【イグジット実績多数】グロービスのVC “GCP”、パートナーの湯浅エムレ氏がその全貌を徹底解説
◯湯浅 エムレ 秀和 グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社 パートナー
Twitter▶︎https://x.com/emreyuasa
公式HP▶︎https://www.globiscapital.co.jp/ja
2014年6月グロービス・キャピタル・パートナーズ入社。
主に産業変革(デジタルトランスフォーメーション)を目指す国内ITスタートアップへ投資。
前職は、デロイトトーマツコンサルティングおよびKPMGマネジメントコンサルティング(創業メンバー)にて、企業の海外進出や経営統合(Post Merger Integration)に従事。
グロービス経営大学院(MBA)講師。
石橋
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、GazelleCapitalの石橋です。
今回はですね、グロービスキャピタルパートナーズ、パートナーの湯浅エムレさんにご質問をいただきますので、今回からよろしくお願いします。
湯浅 エムレ
よろしくお願いします。
石橋
これから、GCP(グロービスキャピタルパートナーズ)さんからファイナンス受けたい起業家がこれをみとけば、まあまあとりあえず全部わかるよねってところを目指して色々深堀りして伺いをしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
湯浅 エムレ
何でも話すようにしたいと思います。
石橋
ありがとうございます。
早速なんですけど、湯浅さんの簡単にちょっと自己紹介だけ最初にさせてもらって、で何かどういう背景でGCPさんに参画されたかってところまで伺っても大丈夫でしょうか?
湯浅 エムレ
はい、わかりました。湯浅エムレと申しまして、私2014年から、GCP(グロービスキャピタルパートナーズ)に入社して、まあ10年強、今VC(ベンチャーキャピタル)やっております。で、その前はアメリカのハーバードに留学してて、その前は日本でコンサル会社をやってました。
で、ちょっと特徴的かなと思うのが、生まれがトルコで、父親がトルコ人、母が日本人という家庭に生まれて、幼少期は父の仕事の関係で、トルコにいたり、まあ日本にいたり。
あとはスイスとアメリカの学校に行ったりとか、。アイデンティティは日本人ですけど、海外に長く住んでたというのが、私のバックグラウンドかなと思ってます。
で、参画した経緯もまさに繋がるんですが、こう海外で育てっいる中で、当然向こうからは日本人として見られて、「いや日本企業ってすごいよね」と、トヨタがあったり、ホンダがあったり、ソニーがあったり素晴らしい会社たくさん見出してるよねっていうのが、私の幼稚園とか小学校とかの思いなんですけど、高校大学になるにつれて全く聞かなくなる。
で、あれっ?自分の国って何かそんなに、最近流行ってないのかなみたいなのがちょっと感じながら育ってて、その後に、MBAでハーバード大学に行って時に、そこってすごいこう教育してまして、ハーバードの、教育のビジョンみたいなのが「Educating Leaders Who Make a Difference in the World」っていうのがあって。
世界に影響を与えるリーダーを育てると。で、本当に毎日のように、「じゃあお前はどうやってこの世界に影響を与えるんだ」っていうのを、みんなに問い続けるんですけど、これを2年間受けると、自分がどうやって世界に影響を与えようかと、本当に自分事として考えるようになって、で、その時にこの思い立ちのことも思い出したりしながら、やっぱり自分は、この大好きな日本という国に対して何かいい影響を与えたいと。
で、日本でやっぱ一番足りないのが新しくスタートアップが生まれてくる部分だなと、いう風に思って、そこに携わりたいと思って2014年に卒業と同時に入って来たというのが経緯です。
石橋
もうじゃ丸10年前ぐらいってことですね。
湯浅 エムレ
そうですよね。もう10年ちょっと経ちましたね。
石橋
ああ。まあこれ撮影時点が2025年なので、今そうなるとおそらく以前もエムレさんはこの番組出ていただいたこともあると思いますし、エムレさんが、あの、なんだGCPに入って来たタイミングと足元のファンドって状況が全然違うのかなと思うんですけど、近々の足元だと何号ファンドでトータルすると会社全体で何億円のお金運用してるってのが今GCPさんの規模感なんでしょう?
湯浅 エムレ
はい。あの、我々今一番新しいファンドが7号ファンドで、これが727億円。
石橋
727億円!
湯浅 エムレ
はい。なんか飛行機みたいなんですけど。
727億で、やってまして。これ我々としても過去最大のファンドになってます。で、今あのアクティブなファンドが4つありまして、4号、5号、6号、7号って全てアクティブなんですけど、この4つ合わせて約1200億円ぐらいを運用してるという状態。
石橋
で、7号相当大きいですね。全体で1200億の727億が7号ファンド単体なんですか。
湯浅 エムレ
はい。それぐらいありますね。大きいですね。
ただファンドサイズは、あのここ最近はどんどん大きくなってるんですけど、実はファンドの投資戦略ってのは変わってなくて。
基本的に1ファンド35社ぐらい。で、ほぼ全てリード投資、投資用のエントリーで言うと、まあ大体プレAからシリーズAっていうのはずっと昔っから変わってなくて。で、大きく変わったところは、ファンドが大きくなった分、大きな投資金額が投資できるということで、それこそシリーズAの投資額を、もう私が入った時は何か1億とかだったのが、最近だとシリーズAで10億ぐらい、投資するみたいなこともありますし、この後ろのラウンドでシリーズB・Cでフォローする時に1社20億30億っていう、まあそういう投資もできるようになって来たっていうのは大きな変化かなと思ってます。
石橋
社数と投資ステージが変わらない中でファンドサイズが大きくなって行ってるってことはフォロー投資金額がどんどん増えて行ってるってことなんですか?それともさっきのお話しで、一番最初のエントリーの規模が市場の変化のせいで必要額が大きくなってるからファンドも大きくなってるって感じなんですか?
湯浅 エムレ
両方かなと思ってて、累計でフォローして投資していく投資額も大きくなってますし、エントリーも大きくなってるというのもあるんですけど、両方に作用してるのはやっぱここ5年ぐらいで日本のスタートアップがより大きな規模を目指していく、あの200億300億の上場ではなくて、もう1000億超えて行こうとか、世界に出て1兆円超えて行こうとか、実際それ目指してるスタートアップも増えてるし、やっぱそういう企業であればあるほど大きな資金が必要ということで、我々の投資額のエントリー時フォローも大きくなってきてるかなと。
石橋
ちなみに何か投資した後のコミュニケーションだと、企業家の皆さんはGCPにどんなコミュニケーションと、どんな支援体制みたいなものを期待してるイメージとしてはバッチリなんでしょうか?
