【運用総額150億】計51社出資のCEOが描く“共創型CVC”の挑戦とは|AIエージェント時代を見据えた投資戦略【キャナルベンチャーズ 松岡亮介 vol.01】

◯松岡亮介 キャナルベンチャーズ株式会社 代表取締役CEO
公式HP▶︎https://www.canal-v.com/
BIPROGYに入社し、10年以上に渡って金融機関の基幹システム構築をエンジニアとして担当。その後、スタートアップとエンタープライズの連携を促進していくオープンイノベーション室長を2018年から務め、2021年からキャナルベンチャーズの社外取締役を兼任。2024年4月から同社のCEOに就任。
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◯浜田 大輔 キャナルベンチャーズ株式会社 マネージングディレクター
公式HP▶︎https://www.canal-v.com/
2004年BIPROGY入社。
10年の金融営業を経て、2014年に保育事業『ChiReaff Space』を立ち上げ。
医療・福祉分野での事業企画を経て、2017年にキャナルベンチャーズを設立。
先端技術をとおして多くの人に喜びと驚きを届けることを目指し、スタートアップと共に、イノベーションの創出と社会実装、そしてその仕組みの定着・拡大に挑む。
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◯七里 綾香 キャナルベンチャーズ株式会社 シニアアソシエイト
公式HP▶︎https://www.canal-v.com/
新卒でBIPROGYに入社し、製造業・物流業の法人営業、物流事業者と連携したトランクルームサービスやインバウンド関連の新規事業立ち上げを経験。
物流スタートアップとの資本業務提携、共同事業を推進したことがきっかけで、多くのスタートアップと社会に新たな価値を届ける挑戦がしたいと考え、2022年11月より参画。

システムエンジニアからCVCトップへ──20年のキャリア

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。

今回からキャナルベンチャーズ株式会社 代表取締役CEOの松岡亮介さんにご出演いただきますので、松岡さん、よろしくお願いします。

松岡:
よろしくお願いします。

石橋:
今回キャナルさんに出ていただいているんですが、実はあんまり表立っては言ってないんですけれども、弊社Gazelle Capitalの2号ファンドには、既にキャナルベンチャーズさんからLP出資という、ベンチャーキャピタル(VC)ファンドの方にご出資もいただいていて、日々連携もさせていただいているんですけれども。

なので僕はいろいろ知ってはいるんですが、改めてこの動画さえ見れば、キャナルベンチャーズさんから出資をもらいたい起業家の人にとっては全てが分かるみたいな一本に仕上げていきたいと思っておりますので。

松岡:
はい、すべてが分かる。バッチリです。

石橋:
いろいろとちょっと根掘り葉掘りとお伺いしていきたいと思っているんですけれども、ちょっと簡単に改めて松岡さんの自己紹介をいただければと思います。お願いしてもよろしいですか?

松岡:
はい。私自身はですね、大体20数年のキャリアにはなるんですけれども、キャナルベンチャーズの母体であるBIPROGY株式会社というIT企業ですけれども、そこのシステムエンジニアとしてキャリアスタートしたという背景がございます。

主に金融機関のいわゆる基幹系システムと言われているような、非常に頑丈なシステムを作るということにずっと従事していたのが、15年ぐらいですね。

その後、いわゆる事業者の中でいろいろ新しい事業をちゃんと立ち上げていこうだとか、いろんな取り組みがスタートしたタイミングがありまして、オープンイノベーションの推進部署というのが出来上がって、そこの責任者をやっていたのが大体5年ぐらい。

なので、このオープンイノベーションの組織を運営していた時の5年間ぐらいの時に、やはりスタートアップの皆様と一緒にこうやって事業を作っていくみたいなことはずっとやりながら過ごしていまして、今コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)側に来て、今は投資活動100%で活動しているというような背景でございます。

石橋:
ってなると、やっぱりBIPROGYさんが母体となると、本当に、顧客層で言うと日本国内の大手企業みたいなところがBIPROGYさんの顧客としてはたくさん存在するっていう認識が正しいんですかね?

