創業1年の新VCを徹底解説|3人決裁が可能にする最速投資モデルとは?【Theta Times Ventures 北尾 崇 vol.01】
◯北尾 崇 Theta Times Ventures 代表パートナー
X(Twitter)▶︎https://x.com/kitaotakashi
公式HP▶︎https://thetatimesventures.com/
高知県出身。大阪大学卒。
2013年 中南米メキシコでクリーンテクノロジー事業「ENVROY MENIKA」を創業。
2016年 日本へ帰国し、同年4月にサイバーエージェント・キャピタルへ入社。
タイミー、ACROVE、Sales Marker、ソラジマ、Asobica など、約50社のシード期スタートアップにリード投資を担当。
2023年7月 同社取締役へ就任し、国内および海外投資を統括、日本を含むアジア投資全体を管轄。
2025年7月 Theta Times Venturesを共同創業し、アーリーステージへの投資活動を開始。
その他、ACROVE 社外取締役を務める。
タイミー投資で100億円超のリターン、10年の集大成
石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。
今回は、Theta Times Ventures 共同代表パートナーの北尾 崇さんに来ていただいておりますので、北尾さんよろしくお願いします。
北尾:
よろしくお願いします。
石橋:
この動画さえ見れば、新しく登場したTheta Times Venturesに投資検討してもらいたい起業家が全部わかるぞと。
とりあえずどういう人かというところで、起業家さんにとってもとにかく全部わかるというところに仕上げていきたいなと思っておりますので、改めてよろしくお願いします。
北尾:
よろしくお願いします。
石橋:
個人的には胸アツ回なんですよ。
北尾:
前はお世話になりました。
石橋:
とんでもないです。そもそも北尾さんご自身は、後ほど自己紹介も簡単にいただきますけど、株式会社サイバーエージェント・キャピタルに長くご在職されていらっしゃったときに、過去のサイバーエージェント・キャピタルさんの動画も実は北尾さんに出ていただいていたりとか、僕からすると数少ない同級生のベンチャーキャピタル(VC)の人。
北尾:
そうですね。
石橋:
早速なんですけれども、おそらくプレスリリースでも触れていたところかなと思いますが、Theta Times Venturesさんの1号ファンドの規模感だとかどんなコンセプトなのかというところ、まずは簡単に触れていただいてよろしいでしょうか?
北尾:
まだ3か月ぐらいで集めている途中ではあるんですが、最大は100億円ぐらいまでの規模を目標にしながら、一定の時期を切って1号なのでレイズは早めに止めて、早くに投資に移りたいなというのは思っています。
ステージはシード~シリーズAぐらい幅広く、私がサイバーエージェント・キャピタル時代はシード・アーリー中心だったんですが、そこにシリーズAも加えてやっていく、ステージはそんな形ですね。
石橋:
ありがとうございます。外観の触りの部分が分かったので、そこは後ほど深掘りをしたいところなんですけど、まず簡単にご自身のプロフィールと、なんで独立を考えていたとかチャレンジしようと思ったかというところをお伺いしても大丈夫ですか?
21歳でメキシコ起業、25歳でVC転身の異色キャリア
北尾:
21歳のときに学生起業でメキシコに行きまして、3年半ぐらい現地で。
石橋:
気合入ってますね。
北尾:
25歳でメキシコの会社を事業譲渡して、日本に帰国して起業をしようと思っていたときに、なかなかアイデアが見つからず、サイバーエージェント・キャピタルにたまたま出会って、「アイデアがないんだったら、うちで働いたら」と言っていただいて、それが25歳のとき。今34歳なので、約10年間お世話になりました。
10年キャピタリスト、3年起業家というキャリアなんですけど、サイバーエージェント・キャピタルにいたときから、「どこかで起業します」という前提でお伝えしていて。
石橋:
それはVC起業、事業会社起業問わずということですかね?
