【CVC】自社資金で100億円!達成するための秘話語る【エムスリー 近藤 一行 Vol.1】

◯近藤 一行 エムスリー株式会社 事業開発グループ CVCチーム チームリーダー
エムスリー株式会社 HP▶︎ https://corporate.m3.com/
大学在学中に日本に大事なのはベンチャー育成と思いVCを志す。
新卒で政府系VCに就職するもリーマンショックを経験し会社がVC活動を休止。
社会の為、医療に貢献でき、かつベンチャー企業の育成ができる
エムスリー株式会社に2009年に入社。
M&Aを10年で約20件担当し、2019年からは1人1円ファンドの立ち上げとともに
ベンチャー投資を専業として活動。
現在はエムスリーがグループ化した子会社2社の社外取締役も務めながら
CVCチームのチームリーダーとして最前線で活躍中(担当先のIPOは7社)

医師31万人が登録するプラットフォームを運営

石橋:
みなさんこんにちは。「スタートアップ投資TV」、Gazelle Capitalの石橋です。

今回ですね、メディア露出が非常に少ない方々なのかなと勝手ながら思っているところですので、視聴者の方も知らない方もいるかもしれないんですが、エムスリー株式会社CVCチーム、チームリーダーの近藤さんにご出演をいただいておりますので、今日から近藤さん、よろしくお願いします。

近藤:
よろしくお願いします。

石橋:
僕自身はシンプルにはもうよく存じ上げている会社さんなので、非常に今日も楽しみにしてましたし、動画コンテンツとしては初めて近藤さんも露出されるってことでしたので、つまびらかにって言ったら言い過ぎかもしれませんが、忖度なくオープンにしていきたいなと思っているんですけれども。

この番組見ている方々ですと、エムスリーさんのお名前聞いたことある方の方が多いかと思いつつも、正しく細かくちゃんと、じゃあどんな会社なのかって理解できている方も少ないのかなと思いますので、改めてちょっとCVCの話に移る前にですね、近藤さんからエムスリー社自体がどんな歴史でどんな事業を今やられていらっしゃるのかとか、どんな今、規模なのかみたいなところをちょっと簡単にかいつまんでご説明いただければと思いますが、お願いしてもよろしいでしょうか?

近藤:
はい、承知いたしました。弊社のミッションはですね、インターネットを活用して健康で長生きする人を1人でも増やして、不必要な医療コストを1円でも減らすということでして。

国内でですね、31万人以上のお医者さんが登録するm3.comというウェブサイトをメインで運営しておりまして、それをコアに製薬会社さんのマーケティングのご支援とか治験のご支援などをやらせていただいている会社です。

石橋:
いわゆる業界再大手と言っても、基本的には差し障りないような形なんですよね。

近藤:
そうですね。

石橋:
ありがとうございます。

2005年から始まったプライベートエクイティ型投資

石橋:
逆に、いつぐらいからそのエムスリーさんとしてはスタートアップへの事業投資活動を始めていらっしゃったんですか?

近藤:
2005年ぐらいからです。

石橋:
結構前ですね。もともとのきっかけとかってどういったところからだったんですか?

近藤:
私、2009年に実は入社しまして、その場には立ち会ってはないんですけども、イメージとしてはヘルスケア業界に特化したですね、プライベートエクイティ事業みたいな形でやらせていただいてまして。

M&Aもかなり弊社やっているので、M&Aからやっているイメージがある方もいらっしゃるかなと思うんですけども、ベンチャー投資の方もやらせていただいて、有望なベンチャーさんに投資をさせていただいて新しい価値を社会に創出していくっていうようなこともやらせていただいてます。

100億円規模の「1人一円ファンド」の実態

石橋:
ありがとうございます。今ちょっとお話も出てまいりましたが、CVC側のお話をちょっといろいろお伺いしていきたいと思っていまして。

いわゆるCVCさんですと、例えばファンドを作っていらっしゃる方々であれば何十億とか何百億のファンドにしてますとか、ファンドにせずに今バランスシート、BSから直接投資される場合も、年間このぐらいは投資していこうみたいなことをなんとなく決めていらっしゃる方々も多いのかなと思うんですけれども。

エムスリーさんのCVCの場合は、年間なのか、もうちょっと大きい単位で何か数字の目標を決めていらっしゃるとか、何か決まっていることとかってあられるんですか?

