知り合いゼロから海外VCに飛び込んだ男の物語|スタートアップ投資TV

◯黒田 健介 SCRUM VENTURES-Principal
Twitter▶︎   / kurokensu  
企業HP▶︎ https://scrum.vc/ja/
東京大学法学部卒。国内スタートアップ投資の責任者として、投資事業を担当。また、大企業とスタートアップの事業共創を支援するスタジオ事業では、スポーツやスマートシティといった複数のテーマでプログラムに関わる。それ以前は、PwCコンサルティングにて、消費財や製造業、IT、ヘルスケアといった幅広い業界の国内外の顧客企業に対して、経営戦略・事業戦略の策定を支援。

Scrum Ventures日本オフィス2号社員としての船出

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capitalの石橋です。

今回は、Scrum Ventures プリンシパルの黒田さんに来ていただいておりまして、おそらく業界の方も見ていただいているケースが多いと思うんですけれども、そんなに……。

黒田:
そんなにアクティブではなかったですね、ここまでは。

石橋:
お名前を知っている人は多いけど、なかなかコンタクトがなかった人が多いというのは、正しいニュアンスなのかなと思いますので、僕自身も黒田さんとは2度目ましてでございます。

まずは、黒田さんご自身のことをお伺いしていければと思っているんですけれども、そもそもScrum Venturesさんに入社されたのはいつぐらいなんですか?

黒田:
2019年1月なので、3年半ぐらい。ちょうどそのタイミングでScrum Venturesが日本でも始めているんですよね。なので、日本オフィスの2号社員で、立ち上げもやっていたという感じになります。

石橋:
日本オフィスという言葉から推察すると、北米というか、海外のベンチャーキャピタル(VC)さんなのかなと思うんですけど、黒田さんご自身もキャリアでいうと海外から始まっていらっしゃるんですか?

黒田:
そこは全然ドメドメで、四国の徳島県出身です。ある意味海の外なんですけど、18年そこにいて、その後大学から東京都に来て、ずっと東京で、前職も東京だったので、海外経験はほとんどないです。

法学部からコンサルへ、弁護士を諦めた理由

石橋:
最初に東京にいらっしゃった時はどういうお仕事をされていたんですか?

黒田:
前職はPwCコンサルティング合同会社というところでコンサルをやっていました。事業会社の方向けに、経営戦略とか新規事業のところのお手伝いをさせていただいていました。

石橋:
VCさんの業界とは、近からず遠からずなのかなと思うんですけど、学生時代から投資業とかVC業とか、コンサルも近からずだと思うんですけど、そういうところの感触があったんですか?

黒田:
学生時代の時はVCという名前を知らなくて、スタートアップも当時だと株式会社フリークアウトさんとか、その辺のインターンに行ったりはしていました。

ただ、なかなかそっちに就職しようとはならずに、大学時代は法学部で法律の勉強をずっとしていたので弁護士になろうと思ったんですけど、「ちょっと面白くないな」とあるタイミングで気づきました。

ビジネスのことを知りたいと思った時に、コンサルは良い環境だというのをインターンを経て思ったので、そのまま新卒でPwCに入ったという感じですね。

石橋:
結構、長くPwCさんでお仕事されていらっしゃるんですか?

黒田:
PwCは3年ぐらいですかね。

石橋:
その後、いきなりScrum Venturesですか?

黒田:
もういきなりScrum Venturesです。

徳島の原体験が生んだ「新しいもの」への情熱

石橋:
ドメドメでPwCさんに行かれて、いきなり日本ブランチの2人目でVCを立ち上げるのは、繋がっていない感じがするんですけど、そもそもなぜVCに行こうというか、そういうキャリアを選択し始めるようになるんですか?

