【松竹のCVC】エンタメ界の重鎮が投資したいスタートアップとは!【松竹ベンチャーズ 井上さんvol.1】

◯井上貴弘 松竹ベンチャーズ株式会社 
代表取締役社長 Facebook▶︎  / takahiro.inoue.790  
公式HP(お問い合わせはこちらから!)▶︎https://www.shochiku-ventures.co.jp/
1990年阪急電鉄㈱(現・阪急阪神ホールディングス㈱)入社。
2005年松竹㈱入社、インターネット事業担当部長。
2011年松竹芸能㈱、及び㈱松竹エンターテイメント代表取締役社長。
2013年より大阪府教育委員に就任(現任)。2018年ミエクル㈱代表取締役社長就任(現任)。
2022年松竹㈱常務取締役、松竹ベンチャーズ㈱を設立し、代表取締役社長に就任。
現役のゴルファー、サウナー、400mハードラー。

配信の台頭と客層の高齢化が生んだ危機感

石橋:
皆さんこんにちは、スタートアップ投資TV、GazelleCapitalの石橋です。

今回は、もしかしたら業界の方は知っている方がだいぶ増えてきているかと、勝手ながら思っているんですが、松竹ベンチャーズ株式会社、代表取締役社長の井上さんにご出演いただきますので、井上さんよろしくお願いいたします。

井上:
よろしくお願いします。

石橋:
そもそも、井上さんを第2弾でいろいろと自己紹介を聞いていきたいと思うものの、松竹本体の常務取締役の方がコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)でこういう業界のイベントとかフットワーク軽くいらっしゃってるんだっていうのが、いい意味での衝撃的だったんですけど。今回は、松竹ベンチャーズとしていろいろお話を伺っていければと思いますのでよろしくお願いします。

井上:
よろしくお願いします。

石橋:
そもそも、松竹さんがCVCをいつぐらいから構想していらっしゃったのか、どういう背景があって立ち上げてきたのかということを、改めて伺ってもよろしいでしょうか?

井上:
始まりはやっぱり2015~2016年頃なんですけども。

石橋:
結構もう前ですね。

井上:
はい。その時は比較的業績は好調だったんです。

石橋:
松竹グループとして、ですよね。

井上:
ただ、我々のビジネスは映像と演劇と不動産なんですけど、映像のところがですね、配信みたいなものが少しずつ出てきていたんですよね。これってもしかしたら大きくなるんじゃないかなっていう少し心配がありました。

一方で演劇の方は、主に我々は歌舞伎をやってますので、高齢のお客様が多いんですよね。我々も若い役者さんの育成であったりとか、若いお客さんに来ていただくようにいろんな施策を打っているんですけれども、飛躍的に若い方が伸びているわけでもなくてですね。ここの客層をなんとかしないといけないなっていうふうな課題感はあったんですね。

それを少しずつ解決していきたいなということで、全く我々そういった業界はお付き合いなかったので、勉強のためにっていうんで、有限責任組合員(LP)出資みたいなことをやりました。

石橋:
いくつか、じゃあまずはベンチャーキャピタル(VC)ファンドに出資をするところから、スタートアップというか、そこで何かやっていこうみたいな感じなんですね。

コロナ禍で顕在化した課題、1年遅れでスタート

井上:
はい。2019年の終わりくらいから「来年くらいやろう」と、2020年入ったら「もうスタートしようよ」って言ってたんですけども、コロナが流行。我々のビジネスっていうのは映画館と劇場に、お客さんに来ていただくっていうのがメインのビジネスなんですけど、政府の方針で「閉めなさい」っていうふうになりまして。

でも、まさに2015年~2016年から「配信みたいなことってグッと伸びるんじゃないの」っていうところがグッと伸びてきました。

石橋:
一気にガーンといったんですね。

井上:
そうです。高齢のお客さんが多くて増やさないといけないって、若いお客様だけではなく、お客さんが来ない、来ていただけないという状況になって。我々も2020年に、「やっぱりそうなったね」と。

その状況、課題を解決するのに新しいアイデアを持っている人たちと組もうって言ってたら、「いやでも本業がこんな大変なのにスタートアップ投資って言っても、なかなか優先順位を下げざるを得ない」ということで2年間遅らせて、それでスタートしたっていう形になっています。

石橋:
なるほどですね。

井上:
それで先んじて一人、VCに出向を受け入れていただきました。

石橋:
現場の社員さんがVCさんに行かれたって感じですね。

井上:
そうですね。

「良い業者見つかりますかね」発言が生んだVC出向

井上:
それで始まったんですけれども、VC出向を出したきっかけっていうのも、2019年のあたりにアクセラレータープログラムをやろうということで色々準備をしてたんですけれども、その時に若手の社員の一人が、全く悪気ないと思うんですけど、「これ、良い業者見つかりますかね」っていうふうにポロッと言ってきたんですよね。

ただ、やっぱりこの世界っていうのは、我々はたまたま一定の規模があって長い歴史でビジネスやらせてもらってますけど、スタートアップっていうのは社歴こそ短くて、規模も小さいんですけど、革新的なアイデアや想いを持ってやってる人たちなんで。

やっぱりイコールパートナーで、我々もそういう想いを持っていないといけないと思ったのでこれはやっぱり、そういったことを身をもって感じてる社員をいかに増やすかっていうことでないと。我々もそんなファンド規模も大きく当時できないだろうって思ってましたし、後発だったんで、もうすでに事業者さんたくさん始められていたので。

石橋:
それこそ、エンタメ業界のCVCの方々も、確かにいらっしゃいますよね。

井上:
ええ。株式会社TBSテレビさんとかも先にいらっしゃいました。だからそれで出向をさせていったと。

石橋:
ちなみに、改めてどういう規模感で、どういうコンセプトでどういう領域に投資をしているですとか、今はどういう走り方をしてらっしゃるんでしょうか?

