パーソルのCVC!HR特化VCが積極的に投資している起業家の特徴とは?|スタートアップ投資TV

祖業50年、売上1兆2,000億円のパーソルグループ

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capitalの石橋です。

今回からは、パーソルベンチャーパートナーズ代表パートナーの加藤さんにご出演をいただいております。加藤さん、よろしくお願いいたします。

加藤:
よろしくお願いいたします。

石橋:
僕自身は加藤さん以外の現場のキャピタリストの方ですとか、もちろん長らくご縁があったんですけれども、加藤さんと先だってのサイバーエージェントキャピタルさんが実施されていた浜松での合宿イベントでご縁をいただきまして、僕自身もまだまだパーソルさんですとか加藤さんのこと知らないこといろいろ多いなと思ってますので、全3話にわたってお話を伺っていければと思います。

第1話はパーソルベンチャーパートナーズさんがどんな投資活動をしていらっしゃったのか、どういうコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)なのかというところをお伺いしていければと思うんですけれども、知らない人はいないと思うんですけど、パーソルホールディングスさんって改めてどんな会社さんなのかを簡単にご説明いただくところから始めてもよろしいでしょうか?

加藤:
はい。僕らのパーソルベンチャーパートナーズはパーソルホールディングスという会社のCVCでやってるんですけど、パーソルホールディングスはビジョンとして「はたらいて、笑おう。」ということで、完全に人材サービスだったり働くっていうところに特化してビジネスを展開している会社でして、今売上でいうと1兆2,000億円ぐらいで、日本でいうと7割ぐらいで、アジア太平洋地域が今3割ぐらいの売上になっています。

主要なブランドでいくとテンプスタッフなどの人材派遣ですね。あとdodaというようなブランドで転職関係のことをさせていただく、その他いろいろな事業をやってるいる会社ですね。

祖業のテンプスタッフの方は今年でちょうど50周年を迎える、そんな歴史のある会社になっています。

石橋:
50年で1兆2,000億円の売上のグループを作っているってことなんですね。

加藤:
それこそスタートアップの話なんですけども、篠原というファウンダーがもともと50年前に派遣の事業を始めているのですが、本当に根っからの起業家が作った会社です。

石橋:
ありがとうございます。かなり人材色の強い会社さんとなると、CVCも多分に影響を受けているのかなと、勝手に想像してしまうんですけど。

HRテック特化で2,500社〜3,000社と対話

加藤:
そうですね。ビジョン的には「この領域をやっていくぞ」というフォーカスをしたビジョンになっているので、CVCも基本的には人的資源(HR)を応援していくというところで、我々が作っていきたいと思っている「はたらいて、笑おう。」という世界観を一緒に作っていけそうなスタートアップに積極的に投資をしていく、そういった成り立ちです。

なので、かなり特化していて、今まで2,500~3,000社ぐらいはグローバルでHRテックのスタートアップとお話しさせていただいているという感じだと思います。

石橋:
いわゆるHRテックと呼ばれる領域のみが投資対象になってくるんですか?改めて領域とかで言うとどんなところでしょうか?

加藤:
去年までは完全にHRテック特化でやっていました。去年はもう少しコンセプトを広げたファンドを始めているので、こちらの方はあとでお話できればと思うんですけど、本当にHR特化です。

石橋:
ラウンドみたいなところとか、1社あたりどのくらい投資するみたいな話だと、モノがないと話が始まらないとは思うので、どのくらいのラウンドからどういう規模の投資をすることが多いのでしょうか?

