【ファンド総額約170億円】プレシードからアーリーまで投資するmintを徹底解説|起業家を選ぶ条件とは【mint 白川智樹 vol.01】
◯白川 智樹 株式会社mint General Partner
X(Twitter)▶︎https://x.com/shirakawa_t
公式HP▶︎https://mint-vc.com/
2008年サイバーエージェントに新卒入社。 広告部門にて営業職、ゲーム関連子会社にてプロデューサー職/事業責任者として従事。
2013年よりサイバーエージェント・キャピタルで創業期のスタートアップの投資支援を担う。
2018年よりアプリコット・ベンチャーズを設立し1号ファンドを組成。
2021年mintを設立、ジェネラル・パートナーに就任。
慶應義塾大学 経済学部卒。
石橋
皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、GazelleCapitalの石橋です。今回はmint、General Partnerの白川智樹さんにご出演をいただきますので、よろしくお願いいたします。
白川
よろしくお願いいたします。
石橋
今回はこの動画さえ見れば、mintさんから出資を受けたい起業家さんがmintの全て分かりますという動画にしていきたいと思ってますので、しっかり掘り下げて色々お伺いをしていこうと思っているんですけれども、まずちょっと簡単に白川さんのご経歴と、なんでmintを立ち上げたのかというところから教えていただけますか。
白川
はい、mintの白川と申します。よろしくお願いいたします。私は2008年から2018年までサイバーエージェントというITの事業会社にいました。2018年に独立をしてmintを設立したという流れでございます。サイバーエージェント時代は前半5年が事業部門で、後半5年がCVC部門に在籍しておりまして、特に事業部門では150人ぐらいのゲームの子会社があったんですけれども、そこの子会社の運営をさせていただいていたという形になります。
石橋
CVC時代を経て独立されているというのは、元々独立を考えていらっしゃったという感じだったんですか。
白川
そうですね、はい。元々事業経験を積んで起業したいなと思ってまして、そのタイミングでサイバーエージェントの投資部門に相談に行った時に、ベンチャーキャピタルを一緒にやろうよという風に言っていただいて、今に至ると。やはり自分で独立したいなという思いもありましたので、一番大好きなベンチャーキャピタルの事業で独立をしようと、2018年に起業したという感じですね。
石橋
サイバーエージェントのベンチャーキャピタル部門出身の独立系GPの方って、めちゃくちゃ多くないですか。
白川
そうですね。めちゃくちゃ多くてですね。ジェネシアベンチャーズの田島さんとか、X Tech Venturesの西條さんとか、あとはSTRIVEの堤さんとか、インキュベイトファンドの和田さんとか、数えたら10人以上、VCやCVCのパートナーの方はいらっしゃった感じですかね。
石橋
ある意味サラブレッド的な流れで、めちゃめちゃいい環境で育ってmintで独立って感じなんですかね。
白川
皆様のお力をお借りして独立した感じですね。
石橋
ありがとうございます。今回は先ほどもお話ししたように、mintさんについての全貌をお伺いしていこうと思っているんですけど、まず全体感のところから聞いていきたいんですけど、今だとそのファンド全体で言うと何億円ぐらい取り扱って投資はされてらっしゃるんでしょうか。
白川
はい、ちょっとややこしい経緯なんですけども、我々独立した時にアプリコットベンチャーズというファンドを一人で立ち上げまして、その後2021年にTLMというファンドと合流して、組織型のシードファンドを作っていまして。全て合わせると170億円弱ぐらいの規模になると思います。
石橋
ちなみに直近のファンド、運用中のファンドだと単体でいくらぐらい運用されてらっしゃるんでしたっけ。
白川
そうですね。2021年のmintの1号で53億円、今のファンドで100億円になっています。
石橋
100億円を超えてもシード投資を続けるって感じなんですね。
白川
そうですね、はい。我々は変わらずシード投資で。
石川
そうすると、普通に算数しちゃうと投資者数とかむっちゃ増えてくイメージですけど、だいたい今のその100億円規模のシードファンドで1社あたりいくらぐらいチケットで何社ぐらい投資していこうみたいな計画とかってあられるんですか。
白川
はい、そうですね。50億のファンドで、ファクトで70社。社数としては変わらず70社ぐらいに。なので1社あたり倍ぐらい、5000万ぐらいだったのが1億ぐらいになる。初回で数千万円からファクトで1.5億円ぐらいまで出させていただいていて、追加も含めると今1社あたり7.5億円を上限にしていきたいなという感じです。
石橋
今回のファンドでってことですね。
白川
そうですね、はい。
石橋
