【100億円規模のファンド】伊藤忠グループとしての強みを活かした独立系VCを徹底解説!【伊藤忠テクノロジーベンチャーズ 山下さん vol.01】

◯山下亮 伊藤忠テクノロジーベンチャーズ
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2017年伊藤忠商事(株)に入社
金融・保険部門に所属し、国内リテール保険の販売事業、国内外グループ会社の経営管理・支援、国内事業会社のM&Aやグループ間シナジーの創出、 スタートアップ投資・営業支援を担当する。2022年にVCに転職
2023年2月より伊藤忠テクノロジーベンチャーズに入社、現職に至る。

石橋
皆さんこんにちは、スタートアップ投資TV、GazelleCapitalの石橋です。
今回からはですね、伊藤忠テクノロジーベンチャーズのプリンシパルでいらっしゃる山下亮さんにご出演をいただきますので、今回からよろしくお願いいたします。

山下
よろしくお願いいたします。

石橋
もともと色々な飲み会などでもご一緒することがありますが、あまり突っ込んで山下さんのお話伺うことってなかったなと思うので。

山下
そうですね、はい。

石橋
この間の吉祥寺でご一緒した時に、思ったより若いということに結構、素直にびっくりして。意外ともう少し勝手に上の人かと思ってたんですけど。

その辺りのどういうご経歴なのかというところは、第2弾でもお伺いをしていこうと思ってますが、今回は第1弾なので、そもそも伊藤忠テクノロジーベンチャーズさんってどんなVCさんなのか、みたいなところをお伺いをしていきたいと思っています。

改めてそもそも知らない人はいないと思いますが、伊藤忠ってどんな会社で、そもそもどういう経緯でVCとして始まったみたいなところですとか、どういう規模感でやっているのか。
伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、略してITVと言いますが、ITVさんはどんな機能としてやられているのかなど、教えていただいてもよろしいでしょうか。

山下
はい、ありがとうございます。伊藤忠テクノロジーベンチャーズは2000年に創業しております。

石橋
もう約25年やっていらっしゃるんですか?

山下
そうなんですよ。意外と古いというか、業界では老舗にあたる会社かと思います。

石橋
間違いないですね。

山下
ITVの元を辿っていくとですね、伊藤忠商事のアメリカでの事業がスタートになっています。

石橋
へえ。アメリカからなんですね。

山下
そうなんです。当時、インターネットの走りがけでサン・マイクロシステムズという会社がありましたが、そこの日本代理店みたいなものを、今CTC(伊藤忠テクノソリューションズ)になっている会社がやりました。それで日本でしこたまSunワークステーションを売ったというのが、シリコンバレーを中心に伊藤忠商事ってそういうちゃんと売ってくれる会社なんだよ、という認知ができたのが一番最初のきっかけです。

その流れもあって、当時サン・マイクロシステムズにいたビノッド・コースラさんという方がいらっしゃるんですが、後のコースラベンチャーズのパートナーさんをされてる方なんですけど、その方がサン・マイクロシステムズの後に実はクライナー・パーキンスというVCのパートナーをされた時に、弊社の代表の中野がシリコンバレーに行って「現地のVCエコシステムってどうなっているのか」を調査してくるっていうところから、実はITVが始まるきっかけができたというかたちです。

その後、伊藤忠商事から、アメリカのVCで今で言うとアンドリーセンやNEAもそうなんですけど、LP出資を30年ぐらいずっとやっているのもあって。

石橋
へえ。すごい。

山下
そういう流れの中で1999年にマザーズができたタイミングで「よし、かねてやるぞ」という話になりできた2000年がITVの成り立ち、という感じです。

石橋
歴史の話。

山下
ここだけ話すだけでも結構あるんですけど。

石橋
確かに。じゃあ、代表の中野さんってもう25年、もう創業の時からずっとITVやってらっしゃるんですか?

山下
そうですね。創業の時に立ち上げメンバーとして入っていて、その後少し出たり入ったりはあったのですが、ずっと携わっているという感じです。

石橋
へえ。なるほど。
25年もやられていると、すでに何個もファンドをやっていらっしゃると思いますが、足元だと何号ファンドぐらいで、どんな規模感のファンドで、みたいなところはどんなイメージになるんでしょうか?

山下
2000年の創業から大体4~5年に1本ぐらい新しいファンドができておりまして、1号ファンドが2000年、2号ファンドが2006年、3号ファンドが2011年で、4号ファンドが2015年、5号ファンドが2019年という感じで来ています。

石橋
おお。

山下
実はちょうど今レイズ中なんですけど、6号ファンドも立ち上がっているということなんで、計6本やらせていただいています。大体今まで5号までは100億円弱ぐらいの感じでファンドを組んでいまして、今回6号ファンドはもう少しサイズアップしようということでやっているんですけど、大枠100億円ぐらいのファンド規模感でやってます。

石橋
大体100億円になると、投資するスタートアップの方々のラウンド感だったりとか、投資チケットサイズみたいなところで、どういうイメージになってくるんですか?