近藤:
今はですね、2019年の後半から「1人一円ファンド」という名前でリブランディングしてベンチャー投資活動をさせていただいてまして、その時に100億円の枠を決めてやらせていただいています。

基本的には10年間でファンドみたいにやっていこうということでやってるんですけども、実際のところは弊社の本体から引っ張る投資という形なので、BSからの出資になります。

石橋:
なるほどですね。逆に100億円を10年間で単純に按分してしまうと1年で10億円くらいなのかなと思いつつ、ファンドっぽくなるともう少し投資期間も区切ってらっしゃるのかなと思うんですけれども。

だいたい投資されるシーンでなるとどのぐらいの規模のスタートアップの方が多くて、1社当たりどのぐらい、金額で言うと中央値というか、多いと言ったりするんですか?

近藤:
ステージはかなりまちまちでして、シードと言ってもプレシリーズAくらいからですね、レイターステージの会社さんもあれば、実はベンチャー企業だけじゃなくてですね、上場企業に対するいわゆるPIPEs投資っていうようなものですとか、プライベートエクイティファンドさんと一緒に投資させていただくバイアウト投資みたいなところもやらせていただいていまして。

本当にいろんなありとあらゆるですね、投資機会に出資していこうというような形でやらせていただいています。

石橋:
それはじゃあ、あくまでも100億円という枠組みは、まさに今お話しいただいたようにスタートアップ投資だけではない予算感というようなイメージであって、そのバランスというか、100億円に対してスタートアップ投資はこのぐらいだよねっていうのは、なんとなく決まっていらっしゃるものなんですか?

近藤:
ここはもうかなりフレキシブルにやってるんで、特にないですね。

石橋:
理解です、理解です。

プレシリーズAから上場企業まで、フレキシブルな投資スタイル

石橋:
逆にスタートアップ投資の場合は、先ほどラウンド感で言うと早く入ればプレAとかそのぐらいっておっしゃってましたけれども、一社に対して投資する、例えば金額感とか、取得比率であるとか、リード投資なのかフォロー投資なのかとか、投資のあり方、こだわりとかってあられるものなんですか?

近藤:
かなりケースバイケースだと思ってまして、プレシリーズAだと1億円くらいとかですね、その後のステージだと数億円くらいのイメージのロット感でして、リードとかフォローについてもフレキシブルな方針でやらせていただいています。

石橋:
投資のあり方自体がフレキシブルとなると、投資した後のコミュニケーションのあり方とかも本当にケースバイケースで、起業家の方のリクエストに合わせてるっていうぐらいなんですか?

近藤:
そうですね、もう本当にケースバイケースでして、シェアも本当にマチマチですし、事業内容としてもかなりマチマチなところもございますので、本当にそこはケースバイケースでやらせていただいてます。

石橋:
理解です、理解です。そのメディカル領域特化ってなると、起業家の方がエムスリーさんとのその後の連携とかを起業家側が期待値を持って近藤さんたちとかCVCの方にお話を持ってくるケースもあると思うんですけれども。

あくまでも事業連携ありきのCVC投資等というわけではなくて、プライベートエクイティ色が強いみたいなお話いただきましたけど、内容は投資後だと投資先と事業連携とかもっていうのも、なんだかんだ積極的にはやってらっしゃるものなんですか?