数千万円〜1億円のミドルアーリー投資、事業部は別財布

加藤:
僕らのファンドからのお財布だと、ものすごい金額を持ってるわけではなかったりするので、比較的ミドルアーリーぐらいのところにフィットするようなサイズで、数千万〜1億円ぐらいの投資を実際はしております。

よく説明しているのは、がっつり事業提携をする場合は別のお財布があるよという言い方をするのですが、それこそ僕らは今スタートアップの窓口になっている。

本当に大きな資本提携する話になった時には、資本提携をする事業会社が実際は出資することをアレンジする動きをしっかりさせていただくことで、本格的にミドルレイトで「こっから事業伸ばしていくぞ」という会社さんに支援させていただくこともやっていけるようにしています。

合併と買収(M&A)を考えたい場合も全然受け皿になるので、最初にお話ししてた時にいきなり「M&Aをお願いしたいんですけど」と言ってくるスタートアップはなかなかいないんですけが、なんとなくもじもじしながら、もしかしたらそういう話なのかなと思ってはっきり聞いてみると、「それも実は考えてるんです」みたいな話をいただいて、であればそういう方向で話を持っていきましょうみたいなことを進めていくこともやっています。

CVCとして動いてるんですが、ベンチャーキャピタル(VC)っていう意識よりはパーソルの事業開発ですよね。事業開発の部隊という意識も多分にありまして、そういう意味では提携とかM&Aの部分に関しては頭を切り替えた動きをしてる。

石橋:
確かに、僕の同年代の起業家の方でまさにHRテックやってるところだと、何社かパーソルさんにグループ入りしてM&Aを選択されている起業家の方々もバイネームで思いついたりするぐらいなので、さっき加藤さんが仰っていた、普通に面談している最中でM&Aもマイノリティ投資も両軸で使い分けてる感じなんですね。

起業家の戦略に合わせた柔軟な支援スタイル

加藤:
そうですね。これはもうM&Aみたいな話含めて、スタートアップの経営者がどういう戦略を描きたいかによると思っているので、僕らが一方的になにかを買収したいという話は噛み合わないと思っているんすね。

そこに関してはスタンスとして、すべてスタートアップの経営者がどう考えるかというところです。

この辺結構グローバルで投資してて面白いのは、海外の投資の時はどっちかというとM&Aの方が多いって言うじゃないですか。8割がM&Aで1~2割が新規公開株式(IPO)とか。

基本的に「出口にもなりうる」という話をすると「本当にいい話だね」というのを皆さんしてくれる感じです。

日本はほぼIPOを目指してるんで、そこに関しては基本的には起業家がどう考えてるかということによると思っているので、「IPOで全然問題ないですよ」という話はしてますね。

石橋:
なるほどですね。パーソルベンチャーパートナーズさんが、グループの中である意味窓口というか、事業部の人ともやることもあるし、いろいろお財布があるというお話もいただきましたけど、おそらくどのお財布から入ってくるかによっても、その後の支援の仕方とか、リード投資なのかフォロー投資なのかとか、スタンスもだいぶ変わってくるようには思うんですけど、それぞれのケースだとこのように支援したりとか、こう関わることが多いなど、教えていただけますか?

リードは取らず、フォロー投資で専門性を発揮

加藤:
かなりいろいろなケースでやっているのですが、まず一つはVCのラウンドとしてリードで入ることは基本的にしないようにしています。

僕らはファイナンシャルで、IPOまで導くとかM&Aまで導くなどの、イグジットを導いていくところにおいてはプロじゃないと思っているので、そこにおいてはしっかり導いてもらう人がやるべきだと思っているところが大きいので。

例えば事業会社がそこでリードを取ってしまうと、自分たちのM&Aに導かなければいけないこと自体が必ずしも皆さんにとって幸せかどうか分からないとか、その辺利害的にもすごく難しいと思うので、そこはしていかないということでやっているので、基本的にはフォローで入らせていただいて。

ただ、場合によっては資本業務提携でガッツリみたいな話の時は、そのラウンドを一番取っているケースは結果的にそのようになります。

石橋:
おそらく事業部でやるケースは事業部でやっていらっしゃるので、その後一緒にその事業部さんと事業を作っていこう、数字を作っていこうというのは、めちゃめちゃ分かりやすいのかなと思うんですが、ベンチャーパートナーズさん側で入っていただいた場合は、どんなフォローとしてサポートしているのか、こういうコミュニケーションしているのか、よくあるパターンでありますか?