じゃあラウンドとしてはシード、プレシードから入りはするが、アーリーぐらいまではタッチしていくという感じ。
白川
そうですね。これまで50億のファンドでも追加投資で1回とか、奥2回とか、それぐらいの投資が多かったので、そのあたりもう少しロットも手厚く、回数も多くできるようにというのを目指している感じですかね。
石橋
ANOBAKAの長野さんがこの前出ていただいた動画で、5億円までが入口のなんかキャップにしてるみたいなこともおっしゃってたんですけど、mintさんだとそういうキャップとか初回投資だとやっぱここまでにしようとかっていうレギュレーションでなんかあるんですか。
白川
特段決めてはいないですね。やはりファーストタイムの起業家の方とシリアルアントレプレナーの方でだいぶ感覚も違ったりするので、当然テーマによっても変わってきたりするので、そこはあまり決めすぎず、ただタイミングとしてはVCのファーストラウンドとか、シードラウンドのタイミングを中心にというそういった形をイメージはしてますかね。
石橋
ありがとうございます。僕の中のイメージは勝手にmintさんといえばリード投資家だろうというイメージなんですけど、リード以外もやられることとあるんですか。
白川
はい、ありますね。2、3割ぐらいフォローの投資になっていて、このファンドでも一部フォーメーションとして柔軟に考えていきたいなと思っています。
石橋
意外とか言いながら僕、直近mintさんのご一緒した武田さんと多分ご一緒したブリッジスマイルっていう企業さんは完全に僕らもmintさんもフォロー投資だったので、まさでしたね。
白川
そうですね。彼らの場合、我々からするとちょっとシードからは離れているところではあるんですけども、今回のファンド少しファンド規模が大きくなってきたところもあるので、一部アリーステージとかそういうところでも投資できるようにというそういう立て付けにはしてますかね。
石橋
理解です。実際彼らのように、これから多数の投資していくと思うんですけど、投資を受けた後にmintさんに企業家の方が期待していいこととか、こういうことはお願いできるよねみたいなことってなんかあったりするんですか。
白川
各社各様なんですけど、関わり方としては我々通させていただくタイミングで、次のステージこういう状況を目指していこうとか、そのあたりある程度議論をして合意して、それで定例の打ち合わせとかさせていただくような形にはしていて、そのタイミングでも例えばプロダクト作るのに集中しているタイミングだと定例やってもあまり意味がない。
石橋
確かに物作ってるっていう進捗しかないですね。
白川
そうですね。そういう場合はちょっとスキップをしたりとか、要はその事業のフェーズとか会社さんに合わせて、これぐらいの頻度の定例で打ち合わせしていこうかとか、マイルストーンに対してどういう状況なのかとか。その中で営業を紹介した方がいいのか、調達サポートした方がいいのか。色々フェーズ分かれると思うんですけど、そういうところを議論して応援していくという感じにはしてますね。
石橋
先ほどお話いただいたみたいな、起業家の方からするとmintさんにシードで投資してもらって、追加投資とかってどうなってるんだろうとやっぱり気にされる方すごいと思うんですけど、まさに白川さんみたいにmintさんと一緒に決めていたマイルストーン達成していれば、基本は追加投資を前向きには検討するぞっていうイメージなんですね。
白川
あ、そうですね。はい。マイルストーンを決めることで次のラウンドのファンドレイズ組成の確率を上げていくっていうところが一つと、あとはそれを決めておくことでその投資メモを残して、次の追加投資の検討でもそれを前提に差分とか、あるいはチームの組成状況とかそういうところを議論しながら。そこに到達してないから追加出資できないってこともあるんですけど、ただそこは一つ目安にはしてますね。
石橋
逆に言うともちろん全投資先が元々決めていた計画通りに事業進捗するなんて、あんまないじゃないですか。
白川
そうですね、はい。
石橋
その中でめちゃめちゃ大逆転して成長してるような投資先の方とか、なんか印象的なエピソードとかってなんかありますか。
白川
各社ドラマあるんですけど、2019年にアプリを作るのがすごい得意なチームで、LinQさんという会社がいらっしゃるんですけど、特に若者向けのアプリって水物じゃないですか。全然当たらないタイミングもあったりとかしたんですけど、2022年末ぐらいですかね、一応サービスで「Zenly」というグローバルなアプリがクローズするとなって、若いユーザーの皆さんが「作ってくれ」という話を受けて、急いで作ったことがあるんですよね。
石橋
はいはいはいはいはい。
白川
で、作ってみたら数ヶ月で1000万ダウンロード、今1500万ダウンロードぐらいまで成長して。
石橋
今サービス名は何て言うんでしたっけ。
白川