近藤:
もちろんやらせていただいてまして、基本的にシナジーっていうのは弊社が投資先に貢献させていただく方の、そっちのベクトルのシナジーを考えてまして、投資だけじゃなくて投資先の企業様のグロースに貢献していきたいと思ってやらせていただいてます。

ケースバイケースで「こんなことをやりたい」というふうにご要望いただくようなこともございますし、逆に弊社の方から新規事業のディスカッションみたいな形でお時間いただくようなこともございますし、そこもケースバイケースで取り組ませていただいてます。

検討期間は2〜3ヶ月、一般的なVCと同等のスピード感

石橋:
ちなみにいわゆるその投資に至るまでの検討期間みたいなところですと、CVCの方だと一般的に、それこそ事業連携が本当にできるのかどうかとか、現場の人たちのすり合わせとかっていうプロセスが入ってくることもままあり、結果、検討期間も長くなる傾向は強いのかなと思うんですけれども。

エムスリーさんの場合は、大体ファーストコンタクトされて、もちろん投資金額の規模にもよるとは思うんですけれども、大体どのぐらい検討期間を起業家の方としては想定しておくと良いんでしょうか?

近藤:
そこはもう一般的なベンチャーキャピタルさんとそんなに変わらないようなイメージで、2、3ヶ月くらいの検討期間のイメージです。

石橋:
じゃあ本当に、まずは勝手にその起業家の方々が「エムスリーさん、こういうところはやるのかな、やらないのかな」と決めつけすぎず、フレキシブルでいらっしゃると思うので、自分自身の事業がメディカル領域かなと思われる方は、まずはドアノックしてお話を聞いてみる方が良さそうという感じなんですかね?

近藤:
そこの投資対象のところもですね、柔軟に取り組まさせていただいてまして、基本的には弊社が関わることで何らかのバリューアップに貢献できるような事業内容っていうようなイメージで考えております。

必ずしもメディカル領域に限定されているわけでもなくですね、ホリゾンタルなITベンチャーさんとかにも投資させていただいておりまして、そういった会社さんとはですね、メディカル領域への新規事業展開とかですね、事業開発みたいなイメージで、その部分について弊社がお手伝いさせていただくというようなイメージで投資させていただいてます。

HANOWA、WizWe、GiverLinkなど多様な投資先

石橋:
ありがとうございます。まさに今、一部ちょっと投資先のお話にもなってきたので、近藤さんが今までどういうところに投資をされていらっしゃるのかというところも、もし差し支えなければお名前とか、どういう会社さんでサービスをやられているのかとお伺いできればと思うんですけど。

例えばどんなところが近藤さんの分かりやすい投資先としてはいらっしゃるんでしょうか?

近藤:
直近だとですね、まさにGazelle Capitalさんとご一緒させていただいている歯科医院向けのシェアリングプラットフォームのHANOWAさんとかですね。

あとは習慣化のプラットフォーム事業をやっていらっしゃるWizWeさんに投資させていただいたりですとか、仙台の会社なんですけれども、介護DXのプラットフォームになりたいと考えていらっしゃるGiverLinkさんという会社に出資させていただいてます。

石橋:
先ほどご紹介いただいたHANOWAというところは、第3話のほうでもいろいろまた触れていこうと思っておりますので、そちらのどういうプロセスで投資いただいてるんだっけ、みたいなところはぜひ第3話を見逃さず見ていただければと思うんですが。

僕の勝手なイメージで、やっぱりエムスリーさん、めちゃめちゃ大きい会社さんですし、特にスタートアップ界隈のメディアへの露出というのは比較的今まで少なかったのかなと思うと、コンタクトへのハードルっていうのがやっぱり低いってことは絶対ないだろうなと思ってはいるんですけれども。

どういうふうにして近藤さんないしはエムスリーのCVCチームの方々と出会われているケースっていうのは多いんですか?

近藤:
GiverLinkさんの場合は、まさに私の方からですね、アプローチさせていただきまして、お会いさせていただいたという経緯で投資させていただいてますし。

出会いのケースって様々なんですけども、あるベンチャーキャピタルさんからご紹介いただくこともあれば、WizWeさんの場合はフォースタートアップスさんにお世話になってまして、ちょうどファイナンス中ということでご案内いただいたというような経緯でございます。

石橋:
じゃあ本当に、ご自身たちが日々探していらっしゃるというところもあれば、問い合わせとかご紹介とかからのご縁も全然あるって感じなんですね。

近藤:
そうですね。運営させていただいております「1人1円ファンド」のウェブサイトでもですね、結構お問い合わせいただいて、実際に、基本的にはお会いさせていただいてますので。

