【スタートアップ】ファンドサイズ50億の独立系VCが若手起業家に投資する一方で大企業のスピンアウトに注力にする理由とは【クオンタムリープベンチャーズ中澤さんvol.01】

◯中澤篤  クオンタムリープベンチャーズ株式会社 代表パートナー
クオンタムリープベンチャーズ株式会社 HP▶︎https://qxlv.jp/
SBIグループにてホールセール、新規事業立上げ後、インドネシアでのJV設立を主導し戦略立案から実行を統括。ミスミグループ本社で商品開発、仕入、販売戦略策定などマーチャンダイジング及び事業開発に従事後、2016年6月フューチャーベンチャーキャピタル入社。シニアインベストメントオフィサーとして20社超の新規投資、ファンドマネジメント及びCVCを通じた大企業のオープンイノベーション支援に従事。2023年1月にクオンタムリープベンチャーズ株式会社に参画。

石橋
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、GazelleCapitalの石橋です。今回はですね、クオンタムリープベンチャーズ代表パートナーの中澤篤さんにご出演いただいておりますので、今回からよろしくお願いします。

中澤
よろしくお願いします。

石橋
中澤さんとは僕は、勝手ながらずっとFacebookとかで、「あなたの共通の友人だと思っていますよ」っていうリコメンドですごく存じ上げていて、フランクですごくコミュニケーションを取りやすい方だなっていうイメージが勝手にありますけれども、今日はぜひですね、そういう中澤さんのお人柄もそうですし、VCファンドについてもいろいろお伺いできればと思っていまして、一本目なので、まずはクオンタムリープについて改めて、基本的なところから行くと、今って何号ファンドでどういうサイズのファンドを、どういうコンセプトでやっていらっしゃったりするんでしょうか?

中澤
2019年に会社を設立して。1号ファンドは2020年に組成をして、プレシードをメインとしたファンドになっていて、2023年から2号ファンドの運用を開始しましたと。2号ファンドは、サイズは50億円規模のファンドを運用させていただいてます。ステージは、プレシードからですね、当社創業者の古谷が1号ファンドのGPとして活動していたんですが、私ともう1名諏訪というものが、2号ファンドからGPとして加入しまして、3人のGPの体制でやってますと。僕と諏訪はですね、元々、もう少し後ろのステージも積極的に見ていたということで、現在プレシードからポストシードまでフォーカスをしたファンドになっていますと。

石橋
ポストシードっていうと結構、わかるようでわからないみたいなキーワードだなと思うんですけど、どういう事業ステータスなのか、はたまた株価なのか、なんかどのぐらいまでをポストシードっていう風にイメージすれば大丈夫なんでしょう?

中澤
いわゆるそのシリーズA、プロダクトマーケットフィットと言われるようなところの手前ぐらいまでをメインで対象としていてですね、業界で言うとプレシリーズAとか、それぐらいのところを投資させていただいているという感じです。

石橋
結構1号と2号で、まあガラッとじゃないですけど、少し方針が変わってきた変化してきたっていう感じなんですね。

中澤
方針自体はあまり変わってないんですよ。一緒に代表をやってる古谷が、起業経験もあって、事業開発とかBizDevみたいなところにすごく強みを持ってて、一緒にスタートアップと事業を作っていくっていうところが、僕らの強みでもあると。そこの強みみたいなところは引き続き踏襲をしながら、僕と諏訪が加入したことで、VC間のネットワーク・大企業さんへのご紹介とか、特にプレシードがたぶんね、シードポストシードってなってくると、お客様の獲得とか売上を作るみたいなところで貢献ができるんじゃないかという感じでご支援させていただいてるというところです。

石橋
ちなみに今足元は50億円規模のサイズで2号ファンドやっていらっしゃると思うんですけれども、リード・フォローですとか、投資金額みたいなところで言うと、どういうチケットサイズが多くて、投資スタンスとしてはどういうスタンスが多いんですか?

中澤
僕らはリードで投資をさせていただくことは多いです。投資の金額はですね、1000万円から1億円をチケットのサイズにしています。

石橋

結構広いですね、これ。

中澤
そうですね。ボリュームで言うと3000万から6000万ぐらいまでのところが、特にシードだとそれぐらいが多くなるかなと思いますね。

石橋
基本的に投資するまでのプロセスですと、結構プレシードからポストシードだと検討のスケジュールとかにも結構差が出たりするのかなと思ったりするんですけど、見てる企業家の皆さんだったりすると、どのぐらい前には、中澤さんとか、諏訪さん、古谷さんとかにお声かけとか始めれるべきなんですかね?