黒田:
原体験として、僕は徳島県の出身とさっき申し上げたのですが、徳島県はマジで何もないです。

徳島県の人が見ていたら怒られるかもしれないんですけど、何もないところから、ある意味東京という何でもあるところに出てきて、10年前に東京に出てきた時とかは、新しいサービスとかモノがいっぱい溢れていて、結構感動したんですよ。

ある意味、ないところとあるところを知っている分、新しいものが生まれてくるみたいなところに興味があって、その裏側にはビジネスがあって、それを作っている人たちがいるわけじゃないですか。

コンサルに入って、そういうものを作っている人たちも目の当たりにはしていたんですけど、今の時代、大企業は大企業で大きなビジネスがあって、それの安定運行というのをやりながら新しいものを作っていかないといけないので、なかなか大きくドラスティックに変わるのは難しかったりします。

コンサルしている中でそういうところは僕の中でも課題を持っていたところで、ここは結構非連続なんですけど、Scrum Venturesのパートナーをやってた春田さんという方がいるんですけど、春田さんと共通の知り合いがいて、そのタイミングでVCという職業を知って、これ面白そうだなって。

なぜなら、スタートアップという新しいものをどんどん世の中に実装していって、それが日常目まぐるしく、石橋さんはお分かりだと思いますけど、毎週状況が変わって、どう伴走できるか、サポートできるかみたいなところは、結構醍醐味だなと思ったので、そこで面白さに気づいてキャリアチェンジしたという感じですね。

名もなきVCから始まった約3年半の苦労

石橋:
共通の知人の方がいらっしゃって出会って、もちろん支援するという文脈で言うと、コンサル業と少し顧客層が変わったというところにも捉えられるような気はするんですけど、全然違う仕事だし、全然違う業界じゃないですか。しかも、2番目に入ってきているのは、この3年半ぐらい結構苦労されていらっしゃるんじゃないですか?

黒田:
苦労しかしていないです。

石橋:
最初とかは、なかなか案件を作れなかったり、どういうふうに入り込んでいったんですか?

黒田:
最初は、Scrum Venturesも名もなきところから入ってきて、1人目社員も2人目社員も誰も知り合いがいないところから始まっているので、とにかく知り合いを増やすところから始めますよね。

なので、最初はパートナーの宮田とか春田の個人的なツテでいろいろな人を紹介してもらったりとか、そこの案件のデューデリジェンス(DD)を手伝うみたいなことをやっていたんですけど、毎日のように飲みに出掛けたりとか。

ギリギリコロナ前に入社できたので、それは運が良かったなと思うんですけど、そういうことを繰り返しながら最初のうちはやっていましたね。

石橋:
海外VCだからこその難しさとかもあったりしたんですか?僕もそこはなかなか想像できないというか。

黒田:
名前を聞いたことがないとか、名前はうっすら聞いたことあるけどあんまりアクティブに活動するのを知らなかったみたいなところが、今も一部そうなんですけど、3年前はもっと知られていなかった。

そこからどう信頼関係を構築するかとか、こういうVCなんですよという説明するところから始めるみたいなのは結構大変でしたし、やり続けて、やっとこのスタートアップ投資TVに呼んでいただけるようになりまして、大変ありがたいです。

第1号投資案件「スマートスキャン」に見るビジネスオタクの眼

石橋:
ファンドのお話は2本目でまたお話していくことになるので、黒田さんの自己紹介というカテゴリーからいろいろ聞いていきたいんですけど、ちなみにどこが1社目の黒田さん案件というか、どういった会社さんだったんですか?

黒田:
そこの1号目の投資案件はスマートスキャン株式会社という会社で、ご存知ないかもしれないんですけど、今CMやってるんですよ。スマート脳ドックというリーズナブルな価格で脳ドックとか、宣伝みたいになってしまいますけど、そういう会社に投資をしていて、結構面白くて。

その会社は元々楽天グループ株式会社の執行役員をやられていた濱野さんという方が創業して、Facebookとかで時々シェアされていると思います。

石橋:
脳ドックを待たないでできるとか、すごく短くできるみたいなやつですね。

黒田:
そうです。予約と決済と問診は全部携帯で終わって、昼休みとかにパッと行って服脱いでMRIだけやって帰るみたいな。結果も後日届くみたいな、結構いいですよ。

石橋:
ちなみにPwCにいらっしゃって、Scrum Venturesさん入られて、なぜ1番最初の案件がそういったスタートアップの方だったんですか?