HR専門VCならではの戦略アドバイスと組織支援

加藤:
これはどちらかというと、専門VCの強みみたいなところだと思うんですけど、やっぱりそのビジネスの観点で今どういうマーケットが熱くなっているだとか、この事業をやっていく上でこれが重要になってくるとか、HRのビジネスとしての戦略的なアドバイスだったり。

もう一つは、組織を拡大していくことを、すごく自分たちがやってきた話も含めて得意だったりするので、組織づくりとか人づくりとかの部分に関して、壁打ちの相手になるみたいな、その辺のスペシャリティは生きると思って、そういうところをしっかりサポートしさせていただくことはよくやっている感じですね。

その辺に実は手応えがあったので、去年から始めたファンドに関しては、スタートアップの組織拡大をうまく支援していくということにおいてはバリューがある。

直接的な人材の支援とかではなく、人と組織の考え方という話も含めてしっかりノウハウを伝達させていただくことは価値が出せることがあったので、どちらかというとそちらのファンドの方はミドルレイトで、来年100人から200人にしなきゃいけないとか、スタートアップ成長に向けて結構無茶な拡大をしていかなきゃいけないんですけど。

そのためにはめちゃめちゃ採用強くならなきゃいけないとか、めちゃくちゃ組織運営強くならなきゃいけないとかがすごく重要になるんですけど、どのスタートアップもそれが上手いわけではないというところですね。

組織運営が上手か下手かみたいなところでグロースのスピードが変わるみたいなことがない方がいいと思っていて、その辺でご支援できそうな会社に関しては、ミドルレイトはオールジャンルでやるっていうところを去年からはやっている。

石橋:
なるほどですね。そうなってくると加藤さんたちチームがどういうご経歴とかどういう経験を持たれているようなチームメンバーだからこそやれているのかみたいなところも、第2話の方で加藤さんはどういうご経歴で今CVCの代表やられているのかというところをお伺いしていければと思うんですけれども。

株式会社ROXXとの深い協業事例

石橋:
何か1~2社でも具体例で、例えば事業部の方でこういう協業を具体的にスタートアップとしているよねみたいなところとか、例えばここが事業部と一緒にやってるみたいなところ、分かりやすいところでいらっしゃいますでしょうか?

加藤:
事業部と一番深くやれているところでいくと、ROXXさんの中島さんの例でいうと、彼らの紹介会社向けの案件のサービスがあるんですけど、そこにパーソルキャリアが人材紹介で持っている案件を全部入れるみたいなことをやっていて、彼らのサービス使っているところは、dodaが持っている求人案件を全部紹介してくれるような状況っていうのが作れた。

石橋:
入り口は加藤さん達だったんですか?

加藤:
イベントとかで一緒に行ったりするところで紹介してとかもありますけど。

相談窓口はTwitter、LinkedIn、公式サイトから

石橋:
そういった形で今後、それこそHR業界とかもっと大きくなっていけばオールラウンドってお話もいただいたので、まずはどういうご一緒の仕方の可能性があるのか、もし資金調達の相談したい場合はどこの窓口からご連絡するのが、一番良さそうですか?

加藤:
ホームページからあまり来たことないですけど、ホームページから来たら、当然お返しいたしますし、TwitterでDMいただいても、LinkedInでも。

石橋:
LinkedInもありなんですね。

加藤:
僕ら海外も多いので、そういう意味ではLinkedInとかでやっていますね。昨日もインドの方から連絡が来ていたりとか。

石橋:
残念ながら視聴者の99%が国内の方なので、おそらく概要欄に加藤さんのTwitterですとか公式ホームページのURLを記載させていただいておりますので、今日のお話聞いてみていただいて、ぜひお話ししてみたいなという方はそちらの方からコンタクト、ぜひお気軽に相談ベースからでも構わないのかなとは思いますので、コンタクトしてみていただければなと思っております。