松岡:
そうですね。幸いのことにコンピューターと言われてた時代から事業をやっていますので、金融領域もそうですし、パブリックセクター、公共関連の企業さんもそうですし、小売の皆さんもそうですし、本当に国内のほぼ全業種のお客様にそのITサービス、システムを導入させていただいているというのが、そのBIPROGYという会社の全容かなというふうに思います。

累積150億円、51社に投資するファンド戦略

石橋:
どういう背景でそのBIPROGYさんのCVCとして始まったのかみたいなところは、3代目ではなく2代目の社長の朝田さんにお話をいただいている動画が過去にもございますので、概要欄のほうにURLを貼り付けさせていただいております。細かいところはそちらからご覧いただければと思うので。

今回はそういう創業秘話ではなく、どういうところに投資してるのかみたいなところが、どういう戦略でやっていらっしゃるのかってところ、大きくはそちらを聞いていきたいと思ってるんですけれど。

キャナルベンチャーズさんはどういうサイズのファンドを運用されていらっしゃって、過去で言うと累積はどのぐらいの規模で運用されていらっしゃるんでしょうか?

松岡:
我々は2017年からファンドを活用する形で投資活動というのは行っておりますけれども、合計でおよそ150億円の金額を動かしながら投資活動しているというようなCVCでございます。

石橋:
CVCとしてはかなり大きい方のサイズ感になりますよね。

松岡:
そうですね。ただ、やはり最近CVC活動に入られる各企業、会社の皆様非常に多くてですね、それぞれの目的、目論見に合わせてファンドサイズを決めていたり、もしくは投資の領域だとかステージを決めていたりすると思うので、その中ではとびきり大きな金額を動かしているという感覚はないですけれども、しっかりとした運用をしていきたいというふうには思っています。

石橋:
1つあたりのファンドで言うと、その150億円のファンドは合計3つのファンドで運用されているんですよね。

松岡:
そうですね、はい。合計3つになります。

石橋:
1つあたり50億円のファンドとなりますと、累積の投資社数ですとか、1社あたりの投資する金額のイメージとか、リード投資だとかフォロー投資だとか、そういうところってどんなイメージになるんですか?

松岡:
投資させていただいているスタートアップ各社の皆様においてはですね、今は合計51社です。

ただ、我々の場合、運営してるファンドの中からGazelle Capitalさん、もちろん石橋さんのところもそうですけれども、LP出資という形を取らさせていただいていまして、現時点ではLP出資先は20ファンドという形になりますので、結構多くのLP出資もしながら、そして51社のスタートアップの皆様とも一緒に歩みながらというような活動をしています。

プレシリーズAから1億円規模で投資するスタイル

石橋:
ちなみにそうなると、1社あたりどのぐらいのチケットサイズが多いみたいな、平均的な値とかってあるんですか?

松岡:
我々は投資ステージとして、大体プレシリーズAからシリーズAぐらいの段階から投資させていただくという形になってまして、フォローでお話をさせていただくケースが多いんですけども、大体数千万円から1億円ぐらいの金額の範囲の中で投資させていただいているという感じですね。

石橋:
先ほど松岡さんが、BIPROGYさんの紹介でも全方位、全業種のという、お客さんのそばにいらっしゃるっていうお話も出てきましたけど、キャナルベンチャーズさんとしての出資対象とかフォーカスしている領域みたいなのって何かあるんですか?

松岡:
母体がIT企業なので、例えば今だったらAIのスタートアップさんだとか、かつてで言えばIoTだったりだとか、そういったところに投資するんですかっていうようなことをよく聞かれるんですけれども。

ですけど、我々の投資の考え方としては、全業界、ありとあらゆる業界のお客様と一緒に、いわゆるITサービスを通じて、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)、産業のDXだとか、その先にある社会DXみたいなものを目指す活動をしていますので、実は投資領域っていうと、あまり範囲を狭めずに、幅広く領域は投資させていただいているという状況ですね。

BIPROGYのアセットを活かした共創が投資の鍵

石橋:
とはいえ、ありとあらゆるスタートアップに投資できるわけじゃないのかなっていうのは、当然CVCでいらっしゃるのであるのかなと思ったりするんですけど、そういったところでのこだわりとかポイントって何かあるんですか?

