幅広い投資領域とベテランVCの支援/上場した企業を紹介【i-nest capital 塚本さん vol.1】
◯塚本 繁男 i-nest capital パートナー
i-nest capital HP▶︎ https://www.i-nestcapital.com/
Facebook▶︎ https://www.facebook.com/shigeo.tsukamoto
自身が代表を務める株式会社GSW(GSW Corporation)にて、幅広い業界・業種にわたる約50社への事業戦略立案や間接業務の支援を行う。
ベンチャー企業へのコンサルティング実績も多数。
1996年 静岡県立静岡高校卒業
2001年 東京大学経済学部卒業
(大学時代、運動会アメリカンフットボール部に所属)
2001年 株式会社みずほフィナンシャルグループ入行
2006年 株式会社GSW(GSW Corporation)を設立し、代表取締役に就任
石橋
皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capitalの石橋です。今回からご出演をいただくのは、i-nest capital、パートナーの塚本さんです、よろしくお願いします。
塚本
よろしくお願いします。
石橋
僕自身、塚本さんとはイベントなどでご挨拶をさせていただいたことはありますが、まだ一緒に投資をした事例はないかとは思うんですけれども、現場のキャピタリストの方々とはお付き合いさせていただいていますが、改めてi-nest capitalのことをまだよく知らないというか、塚本さんや若手のキャピタリスト以外はあまり表舞台だとかメディアなどに出ていらっしゃらないですよね。
塚本
シャイなファンドなので。
石橋
シャイなファンドの割に成績がず抜けているのは、シンプルに素晴らしいな、すごいなと思います。今回は全3回に分け、第3弾ではどのようにそんなにイグジットを出しているのか、見極めているのかを伺いますが、今回の第1弾では、そもそもどのようなファンドなのかというところからお伺いできればと思います。改めてよろしくお願いします。
塚本
よろしくお願いします。
石橋
早速ですが、そもそもi-nest capitalはいつ頃できて、どのようなサイズのファンドでやっていらっしゃいますか?
塚本
われわれは今1号ファンドを運用しているのですが、1号ファンドは2019年12月にできまして、今は73億円をお預かりしております。
石橋
ほぼ2020年という感じなんですね。
塚本
まさしく、ほぼ2020年という感じです。
石橋
ここ数年間でその規模で1号ファンドで独立をされている方はあまりいませんよね。
塚本
近いヴィンテージでいくと、千葉道場もそうですし、クロステックも実は近かったりしませんか。
石橋
2018年とかですね。
塚本
われわれの半年後くらいにOne Capitalができて。
石橋
100億円前後のファンドとしては、そういった方々と肩を並べてやっていると思いますが、
塚本
One Capitalは150億円くらいありますけどね。
石橋
僕らのような小規模VCから見ると、みなさんすごい規模でやっていらっしゃるなと素直に思うところですが。逆にその規模感で投資をするとなると、どのようなラウンド感・領域に投資をするのかは決まっていますか?
塚本
われわれは実はかなりジェネラルなファンドでして、シードからレイターまで、オールステージで検討しております。領域としてはBtoCと、先端技術とDXのようなBtoBの3つの領域ですが、並べてみると結構広めの守備範囲なのかなと思います。
石橋
逆にやらないと決めている領域やモデルはありますか?
塚本
1号ファンド自体は、ケミカルのバイオテクノロジーのようなものですとか、少し期間が必要になるところがあるというのと、実は今、参加してくれている本蔵がファンドを設立したときは、山中と私の2人だけで、彼は遅れてジョインなので、そのときはそういった知見は僕らはそんなにはなかったので、そのあたりは出資はしていないといった感じです。
石橋
今後、次のステップとして2号ファンドというのも出てくると思いますが、本蔵さんが合流してパートナー3名でやっている中で言うと、今後はより領域も広がっていく可能性もありますか?
塚本
今の領域のままでやっていくということで、2号ファンドもコンセプトを固めておりまして。
石橋
ラウンドも基本的にはオールラウンド・ジェネラルテーマで?