東銀座をライブエンタメの街に、20年構想

井上:
投資する領域というのは、もちろん不動産もやっていますが、メインのところはエンターテイメントの領域で、映像・演劇がメインですのでこういったところを新しい技術でなにかアップデートしていけるとか。

もちろん中身・演出もそうですし、たとえばチケットの取り扱い方であったりとか、劇場のあり方であったりとかを新しくアップデートしていけるパートナーを探しているっていうところと、不動産もですね、そんな全国的にやってる事業ではなくてですね。

メインはもう東銀座、歌舞伎座、新橋演舞場の東銀座と、あと京都市に一部やってる。創業地が京都ですので、東銀座のエリアもですね、この開発もどちらかというとライブエンターテインメントの街にしていきましょうという、20年くらいかけてやっていこうという構想があるので。

どちらかというと、もうベースにあるのは皆さんに楽しんでいただくっていうところを、どう今までと違う、より楽しんでいただくかっていうところにフォーカスして、そういったパートナーを探しているというところですね。

石橋:
なるほどですね。そうなると、やっぱりいわゆるピュアな投資ではなくて、シナジーはある意味前提になってくるっていう認識で正しいんでしょうか?

シナジーと学び、投資の二軸戦略

井上:
2つ考えてまして、一つはやっぱり何か我々が投資させていただいて、一緒に事業が短期的にも中長期的にもやっていこうみたいのもあると思うんですけど。もう一つは、やっぱり我々がまだまだ未知の領域で、スタートアップ企業が先進的に取り組んでおられることに対して投資をさせていただいて、我々が学ばせていただくと。代わりに学ぶだけじゃなくて、じゃあ我々が何かサポートがその人たちにできるということであれば、そういった投資もやっていこうということで、ある意味2軸で。

石橋:
両軸で見てるんですね。

シリーズAで5,000万〜1億円が中心

石橋:
ちなみにそうなると、ラウンドっていうところだったりとか、いわゆるチケットサイズ、いくらぐらいが大体多いよね、みたいなスイートスポットで言うと、シナジーも見ながら純投資も両軸を見ていらっしゃるってことなので、どういうラウンド感であったりとか、どういう金額が多かったりするんでしょうか?

井上:
ラウンド感でいうと、本当にシリーズAとかそういったところで、金額感でいうと、今までやってきたところっていうのは、まだ我々始めて7〜8年しかやってないんですけど、だいたい5,000万円から1億円の間ぐらいというところで今進めていってます。

石橋:
じゃあシリーズAくらいで、物はちゃんとあった方がいいよねとか。ドシードすぎると、さすがにエンタメ系で面白そうだけど、ちょっとハードル高いなっていうイメージですかね?

井上:
そうですね、我々がやっぱりそこまで追いついてないかなと思ってですね。できればそういう方々とゼロから作り上げていくっていうのができれば一番いいなと思ってるんですけど、そこはまだまだ我々の能力が高まってないんで。

できれば本当にそういうふうなことで経験値、我々のメンバーが積んでいけばですね、「こんなアイディアで、こういうところでやっていこうと思ってるんだ」っていうところに我々が何かご協力させていただいて、そのプロダクト作っていけるんだったら、そういうこともチャレンジできればいいなと思ってます。

2種類のアクセラレータープログラムを展開

石橋:
松竹ベンチャーズさんの成り立ちの流れでアクセラレータープログラムをやっていらっしゃったというお話を出てまいりましたけど、これは継続してやってらっしゃるんですか?

井上:
やってます。もう今年で3回目になっていますし、今年からもう一つ「未来創造プログラム」、これも我々の方から「今回こういったところを皆さん助けてもらえませんか?」というようなことで。今回テーマは映画館にしているんですけど、「映画館でこういった課題を解決できるんですか?」というのを皆さんにご提示して、まさに今応募いただいています。2つの種類のアクセラレータープログラムもやらせていただいています。

石橋:
あれも基本的にはシリーズA前後が多いんですかね?あれはもうちょっと早い?シード・アーリーとかですか?

井上:
もっと言うと、大企業の新規事業チームも応募していただいたりして。

石橋:
そういうのもありなんですね。

井上
僕らも驚いたんですけど、我々より規模の大きい会社さんが、そういった新規事業チームが「一緒にやりたい」って言われたんで、「応募したい」っておっしゃっていただいて。「ぜひしてください」ということで、もともと趣旨は違ったんですけど、ご担当の方が非常に想いがあったんで、ではぜひ応募してくださいということで、やっていただきました。

石橋:
なるほどですね。ちなみに、今はまだ始まったばかりというふうにおっしゃっていたので、アクセラレーターの卒業生に投資をしている事例とかってあったりしますか?

