っていくみたいなレベルから議論にお付き合いして、結果として出資に至っているという感じですか?
八重樫:
そうですね。もともとやっていた事業アイデアみたいな、もともと設備保全領域の人材の事業とかをやっていて、そこでも話をさせていただいたんですけれども。
設備保全向けのSaaSと言ってもいろいろなペインがあるので、どこから入っていくと一番良さそうなんだっけみたいなところから入って、ディスカッションしていたみたいな形ですね。
石橋:
八重樫さんとしては、今みたいなお話をいただいたプロセスは、投資検討先とか面談先に全社できるわけではないですよね?
八重樫:
投資が先ほどプレシード~シリーズAぐらいがメインというお話をさせていただいていたと思うんですけれども、一番ご縁をいただける会社さんでいうとポストシードとかプレAとかだったりするので、そういう時は基本的に投資家さんからのご紹介だったりとかでご縁をいただくケースが多いですと。
プレシードの投資検討でいうと、そういうディスカッションから入って、こういう方向性だと良いよねというところが合意できたタイミングで出資をするというケースもあったりするので、FAcraftさんで言うとそっちのルートで判断させていただいているという形ですね。
有効求人倍率4倍の現場──当事者性が生む解像度の高さ
石橋:
とはいえFAcraftさんの事業領域なのか起業家さんに強い魅力を感じたからこそ、半年間ぐらいお付き合いをしてまで出資に至っているのかなと思うんですけど。最終的に出資に至った一番の理由というのはどういったところになるんですか?
八重樫:
沖盛さんから継続的にコミュニケーションをいただいたというところは非常にありがたかったなというところが、大前提としてはあるんですけれども。
先ほどのタックスナップの田中さんのところとも共通しているところで、当事者としての課題に対する解像度が高いみたいなところはすごくあるなというふうには思っていてですね。
現場のデジタルを受け入れる素地だったりとかが、経験者じゃないと見誤ってしまうところだったりとか。
これを入れるためにどういうステークホルダーがいて、どこがどういうペインを抱えていて、どうやってそこを入れていくべきなのかみたいな話の舵取りは、中にいた方のほうができるというところは思っていて。
どういうふうにエントリーしていくかというところに対する考えの精度みたいなところと、思いみたいなところ。ここを解決していきたいという思いがすごい強い方だったので、魅力を感じてましたというところと。
あとは生産年齢人口減少に伴う設備保全領域は、有効求人倍率が4倍を超えているんですよ。
なので明らかにデジタル化みたいなところが、デジタルリテラシーがとかを言ってられないような課題の喫緊性になってきているというところもあったので。
そこのペインの深さおよびマーケットの大きさと、経営チームというところが決め手になったかなというふうに思います。
年間30社投資の実行力──シードVCとの連携が生む投資機会
石橋:
そうなると八重樫さんとか投資チームのテック投資のほうは、引き続きシード・アーリーからそういうお付き合いもちゃんとディスカッションとかもお付き合いしながら創業期の方々と向き合って、引き続き年に30社近く投資していくんですね。
八重樫:
そうですね。今年に関しては年に30社ぐらいに出資をさせていただければというところでは動いていますね。
石橋:
起業家の方はなんとなく30社と言われてホエーと思うかもしれないですけど、例えば僕らで言うと月1社ぐらいなので年に10〜12社ぐらい。それでも特別遅いというフィードバックをもらうこともないですけど、という人がいる中で30社というのは多いというか、バンバン投資してる感じですよね。
八重樫:
比較的出資の件数とかスピード感で言うと、速く頑張ろうというようなチャレンジはさせていただいています。
石橋:
ぜひ今見ていただいている方で、善進投資およびテック投資それぞれの観点、大きいところの枠組みは1本目の動画でお話もいただきましたが、「うちもいけるんじゃないか」と思った方はぜひ八重樫さんへ、Xとかでもいいんですよね。
八重樫:
SNSでご連絡いただいても全然大丈夫です。
石橋:
公式のところも概要欄に記載をさせていただきますが、Xであるとか各キャピタリストの方々はわりとSNSを使われている方が多いかなとは思いますので、そういったところからもコンタクトいただければなと思っております。
次回予告──VCファンドへのLP投資から見るVC選びの基準
石橋:
それでは改めて、2話の途中でエースキャピタリストとしてご登場いただきました八重樫さん、ありがとうございます。
八重樫:
ありがとうございました。
石橋:
また3本目も、違った角度で、今まであまり言及はなかったですけれども、僕らみたいなVCファンドにむちゃくちゃリミテッドパートナー(LP)投資をしていらっしゃいます。