塚本
どちらかというと、みなさんは特徴を出していますが、われわれのファンドはファンド内でポートフォリオマネジメントをするといったコンセプトがあり、それを2号ファンドでもやっていくということです。
石橋
ファンド内でポートフォリオマネジメントをするというのは、どのような感じのイメージになるのですか?
塚本
それが先程のオールステージでやりますといったときに、ホームランを狙っていく案件、ツーベースでもいいよみたいなものとか、ちゃんと点を返していこうよみたいなものがあったりするので、そういうものを混ぜながら全体の最適を目指していくといったファンドスタイルです。
石橋
逆に70億円弱の投資ファンドだとしても、1社の平均もラウンドごとにマチマチですか?
塚本
マチマチですね。今は分析というか、まだファンドとしては5年目なので、これから追加投資も出てくるというタイミングだと思いますが、現時点では大体1社1億円強ぐらいなんです。ただそれは当然シードのスタートアップも含まれているので、大体1億円から3億円弱といった感じです。そのあたりが一番投資をしているところです。
石橋
新規の投資は1号はもう満了しているんですか?
塚本
まだ新規も投資中です。
石橋
着地は1号だと何社ぐらいになる見込みですか?
塚本
これから積み上げられるとしても12月までなので、あと数社といったところなので、行っても46〜7社ぐらいです。
石橋
ちなみに投資検討期間もシードからレイターまでやっていると、本当にマチマチかなと思いますが、例えばシードの場合はどのくらいの検討期間がいるのかとか。ボリュームゾーンはおそらくシリーズA前後なのかなと先程の投資金額をお伺いすると思いますが、大体シリーズAだとこのぐらいは検討に時間がかかるとか、こういうプロセスかなとか何かありますか?
塚本
一番早くて1ヶ月未満くらいのケースはあって、平均すると2〜3ヶ月くらいといったところですかね。
石橋
なんだかんだオールラウンドでやっているということは、シードでコンタクトをしていて一旦はお見送りをしたけど、1〜2年経って次のラウンドでドンと投資をするケースも結構存在するんですか?
塚本
はい、存在します。
コンセプトとしてはそのようなコンセプトを持っていまして、接点を常に持って、僕らなりの中で「行けるぞ」と思ったときに行くというような感じです。
石橋
本当にこれを観ていただいている起業家の方でいうと、創業期の方でもコンタクトをとってきても全然ウェルカムだし、次にシリーズAに行く方でも全然OKという感じなんですね。
塚本
なんならもうAのマイナス2くらいのところで、実際に投資をしていますし、もうIPOも3社出しているので、当然そういったタイミングで投資をしているということです。
石橋
ちなみに投資をしたあとのコミュニケーションでいうと、いわゆるリード投資家なのかフォロワー投資家なのかとか、これもラウンドがオールラウンドになると結構ばらつきがあるのかなと思いますが、リードにこだわっているわけでもないって感じですか?
塚本
リードにこだわっているわけではないです。
石橋
シードだとリードとかってこともないですか?
塚本
僕らが先ほど申し上げたようなチケットサイズだと、必然的にリードが取れるところは限定的になりますので、そういったところはリードが多くて大体6割程度リードです。そのほかの4割は非リードというか。
石橋
逆にそういう投資スタイルや関わり方だと、投資をしたあとのコミュニケーションだとか、何かサポートだとか、i-nest capitalが入るとこういうことを期待してもよかろうみたいなところだと、どのような内容になりますか?
塚本
それも個社別ではあると思いますが、パートナーが経験もあるというか、それなりの年齢もあって、さまざまなバックグラウンドを持っていたりするので、そういった経験を活かしながらやっています。あとは比較的金融系の経験があるのでIPOに向けたところのサポートであったりとかはしています。例えば、エンタープライズの営業チームを核になるような人を紹介して、そこで組成をしてもらって、エンタープライズ営業の立ち上げとコーチングと、最終的には会社の財産にしてもらうということをしています。
石橋
例えば今までのところでサイズ感やラウンド感を通して大枠のところは伺ってこれましたが、改めてもちろんホームページにもポートフォリオの欄に、ほぼ全ての投資先の情報は公開をしていると思いますが、代表的な投資事例みたいなところですと、どのようなところがあるのでしょうか?