山下
そうですね。5号ファンドがちょうど100億円のファンドなんですけども、実績として投資者数は今26社になってます。なんで、100億円のファンドで26社なので、そんなに数が多いかって言われると多くはないかなというところでして。我々のファンドとしては、アーリーメインで、リードメインで一社あたりにしっかり投資をしていくっていうやり方になっています。実際に26社のうち15社に関しては、いずれかのラウンドでリードしたことがある会社ということで、アーリーステージのリードみたいなところが我々の一番のスイートスポットみたいな感じです。

石橋
なるほど。伊藤忠という冠がついていると、どうしてもじゃあ何かしら相性がいいのでtoB系のスタートアップなのかなとも思ったりもするんですけど、何か領域だったりとか、ビジネスモデルだったりとか、フォーカスしてるものってあられるんですか?

山下
はい、投資領域に関しては、まあジェネラルなファンドなので、絶対にここがダメです、みたいなことはないんですけど。

石橋
極端に言うと、伊藤忠さんと全然シナジーないとか相性なくても、そもそもピュアなVCとして全然投資できるって感じなんですか?

山下
はい、そうですね。はい、おっしゃる通りです。

石橋
へえ。

山下
ただ、比較的toBが多い、というのは結果論としてあったりとか。最近はディープテックとかバイオとかも結構やってるので、よりこうジェネラルにやらせていただいてるかなと。

石橋
逆に、他に注力してる領域とかマーケットとかっていうのは存在しないって認識でいいんですか?

山下
明確に会社としてここにフォーカスします、みたいなことはないです。基本的には広くっていう感じで、あとはもう担当者ベースでここら辺を深掘りに、っていう運用にはなってます。

石橋
ちなみに山下個人で言うと、どういうのがマーケットなのかビジネスモデルなのか、どういうのが好きってのがあるんですか?

山下
はい。私で言うと今大きく3つあります。

石橋
ちゃんとめちゃくちゃ明確にありますね。

山下
はい。一つは投資もさせていただいてるんですけど、FinTechのリテールが元々僕が金融の舞台でやっていたってこともあってやってるっていうのは一つ。あとは二つ目、ヘルスケア。で、三つ目がいろんな意味での脱炭素っていう。広い意味での脱炭素ですね。この三つ、自分の中での今フォーカスする形ではやってます。

石橋
ちなみに、なんかそれぞれの領域で代表的な投資先とかっていらっしゃったりするんですか?

山下
そうですね。FinTechでいくと多分皆さんご存知のところだと、UPSIDERさんだったりとか、あとはFundsとか。あとはYoiiとかはフィンテックですね。で、ヘルスケアとかになるとカケハシとか。

石橋
あ、そういうことか。

山下
もっとこうディープなシンプレクスクオンタムさんとかのもありますし。脱炭素銘柄みたいな形でいくと、ちょっと広くいくと今のファンドの投資先だとエニキャリさんっていうラストワンマイルのやってる会社さんだとかもありますし、直近私が担当したSIRCってセンサーの会社もあるんですけど。めちゃめちゃ知らない方多いんですけど、いわゆるセンサーの会社だったりとかって感じです。

石橋
じゃあ本当になんか、山下さんとか他のプリンシパルキャピタリストの個人の好みはあれど、本当にファンドとしてはジェネラルに、でありで、基本はリードが多いって感じ。最初のエントリーするチケットサイズと金額って大体どんなもんのイメージなんですか?

山下
はい。シリーズAぐらいでいくと、大体そのラウンドサイズ感的に3億円調達しますとか4億円調達しますみたいな会社さんが多いので、大枠それのリードだったら半分は持ってくれよって形なので、平均1億円から2億円でスタートさせていただくことが平均すると多いかなという感じです。

石橋_
追加投資みたいなところ割とやられるんですか?

山下
基本的には数も少ないので、もう投資したらしっかり追加投資していくっていうようなスタンスでやらせていただいてます。

石橋
ありがたいですね。逆になんかリード投資だとその後のコミュニケーションと言いますか、どんな感じの流れになってたりとか、どういうことを強みを持ってやられてるって感じなんですか?

山下
もちろん独立系VCと同じ立場でやらせていただいてるので、個人としての支援っていうのは多分各ファンドさんやられてる内容とそんなに大きくは変わらないのかなというところが一つです。でもう一個我々一番出せる強みっていうところは、伊藤忠グループをうまく活用した、主に売上を伸ばすというか、作る側のご支援かなというところで。

顧客紹介だったりもそうですし、伊藤忠グループいろんなサプライチェーンの事業会社がありますので、そことのうまいビジネスの座組みを作るだったりとか、そういう売上を作るとか、ビジネスのシナジーを作るみたいなところが他社と比較して強いポイントなのかなと思っています。

石橋
ITVさんってVCなんだっけCVCなんだっけ、その中強みとかに分けて何なんだっけ、みたいな話は第3弾の方でちょっと深掘ってお伺いをしていければと思っているんですが。今大体ファンドの概要感ですとか強みみたいなところお伺いしましたけど、これ見ていただいてる起業家の方だと何ヶ月前には会っときたいよねとか、どのぐらいのタイミングから山下とかITVさんに相談とか言った方がありがたいよね、みたいなところとかって、実際その検討期間を含めどんな感じなんですか?