北尾:
そうです。そのときは自分で事業をバリバリやるぞぐらいの感じで。
ただ2、3年やっていくうちに投資はすごく意義があるし面白いなと思ってやっていると、結局10年。途中で「これは自分でやろう」という思いを途中から秘めていました。
きっかけは、すごいお世話になった会社なので、何か恩返しを、単純に仕事量というのではなく、リターン的にも出さなければというのが個人的にはあった。
株式会社タイミーが昨年の7月に上場したのを経て、9月ぐらいに経営陣に話をさせていただいて、1年弱かけて卒業させていただいたという形です。
石橋:
タイミーさんは何倍ぐらいのリターンが出ているんですか?
北尾:
結局最後7%前後を保有していて、途中までずっと筆頭株主で、最後海外のファンドが入ってきていただいたので第二筆頭株主になったんですけど、2.5億円、全部で4回出資しました。
石橋:
2.5億円がいくらになるんですか?
北尾:
この間2,500億円くらい時価総額がいったタイミングで言うと、120億円くらいの利益になっていたので、最後どこで売ったか、もうロックアップが外れているので、そこで売っていたとしたら、100億円以上はキャピタルゲインで出ていますね。
石橋:
集計していないかもしれないですけど、10年間キャピタリストをやって、100億円は使ってないですよね。
北尾:
はい。意外にシード・アーリーなので、全部で26億円くらい使わせていただきまして。
石橋:
タイミーさんの北尾さんからできたご縁で、一撃で4倍ぐらいは回収している。
北尾:
そうですね。初回投資が2018年なので、6年ぐらいでは。
石橋:
早いな。
北尾:
もうタイミーさん、小川さん、八木さん含むタイミーさんという感じです。
Sales Marker、ACROVEなど急成長企業を次々発掘
石橋:
もちろんタイミーさんがすごくイグジットとしては大きかったとは思いますけど、振り返ると北尾さんのサイバーエージェント・キャピタル時代の投資先だと、他にどんなところがいらっしゃったりするんでしたっけ?
北尾:
累計で45~50社に私自身では投資をさせていただいて、タイミーと同じくらいの速度で伸びているという意味では、株式会社Sales Markerという会社さん。
石橋:
小笠原さんですね。
北尾:
それから株式会社ACROVEという会社で荒井さんという。
石橋:
さらさらっと、どんな会社さんかだけご紹介いただいていいですか?
北尾:
Sales Markerさんというところは、BtoBのいわゆる営業とかマーケティング、それから採用のところまで入り込んで。
石橋:
Recruit Markerという名前でしたっけ?
北尾:
Recruit Markerとかもあります。インテントデータというウェブ上の行動データをある意味、興味関心データとも言えると思うんですけど、それを営業に活用する、採用にも活用する。
そうするとクライアントさんだったり採用候補者の方が、なんとなく潜在的にこの商品に興味があった、この会社に採用を受けたいと思っていた、というのが事前にわかって、こちらからアプローチすると「なんでわかったんですか」「ちょうど行きたかったんですけど」「ちょうど欲しかったんですけど」というそういうサービスで、ものすごく急成長している会社。
石橋:
確か数年間で20億円とか30億円ぐらいの年間経常収益で、高い成長速度で伸びていらっしゃいましたもんね。
北尾:
そうですね。リリースをどんどん出されていますけど、2年でそれぐらいの規模感にはもういっていたので。
石橋:
Sales Markerさんも創業投資?
北尾:
サービスリリース前にご出資させていただきましたね。
石橋:
ACROVEさんは合併と買収(M&A)系の会社でしたっけ。
北尾:
ACROVEは二つあって、もともとプロテインを販売する会社だったので、自分たちの楽天とかAmazonを伸ばすノウハウを蓄積していたんですけど、それをコンサル的にやるBtoBの商売というのがまず1個目。
これでたくさん伸びたクライアントさんというのがいっぱい出てきて、「これ伸ばせるんだったら自分たちのブランドを買っていってもいいんじゃない」というのを途中で荒井社長が言い始めて、「買ってきます」と。
石橋:
そういう変遷なんですね。北尾さんが投資したときはプロテイン屋さんだったんですか?