だからこそ先ほど八重樫さんからもポストシードとかで投資するケースで、シードVCからのご紹介が多いという話もありましたけれども、まさに投資先のVCファンド、シードVCファンドからのご紹介というところの連携もすごくやっていらっしゃるところかなと。
逆に言うと、おそらく起業家とか、VC界隈の誰よりもイケてるVCとそうじゃないVCの基準や中身とかをいろいろ知っている方々なのかなと思っておりますので、そういったところの目線を踏まえた上で、どういうふうに起業家がVCを見極めていくべきかという話を伺っていきたいと思っております。
LP投資のプロが語る、LP出資すべきファンドの特徴とは|”成功するVC”の見極め方を解説【ユナイテッド 井上 怜 vol.03】
ユナイテッドがLP投資を続ける5つの理由
石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。
今回もユナイテッド株式会社、また1本目・2本目とは別の方なんですけれども、投資事業本部本部長の井上さんにご出演をいただいておりますので、今回からよろしくお願いします。
井上:
よろしくお願いします。
石橋:
簡単に井上さんの略歴みたいなところを伺えればと思うんですけど、どんなご経歴なんでしょうか?
井上:
私は新卒でユナイテッドに入っております。
石橋:
もう何年目なんですか?
井上:
19年とかになります。なので、ユナイテッドより前ですね。僕は2回合併を経験してユナイテッドになっています。
石橋:
どこにいたんですか?
井上:
株式会社エルゴ・ブレインズという会社でして、主にPCのメール広告を売っている会社でした。
石橋:
全然違うところから来て、投資事業本部づけというべきなんですかね。投資事業に関わるようになったのはいつぐらいからだったんですか?
井上:
2018年からになります。
石橋:
メルカリさんのイグジット前後ぐらいから関わるようになってという感じなんですね。
井上:
そうですね。
石橋:
今回は井上さんのことを掘り下げすぎても良くないとは思うので、テーマトークっぽく3本目はお送りしようと思っているんですけれども、起業家の方からすると一言でどこのVCが今良いVCで、イケてるVCで、やっぱり良いVCから入れたいじゃないですか。
ユナイテッドさんは、ファンド投資を死ぬほどしていますよね?
井上:
事業会社の中ではしているのかなというふうに思っています。
石橋:
累計で何ファンドぐらいやっているんでしたっけ?
井上:
現状で保有しているのが47ファンドになります。
石橋:
VC業界の人は頭が上がらないですね。47ファンドか。
そういう、47ファンドも投資をしていらっしゃるユナイテッドさん、井上さんだからこそ思う、どういうふうに見極めているか。
もちろんそれはファンド投資をする立場という観点はベースだと思うんですが、それを翻って見ると、起業家さんからするとこういうファンドがやっぱりイケてるよという話をいろいろ聞いていきたいんですけれども。
まずはどんな方針で、なんでそもそもLP投資、ファンド投資をユナイテッドさんが始めていらっしゃった、今まで続けていらっしゃるというところを、簡単にお伺いできますか?
井上:
まずLP出資を始めているところで言うと、自社のキャッシュのマネジメントをどうするかという話と、投資事業にどう活かすかというところが1個と、あとはスタートアップのエコシステムを盛り上げていこうというところが結構大きいかなというふうに思っています。
現状のLP出資で言うと、1本目・2本目に出させていただいた早川、八重樫からもあったと思うんですけど、個社のスタートアップさんに出資をするというところは一応メインにはなっておりまして、プラスでLP出資という形でやっております。
LP出資については、まずキャピタルゲインみたいなところで自社のキャッシュをいかに運用していくかというところが1つあるんですけど。
石橋:
大きい目的の1つですね。
井上:
そうですね。プラス当社の何かに活かしていけるかということが入ってきます。
大きく5つくらいあるんですけれども、1つは投資事業のソーシングですね。自分たちの投資をするためのところになってきますという話と、もう1つは情報を収集できるかどうかというところですね。
我々がもっと見ていくとか、投資の精度を上げていくみたいなところ、そういうところに活用したいというところがあります。
3つ目は、自分たちで投資事業をやっているんですが、なかなか投資領域としてまだ判断がつきづらい、「今後来るだろう」がまだ見えないみたいなところに対しての出資という意味合いがある。
石橋:
そういうところは間接的に投資しようみたいな。
井上:
そうですね。あとは他の事業との連携みたいなことが目的としてはあったりします。
石橋:
そういう1、2、3の目的でやられていると、いわゆるシードVCみたいなところからシリーズA・Bぐらいの投資をするVCファンドまで、かなり幅広にやっていらっしゃるんですか?