井上:
ありますね。投資したのは株式会社プレイシンクさんなんですけど、そこはアクセラレータープログラムで応募いただいて、そこに投資をさせていただいたというのがあります。

STUとバーチャルプロダクション、ライターズルームで協業

石橋:
ちなみに何社か、プレイシンクさん以外にも出資事例あるかなと思うんですけど、他にこんなところに投資していて、場合によってはこういう事業を一緒にやってるですとか。こういうサポートをグループとして投資した後にやってるみたいなところって、どんな話があったりするんですか?

井上:
我々が1件目に投資させていただいた株式会社STUさんは、まさに我々がやっているビジネスの近いところにありまして。

石橋:
どういう事業があるんですか?

井上:
彼ら自身もですね、「説明するの難しい」というぐらい色んなことやられているんですけど、簡単に言うと、やっぱり今あるエンターテインメントを新しい技術を使ってアップデートしていくと。

例えば、このバーチャルプロダクションの先端の技術を持っているとか。あとライブですね、いろいろなアーティストのライブとか、そういったところの演出に最先端の技術を入れるとか。

これは技術面なんですけど、もう一つはですね、ライターズルームって言って、韓国とかハリウッドでは取り入れられている脚本の開発手法なんですけど。日本だと、ある脚本家先生に「よろしくお願いします」と言うと、これもなかなか発注した側もですね、「ちょっと変えてください」って言うのはできませんと。
任せますとなる。

ライターズルームっていうのは、ざくっと申し上げると、例えばAっていう脚本家は、人と人の何か関係性を書くのが上手いとか、例えば恋愛ものを書くのが上手いとか。Bさんっていうのはですね、状況の移り変わりを書くのが上手いとか、得意不得意あるので、複数の脚本家を束ねてですね、場面場面とか、もしくは共同で作業しながら作っていくというふうな脚本の作り方なんですね。ハリウッド、あと韓国の韓流ドラマ、ストーリーが面白いというような手法を取り入れているんですけど、そこを彼らは非常に研究していまして。

我々も具体的にSTUさんとコンテンツ作り、ドラマであったり映画であったりとか。あとは我々、歌舞伎とか伝統芸能やってますから、それを何かアップデートして。例えば大阪市にできる統合型リゾート(IR)でそういったものを作るのとか、それを新しい技術、演出を入れてやっていくっていうようなことをやらせていただいたりしてます。

宇宙フライト企業への投資、チャレンジ精神を学ぶ

石橋:
他にちょっと飛び地のテーマとか、STUさんの場合はかなりわかりやすかったのかなと思うんですけれども。他の投資先でちょっと離れてるけど、これはちょっと純投資なのか、シナジーもあるなぁみたいな、他の投資先の方っていらっしゃるんですか?

井上:
去年ですかね、投資させていただいた株式会社岩谷技研さん、これ北海道の会社なんですけど、気球を使った宇宙フライト、世界で初めて挑もうっていう会社なんですけど。

石橋:
宇宙なんですね。

井上:
宇宙ですね。もう宇宙の入り口まで行くっていう。たまたまご紹介いただいて、個人的にすごい面白いなと思って。このチャレンジっていうのは、やっぱり我々もそういったスピリットを会社として学びたいなと思いましたので、去年の8月の下旬ですね、一人でお時間を取っていただいて札幌市の本社に行ってお話を伺って。研究所と工場と全部案内していただいて。

本当は一泊してエスコンフィールドHOKKAIDOに行きたかったんですけど。そこで向こうにもご理解いただいて、「サポートできないか」「こういうこと一緒にできないか」っていう話をさせていただいて投資をさせていただいたんですけど。フライトで上がっていくんで、そこで皆さんの体験を例えば映像化するとか。前後1週間くらい滞在されるんで、天候に左右されるんで、その日ってなかなか確定できないので。

石橋:
余裕を持ってるスケジュールなんですね。

井上:
そこに滞在されてる中で、我々が日頃からやってるイベントであったりとか、そういったもので楽しんでいただくみたいなことがご一緒できるんじゃないかということで投資をさせていただいたんですけど。

コンタクトはどこからでもOK、門戸を広く

石橋:
ありがとうございます。改めてどういう背景とかどういうコンセプトでやっていらっしゃるのか分かってきたんですけれども。実際に松竹ベンチャーズさんに投資検討ですとか、場合によっては協業の打診をしたい場合っていうのは、井上さんのFacebookに直接連絡すればいいのか、どこのチャネルからコンタクト取るのが一番良かったりするんですか?