中澤
僕らは早いと1ヶ月ちょっと、1ヶ月半とかである程度の意思決定をして行って、投資の実行はもうちょっとかかるかもしれないんですけれども、

石橋
クオンタムリープさんの場合は3人GPで代表パートナーでやっていらっしゃって、どういう風に意思決定ってされてるんですか?

中澤
そうですね、僕らも3人で合議をシンプルにしています。

石橋
全員OKじゃないと通らないんですか?

中澤
そうですね、基本的に全員納得をする形で、案件は進めてる感じですね。

石橋
結構やっぱ皆さん好き嫌いとか、この領域だったら中澤さんだよねとか、この領域だったら諏訪さんのほうがいいよねっていう。

中澤
ゆるやかにありますね。好みの領域みたいなのはありますし、ステージもそうですし、それはなんかゆるやかに。

石橋
中澤さんのそのキャピタリストとしての好みで言うと、クオンタムリープの中ではどういうラウンドでどういう領域は、やっぱ自分でねみたいな感じになってるんですか?

中澤
そうですね。結構僕はコンシューマーサービスが好きなので、コンシューマーサービスをやってるのと、あとはまあプレシードから一歩進んだシードぐらいのところで協調で投資をさせていただくこととかが多いかなと思いますね。

石橋
なるほどですね。そういうスケジュール感で、ご一緒した後の話をちょっとぜひお伺いしていきたいと思ってるんですけど、クオンタムリープさんの場合は特にこういうふうなところにこういう支援方法に力を入れていらっしゃるだとか、こういうふうに具体的に投資先のサポートをしてるみたいなところでどんなところがあったりするんでしょうか?

中澤
まず1つは、事業開発というか、実際に事業を回すみたいなところのサポートもさせていただいてますし、まさにプレシードだと石橋さんもそこのステージやってらっしゃると思うんですけど、プロダクトとかサービスを開発をするタイミングじゃないですか。なので、ファンドのファームの中にスタジオパートナーという形でエンジニアが在籍をしてたりとか、フルというよりは必要な時に、協力をしていただける、スタジオパートナーというメンバーがいたりとかですね。

石橋
それは投資先の人はかなり安く使えるっていう感じですね。開発の方が。

中澤
そうですね、基本的に負担はないです。

石橋
すごい。

中澤
メンターとして入る時とかは、特にフィーを負担いただかなくて、開発してもらうとか、ゴリゴリ手を動かすようなところは直接やってもらうっていうのはあるんですけれども、アーキテクチャ設計のアドバイスとか、コードレビューみたいなところも含めて、やっぱり僕ベンチャキャピタリストだとどうしてもね、BizDevの話中心になるんで。

石橋
開発の話はあんまりないですよね。

中澤
そうですね。ご支援しきれないじゃないですか。ですのでそういったお手伝いをさせていただいてたりとか、あとはファイナンスはね、たぶんシードVCはどこもやってらっしゃると思うんですけど、次のファイナンスをいかに作っていくかみたいなご支援とか、あとは僕らはファンドコントローラーの疋田という者が社内におりまして、彼が司法書士の資格を持っているので、登記関連も丸っと引き受けてお手伝いもできるというのが、シード期に必要なものをある程度、用意をしてご支援をしているという感じですかね。

石橋
司法書士として会社作りから一緒にサポートするんですね。

中澤
そうですね。はい。株の登記もそうですし、やり方も含めてですし、はい。

石橋
具体的な投資先のイメージとか、バイネームでもお伺いできればと思うんですけど、例えば今まさに司法書士で登記からみたいな話もありましたけど、プレシードとかこれから起業するっていうステージから、あの、ご一緒してきた投資先の方だと例えばどんな会社がいらっしゃって、どういう背景で投資とか、どういう狙いとかで投資されていらっしゃるんでしょうか?

中澤
私が担当してるプレシードだと、KUROGOという音楽クリエイター向けのインディペンデントの音楽クリエイター向け。

石橋
インディーズバンドとかがそういうカテゴリですか?