山下
本当に初めましてから投資を検討させていただいて、デューデリジェンスさせていただいて出資まででっていうので、大体いつも3ヶ月ぐらいかかりますよっていう話はしていて。もちろんそれより長くなることもあれば、決戦と短いこともあるんですけど、実際の検討としてはそんな感じです。

ある一方、多分これ他の方々も同じようにおっしゃってると思うんですけど、いつでもいいですよっていうのが基本的なスタンスでしてもちろんその瞬間その時にお通しの話にはならないことも多いんですけども、僕らとしても長くコミュニケーション取らせていただいた方が実際にデューデリに入った時にも短くできたりもするので、いつでもお待ちしてますと。

石橋
ありがとうございます。ただ何でしょう、実際山下さんが手掛けたというか担当された具体的な改めての投資先ですとか、例えばこういう会社はこういうところの可能性見出して出資したみたいなところだと、山下さんだとどんなところがいらっしゃるでしょう?

山下
ちょうどさっきお名前出したので、Yoiiという会社ですね。

石橋
また他の動画でも紹介されたり、過去にもYoiiさんにもご出演をこの番組自体にもいただいているので、概要欄にもURL貼ってあるので見ていただければと思いますが。改めて簡単にだけ、Yoiiさんどんなサービスで、そもそも出会いこんなんで、どういうところに可能性見出した山下は、みたいなどんなイメージですか?

山下
はい。Yoiiのビジネス自体は、レベニュー・ベースド・ファイナンスという形で、まだ売上げになっていない、将来債権と呼んだりもするんですけど、それを買い取るみたいな形で資金を先に提供する。で、後にその売上が経った時に確定債権になるので、それを実際に債権を買ったようなのでお金を返してもらうというようなFinTech企業という感じです。
Yoiiの良さとかポイントは大きく2つかなと思ってまして、一つは企業さんと接点を持ってから実際に資金を提供するまでの時間が平均6営業日ぐらいって言って、最短で2営業日とか3営業日も実現できるっていうところが一番の押しポイントなんですけど。これを実現するためには、一応2つ要素が必要だと思っていて、一つは計算するためのデータをいかに簡単に早く取り出してこれるかっていうところが一つ。
でもう一個はその取り出してきた元に高速でスコアリングして、どこの会社にどれだけお金を提供できるかっていうものをやる。この二つのファンクションがすごい綺麗にできてる会社で、だからこそスピードを重視した資金提供ができるっていう強みに繋がってるんですけど、この二つがすごいしっかりしてるなっていうところが評価したというか、すごいいいなと思ったポイントです。

石橋
結構お客さんはどういうレイヤーの方が今って多いんですか?

山下
業種で言うと今多いのはやっぱSaaSとD2Cが一番メインですね。スタートアップが多いという意味では多くなるんですけど、シリーズの遅いレイターというよりかはアーリーからミドルぐらいの会社さんが一番多いかなという感じです。

石橋
下としては元々どういう出会いだったんですか?

山下
実際に投資検討に入った時には、今のGPの中野との接点からなんですけど、僕は結構前から個人的に注目していました。実はDMをホームページから送ったことはあるんですけど、帰ってこなかったという(笑)。なんですけど、ずっといいなと思ってて、たまたま中野が確かIVSだったかなと思うんですけど、接点を持って話が来て「よし、よし来た」という感じで投資検討に入ったっていうのが僕のきっかけです。

石橋
ちなみにもちろんYoiiさんとかRBFのマーケットって投資従事されてる投資家さんも一定数いらっしゃるのかなと思うんですけど、ITVさんとの相性だったりとか、山下として最終的に投資家としてもオファーを出して選んでますけれども、起業家側に選ばれた理由みたいなところってどんなところだったりしたんですか?

山下
具体的に聞いたことはないんですけど、やっぱり我々のファンド自体FinTechの投資結構多いですし、僕自身も新卒で入った伊藤忠商事の頃は金融とか保険とかの舞台にいたっていうところもあったりとかしてたので、割とそのビジネスに対する理解みたいなのは早くできたのかなっていうのが一つですね。あとはやっぱり我々に期待していただいてるところって、やっぱりその伊藤忠絡みをうまくできるかどうかっていうところなので、その点は結構評価というか期待感を持っていただいた上で、投資選んでいただいたのかなっていう風には思います。

石橋
なるほど。ありがとうございます。

山下
投資事例であげていただいたYoiiさんは、最近の投資案件というか投資先だと思うんですけれども、当然途中でお話しいただいたように、25年間やっていらっしゃる中で、代表的な投資先とか、ここはこういうご支援が実際実現できていてむちゃくちゃ売上貢献してるよねとか、むちゃくちゃ伊藤忠テクノロジーベンチャーズらしいバリューアップとかできてるよね、みたいなところでどんなところが?

山下
これはもうすり切れるほどご紹介されてるかもしれないですね。有名なとこでいくとやっぱりメルカリさんだったりとか、あとはご支援の事例でも出てきたことあると思うんですけど、ラクスルさんだったりとかで、同じファンドでいくとCloudWorksさんとかがいらっしゃるような。で、実はもっと遡るとZOZOにも投資していたんですね。

石橋
2号ファンドで?