井上:
もうなんでも大丈夫です。松竹ベンチャーズのところに直接連絡しても構いませんし、メンバーのFacebookのメッセンジャーにいただいても構いませんし。とにかく何か我々にコンタクトを取りたいっていう方がいらっしゃったら、是非どこでも構いませんので、僕でも他のメンバーでも良いんでご連絡いただきたいなと思います。

石橋:
概要欄の方に松竹ベンチャーズさんのホームページですとか、皆さんのSNS等々も記載を一部させていただきますので、ぜひお話聞いてみていただいて関心持った方はご連絡してみていただければいいのかなと思っております。それでは井上さん、今回第1弾のご出演ありがとうございます。

第2弾ではそもそも井上さんってどんな人なんだっけってところをお伺いしていきたいと思っております。ぜひ皆さんは引き続き見ていただければと思います。

松竹芸能の元社長がCVCに転身した驚きの経緯に迫る!【松竹ベンチャーズ 井上さん vol.2】

大企業の常務が「カジュアル」な理由

石橋:
皆さんこんにちは、スタートアップ投資TV、GazelleCapitalの石橋です。今回も前回に引き続きまして、松竹ベンチャーズ株式会社、代表取締役社長の井上さんに来ていただいておりますので、今回もよろしくお願いします。

井上:
よろしくお願いします。

石橋:
第1弾では、実際に松竹ベンチャーズさんが、どういう投資活動をしているのか詳しくお伺いしてまいりましたが、そもそも井上さんは何者なんだみたいなところを今回は色々お伺いをしていきたいと思ってまして。

どうやらプロフィールだけ拝見すると、松竹ベンチャーズさんの社長さんだけじゃなくて、松竹の本体の常務取締役でもいらっしゃるんですよね。

井上:
はい。

石橋:
ひと言で言うと大企業の常務の人なんだっていうのが、割と僕としてはそういうレベルの常務の人がこういうカジュアルに話してくれるんだなというのがすごくいい意味で意外だったんですけど、スタートアップ界隈に来てここまでカジュアルに、というかもともとはもっと実は堅かったとかってあったんですか?

井上:
いや、それは特にないですけど、業界のことを勉強しないといけないと思ったところがありましたので。特に若い方がたくさんで、石橋さんみたいな方々にも先に業界に入っておられて、教えていただかなきゃいけないというふうに思いましたので。

前に松竹芸能株式会社っていう子会社の芸能プロダクションの社長もやってたんですけど、その時も同じで松竹に入社した後にインターネットの仕事を3年くらいやった後に、松竹芸能っていう。これはお笑い芸人が800人くらいいる芸能プロダクションなんですけども。あとは松竹エンタテインメント株式会社っていうのは、これはいわゆる俳優がいるプロダクションなんですけどね、ここの副社長をやれっていう話になって。

2~3年やって社長もやってたんですけど、やっぱり全く僕は芸能界分からずにやれっていう話になったので、今回はこの業界も全く知見なくて、とにかく担当しろみたいなことだったんで、やり方っていうのはよく分からないんで、とにかく人の話聞きに行くしかないかなっていうことで始めた感じですかね。

鉄道会社から松竹へ、異色のキャリアパス

石橋:
てっきりCVCを立ち上げていらっしゃるってことは、金融系のバックグラウンドでいらっしゃったのかなと思ったんですけど、新卒の頃は松竹さんじゃなくて別の会社さんだったんですよね。

井上:
そうですね、阪急電鉄株式会社っていう関西地方の鉄道会社で、今はもう阪神電気鉄道株式会社と一緒になって、阪急阪神ホールディングス株式会社っていう会社になってるんですけど。ファイナンスで言うと、会社入ってからアメリカ合衆国のコーネル大学っていう大学に留学に行かせてもらって。

石橋:
そうなんだ。

井上:
全く会計もファイナンスも大学でも勉強してなかった。そっちでやったことと、阪急電鉄の時に経営管理室というところにいましたので、全社的な経営計画のまとめみたいなところをやってたりしてたんで、数字のところはそうです、少し触ったことがあったんですけど。ある意味そのスタートアップ投資っていうところでは、まだまだ初めてのところです。

当時その行ってた大学院の授業の中にアントレプレナーシップっていうのがありました。そんなにメジャーな科目ではなかった感じですし、ちょうど僕が行ったのは1992年~1994年なんですけど、卒業するときに初めてEメールが使えた年ですから。

石橋:
確かにWindows 95の前後ってことですもんね。

井上:
そうです。だから本当にMosaicでインターネットが見れるようになったのは、その後ですから。Eメールで添付してデータが送れるみたいなことをアメリカで話題に、留学生の中でなってたぐらい、そういう時代ですからね。

石橋:
ちなみにその電鉄会社に就職されて、外から見ると全然違う世界に見えてしまうんですけど、どういうご縁で松竹さんには転職?