井上:
そうですね。シード系のVCさんがメインにはなってくるんですけども、一方で幅広にやらせてもらうというところがありますし、例えば海外のファンドさんで情報を収集するとか、領域でいうとターゲットファンドさんとかで「この領域特化でやっています」というようなところとかで出させていただくみたいな、そんなこともやったりはしています。
石橋:
ちなみに、めちゃめちゃ僕らナイズな質問なんですけど、最近は「VCファンドに投資してくれ」みたいなVCはどのぐらい来るんですか? 無限に来るんですか?
井上:
この2年ぐらい、今年と去年はかなりこれまでと比べたら多くはなっていますというのが実態でして、常時10件まではいかないんですけれども。
石橋:
常時10件!?
井上:
はい、そのぐらい検討しているような状況にはなってはいます。
石橋:
すごいですね。
もちろん結果的にご縁があるVC、ないVC、いろいろあると思いますし、おそらく今回のテーマトークはLP投資の良し悪しというよりかは、そこを通じていろいろなファンドを見てきていらっしゃるユナイテッド、井上さんから見た時の、起業家であればこういうVCが良いんじゃないみたいな傾向と対策みたいなところをお伺いをしていければと思うんですけども。
1号ファンドが起業家にとって最適な理由
石橋:
一旦フォーカスをシード・アーリーに絞らせていただいてお話いただければと思うんですが、仮に井上さんのご友人とかで、「これから起業をするんだが」みたいな、VCファイナンスをしたいと思っていて、どんなシードVCファンドを選んでいくのが良いんだろうなということを迷われている方がいらっしゃった場合に、単純にどういうふうにアドバイスされていきますか?
井上:
これは、いくつか観点があると思っていますと。
まずは当社のLP出資の考え方みたいなところで1個お話させてもらいますと、僕らはシード系のファンドへの出資は1号ファンドさんに出資することが多いんですね。
それの理由としては、ジェネラルパートナー(GP)さんが投資先さんに使える時間が多い。
石橋:
なるほど。
井上:
どうしても次号ファンドができてくるところで投資先が多くなってくるよりは、少ないほうがコミットができる。
石橋:
構造的にそうですね。
井上:
そうなんですよね。それが1つあるのと、1号ファンドでやられているGPさんは、そこでいかに成果を出すかで次のファンド組成だったり、ファンドサイズの大きさだったりというところが出てくるので、非常にコミットしてくれるだろうと。
そういうことを思っていて、実際アメリカとかでも1号、2号のほうがそれ以降よりも結果が出やすいみたいなところもデータとしてはありますし。
肌感としてそういうのを思ったりすることもあるので、全てではないですけど、1号ファンドさんに投資してもらうというのは、結構お勧めなんじゃないかなという、起業家さんにとっても。
石橋:
気持ちは想像できます。今僕らは、3号ファンドの立場でそれを言うのも変ですけど。
1号ファンドの頃は起業家さんに言ってました。「1号ファンドなので気合の入り方違うので、一緒に成功しないと、僕らもVC辞めたいと思ってないし、ただ生き残り続けるためには皆さんの成功が全てだから、ちゃんと一緒に頑張りたい」みたいなことを、僕も振り返れば確かに言ってもいた。
気合の入り方が変わっているつもりはないですけど、事実として1号ファンドではないと、そういうフレーズはさすがに言わなくはなりましたし、チームのメンバーが確かに増えてきてとかというのは、井上さんのご意見の通りだなと思うところはあるので。
1号ファンドはお金集めるのが難しかったりもしますもんね。
井上:
そうですね。我々としてはそこをなるべくファンド組成を早くして投資実行ができるように、結構早めにLP出資として決めるということを心掛けてはいます。
支援体制とファンド満期を見極める
石橋:
なるほど。その中でも、1号ファンドであれば良いというのも1つの分かりやすいステータスかと思いつつも、ユナイテッドさん目線から見ても、1号ファンド全部には入れていらっしゃらないですよね?