北尾:
僕が投資したときは、BtoBのコンサルとかBtoBのBIツール(ビジネスインテリジェンスツール)の販売をやって、月の売上で100万円ぐらいのタイミングだったんですけど、それが4年経つ間に何百倍ぐらいの規模にいきまして。
荒井社長とか経営陣が見ている視座がものすごく高いので、やっぱりタイミー級というと、サイバーエージェント・キャピタルに限らず、スタートアップの中では確実にその辺は入ってくる。
そういった会社さんに恵まれて、サイバーエージェント・キャピタル時代にお仕事させていただいたという形でした。
石橋:
長くお世話になってきたからこそ、ファイナンシャルリターンも返したそのタイミングが、独立するというところが最後の決め手というか、後押しにはなったって感じだったんですね。
北尾:
そうですね。それが一つのきっかけ。あともう一個は本当に大好きな仲間だったので、そこの気持ちの整理。
石橋:
大事。これ見ていただいているかもわかんないんで。大好きだそうですよ。
北尾:
特に最後2年は、海外の投資チームを海外担当役員という形で見させていただきまして、インドネシア、ベトナム、タイの3か国、東南アジアは一緒にずっと担当として仕事させてもらっていたので、その海外のメンバーとかも含めて。
なぜ3人の共同代表なのか?それぞれの強みとは
石橋:
今お話聞いて、視聴者の方、業界の関係者の方とか起業家さんも見ていただいている中で、それだけ実績があれば1人でやってもいいんじゃない?という。
VC独立するときに3人の共同代表でやっていらっしゃると思うんですけど、なんで3人でやろうということになり、改めてどんな2人とやっていらっしゃるのかという他己紹介も含めていただいてもいいですか?
北尾:
一つは、トレンド的に1人でファンドを始めるトレンドでもなくなったのかなというのは、コロナ前後ぐらいから客観的に見ていて思ったり。
石橋:
もともと最初は1人でやっていこうかなというのが一番最初のイメージではあったんですか?
北尾:
1人の選択肢もあるのかなと思いつつ、意外に1人で働くのが性に合っていない部分もあります。
石橋:
ずっとチームでもやってきていらっしゃいますもんね。
北尾:
そうですね。ジェネラルパートナー(GP)2人3人で始めるというのがコロナ前後で出てきて、周りの先輩からもそういうふうに言われて、やるときは誰かと一緒にというのが頭の中にはありました。
石橋:
僕がちゃんと面識があるのは、もう一方の共同代表パートナーの中垣さん。
北尾:
中垣で言いますと、もともと新卒からVCで。
石橋:
日本アジア投資株式会社(JAIC)さんでしたっけ?
北尾:
おっしゃる通り、JAICに1996年に入社されていまして、投資本部長という形で投資責任者までいって、JAICさんがアメリカのDraper Fisher Jurvetson(DFJ)と一緒にDFJ JAIC Venturesというファンドを作るというので、それがDNX Venturesさんの前身で、DNX Venturesの創業で3号までGPをやってという形のキャリアをずっとやっていたと。
石橋:
大先輩ですね。
北尾:
小池はもともと新卒のキャリアはアパレルの会社さんからスタートしているんですけど、そこから1998年がアパレルの時代で、2000年前後もインターネットがすごかったので、その流れの中でサイバーエージェントに入社して。
そこから新規事業をどんどん立ち上げていく会社だと思うんですけど、アメーバブログ、アメーバピグとか。
石橋:
懐かしいですね。
北尾:
そういうゲームとか、タップルとか、AbemaTVとか、WinTicketとか、そういうのをずっと立ち上げたりとか、メンバーの方と一緒に共同で伴走してやったりとかという経験をずっと積んできた、そういう2人ですね。
石橋:
何がどういう流れでその3人でやることになるんですか?