黒田:
ご縁をいただいたというのも当然あるんですけど、元々僕はヘルスケアとか、あとは製薬会社とかのお客さんが結構コンサル時代も多かったので、わりとその業界の知見とか想いみたいなのはあったところだったんですね。

やっぱり予防医療みたいなところをいかに大きくしていくか、日本の社会課題を解決する上では1番重要な課題の1つだと思っているので、それをドンピシャでアプローチしに行っているところがまず面白いなというところと。

僕は結構ビジネスオタクだったりするので、ビジネスモデルがどう上手く設計されているかみたいなところに結構興味があるんですね。

遊休資産を活用するシェアリングモデルの妙

黒田:
スマートスキャンの裏側を言ってしまうと、MRIとかCTはめちゃめちゃ高いんですけど、世界で1番日本に多いんですよ。人口あたりで見ると、2位のオーストラリアと比べても2倍ぐらい。

石橋:
オーストラリアも2位なんですね。

黒田:
意外とオーストラリアが2位なんですよね。機械はいっぱい全国にあるんですけど、日本の予防医療の利用率は世界で比べても低いんですよ。おかしな話なんですけど。

スマートスキャンがやっているのは、昔流行ったシェアリングモデルというか、Uberみたいな発想に近くて、遊休資産化しているものをインターネットインターフェースで集客をして稼働率を上げて、1回あたりの単価を下げるみたいなことをやっているんです。これはめちゃめちゃよくできているなと思って、投資をさせていただきました。それが2019年ですね。

週3〜4回の飲み会とビジネスオタクの日常

石橋:
さっきもビジネスオタクというキーワードも出ましたけど、わりと前職時代からいろいろインプットも多くてという感じなんですか?VCを始めて、改めてという感じだったんですか?

黒田:
VCに入ってからも改めてですけど、前職時代も結構いろいろな業界のいろいろな組織もやれば、経営戦略もやれば、新規事業もやれば、マーケティングセールスもやれば、みたいな感じなので、一通りは触った気はしますね。広く浅くですけどね。

石橋:
土日とかもわりとずっと本読んだりとか、いろいろ業界研究したりとか、それがもう趣味みたいな感じなんですか?

黒田:
土日は遊んでいます。飲み歩いたりしてますけど、本も結構読みますね。気になった本はAmazonですぐ買って読んでますね。紙派なので持ち歩くの大変なんですけど。

石橋:
うちもオフィスに置いてあるんですけど、全然読み進んでいないです。

業界の人と飲みに行くケースもプライベートも多いんですか?

黒田:
はい、最近は結構多いですね。週3〜4回は飲んでいるかもしれないですね。

石橋:
ぜひご一緒させていただければと思いますので。

黒田:
お願いします。

石橋:
これ見ていただいている皆さんもですね、これから起業される方もいらっしゃるかと思いますし、場合によっては黒田さんのことなんとなく知っていたけど、より理解をしていただいた方もいらっしゃるかと思いますので、そういった方はぜひ直接ご連絡いただいて飲みに誘っていただければいいのかなと思いますので。

改めて黒田さん、今回ご出演いただきましてありがとうございました。

黒田:
ありがとうございました。

【Scrum Ventures】アメリカからの逆輸入VC!その魅力に迫る!|スタートアップ投資TV

米国で10年の実績を持つVCが日本に本格参入した背景

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capitalの石橋です。

今回も前回に引き続き、Scrum Ventures プリンシパルの黒田さんにご出演をいただいております。黒田さん、今回もよろしくお願いいたします。

黒田:
よろしくお願いします。

石橋:
前回は黒田さんがそもそもどういう流れでキャリアを経て、今Scrum Venturesの日本拠点のプリンシパルとして活動されていらっしゃるのかというところまでをお伺いしました。

改めて、Scrum Venturesという名前は知ってるけど、「日本でそんなに投資しているんだっけ」と思っていらっしゃる方も多いかなとは思いますので、どんな背景で今日本にもあるのかというところを整理してお話しいただければと思うんですけど、お願いしてもよろしいでしょうか?