中澤
そうですね。結構最近だとSpotifyとかAmazonMusicとか、いろいろこう音楽配信のディストリビューターが増えてて、誰でも配信ができるようになって、そうなったことで、歌い手さんもそうですし、作曲家さん、作詞家さんもいろんなこうフリーランスの方が個人で活動できるような世界観っていうのがすごく増えていて、
今までね、そのメジャーレーベルがそれを担ってプロデューサーがいて、いろんな人をアサインしたりとかってやってたんですが、彼らKUROGOが「FEAT」というプロダクトを作っているんですが、それをプラットフォーム上で誰でもどんなフリーランスの方でも探して1つの楽曲を作るためのメンバーを揃えられるみたいなプラットフォームをやってるんですけど、彼はまだ大学院卒業する前在籍中の時にこういったことをやりたいみたいなところから会社を設立してもらって口座の開設をしてもらって、サポートをして投資をさせていただきました。

石橋
1番どこ魅力を感じたというかポテンシャルを感じて、ものが無い時期から投資されてるわけですが、踏み切ろうと思ったんですか?

中澤
まあ元々その代表の工藤さんは業界にずっと長く、自分自身がアーティストとして活動をしてるというのもありますし、やっぱり長く業界に身を置いてるからこそ見える今のこの業界における課題というか、どちらかというとこういう世界にしていきたいというなんかこう未来が彼の中ではっきりとした輪郭があって、「こういう世界を作りたいので、こういうプロダクトサービスを作りたい」みたいなところの熱意みたいなものがね。すごく僕がよく言うんですけど、狂った気と書いて「狂気」って、これはすごく、ポジティブに言ってるんですよ。それを感じるぐらいの何かこう、オタクぶりだったりとか、自分の好きなことに没頭してるっていうのは、シンプルにいち人間としてこう対峙した時に魅力を感じますね。話聞いてて面白いし。そうなんだと思いつつ、「こんな課題があるのか」とか、「こんなことになってるんだな音楽業界って」と。ちなみに僕は全然音楽業界を知らなくて全くわからないです。彼にもそれは僕は全くわからんし、そういう意味でのご支援は「誰か紹介するとかっていうのはたぶんなかなか役に立たないかもしれない」っていう話はもちろんしてて、そういう起業家は結構僕は個人的に好きというかですね、好みですね。

石橋
ちなみに今のまさにプレシードの起業家さんだと思うんですけれども、例えば先ほど1号ファンド・2号ファンド明確な1つの差分として、シードないしはポストシードに投資していくというお話を伺いましたけれども、シードとかその周辺のラウンドで言うと、どういう投資先の方がいらっしゃったりするんでしょうか?

中澤
クオトミーという外科学医向けのSaaSのプロダクトを作っている、投資先ですね。

石橋
今日の撮影時点は2024年9月11日ですが、最近プレスリリース出してらっしゃいました?

中澤
そうですね、投資させていただいたのが2024年6月後半ですね。はい。

石橋
それはもうじゃあものが合って、お客様もいて、

中澤
そうですね。プロダクトはある程度開発終わってて、お客様が初期のユーザーが少し付き始めてと、いうところだったりとか、あとはPITTANという会社、汗中のアミノ酸分析をしてる汗から止血パッドみたいなものを貼って、3分間貼っておくと本当にごく微量の汗からアミノ酸を分析できるという。

石橋
何が起きるんですか?

中澤
アミノ酸を分析することで、体内の情報、「栄養がどういうのが足りない」とか「筋肉・肌の状態」とかっていうのを分析することができる。いわゆる血・尿とかでアミノ酸分析することってできるんですけど、汗からできるっていうことが結構彼らのテクノロジーがすごく詰まってる所で、感電リスクもないですし、そもそも痛くないんですよ。貼るだけなんで注射しなくてもいいしとか。

石橋
子供とかにもよさそうですね。

中澤
そうですね。はい。結構今そこの会社さんは元々プロダクトリリース前からお話をしていましたけれども、タイミングが合わず投資ができず、こちらの会社も6月に新規で投資をさせていただきましたね。

石橋
医療・メディカル系がちょうど6月のタイミングでポンポンと重なったんですね。

中澤
そうですね、たまたまですけど、はい。ポンと重なったりとか、日本GXグループというカーボンクレジットの取引所を作っている会社に投資をさせていただいたりとか、

石橋
本当にテーマとしてはオールテーマ。

中澤
そうですね。ITサービスを中心にやらせていただいてます。DeepTechとかクライメットテックは一部こう注力をしてきたいなというテーマなんですが、まあ広く取ってますね。はい。

石橋
理解です。今まさにちょっとオールテーマじゃないですけど、どういう事業領域の方でも投資されてるっていうところが、まさに投資事例からも伺えるなというか、なんかバイオ系とかやってるシードVCもなんだか少ないなと思ったりもするんですけど、クオンタムリープベンチャーズとしてこういうモットーというかこういう方針で積極的に投資してるセグメントって他に何かありますか?