井上:
もう少しこの人を楽しませるようなことをやってみたいなっていうのがあったのがきっかけですけど。ただ、鉄道会社の中でも、阪急電鉄は宝塚歌劇団を直営でやってるんですよね。

石橋:
そういう共通点もあるんですね。

井上:
ありました。あと、今になっては我々の同業と言いますか、東宝さんの創業者と、阪急電鉄の創業者って同じ人なので。

石橋:
えっ、そうなんだ。すげー。

井上:
だから鉄道会社なんですけど、そういったエンターテイメントに触れる機会はよくあって。僕の経営管理室にいる後期の頃、上司が今、宝塚のタカラヅカ・スカイ・ステージっていう、CSの宝塚チャンネルですね。それを立ち上げとか担当していたんで、僕は留学してたこともあって、ニューヨークのミュージカルの版権管理会社からミュージカルの版権を買うことの、例えば契約書のチェックとか向こうとのやり取りみたいなことは在籍中にやったことはあった。

インターネット事業から芸能プロダクション社長へ

石橋:
逆に松竹さんに移られた後は、先ほどお話もされていらっしゃいましたけど、インターネット系の業務を中心にやっていらっしゃって。

井上:
そうですね。初めはその歌舞伎のサイトが社内に4つぐらいあったんですよ。株式会社歌舞伎座ってこれ別の会社なんですけど、上場してる会社ですけど、そこと演劇本部っていうまさに演劇やってるところとか広報とか、ある意味同じような情報を発信していたので、それを統合してこれを収益サイトにするみたいな仕事を初めはやっててですね。

それは非常に楽しく機嫌よくやってたんですけども、突然その芸能プロダクションの副社長やれっていうのが38歳くらいの時に言われましたんで。それで3年くらい経って両方とも仕事をやってたんですよね。

芸能プロダクションとCVCの意外な共通点

井上:
いわゆるそのタレントマネジメントと社長もやってました。今そのスタートアップ、CVCの社長もやっていて、すごく共通点があるなって感じるところがありまして。

何かっていうと、才能のある人を見つけて引き上げてあげる。一芸に秀でてる人って、やっぱり少し苦手な部分もあるんですよ。例えば芸人さんでも、ステージに出るとかカメラ前に出ると高いパフォーマンス力を持って皆さん楽しませるんですけど、こういうところ苦手だっていう人って結構いるんで、こういうところを我々プロダクションっていうのはサポートして。例えばそういうオーディションとか、我々の前でネタ見せてもらうとか、そういったところで「これは面白いな」って見抜いていく力っていうのが求められるんで。

そのスタートアップの方も、やっぱりその事業がいいかどうかっていうところを見抜くっていうところでは同じかなと。ここの起業家、ここすごいけどちょっとここ足りてないじゃないっていう。その人にどういう人を採用して付けてあげたらいいかとか、VCでここの業務をサポートしてあげるとこの会社は伸びる。

それと漫才コンビだとここがこの2人の足りないから足してあげたら、というのはやり始めるときに勝手に僕は似てるんじゃないかなって思ったところだったんですけど。おそらく芸能プロダクションの社長とCVCの社長をやってる人ってあんまり世の中いないかなと。

石橋:
聞いたことないですね、少なくとも。じゃあCVCは井上さんが初っていうわけでは必ずしもないんですか?

トップの理解で実現した6人の出向施策

井上:
今の会長をやってる坂本が当時社長だったときに、我々の今付き合ってる企業さん以外の人たちと、何か新しいアイデア取り入れていかないといけないなっていうディスカッションをしてた時に、スタートアップ企業の皆さんと付き合うことが必要じゃないかっていうことが出てきて。

1点すごく会社として我々やりやすかったのは、トップがすごく理解がありましたので。「これやっていこうよ」っていうことになりましたんで。だからそこからLP出資やったりとか、結局6人ぐらい若手の社員をVCとかCVCとかに。

石橋:
そんなに出向してたんですね。

井上:
トップの押しもあって、人事担当者も理解があった。人事のそういった辞令がでたときも、全社で何なんだこの人事はみたいなこともあったんですけど。そういったところで、非常にトップの理解もあって進めやすかったことはあったかなと思いますね。

石橋:
なるほどですね。

為末大との交流から生まれた投資案件

石橋:
改めて、井上さんのお人柄を含めなんとなく伝わってきたところではあるんですけど、エンタメ業界の社長もしていたこともあり、今はスタートアップ業界のCVC社長もしている。そうすると普段は何をしている人なのかというか、どういう休みの過ごし方とかしているのか。

芸人さんとかと一緒に過ごしたりしているのかなとか、全然エンタメ業界の社長さんとは会うことないので、どんな感じなのか想像ができないんですけど、実際そういう芸能人系のお付き合いとかって今もあったりされるんですか?

井上:
いや、付き合いっていうのはそんな、ただの普通の、僕なんか一般のサラリーマンで。石橋さんや皆さんと同じ感じです。松竹芸能の芸人メンバーとは連絡を取りますけど、日頃からしょっちゅう遊びに行ったり、連絡を取るわけでもないですし、仕事のパートナーなので。もちろん中には仲良くしてる人もいますけど、別に普通に石橋さんが趣味でやられてることと、僕も好きなことやってるんです。そんな感じですよね。

石橋:
ちなみに井上さんの趣味で言うとどんなところになるんですか?

井上:
僕が好きなのはスポーツですんで、ゴルフやったり、昔から陸上競技やってたんでランニングしたりとか、そういうこともしてますけどね。

石橋:
なるほどですね。今だに走ったりとか競技やったりもされてるんですか?昔やられてたんですか?