えっと「Whoo」という位置情報のアプリですね。友達がどこにいて近くにいるからこの後飲みに誘うとか、お茶しようとか、そういうのがコミュニケーションのきっかけになっているという意味では非常にインフラ的なサービスになっていて。そこに到達するまで3年ぐらいですかね。なかなかヒットに恵まれないみたいな時期があって、非常に経営者の皆さんも大変な時期もありましたけど、今生き生きとやってらっしゃいます。
石橋
でも逆にその3年間の手数、10打席ぐらい打ち続けてるのもまずすごいですよね。
白川
うん、すごいですよね、本当に。
石橋
普通に考えて、やっぱりしんどくて諦めちゃうとかやめちゃうとかそういうケースもなくはないとは思う中、諦めず振り続けてたら数ヶ月で1000万ダウンロード超えるっていう。いや、夢ありますよね。サーバーとか絶対パンクしますよね。
白川
そうですね。それこそ本当に倒れ続ける時期もあったんで。それこそミクシィさんにもご出資いただいているので、チームの皆さんにご協力いただいたりとかして、なんとか立て直したというようなそういった時期がありましたね。
石橋
まさにじゃそれは大逆転劇で、引き続き成長中な投資先だと思うんですけど、逆になんかいわゆるアンチポートフォリオって呼ばれるような、なんか投資を見逃してしまったけどめちゃめちゃ成長してるよねみたいな会社の方って、mintとしてのキャピタリスト歴で言うとなんか印象的な方っていらっしゃいますか。
白川
私2018年に独立して1人2人でファンドやった時期があったんですけど、その時にやっぱり投資できなかった会社がすごく悔しくてですね。調べていたんですよ。何社か調べて行った結果、TLMってファンドがシードで出していたんです。僕が投資をできなくて彼らが投資できるっていう会社さんがあるとなので一緒にやろうというところでご相談をして、今のmintに至っているっていう感じですかね。だからアンチポートフォリオがTLMだった。
石橋
TLMさんとご一緒して伏線回収したわけですね。TLMさんだとカンムさんだとか、なんかC向けのサービスですごい小暮さんが割とめきしてらっしゃってシードで入ってるケース結構多くありますもんね。
白川
そうですね。カンムさんとか、ジラフさんとか、あとはカバーさんとか。
石橋
カバーでかいな。
白川
そうですね。あとはモノカブさんとか。
石橋
スニーカー系のやつですね。
白川
そうですね。中古のマーケットプレイスところで非常にコンシューマの領域に知見が荒れますね。
石橋 ありがとうございます。そういう形態みたいなところも特徴的だと思うんですけど、あくまでもこれ見てるのは起業家の方っていうのはイメージですので、起業家目線で言うところの特徴とか、僕らを選ぶべき強みみたいなところってあったりするんですか。
白川
はい、ありがとうございます。まず先ほど申し上げた通りで、2つのファンドをくっつけて1つのファンドにしていると。比較的多様な投資判断ができるのが特徴かなと思ってまして。
木暮さんは元々コンシューマーとかクリプトとか、その辺のジャンルがすごく詳しくてスタートアップど真ん中でC向けクリプト強くてみたいな、そういうところでしたり。学生時代にファンドを作って10年ぐらいGPをやってらっしゃるという方ですね。さらに去年の後半にGPで武田さんという、博報堂のCVC出身の方にGPで入っていただいて。
石橋
大人ですよね。
白川
やってるんですけども、武田さんは元々金融のバックグラウンドもあるで会計士持たれてて、投資銀行で事業会社10年というような形のバックグラウンドの方ですと。シードの投資ももちろんされますし、比較的アーリーステージの投資も得意だったりするので、そのあたりも見ていただいているという感じになってます。
プリンシパル、今岡澤さんっていうメンバーですけど、彼もディープテックとかも積極的に投資していたりとか、そういう意味で繰り返し言えば投資判断も多様にできるというのが特徴かなと思ってまして。なんでインターネットでC向け、B向け、クリプト、DT、AIみたいな新しい技術の領域も幅広く投資ができるというのは、そこは一つ間口の広さみたいなところはあるかもしれないですね。
石橋
ちなみに、場の支援とかコミュニティの支援とかもあるんですかね。
白川
我々「FLAP」というプログラムを運営してまして、創業したばかりの起業家の皆さんに半年間我々のシェアオフィス使っていただくという、そういうプログラムになってまして。これまで7年間やってまして。
石橋
もう7年やってるんだ。
白川
えっと、120社以上ですかね、使っていただいている形になってますね。
石橋
結構そこから投資にも至ってらっしゃる。
白川
そうですね、はい。20社弱ぐらい投資させていただいているので、6分の1くらいですかね。
石橋
じゃそういう期待値も持ってフラップにエントリーされる方も結構いらっしゃるって感じなんですね。
白川
そうですね。それもあると思いますし、ただ起業したての方だと資金調達まだ考える手前のフェーズでという方も多くいらっしゃるので、まずは場所使っていただいて、身近な起業家の皆さんと過ごしていただいて、その中で資金調達考えるタイミングで我々の雰囲気も見ていただいて、相性が合えばという形で考えていただく方も結構多いかなと思います。