石橋:
ありがとうございます。動画の概要欄にもですね、「1人1円ファンド」さんのURL、記載をさせていただいておりますので、今日ちょっとお話聞いてみていただいて、「まずは話してみたいな」みたいなところあれば、ぜひコンタクトの方してみていただければ良いのかなと思っております。

ヘルスケア領域特化で事業・経営支援を提供

石橋:
最後に1個だけご質問をさせていただいて、一言ご回答いただきながら締めていければなと思うんですけれども。

今回の動画ではどういうCVCなのかというところをお伺いしてまいりましたので、改めて近藤さんの中で、一言でエムスリー株式会社のCVCチームを表現するとしたらどんなCVCなのかというところで、一言ご回答いただいて締めていければと思いますが、ちょっと無茶ぶり気味ですがお願いしてもよろしいでしょうか?

近藤:
ヘルスケア領域に特化させていただいてますので、事業とか経営のご支援というところではお役に立ちたいと思っておりますので、ぜひ何かございましたらご連絡ください。

石橋:
ありがとうございます。それでは視聴者の皆様ですね、第2話も第3話もこの後続いてまいりますので、ぜひ引き続きご覧ください。

それではありがとうございました。

【CVC】新卒からVC業界へ!長く活躍する秘訣とは?【エムスリー 近藤 一行 Vol.2】

新卒でVC業界へ。『アメリカを作ったベンチャーキャピタリスト』との出会い

石橋:
今回もエムスリーの近藤さんに来ていただいております。聞くところによると約14年間ぐらいエムスリーさんの中でCVCのご担当をされ続けていらっしゃるとお話を伺ってまいりましたので。

業界に転職されてきてる人増えてるんですけど、3、4年ぐらいで大体みんないなくなっちゃうなとか、本当にいい意味なのか悪い意味なのかわからないですけど、長くやり続けていらっしゃるプレイヤーの方って本当に限られてるなっていうのは素直に思うところでもありまして。

僕も言うてもまだ7年目ぐらいですし、どういう思いを持ってそこでやっていらっしゃるのか、ちょっといろいろとまたお伺いをしていこうと思うんですけれども、第一段階としてどういうキャリアの出発点でいらっしゃるんですか。

近藤:
私は新卒でVCに入った、いわゆる新卒VC組というかですね。

石橋:
そうなんですね。もともと学生時代からVCやりたくてみたいなキャリアの順番になっているんですか?

近藤:
そうですね、もともと大学時代工学部だったんですけれども、大学院で技術経営みたいな授業とかもあってですね、その中でベンチャーキャピタルの存在を知りまして。

結構大学時代は就活もさせていただいて、何やろうかなというふうに自己分析とかもした時に、人生で意味のあることをやりたいなというふうに思ったんですね。

大学時代は結構海外に行ったりもさせていただいたので、日本のためになることをやりたいというふうに思って、ベンチャーキャピタルのことも知っていたので、日本にとって大切なのはベンチャーの育成なんじゃないかというふうにその時に思いまして。

『アメリカを作ったベンチャーキャピタリスト』っていう本があって。

石橋:
有名ですね。

近藤:
GoogleとかAmazonとかに投資したベンチャーキャピタルのレジェンドたちがですね、語り合うっていう本なんですけども、それを読んですごいピンときてですね、「よし、ベンチャーキャピタルだ」って思って、新卒でベンチャーキャピタルを受けたんですよね。

リーマンショックを経てエムスリーへ。2009年の転職

石橋:
エムスリーさんのCVC部門が新卒ってことなんですけど、そこは転職でいらっしゃっているってことなんですか?