湯浅 エムレ
はい。先程我々ほぼリードしかやらないという風に申し上げた通り、特にシリーズA以降でリード投資すると、まず、誰か社外取締役として、うちのメンバーをその会社に、アサインします。
石橋
じゃ、ちゃんと入って行かれるんですね。
湯浅 エムレ
はい。で、多くの場合、外部のVCから始めて社外取締役を受けるラウンドになるかなと思ってて、それこそ我々が投資したタイミングで今まで無かったこの取締役会みたいなものを作ったりするところから入って行きます。で、日本の場合取締役会が大体月に1回あるので、これがある意味1つのペースメイクになっていて、毎月その会社の状況、のまあ議論したりだとか、その時の課題ってのをまあ色々議論したりとかしてます。
で、これがまあ月1回の取締役会なんですが、多くの場合スタートアップってペースがすごい早いんで、これだけだと間に合わず、必要に応じて何か2週間に1回だとか、もしくは特別なアジェンダを切り出して、例えば我々でよくやるのが採用とかがすごく、投資先の成長において重要なので、採用というテーマだけ切り出した、この採用のミーティングみたいな、何かそういうものをやったりするっていうこともありますね。
なんで頻繁な会社だと下手したら2、3日に1回は何かしらコミュニケーション取ってるぐらい、近い距離感でやってます。
石橋
今、投資担当者の方がおそらく社外取締役としてしっかり深く、hands onというか、まあ深く本当に関わって行くお話は聞けたと思うんですけど、GCPさんとして他の部分で、投資家をサポートする機能とかって持ってるんですか?
湯浅 エムレ
はい。実は我々3つのレイヤーで考えてまして、1つ目のレイヤーがまさに、あのGCPキャピタリスト。投資チームがボードに入ったりだとか、日々色んなコミュニケーションをしたり、顧客の紹介したり、人材の紹介したりして支援するっていうようなことですね。場合によっては、1対1で飲みに行くみたいなのも含めて、とても密にやってるのがあの1つ目。
で、2つ目が、えっと我々「GCPX」というチームを持っていまして。これは海外だとプラットフォームチームって呼ばれたりするんですけど、投資先の、成長だとか支援のための専門チームです。
で、我々今ここが5人いまして、基本的に全員人材のエキスパート。もう本当にエグゼクティブレベルの採用を支援する人もいたりだとか、エンジニアの採用だとか、まあ色んな採用、もしくは採用体制を作るため今まで月1、2人採用だったのを、どっかのフェーズから月10人採用しなきゃいけないみたいな。
フェーズが投資先に来るので、そこの採用体制作りをするメンバーがいたり、ここが僕らのまあ2つ目のレイヤーですね。
で、3つ目が、あのまあコミュニティを通じたサポートなんですけど、えっとGCPってグロービスグループのまあ1つのあのメンバー企業でして、グロービスグループには他にあのG1カンファレンスという。
あの日本版ダボスって言われたりもするんですが、あの前回やった時は大臣が2人お越しいただいたりとか。本当に大臣クラスの政治家の方とか、大企業のCEOとか、あとは教授とか、色んな方が集まるコミュニティがあるんですけど、そこに僕らの投資先の社長も行ってもらったりとか。
あとはグロービスが経営大学院やってて、ここの経営大学院とコラボして一緒にイベントして、場合によってはここから採用が決まったりだとか、あと経営大学院行ってる方ってあのどっかの企業で働いてる方が多いので、場合によってその会社と何か事業が進んだりとか。
石橋
経営大学院の受講生がHUBになる感じ。すごい。そんなことあるんだ。
湯浅 エムレ
そうなんですよ。大体おそらくボリュームゾーンが30代なのかなっていう方々で、どっかの企業に所属しながら夜7時から学校に来るっていう方が多くて。
あとは新しいことがやっぱり、あの、好きな方々なので、こうDXとかスタートアップとかっていうのを繋いでいただけるっていう。
あともう1つが、あの企業研修やってるチームがありまして、ここはもうほとんど日本の大企業であればお客様なんじゃないかと、いう風に思うので、ここのネットワークもたまに使わせて貰って、投資先を紹介するみたいなこともやってます。このコミュニティっていうのが一番外側のプレイヤーって感じですね。
この3つで、基本的にできることは何でもするっていう形で投資先がしっかり大きな会社になるような支援っていうのをやってます。
石橋
へえ。その今の、投資支援チームみたいな機能って、大型のまあシリーズA前後ラウンドを、あの主戦場としてるVCさんであれば結構持っていらっしゃる方も多いのかなと思うんですけど。
僕の勝手なイメージ、バイネームで言うと例えばグローバルブレインさんとかって、必ずしも全部の投資先にその、今のいうGCPXさんたちが関わってる訳じゃないっていう、認識をしてまして。GCPさんの場合は全てあらゆる投資先であれば全て皆さん、活用することができる感じなんですか?
湯浅 エムレ
2種類ありまして、はい。 全投資先に提供している、これはイベントだったりだとか、Slackのコミュニティがあったりだとかっていうものと、我々Deep Diveっていうんですけど、特定の投資先に特定の期間だけこの5人のうちの何人かが、深く入って行く。で、多くの場合これってその会社が非連続な局面を迎える時、それこそさっき申し上げた月1人採用から10人採用まで行かなきゃいけないとか。
何か今新しいマーケットを、例えばアメリカを攻めるので、アメリカの最初のチームを作らなきゃいけないとか、何かそういう心のとこグイッと支援できるって、企業価値が大きく上がるよねっていうタイミングで、まあ特殊部隊的にこう入って行き、で3ヶ月後にまた引くみたいな、そんな動き方をしたりもします。なのでこの2種類でやってます。
あともう1つ、あの我々2019年かな、GCPX立ち上げたんですが。立ち上げる前の1年間で私がアメリカに行って向こうのVC20社ぐらいと話してきたんですね。
でセコイアとかアンドリーセンとかそういう有名なVCと話して、アメリカだともう10年ぐらい前からこういうチームってあったんで。で何がうまく行ってて何がうまく行ってなくてこれを日本で我々がやるんだったらどういう特徴を持たせたいかってのを結構色々こうヒアリングしたりだとか向こうの人たちとディスカッションして作ったのがGCPXでして、
で僕らがすごく大切にしているのは、えっとGCPの投資チームとGCPXはイコールだと。
でこれどっちが偉いどっちが偉くないってのが全くなくて、それぞれ専門性が異なるチームで。GCPは投資全体だったり経営だったりで、GCPXはこの人の部分っていうもののエクスパート。なのですごく対等な立場で情報も共有し合いながらやるっていうことはすごく、気を付けて設計したところです。
石橋
ありがとうございます。ちなみに今のその年間35社ぐらいで727億円って、さっきのGCPXさん5人っていうメンバーだと思うんですけど、キャピタリストの方々って何人いらっしゃるんですか?チームで。
湯浅 エムレ
はい。キャピタリストは今10人ですね。で、あの年間が、大体10から12社投資してて、ファンド全体で35社。
石橋
なるほど。年間10から12社ぐらいを10人ぐらいでやってるってことですよね。
湯浅 エムレ
そうです。
石橋
その選抜して投資して行ってるっていう言い方が正しいんですかね?