我々今シードから当然投資させていただく形になってますけども、これまではシードのステージのサポート中心にやらしていただいてましたけども、ステージシリーズになってきたら幹部採用がとか、上場準備がとか、M&A仕掛けていこうとか、そういうフェーズをまたいでも応援できるような体制を作っていきたいというところもやってるので。武田さん中心にってところもありますし、あと我々そのプラットフォームのチームですかね、もう数名いるので、そのあたりでステージも支援もしてきたいなというところが強いです。
石橋
ありがとうございます。今足元mintさんって何人ぐらいのチーム体制で、GP構成とかどんなイメージでやってらっしゃるんですか。
白川
はい、今10名ほどの体制になってまして、GPが3名、投資のメンバーが4名で、プラットフォームコーポレートが3名というそんな体制になってます。
石橋
結構投資をする人が多いんですね。
白川
そうですね。シード投資なので、投資先も社数が増えてくるところもあるので、僕らとしては投資してあとはお願いしますというよりは、比較的近い距離で関わりたいという気持ちもあるので、比較的投資のメンバーが多いような形にはなってますね。
石橋
ありがとうございます。ちょっと最後にキャピタリストとしての白川さんみたいなところの、目線もお伺いしたいなと思うんですけど。mintとしては白川さんとしてmintさんの2号ファンドではこういうところにやっぱ注力して投資をしていくよねみたいなところの目線化みたいなのをお伺いできればと思うんですけどどうでしょう。
白川
そうですね。常にやっぱり何かの変化、変曲点があるところをシード投資としては仕掛けていくというのを意識はしていて。法律の変化だったり、世の中の変化だったり、技術の変化だったり、そういうところに市場機会があると思って、その辺を意識はしてます。
例えば技術で言うと当然AIとかディープテックとか、クリプトとかど真ん中のアングルですし、あとは世の中もすごく変わって今安全保障みたいなそういうテーマも起こりうるような、そういうタイミングかと思いますし。個人的なところでもありますけど、やっぱり共働きとか。この5年10年やっぱりすごく環境変わってきて、その中からぐっと伸びる会社も出てこられていると思うので、そのあたりは心がけているポイントですかね。で、mintとしてはですね、そういうのって割とみんなよく言うテーマじゃないですか。
石橋
確かに業界で言うバズワードみたいになってますね。
白川
そうですね。なんでそういうど真ん中は当然意識はしつつ、やっぱり結果的に伸びてくるのが例えばVTuberのカバーさんだったりとかするわけですよね。なので常にそのノンコンセンサスというか、半分以上の方が反対するけど、我々の価値観の中ではこういう領域が伸びてくるんじゃないかとか、そういうものは常に考えるようにはしているので。
その辺はmintとしては心がけているというか。評価されにくいようなテーマでチャレンジしてるなって方いらっしゃると思うんですけど、我々なりに何かを感じようと試みてるつもりなので、そのあたりは是非今後も心がけていきたいなとは思ってますね。
石橋
ありがとうございます。まさに第2弾の動画では、なんで投資したのシリーズみたいなところで白川さんとかmintさんが実際に投資をされていらっしゃる。なんでそこの会社さんに投資したのか、できたのかみたいなところをお伺いをしていくので、結果的にそちら見ていただくと、今まさにいただいたノンコンセンサス的なスタートアップの方も事例に出てくるかもしれないなと思いますので、是非そちらもお見逃しのないようにしていただければなと思います。
第1弾の最後にですね、白川さんから是非起業家の方に向けて、こういう人に来てほしいとか、こういう思いでmintとしてはやっているんだというところ、最後ちょっと是非伝えていただければと思うので、お願いいたします。
白川
はい、承知しました。mintは「好きと、勝つ」というパーパスがありまして、ゼロから起業される方々を一生懸命、好きな方を応援していくと。大きな会社になっていくところを寄り添っていくという、そういう気持ちでやっています。皆さんが成功される中でですね、皆さんに憧れて次の起業家が出てくる。そういう起業家をまた我々一から応援していくというような、日本の起業のエコシステムの一つになれたらいいなという気持ちでやってますので、是非お声がけいただければなと思います。よろしくお願いします。
石橋
ありがとうございます。是非この動画見ていただいた方は、GPの方だけでも複数人いらっしゃって、ご経歴とかおそらく投資先のテーマとかも少し好みもあるのかなと思いますので、動画見て少し分析研究しながら、どの人にアタックするのがいいんだろうかということ考えながらですね、コンタクトも是非mintさんのホームページのURLも記載欄にさせていただいておりますので、そちらからお問い合わせいただければなと思います。それでは白川さん、第2弾でも引き続きよろしくお願いいたします。