北尾:
小池はほとんどグループにいたときは喋ったことがなかったので、僕が会社を辞めるとなってから中垣にある意味紹介してもらったみたいな形で。
中垣とは僕が一番最初の投資が株式会社LabBaseさんなんですけど、その投資が共同で一緒で。かれこれ10年ぐらいの付き合いで、直近ではそういうファンド経営を学ぶために合宿とか、泊まり込みとかもさせてもらっていたので、どういう人柄なのかよく知っていて、そういう中で中垣に小池を紹介してもらって、一緒にやろうかみたいな形になったんですけど。
ある意味、役割としてもそれぞれのピースがバックグラウンドも違いますし、そういう意味では役割が被らないとか。
SHIFT、サイバーエージェントで見た「3,000億円の視座」
北尾:
中垣といえば、今も株式会社SHIFTさんの社外取締役をやっていますけど、SHIFTの創業期にシリーズAから出資されて。
石橋:
今3,000~4,000億円ですよね?
北尾:
そうですね。一時期7,000~8000億円とかいっていましたけど。その規模感をずっと見ていて、「これがやらなきゃいけない規模感だよね」というのがあって。
私で言うとサイバーエージェントの藤田社長が、中垣で言うとSHIFTの丹下社長、小池で言ってもサイバーエージェントで数百億円とかの売上の事業をいくつも作ってきたというところで言うと、その視座で大きい会社になる会社をマンションの一室とかから応援できるというのは意義があるし、この視座でやっていきたいよねというのがありましたね。そこは一緒にやりたいなと思ったという。
石橋:
ありがとうございます。個人の興味関心で聞きすぎたなと途中から思ったんですけど。
北尾:
しゃべりすぎちゃった。
石橋:
新しくできたファンドなので、どういう経緯でとかをお伺いしていくと、思いも含めて分かるところなのかなと思うので。
チケットサイズは数千万円から数億円、30〜40社に投資予定
石橋:
形式的なところも聞いていくと、最大100億円ぐらいのファンド、シード~シリーズAぐらいまで触れるというお話でしたけど、大体チケットサイズはいくらぐらいから投資をされて、リード投資とかフォロー投資とか、領域とかにtoC・toBにこだわりあったり、バイオはやりませんとか、エンタメ特化ですとか、いろいろあると思うんですけど、そこら辺でどんな感じなんでしょうか?
北尾:
金額はシードだと2,000〜3,000万円とかから、ボリュームゾーンはシードだと3,000〜5,000万円とかは全然見ています。
今実は投資予定先があって、一番出している会社だと2.5~3億円とかを見ていますので、数千万から数億前半とかは初回投資でご出資とかは考えていますね。
石橋:
追加投資となると、いくらくらいまでを上限にとかって決まっていらっしゃいますか?
北尾:
シードから入れていく会社さんですと、2~3億とかが上限。シリーズAからという意味で言うと、5億とかが一つのラインかなとは。
石橋:
大体30社くらい投資するかな、みたいなイメージになるんですかね?
北尾:
そうですね。シード・アーリーの割合が多くあるかなという意味では、40社とかもなるかもですけど。
石橋:
領域は何か縛りがあるんですか?
北尾:
領域はあまり決めすぎず、広く。ただディープテックとかは、がっつり創業期から支えられるほどの資金力ではないので、キャピタルヘビーなものはマーケットに出ていきそうなタイミング、商品が世に出ていきそうなタイミングでとかはあるかもしれませんが、それ以外のインターネットとかリアルビジネスとかも含めて、何でも広く構えているところです。
最短数日で意思決定、リード投資にこだわる理由
石橋:
ちなみに、3人は全然違うバックグラウンドですけど、投資の意思決定までのプロセスみたいなのは、起業家さんは初回面談してからどのぐらいの期間を見とけばいいとか、例えば北尾さんが単独で決める決めないとか、どういうふうに意思決定されているとか、期間とかはどんな感じなんですか?