塚本
われわれのファンドで一番有名な銘柄だとCOVERさんになります。個人的にはジワッとくるものがあるとすると、セキュアというIPOをした案件があります。
石橋
ちなみにCOVERさんでいうと、どのようなタイミングで投資をされて、どのようなご縁・仮説があって投資をした感じですか?
塚本
ちょうどわれわれのファンドが2019年12月で、COVERさんの最後のラウンドの開始時期でもあったんです。当然COVERさんといえばSTRIVEの堤というところですが、堤のところにご挨拶に行っていろいろ紹介をしていただいて。大きなイベントで大きな収益が上がったりとか、やはり伸びていったというか、それが数値として顕著に出ていた時期であったと。そのあとにそれを投資委員会でプロジェクションを組むのですが、それを凌駕する伸びを見せていったんですけれども。といったタイミングでちょうど2号、2番目に投資した案件なんです。
石橋
2号案件が綺麗に上場をして、あそこまで大きいインパクトのあるIPOを持っているという。実は1号、1番目に投資した案件も上場したというところで。
塚本
そうですね。
石橋
逆に1号案件で行くとどちらになりますか?
塚本
セキュアという会社で。
石橋
ちょうどそれもファンドが2019年12月にできていて。
塚本
12月30日に出資をさせていただいて。
石橋
本当に大晦日の1歩手前くらいのところですね。
塚本
最終営業日でここを外すと来期になってしまうってことで。
石橋
それはファンド組成直後ですか?
塚本
直後です。ファンドのキャピタルコール等のギリギリのタイミングでした。
石橋
立ち上がり切る前から、もともとご縁があって。
塚本
お話も伺っていて、ファンドができていないのに、生意気にDDという感じでインタビューをさせていただいたりしていました。
石橋
当時はどのような仮説というか、どのようなところにポテンシャルを感じてセキュアさんに投資をしたのですか?
塚本
まず社長の谷口が非常にバランスの取れた方で。僕はバランスの取れている方に投資をしたいと思っていて、ビジョナリーと現実的な数字感とかいうところがきちんと取れている方。だんだんレイターステージになってくると、そのバランスがシードのときよりいろいろ変わってくると思うんですが、そういう意味でいくと非常に成熟もされていたのと、もうすでに代理店網であったりが構築できていたんです。パートナーセールスみたいなところも含めて。
石橋
まさに1号事例・2号事例が綺麗にIPO・IPOみたいな感じになっているわけですが、ほかにもちろん、まだ基本的にはイグジットしていない投資先の方が数としては当然多いと思いますが、今はまだ未上場の投資先の方だと、どのようなところの投資先がいらっしゃって、塚本的にはこういう仮説で投資をしているところだと、どのような方がいらっしゃいますか?
塚本
僕は主な領域としてはBtoBというかDX領域を担当することが多くて、例えば直近でいうと、直近で15億円を調達したモブキャストホールディングスさん。調達をさせていただいたときに、年末にお話を伺って、正月休み返上でDDをして、1〜2月頃には結論を出していきますというところで。領域的に伸びている・伸びていないというのと、ポテンシャルのあるパイプラインが充実していて、そこはまだ収益化ができていませんが「これは行けるのかな」というのと、社長の渡邊自体がバランスの取れている方で、非常にハマっていて。なので三が日もDDをしていました。
石橋
モブキャストホールディングスさんはどれぐらいのラウンドに出資をされたのですか?
塚本
前回・前々回のラウンドなので。
石橋
今回はシリーズBでしたっけ。
塚本
そのシリーズAやBというのを何をもってというのがあるので。
石橋
直近の15億円をファーストでクローズしたラウンドの前。
塚本
15億円のクローズは既存の投資家ラウンドなので、15億円の全てを既存投資家から集めてきたので。
石橋
シードから入ったところで塚本が印象的なところはありますか?
塚本
比較的にシードから入るのは僕ではないケースが多いです。
石橋
違うパートナーの方やキャピタリストの方がシードをするケースが多いということですね。
塚本
そうですね。
石橋
塚本個人としてはどこらへんのラウンドが多いですか?