近藤:
一旦、政府系のベンチャーキャピタルに入りまして、その後ですね、そこで3年くらい働いたんですけれども、当時リーマンショックっていうのがございまして。

石橋:
そっか、そういうタイミングだったんですね。

近藤:
そこで私がいたところも、ちょっとベンチャー投資活動を休止するということにもなりまして。今では想像できないぐらいですね、日本のベンチャーキャピタル業界、非常に冷え込んだ時期でして。新規投資もやらないっていうようなところもたくさんあったりとか。

リストラみたいなことかもありまして、かなり大変な時期でしたので、私もそういうことになってしまったので、ただベンチャー投資自体は続けたいと思っていたので、募集をしていたエムスリーに入社したというのが2009年の3月ですかね。

石橋:
そういうタイミングだと、ちゃんとキャッシュフローもあられる事業会社さんじゃないとスタートアップ投資もしてなかったって感じだったんですか?転職された時。

近藤:
当時もう本当に冷え込んでたんで、あんまりなかったですね。

石橋:
特にメディカル領域を選ばれてっていうよりかは、日本のこれからを考えればメディカル領域っていうところをどうにかしないといけないから、やっぱりエムスリーさんっていう感じの選択肢にもつながってくるんですか?

近藤:
そこはいくつか比較させていただいたんですけれども、自分が人生を通して何をやりたいかなと思った時に、社会に貢献していくようなことがやりたいと思いまして。

そしてやっぱり医療というのがすごいピンときてですね、医療xベンチャーみたいな。

これで医療に貢献しつつ、ベンチャー企業の育成というところにも貢献したいと思ってエムスリーに入社させていただいたというのが経緯ですね。

石橋:
めちゃめちゃわかりやすいですね。

新卒VCの苦労と初投資。運命の電話から始まったIPO案件

石橋:
このYouTubeのコンテンツだと『スタートアップ融資相談室』というところでモデレーターを務めている近藤というメンバーが、第二新卒でベンチャーキャピタル業界入りしているんですけど、当時で言うとなおさら新卒VCの人ってもっとパイ少なかったと思うんですけど、苦労されたところとか当時から工夫されていたところとかって何かあられるんですか?

近藤:
皆さん共通されていると思いますけど、私ももともと理系でバリバリ研究してたので、そこでいきなりベンチャーキャピタルに入って、初めはかなり苦労してですね。

かなり勉強もしましたし、特にソーシングのところもどうやったらいいかわからないので、先輩とかにも教えていただきながら、かなり試行錯誤して、なんとか1件目投資してっていうような、そういうのを積み重ねてきたという感じですかね。

石橋:
ちなみに公開されているところが1件目の投資先でいらっしゃるんですか?

近藤:
実は初めて投資できたところっていうのは、株式会社フォトクリエイトという会社で、実は上場もしたんですよね。

ただ、たまたま会社宛てに電話がかかってきた案件で、そのたまたま取ったのが私だったという。本当に運が良かっただけなんですけど。

石橋:
それでご担当されて投資実行されて。

近藤:
私が辞めた後なんですけどね、IPOをされてっていうような形ですかね。

石橋:
ご前職の投資先ってことですかね。ご前職時代合わせると、じゃあもう正味17年ぐらい業界にずっといらっしゃっているってことなんですね。

M&A案件20件を手がけた経験。幅広いプライベートエクイティ投資

近藤:
エムスリーに入った後はですね、M&Aも強化していきたいということだったので、M&Aの方をむしろちょっとメインで、その後10年くらいはやらせていただきまして。

石橋:
1人1円ファンドが始まるタイミングで、よりまたCVC投資というか、そこに注力されるようになってきたというタイミングだったんですか?

近藤:
そうですね。2019年のタイミングで、私はもうベンチャー専業になりまして、その前はむしろM&Aの方メインで、年間2件ぐらい、10年なんで20件ぐらい自分でやらせていただいてですね。

エムスリーのM&Aだと1人で1件担当していくっていうような形で、PMIっていうの買収後のプロセスにも関わるっていう風にやらせていただいてるんで、そこで結構学びになったこともありましてですね。

石橋:
直近しかもIPOされましたよね?CUCさん。あれはM&A扱いになるんですか?