それでは加藤さん、第2話も引き続きよろしくお願いいたします。

加藤:
お願いいたします。

【1社目からランサーズでIPO】立ち上げから25社の売却に成功した加藤さんがCVCを立ち上げた意外な経緯とは?|スタートアップ投資TV

藤田晋氏の一個下、100人のインテリジェンスからのスタート

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capitalの石橋です。

今回も、前回に引き続きまして、パーソルベンチャーパートナーズ代表パートナーの加藤さんに来ていただいておりますので、今回もよろしくお願いいたします。

加藤:
よろしくお願いします。

石橋:
前回は、パーソルベンチャーパートナーズさんがどのような投資活動をしていらっしゃるのかを聞いてまいりまして、そのなかでも、組織作りや人作りでのサポートも力を入れているというお話もありました。

今回はどのようなご経歴をお持ちだから、組織作りや人作りが得意で合ったり、今までそのようなところを見てきているのかを深掘ってお伺いをしていければと思います。

改めて加藤さんご自身のご経歴みたいなところだと、元々金融畑だったというか、CVCも代表としてやっていらっしゃるのでそっち系の畑からだったんですか?どういうご経歴なんですか?

加藤:
全くそっちの経歴ではなくてですね、スタートアップで繋がるとしたら新卒で100人前後だったインテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)っていう会社に入社することを選んだっていう、ちょっと頭のおかしなとこぐらいかなって思ってるんですけど。

石橋:
ファーストキャリアからHR系だったんですね。

加藤:
そうです。HRというよりはスタートアップっていう感覚で入りました。

石橋:
当時の100人以下ぐらいのインテリジェンスさんはどんな状況だったんですか?

加藤:
僕のちょうど1個上がサイバーエージェントの藤田さんで、入社式の時にサイバーエージェントを立ち上げることになりましたっていうのがまさにあったぐらいの時です。

石橋:
そういうめちゃめちゃ起業家精神の人がいっぱいいるような、当時のインテリジェンスさんはそのメッカみたいな状況だったんですか?

加藤:
そうですね。「いかに独立する」ばかりを考えていた状況だと思いますね。

上場後の組織変革で見つけた「人を変える仕事」の面白さ

加藤:
2年後に上場してというところで、当時は新規事業とか買収した会社に行ったりとかをいくつかしていたんですけども、ちょうど4年目ぐらいのタイミングですかね、上場した後に800人ぐらいの規模になった時、初めて増収減益みたいなタイミングになって。

その時にビジョン・ミッションを作っていくプロジェクトとかに参加させてもらったりして、いきなり今日からビジョンこれですとか、行動指針これですみたいなことをやったんですけど。

その時に組織を今までAって思ってた人たちをBに変えていくみたいな仕事ってもしかしたら面白いかもしれないと思って、そこにコミットしようかなと思って、起業家精神みたいなところではなく、組織が大きくなっていくみたいな部分での組織変革みたいなことにすごく興味を持ったキャリアがあって。

何だかんだいろいろ合併とかも繰り返したりしながら、今6万7,000人の規模のところまで、何だかんだ組織を変革していくっていうテーマを結局飽きずに持てていたっていうのが大きくて、それで今に至るみたいなところですね。

新規事業6つの経験から見えた「オープンイノベーション」という解

加藤:
このCVCを作っていくようなきっかけみたいな話なんですけれども、12年ぐらいの時に確か…

石橋:
入社何年目ですか?