白川
はい、よろしくお願いいたします。
石橋
それでは皆さん、第2弾でお会いしましょう。さよなら。
IPO・M&Aで急成長する企業の共通点|投資家が選んだスタートアップ3社の資金調達の裏側に迫る【mint 白川智樹 vol.02】
石橋
皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、GazelleCapitalの石橋です。今回も前回に引き続きまして、mintジェネラルパートナーの白川智樹さんにご出演いただきますので、よろしくお願いいたします。
白川
よろしくお願いします。
石橋 今回はなんで投資したの?シリーズという風に冠しまして、mintさんが実際に投資をされている会社さんの、具体的ななんで投資したんですかとか、今回多分IPOした投資先ですとかM&Aでイグジットを迎えられてらっしゃるような投資先の方々に、なんで当時投資意思決定できたのかというところをちょっと深掘ってお話伺ってまいりますので、
是非企業の皆さんにとっても、出資時点では仮説とか解像度でも場合によっては趣旨受けられるんだなというところもメッセージとしてはあの受け取っていただければなと思っておりますが。1社目、是非すでに上場を迎えていらっしゃる投資先から取り上げていただければと思うんですが、なんという会社さんで何という方が創業されてらっしゃるんでしょうか。
白川
はい、TENTIALさんという会社さんで、代表が中西裕太郎さんという方ですね。
石橋
上場されたのが2025年2月ですか。
白川
はい、そうですね。2025年の2月に上場されていますね。
石橋
おめでとうございます。
白川
ありがとうございます。
石橋
ちなみに僕の目線で見ればわかることかもしれないですけど、mintさんって何パーセントで上場されたんでしたっけ。
白川
5%弱ぐらいですかね、はい。
石橋
時価総額も堅調に伸びてらっしゃいますもんね。
白川
そうですね、はい。
石橋
今時点ではそういう規模になられてるTENTIALさんだと思うんですが、出会った当初とか投資したのはいつぐらいで、どういうラウンドでいくらぐらい投資されてらっしゃったんですか。
白川
はい。2018年、我々ファンド作った年の夏に出資をさせていただいてまして、シードでこれも開示されているんで、1500万円出資させていただいていますね。ファーストラウンドでした。
石橋
当時で言うとTENTIALさんってBAKUNEシリーズだとか、そういうの有名じゃないですか。当時からもう、ああいうアパレルD2Cスタートアップだったんですか。
白川
当時は元々代表の中西さん、サッカー選手を目指されていて、健康上の理由で断念をして。このジャンルで起業したと。アスリートの方を応援するような、関連のメディアとかそういうの当時作っていらっしゃいましたね。
石橋
あ、じゃあ白川さんが投資した時点ではメディアをやってる起業家さんだった。
白川
そうですね、はい。ただ、メディアが伸びている中で、インソールとかご紹介するとすごく評判がいいようなものがあったので、そのあたりをまとめてブランド化していきたいというようなそういう構想はおありで。これからそういうコンディションのブランドを作っていくというタイミングで出資をさせていただきましたね。
石橋
一番最初は、どういうきっかけで中西さんと知り合われたんですか。
白川
でも一番最初は彼が20歳ぐらいの時で、前職で僕がスタートアップ向けのイベントをやってた時に、そこでスタッフで来てくださって。当時からすごかったんですよ。学生の同年代のインターンの方々とスタッフの方を仕切っていらっしゃって、すごくリーダーシップがあって、巻き込み力が高い方だなっていうそういうイメージがありました。そこから3年ぐらい経って彼が起業されて、僕も独立をして。イベントでお会いをしてそこで再会したって感じでしたね。
石橋
そこからは投資意思決定が割と早かったというか、スムーズだったんですか。
白川
そうですね。元々知っていたというところもありましたし、スポーツのメディアが伸びてきていた時期で、作り方をお聞きすると他社の事例はすごくリサーチをされていて。それを踏まえて事業に生かしていって、そこの徹底力がすごかったんですよね。なので、すごくそのあたりが印象的で割と即決させていただいてという感じだったと思います。
石橋
是非ちょっと踏み込んで、なんで当時意思決定できたのかっていうところ、もうちょっと掘り下げていきたいんですけど。2018年前後ぐらいっていわゆるまさにD2Cスタートアップの勃興時期だったような気がします。僕らとかなんかだと僕らは2019年、正確に言うと2019年の5月にファンドできるんですけど、全然投資先にD2Cの人いないんですよ。