塚本
シリーズAやそれ以降が多くて、実はBtoBと言いながらBtoCもやっていたりしますので。
石橋
本当にオールジャンルですもんね。いろいろな事例もお伺いする中で、まさに観ていただいている方だと、i-nest capitalに検討してほしいという起業家の方はお問い合わせフォームやSNSなどからで大丈夫ですか?
塚本
もちろんです。
石橋
概要欄に塚本のFacebook等載せておりますので、ぜひそちらの方からチェックしていただきつつ、塚本に話を聞いてもらいたい方や、i-nest capitalに話を聞いてもらいたい方は、ぜひご連絡をしていただければと思いますので、改めてよろしくお願いします。
大学のアメフト仲間とVCを起業/金融業界から独立・起業に至った経緯【i-nest capital 塚本さん vol.2】
石橋
皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capitalの石橋です。今回も前回に引き続きまして、i-nest capitalパートナーの塚本さんにご出演をいただいておりますので、今回もよろしくお願いします。
塚本
よろしくお願いします。
石橋
前回の第1弾の方で、そもそもi-nestさんが2019年末、本当に年末に1号ファンド作られてらっしゃるわけですけれども、1番最初は塚本さんと代表パートナーの山中さんのお2人から始まってるって感じなんですよね?
塚本
はい、まさに2人です。
石橋
どういう流れでそこに至ってるのかみたいなところを、まずはキャリア面というか背景をお伺いしていければと思うんですけれども、元々塚本さんご自身ってVC業界はかなり長い方なんですか?
塚本
全くVC業界にいなかった人なので。
石橋
ファーストキャリアというか、どんなところから始まってらっしゃるんですか?
塚本
ファーストキャリアって多分われわれのファンドの特徴でいくと、まず大学でやっていたスポーツから話さなきゃならないみたいなとこがあって。
石橋
ほうほう。
塚本
大学でアメリカンフットボールやっていて、その後某銀行に入りました。ちょうど某銀行が統合するほんの前のラストタイミングで、採用だけはみずほさんに、みずほっていうプラットフォームでやっていただいた。で、入社の前にアメフト部の入部が決定していて、僕の意思とは関係のないとこで決まってまして。で、練習に行ったときに代表パートナーの山中がいて、実は同じ大学の同じ部の先輩なわけですけど。
石橋
学生時代は被ってなかった?
塚本
被ってはいないです。はい。もう1人いる本蔵は、私が1年生のときに4年生で被ってる。
石橋
なるほど、そこで一応出会ってはいる。もういきなり社会人1年目の頃から山中さんとはお知り合いだった。
塚本
知り合いでした。3人目のパートナーの本蔵さんも元々学生時代からの知り合いです。
石橋
長い付き合いなんですね。なんで金融機関系に行こうと思ってらっしゃったんですか?
塚本
みずほグループで採用ご縁いただいてみずほに入って。その時アメフトしかしてなかった時期でしたね。
石橋 その時期でも体育会の方々がちゃんとそういう大手に行くイメージはなんかちゃんとあるので。むしろ社会人になってもう入部が決まってたっていうのは、相当成績を残してたからなんですか?
塚本
ただ単に、みずほのアメフト部に大学の先輩がたくさんいた。
石橋
そういうことか。もうじゃあ来ないわけないよねってとこから始まってるんですね。
塚本
ていうのと、銀行で「体育会枠だ、お前は」みたいな感じで言われてたので。そういったご縁をいただいたので。
石橋
みずほさんの中でVC部門に携わってらっしゃるとかでもないんですか?
塚本
ないですね。普通に初めは支店の部門に行って、その頃のみずほ銀行とみずほコーポレート銀行って2つの銀行に分かれてた時期だったので、すぐにその大企業のみずほコーポレート銀行の営業部に移動になって。そこで上場会社を担当させていただいてたんですけど、ちょうどその時代が銀行に対して逆風の時代で、銀行は政策保有株を圧縮するっていって持ち株を売り、事業会社の方は借入金を返済するって時期だったんですよね。で、ちょうどシンジケートローンとかそういうのがすごいこうだんだん出てきたときで、私がいた営業部のローンのアセットがこのまま行くと減ってしまうので、「新しいお客さん取ってこい」と。で、営業部で一番若手だったので、「君がやりなさい」というところで、既存のお客さん全部先輩方にお渡しして、上場会社新規っていうのをやってまして。
石橋
そういうときって飛び込みに行くんですか?
