【海外VC】日本の起業家が目をつけるべきアフリカ市場!参入すべき産業とは?【アンカバードファンド 寺久保 拓摩 vol.1】

◯寺久保拓摩 株式会社アンカバードファンド 代表取締役
株式会社アンカバードファンド HP▶︎ https://uncoveredfund.com/
Twitter▶︎ / takumaterakubo
1991年、長野県生まれ。在学中、バングラデシュのグラミン銀行にてマイクロファイナンス事業に従事、その後2014年にサムライインキュベートへ入社し日本・イスラエルを中心に多数のスタートアップ・大企業の事業立ち上げ、成長支援を経験。2018年、ルワンダ共和国に移住しアフリカスタートアップを支援するベンチャーキャピタルを設立する。ケニア・ルワンダ・ウガンダ・タンザニアを中心に現地起業家への投資・インキュベーションを行う。

5年で10倍、急成長するアフリカのスタートアップ市場

石橋:
皆さんこんにちは、スタートアップ投資TV、Gazelle Capitalの石橋です。実は僕、10日前ぐらいまでは3週間ぐらいアフリカにいたんですけれども、アフリカの滞在中に大変お世話になった、アンカバードファンド代表の寺久保拓摩さんに来ていただいております。改めて寺久保さん、よろしくお願いします。

寺久保:
よろしくお願いします。

石橋:
アンカバードファンドさんは、アフリカでいろんな国に投資されていらっしゃいます。今回の動画を最後まで見ていただけますと、どんなところのどんな起業家に投資しているのかよくわかるような内容になっておりますので、ぜひ最後までご視聴ください。

冒頭でちょっとアフリカっていうような単語で触れさせていただいたんですけれども、今回は寺久保さんのおられるアンカバードファンドについて色々お伺いをしていこうと思います。大前提として、今僕は日本のVCとして日本に投資してますけど、アンカバードさんはアフリカ地域に特化して投資しているようなファンドさんというので間違いないんですかね?

寺久保:
そうですね、僕らはアフリカで事業をやっているスタートアップ企業を支援するファンドとして2年前に立ち上げ、今活動しているというふうになっています。

石橋:
ありがとうございます。僕自身も何人か現地の起業家の方を寺久保さんからご紹介いただいて、お話もさせていただいたんですけれども。マーケット動向であるとかマーケット感というところも日本とは全然違うのかなというのは感じているものの、どうしてもまだ視聴者の皆さんもアフリカのスタートアップは全然知らない方も多いと思うので。

ファンドのお話をしていただく前に、日本のエクイティスタートアップマーケットとアフリカのマーケットってこういうところが大きく違うとか、ざっくりと教えていただいた上でファンドについての特徴とかを伺っていければなと思うんですけど、お願いしてもよろしいでしょうか?

寺久保:
アフリカのスタートアップ投資で言うと、だいたい去年で6.4ビリオンドルぐらいです。日本のスタートアップ投資の金額とアフリカ全体のスタートアップ投資の金額はほぼ同じくらいになってきていて。

アフリカのスタートアップに関わり始めたのは2017年なんですけど、その時の全世界からアフリカスタートアップへの投資額って560ミリオンドルだったんですよ。この5、6年で一気に50倍とかまで伸びてきていて。

この1、2年ですかね、ソフトバンクグループのSoftBank Vision Fundとか、Sequoia Capitalとか、Tiger Global Managementとか、USのTier 1 VC(トップティアベンチャーキャピタル)とかが数百億単位の投資とかも始めてきたので、今まではシードステージからシリーズBラウンドくらいまで投資するプレイヤーがいたんですけど、どちらかというとレイターステージのところがかなり手厚くなってきたというのがここ数年の変化かなと思います。

石橋:
日本でいうと2012年前後で約700億円の投資がされていたものが、今は10年で10倍くらいになりましたけど、5年で50倍くらいなんですね。それだけ投資家さんもそうですけど、起業家のプレイヤーもだいぶ変化が今ちょうど起きているという、かなり激しいタイミングというような市況感なんですかね?