湯浅 エムレ
そうですね。しかも我々はパートナーだけではなくて、全メンバーが投資できる。あの誰でもオーナーになれるので、そういう意味で本当に10人で、年間10から12社投資してるんで、1人当たり直すと1~2社、それぐらいのペースで投資してます。なので、先程申し上げた1社に対して、たくさん時間が使えるっていう。
石橋
ちなみにそうなると企業家の皆様かってパートナーキャピタリストの皆様との関係構築っていつぐらいからしてれば適切なのかちょっと想像がつかないというか。
湯浅 エムレ
はいはい。基本早ければ早いほどよくて。え、例えば私のケースで言うと、おそらく平均を取ると1、2年なんじゃないかなと。平均でですね。長いところはもっと長い。それこそ起業する前からって方もいますし、で、あの逆に無いのはピッチイベントとかで初めてましてで、いや実は3ヶ月後にあのラウンドするんですよ。
で、そこからよーいどんでデューデリジェンスして投資検討するってのはほぼゼロではないけどほぼ無いかな。
石橋
これはエムレさんに限らずGCPさん全体としてもその傾向は取れるって感じなんですね。
湯浅 エムレ
あの基本的に同じだと思いますね。でこれはなぜかって言うと、我々がそのシリーズAが多くて、でリードで入るから、ボードとして入る、社外取締役として入る。でこれ僕らにとってもすごく大きな、年に1社2社しか投資しないので、とても大きなコミットメントですし、あと同様にスタートアップにとっても、誰かボードに入って来るのがものすごいクリティカルで。
これが全く相性が合わない人だったら、もうこれほどの悲劇ってなかなか無いと思うんですよ。首にできない人を誰か雇ってしまったみたいな感じになっちゃうので、だからお互いの相性が合うことがとても重要だと思うので、やっぱそこには一定の時間が必要だよねと。いうことで、我々投資するのはプレA、Aが多いですけど、大体そのもう1個か2個前のラウンドから、もう創業期だったりシードぐらいからお話しすることが多いかなと思います。
石橋
うん。その流れで言うと何かそういう検討プロセス、コミュニティ、コミュニケーションフローだからこそ、いわゆるアンチポートフォリオというか、エムレさんがこの10年強キャピタリストやられてる中、投資業やられてる中で、「いやあの起業家は見逃しちゃったけどやっぱめちゃめちゃ投資するべきだったよね」みたいな振り返るとスルーしちゃった人ってどんな会社さんいらっしゃるんですか?
湯浅 エムレ
いやいい質問ですね。ファンドとしてはまず我々もう1996年からやってて、シリーズAでリード取れるVCってそんなに日本数多くないんで。基本的に上場してるスタートアップはどこかしらでお話ししたことあるかなっていう風に思って。
石橋
さすがのリーチ力とブランド力って感じですね。
湯浅 エムレ
いえいえ、あの逆に言うとそれだけたくさん見逃してて、上場してる会社で我々が投資してないできてなかったところは僕らはいつもそこを悔やんでますね。
過去にSaaSの初期の会社というか、SanSan、freee、マネーフォワードとかトランザクション系だとラクスル、タイミーとか。コンテンツ系だとVtuberとか?
石橋
ANYCOLORさん、カバーさんとかですね。
湯浅 エムレ
あとは新しいカテゴリーで宇宙の会社が最近何社か上場してますけど、そこも我々は入れてないので。
向こうが選んでくれるかは別として、少なくとも自分たちとしては投資できてなかったんで、これは常に悔やんでますね。
石橋
ありがとうございます。
だからこそ、エムレさん、ないしはGCPさんがこういう起業家には投資したいよねとか、ないしはこういう事業でも構わないですし、ないしはこういう人はちょっとなかなか投資難しいかなみたいな観点とかってどういうお考えがあるんでしょう?
湯浅 エムレ
そうですね。1つもうあるのは、とにかく大きなことをやりたいという方に投資したいっていうがあって、でも僕らこのファンドのサイズの制約から基本的に1000億円以上の時価総額をつけれるかってのが僕らの投資の1つのクレイテリアになってます。それをしないと700億円を3倍にしないといけないビジネスなんですけど。こう2000億っていうのは作れないですよね。
まずはどれだけの大きな市場に対してどれだけの大きなことをやろうとしてるかってのが、1つ重視してるポイントです。逆に投資できないのはすごくいいチームですごくいいプロダクトなんだけど、どう考えても市場が小さいよねっていうところは、上場してもファンドにやっぱインパクト与えるリターンにはならないかなってところで見送るっていうのは多いですね。
石橋
この動画の第2弾後編の方では、エムレさんたちが具体でどういう会社に投資してるのかってところかなり深堀りをして行くので、より何か具体的なイメージも企業家さんには伝わるのかなと思うんですけど、こういう規模感以下だとちょっとなかなか、まあ小さなマーケットで難しいよねと、その数字で言うとどんなもんなんですか?
湯浅 エムレ
数字で言うと積み上げでやっぱ1兆円っていう市場規模感を作るかですね。そのよくマーケットサイズ、TAMの議論とかって、トップダウンとボトムアップの話なんですけど。で、何かトップダウンで日本のGDPの5%だから30兆ですみたいなのは、あんまり意味がない数字と思ってるんですけど、逆にその対象顧客が、例えばこのぐらいの規模感の顧客で1社当たりこのぐらい払ってくれるからかけることの日本に何社あるからいくらぐらいで積み上げで売上になると思いますっていう。
僕らはこっちの見方が好きで、でこの見方で1兆円を例えば作れるかってのは1つのクライテリアかなと思ってます。でこれが日本国内で1兆でもいいですし、グローバルに展開できる可能性があるんだったらグローバル市場入れて1兆でもどちらでもいいねと。
石橋
ありがとうございます。是非ちょっとその規模感をめざしてる企業家さんとかは、しかも早い内からコミュニケーションしていただくのがいいのかなと思うんですけれども、何か改めてまあちょっと総括に入っていければと思うんですけど、まあ起業家さん目線で言うと、GCPを選ぶ株主として選ぶべき強みとか特徴とかってどの辺に整理されるんですかね?