塚本
飛び込むケースと、上場会社なので開示されてるじゃないですか。それで見て、自分の銀行のお付き合いにあるような会社さんとお付き合いがないかどうかっていうのをチェックして、そこに紹介を頼んだりとか。
石橋
そこから転職をされて、VCとかの業界に?
塚本
そこで、その銀行同期の友達と5年弱ぐらいのタイミングで「独立しようぜ」みたいになって、
石橋
起業するんですね。
塚本
はい。それで、独立をして、何かやるって決めないで。今の起業家の方々のようにビジョナリーじゃなかったので、決まらずに頑張ってたんですけど、ちょっと色々あってその友達は実家の家業を継ぐっていうことで、そこから僕個人になったので、そうすると個人のコンサルみたいな形をやり出して、業務委託のスタッフみたいな、そういう働き方。
石橋
フリーランスっぽい。
塚本
フリーランスっぽいですね。ITエンジニアじゃないのにフリーランスみたいな、そんな感じですよね。ただ一応会社持ってるんで、会社で契約してくださいみたいな形でやっていたので、めちゃくちゃ色んなことやったんですよ。
石橋
例えばどういうことやってたんですか?
塚本
こんなキャピタリストいないですよねってよく言われるんですけど、ラーメンチェーン店の雇われの社長とかもやっていて。
石橋
へえ。
塚本
たまたまご縁があって。ある人のラーメンチェーンのブランドを、香港で外食産業やられてる方に引き継いでもらったみたいなのがあって、その方から「日本のことよくわかんないからアドバイザー手伝ってよ」って言われたんですけど、そのうちなんか社長に据えようとした香港の方が、日本って今までも連帯保証人とかあるじゃないですか、そういうのになじめないから「日本人が必要なんだよ、やって」とか言われて。
石橋
へえ。何店舗ぐらいだったんですか?
塚本
最終的にはちょっといろんな業態もあったので15店舗ぐらいだったんですけど。
石橋
毎回じゃあ社長やるわけでもないですよね。
塚本
そうです、そうです。たまたまその時は社長だったみたいな役割で。
石橋
その頃もじゃあスタートアップ投資ですとか、スタートアップそんなにお客さんと…
塚本
当然お客さんとしてはスタートアップがいて、資金調達みたいなところがテーマだったので、ちょうど代表パートナーの山中がもうVC業界にいたので、アドバイスとか相談みたいな形でよく話を聞きに行ってましたね。
石橋
じゃあ社会人のアメフト部が終わった後も、お仕事でちょろっと山中さんとお付き合いがあったって感じだったんですか。
塚本
そうですね、まさにそれで。あとはある案件で、朝の7時から夜中の2時3時ぐらいまで働かされてたときに、愚痴を言ってお昼ご飯を奢ってもらったりとかですね。
石橋
フリーランスで業務委託みたいな人なのに、そんなスーパーハードワークしてたんですか。
塚本
そうですね。その時だから隣にいた人も業務委託の人で、非常にハードワークというか。
石橋
ちなみに、なんでそれは山中さんだったんですか?その、なんだかんだ話したりとか愚痴ったりするっていうのは。
塚本
スタートアップの案件が多いじゃないですか、お客さんとして。だからっていうのがあって。あと単純にその時オフィスが近かったみたいなとこもありまして。あと共通の人がその会社に、別のファンドから行っていたので、その人と3人でみたいな接点があって。
石橋
まだじゃあ一向にそんなにVCみたいなキーワードが出てくるような感じのイメージでもないんですけど。ちなみにその独立されたのはどのぐらいの期間やってらっしゃったんですか?
塚本
5年弱で辞めて、でも15年ぐらいやってたんじゃないですかね。
石橋
最終的には山中さんと塚本さんで一緒にやっていかれるとなると思うんですけど、どっちから言い出したとか、なんで一緒にやっていくことになったんですか?