要は、何が言いたいかというとなんか投資をD2CにされてるVCさんとあんましてないVCさん結構色合いが分かれてたなっていう印象が個人としてはあるんですけど。白川さんたちとしてはD2Cとしての可能性を見出してTENTIALさんに投資されていたのか、はたまたメディア授業でもっと伸びるはずだと思われていたのかなんかどういう見立てで、かつもちろんなんかD2Cはこうだったよねみたいなところもちょっと是非ご意見含めながら教えていただきたいです。
白川
はい、そうですね。おっしゃる通り2018年、D2Cが海外で伸びていると言われている時期で、日本もプレイヤーがすごく増えている時期だったと思います。背景はInstagramとかSNSの成長があって、そこに乗っかる形で特徴的なストーリーの商品とか、ブランドとかが立ち上がる余地があった、そういうタイミングだったと思います。
ただ、多くのVCさんとしては「言ってもなんか通販だよね」とか、そういう風に捉えられることも多かったのかなと思うんですけども、我々としてはこの領域、SNSで顧客の方とダイレクトに接点持てるようになって、そこからメガブランドが出てくるんじゃないかなっていうそういう感覚があったので、意識的にリサーチもして投資をしていったっていうそういうファンドではありましたね。
石橋
それこそ多分コスメのところだとDINETTEさん。
白川
そうですね、はい。
石橋
バチェロレッテ2の尾崎さんでしたっけ。ご自身自身もインフルエンサーっぽくなって、SNSを通じて顧客とってなんかまさになんかそのまま行ってますもんね。
白川
そうですね。おっしゃる通りで、商材とか経営者の方の特徴によっていろんな成長のシナリオがあるのかなと思って。DINETTEさんの場合はご自身もインフルエンサー化するというか、そういう形でなっていくっていう一つのオプションだったと思いますし、TENTIALさんの場合はたくさんの商品をこう作っていって、そこで特に機能的な商品で認知を得ていって。そこから店舗展開とか、マスCMを打っていって、そういう展開を目指されていて、そういう形で伸びていったのかなとは思いますね。
石橋
投資された時点から彼らとしての事業も何でしょう、白川さんたちの投資仮説も、基本的にはD2Cブランド、マルチ商品でやってくみたいなところは当時からもうその通り伸びてIPOをしたみたいな感じですか。
白川
やはり一つコロナが2020年に来て、そこがD2Cブランド全体に追い風の時期はあったと思うんですよね。なんでそこはすごく想定以上の伸びでしたし、TENTIALさんの場合はなぜかマスクで大爆発をして。
石橋
ああそうなんだ。
白川
そうなんですよ。そこで非常に認知も進んでですね、その後どうしようかっていう展開の中で一つがやはり商品の多数展開。あとは今のBAKUNEを始めとする寝具周りの辺りがすごく伸びてると思うんですけども、そのあたりのいくつかのジャンルにフォーカスをされて、そこで急成長されていったっていうところだと思います。業績だけで見るとすごく綺麗なところだと思うんですけども、当然裏側にはいろんな試行錯誤があった時期は当然あられたかなとは思います。
石橋
ありがとうございます。是非動画の概要欄にTENTIALさんの成長可能性資料のURLとか記載をしておこうと思うので、気になられる方はなんか当時の姿に良い意味でなんかギャップが出てこんなに大きくなってるんだなっていうのは見ていただけるのかなと思っております。ありがとうございます。ちょっと具体的な2社目にM&Aの出口も迎えていらっしゃる投資先いらっしゃればあげていただければと思いますが、社名と代表者名から是非お願いいたします。
白川
はい、Hogetic Labさんというちょっと変わった名前の会社さんで、代表が大竹さんという方ですね。
石橋
大竹さん、どういう会社さんで、どういう時期から出資されてらっしゃったんでしょうか。
白川
はい、サービスとしては色々な企業さんでデータ分析をします。それを生かして経営判断に取り入れていく時に、データを収集するのが非常に大変でしたり、あるいはエンジニアではない方、マーケターの方とかビジネスサイドの方とかが、そのデータを引っ張ってこようとするとそれをエンジニアの方に依頼しなきゃいけないというので手間がかかるとか、そういうところをビジネス職の方でもそのデータを加工したものを簡単に引き出せるというようなデータ分析基盤っていうのを提供してらっしゃいます。
合わせてデータ分析のコンサルティングとか、最近だと生成AIのところもそうですし、あとはそのデータサイエンティストさんが企業内に不足してらっしゃるので、そういった方の教育のコンテンツでしたりとか、あるいは必要であればデータサイエンティストさんの派遣をされていらっしゃったりとか。そういうデータにまつわる複数事業を展開されていらっしゃる会社さんですね。
石橋
だいぶ幅広そうな印象なんですけど、創業当時から何でしょう。投資した時点から幅広く事業やってらっしゃったのかとか、元々そのデータサイエンティスト出身の起業家さんだったりするんですか。
白川