井上:
そうですね。昔は400mハードルというのをやってましたので、その関係でマスターズ陸上というのも出たり、東京マラソンでも6回か7回走ったりしましたけど、市民ランナーとして3時間半切るとかそんなレベルじゃないですけど、体を動かすのも結構かなり好きなので、そういった過ごし方をしてますね。

石橋:
逆にそういうスポーツ系の繋がりとかもやっぱりあられるんですか?

井上:
そうですね。400mハードルをやっていた関係で、メダリストの為末大さんとは仲良くさせてもらって。年齢は僕のほうが10個上なんですけど。いつも会うと、彼は世界3位を2回取ってる。僕はインターハイで6位だったんですけど、普通に言うと皆さん「早いですね」って言ってくれるんですけど。いつも為末さんは、「いやぁ井上さん、四流選手だからな」って言って、みんなに笑いを取る。もう四流選手ですから、この人はみたいなことで。

石橋:
インターハイに出てて、それでも四流なんですね。

井上:
もちろん四流ですよ。非常にあの方は読書家でもあって、この前も出された本もすごく面白かったので、勉強させてもらってます。

石橋:
もともとは仕事の関係で知り合われたんですか?

井上:
いや、もう全然違って。ある意味言うと、僕らみたいに陸上競技やってた人間からすると、長嶋茂雄なんですよ。簡単に言うと。僕の世代。今で言うと大谷翔平なんです。

石橋:
大谷翔平と会えるのはちょっとヤバいですね。

井上:
大谷翔平なんです、僕らの世界からすると。ある人に「ちょっと紹介してくださいよ」って言って、たまたまご紹介いただいて、15年前ですかね。そっからずっと続いているんですけど。

石橋:
為末さんもたまにスタートアップ界隈とかいらっしゃいますよね?

井上:
この前もたまたま1件投資させていただいた会社が、為末さんが元々原宿でスポーツ関連のスタートアップをサポートすることをやってて、いろんなスタートアップを起業したい若い方々に事務所を貸してたんですね、そこから出てきた企業。為末さんが初期に投資をされてサポートしてた会社を為末さんに紹介いただいて。この前投資させていただいたという縁もありました。

石橋:
プライベートだけじゃなくて、1周2周回って今のスタートアップ投資のお仕事もご縁が。

井上:
そうですね、そうなるとは全く思ってませんでしたけどね。

常務取締役がカジュアルに語る理由

石橋:
普段この仕事やってるとCVCの方とかVCの方はご縁は増えるものの、冷静に考えると常務取締役とか、普段で言うとなかなか会えない人なのかなと思いつつも、動画見ていただいた方だとこんなにカジュアルに話してくださるんだというのがいい意味で伝わったのかなと思います。

ぜひ井上さんとコンタクトであるとか、事業の議論ですとかファイナンスの相談をされたい方は、ぜひ概要欄の方ですね、松竹ベンチャーズさんのホームページもそうですし、井上さんのFacebook等のURLも記載させていただいておりますので、ぜひチェックをいただければなと思っております。それでは井上さん、第2弾も含めですね、ご出演ありがとうございます。

井上:
ありがとうございました。

石橋:
第3弾は、先ほどちょっとキーワード上がってきましたが、6人の方が出向に行っているベンチャーキャピタルさん等にですね、そこまでの人数の方が出向でVC・CVCに行かれてるケースもなかなか聞かないですし、そもそも他社のCVCに出向させるというケースもほぼ僕聞いたことなかったんですけど。

その文脈での狙いであったりとか、どんな効果あったのか、今の実際のその効用みたいなところはお伺いしていければと思っておりますので、またぜひよろしくお願いします。

スタートアップにリスペクト!松竹CVCの目指すマインドセットとは!【松竹ベンチャーズ 井上さんvol.3】

規模ではなく「マインド」が勝負を決める

石橋:
はい、みなさんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。今回もですね、前回に引き続きまして、松竹ベンチャーズ株式会社代表取締役社長の井上さんにご出演いただいておりますので、今回もよろしくお願いします。

井上:
よろしくお願いします。

石橋:
今回は第3弾ということで、第1弾は松竹ベンチャーズさんについてのお話。第2弾は、そもそも松竹さん本体で常務取締役もしながら、井上さんどんな人なんだっけみたいなところのお話をですね伺ってまいりました。

その中でも一部キーワードとしても出てまいりました、もともと松竹ベンチャーズさんを立ち上げる前にですね、いくつかのベンチャーキャピタルファンドさんに現場の方を出向という形で派遣というか出していらっしゃったりとか。最近ちらほらCVCの方から僕も知るに至ってはいるんですけれども、聞くところによると6人、しかもCVC立ち上げの前からみたいな、なかなか早い事例だし、かなり積極的なスタンスでやってらっしゃるのかなと思っておりまして。

実際にそれ効果あったんだっけみたいなところもざっくばらんにというか、色々正直ベースにお伺いしていければと思っておりまして、そもそも戦略的な意図であるとか、なんでそもそも出向させたのかみたいなところ、改めてそこからお伺いしてもよろしいでしょうか。

