【talikiファンド】社会課題を解決する事業の立ち上げを伴走するVC創業のきっかけとは⁉︎|スタートアップ投資TV
◯中村多伽 株式会社taliki 代表取締役CEO
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公式HP▶︎https://taliki.vc/
2017.11 株式会社taliki設立。
学生時代カンボジアに教育支援をする団体で活動。
その経験から社会課題解決の難しさ、持続的な活動の難しさを実感。
お金の仕組みやトップダウンの意思決定を学ぶため、ニューヨークのビジネススクールに通いながら報道局に従事。
NYから帰国後、社会課題への活動をする人を増やす側の立場になり、各々の効果を最大化できれば課題解決が加速するのではないかという想いから株式会社talikiを設立。
草の根もトップダウンも限界──ニューヨークで見た社会課題解決の難しさ
石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。
今回は、僕自身もだいぶ付き合いは長いと思っているんですが、株式会社taliki(talikiファンド)のジェネラルパートナー(GP)である中村多伽さんにご出演をいただいておりますので、多伽さん、改めて今回もよろしくお願いいたします。
中村:
よろしくお願いします。
石橋:
多伽さん、普段は京都が拠点なんでしたっけ?
中村:
そうです。
石橋:
なのでリモートでの撮影をさせていただいているんですけれども、改めて僕自身も知っているところと知らない部分も結構あるのかなと思っているので、そもそもどういう経緯でtalikiファンドというところ、ベンチャーキャピタル(VC)ファンドを創業するに至ったのかというところを伺っていきます。
学生時代どんなことをしていて、今に至るというような感じなんですか?
中村:
もともと学生時代の1~3年生まではカンボジアに教育支援をする団体をやっていて、小学校を2つ建設したりとか、授業を作ったりというのをやっていました。
非営利的な活動をしていく中で、そもそもそういう草の根的な活動だと社会にインパクトを与えるのが難しい、根本的な課題解決というのは難しいと思ったのが1つと、持続的な活動が難しいなというのをすごく実感して、お金の仕組みとかトップダウンの意思決定とかについて学びたいなと思ったのでニューヨークに留学しました。
それでニューヨークでビジネススクールに通いながら報道局で働いていたんですけど、それが2016年のトランプの大統領選の時期で、大統領選の取材だったりとか、あとはニューヨークにある国際連合本部の取材だったりもやらせてもらえて。
それをやっていたら、草の根的な活動だと課題解決は難しいなと思っていたはずが、トップダウンでも結構難しいなというか、大きい機関だと逆に少しずつしか社会を動かせなくて、かつそこからこぼれ落ちていくような課題というのがすごくたくさんあるなというのを目の当たりにして。
じゃあどうやったら解決できるのかなというのを考えたときに、社会課題と呼ばれるものがかなり多様化・複雑化していて、そこに対して1つ1つアプローチしていくしかないし、それを私自身がやるのは途方もない作業なので、そういうプレイヤーを増やす側に回った方がいいんじゃないか?とか。
あとは、プレイヤー1人1人が効果を最大化できれば、より課題解決が加速するんじゃないかということで、そういうことをする会社を作ろうというので会社を作ったという感じでした。
内定辞退して学生起業──副業NGで決断を迫られた瞬間
石橋:
ニューヨークから帰られて、すぐにtalikiという会社を作っていらっしゃるんですか?
中村:
そうですね。最初は学生団体みたいな感じで活動していたんですけど、大学4年生の始まりぐらいに帰ってきて、大学4年生の秋ぐらいにそれを会社にしたという感じでした。
石橋:
それはご自身として心配したりとかは特になかったんですか?
中村:
就職しようと思っていたんですよ。就活が終わったぐらいのタイミングで会社を作って、副業でやろうと思っていたんですね。
内定先企業から副業と言っても、例えば夜にお手伝いをするとか土日だけ働くとかじゃなくて、がっつり代表取締役で、しかも本社が京都で「それはちょっと認められない」と言われて、「それじゃあ会社を畳むわけにはいかないし、辞退します」みたいな感じになっていたので、最初は不安だったし社会人スキルとかも一切なかったので、それで苦労したことがたくさんありました。
創業4年で第5期目──コワーキングから伴走支援へのピボット
石橋:
talikiという会社でいうと、創業して何年ぐらいになられるんですか?