近藤:
あれは子会社のIPOっていう形で、またちょっと別な考え方ですかね。

石橋:
第1話のお話でもそうでしたけど、本当に幅広にプライベートエクイティ投資活動をだいぶやってらっしゃるって感じなんですね。

近藤:
そうですね。実はその時に私が担当させていただいてグループにも入った会社の社外取締役を、今はもうやってるようなところが2社ほどありまして。

一社は医療系の大手の広告代理店で、もう一社は医学論文の支援をするような会社で、グローバルにですね、日本と中華人民共和国とカナダに拠点があるような会社で。

そういったところのノウハウもですね、活用しつつベンチャー企業さんに還元していきたいなというふうに活動しています。

二人三脚で新しい価値を。ベンチャーキャピタリストという仕事の魅力

石橋:
改めて近藤さんがどういう思いを持ってCVC活動であるとかベンチャー投資活動であるとかやられているのかであるとか、なぜそれがエムスリーさんというフィールドであり続けているのかというのも、すごく納得感のいくようなお話だったんですけど。

近藤さんご自身にとってベンチャーキャピタリストというお仕事自体、特に、と言うとエムスリーさんの中でのベンチャーキャピタリストってお仕事がどういうところに意義があるのか、最後にお一言、視聴者の方に共有いただいて締めていければと思いますが、お願いしてもよろしいでしょうか。

近藤:
夢を持ってですね、事業を立ち上げてやっていらっしゃるスタートアップの経営者の方とですね、本当に二人三脚でいろいろご支援をして、一緒に成功を作っていくっていうようなところ、社会の新しい価値を作っていくっていうところが、非常に魅力的な職業というのがベンチャーキャピタルなのかなと思っています。

石橋:
ありがとうございます。場合によってはこの中に転職とかにも関心ある方が一部いらっしゃるかと思いますので、エムスリーさんのCVCにもし転職とかお仕事として関心ある場合って、見たらいいものってありました?

近藤:
採用活動もアナウンスさせていただいてますので、ぜひご応募ください。

石橋:
承知いたしました。概要欄の方にそのURLも記載させていただいておりますので、そちらの方も見ていただければなと思います。

【日本一】IPO率が最も高いCVCが語る 起業家の見極め方|【エムスリー 近藤 一行 Vol.3】

週1回の経営会議で迅速な意思決定を実現

石橋:
今回は第3話目となりますので、少しテーマトークっぽくお話をしていければと思っているんですけれども、僕の業界相対比情報で言うと、おそらくCVCとして投資活動されている中では投資先の数に対して最もIPOの率が高いというのがエムスリーさんのCVCさんなんじゃないかなと勝手ながら思っております。

IPOの数も多いですし、率も高ければ素晴らしい会社の方が皆さん多いなっていうのは忖度抜きに感じるところでもありますし、改めてそういうところのエムスリーさんに今回投資事業面でもご一緒させていただいた株式会社HANOWAという会社の僕らもさらに期待感が高まるところでもあるなと思ってはいるんですけれども。

通常のVCさんと同じくらい検討期間としては2〜3ヶ月間ぐらいが多いですよねってお話、第1話からいただいたかと思うんですけれども、どういう検討会があって、こういうプレゼン会があって、こういう面談があってみたいなプロセス自体はどういう風な設計になっていらっしゃるんですか?

近藤:
はい、あまり一般的なベンチャーキャピタルと変わらないところもあるんですけれども、初回にご面談させていただきまして、そこからですね、本格的に検討するかどうかっていうところで、検討させていただけるのであればNDAを締結させていただきまして、デューデリジェンスをさせていただきます。

その後ですね、弊社の役員とですね、直接会っていただいて直接プレゼンテーションをしていただくという機会を設定をお願いしてましてですね、そこでオッケーであれば週1回の経営会議のタイミングで決裁をさせていただくっていう、そういう流れでやっています。

石橋:
実際役員会みたいなものが毎週のように行われていて、そこで都度近藤さんたちのチームの方から起業家も伴って提案をしているって感じなんですか?