2050年、世界人口の25%がアフリカ人に

寺久保:
そうですね、言ってもまだまだ始まったばっかりかなっていうところがあって、アフリカの人口って2050年とかになるとですね、世界の4人に1人がアフリカの人になるって言われてるんですよ。だから、もう世界人口の25%がアフリカ人になっていくっていう未来に、あと30年弱ぐらいで到達すると。

それに対してアフリカってそもそも中長期で人口も伸びて経済が伸びて、1人当たりのGDPも伸びていくっていう市場だと思うんですけど。やっぱりここ数年、なんでこれだけスタートアップ投資が増えてるかって、デジタルの動きがめちゃくちゃ早いんですよ。

例えばモバイルインターネット利用者とかで言うと、ナイジェリアの人口は2億人いるんですよ。2015年当時ってモバイルインターネット利用者が人口比率で9.6%しかいなかったのが、去年で50%を超えてきていて。単純にインターネットアクセスが2,000万人だったのが、1億人超えてくるぐらいインパクトがあって。

通信のインフラが整ってきたりとか、中国製のスマホとか3,000円とかで売られてたりするので、誰でもモバイルのデバイスが手に渡っているっていうところが環境の変化としては大きくて。

だからこそスタートアップにとってはかなりチャンスが広がってきているので、欧米の大学に留学行ったりとか、一定のグローバル企業で働いて、世界を俯瞰した上で自分の国を見た時に、こういう課題がまだまだ眠っているところで帰国して起業するような、そういう人たちがもう一気に帰ってきているっていう。そういう変化がここ5、6年で起きているというところです。

社会インフラを作る、10億円ファンドの投資戦略

石橋:
変わりゆく市場の中でどういうファンド、アンカバードファンドさんとしてはやられているのか、これを詳しくお伺いしていければなと思いますけれども、アフリカでVCをやるとなったら、どういう人たちからお金を預かって、どういうスタートアップに投資しているみたいな、基本的なところをまずは教えていただければなと思います。

寺久保:
10億円くらいの規模のファンドが1号ファンドなんですけど、LPの方々としては日本の事業会社さんとか個人の投資家さんもいるというような形です。例えば事業会社さんでいうと、アフリカの市場で早い段階で現地の企業と事業を作りに行きたいと考えている企業さんが多いというような段階です。

アフリカってそもそもインフラがまだまだ不足しているというのが現状なんですね。銀行口座を持っている人も、例えばナイジェリアでいうと今40%くらいの人が銀行口座を持っているんですけど、60%くらいの人は、いわゆるそういった大手の銀行の金融サービスにアクセスできていないという現状があったりとか。

そもそも、住所とかないんですよ。例えば「なんとかロード」みたいな道の名前はあるんですけど、番地とかがないので、日本みたいに郵便番号があって住所があって、どこに物を届けるみたいなことができなかったりするんですよ。

そういう、そもそもの仕組みがなかったりするんですけど、さっきお伝えさせてもらったみたいに、やっぱりデジタルの変化ってすごく早くて大きくて。どちらかというと政府がお金をかけて番地を作って住所を作っていくよりも、スマホがあるので位置情報で物を受け取ることができるようになったりとかっていう変化が起きているので。

そういった人の生活に密接する必要不可欠な物だったりとか、企業の経済活動に必要不可欠となるインフラを作っていくっていうのが僕らのファンドのコンセプトになっています。

石橋:
これからの産業を作っていくみたいなスタートアップの方々の、本当に創業期に投資されていらっしゃるんですか?

寺久保:
僕はシードステージからシリーズAラウンドぐらいのフェーズを主に見ていて、金額ベースだとだいたい日本円で1,000万円から最大5,000万円ぐらいの投資をしているというのが現状です。

石橋:
アフリカとなると、先ほどのこの5年で入ってきている、いろんな国のVCさんいらっしゃると思うんですけど、その中でアンカバードファンドとしてはどんな支援をしているみたいなところって、何か特徴とかってあるんですか?

寺久保:
一番大きな特徴かなと思っているのは、産業自体を起業家と一緒に作っていく必要があるかなと思っていて、物が流通する仕組みを作らなきゃいけないと。

そういう時に、なかなか大手の企業がいなかったりとか、大手の物流会社もいなかったりする中で、スタートアップで、いわゆるコマース事業をやっている会社がいて、彼らが物を実際に運ぶのを、うちの他の投資先で物流にフォーカスしている企業があって、そういうところと組んだりとか。

店舗のキャッシュフローを解析して、そこに融資していくような企業、また別なスタートアップがいたりとかっていう、スタートアップ同士が組みながら、物が流通する仕組みだったりとか、社会の仕組み自体を一緒に作っていくっていうのが、アフリカのスタートアップの特徴かなと思っていて。投資先のスタートアップと一緒に各国や地域で一緒に作っていくっていうのが、まあ一つの関わり方の特徴かなと思います。

650万アカウント、預かり資産300億円のスマホ銀行

石橋:
どういうインフラを作っているとか、どういう産業を作っている投資先がいらっしゃるとかって、ちょっといくつか教えていただいても大丈夫ですか?