湯浅 エムレ
起業家目線だととにかく長い時間をかけてでも大きなことをしたいという方は、まあ我々そういう方にとって一番いいファンドでありたいという風に目指してる設計してます。
時間軸で言うとファンドはまあ10年ですし、まあ場合によってエクステンションっていうのもありますし、あとはあの追加投資もできるキャパシティを持ってるファンドですし、先程申し上げた人材の支援とかもできるので、別に何か2、3年でクイックに、何か成功を作りたいではなく、10年かかっても20年かかってもいいからとにかく大きなことをやりたいっていう方と組みたいなあという風に思ってて。
もう1つが、やっぱり心と心を通わせるっていうのが、VCと起業家においては重要かなと思っていて、事業計画通り行くことなんて基本的に無いじゃないですか。そんな簡単な世界じゃないんで、で当然それVCもわかってましてっていう中で、いい時も大変な時も色んなことを相談して、話し合って、ある意味兄弟というか仲間というか、そういう関係になれる方と我々投資して行きたいし、向こうからもそう思って頂けるといいなと。
なので、あのよく1on1とかで話す話題も仕事だけじゃなくて、家族とかプライベートとか。
石橋
その距離感なんですね。
湯浅 エムレ
はい、その距離感で、まあ10年一緒にやってきたいっていう方と組むと良いなと思います。
石橋
確かに、そうなる年間1社多くてもまあ2社行かないよねっていうのは何かすごく結果本当伝わような気がしますし、
しかも何かそういう中でも、まあGCPさんとして、集練すると大きいマーケットって話になるんでしょうけど、注目してるような技術要件とか、業界とかサービスとか、エムレさん個人のお話でも構わないですし、どういう所を何か探しているとかってあるんですか?
湯浅 エムレ
2つの軸があって、1つがやっぱり日本で巨大なビジネスになるかどうかですね。で、日本って、世界的に見てGDPが、割合っていうと小さくなってきているとはいえ、
まだ世界の4%のGDPありますし、経済規模で行っても今4位とか5位とか、大きい国なんですよ、実はすごく。だから日本市場でまだ全然アップデートされてないとか、もしくはアメリカとか中国で流行ってるけど日本にないもの、でも日本市場を取れればかなりのビジネスになると思ってまして、こういう所に投資していきたいなと思ってます。で、このファンドはもうジェネラルファンドなので、どんな領域でもやります。
中でも私はBtoBが多いので、私はやっぱりDXとか、そういう所で大きな産業でまだ変革が十分なってない所って投資していきたい。で、これ1つの軸ですね。
で、もう1個がやっぱグローバルに出ていける所。で、これはやっぱ日本が強みとしてる領域、ロボットだったり、コンテンツだったり、もしかしたらゲノム編集だったり、そういう特定の領域で日本が世界に誇るテクノロジーってまだまだあるので、何かそういう所で、世界に羽ばたいていくっていう会社に投資したいなと思ってます。
石橋
ありがとうございます。最後にあのGCPさんないしはエムレさんとして、GCPのパートナーもいらっしゃると思うので、何か今後成し遂げたいこととか、今後の展望について是非起業家の方向けにメッセージをいただければと思うんですが、お願いしても良いでしょうか?
湯浅 エムレ
はい、分かりました。
わたしとしてもしくはGCPとして成し遂げたいこととしては、日本を次のステージに進めたいというのはあります。日本の今のスタートアップエコシステム約30年の歴史があって、それぞれの世代で、徐々に大きな大きなことが出来るようになってきてるんですけど、今で言うとやっぱ1兆円の壁とか、もしくは世界展開の壁っていうのがまだあるかなと思うので、これを我々の世代で乗り越えて、より強いスタートアップエコシステムを次の世代に託していきたいっていうのを、私とかファンドとして、やっていきたいと思うので、そこに共感する方と是非一緒に出来るとうれしく思います。
石橋
第二弾ではかなり突っ込んだ、投資先の、「なんで投資先したんですか」シリーズを行っておりまして、3社、深掘りをしていければと思いますので、よろしくお願いします。
【なんで投資したの?】グロービスのVCが魅せられた3つのスタートアップ、そこから紐解かれる投資基準とは
石橋
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、GazelleCapitalの石橋です。今回はですね、グロービスキャピタルパートナーズ、パートナーの湯浅エムレさんに引き続きご出演をいただきまして、今回は、エムレさんが実際投資をされてる投資先具体的な3社に、「なんで投資したんでしたっけ?」みたいなところを結構深堀ってですね、ご質問をさせていただきまして、ぜひそのお話を通じて皆さんにはGCP(グロービスキャピタルパートナーズ)さん、湯浅エムレさんがどういう、投資家なのか、VC(ベンチャーキャピタル)なのかっていうところをぜひお伝えをして行きたいなと思っておりますので、改めて今回もよろしくお願いします。
湯浅 エムレ
よろしくお願いします。
石橋
早速なんですけれども、まずは1社、どういう会社さんで、いつぐらいに投資してみたいなところから簡単に、お話しいただければと思うんですけれども、お願いしてもよろしいでしょうか?
湯浅 エムレ
そうですね。1社目はestieという会社がありまして、
これはあの、商用不動産向けのデータベースとかSaaSを作ってる会社です。商用不動産ってオフィスとかホテルとか物流施設とかデータセンターとか、そういう、プロ向けの不動産業界があるんですけど、そこ向けにいろんなサービスを提供してる会社ですね。
創業が、2018年だったと思います。で我々が投資したのが2020年の6月ぐらいだったと思います。
石橋
創業2年目ぐらい。
湯浅 エムレ
そうですね。丸2年ぐらいだったかなと思います。
で、そこから、それがプレAラウンドでして、その後2022年にシリーズAをやって、で、2024年の末にシリーズBをやって、これ3回とも我々投資させてもらってます。
石橋
累計で言うと、いくらぐらいもう既にestieさんで投資をGCPさんからしてらっしゃるんですか?
湯浅 エムレ
我々で言うと、ま、10億円ぐらいですかね。
石橋
元々プレAのタイミングっていうと、GCPさん的にはちょっと早いぐらいなんですか?