中村:
4年経ちましたね。今5期目です。
石橋:
さっきのお話でいうと、社会課題を解決するプレイヤーを増やすようなHowをやっていくような会社としてtalikiをやられていたというところだと思うんですけれども、最初の頃はどういう取り組みをtalikiさんとしては始めていらっしゃって、今ではどういうことをtalikiとしてやっていらっしゃるんですか?
中村:
今も昔も変わらずやっているのが、事業の立ち上げの伴走で、課題感を感じつつもそれをどうやってビジネスに落としたらいいのかわからないというのがほとんどだと思うので、例えば顧客検証だったりプロトタイピングだったりというところを伴走するようなプログラムをやっていて。
もともとは、以前石橋さんにも来ていただいたコワーキングみたいなところでやっていたんですけど、よく考えたら私たちは箱運営がそんなに得意じゃないなと途中で気づいて、今は箱は一切なく、プログラム提供というところになっていますね。
実際立ち上げの伴走をやっていく中で、一定育ってくる会社さんというか事業もあると思うんですけど、育ってきたときによく言われる「死の谷」みたいなのがあって、そのキャズムを越える上で、大手との連携は結構大きいインパクトがあるなというのに途中で気づいて。
そのあたりからオープンイノベーション事業というのも始めて、大手さんの例えば我々が事業開発に入りながらそこにマッチするような社会課題解決型のベンチャーをお繋ぎするとか、その大手さんが持っているコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)からの出資のサポートをするということをやっていますね。
VC2社のベンチャーパートナーを経て見えた「自分で出資する」必要性
石橋:
talikiさんとしてもVCさんから資金調達したりとか、多伽さんご自身が別のファンドの中でも活動されていらっしゃっている期間があったのかなと思っていて、そこら辺で創業してからどういう変遷をたどってきているんですか?
中村:
創業のタイミングでVC2社とエンジェル4人から調達して、そのときは私たちは関西がベースというのもあったので、VCの皆さん的にもそっちに足掛かりができて起業家のソーシングができるならありがたいみたいな話もあって、結構すんなり出資をしていただいたんですけど。
その1年半後くらいに、ただアクセラを運営して起業家を応援するだけだと力が弱いなというのは実感値としてあって、ただ私たちはバランスシートが厚い訳でもなかったので、外部の資本を引っ張ってこないと、その人たちにファイナンシャルな支援ができないなというのは思っていて。
いきなりVCを立ち上げるとか、融資のサポートをするとかは専門性がなくて無理だったので、1回VC2社にベンチャーパートナーみたいな形で入らせていただいて、taliki社がそのVCと業務提携して、私がキャピタリストとしてそこで活動するみたいな期間を経ていました。
それが2019年夏頃から今に至るまでずっとという感じですね。
融資サポート事業の挫折から生まれた「ファンド組成」という選択
石橋:
talikiさんのやりたいこととして、社会課題に挑戦する人を増やすために途中で死の谷とかを越えていくためにもファイナンシャルなサポートが必要で、それまではCVCと繋いだり、もうちょっと踏み込んで関わるVCがいる中で、なんで最終的にファンドを立ち上げるに至ったんですか?
しかもVCファンドから出資を受けている会社がVCファンドを立ち上げるのはわりと謎な状態だなと、外から見ているとすごく思うんですけど、そこはどういう最終的な意思決定というか、それこそ株主さんとの話し合いとか、どんな感じだったんですか?