松岡:
CVCの設立背景に、ほとんどの会社さんはやはり最終的にオープンイノベーション的なアプローチだとかを考えられてると思うんですけども、我々もやはりスタートアップの皆様と一緒に歩むことによって、スタートアップの皆様の事業もグロースする。だけれども、その産業界も大きく変わっていくみたいなところを目指していきたいというふうに思ってますので。

やはり我々BIPROGYが持っている、企業として持っているアセット・ケーパビリティというものを活用していただきたいと思いますし、さらに言えば、我々がBIPROGYグループとしてITサービスをしている企業の皆様、事業会社の皆様が持っているアセット・ケーパビリティも組み合わせて、一緒になって事業成長させて産業のDX、社会DXを進めていこうっていうのが思いとしてあるので。

投資判断させていただく、もしくはそのようなスタートアップの皆様と協議させていただく時も、仮にスタートアップの皆様がtoCのサービスをされている事業会社と大きく何かを進めていくプランがなかったとしても、その仮説があり得るのか、そんな世界観を一緒に描けるのかみたいなことをよくディスカッションさせていただくみたいな感じですね。

石橋:
しかもプレAぐらいのラウンドから入られるってなるとなおさら、今後の可能性とか、今後のそういう社会の広がりみたいな可能性を議論しながら、場合によってはその早いタイミングで出資して入っていくって感じなんですね。

松岡:
そうですね。

20ファンドへのLP出資に込めた戦略的意図

石橋:
ちなみに先ほど、僕らも含めてですけれども、20ファンドへLP出資をされてらっしゃるっていうお話もありましたけど、数だけ聞くと他のCVCの人より多そうだなっていう印象を受けるんですけど、やっぱりこれは多いほうですよね?

松岡:
多いほうですね。

石橋:
そうですよね。なんでこんなに多いのかみたいなシンプルな質問というか、どういう戦略があるからこそ、おそらく意図的にこのLP出資を多くやってらっしゃるのかなと思うんですけど、そこってどんな狙いとか背景があるんでしょうか?

松岡:
CVCの皆様、やはり主目的がオープンイノベーションにあるんじゃないかっていうコメントを先ほどしましたけれども、やはり自社の事業を、もしくは自社の技術を磨いていくためにみたいな形で、スタートアップの皆様と一緒に歩ませてもらうみたいなところがあると思うんですけども。

私たちとしては、やはりスタートアップの皆様と我々と、あと我々がITサービスをしている事業会社の皆様と、やっぱりこのエコシステム型で、何か世の中にことを起こしていこうという考え方になるので、広くいろんなものをきちんと見ていくってこともそうですし、あとそういったところに対して、一緒になってスタートアップの皆さんと歩んで、汗をかいていくところがとても重要になるので。

そういった話やコミュニケーションをさせていただけるVCの皆様とご一緒するということ。VCの皆様はやはり、スタートアップの皆様一社一社を細かく見られてると思うんですけども、さらに言えば、そのスタートアップの皆様が社会実装を果たした後にある世界観みたいなことを、非常に深く洞察されてるんだと思いますので。

石橋:
そのはずです。その認識です。

松岡:
そのようなコミュニケーションを一緒にさせていただきたいというふうに思ってまして、そのようなことをご相談させていただくうちに、様々なVCの皆様とつながりを持ちながら投資活動をしてきたという背景でございます。

石橋:
スタートアップの方にファンドから投資をされる場合って、投資をされているファンドからのご紹介のパイプラインというか、その経路が非常に多いというところも特徴的なお話だなというふうに、おそらく以前のYouTubeの動画でもお話いただいているところだと思うんですけど。

そこは、今もこれからもあんまり変わらないっていうイメージになるんですか?

松岡:
そうですね、多いのは確かに多いと思っています。でも今後についてはどう考えるかっていうのはあるかと思ってまして、我々はLP出資はソーシングの手助けをしていただくためだけとは思っていません。

やはりどういうふうにスタートアップの皆様の事業をグロースさせるのに一緒に協力できるのかみたいなこともそうですし、最終的にどういうイグジットを一緒に迎えるのかみたいなこともそうなので、そういったところも全部含めて、密にディスカッションさせていただく関係性だというふうに思っているので。

HRBrain、クラスなど代表的な投資先とイグジット事例

石橋:
ちなみに今、イグジットっていうキーワードも出てきましたけど、今まで1号、2号をやっていらっしゃる中で、1号、2号の投資先で既に代表的な投資先ですとか、イグジットした事例とかってどういった会社さんがいらっしゃったりするんですか?