湯浅 エムレ
はい。かなり早いです。プレAはよくあるんですけど、estieの場合は元々の創業時のビジネスからちょうどピボットし始めたみたいな。
で、我々このピボットした新しい、これがSaaSだったんですけど、こっちのストーリーに投資したいと思って。で、投資した時点ではこっち側のお客様がまだ1社。
あの、MRRも本当に、1社からしか来てないぐらいのMRR、というタイミングで投資しました。これはだいぶ早い方だったなと思います。
石橋
そうですよね、きっと。
なんか具体的にどういうソリューションやってらっしゃるかみたいなところを。
湯浅 エムレ
そうですね。はい。具体的に言うと、例えば、オフィスビルの何階にどういうテナントがいて、いくらでその賃料貸し出されてるかって、どこにもない、わからないんですよ。
で、何だったら自分が例えばオフィスを借りていて、同じフロアの隣の会社がいくらで借りてるかも知らないじゃないですか?基本知らないじゃないですか?
で、こういう情報って、1つに集約された場所なくて、どうやってそれ、確認するかで言うと、仲介会社さんいろんなところに話を聞いてなんとなくこう情報集めて、それでこうシンセサイズしていくみたいなことが必要でした。で、例えばこれがテナントさんももちろん困りますし、例えばビルオーナーの方が、じゃ今度このビルのこのフロアが空くと、じゃいくらで貸し出せばいいのかっていうのも、一元化されたデータベースがないので。
いろんな仲介会社さんに最近のこの辺のこういう条件の物件っていくらで貸し出されてるっていう情報を集めながら、じゃうちはこれフロアを1坪2万円で貸そうみたいな、そういう風に決めていくんですね。
石橋
元々そのプレAラウンドで平井さんたちがestieさんがピボットして新しい事業の方に行ってっていうにおっしゃってたのがまさに今ご説明いただいたサービスって感じなんですよね。
湯浅 エムレ
はい。そうですね。通常プレAはもう何社かお客様いるかなと思う。
これがどういう規模感で言うと、実は、これ僕estieから聞いたんですけど、東京の、商用不動産って世界一らしいんですよ。
で、2番目が確かニューヨークとか、で、3番目がロンドンとかなんですけど。
石橋
数が世界一なんですか?
湯浅 エムレ
えっと、その規模。日本全体で商用不動産の確かストックの規模が200兆円ぐらいアセットがあるっていう。
これはビルの価値を全部足したんですね。200兆円ぐらいあると言われていて、これが、売買されたり賃貸されたりしてるっていう。で、この規模が東京が事実世界一っていうのがあったりしますし、ここで本当に何十万にも方々働いてるんで、巨大な産業ですね。
不動産全体で言うと日本のGDPの十数%。その中の一部が商用不動産っていう感じですね。
石橋
改めてちょっとestieさんの相手してるお客様の課題感とか、その規模感ですとか、ま、改めてなんかデータベースサービスの、一言ではわかるんですけど。
ちなみにエムレさん第1段で、結構早い段階からコミュニケーションするみたいな話もあったと思うんですけど、estieさんの代表の方といつぐらいからなんかどういう経緯をなんか出会って、どういう風なコミュニケーションがあって、しかもそのプレAのタイミングで出資したみたいな感じだったんですか?
湯浅 エムレ
そうですね。estieとはその前の年の秋ぐらいからお話ししてました。で、人のご紹介で会ったんですけど、そこからまさに1、2週間に1回は、会って議論してました。もうなんかホワイトボードに色々書いたりだとか。ご飯食べながらなんか色々ディスカッションしたりだとか。
ある時は、2月14日のバレンタインデーのランチで、周りがカップルだらけのレストランで2人でご飯食べながら話すみたいな。
そんな形で、下手したら10回以上ですね。議論をして。で、何を議論してるかっていうと、estieは、その商用不動産という巨大なマーケットに対するプラットフォーマーになりたいと。で、色々やりたいことがあって、でもどの順番からやってったらいいのかっていうのが、これ誰にもわからない。
で、もちろん僕らもわからないんですが、我々って過去にユーザーベース、これスピードっていうデータベースの会社に投資してたりだとか、あとビジョナル、ビズリーチをやってる会社ですね。
ここに投資してるので、このデータベースビジネスをどう立ち上げていくとか、どういう風にそこに難しさがあるのかみたいなのは一定程度、近くで見てて理解はしてるので、じゃそのアナロジーを使ってこの商用不動産のデータベースを作ろうと思うと、どういう山の登り方があるかねっていうのを結構2人で議論して。
で、私はそういう他の業界の見てきた経験を活かして、平井さんはこの業界についてめちゃくちゃ詳しい、元々三菱地所の方なんですけど。なので、業界の専門知識とビジネス一般知識みたいなところで議論しながら、ある意味、僕ら山の登り方っていうんですけど、あの、この大きな産業の山をどうやって登っていくのかっていう議論をしてました。
石橋
なんか当時で言うと、GCPさんエムレさんとしては早いラウンドだって話でしたけど、どういう市場仮説とか、どういう可能性を見出してその当時、なんで投資できたんですか?みたいな話で言うと、どんな感じなんですか?
湯浅 エムレ
我々見てる大きく3つで、チームとマーケットとプロダクト。で、基本的にこの順番で見てるんですけど。
えっと、チームに関して言うと、平井さんという、三菱地所出身の方と、あとはCTOの方がめちゃくちゃテクニカルに強いと。で、僕このコンビネーションがやっぱ最強だなと思っていて、あとはオフィスに遊びに行っても、もうオフィスの雰囲気がすごく良くて、みんなすごく優秀な方がめちゃくちゃハードワークで働いていて、一緒に飲みに行ったりもしたんですけど。
まあ、1人1人粒揃いが良いなっていう。こういう仲間が初期の5人10人ぐらい入れると、きっとその後入ってくる人たちもこのチームに惹かれて入ってくるなと思ってで、これきっと、いいチームになっていく種があるなというのが1つありました。
業界にすごく詳しい方とテクノロジーすごく長けていて、仲間集めもできるっていう。ここが創業チームとしているとすごくいいなっていうのがまず1つあります。ま、estieはまさにそんな感じでした。
で、マーケットで言うと、先ほど申し上げた通り、もうとにかく巨大。
で実は、アメリカに類似の会社があって、アメリカの商用不動産市場のデータベースとSaaSを作ってる会社なんですけど、CoStar Group Incっていう会社なんですけど、この会社の今の時価総額大体5兆円ぐらいなんですね。
で、ARRで行っても確か3000億円ぐらいあります。毎年20%成長してる。で、これのアジア版を作ろうっていうので、マーケットはもう十分にある。
石橋
確かに。
湯浅 エムレ
で、プロダクトに関して言うと、まだ出来立てだったんで、正直1社しか入ってないし。ま、ここはまだこれからかなっていう感じでしたけど、でもヒヤリングをしてるとお客様の反応すごくいいし、ここが出来たら導入したいっていうお客様が多かったんで、これきっといいものになってくであろうなっていう風に思って、この3つを見て投資したっていう感じですね。
石橋
結果エムレさんのその投資仮説は今正しく論証され、検証され始めてるっていう。ま、多分3回に渡っても追加投資してらっしゃいますしね。
湯浅 エムレ
そうですよね。はい。正しかったですし、ARRで言うと当時から100倍以上になってますし、もうこのカテゴリーは多分estieが取りに行くのかなっていう風になってるので、そういう意味では正しかったし、何だったら想像以上だったなっていう風に思いますね。
石橋
ありがとうございます。第1段の話と合わせてそのestieさんとかの投資背景もよく理解できたんですけど、ぜひ2社目も伺いたいと思ってるんですけど、2社目で言うとどこの会社でなんていう方が創業されてるんでしょうか?