山下
2号ファンドであったりとかで、もう少し前に戻るとe-Garantyという今東証プライムに上場してる会社なんですけど、ここは伊藤忠発なんですけど、そこにも出資したりとか。結構いろんな領域に携わったり感じです。

石橋
例えばさっきお名前上がったラクスルさんとかだと、どんなご支援なのか、どういう感じだったんですか?

山下
はい。ラクスルさんでいくと初投資は2014年だったかな、でその後追加投資もしてる感じなんですけど。ラクスルさんって中小の印刷会社さんがいらっしゃって、元々そこに案件をお渡ししてっていう流れだったと思うんですけど。元々各々印刷会社さんが仕入れを自分たちでやっていた、という状態だったところを、伊藤忠グループに伊藤忠紙パルプっていう紙の卸をやってる会社がございまして。

石橋
そんなのもあるんだ。

山下
その紙の卸をやってる会社さんがバルクで卸して、お届けするファンクションになったことで、平たく言うと原価が下がったということができたりだとか。あとはその一部物流に関しては、伊藤忠ロジスティックスという会社がサポートしていたりとか。そういう形で結構サプライチェーンの色んな会社さんがグループにあるので、彼ら自身も新しいビジネスの機会として探してますし、そん時にお互いにWin-Winになるものであれば「よしやろう」って形で結構進むので、そこが一番シンボリックで分かりやすい事例じゃないかなと思います。

石橋
結構じゃあ起業家の皆さんって、伊藤忠グループのリソースだとかグループ会社の相性とかって見極めてきてご連絡とかご相談いただくことって結構あるんですか?

山下
どちらもありますね。本当にピュアにVCとしてお話聞いてくださいっていただくこともあれば、伊藤忠シナジーを元にっていう形でいらっしゃる会社さんもあります。

石橋
本当にじゃあ両面大丈夫って感じ。

山下
そうですね。

石橋
ありがとうございます。ちなみに山下にこの動画見ていただいた方がご相談したいよって時、どこで連絡するのが一番?

山下
一応Facebookもやってますし、あとXも運用してるので、何でもいただければ。

石橋
それではですね、第2弾の方では山下自身が普通に話していただいてましたけど、そもそも誰、みたいな話を伺っていければと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。それでは皆さん第2弾でもお会いしましょう。さよなら。

伊藤忠・JAFCOのキャリアを持つ山下さんがVC業界を選ぶ理由【伊藤忠テクノロジーベンチャーズ 山下さん vol.02】

石橋
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、ガゼルキャピタルの石橋です。今回も、前回に引き続きまして伊藤忠テクノロジーベンチャーズのプリンシパル、山下さんにご出演いただいておりますので、今回もよろしくお願いいたします。

山下
よろしくお願いします。

石橋
第1弾の動画では、ITVさんのお話を伺ってまいりましたが、そもそも山下さんって誰?みたいな話を、今回はシンプルに色々とお伺いしていこうと思っています。ちなみに山下さん、今おいくつなんですか?

山下
はい、僕は30歳です。社会人で言うと8年目、9年目ぐらいになりますね。

石橋
元々で言うと、ずっとプロパーで伊藤忠グループにいらっしゃったという感じになるんですか?

山下
私で言うと2017年が新卒で、17年4月に新卒で伊藤忠商事に入社をしまして。部門としては情報・金融カンパニーの金融保険部門に配属をされて、どっちかというと保険の方が長かったんですけども、保険周りのお仕事をさせていただきました。入社してすぐは、社内向けの貿易保険の手配をやったり、あとは昔ファミリーマートのファミポートで、バイクの自賠責保険だとか、1日自動車保険とか売ってるんですけど、それのオペレーションのビジネスもやったりとかを1年目の頃はしてまして。

石橋
へえ。

山下
その後は、どっちかというと投資にこう入ってきたんですけど、「ほけんの窓口」という代理店が伊藤忠商事の、僕が携わる時はその持ち分法適用会社というところから子会社にするというディール自体の担当をしていたりとかで、その後のPMIみたいなので2、3年ずっと携わりました。これを投資という文脈で初めて触れたことがありまして。あとは、スタートアップ投資としても1件だけ伊藤忠として携わらせていただいた、というのが僕の一番最初の伊藤忠商事でのキャリアって感じです。

石橋
事業部として投資する、じゃあ保険系で相性のいいところにという。それが大きいところで「ほけんの窓口さん」みたいなところにも含め投資するし、って感じなんですね。元々、なんで伊藤忠に行かれたんですか?

山下
実は僕、大学の時ずっと体育会の部活で、ラクロス部にいたんです。

石橋
今もやってるんですか?

山下
えっと、実は去年まではやってて。今年はちょっと子供が2人できたこともあって時間の関係でやれてないんですけど、去年までやってたりとかして。

石橋
学生時代、じゃあラクロスで体育会系でゴリゴリやってて。

山下
そうですね。一応2016年、17年は日本代表候補として活動してたんで、比較的ゴリゴリにやってた方だと思います。

石橋
てか、めちゃめちゃちゃんとやってましたね。

山下
一応理系だったんですけど、プログラミングとかもやってて、みたいなのをやってたんですけど、そこでこう極めていくっていうよりかは、やっぱ好きこそもののの上手なれで、スポーツに時間を投下してる分、僕はスポーツしてたんで、理系の道じゃないだろうなってうっすら思っていたんですけど。なんとなくこう部活の先輩とかですごかった方が商社に行ってたみたいな、そんなぐらいの感じで、そんなにいろんなことも調べないまま、とりあえず突っ込んで、一番最初に内定をもらった伊藤忠商事にそのまま入ったという、すごい行き当たりばったりな感じです。

石橋
ちゃんと深くない。

山下
ちゃんとした就職活動できてないって(笑)。

石橋
でも、伊藤忠さんに何年間いらして、そのままITVにいらっしゃるんですか?