寺久保:
大きく分けると3つに絞っていて。要は金融の仕組みを作っていくっていうところと、あとは物が流通する仕組みを作るというのと、それが流通するための物流・モビリティの領域をサポートする、この3つを見ています。

例えば金融の領域だと、お金を貯めるというか貯蓄する、使ったり送金したりするというところもそうですし、お金を借りてそれを何かに使っていく、融資の領域。ここを主に企業向け、消費者向けとして分けながら見ているというのが現状です。

流通に関しては、食料品だったりとか日用品みたいな消費財の流通もそうですし、建設資材とか自動車部品の流通だったりとかを見ていたりとか。

あと実際、小売店向けの在庫管理とかキャッシュフローの管理だったりとかですね、そういうところを見ている部分もあれば、物流に関しては国際物流からアフリカとインドの貿易もそうですし、ファーストマイルと言われるような、コンテナぐらいの大きさで物を運んでいくようなトラック。あとはその中間であるミドルマイルと、ラストマイルもそうですね。ここに分けて物流は見ているっていうところですかね。

石橋:
金融系だとどういう会社さんなんですか?

寺久保:
ナイジェリアの会社で、PiggyVestという投資先があります。簡単に言うと、銀行サービスを作っている会社です。

例えば、人口10万人あたりの銀行支店数が、日本だと33.9支店あるらしいんです。一方でナイジェリアって4.3支店しかなくて、銀行に行ってサービスを受けようとしても物理的に遠かったりとか、あとは行ったらもうめちゃくちゃ混んでるとか、何時間も待たなきゃいけないとかって普通にあるんですよね。

PiggyVestは、今みんなスマホ持ってるから、スマホベースで銀行サービス作った方が便利だし早いしいいよねっていうので創業した会社なんですけど、今ナイジェリアで650万アカウントぐらい作っていて、ちょうど預かり資産も300億円超えてきたぐらいの、スマホベースの銀行を作るというような会社です。

小売の90%を担う街の小さな店舗をデジタル化

石橋:
もう一つのカテゴリーで、コマースというべきなんですかね、BtoB、BtoCのところでどういう方々がいらっしゃるんですか?

寺久保:
コマースの領域だと、ケニアのMarket Forceという投資先があって、小さいキオスクみたいなものが街中にあるんですよね。日本だとコンビニみたいな役割で、ここがアフリカもたくさんあってですね、アフリカの個人消費の90%くらいはそういう小さい店舗で消費されてると言われてるんですよ。

このMarket Forceって会社は、いわゆるコカ・コーラとか、ネスレとか、ユニリーバとか、そういうところがお客さんになっていて、そこの商品をその小売店に直接流通させていくようなプラットフォーム、BtoBのEコマースをやっている会社です。

今までって、いろんな中間業者みたいなのがいて、そこを介して商品を流通させてたんですよ。ただ、一回中間業者を介すると、その商品がその後どこ行ったのかとかどうなったのかって全く読めなかったんですけど、こういったスタートアップと組むことによって、例えばどの地域でどういう商品のニーズがあって、どういう風に消費されてるのかみたいなデータまで取れるようになるので、物を売りやすくなったりとかっていうこともあります。

石橋:
それを届けるための物流の投資先もやっぱりいらっしゃるんですね。

寺久保:
そうですね。エジプトの投資先でTrella Holdingという会社があるんですけど、彼らは本当に大型のトラックの物流をやっているような会社です。エジプトに港があるんですけど、海外から物が届いたとして、そこの港に着いた物をエジプトの港からサウジアラビアの工場まで物を運ぶ、トラック版Uberみたいなことをやっている会社があって。

アフリカってトラック2、3台だけ持ってますみたいな物流会社があったりとか、あと個人のトラックドライバーの方とかがいたりするんですけど、そういう人たちを束ねて、ちゃんとリアルタイムに物がどこに運ばれてるのかとか、どういう人が運んでるのかっていうのをしっかりトラッキングして流通網を作っている、そんな物流会社をやっているスタートアップとかも支援しています。

電気自動車(EV)が拓く、次世代物流インフラ

石橋:
かなり代表的なインフラになるようなところをお話いただいたと思うんですけど、まだここは隙間かもしれないとか、次チャレンジするならこの領域みたいなところをお答えいただいてもよろしいですか?