北尾:
投資委員会は3分の2で、3分の3ではなく3分の2にして、2以上あればいいというふうにしていまして、期間は、初回投資からパートナー3人が出ていけるというところは一つの強みだと思うので。
最短で数日とかには、一回私が会ってすぐ組むみたいなことがありました。
サイバーエージェント・キャピタルのときもタイミーさんは3日とかでやったりとか。そういう意味では、いいなと思ったものはとにかく急ぐとかもあると思います。
石橋:
ちなみに基本リードなんですか?
北尾:
そうですね。シード~シリーズAのリード投資にはこだわっています。
BtoC、BtoB、M&Aまで、3人それぞれの専門性で支援
石橋:
リードされた後とかだと、小池さんとかが伴走してくれるというか、経営面とか事業作りというところで言うと、幅広にアドバイスくださったりとか、関与してくれるというのが一番の強みになってくるんですか?
北尾:
これは、私も中垣も小池も、それぞれみんないろんなベンチャーの成長を追体験したり、伴走体験したりとかをやっているので、ひとりひとりが一定の支援力を持とうねというのがまず前提ではあります。
小池で言うと、サービス作りとか、特にtoCの方の話せる内容としては、ここまで話せる人というのは日本には多くないと思うので、そういうtoCの領域だったら小池はあると思いますし、toBだったら中垣はBtoB専門のファンドにいましたし。
あと、M&Aロールアップはどんどん増えていくとしたらやりたいという会社が多くなると思うんですけど、それをずっとSHIFTさんが先頭を切ってやっていたと思いますし。
未上場だったら、ACROVEさんずっとやって、中垣もSHIFTの社外取締役で、私もACROVEの社外取締役をまだやっていますので、そういう意味ではM&Aに関するアドバイスとか知見とかも話せないといけないとは思っています。
ヒト・モノ・カネでいうところの、カネという意味では追加出資をしっかりしていくことと、ヒトというところでは、どれぐらいのネットワークを我々が持っていて、そのネットワークと一緒に強い支援ができるかというのは、すごくこだわってやっていかないといけない。
石橋:
情報公開されたのがこのタイミングだったので、1号ファンドとして新規投資活動に一番力が入っていくのは2年間ぐらいなんですかね?
北尾:
実は独立して月に100社ぐらいはお会いさせてもらっていまして、組み入れも短期間である程度やって、またすぐ2号とか3号の組成とかは考えないといけないなと思っています。
井深 大、本田 宗一郎レベルの視座で日本を変える
石橋:
最後に視聴者の方向けに、改めてTheta Times Venturesさんがこういう思いで創業されていて、こういう起業家さんに今後1号ファンドとしてどんどん投資していきたい、みたいなところをぜひカメラ目線でメッセージをいただければと思いますので、お願いしてもよろしいでしょうか?
北尾:
やっぱり当時、ソニー創業者の井深 大さんとかホンダ創業者の本田 宗一郎さんとかが作り上げてきたような、その視座でやりたいと思う会社を創業期から支援するために、大きくリスクも取らないといけないし、支援もするということを意識しているので、ぜひそういう視座でより良い日本社会を作っていくために、みたいな形でお会いさせていただけたら嬉しいなと思います。
石橋:
ありがとうございます。ぜひ第2弾の動画もお付き合いいただければと思います。
【新ファンド誕生】リアル産業×テックの勝ち筋|リアルビジネスに多く投資する理由と戦略を解説【Theta Times Ventures 北尾 崇 vol.02】
物流SaaS×実運送業のロールアップ戦略
石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。
今回も、Theta Times Ventures 共同代表パートナーの北尾 崇さんにご出演をいただいておりますので、今回もよろしくお願いします。
北尾:
よろしくお願いします。
石橋:
足元で立て続きに新規投資されていらっしゃると思うので、具体例で聞いていければと思うんですが、早速1社取り上げるとどこの会社さんからになりますか?