山下
えっとですね、伊藤忠商事は一回退職しまして、あのジャフコというVCに中途で入社させていただいて。

石橋
へえ。

山下
で、その後またITVに転職をした形なんで、2回転職をしているという感じです。

石橋
そもそも最初は伊藤忠さんに入られて、スタートアップ投資も事業部としてやられてらっしゃる中で、なんでITVに行かなかったんですか?

山下
えっとですね、そもそもそういう選択肢は僕の中ではなくて、外部に転職するしかないのかなと。

石橋
なるほど。どういうきっかけ、モチベーションでその投資の世界にもっと踏み込んでいこうと?

山下
それで言うと、「ほけんの窓口」の話させていただいたんですけど、どっちかっていうとその子会社化をして、自分たちの事業の中での重要なポジションとして一緒にこう事業を大きくしていくやり方なんで、ファンドで言うとPEファンドに近いような事業体です。でもう一個やってたスタートアップ投資の方がマイナー出資なので、いわゆるVCに近いようなお仕事をキャリアの中で2つ経験させていただいて。その中で、自分が気持ちを込めてやれる方だったり色々考えた結果、一旦乗った船はやっぱり皆さん同じ方向を見てやっていくっていうところが、すごくスタートアップ投資のいいところだなと思って。こっちのキャリアにすごく魅力を感じて、集中したいなということで転職をした、という感じです。

石橋
じゃあジャフコさんに転職したのは何年なんでしょう?

山下
入社したのは2022年の1月です。

石橋
ちなみに当時だと選択肢って他にどういう…

山下
ちゃんと色んな会社さんを受けて比較したというよりかは、VCに行きたいっていうことは決まっていて、もちろんいろんなことを調べたりはしたんですけど、1個目たまたまご縁いただいて受けたのがジャフコ。へえ。で、そのまま実は内定をいただいて入らせていただいたという。

石橋
ジャフコさんの中途って結構珍しいですよね。今あんまりいらっしゃらないですよね。なんでジャフコに決め切ったんですか?

山下
そうですね。業界でも老舗で力がある会社さんですし、あと一番こういいなと思ってたところで言うと、やっぱりこう一回投資をしたりとかした時に最後まで絶対やり切るみたいなところだったり、本当に中の社員の一員として働いてるキャピタリストの方々がすごく多くいらっしゃるんです。このやり方として、こういう方が理想的かなっていうところが一番実現されてる会社さんがジャフコだったのかなと思ってたんで、そういう意味で一番こういいなと思ってました。

石橋
これ見ていただいてる方の中にも結構たまにいるんですよ。「スタートアップ投資TVとか見て関心持って、VCさん連絡して転職しました」とか出ていただいてる方々が、「採用の連絡めっちゃ来るようになった」とか。へえ。意外にそのやっぱ業界に関心持っていただいてる方も多分見てるんですけど、VC業界転職してみて、大変だったなっていうのと思ったよりこういう業界なんだ、みたいなところのなんかイメージのギャップとかってありました?

山下
僕自身は比較的イメージのギャップはなくて、そのままだったかなっていう感じなんですけど。よく質問されることとか聞いてるとこで言うと、皆さん漠然とキラキラした印象を持ってる方が多いのかな、っていうのは。

石橋
そうですよね。なんなんですかね、この謎のキラキラだと思われるやつ。

山下
本当にVCって僕やってても思うんですけど、営業会社なんです。賢い方々が必ず活躍できるかっていうとそうじゃないというか、本当に泥くさい営業とかやることたくさんあるんで、そういうところはなんかやっぱり表にあんまり見えてないところなのかなとは、外部の方から聞かれる上でもよく思うところです。

石橋
その上で、ジャフコさんを経て今ITVさんいらっしゃるわけですけど、VC業界に骨を埋めていこうって思ったきっかけとか、この体験だよなみたいなとこでなんか思いとかあったりするんですか?

山下
きっかけとしては、うちのパートナーから声をかけられたっていうのが考えるきっかけになったという。戻ってこないかみたいな、うち来ないかみたいなことです。

石橋
そのパートナーさんは元々面識あったんですか?

山下
知ってはいましたけど、がっつり喋ったことはなくて、声をかけていただいたのがきっかけで。別にそのジャフコに不満があったとかいう感じでは全然なかったんですけど、僕自身そのキャリアを築いていくみたいな観点でも、やっぱスタートアップの方々にできる支援の幅を広げたいなっていうのはやってく中で思っていて。やっぱ自分一人だとかでは現実的にできないことも多いなっていう時に、どうしたらこういち早く色んな形でサポートができるのかなっていうのをちょっと考えてた時期でもあって。
その時に、仮にこうITVに行った自分を想像すると、新卒でいた会社なんで中の人たちももちろん知ってますし、VCっていうのを学んできた上でも中のアセットをうまく活用できれば、僕には力はなくてもうまく借り物競争できるみたいなところはすごくイメージができて。この方がなんか自分のやりたいことというか、自分ができることが広がるんじゃないのかなっていう風に思って、最終的には行きますっていう形にしました。

石橋
最初から声かけてくれよ、って思わなかったんですか?