寺久保:
そうですね、ど真ん中の領域ってまだまだ空いてるんですよ。Market Forceの事例でも、商品の90%ってそういう店舗で生まれてて、そこのデジタル化されている部分ってまだ本当に10数%ぐらいしかないので。言ってもまだ残りは本当にアナログな世界で、まだまだ広がっていく市場かなと思ってるので。

最近個人的に面白いなと思っているのは、ラストマイルの配送とかで、アフリカは結構、EVのスタートアップが生まれ始めているんですよ。

アフリカ大陸ってすごい大きい大陸で、ガソリンを使ってガソリンを運ぶみたいな、すごく非効率なことが起きている。一方、ガソリンプライスも上がってきているので、現地の物流会社とかで働いているドライバーの人に関してはかなり苦しい状況が続いていたりするんですけど。

ここ1~2年で欧米中心に、EVのバイクとかを販売するようなスタートアップが生まれていて、彼らが各地域にバッテリーのステーションみたいなのを作っていたりするんですけど、まさにそういう領域とかはまだまだ日本企業にとってもすごくチャンスがあるし、すごく興味深い領域だなって思っていたりします。

石橋:
聞き出すとキリがないぐらい、またぜひ皆さん第2弾、第3弾も見ていただければと思っておりますので、よろしくお願いします。

【急成長】時価総額100億円規模!日本人進出すべき新たな市場【アンカバードファンド 寺久保 拓摩 vol.2】

グラミン銀行との出会いが人生を変えた

石橋:
皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capitalの石橋です。今回もですね、前回に引き続きまして、アフリカでベンチャーキャピタル業をやられていらっしゃるアンカバードファンド代表の寺久保拓摩さんに来ていただいておりますので、寺久保さん、今回もお願いいたします。

今回は、寺久保さんがなぜ日本人としてアフリカでベンチャーキャピタルとして独立をしたのかというところを色々とお伺いをしてきております。動画の後半ではですね、起業家をどのようにしてアフリカで見極めていらっしゃるのかというところも色々とお伺いをしてきておりますので、ぜひ知りたい方は最後までご視聴いただければと思います。

石橋:
1本目の配信ではですね、アンカバードファンドさんがどんなファンドなのかというところの外観をお伺いしてまいりましたが、そもそもどうして日本人である寺久保さんがアフリカでファンドをやってるんだみたいなところの、改めてプロフィールとか流れを今回は色々とお伺いしていければと思ってるんですけども。

もともと僕自身は前職時代から繋がりあったんですけども、どうしてあそこにいたんだろうみたいな根本のところとか全然知らなかったんですけど、いつぐらいからVC業界に携わっていらっしゃったんでしょうか。

寺久保:
VC業界に関わり始めたのは、大学生の時からですね。インターンシップという形で、もともと前職が株式会社サムライインキュベートっていうVCさんなんですけど、そこに大学生インターンで入って、そのまま新卒採用で入社したっていう。

石橋:
当時で言うとインターン生とか新卒でベンチャーキャピタル入られる方もめちゃめちゃ少なかったんですけど、なんでVC業界に関わろうって思うようになられたんですか?

寺久保:
僕、学生の時にバングラデシュ人民共和国のグラミン銀行(Grameen Bank)で3ヶ月くらいインターンシップをしてたんですよ。グラミン銀行って、2006年にノーベル平和賞を取った銀行なんですね。一つの企業が、例えば単純な時価総額とか売上とかだけじゃなくて、ノーベル平和賞を取るぐらい評価されるってどういうことなんだろうっていうのがシンプルにすごく興味があってですね。

グラミンのお問い合わせフォームみたいなところに「ちょっと行きたいんですけど」って送ったら、5分ぐらいで「来て良いよ」と言ってくれて、行かせてもらったっていうのが最初です。

石橋:
そんなライトにいけるものなんですか?それが大学何年生ぐらいの時ですか?