湯浅 エムレ
そうですね。2社目で言うとキャディっていう会社で、これは加藤勇志郎さんという方と、小橋さんというこの2人で創業してる会社です。
石橋
GCPさんはいつ、どのぐらいの金額出資するところから始まってるんですか?
湯浅 エムレ
はい。我々は2018年の12月だったと思います。そこで、シリーズAラウンドかな。で、最初の初回投資をして、その後シリーズB、Cとやってます。で、累計で言うともう数十億円後半という金額を、我々のファンドからキャディ社1社に投資してます。
石橋
めちゃくちゃな金額投資してますね。それで言うと改めて今、キャディさんはなんかどういう事業をやられていらっしゃって、どういうお客さんの課題を解決しているんでしょうか。
湯浅 エムレ
あの、実はこれは僕ら初回投資した時と今ってちょっと違うんですけど、初回投資した時は、BtoBのトランザクションマーケットプレイスでして、特定の部品を作って欲しいっていうクライアントとそれ実際作れる工場っていうものの間に入って、そこのマッチングを適切に行うっていう事業やってたんですが、今はAI、彼らはAIデータプラットフォームっていう風になってますが、主に図面管理が出来るSaaSを提供してる会社になってます。で、今後図面以外のいろんなもののデータも管理できるようにしていくっていう。
石橋
それだけで聞くと結構同じおそらく製造業の業界でもなんか全然違う課題感みたいな感じですよね。
湯浅 エムレ
えっと、そうですね。裏では繋がってるっていう感じでして、実はそのトランザクションのマーケットプレイスをやってる時も、社内向けに10個ぐらいプロダクト作ってたんですね。
キャディさんがキャディさん向けに、はい。Drawerっていうプロダクトになってます。例えば、いろんなクライアントがいろんな部品情報、注文が入ってきて、これをマネージするものとか、あとは実際いろんな、もう何百かな、何百以上かな、の工場と繋がってるんで、どの工場が何の加工に強みがあるかってものを管理したりだとか。で、この受発注システムだとか、あと実際キャディが間で納品を受けて、在庫管理して検品して、提供するってことをやるので、これ1個1個もなかなかいいプロダクトがないので自社向けに作ってたんですね。
で、実はこの図面管理SaaSというものはこの中の1つをプロダクト化したものでして、で、元々自分たち向けに作っていたら、すごくいいものが出来てお客様からもなんかこれ使って欲しいみたいな話があったらしい。で、これほど強いニーズがあるならこれプロダクトとして切り出そうと。
石橋
ちなみに加藤さんとの出会いはいつぐらいからで、加藤さんてどういうご経歴の方だったんですか?
湯浅 エムレ
加藤さんとの出会いも2018年で、私がキャディの話を聞いて、自分からアポ取って浅草に会社があったんですけど。浅草のあの、町工場がいっぱいあるようなエリアに行ってオフィスにお邪魔したのが最初です。
で、彼自身は、元々こうミュージシャン目指してるみたいな感じの人だったんですけど。そこから東大に行って、そこからマッキンゼーに入って、確か史上最年少でマネージャーかな、にグローバルでなって、そこからの起業したと。マッキンゼー時代に、クライアントがほとんど製造業だったらしくって、そこであの、製造業の調達という課題に向き合ってる中で、この会社を作ろうっていう風になったみたいですね。
エムレさんとしては投資、シリーズAっていうことはそこまで今のほどの規模感ではなかったのは当然だと思うんですけど、なんかどういうところが、「いわゆるなんで投資したか」っていう観点で言うと、市場仮説であるとか可能性とかでどういう風に見てらっしゃったんですか?
そうですね。まず市場で言うともうとにかく巨大な市場で、製造業って日本最大の産業ですし、ここでなかなか、DXがなされてこなかったっていうものかなと思ってます。で、実はもう1つあるのが私の妻の家が製造業をやってまして、もう歴で言うと50年以上。
で、こちらの工場で私も少し、見させてもらったことがあるんですけど、すごくいい技術を持ってて、いいものを作ってるのに新しい取引先の開拓っていうのがやっぱ簡単ではない。
あの、日本の場合多くの国町工場って営業機能が持てなかったり、そこは弱かったりするんで、昔からのお客様からずっと取引してるんですけど、本来このいい技術こっち側にも繋いだらもっと取引増えるのにみたいな、マッチングうまくいってないんですね。
で、逆も然りで、大企業のほう(注文する方)も、昔からの繋がりで注文してるけど、本来もっと広く探索したらさらに合うところあるはずなんですよね。なんでこのN対Nの巨大なマッチングっていうのがま、やってるんですけど、今まではやっぱそこの情報がきれいに流れなくて、適切なマッチング出来てなかった。
で、これをやっぱキャディというプレイヤーが間に入って、で、ただもちろん右から左に流してるだけじゃなくて、いただいた注文の部品を解析して、じゃこれだったら、何の材質が必要で、どういう加工が必要で、それが誰が1番効率的に出来るのかっていうのをまでピンポイントに特定してその工場に出すっていう。これをやっぱり相当な、データと技術使ってやってたので、今だから出来るソリューションかなっていう風に思ったというのがあります。
石橋
なるほどですね。ありがとうございます。ちなみに投資した後のなんか成長度合いと言うと、エムレさんの想像をなんかどういう風に超えていったっていう感じだったので、結果的に多分追加投資されてるんで、多分超えていってるんだろうと思うんですけど、どんなイメージだったんですか?