中澤
そうですね、インダストリーじゃないんですけれども、Day1からグローバルチャレンジをしている起業家さんというのと、大企業からのスピンアウトベンチャーっていうのは、これ全部じゃない、もちろん全部じゃないですけれども、僕らの注力のテーマというか掲げている一つでございますね。

石橋
前段はすごく何か理解しやすいなというか、確かにDay1からグローバル行って、日本も方向性で言うと緩やかにシュリンクしている中で、やっぱ海外でのチャレンジ非常に重要なところかなと思うんですけど、後段がなかなかまだ僕自身の立場では想像しきれないんですけど、なんでその大企業スピンアウトに注力するのか、狙いみたいなところってどういうところだったりするんですか?

中澤
これがメジャーになるかどうかっていうのは全然さておきなんですけど、日本がそもそもね、大企業の歴史がスピンアウトが始まっていたりもしますし、特に自動車産業とかねいろんな枝分かれして始まっているのがほとんどだと思うんですけれども、やっぱりまだまだ大企業に眠ってるアセットとかっていうのはたくさんあるなという風に思っていて、ITサービスで頑張ってる起業家さんもいれば、レガシーと言っているのかわからないですけど、レガシー業界で一定のビジネスの素養があり業界の知識もありみたいな起業家が、大企業に眠ってるアセットを用いて起業をする、みたいな流れは、まあもっと増えてもいいのかなという風に思っていて、
僕らは経済産業省さんが推進してる、出向起業というプログラムの認定アクセラレーターにもなっている関係もあってというかですね、日頃から結構大企業スピンアウトのスタートアップベンチャーはメンターとしてご支援してますし、お手伝いしてるっていうのもあってですね、投資していきたいなという風に思ってますね。

石橋
理解です。だいぶ改めてクオンタムリープさんのことがわかってきたところで、次回はですね、そんなお話しいただいた中澤さんがそもそも何者なんだっていうところを、2本目でお伺いしていきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いします。

【スタートアップ】シリーズA投資家のリアルとVC業界でキャリアの築く方法【クオンタムリープベンチャーズ中澤さんvol.02】

石橋
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、GazelleCapitalの石橋です。
今回ですね、前回に引き続きましてクオンタムリープベンチャーズ代表パートナーの中澤さんにご出演いただいておりますので、引き続きよろしくお願いします。

中澤
よろしくお願いします。

石橋
第1弾ではクオンタムリープベンチャーズがどんなところに投資をしていてとか、どういうラウンドに投資してるんですっていうお話を伺ってまいりましたので、今回は中澤さんについてお伺いできればと思うんですが、現時点はいち代表パートナーとして、しかも3人の代表パートナーでVCファンドをやられてるというところですが、
もともとどういうキャリアから中澤さん始まったというか、一番最初ってVC業界に来たのって、どのぐらいのタイミングからになるんですか?

中澤
最初にVC業界に来たのは2016年ですね。前職のフューチャーベンチャーキャピタルに入社をしました。

石橋
新卒のときは別の金融業界にいらっしゃったりしたんですか?

中澤
新卒はですね、ベンチャーキャピタル希望でSBIホールディングスに入社しまして。

石橋
新卒のときからVC志望だったんですね。
すごい。しかもその頃ってVCという言葉も今よりもスーパーニッチだっただろうなと思う中で、なんで学生時代の頃から新卒でVC志望になっていらっしゃったんですか?

中澤
2008年〜2010年辺りに僕周りのだったからかわかんないんですけど、ベンチャー企業ブームというかですね、ベンチャー企業をやってらっしゃる先輩とかたまたま身近にいてお手伝いをしていたということもありますし、たまにね、ベンチャーキャピタルの話ちょこちょこ聞くことがあったりとか、あとね、ジャフコが出入りもしていたんですよ、ドアノックでいらっしゃったりとか。
「VCってどういう会社なんだろう」っていうのを先輩に聞くと、「資金提供をして、スタートアップ・ベンチャー企業を応援してる会社だよ」みたいなことを聞くと「そういう仕事があるんだな」っていうところから、それは本当にきっかけかもしれないですね。

石橋
実際そのSBIさんに入職された後っていうと、そのままSBIインベストメントに入られてるんですか?

中澤
ではなくてですね、モーニングスターっていう、今名前変わっちゃっててSBIグローバルアセットマネジメントという会社に名前が変わってますが、アメリカにモーニングスターという会社があって、そことSBIグループの合併でモーニングスター株式会社というのが日本法人でありましたと。
で、何やってるかというと、投資信託の評価・格付けをやってる会社にSBIインベストメントに行けないのであればセールスが一番厳しいところに行こうと。

石橋
実際相当タフだったんですか?