寺久保:
大学3年生の時です。実際そのグラミンに行って、グラミン銀行って本体の銀行業があって、銀行業はいわゆる現地の貧困の人たちにお金を融資して、彼らが自立する生活を支援する、ここがすごくフォーカスされてるんですけど。

実は彼ら、ここで出た利益を使って15社ぐらい子会社があるんですよ。エネルギー会社を作って、いわゆる電力の供給も作ったりとか、通信会社を作って携帯電話を売ってたりとか、医療会社を作って病院みたいなのを作ったりとか。

要は、国が発展するために一つ一つ事業を作って現地の課題を解決して、そこにまた雇用が生まれて、総合されて経済が成長していくっていうサイクルがすごく面白いなと思っていて。

2013年とかで、いわゆる新興国の市場を見た時に、ここでも同じようにこれからテクノロジーのニーズってもっと増えていくだろうなと思って。こういった新興市場で事業を作って雇用を作って課題を解決する、みたいなことができないかなっていうのをその時に思ったんですけど、初めてベンチャーキャピタルっていう存在を知って。それで日本に帰ってきたタイミングで、インターンとして入ったというのが背景になるんです。

サムライインキュベートでVC経験を積む

石橋:
どうしてその流れでサムライさんだったんですか?

寺久保:
ゆくゆくは新興市場で自分のファンドを立ち上げようと、その時から思っていたんですけど、独立系で当時スタートアップ支援しているファンドって全然なかったので、まずはそこで経験を積もうと思って入ったというのが最初です。

石橋:
サムライさんには何年間ぐらいいらっしゃったんでしょう?

寺久保:
2014年で入社して、サムライの中で2017年までいて。

石橋:
そのぐらいからアフリカにも本格的に関わり出して、みたいなところから始めたという。

寺久保:
そうですね。サムライインキュベートにいる当時、アフリカのスタートアップ支援をやりたいというのが僕の中であったので、アフリカのスタートアップとの関わり、支援みたいなところを始めて、そこからアンカバードファンド立ち上げに至ったっていう感じですね。

石橋:
その間ってどういうふうに動かれてたんですか?僕自身も2018年、19年くらいからファンドを立ち上げさせていただいたんですけど、なかなかもちろん簡単に立ち上がるようなものではないと思ってまして。若手の世代の方々が経験してきた畑とは違うアフリカっていうところで、いきなりすぐ立ち上がるものなのか、何かしらの経験をアフリカ側でして立ち上がっていったものなのかなと。

寺久保:
ステップがあって、最初は2017年ぐらいから実際現地に行ってスタートアップの支援みたいなのを始めて、2018年に移住したんですよ。ルワンダって国に行って半年住んで、その後ケニアで1年ぐらい生活して、そこから向こうのスタートアップ支援を始めて。

それがサムライインキュベートにいる期間だったんですけど、そのスタートアップの支援とか投資とかを始めて、2020年にアンカバードファンドを作ってですね、完全独立して、このファンドからスタートアップの投資を始めました。

想定を超えた成長スピードに驚き

石橋:
現地の方々とコミュニケーションしてきたとはいえ、どういう風にしてこれから成長するとか、成功し得るスタートアップの事業と人とチームを見極めるのかって、かなり難しいのかなと思ってしまう部分もあるんですけど、そこの部分でどう補っているみたいなところって何かあるんですか?

寺久保:
事業に関して言うと、アフリカだとまだ早い事業の領域とかあって、例えばBtoCのエンタメとかって若干まだ早かったりするんですよ、国にもよるんですけど。どちらかというとまだ伸びているのはBtoBで、BtoCまで行けるのは今はフィンテック(FinTech)のみかなと思っていて。事業の領域とタイミングっていうのは、5年ぐらい関わっていると、だんだんそこの解像度は上がってきたかなというところです。

あと、現地の起業家の見極めみたいなところに関しては、アフリカのちゃんと事業を伸ばせる起業家って、どれだけ実行力があるかっていうのがほとんどを占めるなと思っていて。

アフリカってすごく複雑だったりとか、物事がうまく進まないみたいなことっていろんな要因であったりするんですけど、その中でいかに短期でPDCAを回して、フィードバックを得たところを改善して、一歩一歩確実に進めていく、その実行力がある起業家はすごく重要だなと感じます。

石橋:
実際、アフリカでVCとしてチャレンジを始められて4〜5年以上経っていらっしゃると思うんですけど、一番何がイメージと違ったというか、想定よりも困難性の高かったことってどんなことだったりするんですか?