中村:
元をたどると、自分たちの事業として融資をサポートするサービスを作っていたんですよ。
結構若手の起業家は与信がないので、創業融資でさえ断られがちで、かつスタートアップ的なビジネスモデルだと金融機関と相性が悪かったりとかして、なかなか最初のブーストさえかけられないけど、でもVCに行くまでにもうちょっと検証するお金が必要とか、というのを目の当たりにしていて。
融資のサポートをするという与信判断を従来の金融機関じゃないような与信材料を使ってできるようなサービスみたいなものを作っていたんですね。それを自社として展開するために調達活動をしていたんですよ。
そこで調達はできなかったんですけど、「難しいし、自分たちで出せた方がいいんじゃない?」ととあるVCの方に言われて、一周回って「確かにな」みたいになったのと、ベンチャーパートナーとしてやりつつも、そのファンドの意思決定の全てを私ができるわけではないので、そうなったときにtalikiとして応援したい会社とずれが生じるということはもちろんあって。
そういう意味で自由度が利くような形で、かつややこしい開発とかなく自分たちが出資できる方法みたいなのを模索し始めるようになったんですよね。
株主の皆さんは結構放任な感じなので、私はあまり何か言われなかったんですけど、ファンドとして3億円を調達するか、会社として3億円を調達するか、どっちの方がいいんだろうねみたいな議論は、あるベンチャーキャピタリストの方としていて。
「私的にはファンドで3億円を調達する方がいけそうです」みたいな話をしていく中で、結果的にファンドというスキームに落ち着いて。
ファンドを立ち上げた後とかは株主の皆さんから「おめでとう」「びっくり!」みたいな感じではありましたが、今もすごく応援していただいています。
次回予告:talikiファンドの具体像に迫る
石橋:
それこそ学生起業から始まって、今はtalikiファンドを立ち上げるところまではだいぶわかってきたのかなと思うので、ぜひ第2弾の方で改めて具体的にどんなファンドなのかというところをまたお話しいただこうと思ってますので、引き続きよろしくお願いいたします。
中村:
お願いします。
【talikiファンド】匿名組合契約を採用し長い目で育てる!起業家に寄り添うファンド!|スタートアップ投資TV
社会課題解決事業に特化した約3億円規模のファンド
石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。
今回も、前回に引きまして、talikiファンドのGPである中村多伽さんにご出演いただいておりますので、多伽さん、今回もよろしくお願いします。
中村:
お願いします。
石橋:
前回は、そもそもどういう経緯でtaliki社を創業して、その後のtalikiファンドに行きついているのかをお話していただきましたが、talikiファンドがそういう文脈を経てどういうファンドなのかというお話をいろいろ聞いて行こうと思います。
改めて大枠でいうと、どういうコンセプトで、どういうスタンスのファンドなんでしょうか?
中村:
社会課題解決を目的とした事業に対する投資をするファンドです。なので、いろんなスタートアップがあると思うんですけど、その中でも社会課題解決事業に特化しています。
対象としてはシードがメインで、ファンドサイズが我々は小さいので3億円ぐらいの規模なんですけど、本当にドシードでリードを取らせてもらうか、あるいは育ってきたところにフォローで入らせてもらうか、みたいな感じで投資しています。
一般的なVCとは異なる3つの特徴
中村:
普通の、いわゆる独立系ベンチャーキャピタルとちょっと違う点が3つあります。
1つ目が、社会課題解決が目的なのでファイナンシャルリターンを出しつつも、リミテッドパートナー(LP)の皆さんも社会課題解決のために出しているんですよね、みたいな連携があって、ファイナンシャルリターンに直結する・しないは置いておいて、まず起業家の事業推進をお手伝いしてください、みたいな感じで関わっていただいてるというのが1つ目です。
2つ目が、私たちはスタートアップ以外にも投資できるスキームを用意していて、要は社会課題解決というとスケーラビリティのあるビジネスもあれば、そうじゃないビジネスもあるんですね。
それはもちろん起業家の志向性にもよるんですけど、そもそもマーケットとか事業領域で結構決まってきてしまうので、スケーラビリティがないからこの社会課題解決は応援しません、みたいなのはちょっと違うなと思っていて、ファイナンシャルリターンを得つつもそういう事業を応援できるように、エクイティじゃないような投資をできるようなファンドになっています。
3つ目が、インキュベーションとかアクセラレーションとかで、いろんな起業家の皆さんとの繋がりがあったりとか、メディアでいろんな社会起業家さんとお会いしていく中で、投資している・していないに関係なく、すごくいろんな起業家さんとのコミュニティが出来上がっていて。
それの何が良いかというと、投資先とインタビューした起業家さんの顧客セグメントが一緒で、目指しているビジョンも一緒なんだけど、事業内容は競合しないみたいなことが結構あるんですよね。
そこをお繋ぎすると、例えば相互送客みたいになったりとかできるので、起業家さん同士の事業連携が私たちのファンドを使ってもできるようになっているというのがあります。
石橋:
基本的にはプレシード・シードで、リードとかフォローの投資というスタンスにこだわりはなく、いろいろ投資をされているという感じなんですね。
中村:
はい、おっしゃる通りです。
1社あたり1,000万〜2,000万円、最終的に20社未満への投資
石橋:
大体3億円のファンドを運用されているとなると、何社ぐらいの投資をしていこうみたいな形でやっていらっしゃるんですか?