中澤
相当でしたね。

石橋
投資信託の評価をするときってセールスが発生するんですか?

中澤
エリアで評価・格付けをしてるんですけど、この評価・格付けとかのレポートを証券会社・銀行、投資信託の運用会社、アセットマネジメントの会社に販売していく、セールスしていくと。金融機関向けのセールスですね。はい。

石橋
新卒で金融商材のセールスから始められて、なんかどういう風な変遷で前職の転職に至り始めるというか、結局SBIインベストメントには行かれたんですか?

中澤
行ってないですね。色々やらせてもらったんですけど、セールスもやりましてインドネシアでジョイントベンチャーを作るとかにも携わらせてもらいましたし、はい。
ただ結局はインベストメントに行かず、はい。

石橋
とはいえVCになろうっていうところがなんかまた再燃してきたんですか?それともずっとコンスタントにあり続けて、フューチャーベンチャーキャピタルさんに転職していくっていう流れになってたんですか?

中澤
ずっと希望は出して行きたかったんですけど、色んな事情もあると思って行けなかったので転職をしようと思ってエージェントに相談したら「まだあまりこういう枠がないです」と。「20代中盤ぐらいで何も経験がないと、行くのは難しいと思いますよ」と。そういうふうに言われたので、現場でも色々学んで。
ベンチャーキャピタリストになりたいから逆算をして選択をしたんですけど、前々職はミスミという会社で、ずっと自分たちでモノを作って自分たちで販売をするっていう珍しい商社ですけど、商品開発・事業開発の仕事をして。

石橋
事業畑にも全然がっつりいらっしゃったんですね、やっぱり。

中澤
そうですね。でも結局1年ぐらいでずっとVCに行きたかったので色んなVCに「募集してますか」っていう連絡をしてまくってて、ちょうど募集を開始しようと思っていますっていうので履歴書・職歴書を送って面接してもらってVC業界でオファーをもらったので前職のミスミを辞めて。

石橋
それが2016年ですか?

中澤
2016年ですね。はい。

石橋
じゃ、フューチャーベンチャーキャピタルさんでは丸々6年、7年?

中澤
えっとそうですね。丸々6年、7年ですかね。

石橋
フューチャーさん入って見て、イメージのギャップとかってあったんですか?

中澤
想像以上に案件のソーシングやネットワークを作るというのは泥臭くやらないといけないんだなと思いましたし、投資先の支援って端から見ていると結構美しいんですけど、中に入って見るともちろんそんなことは当たり前ですけど、無く。

石橋
フューチャーベンチャーキャピタルの方は特にどういう投資をされてたとか、どういう領域を見てたとか何かあられたんですか?

中澤
フューチャーは結構その地方創生ファンドだったりとかCVCの運用をさせていただいてることもあるので、ある程度そのエリアに特化してるものとか、CVCの上であればその領域に特化してるというのがあったので。
投資するステージは割と早かったですね。シード・アーリー、たまにミドル・レイターも見てましたけど、比較的早いスタートアップとコミュニケーションをさせていただけることが多かったかもしれないですね。

石橋
6〜7年ほどフューチャーベンチャキャピタルで経験を積まれる中で最終的には、今クオンタムさんいらっしゃるっていうことはま、独立を選ばれてるっていうところなのかなと思うんですけど、1本目の動画のお話の中でクオンタムリープ自体は2019年に創業されてて1号ファンドは2020年。2号ファンドは2023年からやっていらっしゃるというお話でしたけど、中澤さんと諏訪さんは2号ファンドから合流されてるんですか?

中澤
そうですね。2号ファンドから合流をして

石橋
で代表パートナーになってる?

中澤
そうですね。2023年の1月にこちらに移りまして、2023年7月に新しくファンドを作りましたので、そこでGPという形で。

石橋
元々クオンタムリープさんに転職なのか、改めて2号から一緒にやっていこうよという温度感でフューチャーさんを退職されたっていう感じだったと。

中澤
そうですね。はい、2号ファンドを作るというのでこちらに、転職といえば転職ですかね、はい。

石橋
もともとなんか独立しようとかそういう感じではなかったっていうイメージになるんですか?