湯浅 エムレ
そうですね。トランザクションビジネスっていうそのマーケットプレイスのほうは、かなりの勢いで伸びまして、特に半導体需要が世界中で高まった時に、もうググッと来て、もうすごく成長してましたと。で、面白かったのが、それをやりつつ先ほど申し上げた社内向けに元々作ってた図面活用SaaS、管理SaaS。を切り出してプロダクト化したら、こっちがさらに伸びたみたいなのがあって。
それを、一時期並行してこの2つの事業やってたんですが、こっちの伸びがSaaSの伸びが余りにも強ので。
でもやっぱり、こっちにリソースを、フォーカスしたほうがいいねとなり、で、2024年の夏に正式に、SaaS側に全ての事業統合するっていうアナウンスをして、そちらに振り切ったっていうのが今です。で、このやっぱもちろんトランザクションも伸びてたし、これはこれでいい事業だったんですけど、SaaS側の伸びっていうのはもう本当に想像を超えてる感じで、多分世界で見てもあの規模であのスピードで伸びてるのってなかなか無いんじゃないかなっていう。
よくある、Slackが2年目ここまできましたとかあると思うんですけど、あれに全然匹敵する伸びをしてますね。
石橋
ほぼ垂直に立ち上がってるぐらいの成長率になってますよね。
結構なんか投資家さんとしては、その規模で、さっきの話だとシリーズC以降に、統合する、シリーズCラウンド以降が終わった後に、統合していくっていう意思決定が企業さんがされた時って、さすがにびっくりしましたか?
なんかもう、え、そっち別になんだろな、統合する必要なくない?みたいな議論とかあっても違和感はない気がするんですけど。
湯浅 エムレ
私はあの、ボードに入ってる、社外取締役入ってるので、1年以上かな、やっぱこの2つの事業今後どういうバランスでやっていくのかっていう議論はしてました。で、やっぱり明らかに成長率が違って。で、やっぱ片や、元々ある商流を、よりスムーズにしていくっていう。で、もう1つのSaaSのほうって今まで全く無かったプロダクト。なのでやっぱりスタートアップの優位性がすごく生きやすいですよね。で、かつ最近はやっぱAIの波とかも色々来てますし、DXだとか。
大企業からの引き合いすごく強くて、この2つをどうするかっていう議論をしていくうちに、最後は、経営陣、おそらく加藤さん中心に、で、考えてこういう方向でいきたいと思いますっていう風になり、で、取締役会として正式に意思決定をしたっていう感じです。
びっくりはしましたが、でも、それだけ長く議論してたんで、方向性はすごく賛成ですし、とても大変で厳しくも正しい意思決定だったなっていう風に思います。
石橋
面白いリアリティがあってめちゃくちゃいいっすね。ありがとうございます。ぜひ最後の3社目についてもご紹介いただきたいんですけど、3社目はどちらになりますか?
湯浅 エムレ
はい。3社目は、Leaner Technologiesという。
石橋
Leaner Technologies。どんなサービスをやってらっしゃる、どういう創業の方なんですか?
湯浅 エムレ
サービスはあの、調達購買SaaSというものでして、海外だとクーパとかっていう会社があるんですけど、企業のお買い物をより簡単にする。例えば見積もりを取りますとか、社内の承認フローがありますとか、あとは、ちょっとしたものであればAmazon forビジネスとかで買ったりすると思うんですけど、そういうのも全部簡単に出来るっていうそういうプロダクトを提供してまして、社長の方は大平さんという方ですね。
で、彼は、えっと、A.T.カーニーという会社に元々いて、で、そこであの、企業のまさに買い物、調達系のコスト削減とか、そういうプロジェクトをしてたらしく、やっぱこれを、当時はコンサル会社、今はどうやってるかわかんないんですけど、5、6年前はそうやってお客様からいろんなデータをもらってそれをすごい分析かけて、で、ここの部分のコスト削減とか最適化しましょうみたいな提案をするらしいんですが、大企業だったらその余裕あるけど、コンサルに発注する余裕、普通の会社ってそんなの出来ないじゃんっていう。
これやっぱより広くやっていきたいと思って、やっぱやるためにはテクノロジーの力が必要だと。いうことで起業したっていう風に聞いてます。で、それが確か2020年に起業されて、その時から繋がりはあったんですが、初めて投資したのが2022年だったかな。
石橋
うん、じゃ2年越しぐらいってことなんすね。ちなみにさっきの話だと大企業であれば、コンサルさんとかでお願いして解決はできてるから、中小中堅企業向けみたいなソリューションになってるんですか?
湯浅 エムレ
と思うじゃないですか?
あの、そこもあるんですけど、でも結果大企業にもすごく入ってて。大企業もコンサル発注したらそういう事出来るかもしれない。
けど、でもそれって単発で終わること多いですし、やっぱ定常的に今自分たちがどこに御金を使っていて、どこでコスト削減できるのかっていう知りたいってのもあると思いますし、あと最近やっぱ規制も変わってトレーサビリティが求められる。
例えば特定のところから、注文出したら、「ちゃんと見積もり取ったのか」とか、そういうトレーサビリティ残さなきゃいけないのがあるので、そういうのもあってこういうシステムを導入しようっていう機運が高まってると思います。
石橋
なんか、元々Leanerさんって僕の印象で言うと製造業のイメージが勝手に強かったんですけど、お客様の層で言うとさっきの話だと、なんか須くどういう会社さんの調達購買行動も全てカバーしてるっていう感じになるんですか?
湯浅 エムレ
そうですね。あの、かなり広いです。彼らはいわゆるホリゾンタルSaaSでして、買い物ををする企業であれば全部対象。ま、ニアリーコールほぼ全ての企業。で、製造業もたくさんありますし、あとは流通だとか、ホスピタリティだとか、、ホテルとかですね。色々な領域でありますね。例えばホテルで言うと、ホテルの朝食会場とかいろいろ並んでると思うんですけど、ご飯とか。あれも全部購買してるものだし、やっぱそういうのは誰かが調達していて、で、そのためにそういうシステムが必要っていう。
石橋
ああ、じゃ、だから僕の想像してるよりも本当に幅広く普通にやっぱ使われてるって感じなんですね。
ちなみんなが投資した時点です言うとなんで投資したんですかみたいな話になっていくんですけど、どういう規模感の、まだリナーさんの時代で、どういうところに一番ポテンシャルとか、ここやっぱ伸びるよねみたいな仮説を持って投資されたんですか?