黒田:
もちろんです。元々2013年に創業しているVCで、今年10年目に入ったんですけど、1号ファンドはアメリカで100%投資しますというファンドで、1号・2号はずっとそのまま来ているんですね。

ちょうどそれが10年ビンテージなので、来年終わる予定なんですけど、結構1号は上手くいっていて、アメリカでNoomというダイエットアプリが、日本は撤退してしまったんですけど、すごく上手くいっていて、今は結構バリュエーションもついているところです。

2号もGrubMarket Inc.という産直プラットフォームの会社が結構伸びていて、アメリカではちゃんとやっていた感じですけど、日本はまだ全然やっていなかったのが2017~2018年ぐらいまで。

2018年からアクティブになっている3号ファンドのタイミングで日本に進出をして、そのタイミングだとそこまですごくアクティブに走り回って投資させていただくみたいなことではなかったんですけど、僕もそのタイミングでジョインして、3号ファンドは計10社、国内に投資させていただきました。

まだレイズ中ですが、今運用中の4号ファンドが大体4割くらい日本国内に投資するという予定です。

これまで以上に日本オフィスもしっかりやっていかないといけないので、石橋さんにお会いさせていただいたのもそうなんですけど、いろいろなところに出て行って、これから皆さんとお目にかかる機会も増やしていきたいなと思っています。

日本人GPが米国で起業、2度の売却を経てVC創業

石橋:
了解です。

改めて、2013年から始まったというのはわかってきたんですけれども、そもそも僕がなんとなく見聞きしていると、日本人の方のパートナーがやられていらっしゃいますよね?

黒田:
おっしゃる通りですね。創業者は宮田というジェネラルパートナー(GP)がいるんですけど、普段はアメリカベースで、出張ベースで日本に来たりはするんですけど。

彼は元々は起業家で、結構変わった経歴でして、早稲田大学を卒業した後に単身でアメリカにエンジニアとして行って、向こうでいろいろソフトウェアエンジニアとしてやっていた中で、向こうで共同創業してその会社を売却して、その後作った会社が株式会社モバイルファクトリーに売却した。

石橋:
2回売却されているんですか?

黒田:
そうです。そのタイミングで株式会社MIXIに入社をして、その後mixi Americaで基本的にはアメリカでMIXIの投資をやるという立場で社長をやって、その流れでアメリカ側で投資ファンドを一緒に立ち上げたというのが2013年という感じですね。

石橋:
ほぼ日本人GPオンリーみたいなところから海外で始まって、なぜか3号からは日本に戻ってきた?

黒田:
逆輸入VCみたいな。

石橋:
なぜそのタイミングから日本で始まったんでしょう?

黒田:
アメリカが当時のイノベーションの中心地というのは当然、シリコンバレーやサンフランシスコであったんですけど、一方で2017~2018年くらいに株式会社メルカリが出てきて、日本もマーケットとして大きくなっているよねというところに着目して。

僕たちは事業会社との繋がりも深かったりするので、そういった流れで日本のスタートアップにも投資をして、アメリカのスタートアップにも投資をして、いろいろな形でご一緒させていただけるようになったのが2017年のタイミングですね。

シード・シリーズA中心、最大3億円まで投資可能な柔軟な体制

石橋:
もうちょっと足元の4号ファンドのお話を伺っていければと思っているんですけど、先ほど黒田さんから大体3~4割ぐらいを国内に投資をあてていくというお話をお伺いしたんですけど、大体どういう規模のラウンドであるとか、チケットサイズであるとか、どういうフォーカスを今戦略としては練っていらっしゃるんですか?