寺久保:
成長のスピードが速すぎるっていうのが、一番違ったところですね。それこそ行ったばっかりの時って、スマホ持ってる人ってまだあんまりいなかったんですよ。いわゆるガラケーみたいなものをみんな持っていて。

そこに、欧米であるようなスマホベースにしたサービスとかは、アフリカナイズして作るみたいな起業家がいたりしたんですけど、スマホまだみんな持ってないし、ここに行くのにあと5年から、もしかしたら10年くらいかかるんじゃないかみたいな感覚を持ってたんですけど、3年くらいで時価総額数百億円単位の会社になったりとか。

消費者の変化とか企業の変化もそうですし、普通に生活していても街の変化もやっぱり早くて。

それこそケニアの首都のナイロビとかって、今めちゃくちゃ高層ビル建ってたりとか、一昨年で言うと高速道路ができたりとかですね、ランチ単価1,000円くらいの中間層向きのカフェみたいなのがチェーンで一気に広がってきたりとか。日々生きてるだけでも、その変化の速さみたいなのをめちゃくちゃ痛感するっていうのが、当初の想定と全然違ったってところですかね。

石橋:
2年前まで高速道路がなかったってことなんですね。

寺久保:
そうですね、はい。

コロナ禍でのファンドレイズという試練

石橋:
寺久保さんのことも全体的にわかってきたなと思うので、次にちょっと寺久保さんに聞いていきたいなと思っているんですけれども、アフリカでVCとして立ち上げている中で、一番苦労したところっていうのはどういったところなんでしょうか。

寺久保:
リアルなこと言うと、海外でビジネスしている人としては、やっぱりコロナの影響はありましたね。

石橋:
当時は向こうにいられたんですか?

寺久保:
向こうと日本を行ったり来たりしてました。

石橋:
出入りは一応できたんですね。ただ、投資活動にもやはりだいぶ影響が出ますよね。

寺久保:
そうですね。例えば僕らで言うと、ちょうどコロナ禍で第1号ファンドのファンドレイズとかやってたんで、コロナ前にある程度LPとしてコミットメントいただいたところとかも、2020年の緊急事態宣言で白紙になったりとか。

石橋:
いや、そうですよね。

寺久保:
それが一番ハードシングスでした、ファンド的には。ただ一方で、やっぱり現地のスタートアップ企業の事業がコロナ禍が後押しになってめちゃくちゃ伸びてるんですよ。なので、そこの日本とアフリカの現地のギャップみたいなところをどう埋めるかみたいなところは、結構苦しんだところだったりします。

文化を大事にしながら価値を創る

石橋:
ありがとうございます。寺久保さんから、今回はどういうふうにVCになってきたのかという話を聞いてきましたので、最後にですね、VCとして投資家として、起業家と相対する時に大事にしていることみたいなところを聞いて終えていければなと思うので、ぜひ視聴者目線でお願いできればと思っております。

寺久保:
起業家さんと接しててすごく大事にしているのは、やっぱり彼らの事業があるんですけど、その背景には文化があったりとか、彼らのカルチャーってところを大事にしながら一緒に価値を作っていくっていうのがすごく重要だなと思っていて。

せっかく僕は日本からアフリカに行ってるので、もっと日本のアセットとかも活用しながら、彼らの事業を一緒に伸ばしていくことができないかなみたいなことは常々考えています。

石橋:
ありがとうございます。次回もお願いできればと思っておりますので、皆さん次回まで楽しみにお待ちください。

【最短成長】今がチャンス!海外VCが語るアフリカの未来とは…【アンカバードファンド 寺久保 拓摩 vol.3】

ナイロビの生活環境は想像以上に快適

石橋:
今回は、日本人起業家がなぜアフリカで起業するべきなのかというお話を伺ってきておりまして。動画の後半ではですね、具体的に寺久保さんたちがどのような起業家の方、ないしは事業会社の方にアフリカでチャレンジをしてもらいたいのかというところも詳しくお聞きしておりますので、ぜひ最後までご覧いただければと思います。