はい、そうですね。DeNAとかメルカリとかでデータ分析のチームにいらっしゃったそういった方が立ち上げてらっしゃる会社さんでしたね。なので当時から構想としては同じかなと。彼らとしてはデータを使って正しい経営をしてほしいと。そこを応援していきたいというところだったので、プロダクトに囚われず様々なソリューションを展開されるコンセプトの会社さんでしたね。
石橋
はい。で、最近三井住友さんに買収されたというそういう流れ。
白川
はい。
石橋
金額って公開されてるんですか。
白川
金額は非公開だと思います、はい。
石橋
でもおそらく大きい規模でイグジットはされてらっしゃるんだろうなとは思うんですが、まだまだシード時期に投資されたってことなんですか。
白川
そうですね、はい。2021年の5月だったかな、mintができて僕としては1社目のご担当で出資させていただいたっていう経緯でした。
石橋
じゃあなんか印象的な先だと思うんですけど、なんかHogetic Labさんのさっきの事業聞いても、なんか分かりやすくスタートアップっぽい事業体にはそんなに聞こえない印象も覚えたんですけど、そのmintさんで独立されて1社目の事例で玄人っぽいところを選ばれたなんかそこの白川さんの見立てとか、こうなるはずだよなっていうところどういう仮説で投資されたんですか。
白川
データ分析の領域、すでにおっしゃる通りスタートアップもあって、単一のプロダクトで伸ばしてる会社さんもあったんですよね。当時の2020年ぐらいからのSaaSとかの市場ってマルチプロダクトとか、BPOコンサルティングとか、なんかそういうものってどっちかというとあまり好ましくないというか。
石橋
そうですね、愛されてはいなかったですね。
白川
なんかプロダクトで伸ばしていくのが一番綺麗だよねというようなコンセンサスがあったのかなと思うんですけども、お客様の話を聞いていると単一のSaaSのプロダクトだけではなくて、特にデータ分析のコンサルティングとかそういう部分に価値を感じていらっしゃったので。なんで経営者の皆さんと議論をして複数プロダクトの展開で大きくしていくっていう。そのあたりがユニークな事業戦略だったというか。我々としては繰り返しなんですけど、コンセンサスなものよりはなんかノンコンセンサスで伸びるようなものがすごくスタートアップらしいんじゃないかなという風に思っていたので、そういった流れだったかなと思います。
石橋
ありがとうございます。最後に是非3社目についてもお伺いをしていきたいと思っているんですけれども、今の流れだと上場された投資先とM&Aでイグジットされたところと、今まさにチャレンジを続けてらっしゃる事例も是非上げていただければと思いますが、3社目は社名と代表者名からお伺いしてよろしいでしょうか。
白川
そうですね、PICKの普家辰哉社長ですかね。
石橋
PICKさんは改めていつぐらいに投資されて、どういう事業をやられてらっしゃるんでしょうか。
白川
そうですね。2023年、こちらも出資して2年ぐらいですけれども、こちらもシードで出資させていただいて。事業としては一番最初が不動産の電子契約ができるような、いわゆるクラウドサイン的なそれを不動産の領域に特化したそういうツールとして展開されていたという形ですね。
石橋
当時僕もちょっと覚えてますもん。法改正みたいな起きた瞬間とまでは言わないですけど、事前に知ってたんだろうなぐらいの勢いでパンパンって出てきて。やっぱ分かりやすくこういうちょうど変化するタイミングで登場するスタートアップの方いらっしゃるんだなと思ってたんですけど、まさにそのタイミング前後で投資されてたって感じです。
白川
そうですね、はい。すごいなと思ったのは、その宅建業法が改正されて、そこに省庁に確認をしてプロダクトを作っていたと。でリリースされた直で複数社が出てくるようなタイミングだったんですけども、あえてサービスを止めたんですよね。で、しっかり適法であるところまでプロダクトを改善して、それで改めてリリースをして今に至るというところで。
石橋
その段階でその決断はすごいですよね。
白川
はい。なんで世の中見るとクラウドサインさんとか汎用的なクラウドツールがある中で、その業界に特化したワークフローと法律に乗って展開していくというそういうコンセプトの会社さんで、すごく引き合いも増えてきてという形になってますね。
石橋
ちなみに普家さんとはどういう経緯で出会われたんですか。
白川
起業家の方からのご紹介です。
石橋
そこに白川さんたちとしては一番ポテンシャルがあるなというか、投資仮説というか市場的にはどんなイメージだったんでしょう。
白川
はい。まず法律の変化から色々な事業機会があるっていうのはあるんじゃないかなという中で、ただ電子契約単体で言うとそれほどの規模にならないかもしれないって、その辺りが皆さん考えるようなポイントかなと思っています。という中であの、不動産と建設の領域で展開してらっしゃるわけですけども、その契約を抑えるとその前後工程で例えば営業の案件管理みたいなったり、あるいは契約を巻くまでに不動産業界の現地調査とか、役所調査とか。