塚本
山中から聞くには、その時に結構ハードワークしてて何してるっていうところを見ていたと。ちょうど僕は一個の案件で北海道の札幌に出張していて、北大のキャンパスに中小機構さんの建物があるんですけど、そこにいた時に電話かかってきまして、「独立をする」と、「一緒にやんないか」って言われて、「お世話になります」って言って。
石橋
逆になんかそこって、塚本さんから山中さんに聞いたことあるんですか?そのVC業界としては未経験者なのにパートナーとして創業時に誘ったのかどうか。
塚本
直接にはそういうこと聞いたことはないです。
石橋
気になんないですか?なんで俺だったんだろうって僕だったらなりそうですけど。
塚本
いや、気になるよりも、もうやるしかないみたいな感じだったので。
石橋
そんな強い先輩後輩関係にあるんですか。
塚本
そういうことじゃなくて、自分のキャリアとしてOKを出しちゃったら、あんまりどういうものがあったっていうのは関係なく頑張るしかなかったのと。もう一個言うと、2019年にファンドができて、もうコロナが始まってるんですよね。
石橋
あ、そうっすね。
塚本
で、僕個人として言うとVC業界にいないじゃないですか。イベントとかもなかったのですごい人脈の形成もできないし、なので今でもそういうところは引け目がある感じですよね。
石橋
でもそれでじゃあお2人で始まって、今ちょうど丸4年くらいですかね?
塚本
もうちょっと、4年半ですね。
石橋
改めてVCとしてパートナーやられる前のイメージと今ってなんかイメージってやっぱ違うもんなんですか。
塚本
自分で独立したって言ってるじゃないですか。で、結局あの時にどれだけ他人を巻き込んで自分のやりたいことやっていくかってことができなかったと思ってるんですよね。で、今のVCだからこそなんですけど、起業家ってVCを巻き込んで、でも自分で資金調達してやってくぞって言うじゃないですか。そういうものが自分の中ですごい素直に尊敬できるので、尊敬できる人の中で仕事ができてるなっていうのはすごいいい点かなというふうに思ってますね。
で、一方でやっぱりタイミングとかも色々あるので、いい顔だけはできないじゃないですか。で、われわれのポートフォリオだって42社っていうふうにウェブサイトで出てますけど、逆に言うと42社にしか投資してないわけなので、その裏側に色々あるじゃないですか、断るとか。そういったとこはやっぱりよりタフですよね。
石橋
塚本さんとしては、今まではVC業界にいらっしゃったわけではないじゃないですか。それでも、もっとロングテールでVCとかキャピタリストとしてやっていこうって思えてらっしゃるのって、なんか目標だったりとか、これがやっぱあるから続けるよねみたいなところでどう整理されてますか。
塚本
すごい単純なこと言うと、まだ結果出てないですよね。いや、結果が出てないっていうのは、全てのわれわれが、私が投資した起業家たちがまだチャレンジしてる途中じゃないですか。なのでそのチャレンジしてるっていうところの期間がやっぱり長くあるので、そこはチャレンジを一緒にしていきたいですし、それがやりがいでもあり、面白みでもあるので。まだまだなので、そういう意味でこう継続していきたいってところがすごい強く思うとこですかね。
石橋
山中さんご自身はかなりVC業界長かった立場でいらっしゃって、一方で塚本さんの方はある意味VC未経験というところから始められたその2人組で始められたi-nest capitalさんが、第3弾の動画では、他のVCファンドさんから比べると圧倒的に成績出ていらっしゃる、しかもこの年次のタイミングで出てらっしゃるっていうのは、なんか忖度なく言えるんじゃないかなと思っておりますので、どういう風にしてスタートアップを見極めるとか、逆にこういうところは絶対投資した方がいいけど、こういうところは投資できない、ないしはこういう風に改善していただけるといいよねみたいなお話を第3弾ではお伺いしていきたいと思っておりますので、改めてよろしくお願いします。
塚本
よろしくお願いします。
【起業】今赤字でも将来成長できる事業の見極め方/投資事例から学ぶ共通点【i-nest capital 塚本さん vol.3】
石橋
皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capitalの石橋です。
今回も前回に引き続き、i-nest capitalパートナーの塚本さんにご出演いただいております。今回もよろしくお願いします。
塚本
よろしくお願いします。
石橋
前回までの第1弾ではi-nest capitalというファンドについてのお話、第2弾では塚本さんがどのような経歴でパートナーとしてやっているのかというところを伺いましたが、現在は何社に投資済みで、何社がイグジット済みですか?