北尾:
まずは物流の会社さんで株式会社Univearthという会社に今回リードでご出資をさせていただきました。
石橋:
サービスで言うと、どんな会社になるんですか?
北尾:
物流というと、物流の業者向けにSaaSを提供している会社さんというのは結構いらっしゃると思うんですけど、SaaSだけじゃなくて、トラックも買収して実運送業もやるという二つの事業をやっている会社です。
石橋:
SaaSっぽいソリューションと実運送業を両面でやっていらっしゃる。直近投資されて、結構M&Aで今後もロールアップしていくみたいな人たちになるんですか?
北尾:
そうですね。テクノロジーとか開発をもって提供していくということをやりつつ、M&Aもがっつりやっているという感じで、今はもう数社買収をして。
社長がトレーラーの運転をしている人なので、エンジニアでもあるんですけどトラック運転手でもあるという。
石橋:
そんな人いるんだ。
北尾:
なので、トラックのオーナーさんと話すと、皆さんトラックの運転手の運賃を上げてあげたいとか、重労働を解消してあげたい。
そもそも構造が多重下請け構造になっていて、SHIFTさんのテスト領域のようなことが物流とか建設業は起きているんですけど、そこを何とかしたいと思っているオーナーさんが多い中で、そこの心を掴みにいけるし、自分自身も荷物を運べる。
トラックのオーナーさんも大体自分で荷物を運べるので、そういうところで気持ちが通じ合う部分もある。数社一緒にやろうということでやられたりしていますね。
1年半温めた投資案件が実現するまで
石橋:
Theta Times Venturesさんが投資をされたのは最近、プレスリリースも最近だったので、Day 1からその構想でやっていたんですか?
北尾:
出会ったのはもう1年半前とかで、そのときからその話でめちゃくちゃ面白いと。
ただ、そのサイバーエージェント・キャピタルのときには絶妙にサイズが合わなくて、中でも結構ディスカッションをしたんですけど、絶妙にタイミングとかサイズが合わなかったところもあって。
ただ、むっちゃ面白い会社だなと思って、社長もむちゃくちゃ面白い魅力的な人なんですよ。そういう人だったら面白い会社作れるなと思っていたので、もともとそういう感じではあったんですよね。
ファンドを作ろうと思ったときに「最近どうですか」とこちらからすぐに連絡させてもらって、向こうもすごく思ってくださっていたので、そこで話していく中でという。
石橋:
それはいいですね、綺麗ですね。もともとご自身でお話しいただいていた投資仮説とも限りなく近いケースな気もするので。そういう会社は物流領域以外でも北尾さん的には積極的に探していこうという感じなんですか?
北尾:
そうですね。やっぱりソフトウェアの市場でBtoBですと、ホワイトカラー向けだと株式会社セールスフォース・ジャパンが売り上げで2,000億ぐらいですけど、物流業界でみたらヤマト運輸株式会社さん、佐川急便株式会社さん、日本郵便株式会社さんは1~2兆の売り上げがあって。
バーティカルの産業のリアルの商売をやられている方々はむちゃくちゃ大きいんですよね。
ただ、そのリアル産業、バーティカルのところのソフトウェアだけだと、どうしてもサポートツールでしかないので、なかなかお金が取れなかったりとか単価が上がらなかったりすると思うので、そこをちゃんと実業までやりにいくという。
シルクIPで世界へ──地方特産物を世界ブランドに
石橋:
今1社目はtoB系のスタートアップだったのかなと、しかもロールアップ系のところでしたけど、2社目を取り上げるとしたら、例えばtoC向けとかエンドユーザー向けのサービス展開されている投資先とかっていらっしゃるんですか?