第1弾、第2弾とファンドのお話ですとか、寺久保さん個人のVCとしてのキャリアのお話をいただいてまいりましたが、僕も直近の2月から3月にかけてアフリカに色々滞在させていただいて、起業家の方とお話しする中で、めちゃめちゃ面白いタイミング、面白いマーケットなのにもかかわらず、日本人でこっちでチャレンジしてる人めちゃめちゃ少ないんだなっていうのは肌感覚ですごく感じまして。

勝手ながら、もっと日本人の方の起業家がアフリカでチャレンジする人が増えると、すごく可能性もあるんじゃないかなというふうに感じてまして。寺久保さんからアフリカで起業するおすすめポイントみたいなところを、代表的なところをいくつか教えていただいたりとか。そもそも起業するためのハードル面だったりとか、生活面みたいなところ、色々とお伺いしていきたいなと思うんですけれども。

生活レベルだったりとか、今の生活環境ってアフリカでいうと、サファリとか砂漠とかのイメージを持っていらっしゃる方が多いと思うんですけど。あとは安全、危険とか、食事だとか、実際生活レベルってどんな感じなんですかね。

寺久保:
僕はちょっと感覚麻痺してる部分もあるので、まともかどうかわかんないですけど、例えばケニアの首都ナイロビって結構栄えてるんですよ。それなりに高層ビルがあって、レストランがあって、カフェがあって。

例えば、じゃあ移動するのもだいたいUberかBoltを使うと、だいたい1、2分で来てくれてどこでも移動できるっていうものだったりとか。渋滞とかは多かったりするんで、ちょっと出歩くのやめようかなという時はUberEatsとかもかなりあるので、そういうものを使って物も頼んだりとかできますし、通信環境もそこまで困ることなかったと思うんですよ。

石橋:
そうですね、特にはなかったような感じしますね。むしろ日本より外の建物とかのWi-Fiはより開放されているというか、お店のカフェとかでどこでもやっぱWi-Fiがあるんだなっていうのはなおさら思いましたね。

寺久保:
タクシーのUberドライバーの人とかって、データの消費を無駄にしたくないんで、仕事してない時とか電源オフとかにしてるんですよ。Wi-Fiが使えるところで使ったりとか、誰かに借りたりとか、仕事の時自分のデータ使ったりとか、限られたものをすごく大事に使っている、そういうのはあります。

石橋:
食事とかそういうのは、日本のものを多く食べるというよりは、普通に現地のものを食べながら普段生活してるって感じですかね。

寺久保:
そうですね、まあ現地のものもそうですし、例えばアフリカってだいたいどこかの国の植民地だったっていう背景もあって、西アフリカのフランス語圏地域とかだとそういった文化も入ってきてて、西アフリカはアフリカの中でもご飯がすごい美味しいみたいに言われてるんですよ。

ケニアとかナイジェリア、エジプト、南アフリカ、まあ僕が主に見てるところはもともとイギリスの植民地だった地域だったりするんですけど、外資の企業にすごくオープンな国でもあるので、外国人のシェフの人がレストランやってたりとか、そういうお店も結構あったりして。現地だけじゃなくて結構世界中いろんなご飯を楽しめるっていうのも、一つの魅力かなと思います。

インフラ未整備だからこそ、ダイナミックな挑戦が可能

石橋:
生活面で言うと、もちろん日本と全く同水準とは言わないまでも、大きな変化はなくチャレンジできるとして、他にこういうところがあるからアフリカで起業するところっていうのが魅力なのか、可能性なのか、あるみたいなところで、どういったところになるんでしょうか。

寺久保:
僕ら日本人って、今後の日本の経済を考えた時に、外でチャレンジするっていうのは絶対条件として不可欠だなって思うんですよ。

石橋:
人口も減るし、基本的には経済が小さくなっていく方向性のタイミングですもんね、国としても。

寺久保:
その中でアメリカ行ったりとかヨーロッパ行ってもいいし、中国、インドとかいろんな選択肢がある中で、僕はですね、アフリカに限定しなくてもいいと思うんですけど、それこそ起業家の人でも、大企業のイントレプレナー(社内起業家)みたいな人でも、いかに外でチャレンジする人を増やせるかということが重要だなと、前提として思っています。

その中で、アフリカで今チャレンジする一番の面白さっていうところは、すごい成長が早かったりとか、あとインフラがない分、やれることの範囲が大きいんですね。そのダイナミックな市場でチャレンジできることが、一番面白いと思っています。