中村:
もともと計画上は30社ぐらい出資をしたいと思っていたんですけど、それが大体1社あたり500万〜1,000万円ぐらいで想定していたんですけど、結果的に1社あたり1,000万〜2,000万円のレンジで投資させていただいているので、結果的には20社いかないぐらいになると思います。
石橋:
そういう会社の方々と初めてご面談をしてから投資のオファーを出すまででいうと、どのぐらいの検討期間とか、どういう方法で検討していらっしゃるんですか?
中村:
最初の面談から2週間以内には決定できるという感じです。私たちの理解不足なところだったりとか、よりブラッシュアップしてほしいみたいな場合は、別途その日数が必要という感じですね。
意思決定したら契約を巻いて着金するだけなので、大体1週間か、長くて2週間ぐらいなので、1ヶ月以内にトータルで全部収まるという感じです。
シードステージだからこそ重視する3つの評価軸
中村:
見ているところで言うと3つぐらいあるんですけど、やっぱりシードがメインなので、事業の正確なデューデリジェンスがまだまだできないことが多いんですよね。
そうなると1つ目としては起業家自身のやりきり力とか、そもそも課題に対する専門性とか、そういう定性的なところを見たりします。
もう1つが、社会課題に対する解像度がそれなりに高くないと、五番煎じぐらいのビジネスになりがちなんですよね。それも100人ぐらいが失敗したよ、みたいになるので。
じゃあどうやったらその構造変化ができるのかみたいなところは、結構そこについての実体験みたいなのがないといけないので、そういう意味では今までどんな活動をしてきたかみたいな、採用面談みたいな感じですけど、そういうのとかも結構聞いたりしますね。
3つ目は、チームの実行力というかエグゼキューションを見ていて、やっぱりどれだけ熱量が高くて、その人自身の専門性が高くても、それをビジネスにするとか、実際それがソリューションになるというところに落ちるまでは周りの人の助けが必要だと思うので、どんな人を巻き込めそうかとか、逆に今欠けてる人をどういうふうに補完していくか、みたいなのはわりとディスカッションするようにしています。
VCっぽくない、起業家に寄り添うサポート体制
石橋:
投資した後のコミュニケーションで言うと、社会課題解決だからこそみたいなところで何かサポートの内容があったりとか、普段どういうふうにそもそもコミュニケーションを取ってサポートをしているというと、どんな感じでやっていらっしゃるんですか?
中村:
私たちはよく、「VCっぽくない」って言われるんですよ。それは私自身が起業家出身というか、事業を作ってきた経験があるからだと思うんですけど、起業家に寄りすぎちゃうみたいなのがあって、それはそれですごく皆さんの心理的安全性が担保されて、今やりたいこととか、今困っていることみたいなものをたくさん教えてもらえるようになるので。
それ自体は良いかなと思ってやっているんですけど、そんな感じの雰囲気で月1ぐらいで皆さんのお話を聞いたりとか、必要なタイミングでミーティングをさせていただいたりとかしていて。
それこそDtoC系のブランドさんとかが投資先にいた時に卸先を紹介するとか、ポップアップの機会をご提供するみたいなこともできますし、冒頭で申し上げたような事業連携の機会がありそうだったら、その起業家さんとお繋ぎするみたいなこともさせていただいてますね。
これはサポートじゃないんですけど、起業家同士の集合知はすごく大事だなと思っていて、それをできるだけ作っていきたいという意味で、起業家の皆さんをトークセッションやイベントとかでお呼びして、次の投資先候補とか、今インキュベーションに参加していてまだ投資はしていない起業家の卵たちに向けて、現在貯めているナレッジを共有してもらう会とかもやっています。
石橋:
ちなみにさっきのポップアップみたいな文脈でいうと、単純にファンド単体ではなかなか難しいのかなと思ってしまったんですけど、ファンドに出資いただいている皆さんとも連携しながら、そういうことを実現しているという感じなんですか?