契約をしたら保管をしなきゃいけないとか、そういう周辺の様々な事業機会があるんじゃないかというようなお話をされていらっしゃって。まだそのあたりがプロダクトでしっかり落ちているような時期ではなかったですけども、そういった可能性がすごくあるんじゃないかというところが一つ、法律の変化から事業の展開可能性があるんじゃないかという風に感じたのが一点ですかね。あとは代表の普家さんがそのハウスメーカーのトップ営業マンで。
石橋
へえ、ゴリゴリの営業マンの人なんすね。
白川
そう、はい。なんで業界のことがすごくお詳しいと。それでプロダクトを作っていきたいというお話だったんですけども、よくあるのはそのトップ営業マンの方が何を作ればいいか分かっていても、チームがない。
石橋
うん、間違いない。
白川
だからプロダクトが作れなかったり、ビジネスサイドがスタートアップ的なものではなかったりする中で、開発チーム、体制が整っていたんですよね。創業初期から代表の普家さんいらっしゃって、CTOの方いらっしゃって、ビジネスサイドの方もいらっしゃって、かつそのコーポレートもいらっしゃったので。実際にオフィスに伺わしていただいて、チームの皆さんにお会いさせていただいて、一体感がすごくてですね。これは大きな構想を実現できるんじゃないかというようなところですね。
石橋
ちなみにもし覚えてらっしゃったら構わないんですけど、先ほど第1弾の動画で投資した後にmintさんとか白川さんたちと次のラウンドどういう姿でやっていこうというところお話するってところも、個人的にはすごい印象的だったんですけど。2年前に投資されたPICKさんの場合は、それこそ業界特化型のそのソリューションというかビジネスやってらっしゃるので、どういうところまで持っていけるとこのシードラウンドはいいよねみたいな話とかされてたかとかって覚えてらっしゃいますか。
白川
そうですね、難しいんですけれども、やっぱり電子契約の文化がまだまだなくて、これから作っていくというタイミングだったので。めんどくさいなとか、こちらはまだいいかなとか、やっぱり断られることが多いんじゃないかなと。なので大手の有名な企業さんに導入いただいて、そこでモメンタムを作って広がっていくといいかもねっていう、そういったところが一つ事業展開としてはあったと思います。
実際にそこから2年経って大手のエンタープライズの企業さん導入が進んできて、それを皮切りに中堅の企業さんもたくさん使っていただくというような形になってきて。それが一つ、当時考えてたポイントだったかなとは思います。
あとはエクイティストーリーの観点で、電子契約単一のプロダクトとして伝えていくと少しマーケットサイズの懸念も出てくるかもしれないなというところもあったので。そういう意味では営業を通じて色々なインタビューを並行して、実際に当時想定されていらっしゃったような機能がどれぐらい受け入れられるとか、何があったらいくらで売れてとか、そういうもののインタビューというか、非常に重要かなと考えていたんですけども。そのあたりが実際に進捗してきたというところも一つ大きかったかなとは思います。そのあたりをちょっと並行して確認しようというような話だったかなとは思います。
石橋
ありがとうございます。まさに今後の彼らに期待するところとしても、なんか業界のインフラじゃないですけど、契約のところから入ってまるごと全部取っていくっていうのを、成長としては期待してるって感じなんですかね。
白川
そうですね。投資家の方向けのメッセージで言うと、エンタープライズのお客さんが大きな金額で使ってくださっていると。オールインワンですよね。一つのプロダクトだけではなくて複数の商品がお客様に反響がすでにある状況で、それがますます広がっていくっていう、そういう市場の大きさみたいなところが事業として広がっていくポイントかなとは思いますね。
石橋
ありがとうございます。改めて3社の具体例をお伺いしてきたんですけれども、是非第1弾でもお願いしましたが、こういう起業家に会っていきたい、探しているんだというのを最後にエモいをお願いできればと思います。
白川
はい、そうですね。我々としては特定例えばシリアルアントレプレナーの方に投資するとかではなくて、業種も幅広く、バックグラウンドも学生家の方から大企業のエースの方から、士業の方から、その業界にご私見ある方から、シリアルアントレプレナーの方まで幅広く投資させていただいています。どこからでも素晴らしい成功されるような企業さんたくさん出てこられるという風に思いますし、それこそ東京だけではなく、色々な地域の起業家からも色々な事例が出てきていると思いますんで。起業家の皆さんを一生懸命応援していきたいという風に思ってますので、是非幅広くご連絡いただければなと思います。
石橋
ありがとうございます。是非mintさんにお話聞いてみたい、聞いていただきたいという方は、お問い合わせの方をお願いできればと思っております。それでは白川さん、2本に渡りまして改めてご出演ありがとうございます。
白川
ありがとうございます。