塚本
現在(2024年6月)は42社に投資済みで、6社がイグジット済みです。
石橋
約15%行かないくらいですね。しかもファンドを設立してから4年半くらい?一般論で言うとスピード感も含めて、相当イグジット率は高いですよね。
塚本
ある意味でそこを狙っていたというところもあるので。
石橋
一見すると「10%のイグジット率は少なく感じる」かもしれませんが、これは異常と言えるくらい高い数値で、これから成長・イグジットするところが極端にいうと35社弱あるという状況ですよね。第3弾では、i-nest capitalがどうして順調かつ高水準のイグジット比率を保てているのか、どのような起業家の方や事業の見極め方をしているのか。「こういう起業家には絶対に投資をした方がいいし、こういう起業家には投資をしない」といった判断基準について、塚本さんやi-nest capital目線で教えていただきたいと思います。こういう起業家には絶対に投資をするというところだと、ビジネスモデルやチームなどで何にこだわって目利きをしていますか?
塚本
例えばtaskeyという会社があって、デジタルコミックをしていて自社でIPを持っています。一番お金を少なく作れる小説を作り、その小説のデザインを自社のプロデューサーがして、小説家・作家を連れてきて書いてもらって、作品を科学するわけです。「売れるのか売れないのか」などいろいろなパラメーターやKPIを持って、そこで見極めて、それをデジタルコミックにするというような事業体です。去年、日本の会社で作ったWebtoonで一番売上を上げた会社だったと思います。今もすごく好調でして、毎月伸びています。
やっていることはすごくアートな世界だと思っていて。その一方で、局所局所の判断をするタイミングはサイエンスなんですよね。それは数値的には自社内でデジタルマーケティングのチームがいて、ちゃんとKPIを測っていて。そのバランス感を社長の大石さんはお持ちで、すごくいいと思っていて。理にかなっていると思うところがあって。ビジョナルだけど、会社経営は現実にされていくので、そのミックスというものが僕なりの投資尺度や判断の一つの判断軸になっています。
なので、そういったバランス感が取れている人に、僕としては応援したくなりますね。もちろんそれだけではないですけど。
石橋
taskeyの場合はどれくらいの規模の事業ステージで、タイミングでいうとどのような投資をしたんですか?
塚本
taskeyはプラットフォームを作って、そのあたりが今もあってワークをしているのですが、それだけではなくてIPを作るという転換点で、実はまだ数作品しか出ていなくて。ライセンスアウトをした作品が1個好調だったんです。そのときに「こういうIPを今後はどうやって作っていくんだ」といった、ちょうどそういうタイミングで、今のデジタルコミックもまだ2〜3作品くらいしか出ていないタイミングでした。
石橋
いわゆるアーリーくらいですか?シードですか?
塚本
一旦かがむタイミングなどいろいろあるので、ちょうどかがむときのタイミングかもしれないです。
石橋
やっぱりオールラウンドなんですね。
塚本
リードをやらせてもらったんですが、既存投資家にTencent Japanが入っていて、8〜10億円ほど投資をしていて、すごくTencent Japanにフェイバーな投資契約書だったんです。それを全部平等に直させて、条件を綺麗に整えたタイミングで。
石橋
塚本さんがそのようにしていなければ、もしかするとそのあとに入る投資家も、なかなか難しかったかもしれませんよね。
塚本
ちょうどそのときに3社入って、D4V、PKSHA、アカツキが入って。そこでMonthly Pitchとちょうど重なったんですよね。そうするとMonthly Pitchを見て「あれ?いけてんじゃん」みたいになったんですよ。リードもいますといった状況で来てくれて。ちょうどD4Vの担当者の永瀬くんが高校の後輩なんです。
石橋
へえ。
塚本
DUAL BRIDGE CAPITALの伊東くんも同じ高校なんです。僕は年が離れていますが。そこの3人で「静岡高校VC会」というものをやっています。
石橋
今の話はIPだったのでtoC向けのビジネスでしたが、toB向けだとどのようなところで見極めが必要だとお考えですか?