近藤:
起業家の方と弊社の役員でお会いいただくっていうのは都度設定させていただくんですけども、いわゆる投資委員会の代わりにですね、弊社のプリンシパル投資で本体でやっていただいてますんで、エムスリーの経営会議が毎週あるんですね。そこで投資の決裁をするという意味合いでございます。

石橋:
高い頻度でもやっていらっしゃるからこそ、VCさんと同じ稼働水準以上のスピード感をちゃんと持ちながら、スピーディーなデューデリジェンスもできているっていう感じなんですかね。

近藤:
結構スピーディーに意識して意思決定させていただいてます。

石橋:
今回、HANOWAさんのお話聞いてても、1月下旬頃に改めて近藤さんとのお話が始まって、2ヶ月弱ぐらいで全部まとまったみたいなところをお伺いしていたので本当に迅速にご対応いただけるんだなって印象は受けているんですけれども。

投資判断の3つの軸:チーム・競合優位性・経済合理性

石橋:
もちろん近藤さんが日々ご面談をしている起業家の方々全てが本格検討フェーズに至ったりですとか、全てが経営会議に持ち込まれるわけでは当然ないとは思うんですけれども、CVCの方々がこれはじゃあ経営会議出していこう、場合によってはその経営会議ではこういうことやっぱりすごくツッコミがあるよねみたいなポイントっていうのがいくつかあられるのかなと思うんですが。

エムスリーさんとしてはこういうところはやっぱ外せないよねとか、もちろんこういうところを満たしてないとやっぱなかなか経営会議にやっぱ出せないよねとかっていう、何かそういういくつかの検討ポイント、重要視しているところって何かあられるんでしょうか?

近藤:
主には3つございまして、一つ目が経営陣の方がどうかっていうところ、二つ目が競合優位性のようなところ、三つ目がどうしても事業としてやらせていただいていますんで、投資のリターン、この3点を重視しています。

石橋:
チームについてでいうとどういうところが満たされてないとやはりなかなか難しそうだというか、ご判断になったりするんでしょうか。

近藤:
ステージによって変わってくるのかなっていうところもあるんですけれども、共通して言えるところとしては、投資してから長い期間お付き合いすることにもなりますし、同じ船に乗ってやっていくっていうところがあるので、信頼関係を構築できるのかどうかっていうところが一番大切なのかなというふうには思っています。

経営者の「改善能力」を見極める

石橋:
そこの部分って近藤さんだとどういうところで感じられたりとか判断されたりとかされるんですか?

近藤:
なんとも言えないところがあるんですけども。

石橋:
言語化しにくいですもんね。

近藤:
デューデリジェンスの過程で何度かQ&Aとかもさせていただきながらどうなのかなというところもございますし、HANOWAさんの場合ですね、デューデリジェンスの過程でも色々こうディスカッションさせていただきまして、その過程でいいと思ったことはですね、即座に反映させてですね。

石橋:
新井さん、そんな感じですね。

近藤:
結構資料をすぐにアップデートしたりとか、改善能力みたいなところがすごくいいなというふうに思ったりもしたというところも結構良かったなと思ったところですね。

石橋:
ありがとうございます。

HANOWAの競合優位性:3つの観点から評価

石橋:
逆にその2点目のその競合優位性みたいなところで言うと、いろんな業界業種によっても何をもってそれとするのかというところは難しいポイントだと思うんですけど、今回で言うとHANOWAさんがわかりやすい事例かなと思うので、改めてやっている事業体で言うと、シンプルに言うと医科歯科人材にフォーカスをしたタイミーさんみたいなサービスをやっていらっしゃるんですけれども。

改めてHANOWAさんの競合優位性みたいなところで言うと、どういったところで感じられたんでしょうか?

近藤:
3つあるんですけども、1つ目は先行優位性っていうところで、いち早く市場のニーズに気づいてですね、サービスインされて順調に伸ばしていらっしゃるというところで、ニッチな領域で参入するにも一定の専門性も必要なので、先行する優位性があるでしょうというところと。

2点目はですね、事業モデル上ネットワーク効果が働くビジネスなので、このまま歯科衛生士さん同士とか医師同士とかですね、もしくは歯科衛生士さんと歯科医師さんの間とかですね、そういったところでうまくネットワーク効果が働いて拡大していけるんじゃないかっていうのが2点目で。