中澤
元々やっぱどこかで(独立を)やりたいなという風には思っていて、フューチャーベンチャキャピタルは先ほど申し上げた通り色んなこのファンド運用してる強みみたいなのはもちろんありつつ、エリア・領域の制限があったので
自分でお金集めから投資先の支援もしっかりとコミットしてトライをしていきたいなというのはあり。

石橋
7年ぐらい経ったところで独立を志してっていう感じですか?

中澤
そうですね。はい。

石橋
僕自身も、実質一人GPみたいな状況、代表パートナー状況でクオンタムリープさんみたいに外部にいらっしゃった人が、次のファンドから合流するっていうことも全然あるのかなと思う中で、なんで中澤さんそういう形を選ばれたんですか?

中澤
元々、弊社代表の古谷は、1号ファンドをいわゆる一人GPで運用をしていて、じゃ2号ファンドをどうしようかってなった時にやっぱり複数のGPでもう少し拡大したいという思いもあり
彼とのコミュニケーションも2018年〜2019年ぐらいからさせて貰ってて、世代が本当に一緒なので彼の投資の哲学みたいな話もよくしてましたし
で、ある時にもう2022年ですかね、夏ぐらいに「食事行きません?」っていう話から、「こういうことを考えてるんだよね」、で、「俺もこういうことを考えてるんだよね」って、「じゃあ一緒にやらない」っていう話を貰って
やっぱその時もすごく良かったなと思うのは、彼の強みと僕の強みは明確に異なっていて彼は先ほどの→01の事業開発とかですね、「こういう事業をやりたいみたい」な仮説がやっぱあるんですよ
で、僕が逆にその、事業仮説というよりは、この大きな課題をどう登っていくかみたいな支援の仕方のほうがベンチャーキャピタリストとしてのスタイルだったので
強みが異なっているのが逆に良かったなというのがあって一緒になりましたね、はい。

石橋
実際一緒にやってみて違和感だったり、1人でやるんじゃなくてやっぱ3人でやって良かったなって思うところはありますか?

中澤
いいなと思うのは諏訪さんは彼も同世代で同い年なんですけど、彼とも同じぐらいコミュニケーションをずっと取っていて
ベンチャーキャピタル業界あるあるなのかもしれないですけど、これからのキャリアについて割と語るじゃないですか
ベンチャーキャピタリストのライフサイクルは3つぐらいに別れていると私は思っていて、アソシエイトの期とプリンシパルぐらいのレイヤーの人とパートナーのレイヤーで
結構最初は投資ができないとか、その後投資先の支援とか組織とかもそうですしファンドの方式とかそういう話になってくると思うんですけど
まさにね、僕と諏訪さんはプリンシパルぐらいのレイヤーでこれからのキャリアというか、考えでGPになれるのかなれないのかもそうですし
前職だとGPっていう考え方もなかったんでいち個人で目立つというよりはやっぱり組織で戦うという。

石橋
確かに。そういうイメージはありますね。

中澤
誰かが一人GPを立てて権限を持ってとかというよりは、会社全体・チームという形だったので
シナジーという意味では、先ほども言いましたけども0→1の事業開発って自分がそこまで携わってきてない、ま、やって来たこともあるんですが
やっぱりすごい解像度の高さですし、「山の登り方」みたいな話をした時に引き出しがすごく多いんですよ
「こういう時はこういうふうにやると良いんじゃないの」とかっていうのは逆に僕もアドバイスを貰うこともありますし
Tipsみたいなものもなんかいっぱい持ち合わせてるんでそういう意味では自分がスタートアップとコミュニケーションをする上でとても参考になりますし
諏訪はシリーズA以降をよく見ていたのでシリーズA以降の投資家が何を考えているかとかどういうところを見てるかみたいなところはすごく僕も勉強させてもらうというか
そういう面白さがあるかもしれないですね。

石橋
改めて最後までお話しいただいてありがとうございます。
第3弾ではテーマトークっぽく、シードVCをまさにやっていらっしゃるところだと思いますので
今年の資金調達動向はどうだっけとか、シード・スタートアップの方がどのようにしていくと、この市況感の中でシリーズA超えていけるんだっけ?みたいなところだったり
来年どうなるんだっけみたいな話とかも是非シードVCとしてのご知見で、ご解説いただければなと思いますので改めてよろしくお願いします。

中澤
よろしくお願いします。

【2025年予測】VC業界が注目する市場とシリーズAの突破方法とは【クオンタムリープベンチャーズ中澤さんvol.03】

石橋
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、GazelleCapitalの石橋です。
今回もですね、前回に引き続きまして、クオンタムリープベンチャーズ代表パートナーの中澤さんにご出演いただいてるので、今回もよろしくお願いします。

中澤
よろしくお願いします。

石橋
多分これ配信されるのは年末前なんですよ。なので、2024年の資金調達動向振り返りと2025年の予想みたいなそういうコンテンツにするのが良いだろうと勝手に思ってるんですけど、クオンタムリープさんも、私もシードVCとしてやらせていただいてるんで、シリーズAを乗り越える、市況感ですとか、シードの市況感みたいなところを、ざっくばらんにお伺いしていきたいなと思うんですけども、
今年振り返りみたいなところから、この1年間2024年ってどういう市場になってきてるなっていう風にご意見を持っていらっしゃるんでしょうか?