加藤:
入社14年目ぐらいには多分なると思うんですけれども、幹部で新規事業コンテストみたいなのがあって、そこで2つぐらい起案したら2つともやることになっちゃって。

ある事業の責任者をやりながら2つ同時に立ち上げるみたいなことをやってたんですけど、それ一発必中で当てるの難しいなって感じたのと。

自分が片手間でやってる世界って絶対スタートアップに勝てないし、リソースがあるわけじゃないなっていうこともすごく痛感したので。

これを思い切ってこの事業開発をオープンイノベーションの方に舵を切るっていう話もありかなと思って、自分のやっていた事業とかも閉じたりして、2015年の末にパーソルベンチャーパートナーズを新規事業として立ち上げたというのが経緯になっていますね。

石橋:
完全に加藤さんが起案して作っていったって感じですか?

加藤:
そうです。しかも誰もオープンイノベーションとかやってくれとか言われてないんですけど、おそらくそういうスタイルでやった方が新規事業をたくさんグループに持つ状態が後々できるだろうなということで。

石橋:
もともとはインテリジェンスさんの上場前のタイミングでいらっしゃっていて、スタートアップとの繋がりがあったからパーソルさんの中でもオープンイノベーションをやっていかないといけないよねという話になったんですか?

加藤:
スタートアップとの繋がりはそんなないですね。どちらかというと事業立ち上げはその間6つぐらいはやってましたかね。一番大きいのでいくと、今のdodaの広告メディアの事業を立ち上げるというのが一番大きかったんですけど。

石橋:
ありとあらゆるHR系の事業を作ってきて、それこそ組織も0から立ち上げることをずっとやってきたんですね。

加藤:
そうですね。

Lancersへの投資が示した「マイノリティ投資」の可能性

石橋:
スタートアップ絡みはCVC立ち上げた後から、0からネットワーキングで繋がり作っていったのに近いんですか?

加藤:
そうですね。あとは新規事業をやってた頃からスタートアップとも積極的にコミュニケーションを取ったりとかみたいなことをしていて。

その間にCVC立ち上げる前にLancersとかは投資させていただいたりとかがあって、こういったマイノリティ投資っていう部分での広げ方ってありだなみたいなことが、最初に感触を得られたみたいなことが確かにありましたね。

石橋:
Lancersさんも第1話の話を引っ張ってくると、まだCVCもなかったということは別のお財布理論で、事業部として?

加藤:
そうです。僕が事業部として投資してたって形ですね。

石橋:
加藤さんがやられていた事業部でやってたんですね。

8年間で60社投資、25件イグジット、9社グループイン

石橋:
改めて2015年前後ぐらいからCVCになられ始めて、そこからずっと順調だったんですか?思い描いていたところとのギャップだとか、新規事業で立ち上げられて、「想定とだいぶ実態が違うな」とか。

もう8年間ぐらいやられてると思いますけど、決して短くはないわけで、「こういうところにやりがいがある」とか、最近どんなところに改めて感じてらっしゃるんですか?

加藤:
想定よりはいろんなものの時間がかかる。スタートアップの時間軸はスピード感早いですけど、スタートアップの規模が小さかったりするので。

それなりの成長規模でIPOとかM&Aとかみたいになってくるところまでは、思ったより時間がかかるなっていうふうに思ってまして。

ちょこちょこいろんな実績出てましたけど、60数社投資していて25件ぐらいはイグジットをしてる感じですね。

石橋:
1社目がLancersさんですか?加藤さんにとってみたいな話で言うと。

加藤:
そうですね。

石橋:
1社目のやつがいきなりIPOしてるんですね。

加藤:
自社にグループインしてくれたっていう会社も9社まで。

石橋:
60社中の9社ぐらいってことですね、大体。15%ぐらいは結果的にはご縁でパーソルさんにグループインしてるって感じなんですか?

加藤:
そうですね。去年かなり多かった形ですね。なので結構時間はかかってくるのかなっていうふうに思ってますけどね。

「未来を変えたい人と毎日話せる」特殊な立場の面白さ

石橋:
確かに。加藤さんの中でここまで8年間も、それこそ他の代表の方に変わられずにやり続けている甲斐とか意義とかってなんか感じてらっしゃるから、継続してずっと取り組みやられてるんですか?