3点目はですね、スイッチングコストが結構高いというところで、サイト上にレビューとかも溜まっていきますし、実績としてそんなに離脱されているような方もいらっしゃらないということで、こういったところでそれが逆に参入障壁とかにもなってきて、このリードを拡大していけるんじゃないかというふうに考えました。

石橋:
ありがとうございます。HANOWAの新井さんも多分見ていただいてると思うので、こんな感じのところが評価していただけたんだなっていうのは、いい意味で僕らにとってもシェアになりましたし、新井さんにもそこぜひ使って伸ばしていってもらえればなとは僕ら自身も含めてですね、勝手に期待しているところでもございます。

役員が直接面談で「人間性」を確認

石橋:
3点目で言うと、もちろん投資事業でもありますのでちゃんと経済合理性が合うのかってところは、まあそれは当然だなとは思うんですけれども、検討会のプロセスの中で最後にその経営会議で役員の方々がってお話もありましたが、基本的には役員の皆さんももちろんエムスリー社という巨大な会社を成長させてきていただいているようなボードメンバー、場合によっては創業者の方なのかなと思いつつ。

そこの観点以外で経営会議では特にこういう質問出てくるなとか、ここの部分すごくよく突っ込みが入るなみたいなポイントって、何かまた違う観点であられたりするんですか?それともおおむね共通してるんですか?

近藤:
そこはおおむね共通してまして、先ほど申し上げた信頼関係といいますか、経営者の方の人柄みたいな、人間性みたいな部分については、弊社の役員が直接ですね、スタートアップの方とお会いさせていただいて、直にそういったところも含めて確認させていただくというようなプロセスを踏ませていただいています。

石橋:
だからこそきちんとご面談というか、直接プレゼンテーションする機会があるというのはまさにそれっていう感じですかね。ありがとうございます。

そうやって聞くと、ますます結果的にやっぱりチームの皆さんの見極める能力が高いというところにしか帰結しないなと思いつつ、なんでそんなに投資先IPO率が高いのかというところで、新しいエッセンスのお話だったのかって言われると、そこは確かに重要視している投資家の他の皆さんもいらっしゃる中で。

とはいえじゃあそんだけIPOを出していらっしゃるのは、それ以外にもデューデリジェンスの能力であるとか、経営会議での人の見極めのところですとか、というところの精度がやっぱ高いんだろうなっていうのは素直に感じるところではありましたので、HANOWAさんも見ていただいていると思いますが、僕らもですね、せっかくこうやって一緒に投資させていただくご縁ができましたので、引き続き色々と学ばせていただければと思います。

起業家へのメッセージ:黒字化とアップサイドを語れ

石橋:
最後に今回もご質問一つさせていただきたいと思ってまして、いくつかのポイントある中で、今後ベンチャーキャピタルから出資を受けたい起業家の方々に、ここは本当に一丁目一番地だからちゃんとケアしていきましょうみたいな、さっきのエムスリーさんのエッセンスではなくても構わないんですけれども、一つ言うとするならばみたいなメッセージ頂ければと思っておりまして、お願いしてもよろしいでしょうか?

近藤:
今だとやっぱりどうしても市場環境が悪いところがあるので、次のファイナンスに苦戦してしまうんじゃないかっていう風に危惧される投資家さんもいらっしゃると思うんで、黒字化の蓋然性とか、リスクとリターンっていう兼ね合いで申し上げますと、今後の成長の可能性というかアップサイドのポテンシャルを解像度高く説明することっていうのが結構重要なんじゃないかなとは思いました。

石橋:
ありがとうございます。もし市況感が良くなったとしても多分忘れちゃいけないところなんだろうなと本当に思いますし、逆にまあこういう市況感だからこそ第2話でお話しいただいたリーマンショック前後とかで言うと、もっと冷え込んでいてスタートアップの方で言うと調達環境悪かったってタイミングなのかなとも思いますので。

いずれの市況感でもブレずに事業のことを考えて生き残り続けられるような経営体制を作るっていうのがやっぱり大事なのかもしれないですね。

近藤:
そうですね。

石橋:
ありがとうございます。改めて近藤さん、全3回にわたってご出演ありがとうございました。

近藤:
ありがとうございました。