中村:
そうですね。特に株式会社丸井グループさんとかは、ファンドにご出資いただいているタイミングからずっと店舗を活用して起業家の販路拡大みたいなのをしていきましょうということを言っていたので、定期的にその店舗をお借りしてポップアップさせていただくとかをやっています。
エクイティだけじゃない、プロフィットシェア型投資の仕組み
石橋:
最初の特徴的な3点でおっしゃっていた、特に2番目の3億円のファンドの中でエクイティじゃないエクイティという表現だったかわからないんですけど、それは単純に何なんですかというか、一番僕の理解が遠く及ばないところの話が出てきたなと思ったんですけど、どういう感じなんですか?
中村:
エクイティじゃない出資方法という言い方だったと思うんですけど、スキームとしては匿名組合契約という不動産投資とかでよく使われる出資方法です。
いろんな組み方というかやり方があるんですけど、私たちの場合はそれを使って、最初のタイミングで500万円出資しますと。例えば、営業利益が年間300万円以上になったタイミングで、営業利益から10%をシェアしてください、みたいな契約形態なんですね。
私たちの場合は、その出資額の何倍になったら契約終了です、というような形をとっていて、組み方によっては何年間とか、リクープした後に何年間とか、いろんな種類があるんですけど、投資の想定倍率が固定されている感じの出資方法で、でもそのファンドの償還期間が10年なので、10年間の中でそこに到達すれば良いよ、みたいな長い目で育てられるというのがメリットになっています。
起業家の本音に寄り添った投資スキームの選択
石橋:
多伽さんたちが、「こっちで投資のオファーをさせてください」みたいな形でオファーを出されているんですか?
中村:
基本的に話し合いますね。事業領域的には絶対エクイティじゃないんだけど、この子本当に上場したいんだなとか、上場することがある種、社会課題解決をビジネスでできるという証明になる、みたいな考え方の起業家の方が実は結構いて、あえてプロフィットシェアでやると後続でVCが入ってきた時に利益相反になるんですよね。
営業利益をこっちに先に出しちゃうので、今後エクイティで調達していくという意思があるんだったら、私たちもエクイティで乗らせてもらうし、逆に投資家には新規株式公開(IPO)をすると言わないと出してもらえないから言ってるけど、実はそこじゃないみたいな起業家さんも結構いて。
そういう時は「本当にしたいんですか?」みたいなのを結構聞いて、「実はこういうプロフィットシェアというやり方があるので、もし一緒に利益を出す、かつ長い目線で事業を育てていくっていうのを考えたいんだったら、こっちの方がいいかもしれないですね」みたいなお話をさせていただいたりもします。
石橋:
もちろんコンセプトはもう分かりやすいとは思いますし、スキーム自体もシンプルなエクイティの投資だけじゃなくて、起業家の方を向いているというか。
その人たちのニーズに合わせて、ちゃんと最適解としてエクイティマネーをいろんな形で提供できるようにしていらっしゃるというのが、そうあるべきだし、しかもファンドの出資をしていただいている皆さんもそういう目線感で出資をしているという、それを前提として全てが組まれているという感じなんですね。
中村:
おっしゃる通りです。
次回予告:社会起業家は投資対象として成立するのか
石橋:
ありがとうございます。改めて今回talikiファンド自体のご説明をいただいたかとは思いますので、次回の第3弾ではもうちょっと踏み込んで、そもそもテーマとしては社会起業家は儲かるの?というか、投資対象としてどうなんだっけ?みたいなところも含めてまたご意見をいただきたいと思っていますので、また次回もぜひよろしくお願いいたします。
中村:
お願いします。
【talikiファンド】社会起業家の社会課題をサポートしてお金は儲かる!?|スタートアップ投資TV
社会課題解決と収益性は「別軸」で考えるべき
石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。
今回も、前回に引きまして、talikiファンド GPの中村多伽さんにご出演いただいておりますので、多伽さん、今回もよろしくお願いします。
中村:
お願いします。
石橋:
第1弾の動画は多伽さんがどういう経歴や背景で社会課題を解決するようなスタートアップに投資をするファンドをやっているのかお話をいただきまして、第2弾ではファンドに出資をしている皆さんの目的や意図、ファンドの投資をするスキームも含めてお話をいただきました。
VCファンドをやっていると考えると、社会起業家はそもそも儲かりうるのか、そもそも投資対象になるビジネスになるのか、規模や成長性があるのか、というところが多伽さんもよく聞かれる質問なんじゃないかなと思います。
今回は「社会起業家とは儲かるのか?」みたいなところを大テーマにお話をしていきたいと思いますが、そういう質問をされると多伽さんはどのように回答していらっしゃいますか?