井上:
我々がスタートした時期もすごく遅いですし、ファンドの規模感でもう100億円とか200億円やってるわけじゃないんで、一番大事なのはやっぱりスタートアップ企業の経営者の方々とか、キャピタリストの方々に、しっかりと向き合っていける。そういったマインドを持ってる人間を何人用意できるかっていうのが、我々のCVCがテイクオフできるかどうか、これにかかっていると思ったんです。

石橋:
その目線を持たれること自体がCVCの方からすると珍しいなという。第2弾のところでもお話上がってましたけど、芸能事務所とスタートアップ投資が似てるから、芸能事務所にいるところのマネージャーみたいな人がいっぱいないと、そもそもやっぱり戦っていけないみたいな発想に近い。

「業者」ではなく「パートナー」へ──マインド変革の必要性

井上:
そうですね。そこも1点ありますし、前回もお話したかもしれませんが、1回目のアクセラレータープログラムを準備している辺りですかね、ある若手の社員がいい業者が見つかりますねっていうことを言って。あのメンバーっていうのは別に悪気あって言ってるものではなくて。業者さんという言い方自体もどうかと思うんですけど、発注して我々は何かしてもらうっていう。

そうじゃなくて、我々も一定の長い歴史と規模感でやってるけど、相手方は規模感と歴史こそはないけど、やっぱり我々は持ってないアイデアであったりサービス持ってるから、パートナーとして見ていきますよっていうところのマインドがないとうまくいかないなと思いましたので。ベンチャーキャピタルもしくはCVCに半年か1年受け入れていただいて、全てがわかるっていう簡単な仕事じゃないと思ってますんでね。

バリュエーションがどうだって、そういうことはもっと後で勉強したらいいと思うんですけど、とにかく我々がやっぱり今からやっていくときに、スタートアップ企業の社長とパートナーシップを組むんだよ。ベンチャーキャピタルのパートナーの方とかキャピタリストの方々に、あいらと仕事しても大丈夫だなっていうふうに思っていただくには、そういったマインドを持ってないと向いてもらえないんじゃないかなって思いましたので、心の準備ですよね。そこができればいいなって思って、そこだけですね。

石橋:
他の会社さんとかでもCVCもそうですし、例えば金融機関系のCVCの方とか、いい意味でも悪い意味でも顕著だなと思うんですけど、過去にこの番組も多数の銀行系とかCVCの方がご出演いただきまして、分かりやすくポートフォリオも含め成果出ていらっしゃるところって、大体もう人に紐づくというか。

この方がいるからこのCVCでほぼ成功してるよねみたいなところはすごくあるなと客観的に見てもすごく感じるところですし、スタートアップと一緒にやっていくんだよねっていうスタンスを井上さんご自身だけじゃなくて、現場の方々とかチームの皆さんがそのスタンスを持ってるのって、やっぱ大事ですよね。間違いなく。

井上:
そこは本当に一番大事なとこかなと思います。

出向は「一択」──実体験に勝るものはない

石橋:
逆に出向以外の選択肢ってあったんですか。オンリーワンの選択肢だったんですか。

井上:
僕はもうそれしかないなと思いましたね。結局本読んでも実体験に勝るものはないですから。かなりコストはかかるんですけど、その人間が仕事しないわけなんで。

石橋:
そうですよね。

井上:
ですけど、それ以上に得るものがあるんじゃないかなっていうふうに思って、一択だったので、ベンチャーキャピタルの方々の方にはお願いして受け入れていただきましたけど、JR東日本スタートアップ株式会社さんですか。

石橋:
LP投資先だけじゃなくて、資本関係があるわけじゃないですか?

井上:
全くないです。柴田社長にCVC始めるんで、受け入れていただけないかと。お願いに上がったらもう快く引き受けていただけたんで、本当に感謝してます。

石橋:
業界に競合ではないと思いますが、ノウハウとか取られちゃうんじゃないかみたいな心配するCVCさん、普通に考えたらいそうですよね。

資本関係なしでも実現した出向──JR東日本スタートアップの協力

井上:
その辺がやっぱりJR東日本っていう公共性の強い会社のCVCっていうことで、今の社長の柴田さんと、当時いらっしゃった竹内さんっていうお二方がものすごく快く受け入れていただいて。

出向してるんですけども「お客さん扱いしないでください」と僕からお願いしてたんで、JR東日本のスタートアップに行ってる間はその2人のメンバーはもう一切こっちに来なくていいっていうふうなことでもう上司は柴田さんと竹内さんだっていうふうなことで仕事をしてきてくれっていうふうに言いましたので。

2人は今、アクセラレータープログラムをものすごく引っ張っていただいて、そこがもうすごく効果が出ていますね。

石橋:
なるほどですね。現時点でも出向されてる方っていらっしゃいますか?