中澤
僕らが見ているのはシードのステージがメインなので、そういう意味ではシードのステージは多分あんまり市況の影響を受けてないじゃないかなと。

石橋
影響を受けてないというのはその、株価とか投資社数とかそういったところのニュアンスでという意味合いですね。

中澤
シードで最初の調達がすごく難しくなったみたいなスタートアップが、去年とか一昨年とかと比較して肌感覚も含めてなったかと言うとファンドの数が増えているので最初は1号ファンドってそんなに大きいファンドじゃないのでシードフォーカスだとと思うのでプレイヤーさんも多くなっている中では起業家からすると選択肢も増えてて良いんじゃないかなとは思います。

石橋
逆に、シード自体でファイナンスができても、プレシリーズAですとかポストシードみたいなところに行けるかどうかシードVCとしてあのスタートアップの方に会いたいしてる中澤さんとしてもポストシード・シリーズAぐらいの視覚感っていうのは何かどういう手触り感というかどういう振り返りをされてらっしゃるんですか?

中澤
ポストシードぐらいまでの手触り感としてはそんなに影響を受けてないというかまだまだ予算あると思いますし、全体VC・CVCのドライパウダーがあると思うので。

石橋
先にファンドレイズは終わってて投資してない予算結構ありそうですもんね。

中澤
だから来年とか再来年にってなっていくとどうなのかなって。僕らだけじゃなくて他のファンドを見ててもやっぱりファンドレイズにある程度苦戦してるっていう話を聞くので

石橋
それはやっぱりシリーズAに既存の投資先があんまり行ききれてない、ないしはそれがゆっくりになってるからシードVCの人たちの成果が顕在化してなくなってきてるからレイズが遅れてるという順番になるんですか?

中澤
おっしゃる通りで、それは一つあると思いますし、そもそもね日本のVCのLPってほとんどが事業会社じゃないですか。事業会社のLP出資、CVCの部分ってちょっと一服してたはずなんですよね。
2年前がピークですごく伸びてて、事業会社さんの場合だとLP出資する意義としてはネットワークに入りたい、ソーシングルートを確立したいみたいなところから始まってると思うんですよね。
そこ最初のエントリーのところで入って行って2、3年業界に身を置くと、自分たちのルートも確立でき、ネットワークも作れるとなってくるとどんどんどんどん新しいVCに出していこうっていう流れっていうのがしにくくなってるのかな。
財務リターンを求めてるとは言え、多分戦略リターンみたいなところが中心になってると考えると、出す蓋然性が減っちゃってるのかなっていうのはありますね。

石橋
領域・ビジネスモデルみたいなところだと、こういうモデル・市場が2024年は注目されてて、で2025年にはもうちょっとそこの注目度合いが顕在化するんじゃないかとか思われてるところとかってありますか?

中澤
もう少しディープテックの領域とかは、、

石橋
結構みんなそれ最近見てますよね。何かみんなディープテックとか言い始めてません?なんでみんなそんなに言うようになったんだろうってそこがやっぱり弾けるからなんですかね。大きくなるときはすごく大きくなるじゃないですか。そこマルチプルに期待してみんなそれ言ってんのだろうか、何か僕は勝手にそう想像してるんですけど。

中澤
ま、一つは元々の昔のディープテックってやっぱり大学の教授とかが「そのまま起業しました」みたいなところからテクノロジー・BizDevに強い方がやっぱりそういったCEOとして入って、会社を支えつつやっぱり技術的なバックグラウンドは大学で育てられるみたいなカルチャーがちょっとできてきてるんじゃないかなっていうのはもちろんありますし、ある程度グローバルで戦っていく上でコアテクノロジーを持ってるっていうのは圧倒的に強みだと思うんですよね。

石橋
グローバルっていう観点も入れるとなおさら。

中澤
うん、ですね。例えばそのSaaSとかDXとかだったらね。

石橋
ちょっと難しいですかね?