加藤:
やっぱりVCとかスタートアップと絡む仕事ってめちゃくちゃ面白いじゃないですか。

石橋:
間違いないと思います。

加藤:
未来をこう変えたいっていう人たちと毎日話せるという、めちゃくちゃいい立場だなと思っています。

石橋:
今チームのメンバーの人も、加藤さんみたいに元々グループ歴が長い方とか多いんですか?どういうメンバーでやられてるんですか?

加藤:
みんな中途で基本的に入ってきておりまして、比較的事業の責任者やっていたことがある人が、僕らの組織で多かったり、リクルーター的なスペシャリティを持っている人もいたりします。

石橋:
組織や採用を見ていくためにもそういう経験を持っている方という感じですかね?

加藤:
そうですね。そこはそこでスペシャリティとして生きるっていうようなところがあるので。

事業を立ち上げた経験があるみたいなところが、スタートアップにとってのバリューだったりとか。

事業責任者目線でスタートアップとも話せるし、パーソルの中の事業責任者とも話さなきゃいけないので、そこができるっていうところが大きいかな。

石橋:
第1話でもお話はしましたけど、加藤さんにお話聞いてもらいたい場合は、概要欄の方にTwitterとか加藤さんのSNSに直接ご連絡するので大丈夫ですかね?

加藤:
全然大丈夫です。

石橋:
ぜひ番組見ていただいている方はですね、概要欄の方にURL記載をさせていただいておりますので、まずは相談してみようとか、関心がありますってところからぜひコンタクトとってみていただければなと思っております。

それでは加藤さん、第2話も含めてありがとうございます。

加藤:
ありがとうございます。

石橋:
最後までご視聴ありがとうございます。第3話ではですね、少しテーマトークという形でお送りをしていければと思っております。

競合CVCと多数の共同投資!?パーソルベンチャーパートナーズの加藤さんが考える競合との付き合い方とは?|スタートアップ投資TV

競合他社からの投資は本当に制約になるのか

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capitalの石橋です。

今回も、前回に引き続きまして、パーソルベンチャーパートナーズ代表パートナーの加藤さんにご出演いただいておりますので、加藤さん今回もよろしくお願いいたします。

加藤:
よろしくお願いします。

石橋:
第1話では、パーソルベンチャーパートナーズさんの投資方針についてや、第2話では、加藤さんの略歴などをお伺いしてまいりましたが、第3話では、改めてテーマトークのようにいければと思います。

普段、Gazelle CapitalとしてシードVCとして投資活動をさせていただいているなかで、投資先からシリーズAや次のラウンドで、特定の事業会社にお金を入れてもらうと、競合企業と業務提携をできなくなったり、資本提携できなくなる。

M&Aの選択肢をA社に入れてもらったら、競合のB社には入れてもらえなくなってしまうのではないか、みたいなことを、僕らもご質問を受ける機会がありまして、僕ら目線でも突っ込んで事態を聞きにくいというか、HR業界でいうとその辺りがどうなっているのか、いろいろと加藤さんにご意見をいただければと思っています。

競合同士だと、「ここの会社がやっているなら避けるべき」とか、「避けて欲しい」と言われるケースがあったりするんですか?

加藤:
あったりすると思いますよ。僕らはオープンなスタンスですけども、色がついた方がいいとか色がつかない方がいいという話は、一般論で捉えない方がいいと思ってます。

マイノリティ投資で過度な権利主張は「フェアじゃない」

加藤:
僕らも案件によって、例えば自分たちと一緒にやりたい人がいるなら、「ここまでコミットするからやりましょう」みたいなことを提示して動くみたいなことも、戦略によってはやることは全然あると思ってるんですけども。

そこから一般論でスタートアップにマイノリティ投資するっていう世界で言うと、そのマイノリティ投資でそんな都合よく権利を押し付けるべきじゃないって僕は思ってたりするので。

石橋:
だったらマジョリティ取れよってことですよね?