北尾:
一つはブランド。株式会社東京証券取引所の上場維持基準の話もあって、その前からタイミーとかSales Markerを見ていたときに、どうやって売り上げを最低500億とか利益を50億とかで新規株式公開にいくかとなったときに、グローバルビジネスは見ないといけないと思った。
エンタメとかに限らずいろんな要素での知的財産(IP)は絶対押さえておきたいと思ってご出資させてもらったのが、SILK THE RICHというプロダクトをやっている株式会社THE RICHという会社があるんですが、シルクという日本が世界に誇れる素材IPで、工場とかだと中国が多いんですけど、研究とかは日本の方がかなり進んでいまして。
社長の三浦さんという方は長野ご出身で、富岡製糸場を持たれている片倉財閥というシルク専門の財閥業者があるんですけど、ご本人はそのシルクの可能性を世界に広げたいと。
これは地方の特産物を地方特産物どまりにしないという、世界に広げるというトレンドは他のところでもどんどん起きていいと思うんですけど、まず第1弾はシルクを独占で取引させていただくものと加工技術を使って、シャンプーを。
石橋:
まさにそれはSILK THE RICHですね。
北尾:
ここからいろんな商品を出していかれると思うんですけど、これが今オンラインとオフラインのリテール、これはドラッグストア、ウエルシア薬局株式会社さん、株式会社マツモトキヨシ、株式会社ドン・キホーテとかの全国の店舗に回ります。あと海外がアメリカ、アジア等々に販売を20カ国ぐらいしています。
石橋:
断面的に見るとDtoCのビジネスモデルなのかなとは思われがちなのかなとも思いますけど、DtoCはVC界隈で言うと下火になってきている。
最近のトレンドで言うと、投資が集まりにくいカテゴリーなのかなと思ったりもするんですけど、北尾さんとしてはブランドというところにキーワードがあったというところだったんですね?
北尾:
そうですね。一つは、そのブランドをIP化に持ってければ世界で勝負できるというふうに思います。
シャンプーとかは、もちろん既製品であると思うんですけど、古くは4輪とかが走りまくっているときにホンダはF1で4輪で世界を制覇したとか、バイクも2輪はあったけどホンダが出てきてとかというふうに。
最近ですと、ヘアドライヤーとか既製の数千円のものというのはいっぱいあると思うんですけど、例えば株式会社KINUJOさんとか株式会社 MTGのReFaとか、そういうの含め数万円、桁を1個上げてどんどん出てきたりとか、既存にあるところでチャレンジの仕方によっては大きくアップデートしていけるというのは十分あるかなと思っていました。
石橋:
理解です。ありがとうございます。場合によってはDtoCをやっていて、本当はポテンシャルがあるはずなのにファイナンスに苦しんでいる、そこの価値を見出してもらえないという企業が結構いらっしゃるんじゃないかなとも思うので、多くの方に今日のお話とかは知っていただけると、場合によってはいろいろご相談も来るのかなと思います。
金利差80%を活かす中古車×貿易金融モデル
石橋:
別のカテゴリーの投資先もいらっしゃればご紹介いただければと思いますがいかがでしょうか?
北尾:
WindWagon株式会社という中古自動車をグローバルに販売していくという会社。
石橋:
単体の事業としては強そうというか、売り上げを作りそうな事業ですよね。
北尾:
そうですね。
石橋:
逆に言うと、リアルビジネスは中古車販売の海外向けが分かりやすいところですけど、何がどうスタートアップなんですか?
北尾:
例えば海外という先が、アフリカとかですと金利が80%とかで、モンゴルとかだと金利が40%とかです。
一方で日本の金利はベンチャーが借りたとしても1~3%とかで。日本の中古自動車をガンガン買ってくれているんですね。
石橋:
海外の方が買ってくれるということですね。
北尾:
そうです。モンゴルとかだと、走っている車の8割は日本車、その9割はプリウスみたいな。
僕がメキシコに住んでいたときも、ほとんど日本車なんですよ。それぐらい日本のものがいってますと。ただ、その車を日本から仕入れるために、金利80%とか金利40%、頑張って資金繰りしてやってくれているんですね。
そういうところに商社出身の共同創業の2人のチームですので、貿易金融と言いますか、トレードファイナンスという手法を活用して、仕入れのところはテクノロジーの要素も入れていて、まだ今年創業なんですけど、ものすごく急成長している会社ですね。
石橋:
現地側で買っていただくお客さんに対してローンを組んであげている感じになるんですか?