黒田:
基本的にはシードからシリーズAを対象にしていまして、割合はシード50%、シリーズA 50%みたいな感じだと思います。プレシリーズAをどっちにするかというのもあるんですけど。

条件として多いのはチケットサイズは2,000万円から最大初回1億円ぐらいまでが一番多いケースレンジ感で、それで大体シードからシリーズA。

追加出資もわりと積極的にやるので、1社あたり3億円とかそれぐらいまでは出資できるような立て付けにしています。

石橋:
ベースはリードなんですか?

黒田:
そこが結構フレキシブルで、実績で2~3割リードですけど、残りはフォローという形で、結構ケースバイケースでやらせていただいています。

石橋:
黒田さんはもちろんプリンシパルとして日本拠点でやっていらっしゃると思うんですけど、先ほどの宮田さんは基本的にアメリカに在住されていらっしゃって、日本チームはどういう体制でやっていらっしゃるんですか?

黒田:
今、現場のキャピタリストは私を入れて3名で、僕は基本的には全部オーバービューするような形で、僕自身もDDやりますし、担当もつきますしという感じで、皆それぞれ活動しているような感じですね。

石橋:
今だとそこまで投資社数が多くないから、その人数でやれているという感じですか?

黒田:
そうですね。今後どうなるんだろうというドキドキはあります。

コンサル出身の強みを活かしたハンズオン支援と海外ネットワーク

石橋:
リードでもフォローでも投資をされていらっしゃるということなんですけど、投資後のコミュニケーションでいうと、起業家の皆さんでいうと、Scrum Venturesさんだったらこういうことを期待しても良いよねみたいなイメージでいうと、どういうご支援をされているんですか?

黒田:
僕はコンサル出身なので、わりとビジネスサイドとかオペレーションの設計とか、特にコーポレートの側とかも含めて、いろいろとハンズオンでお力になれるところをアジェンダベースで入り込んでやらせていただいていたりとか。

あとは会社単位で言うと2つあって、1つは海外のネットワークを結構持っているので、海外のローカルのトップティアのVCも含めてかなりネットワークは強かったりするので、足元で海外VCからの資金調達というのが増えてきている中で、そういうところの次のラウンドでのご紹介というのはネットワークを活かしてできるかなと思います。

もう1つは、実はScrum Venturesというエンティティの横にScrum Studioという別の会社を持っていて、これが大企業・事業会社向けのオープンイノベーションのアドバイスやコンサルティングだったり、アクセラレータープログラムの運営だったりをやっている事業体です。

これがあることで、事業会社さんとのお付き合いとかもかなり深いです。なので、大体日本の大企業さんであれば、言っていただければご紹介できるパスを何とか見つけてきますという感じで、セールスとか事業開発のところは結構お手伝いさせていただくことが多いかなと思います。

石橋:
フォローというスタンスでもそのぐらい手厚くやってくれるのはあまり聞かないですよね?

黒田:
そうですね。結構、宮田も含めてファウンダーファースト、ペイフォワードというのがビジョンとしてはあるので、そこはわりとフォローでもリードでも変わらず、かなりやらせていただいているところかなと思います。

郵便DXに見る「逆張り」の投資哲学とIPO実績

石橋:
ちなみに既に3号からは約10社ほど投資されていらっしゃったり、4号でも既に投資活動を始めていらっしゃると思うんですけど、例えば今まで国内だと、どういう会社さんに投資されてきていらっしゃるんでしょうか?

黒田:
直近で投資した会社で言うと、郵便業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)をやっているatena株式会社という会社に投資をさせていただいています。

石橋:
atenaさんは元々黒田さんがソーシングしてきたんですか?