山下
最初にやっぱそこに行くっていう選択肢は、どうしてもなかったというか、頭の外にあったんです。

石橋
へえ。今、じゃあ移られて1年ぐらい、1年半ぐらい。結構僕の印象だと少人数でやられてるイメージなんですけど、なんかファンドの大きさというか、扱ってるAUM考えてもあんま多くないですよね、人。

山下
そうですね。最近少し増えたぐらいなんですけど、一応GPが3人で、プロパーのプリンシパルは3人。

石橋
じゃあITVとして採用されてるってのは、これで全部で6人、フロントメンバーであとは、えっと、出向者が2人、伊藤忠商事から1人と、株主のもう一つであるCTCから1人の出向者が現場にいて、あとは社長が出向で来てるっていう感じです。

石橋
100億、200億扱ってるファンドで、やっぱフロントマンは少ない方ですよね。

山下
少ない方だと思います。

石橋
結構じゃあプリンシパルと言われる、山下さんの3人から5人ぐらいの方々もかなり色分かれてて、ほぼITVさんだと山下さんがやっぱフロントに立つことがほとんどなんですか?

山下
そうですね。プロパーで行くと、3人いるって申し上げたんですけど、1人はどっちかというとロボティクスとかバイオとかが多い担当者で、僕ともう一人は比較的ITというか、そっち側が多いかなっていう感じです。

石橋
なるほど。見ていただいてる方で言うと、やっぱりソフトウェア系であれば山下さんとかにコンタクトを取ってみるのが基本であろうと。

山下
はい、ありがたいですね。

石橋
今VC業界に来られて丸2、3年立たれると思うんですけど、どのぐらい骨をうずめてこうみたいな、なんでしょう、最近の手ざわり感というか。なんだかんだ結構人辞めるじゃないですか、この業界から。山下さんとしてはこういう風にキャピタリストとして、こういう風に業界関わっていこうとか、どういう風に今なんか思い描いてらっしゃるんですか?

山下
この仕事はすごく魅力的で刺激的なお仕事だなと思っていて。僕自身もこういろんな調べ物をするとかいうことも好きですし、最近なんかIPO銘柄をめっちゃ調べてもうIRを全部出すみたいなやってるんですけど、そういうのもすごく好きですし。あとは、結構やると決めたらやる、というのがあるので、得意なところも含めて比較的向いてるというか。出会う起業家の方々とお話していても、すごいやっぱ熱量があって、それに結構自分も刺激されてさらに頑張れるみたいなところもあるので、新しい勢力が世の中のインフラになっていくみたいなところの一助になれればなって思いは元からあったので、クビにならない限り頑張って携わっていこうかなと思います。

石橋
逆になんか、今後のキャピタリストとしてのキャリアってどういう風に考えてらっしゃるんですか?例えば、UFGの田口さんとかもずっとやっぱ現場に、もちろん偉くなられてますけど、ずっと投資をされて一線でされ続けてて、もう多分田口さんで組織をマネージしたいとかってよりかは、もう投資をしたいっていう思いがめちゃめちゃ強い人なんだろうなって勝手に思ってるんですけど。

そういう人もいれば、もうちょっとマネージ側にそのVCみたいなところに行きたいみたいのも多分いらっしゃるんだろうなと思うんではい、山下さんだとどういうキャピタリスト人生にしていこうかなみたいな、どんなイメージだったりするんですか?

山下
まあ、その一担当者としてずっといたいというよりか、やっぱりそのファンドをマネージする立場になりたいなっていうのは正直なところですね。

石橋
しかも多分第3弾で話すと思うんですけど、6号ファンドかな、ではなんか結構特殊な座組みというか、やっぱCVCじゃなくてマジでVCだなみたいなその座組としての新しいそういうのもなんか出てきてるっていうお伺いしたので、ちょっとまたそこら辺も含めて第3弾お伺いしていきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

山下
よろしくお願いいたします。

石橋
VCとしての側面とCVCとしての側面っていうところをどう切り分けていらっしゃって、どんなところの強みとかいいところがあるのか、ところを突っ込んでお伺いしていきたいと思っておりますので、お見逃しのないように見ていただければなと思っております。それでは次回もお会いしましょう。さよなら。

総合商社の子会社VCである強み/ITVの運用体制やファンドについて詳しく解説【伊藤忠テクノロジーベンチャーズ 山下さん vol.03】

石橋
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、ガゼルキャピタルの石橋です。今回も前回に引き続きまして、伊藤忠テクノロジーベンチャーズのプリンシパルでいらっしゃる山下さんにご出演いただいておりますので、今回もよろしくお願いいたします。

山下
よろしくお願いします。

石橋
前回は山下さんがどういう経歴で、伊藤忠新卒で入ってジャフコさん転職して、また伊藤忠グループのITVに戻る、みたいな経歴をどんな思いを持ってやられてるのかをお伺いしてまいりました。今回は伊藤忠という冠もついておりますし、ITVさんがそもそもどういう形式のVCファンドで、そもそもCVCなのかVCなのか、みたいなところも含め、どういう強みを持っているところをお伺いをしていければと思うんですけども。改めて形式ばったところからお伺いしていくと、座組みとしてはどういう座組みで、どういう運営体制になってらっしゃるんでしたっけ?