北尾:
金融的なお金のいただき方というよりは、分割とか割賦販売というか。
石橋:
結果向こう側のエンドユーザーからしても80%の金利じゃなくて、そこからするととてもリーズナブルというか、現地の金利からするととてもいい金利で。
ただ、日本からの金融借り入れをしたときの金利と比べると、ちゃんとバッファーがあるというか、幅があるみたいなところで儲けているという感じなんですか?
北尾:
おっしゃる通りです。
石橋:
何で知り合ったんですか?
北尾:
ご紹介を、とあるVCさんからご紹介いただきまして。
シリーズAがメインでいらっしゃるというので、シードのタイミングは対応できないとおっしゃられたので、ぜひという形でお会いさせていただいて。
石橋:
即断系だったんですか?
北尾:
そうですね。めちゃくちゃバッティングしまして。
石橋:
VCさんがということですか?
北尾:
はい。会う会社みんなが出したいというか。そこから、なんとか選んでいただいたという形です。
ポイント×寄付の新EC、リテンション99%の秘密
石橋:
4社目に挙げるとするとどんな感じの会社になるんですか?
北尾:
あとは株式会社ギバースという新しいコンセプトのECサービスで、むちゃくちゃ急成長している会社です。
石橋:
どんなサービスなんですか?
北尾:
これは、toC向けなんですけど、ユーザーがAmazonとか楽天で物を買う中で普通よりもお得に買えるというのがまず一つ。
石橋:
分かりやすいですね。
北尾:
もう一つは、お得に買えてかつ寄付に繋がる。その寄付先は選べると。
震災の被災者の方々なのか、身体的な障がいを持たれている方へなのか、新興国へなのか、いろんな寄付団体にお金が行くような流れがあると。
お得に買えるというところは、リリースが出ているところで言うと、株式会社セブン銀行さんのnanacoポイントとか、通信系の大手さんとか、いろんなリテールでも使われているようなポイントにも使えるというところ。ポイントが溜まっていくんですね。
石橋:
これもシリーズAぐらいですか?
北尾:
これもシードの会社です。これはタイミーの小川さんとかと一緒にご出資をさせていただいたというか。
タイミーにエンジェルで出資されていた木崎さんという方がシリアル的に立ち上げた会社で、初速から速度が出ていて、プロダクトとしても応援されるという。
石橋:
コンセプトが世界観も含めて分かりやすいというか。
北尾:
そうですね。やっぱり長期潮流を得ているというか、長期で応援されるプロダクトとか会社というのはすごく大事かなと思って、その辺はすごく意識していますね。
シード〜シリーズA投資、問い合わせ歓迎
石橋:
おそらく今後約1~2年で1号ファンドとしては投資されていくところかと思うので、見ていただいた方は、なんとなくこの事例とか、なんで投資したんだろうというお話を聞く中で、自分たちの会社にも共通するところがあったりとか、こういうふうなことをお考えな人たちなのであれば自分たちもご縁があるんじゃないかと思われる方も当然いらっしゃるかと思いますので、そういう場合は普通にXとかでもいいんですか?
北尾:
そうですね。連絡はXで。
石橋:
ホームページはプレスリリースと同時に公開されている?
北尾:
そうですね。
石橋:
たぶん撮影日時点ではまだないんですけど、公開日にはホームページもあるかと思いますので、概要欄の方からお問い合わせフォームないしは北尾さんのXのURLから、ぜひ我こそはという方はご連絡いただくと、シード~シリーズAぐらいの方ですね、いいのかなと思っておりますので、ぜひご連絡してみていただければなと思います。
それでは北尾さん、今後とも含めて改めてよろしくお願いします。
北尾:
ありがとうございます。