加藤:
そうですね。マイノリティ投資なのにマジョリティみたいなこと言ってくるとか。これはビジネスの交渉としてフェアに、そこまでの権利を言ってくるんだったら「このぐらい責任を持ってください」みたいな話っていうのをしっかり交渉していくって話なんだと思うんですよね。

そのレベルの話になってくると、やっぱり一般論というよりは、その案件とかその資本提携としてどう捉えるかみたいなことになってくるんだと思います。 

それをやってでも獲得したい提携とかであれば、そこを積極的にやっていった方がいいと思いますし、そんなに気乗りしてない時もあるじゃないですか、スタートアップ側も。その時は本当に色とか関係なく出してくれるところに出してもらった方がいいかなと思っております。やたら要求してくるとか、みたいな話も含めてですね。

HR業界の主要プレイヤーとの共同投資実績

石橋:
パーソルさんは同じHR業界の他社さんとも一緒にスタートアップ投資したりするとかおっしゃってましたけど、「この会社さんの場合はこういう他のHR業界でやっているよ」とか事例は結構あられるんですか?

加藤:
リクルートさんとも、エン・ジャパン(現:エン株式会社)さんとも、マイナビさんとも、ビズリーチさんとも、ある程度スタートアップ投資やってる会社さんとはほとんど共同投資はどっかしらしてる感じだと思います。

石橋:
僕ら自身もその部分は見えないケースが多いので、あんまり気にしすぎるのも良くなくて、フラットにご相談に、まずは起業家の方も、その上で個別に判断していくって感じなんですかね?

起業家主導で「色を付けない」戦略的ラウンド組成

加藤:
もう少しだから起業家側もイニシアチブを取って戦略的に数社入れるとか、みたいなことしてるところもあると思うんですよ。色付かないために。

石橋: 
確かに、「同じラウンドで全部入れる」とかいらっしゃいますよね。「主要な銀行全部同じラウンドで入れちゃおう」とか。ちょうど最近そういう人増えましたよね?

加藤:
そうですね。

石橋:
起業家からのお声がけでも、向こう側がイニシアチブ持って明確に目的意識持って、「このラウンドで皆さんに入ってもらいたいんです」っていうような声かけもあったりはするんですか?

加藤:
僕らはそういう声がけのされ方はあんまないですけど、「入ってもらって牽制できるようにしたい」とか、みたいな相談は受けたことがあります。

業務提携は「余計なもの」を増やさない方がいい

石橋:
個別ではやっていかないとはいえ、事業会社さんとの業務提携で気をつけないといけないとか、気を配った方がいいことって、競合他社を意識した方がいいか悪いかみたいなところ以外の観点で、加藤さんのご意見はありますか?

加藤:
僕らのスタンスとしては、どっちかというと余計な業務提携とかってしない方がいいと思ってるんですね。

資金調達の条件になってるみたいな概念実証(PoC)みたいな話とかは、本当にその会社が伸びる話に直結するんだったらいいと思ってるんですけど、お金もらうために余計な業務が増えるみたいな話は、できればCVCではなく色なく出してくれるところがいいと思っています。

資金調達のタイミングと業務提携のベストのタイミングは一緒じゃないと思ってるんですよ。「そんな奇跡的に同じになるタイミングなんてないだろう」って思ってたりする部分がそもそもあるので。

5〜8年の時間軸で「付き合う」という投資哲学

加藤:
僕らの時間軸で言うと5年とか8年ぐらいの軸のところで、「はたらいて、笑おう。」のポートフォリオにあったらすごく面白いんじゃないかと思うものは、提携とか関係なく投資しますよね。

投資すると付き合ったって感じですかね。付き合ってたら「結婚したくなっちゃった」みたいなことになってるのが何個かあるみたいなのが今の実態だと思ってて、最初にそんな話してないですからね。