山下
はい。伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社に関しては、伊藤忠商事の7割、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の3割の7対3の持ち株会社になります。

石橋
じゃあ株式会社自体は伊藤忠グループの会社なんですね。

山下
そう、はい。なんで伊藤忠の会社という位置付けになります。

石橋
それだけ聞くとCVCっぽくも聞こえますね。

山下
ただ、立ち上がりが2000年という話を第1弾でお伝えしたと思うんですけど、創業時からそのCVCをやるのではなくて、伊藤忠商事としてVC事業をやるというコンセプトで実は立ち上がった会社でもあったので、1号ファンドからもうファンドは伊藤忠商事もLPとして出資はしていただいたんですけども、外部からファンドレイズをしています。

石橋
へえ。1号からですか?

山下
そうなんです。2000年創業の1号から実は出資金額の大半は伊藤忠じゃない方々からのお金を預かって運用しているファンドになってます。なので、いわゆるその伊藤忠シナジーがないとダメだよとか、CTCシナジーがないとダメだよ、みたいなことは座組上もできないと。

石橋
そりゃ間違いない。外部資本がめちゃめちゃ入っているファンドですもんね。

山下
はい。なので、もう完全にファイナンシャルリターンを追求する独立系のVCという形で投資をやらせていただいています。

石橋
とはいえ、いわゆるGP(ゼネラルパートナー)と呼ばれる機能はITVの株式会社がやっているから、伊藤忠グループともやっぱり繋がりがあって、シナジーも効かせられるって感じになるんですもんね。

山下
そうですね。直近のファンドに関してはGPは個人のパートナーと、あと会社との共同GPなスキームになってるので、いわゆる独立系のVCと同じような形になってます。なので、本当にもう伊藤忠関係ないVC会社みたいな形の運用をさせていただいているんですけど、過去もずっと同じような運用をしていたので、ずっと完全に独立系というような運用でございます。ただ、伊藤忠という冠がなぜつき続けてるか、、

石橋
それこそバイネームで言うと、ANOBAKAさんとか、STRIVEさんとか、BIG impactさんとかもそうかもしれないですけど、結構CVCをリブランドしてみたいなのって、2,3年前にババババっと出てきて。ITVさんもそうなり得るくらい独立性は強いですよね。

山下
そうですね。逆に言うと、投資のご支援の幅っていう観点でいくと、やっぱり伊藤忠グループをうまく組めることによる、投資先さんへの出せるバリューの幅みたいなところは全然やっぱ違うかな、というところがあるので。伊藤忠テクノロジーベンチャーズという形であり続けることに意味がある、という風なこともあって、ずっと変わらず今の形で運用してるという感じです。

石橋
ただ一方でかなりマニアックな話になると思いますけど、個人GPも伊藤忠グループである株式会社が管理していて、そこもGPだけど個人もGPで入ってるって形ですか?

山下
そうですべ、GPLLPを作って、GP個人が出資して共同GPって形になっていて、いわゆる本当に独立系のVCと同じようなスキームになってます。

石橋
そうですね。業界だと、Asahi Media Lab Venturesとかが近しい形で、まさに個人GPとして事業会社さんの冠もついているし、CVCの側面もあるけど、それって相当調整が大変だろうなと思いつつ、でもナチュラルにやってらっしゃるんですよね。

山下
そうですね、やっぱりその大きなファンドだったりとか、大きなお金を運用していくっていう観点で、いわゆる機関投資家さんに入っていただけるかみたいなところがVCファンドとしてはテーマとしてあるんですけど、そうなった時にやっぱりそのCVCっぽい形になってるとどうしてもできない、ということを過去に言われたこともあって。前回のファンドの時から時間をかけてその形に集約させていった、というのが会社の背景としてはあります。

石橋
外部LPがほとんど、みたいなところで、このサイズだと機関投資家入りますもんね。

山下
そうですね、はい。

石橋
結果的によりいい意味で独立性を求められていくというか、CVCじゃない形式の方がちゃんと入れられるよねっていうところで、外からのプレッシャーでそうなってくる形式もあるんですね。

山下
そうですね。

石橋
レイズ大変ですよね、絶対。

山下
そうですね。今GP3人いてGPをメインにレイズやらせていただいているんですけど、なんとかなりそうかなというような感じで。

石橋
逆にこれ、CVCの方々とかも結構見ていただいてる方もいらっしゃるはずなんですけど、山下さんが思うその形式のメリット・デメリットじゃないですけど、どのCVCさんもITVさんをじゃあ投資全部がするべきなのか、またまたこういう特徴を持つたこういうことしていきたいんだったらITVさんみたいな累計を目指すべきだし、じゃないんだったらこっちの方がいいよね、みたいなところって山下さん目線とかITVさん目線のご意見とかご見識ってありますか?