井上:
ないです。
石橋:
ですよね。一旦ちょっとフォーカスをした質問になりますけど、1号ファンドだぞと。その上でどんな人が、ユナイテッドさんの目線でどう選んでるというのもあるかもしれないですし、もうちょっと踏み込んでこういうアドバイスをするかなみたいなところはどんなところになるんですか?
井上:
ユナイテッドが出資をするかどうかみたいなところで言うと、ユニークネスというか、いかに差別化があるかだったりとか。
石橋:
人いっぱいいますからね。
井上:
そうですね。あとは1号ではあるものの、どういうご経歴でご実績があるのかみたいなところを判断していますという形で。
石橋:
あくまでもユナイテッドさんが投資する、しないの目線ではということですね。
井上:
そうですね。その辺の見ていく観点を活かすとすると、支援が大きなテーマになるんじゃないかなというふうに思っておりまして、そこでファンドさんの色が出てくるんですよね。
石橋:
支援というか、ハンズオフみたいな方もいらっしゃいますもんね。
井上:
そうですね。その入り込み方とか得意分野とかもやっぱり違うんですよね。
例えば事業を作っていく部分だったりとか、重要業績評価指標(KPI)を設計していく部分みたいなところで強いという場合もあると思いますし、例えば採用の支援を大きくやりますということもあるでしょうし、例えばLPさんを紹介して事業として顧客紹介だったり、次のファイナンスのところにつなげていくみたいなこともあると思いますし、次のファイナンスで追加出資をしますみたいなこともあると思います。
そういう中で、どこが自分の会社に合っていそうかとか、そういうところは結構見たら良いんじゃないかなというふうに思っています。
石橋:
なるほどですね。そうなると、ユナイテッドさん自身もめちゃめちゃな社数のVC、要は常時10社いかないぐらいのパイプラインがあるという話でしたけど、どうしたって起業家さんも、初めてシードファイナンス、アーリーファイナンスするとなると、結構VCさんもちゃんと社数行くべきなんですかね?
井上:
一定の社数は回った方が良いと思いますというところと、自分たちの事業とか今後の成長戦略とかのアピールだけで終わらずに、VCさんがどうかということをちゃんと理解したりとか、投資をしてもらった後にどういうことを一緒にやってもらえるかということを認識したりとか、そういうことが結構重要なんじゃないかなというふうには思います。
石橋:
ちゃんと相手側の目利きもする時間にするというのはすごい大事なのかもしれないですね。
井上:
そうですね。
石橋:
理解です。他の観点とかで、VCファンドをどう選ぶべきみたいなところは、他にあったりするんでしょうか?
井上:
VCのファンドさんは、大体投資の期間とファンドの期間というのが決まっています。
なので、自分たちのステージ、特にシードとかで早いステージの会社さんであれば、そのファンドの満期がいつなのかとか、ということは気にしながら考えていくのが良いんじゃないかなというふうに思います。
石橋:
確かに、だいぶテクニカルな話でもあるので、あまり創業期の起業家さんとか知らないですもんね。
井上:
そうですね。
石橋:
10年後単位とかの話をすると現実味がなくて、10年後でも8年後でも一緒かな、みたいな感じに思いますもんね。
井上:
そうですね。
石橋:
そういう意味で言うと、井上さんたちから見ても、コンタクトを積極的にするべきは1年以内ぐらいとか、1~1年半前に組成されているVCファンドさんで、なおかつ1号ファンドであればより気合いも入っているだろうし、良いであろうというのが大枠の総論という感じですかね?
井上:
そうですね。その中でいろいろ支援がどうかというのを見ていきながらやっていくのが良いんじゃないかなというふうには思います。
2号・3号ファンドは実績とGPの得意分野で判断
石橋:
今の井上さんのお話を整理していくと、1号ファンドで、かつファンド満期が比較的先で、支援の体制も、というところかと思いますけど。
例えば僕らで言うとまさに3号ファンドだったりするんですけど、2号、3号ファンドのところとかはどういう観点で見極めるべきだったりとか、必ずしも1号じゃなくても良いみたいなところは、どんな感じのご意見だったりするんでしょう?