中村:
儲かるかどうかと社会課題解決かどうかは別軸なんですよね。
4象限があったら、社会課題解決で儲からないものもあるし、社会課題解決で儲かるものもあれば、社会課題解決じゃないけど儲からないものもあるじゃないですか。
という説明をするんですけども、もうちょっと丁寧に言うと、社会課題解決はある種資本主義とか技術発展の全体最適のひずみみたいなところだったりするので、市場原理に逆行しているパターンが多いんですよね。
例えば、貧富の差の拡大によってホームレスが増えちゃったという話だとすると、ホームレスの方々を何かしらサポートしようと思うと、その方々は購買力が高くない場合が多いじゃないですか。なのでサービスにしづらいという。
なので私たちが今現状できていることとすると、ビジネスになりうる領域の中で、儲かっていないけど工夫したら儲かるところまで行けそうな領域だったりとか、これから確実に拡大していくマーケット、今はすごくニッチだけど将来性が高いよねみたいなところに投資をすることが多くて。
逆に、どうしても難しい領域、ホームレス支援とかもそうですし、例えば収監されている方の人権問題とかはすごくビジネスにしづらい領域なので、そこはNPO(特定非営利活動法人)の皆さんにお任せするとか、役割分担だなというふうに考えています。
ヴィーガン市場に見る「将来性の高いニッチ」
石橋:
多伽さんたち自身が、ここはビジネスになるんじゃないか、むしろこういうテーマがあれば社会課題も解決できるしビジネスになるから投資対象にもなりうるなといった、見ている市場は存在するんですか?
中村:
例えば1号投資案件の株式会社ブイクックは、ヴィーガンの方々向けの、例えばレシピサイトの運営だったりとか、商品の開発、卸しみたいなところをやっているんですけど。
なぜそもそもヴィーガンになるかというと、結構いろんな理由があって、食肉の生産過程でCO₂の排出量だったり、水の使い方みたいなのがすごく環境負荷が高いので、肉とか卵とか動物性のものを一切食べませんという選択をしている人も中にはいるんですよね。
そういう意味で環境問題にも一応寄与するライフスタイルとして注目されていて、ヴィーガンは実は例えばイギリスとかだと2014~2018年の間に大体市場が4倍ぐらいになっているんですよ。
それが世界的にも伸びてきていて、日本にもどんどん伝播しているという状況で、今は先駆者的なポジションで、すごくニッチなように見える領域でも、将来的にスタンダードになりうるというか、日常生活の当たり前にオプションに入るみたいな、そういう課題とかは結構市場性が高いなと思っていて。
他でいうと、例えばセクシュアルマイノリティとか、男女という分け方は多分20年後とかはしていないと思うんですよね。そういう市場は費用対効果が高いと思うので投資をすることもあります。
石橋:
当たり前になっていくようなところに、成長性・可能性を感じて投資をしていらっしゃるということがやっぱり多いんですかね?
中村:
そうですね。例えば気候変動とかは、どうにかしないといけないのは全員わかっているというのがあると思うので、そういうところはマーケットが絶対にシュリンクしないじゃないですか。そういうのは結構ベタに投資しやすいですね。
財務リターン重視型VCとの橋渡し
石橋:
talikiさんが投資をした後に、またVCファンドがそのマーケットに投資をしてくださるのは、実はtalikiさん以外のところだと、ピュアにリターンを求めているVCの人も多くて、ハードルが一定数あるのかなと思ったりするんですけど。
そこの手触り感というか、本当にVCという人たちからの目線から見ても儲かるようなビジネスになっているのかというと、なかなかまだそこにギャップがあったりとか、社会課題を解決しながら作れている実態があるのか、実際どんな感じなんですかね?