湯浅 エムレ
ま、見てる観点は先ほど申し上げたチーム、マーケット、プロダクトなんですけど、ま、Leanerに関して言うと、ホリゾンタルSaaSでまだ空いてる領域ってどこだろうっていうのはずっと見てたんですね。
で、やっぱり例えばじゃ企業のバックオフィスを見て、会計って言ったらもう何社か上場してる大きいところありますし、じゃ人事って言ったらね、その有名なスタートアップもありますし、なんかそういうのを見ていくと、でもここぽっかり空いてるなと思ったのが、その調達とか購買活動。
調達部とか購買部っていうのは世の中にあると思うんですけど、ここ向けのSaaSでカテゴリーリーダーでやってる所がいないな、
なのでここはずっと狙ってて。なんかないかなと思って、いろいろあの、探してるうちに、大平さんと出会って、それでご一緒したという感じです。でやっぱり期待してるのはここの業務効率化っていうのはもちろんですし、あとはさっきのN対Nの話がここにも当てはまると思ってまして、
企業っていろんなサプライヤーから仕入れていて、いろんなサプライヤーもいろんな企業に、それを売ってますと。で、まずはこの既存の商流の中で業務効率化していこうなんですけど、何かまだこれは今後の話なので分からないですが、このN対Nのマッチングをもっと効率的にできる方法あるんじゃないかと。
サプライヤーからすると新しいお客様を探せるんじゃないかとか、企業からすると新しいサプライを探せるんじゃないかとか、なんかこんなところにも入っていけると思うと、本当に大きなビジネスになるんじゃないかなという風に思ってます。
石橋
ちなみに何か見つけた時って元々さっきの話だとエムレさんも、この調達購買ってところでカテゴリーリーダーなる所ないかなっていう探してる感じだったと思うんですけど、見つけたらドンって言ってすぐ投資するとかっていう感じじゃなかったんですか?
湯浅 エムレ
そうですね。結果2年かかってるんで、はい。いや、すごくチームもいいと思ったし、マーケットもいいなと思ったんですけど、さっき言った「山の登り方」がまだ何かどうやってこの山を登るのかみたいなところが当時は定まってなかったかなと。ま、いろいろ試行錯誤してる段階だった。
で、あの、そこからのなので3ヶ月か半年おきぐらいに、あの、大平さんと2人で行くピザ屋さんがあるんですけど、そこでピザ食べながら最近どうですかみたいな話をお伺いしてる中で、こういろいろ試行錯誤してきたら、こうブレイクスルーをし始めて、で、そこから本格的にあの、投資検討してご一緒したという感じです。
石橋
面白い、なんかちょっと印象的だったのが、エムレさんの今の話だとどこの投資先のヒトともちゃんと投資前からなんかエピソードっていうのも変ですけど、ちゃんとなんかお話いただけるような、ご一緒してるなんかストーリーというか歴史がちゃんとあられて、そこがあったからこそ結果的になんかGCPさんと言うよりか、そういう個社個社で言うと多分エムレさんっていう単位なんでしょうけどね。
多分、それぞれがGCPのキャピタリストの方だって、GCPさんだからっていうよりかは、そのキャピタリストとかそのパートナーの人だからなんか引き受け元として選ぶっていう感じがやっぱ強いんですかね、きっと。
湯浅 エムレ
そうですね。シードA以降のリードであれば基本的にそうなるかなと思ってて、もちろんファンドからお金は入ってますし、ファンドの様々なリソース使えますけど、でもじゃあ普段社外取締役で来る人っていうと1人だと思いますし、何かあった時にコミュニケーション取る人はその人なので、あのこれ本当に起業家側も、しっかり投資家のデューデリをやった方が良い。
特にシードA以降でリードで入る人に関しては。ただそのね、出してくれるとか、バリデーションが高いとかじゃなくて、今後10年間いろんなアップダウンがある中で、何か誰と一緒この10年間を歩みたいのかっていうのは、心ゆくまでデューデリをするのが本来あるべき姿かなと。ここには年単位で時間をかけても僕はいいかなという風に思ってますね。
で、逆に言うと、我々シリーズA投資してBとかでも投資しますけど、C、Dとかに対しては僕らが投資家を紹介するんですね。で、これどのタイミングで投資家紹介してるかで言うと相当早くって、2、3年後にはこのラウンドの調達考えてるけど、今からちょっと話してみないみたいな感じで、投資家繋いで話したりしてます。で、Leanerも、去年、2024年の秋、Bessemer Venture Partnersっていうアメリカの超有名なSaaS系のVCから調達受けたんですが、これも結構前から実は紹介してて、で、Bessemerって4Billion(約5,800億円)の運用してる巨大なファンドなんですけど、彼らもやっぱその10年とかそういう長いスパンでご一緒していく上で、まずはここからっていう形で、ご一緒してくれてますね。
石橋
だいぶ何か今日のお話し聞いていただくと、どういう風にGCPさんとかエムレさんだったりと、まあやっぱ起業家さん自身も相対していくと、結果としてご縁が繋がっていくのかっていうのは、何かやっぱ伝わったんじゃないかなと思うので改めていろいろと教えていただいてありがとうございます。
湯浅 エムレ
ありがとうございます。
石橋
僕自身も多分投資先とかは引き続きいろいろご縁は繋げていければなと思いますので。よろしくお願いします。
最後に改めて、起業家の方向けにですね、エムレさんから、今日の話を通じてでもいいですし、こういう起業家さんであればぜひ、ご連絡をすぐくださいみたいなメッセージをなんか最後に一言いただいて締めていければと思います。簡単にお願いしてもよろしいでしょうか?
湯浅 エムレ
そうですね。ファンドとしてご一緒していきたいと思ってる起業家はやっぱり大きな市場で大きな会社を作って行きたいと思ってる起業家と長い時間かけてご一緒したいという風に思ってます。同じぐらい重要かなと思うのはやっぱ起業家の方も、それだけ長い時間を、ご一緒する投資家としっかりタッグ組めると良いかなという風に思ってるので、基本的に投資家に話し始めるのが早すぎることってあんまりないかなという風に思います。
特にシリーズA以降のリードで入る投資家であれば。なので早い段階から、ぜひ話していただいて、自分にとってベストだなと思う投資家と出会っていただきたいですし、それが私だったりGCPのメンバーだととても嬉しいなという風に思います。今日はありがとうございました。
石橋
ありがとうございます。改めてエムレさん2本に渡ってですね、ご出演ありがとうございました。皆さんも次回以降もですね、なんでこういう風にVCさんがそれぞれの企業家に投資をしたのか、なんで投資したんだっけみたいな話は引き続きお伺いしてまいりますので、ぜひお見逃しのないようにチャンネル登録とを待ってます。それでは次回も終わりましょう。さようなら。