黒田:
そうですね。シードだったかプレシリーズAだったかのリリースを僕が見て、その時千葉道場株式会社さんが入られていたんですけど、千葉道場の廣田さんに「ちょっとこの会社を紹介してください」というのを僕からリーチアウトして、紹介してもらって、そこからという感じです。

石橋:
最近投資をされたところだと思うので、特にどういうところに魅力を感じたかというのは、どのような感じなんでしょうか?CMも始まっていますよね?

黒田:
CMも始まりましたね。間違いないのは顧客のヒアリングなどからも見えてきたので、それは1つあるんですけど、逆張りなのが面白いなと思って。

郵便はどんどん減っていくはずじゃないですか。契約書も電子化されて、請求書も電子化されて。

ただ、こうなればなるほど、郵便を扱うためだけに総務担当者を1人割いていた人たちが「それ無駄だよね」となって、どんどん効率化していかないといけなくなるというニーズが出てくるので、よりDXの機運は高まるんじゃないかなと思っていて。

そこを、日本の郵便を作っているインフラの目線で見ても、どうDXをストリームラインしていくのかが1つのテーマだろうなと思って。まさにそこにドンピシャでやっているのがatenaさんだったので、最初から結構温度感高くやらせていただきました。

石橋:
逆に黒田さんが既にご担当されていらっしゃるとか、投資先でも、イグジットしている案件とかもあられるんですか?

黒田:
3号ファンドでいうと株式会社Photosynthさんは、去年11月に上場しましたね。

石橋:
3号となると黒田さんがわりと入られて間もない頃に、出資もされたという事ですか?

黒田:
はい、そのタイミングで。シリーズでいうと例外的にBとかCとかのタイミングで出資させていただいてるんですけど、そこから事業会社さん、セールス先の紹介とかも適宜させていただいて、ちょっと貢献できたかは定かではないですけど。

石橋:
黒田さんご本人としてはもう担当されていたところもイグジットされ始めていて、ラウンドも上がり始めていて、絶好調ですね。

黒田:
そう言っていただけるとありがたいですけど、まだまだScrum Venturesとしても僕としてもこれからやっていかないといけないことがいっぱいあるので、ちょっと皆さんにビシバシやっていただきながら。

最短1ヶ月で投資意思決定、スピード重視のプロセス

石橋:
ちなみに国内だと先ほど3人の方々でやられているとおっしゃってましたけど、今、意思決定の体制とかプロセスで言うと、国内案件の場合ってどういうプロセスを経て、スケジュールでいうとどのくらいかかるんですか?

黒田:
大体スケジュール全部で言うと、1~1.5ヶ月ぐらいあればシリーズAでも意思決定までいけるかなと思っています。ゲートは2つあって、最後はグローバルの投資委員会があるのでグローバルにかけないといけないんですけど。

1つ目はもう日本のチームだけでやっている定例会議があって、ここは本当に初回面談が終わった次の週とかにやっている定例会議でみんなで議論して、「ここは論点だよね」みたいなところを出して、Q&Aリストとか追加の面談設定とかをやらせていただいて、DDをちょっとやって、最後に投資委員会、そういう流れですね。

石橋:
速いですね。

黒田:
そこは頑張っております。できるだけ速く意思決定できるように。

石橋:
ちなみに今、Scrum Venturesさんや黒田さんに投資検討してもらいたい時は、どのチャンネルから皆さんはご連絡するのが良さそうですか?

黒田:
Twitterをやっているので、TwitterのDMからでも良いですし、石橋さんのご案内でも良いです。

石橋:
概要欄に、黒田さんのTwitterのURLやScrum Venturesさんのホームページも記載をさせていただいておりますので、ぜひ今日お話聞いていただいて、まずは壁打ちからとかでもあるのかもしれないですし。

まさに今これから資金調達を始めていこうとか、海外展開や海外投資家を巻き込んでいかないといけないんだみたいな事業ドメインの方は特にいいかもしれませんが、気軽にコンタクトしていただければなと思っておりますので、皆さんよろしくお願いいたします。