井上:
これは逆に実績があるということなので、どういう投資先さんに実際にポートフォリオとして含まれていらっしゃるのかとか、その中でどういう関わり方をされていらっしゃってきたのかとか、そういうところが見えると思うので、そこを大事にすると1号以外で2号、3号、4号、5号というファンドの方でも良いかなと思っています。
石橋:
たまに僕らも投資先の方がVC選びをされる時とかに、僕らはお付き合いがその方々とあるけど、起業家さんからしたら初めましてだったりするので、彼らの既存投資先のリファレンスインタビューとかお願いしてみても、失礼ではないので良いんじゃないですかとか言うことあるんですけど。
要は起業家さん同士だといろいろ教えてくれて、実はこう思っている、ああ思っているとかもいろいろ出てきたりするので、2号、3号の方であれば、過去の投資先の方々とどうコミュニケーションしているのかというのは、全ての投資先がポジティブに思ってくれているかどうか若干怪しい気もしますけど、すごくクリティカルな観点なのかなと思います。
井上:
あとはファンドの中でもGPさんが例えば何名かいらっしゃる時に、GPさんによって得意不得意とか領域が違うというのもあるので、その辺も見てもらえると良いんじゃないかなと思っています。
LP投資の本質はキャピタルゲインと目的の明確化
石橋:
ありがとうございます。
最後にVC、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)業界的な質問になってしまうかもわからないですけど、47ファンドをやられているユナイテッドさんだからこそ思うLP投資の意義、意味と、仮にそのLP投資に関する事業会社さんであればこういうふうに選ぶと良いんじゃないというところはいかがでしょうか?
井上:
まず、キャピタルゲインというのが大前提にあった方が良いと思います。
結局それだけでちゃんと回ってるのかどうかというのも経営指標としては見られるはずなので、そこが大事だと思っています。
石橋:
ちなみに、何年間ぐらいのタームで見ていくのがLP投資は正しいですか?
井上:
実際今僕らがやっている中で言うと、5~6年ぐらいでリクープしてくるかどうかというような流れなんですよね。
なので、長い目で見たほうが良いかなというところと。我々で言うと、それを毎年継続することでその波を作らないようにしているというのが意図にはなりますね。
石橋:
5年前にやって綺麗に回収できたやつもあれば、2年遅れるやつがあっても、そもそも仕込みの時期がずれてるやつが早く回収できれば、ブレンドすると安定的に出てくる。
井上:
損益計算書(PL)上プラスになるという、そういうことを考えながら運用していますね。
石橋:
そこが前提とすると、他の観点でどういうふうに選んでいくべきなんですか?
井上:
各社さんによって違うと思うんですけど、自分たちがやる目的に合わせてその意義を達成できるかというのをちゃんと考えた方が良いと思っています。
ファンドさんによってLP向けサービスの種類も違うんですよね。
石橋:
全然違うと思いますね。
井上:
例えば人材育成に使いますなのか、事業連携に使いたいですなのか、自分たちで投資をするために使いますなのか、情報収集なのかみたいなことで全然違ってきて、自分たちが出資する金額と帰ってくるLPサービスのリターンとしてどうかという判断は結構重要なんじゃないかなというふうに考えております。
石橋:
今日のお話を受けて、起業家の方がご相談があるかわからないですけれども、とはいえユナイテッドさんであれば、もしユナイテッドさんのテック投資の枠組みに入らないラウンドの起業家の方でも、47ファンド投資をしているので、もしかしたらファンド投資先でご紹介していただけるパイプラインはある意味、死ぬほど持っているのかもわからないですし。
もちろん事業会社の方も、今後そういうVC連携とか考えていらっしゃる方であれば、ユナイテッドさんがトップの片手で数えられるところぐらいLP投資に詳しいというのはほぼ間違いないかなとは思いますので。
ぜひそういったところでもカジュアルにご相談とか、起業家さん、事業会社さん両面ですね、いただけると良いんじゃないかなとは思っております。
改めて井上さん、お話ししにくいところもあったかと思いますが、いろいろとお聞かせいただきありがとうございます。
井上:
ありがとうございます。