井上:
今はいないですね。

石橋:
じゃあもう一通り現場の方々、メンバーの方々のそのマインドセットもいい意味で変化してそうですね。

井上:
あとはそのアクセラレータープログラムやる時に各本部ですね。担当する社員の人たちと一緒にやっていくんですけども、少しずつやっぱりそういったものの考え方とか、スタートアップ企業の社長はこういう思いを持ってやってるんだとか、応募していただいた企業の社長の皆さんには企業説明していただきますから、それを全部一緒に聞いてもらってるんですよね。

ですからそういった意味ではベンチャーズ以外の当社の若手社員もそういったマインドが少しずつ浸透していってるかなっていうのが、まだまだなんですけど思ってるのと、あと最終の報告会は全役員聞くことにしてますので。上と下でずっとサンドイッチして、我々の活動をまだまだ全社的に理解を完璧に得てはいないなと思ってるんですけど、そういうふうなことで進めていってるところですかね。

出向の効果──リスペクトと真剣さが生まれる

石橋:
ありがとうございます。実際に多分現時点での出向は、スカイランドベンチャーズ株式会社の木下さんの「起業しろ」じゃないですけど、「VCに出向しろ」みたいなあれじゃないですけど。

関心持たれている方が結構いらっしゃる中で、今もちょっと一部キーワード出てまいりましたが、どういう具体的に効果があるなとか、ここがやっぱめちゃめちゃ変わった、ここがすごく収穫として出てきているな、みたいな効果実感みたいなところって、井上さん目線だとどういうところが事例としてなのかエピソードとしてあったりはしますか。

井上:
メンバーが帰ってくると、やっぱりさっきから申し上げているようにパートナーとして参画企業を見ようというマインドのセットができてくるというのが一番大きいなということと、人生かけてやっぱり事業、起業を運営しているというところに対してのリスペクトの気持ちを本当の意味で持ってきているので、我々も真剣にやらないといけないなという意識の変化というのは顕著に現れているなと思いますね。

石橋:
邪推な質問になっちゃうかもしれないですけど、僕がもし事業会社サイドでCVCをやっていたら、辞めちゃうんじゃないかなというか。出向して、やっぱVCの方が「めちゃ意識決定軽いやん」とか「カジュアルやん」みたいになっちゃって、戻ってきた時にいい意味でも悪い意味でのCVCの硬さが、VCと比較した場合にですね。

そこのハレーションで転職しちゃうみたいなことをなんとなく心配する側面も自分はありそうだなと思ったりするんですけど。そういうことっていうのは全くそんなの心配する必要ないみたいなところなのか、とはいえこういうケアをちゃんと環境として用意しないと、出向させて戻ってきていただいた上でなかなか活躍していただけないよねとか、井上さんが気をつけていらっしゃることとか意識していることとかってあったりするんですか?

「辞めてVCに行きたい」も一つの成果

井上:
これ言うと会社から怒られると思うんですけど、僕はそうやって出向したメンバーがね、「もうすいません、辞めてVCに行きたいんです」っていうメンバーが出てきたら、それはそれで一つの成果かなと思ってます。やっぱりそのぐらい思い入れてやりたいんだっていうメンバーが出てくるっていうことは、一連の人材育成の中では一つは成果かなと思ってたり。

足りないところっていうのは僕とかマネジメントの仕事で、やっぱりその人たちに満足する場を用意できなかったっていうところが、もしそうなったら我々が反省すべきところなので。我々が気を付けないといけないところっていうのは、彼らが活躍できる場をしっかり用意してあげるっていうところかなと思います。

別に僕は辞めろって言ってるわけじゃなくて、その環境を用意するところに対して腐心を常にしていかないといけないなと思いますし、おそらく力あるメンバーがどんどん出てきたとしても、我々の環境が良いと思えばそこでやっていくと思います。

それはどこの会社も抱えている課題かなと思います。我々の会社の映像の部門でもどこの部門でも同じかなと思うので、我々の業界が特殊だとか、松竹ベンチャーズの置かれた環境が特殊だということではなくて、そういうふうに捉えていますけどね。

石橋:
ちなみにグループの人が松竹ベンチャーズさんに移籍すること、希望することとかもできるものなんですか?

井上:
人事異動で希望を出してもらって。

石橋:
最近若い人に聞いたりするんですけど、この事業会社のCVCに行きたいからここ新卒で受けるとか、聞くようになったので。

井上:
僕が担当しているのが事業開発本部っていう新規の事業を作りましょうっていう、そこの一部も松竹ベンチャーズあるんですけど、ここにぜひ新卒の方々も応募いただきたいなと思うし、今他の会社で働いている方で松竹の新しい事業やってみようとか、ベンチャーで仕事してみたいっていう方がいらっしゃったら、ぜひご検討いただければありがたいなと思います。

起業家も人材も募集中──パートナーとして共に歩む

石橋:
最後締めではありますが、動画を見ていただいている方の中でですね、若手の方であれば新卒にもなると思いますし、中途の方であればぜひ今回のお話、第1弾、第2弾を見返していただきながら、松竹ベンチャーズさんですとか井上さんご自身のお人柄とか考え方っていうのは、誰と一緒に働くのかってやっぱすごい重要なことだと思ってはいるので、ぜひ見ていただきながらですね。

もちろん起業家の方であれば出資検討みたいなところですね、パートナーとして井上さんたちと松竹ベンチャーズさんたちと一緒にやっていきたいという方は、ぜひ概要欄の方のURLからお問い合わせをいただければなと思っております。それでは井上さん、全3回にわたりましてご出演ありがとうございます。

井上:
ありがとうございました。

石橋:
皆さんも最後までご視聴ありがとうございます。