それでは改めて黒田さん、今回もご出演いただきましてありがとうございました。

黒田:
ありがとうございました。

【円安が鍵】海外投資家から見た日本市場の今とは!?|スタートアップ投資TV

海外VCが日本のレイターステージに注目する理由

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capitalの石橋です。

今回も、前回に引き続き、Scrum Ventures プリンシパルの黒田さんにご出演をいただいております。黒田さん、今回もよろしくお願いいたします。

黒田:
よろしくお願いします。

石橋:
前回と前々回で改めて黒田さんのお人柄というか自己紹介の部分と、Scrum Venturesさんのどういうフォーカスで投資活動をされていらっしゃるのかというところを伺ってまいりました。

ただ、前回のところで、そもそもアメリカでやっていらっしゃったVCファンドで、要は国内の人からすると海外VC・海外投資家というところにキーワードが1つ強いところがあるのかなと思っていますので。

最近は国内のマーケットもエクイティマーケットも冷え込んでいる風に、いろんな人が言ってるじゃないですか。去年と比べると海外VCさんとかもそんなにプレスで名前を見かけなくなったという現象も出てきていると思うので。

まずは、その海外VCさんとかがScrum Venturesさんの目線から見て、そもそもどういうふうに日本マーケットを見ていらっしゃるのかとか、そもそもなぜちょっと前までは入ってきていたのかみたいなところとか、まず黒田さん目線でもご意見いただければと思うんですけども、お願いしてもよろしいでしょうか?

黒田:
元々、海外投資家をすごく見るようになったのはこの1~2年とかですよね。主にレイターステージだと思うんですけど、やっぱり投資対象とか見ていても多いのはエンタープライズとかSaaS事業が多いかなと思っていて。

よく言われるのがコンシューマー系とかは、日本はわりと海外のものに適応力が高いんですよね。Uberをあれだけ使っている他のアジアの国ってあんまりなかったりするので。

中国には滴滴(DiDi)があって、Grabがあってみたいな感じなので。そういうものを輸入する力が日本人は高いので、日本発の大きなコンシューマーアプリは「対抗できるのか?」というのが海外投資家の目線だとよく言われることだったりします。

一方でエンタープライズという目線で見ると、GDP世界3位であれだけ大企業の数があってマーケットは大きいので、そこはホットにポテンシャルを感じている投資家は話している限り多いのかなと思います。

マーケット冷え込みの正体はレイター投資家の撤退

黒田:
足元の状況は冷え込んでいて、海外投資家が引いているようには見えるんですけど、結局海外投資家が引けているというより、レイター投資家が引けているということなんだと思っています。

日本でお見かけしていた海外投資家の方ってレイターがメインだと思うので、今はマーケットがこれだけ不確実な中で、あまりレイターでバリバリやりづらいというところだと思います。そこで一旦止まっている部分があるかなというふうには思っていますね。

1個、ならではの話をすると、ドル建てファンドからすると今めっちゃ円安なので、今投資したいんですよ。海外投資家の目線で言うと、為替は有利なので、イグジットする時にドル円が戻っていれば良いので、そういうロジックも一応裏には別途あったりもする。

石橋:
そうすると確かにScrum Venturesさんみたいなレイターだけではなくて、シードとかシリーズAで投資するというのは、場合によっては為替が戻るか分からないですけど、戻っていれば3割オフとかで投資できる可能性がある。

黒田:
言い方は悪いですが、そうですね。

なかなかアーリーで海外投資家が日本で投資するというのは、情報の非対称性もあったりとか、あんまり詳しくなかったりもするので現実的に難しかったりもするんですけど。

長期的にはレイターも含めて2年とかって言われてますけど、戻ってくるとは思います。

海外投資家を選ぶべきスタートアップの条件

石橋:
そういう時間軸でマクロに見ると、確かに揺り戻しというか、基本的には波になっているのかなと思うんですけど。

その中で去年と一昨年ぐらいは海外投資家さんが増えてきて、起業家の方々の中とか業界の中でも「海外投資家から投資を受けるってめちゃんこイケてるじゃん」みたいな、大体プレスとかで「海外投資家はすごい」みたいになっていったじゃないですか。