中村:
よく勘違いされるんですけど、私たちのファンドはファイナンシャルリターンを求めていないわけでは全くなくて、普通のVCのようにLPの皆さんにこのぐらいの内部収益率(IRR)ですよというのは、お約束は一応しているんですけど。
私たちはシードで投資するというのもあって、社会課題解決かどうか全然関係なく創業者がめちゃめちゃ優秀というのが結構ケースとして多いんですよね。そういう意味ではVCの皆さんにとっても受けが良い会社さんが多いんじゃないかなというのがまずありますね。
特にエクイティで投資する場合は、私たちも流動化をしないといけないというのがあるので、必ずIPOを本当にしたいかとか、IPOするとしたら何年後かみたいな、結構ちゃんと事業計画を私たちでも弾き直したりとかしてやっていますね。
ただ、確かに事業領域で良いことをやっているんだけど、社会課題解決じゃないとは言わないけど、「SaaSの方が儲かるよね」とか、「テックフレーバー欲しいです」みたいな非本質的なことを投資家からフィードバックされるみたいなことも起業家からは聞くので、脱炭素とかの流行っているトピックの方が、やはり受けは良くなるんだろうなとかは思いますね。
ESG・SDGsとスタートアップ投資の違い
石橋:
それこそじゃあ環境・社会・ガバナンス(ESG)というキーワードであるとか、SDGs(持続可能な開発目標)というキーワードであるとか、少し前であればCSV(共通価値の創造)とかCSR(企業の社会的責任)と呼ばれていたテーマなのかなとは思ったりはしているんですけど。
ごちゃごちゃになっているところもあると思うんですけど、多伽さんたちとしてはどういうふうにそこら辺の住み分けをしていらっしゃって、どういうふうに投資テーマとして分けているみたいなスタンスはあったりするんですか?
中村:
ESGはわりと上場企業に適用される指標として多くて、なので要は会社が大きくなったときは、いろんな事業があるので、環境に配慮していて、社会にも配慮していて、かつ従業員にガバナンスという意味でも配慮できているのかというのを包括的に見る指標なんですよね。
私たちの場合はスタートアップなので、チームとかも見られる範囲の中で、事業目的は例えば「気候変動一直線でやります」みたいな感じだったりするので。
そういう意味では順番が逆というか、事業が先にあってそこに社会性をどう担保させるかというよりも、社会性みたいなのが先にあって、それをどうビジネスとして実装するか、という違いがあるかなというのを思うんですけど。
会社が大きくなってくると、気候変動は取り組んでいるけど、「従業員がすごく残業してるじゃん」みたいなのも多分出てくると思うんですよね。そういうところはまた別のパートナーと組みながら補完していかないといけないのかなというのは私たちも考えています。
シード期の社会起業家を支えるファイナンスの橋渡し
石橋:
改めてお話を聞いていても、社会課題をしっかり解決しながらビジネスになっていくところと、なりにくいところは、確かに言われてみればそれはそうだという話ではあると思うんですけど。
その中でもビジネスになりそうだというところでも、今までであればエクイティマネーが入りにくかったりとか、最初の死の谷を越えられないみたいなタイミングにあったところを、その段階で見つけて、今まではファイナンスの橋渡しをしていたところが、ファンドとして自分たちでサポートしていけるよね、という。
しかもそれを起業家の集合知であるとか、周りの方々の力を借りながら押し出していくというのがtalikiファンドであり、talikiとしてますます力を入れていくという感じなんですね。
中村:
おっしゃる通りです。完璧なまとめです。
石橋:
ありがとうございます。今まで150本ぐらい動画を公開していますけど、それこそ社会起業家というワードで動画を撮るのも初めてかなとは思うので。
今後、talikiファンドさん以外にも、ESG投資とかインパクト投資というキーワードとともにやっていく方々も出てくるかもしれないですし、それをもっと創業期というところをフォーカスするような方々も出てくるかもしれませんので。
ぜひこの動画を見ていただいた方の中で、こういう課題を解決したいんだよね、みたいなところの思いがあるような方ですとか、まだまだビジネスにはならないかもしれないけどというところで悩んでいらっしゃるような方々は、ぜひtalikiファンドの皆さんにご連絡といいますか、概要欄の方にもホームページのURLを記載させていただいておりますので、お気軽にご連絡いただくといいのかなと思っております。
最後までご出演いただきまして、改めてありがとうございます。
中村:
ありがとうございました。