山下
いわゆるCVCでシナジーありきみたいな感じに寄っちゃうと、私に限らずいろんなところで言われてることだと思うんですけど、結構難しいかなと思ってまして。で、かつその継続性の観点に立った時に、やっぱりリターンが全然出ないファンドをずっと続けるかって言われると、どうしてもそれが難しいっていうのはあって。

過去にもCVCがたくさん立ち上がってすぐやめちゃった会社さんとかも歴史上はあると思うんですけど、うちの場合だと外部のLPさんも結構入ってるので、途中でやめるみたいなことはまずできないですよね。なんで、継続してやることは全てやらないといけないところは、まずそういう動きとしては全然違ってくるので、仕組み上の差分みたいなところはあるかなと思います。

我々の場合で言うと、母体が総合商社なので、究極シナジーを提示しなくても何かしらリソースがあります。それこそ「ラーメンからロケットまで」総合商社で言いますか、みたいな形で後ろにいろんなリソースがあるので、我々その伊藤忠グループを活用する時は大きくそのいわゆるデューデリジェンスの時だったりとかにうまく活用させていただいたりとか、あとはまあソーシング後の支援みたいな大きく2パターンあるんですけども。

それぞれのドメインの事業やってる会社さんだったりとか担当者とかもいるので、そこは総合商社だからこそうまく機能するのかな、みたいなところはあるかなと思います。やっぱり普通の一般的な事業会社になってくるとドメインが限られてくるので、完全に独立してやれなくはないとは思うんですけど、その後の支援の幅とか色々考えると、特定の領域に偏っちゃうこともある。

石橋
そうですよね。
ちなみにそういう流れでいくと、ITVさんが投資してるところに伊藤忠グループが業務提携とか、極限まで行くと買収したりとか、伊藤忠本体さんが結果的にやっぱピュアVCであれどCVCの側面あるから結果伊藤忠さんも入ってくる、みたいなケースって結構あるんですか?

山下
ビークルとしては完全に分かれているので、あるケースとしては我々が例えばシリーズAで参画させていただいて、シリーズBに伊藤忠商事が入るみたいなケースはありますし、中には同時に入ってるケースも全然あります。

石橋
例えばどこら辺の会社さんだと?

山下
そのシリーズAとかその前のタイミングでITVが参画させていただいて、後に伊藤忠商事が入ったみたいな会社さんで言うと、かけはしという会社さんだったりとか、あとはSkyDriveですかね、が順番という意味では2つがあります。

石橋
同じラウンドって結構でも珍しいですよね。

山下
珍しいですね。なんで、伊藤忠商事としては本格的な事業投資というよりか、いわゆるちょっとベンチャー投資のようなお財布で出資するケースで増えてしまうんですが。例えば、Fundsさんとかも同時に入ったりとか、後はシンプレクスクオンタムなんかも同時で入ったり。その同時パターンも全然中にはあります。

石橋
しかも総合商社だから何でもできるっちゃできる。あらゆる領域にジェネラルに行けるし、ピュアにアリーから入ってって普通に独立系VCとしてのご支援もやりやすいし、永続性もちゃんと担保されてるしっていう感じなんですね。

山下
今の話だとすると、いいところしかない感じに。

石橋
間違いない、間違いない。なんかデメリットあるんですか?ファンドレイズ大変ぐらい?

山下
レイズは多分、独立系のVCさん皆さん共通のお悩みだと思うんで、そこが特段うちがしんどいかと言われるとそうではないのかなと思いますし、そんなにデメリットっていう意味では感じてるところはないんです。まあ一応そのグループ会社にはなるので、そのガバナンスみたいなところはもちろんですけど、悪いことではないですもんね。フロント業務でやっていくにあたってデメリット的なものはそんなにないのかなと。

これはポジショントークにもなるんですけど、やっぱりいろんなVCさんが増えてきています。どうやって差別化していくか、みたいな話出てくるじゃないですか。で、その時にやっぱり我々は自分たちだけでできることに限りはあるんで、そこでやっぱり伊藤忠ってアセットをうまく使えるみたいなところは、新しいというか、これからの競争が激しくなってく中での一つの強みだとは思ってるので。そこはすごく押していきたいポイントでありますし、そこでしっかり支援の事例を作っていく、実績を作っていくっていうことが、それを後ろ盾にすると思うんで、しっかりやっていきたいなと思ってます。

石橋
だいぶマニアックな話だったかもわからないですけど、最近は選ばれる・選ばれないとか、起業家の方という観点でも、僕も前職はなんだかんだCVCだったので、まさにさっきの永続性という観点で、2年間ぐらいで親会社に吸収合併されてなくなっちゃいましたけど。まさにそういう永続性を担保するですとか、事業会社のアセット使ってそれを武器にして選ばれていくっていうところも含めると、伊藤忠さんのところもそうかもわからないですけど、そういうCVCの方が増えてもやっぱいいのかなとは個人的には感じました。改めて全3回に渡りまして、ご出演ありがとうございます。

山下
ありがとうございました。

石橋
皆さんも最後までご視聴ありがとうございます。それでは次回もお会いしましょう。さよなら。