日本って今いろんな大企業が多分あると思うんですけど、彼らが例えば戦後とかから日本の経済をずっと支えてきたプレイヤーだと思うんですけど、まさに今のアフリカのスタートアップの人たちが、ここから10年、20年、30年とか、100年とか先のアフリカ経済を支えていくようないわゆる大企業になっていく人たちが今生まれている、そんな感覚でいます。

5〜10年の事業経験が成功の鍵を握る

石橋:
そういう大きなインパクトを与えられるとしても、なかなか自分の今まで培ってきたスキルとか経験が生きるのかっていうイメージを持ちきれない、それこそ番組見ていただいている皆さんとかの中にいらっしゃるのかなと思うんですけど。

どういう属性とか経験を持っている方がより生きやすいだったりとか、例えば学生起業とか若いうちに行くべきとかっていう話なのか、もうちょっと世代が上に行ったところでチャレンジする方がよりリアリティをもって起業できるみたいなところでいうと、アフリカの場合ってどんな感じなんでしょうか?

寺久保:
アフリカも現地の人が起業しているパターンもあれば、世界から起業家の人が入ってきて起業するパターンもあるんですけど。

全体的に見ていると、ある程度やっぱり事業経験がある人、自分の国なり他の国なりで5年、10年とか特定領域での事業の経験を積んで、自分の中でのスキルを高めた上でアフリカに来て、それをしっかりアフリカナイズした形に落としていく、そういう人たちが比較的今すごくうまく伸びているかなっていうような印象ではあります。

石橋:
むしろ飛び込むみたいな意味で言うと、あまり社会人経験がない若い人の方がいいかもわからないけれども、実現したりとか会社としてちゃんと大きくしていくためには、日本の中でもお仕事の経験がある方がメリットがありそうという感じなんですかね。

寺久保:
そうですね、若い人が来てそこでチャレンジするのもすごくありだなと思っていて、早くいろんな失敗を重ねながら自分の解像度を高めて早く成功していくっていう意味では、若い人が来るってパターンもありかなと思ってますし。

ただやっぱりアフリカは事業の実行力、実現力みたいなところが問われていくので、そういう意味ではやっぱりこの一定の経験みたいなところはすごく問われるなと思います。

日本企業とスタートアップ、2つの可能性

石橋:
ありがとうございます。ここまではまさにアフリカで起業するべき理由というか、大丈夫だよみたいなお話もいただいてきたかと思いますので、ぜひ見ている皆さんはですね、これを機にぜひアフリカに行くことも、チャレンジすることも関心持っていただいて。

足元でいうと、ちょっとコロナも落ち着いてて、僕も2、3週間ぐらいアフリカの勉強しに行かせていただいたタイミングでもありますので、ぜひ少しでも関心を持った方は行っていただければなとは思っております。

最後にですね、寺久保さんに締めとして、どういう起業家の人材なのか、もうすでに起業している方を今後そのアンカバードファンドさんとしても求めているとか、こういうふうな問い合わせとか質問を歓迎してますみたいなところをメッセージとしていただければなと思っておりますので、改めてよろしくお願いいたします。

寺久保:
これからやっぱりアフリカにチャレンジしてもらいたいなって思う人たちで言うと、2パターンあるかなと思ってます。

一つは日本の事業会社の人たち。アフリカ市場ってなかなかまだ日本のプレゼンスって全然出せてないんですけど、一方で欧米含め中国って、今かなり積極的にアフリカ市場に入ってきているんですね。

シンプルに何か物を売りたい企業もそうですし、事業を作っていきたいとか、事業を作る過程でデジタル企業と一緒に連携して何か価値を作っていきたいみたいなところは、まず一つ、アフリカに入ってくる機会というのは僕らはサポートできるかなというところです。

もう一つは、アフリカで起業をしたい日本人の起業家の方。日本人起業家もまだまだ少ないんですよね、スタートアップの方って。日本人の起業家の方にとっても、アフリカって本当にまだまだ宝の山というか、解決すべき課題がたくさんあって、ダイナミックにチャレンジできるような市場だったりするので、日本から新しい価値を世界で作っていきたい、そんな人たちも一緒に何かできたら嬉しいなと思っています。

石橋:
最後まで寺久保さん、今回もご出演いただきましてありがとうございました。