日本もIPOだけじゃなくM&Aの選択肢みたいな話だったら、資金調達って複数の会社と付き合える手段だったりするんで、何社かお付き合いしてっていう話はありえるかもしれないですよね。

資本業務提携が「うまくいかない」リスクへの対処法

石橋:
逆にパーソルさんの場合は、先ほど第1話の話の方でも、場合によってはベンチャーパートナーズさんだけじゃなくて事業部の方々の財布からも投資するっていうお話があったので、「資本入れてもらったけど業務提携が前に進まない」とか、思っていたような効果を発揮しないケースってあんまりないのかなとは思ったりするんですけど。

資本業務提携してみたはいいものの、「起業家側が思い描いていたような相乗効果がなかった」とか。

加藤:
全然あると思います。

石橋:
これって防ぎ方とか予防する方法って、パーソルさんの場合は分かりやすく事業部の人が入れてれば、それを防げていると思ったりするんですけど。

加藤:
結局は提携しているモノの筋だと思いますよ。新規事業だって上手くいくものも上手くいかないものもあるわけで、基本的にはそれが上手くいく筋のモノなのかそうじゃないのかっていう話の方が大きいと思っていて。

「提携のためにやる」みたいなやつってだいたい筋が悪かったりとか、上手くもいかなくて。筋の良し悪しで基本的にはすぐやめたりすればいいんですけど、都合上やめられなくなるとかになるかならないか、辞めれるか辞められないかとかも、すごく気にして始めた方がいいんじゃないかなっていうのは個人的に思います。

CVCに聞くべき質問「うまくいかなかったらどうするんですか?」

石橋:
一般的なCVCの方だったら、シナジーありきで投資されている方々も多いと思うので、そうすると「まずは何かPoC回そう」とか、やっぱりよく聞く話でもあると思うので。

加藤:
「それがうまくいかなかったらどうするスタンスですか?」って聞いてみたらいいんじゃないかなと思いますね。

石橋:
「セカンダリで売るんですか?」とかってなりかねないですもんね。

加藤:
セカンダリで売るところまで、ちゃんと理解している会社がどこまでいるかっていう話ではあると思うんですけど、そこに方針決めてないケースは結構あると思いますね。

スタートアップの株式っていうのはそんなに簡単に売れないとか、事業会社側が分かんなくて、「もうそれ終わったんだったら売りなよ」とか、全く業界のこと分かんない人が鶴の一声っぽく言っちゃってそういう動きになるとか。

そういうところも含めて確認しに行かなきゃいけないところは多いかもしれないですね。

「筋が良ければ」資本なしの業務提携でも進む

石橋:
パーソルさんの場合は資本入れなくても業務提携から走るケースもあったりするんですか?

加藤:
全然あります。筋が良いモノだったら普通はそれでも進むっていう話だと思いますよね。

石橋:
めちゃめちゃ相性いいから次とかで資本も入れてもうちょっと深くやろうか、っていう順番でも全然おかしくはないですもんね。

加藤:
本当に筋がいい企画をスタートアップ側で、例えばパーソルに対して持ってるって話だったら、資金調達より全然前のタイミングでむしろ動いてもらって、業務提携して、「その業務提携で弾みが出そうだ」っていうネタで資金調達した方がいいと思うんですよね。

石橋:
加藤さんが結果的にCVCも立ち上げていらっしゃると思うので、もちろんその会社全体の戦略、CVCの戦略もあると思うんですけど、加藤さんご自身の思想とか考え方っていうのが影響されているがお話を聞いててすごく感じました。

全3話にわたってご出演いただきましたが、第1話ではパーソルベンチャーパートナーズさんについてお話をさせていただいて、第2話の方では加藤さんの自己紹介というか、どういうご経歴でいらっしゃって、どういう思いでやられているかというところをお伺いをしてきておりますので、第3話を見てご関心持った方はまた見返していただければなと思っております。

それでは加藤さん、全3話にわたりましてご出演ありがとうございます。

加藤:
ありがとうございました。