一方で冷めた目を持っていらっしゃる、一歩引いて見ていらっしゃる方々とかは、「そもそも海外投資家が入れるからいいってわけじゃないよね」みたいなことを言っている人たちもいたと思うんですけど。

Scrum Venturesさん目線とか黒田さん目線で見ると、どういうスタートアップは海外VCさんとかを入れていくべきだったりとか、実際入れた後のメリット・デメリットとかで言うと、気をつけるべきこととかってあったりするものなんですか?

黒田:
海外投資家を入れる一番大きいメリットは、金額感は桁が変わるところは大きいですね。やっぱり海外投資家1社で賄える金額が日本と比べても今のところはまだ大きいというのもありますし。

海外投資家から1社調達できてしまうと、次も別の海外投資家からという目線も、次のシリーズC、Dで重ねれば重ねるほど広がっていくので。

日本はまだレイターが薄いとは言われているこの資本市場の中で、そこの枷が外れるのは結構大きいメリットですよね。

資本集約型ビジネスと海外展開が鍵

黒田:
そういう意味ではお金が結構かかるキャピタルインテンシブなビジネスとかは、そういう投資家からの調達というのは考えても良いのかなというのが1つですね。

もう1つは海外展開というのをどこまで視野に入れるかというところだとは思います。海外のVC、アメリカのVCも結構ハンズオンで支援したり、ネットワークをうまく提供したりというところは、ポートフォリオサポートで日常的にやっていたりするので。

そこのエリア・リージョンに出ていきたいと考えた時に、そういう人たちを入れるのは間違いないかなと思います。

石橋:
Scrum Venturesさんの1つの強みで、第2弾でもお話いただきましたけど、海外VCさんと投資家さんとの繋ぎ込みというところを強みにあげていらっしゃいました。

投資対象として海外に行けるようなポテンシャルのあるところに限って国内で投資しようであるとか、良い意味で強みが海外に接続することであると、そうなるとも思えてしまうのですが、実際のところどうなんですか?

黒田:
Scrum Venturesの場合は、必ずしもそこがないと投資ができないみたいな意思決定の仕方はしていないです。ただ、Scrum Venturesとのフィットみたいなのは議論の中でやっぱり出てくるので。

サポートをする時に第2弾で申し上げた、事業会社のネットワークとか海外との繋がりみたいなところが上手くハマりそうな投資先の方々とは、ぜひご一緒したいなというところは、一応意思決定の中で考慮したりしてたりします。

VCとのフィット感が成功の分かれ目

石橋:
一緒くたに海外投資といってもそれぞれ色が違うというか、このVCさんだから、ちゃんとやはり海外だろうが国内で引き受け手を選ぶようにしないとニーズがずれるし、そもそもScrum Venturesさんとか海外VC側の目線から見ても「何でうちなんだっけ?」となっているということなんですね。

黒田:
選んでいただくからには、ぜひ良いフィットでご一緒したいので、そこは結構重視していたりもします。

石橋:
ありがとうございます。皆さんも、海外投資家さんというところをキーワードに見ていらっしゃる方々も多いと思いますし、最近であればWeb3を筆頭に国内というボーダーをもう飛び越えているようなところのドメインで事業をチャレンジされていらっしゃる方も増えてきているかと思いますので。

ぜひ今日の黒田さんのご意見を踏まえて、場合によってはそこに踏み込んで議論をまたしていただいても良いのかなと思いますし、ぜひまた概要欄の方に黒田さんのTwitterのURLとか記載をさせていただいておりますので、ご連絡をいただければと思っております。

改めて黒田さん、全3回にわたりご出演いただきましてありがとうございます。

黒田:
こちらこそありがとうございました。