塚本
toB向けだと、大前提として投資をするときには起業家のことを買って投資をするので、ある意味好きなように経営するということでいいと思っていて。その中で「ん?」と思ったときは、口うるさく言ったりはありますが。
もうひとつは、企業に永続してもらいたいと思うときに、踏むとき・掘るときがあるのは全然いいと思っていて、掘ってくれと思いますし、VCなので急成長してほしいというのはありますし、健全な掘り方をずっとしてほしいのはあります。ただ一方でシンプルに、その事業モデルがいけてるのかいけてないのかというのはあると思っていて。
それはその事業自体が自律的にお金を稼いでくれないと、いつまでもファイナンスで成長をし続けるわけにもいかないと思っていて。もちろんIPOをしたあとは自立的に赤字であっても、公募増資ができればいいというのもあるので。この事業をシンプルに「どうしたらお金がポジティブになれるようにできますか?」というところが、僕はBtoBのビジネスで重要だと思っていて。それに対して答えられる人、というのが、僕の中では一緒にチャレンジしたいなと思う人ですかね。
石橋
その観点で、この人はお金をどのように稼いでいくかの仮説が明確だった人で、印象に残っている人はいますか?
塚本
movのCEOの渡邊さんやCFOの諸見里さん。僕の担当ではないがLUUPとかも。もちろんすごく掘ってはいますが、でもすごく成長しているし、法改正を乗り越えてきているというところがあって。そういうことが現実的に「どうすれば法律が変わるのか」と考えられることと、「これがあればラストワンマイルの移動が楽になるよね」とか、非常にメリットがあるよねといったところを、全体の中で事業として成功させるには、法律を変えないといけないことがきちんとわかっていると思っていて。そこを現実に変えにいっていたり、頑張っていたりするところとか、そういったところを見てすごいとは思います。
石橋
塚本さんの投資判断や好みの起業家はいると思いますが、i-nest capitalという単位で大事にしていることや、逆にこういう起業家の方はなかなか投資をするのが難しいとか、改善してもらえないと投資には至らないといったところで何かありますか?
塚本
i-nest capitalはどちらかというとマチュアなファンドだと思っていて、パートナーがそれなりにキャリアもあって。あとはi-nest capital自体の特徴としては、数字。VCの職業は夢を数字の株価に置き換える仕事なので、そこで語らないといけないので、数字をすごく重要視しています。数字は今あるトラクションの数字もだし、将来どのようにして伸ばすのか、プロジェクションの数字もそうで。数字は置くだけではなくて、どうすればその数字が上がっていくのかというところを、きちんと解像度を上げていかないといけないと思っていて。
i-nest capitalはその仮説に対する解像度がどれだけ上げられているのかというところを非常に見ていて。もちろんそれがうまくいく、いかないはいろいろな状況があるので、うまくいかないケースでも解像度が上がった人の方が、何が悪かったからわかるからピボットしやすいと思うので。そういったところはすごく見ていて。「ノリ・ビジョン・度胸です」といった面も重要ですが、先ほど言ったバランスとなると、仮説に対する解像度もないと、ファンドとしては比較的にそれがないと投資に至るというのは難しいことが多いと思います。
もちろんそれを凌駕するような人もいるので、そう言った方にも投資はしていますけど、基本的にはそんな感じです。
石橋
今まで出演していただいた方やVCの方の中でも、オールラウンドでやっている方はなんだかんだ少ないので、だからこそ観ていただいている起業家の方の中で、シードの方はぜひ概要欄にi-nest capitalと塚本さんのURLの記載をしておりますので、ぜひお問い合わせをいただきながら、このビジネスモデルでお金になっていくのかといった、ある意味マチュアなところにこだわっているi-nest capitalの。おそらくこの動画を観ていただいている頃か、半年後、1年後にはおそらく2号ファンドも立ち上がっていて運用をしているはずだと思いますので、積極的にご連絡をいただければいいのではないかと思います。改めて全3話に渡りましてご出演ありがとうございます。
塚本
ありがとうございます。
石橋
みなさんも最後までご視聴ありがとうございます。