中澤
でも別に日本の経済規模ってめちゃくちゃでかいですし、日本でビジネスってすごくしやすいというか、やるのは良いと思うんですよ。

石橋
日本語という謎のファイアーウォールみたいなもので守られている感ありますよね。

中澤
東京に一極集中しててこれだけ近くて人種・商習慣も一緒で、グローバルにあの出ていきたいとかっていうスタートアップは多分ディープテック、別にねそれを支援するかしないかってのはさておきですけど、僕らとしてはまだまだお金が足りてないところ、企業人材も含めて、お金が足りてないところに出す意義はシードVCとしてあるなと思ってますね。

石橋
大きなトレンドみたいなところで例えば2025年にもうちょっとやっぱりディープテックを見ていく投資家、ないしはそういうチャレンジする起業家が増えるよねって予想されてたりとか2025年はこういう年になるんじゃないかなみたいなものはありますか?

中澤
ディープテックの起業家はもうちょっと増えてくるんじゃないかなと思ってます。僕は茨城出身なので筑波大学発のベンチャーとかねすごいいっぱいありますからね。
筑波はね研究支援センターもそうですしやっぱりそういった土壌があって結構コミュニティも醸成されてるんですよね。そういったところから東京でイベントをやったりとかVC、CVCを呼び込むとか。

石橋
中澤さんとしてはそういう領域が増えててほしいし、増えていくんじゃなかろうかってところですね。

中澤
そうですね、あの増えててほしいっていう願いも込めてですね。

石橋
最後に何かTips的にご意見いただければと思うんですけど、色んなあのシードスタートアップを見ていらっしゃる中でこういうことをしてるところがポジティブにシリーズA超えられてるよねとかこういうことを意識できてるところがやっぱりあのそのま、大きい壁な気はしますけど、PMFをきちんと迎えられていてこういう市況感の中でも乗りこなして乗り越えていけてるみたいなところだとポジティブなTipsって何かあられたりしますか?

中澤
シリーズAに限らずなんですけど、次のファイナンスをいかにこう作るかっていう観点で支援する時に投資をした直後からやっぱり次のファイナンスのタイミングは例えば1年後・1年半後にファイナンスしたい
その1年後・1年半後の姿っていうのを投資家としての立場として起業家と擦り合わせをします
SaaSだったらMRRをこれぐらい持ってきたいよねとか、MRRの内訳は顧客が50人で1万円の単価なのか、50万円で1人が付いてれば同じMRRなのかもしれないですけど
でもどっちを目指していくべきかみたいなのって、手探りの状態で進んでいくケースがほとんどだと思うんですけど
やっぱりそれを「この事業だったらこういう風にやるべきだよね」って次の投資家の目線から「ここを目指していった方がいいんじゃないか」みたいなある程度のマイルストーンの設計と共有っていうのをあの最初のほうに擦り合わせをさせていただきます
そこからリソースをどう振っていくか人材なのかエンジニアリングなのかお金の使い方マーケティングなのかも含めて
箸の上下みたいなところは介入するというよりは、ある程度リソースの振り方も含めて起業家・会社に投資をしてると思ってるんで、逆算をして作るというのはファイナンスを起こす上ではすごく重要だと思いますし
資金繰りとしても詰まってからファイナンスってまあ仕方ないんですけど、それはね結構やっぱ多いですよね。

石橋
だからそこを改めておっしゃっていただくとやっぱり大事だよなと思いつつ、リソース差配も考えないなってのは

中澤
定例とかでやっぱり定期的に、まあその撤退というか何度打席に立てるかみたいな話を社内でもしますけど
最初のシードのタイミングだと特に一発でその仮説が正しく回るってなかなか無いと思うので
1年後・1年半後の仮説を作ってそこからもうちょっとブレイクダウンしてここまでに「こういうことやってみよう」
「一回打席に立ってみよう」「ここでダメだったら次こういうチャレンジしてみよう」っていうのは
次のファイナンスまでの間に何度立てるか方針を変えるかっていうのを、一緒にサポートしてあげるっていうのはすごく重要だなと思いますし、起業家だけだとなかなか難しいですね。

石橋
今回は全3回にわたってお話しいただきましたが、1本目ではあのクオンタムリープベンチャーズさんについての投資方針ですとか具体的な投資概要みたいなところも伺ってまいりましたし、2本目では今ご出演いただいてる中澤さんがどういう来歴で今ここにいらっしゃるのかっていうところをお伺いしてまいりました。
それでは中澤さん全3回にわたりまして改めてご出演ありがとうございました。