松岡:
我々が運営していたファンドの中で、やはり一番初めに大きな話題になったのは2023年の株式会社HRBrainさんのイグジットかなというふうに思っています。

石橋:
HRBrainさんで言うと、あれはPEファンドの方にM&Aでイグジットしたってことですかね。

松岡:
そうですね、海外PEファンドの方にっていう話だったと思っています。

石橋:
HRBrainさんで言うと、BtoB向けのSaaSとしては大きいイメージはあるんですけど、いわゆるBtoC向けとかの投資先とかって、他には投資先で代表的なところっていらっしゃるんですか。

松岡:
一番皆様がよくご存知なスタートアップの方で言いますと、株式会社クラスさんになるかなというふうに思っています。

もともとは家具のサブスクリプション事業みたいな形で立ち上がってこられた会社さんですけれども、その後サーキュラーエコノミーに資する活動をしていくんだみたいなところもあって、そういった世界観だとか、そういう事業を力強く進めていくところに対しては、非常に期待のある会社さんかなと思います。

石橋:
すみません、どのタイミングで出資したかパッと分からないですけど、場合によってはあれですよね、クラスさんってバチェラーに出ていらっしゃった久保さんが創業されていらっしゃいますもんね。

松岡:
そうですね、はい。

石橋:
そのイメージは多分、視聴者の皆さんとかコンシューマーの方からすごく持たれているのかなと思いますけど、でもじゃあ徐々にそういうサーキュラーエコノミー文脈で、その裾野が広がっていってるっていう感じなんですかね。

松岡:
そうですね。いろいろと、多分おそらくクラスさんの事業を成長させていく中ではいろんなことを取り組まれたんだというふうに思ってますけれども。

もともとBtoCのサービスとして立ち上がってきた時から、サービス自体が企業の皆様に使っていただけるとか、そういう話以上にですね、やはりこのようなサブスクリプション事業みたいなものってどういうふうに大きくなって、スケールしていくのかみたいなことだとか。

結果としてサーキュラーエコノミーみたいなキーワードになりましたけど、どのように社会課題に資する事業になっていくのかみたいなところをつぶさに見ていくといったところですね。

そういったところは、我々自身がこのBIPROGYグループとして各企業の皆様とDXを進めていく中でも捉えなきゃいけない視座だと思っていまして、そういったところはクラスの皆さんから我々も非常に学ばせていただいたと思っています。

60〜70社が集まるコミュニティ、THE CHAINイベントの狙い

石橋:
今までお話を伺っていると、キャナルさんとしてはすごく多角的というか幅広い視野を持たれて行動されているのが、単純にCVCとしてスタートアップに投資して本体との連携をして終わりというよりかは、もう少し広い範囲で見てらっしゃるのかなと印象は受けたんですけども。

他にやってらっしゃるような取り組みであるとかプロジェクトとかって、何かお持ちなものなんですか?

松岡:
我々2017年から活動してきたという経緯もあるので、各事業会社の皆様が設立しているCVCをやっているところ、もしくはオープンイノベーションを司っている方々と幅広く交流させていただいているというのがあります。

我々は今、四半期に一度ぐらいのペースでCVCやオープンイノベーション部門の方々が集まるコミュニティっていうのをしてまして。もちろんテーマ設定とかにはよるんですけれども、コアに事業のことを相談するような会の時は、大体20社から30社くらい集まっていて。

石橋:
コアなほうでそのぐらい来るんですね。

松岡:
もう少し幅広く、例えば今だったらAIエージェントみたいなのをどう実装しようかみたいな話をコミュニケーションするときには、大体60社から70社くらい集まっていただくようなコミュニティっていうのがございます。

この中では、このコミュニティがなぜ大事なのかというと、やはり我々は母体がIT企業なので、DXに資する活動だとか、ITサービスのレベルをどういうふうにするのかみたいなことについては、我々は持ってるアセット・ケーパビリティがあります。

他の企業の皆さんも、例えば場所をたくさん持ってる企業だとか、幅広い顧客ネットワークを持っている、エンドユーザーネットワークを持っているみたいな会社さんもいらっしゃったりだとか。

各企業はやはり、先に成長した事業会社として持ってるアセット・ケーパビリティって素晴らしいものがあるので、これをどう活用しながらオープンイノベーションを進めていこうかだとか、CVCとしてのスタートアップの皆様への投資を進めていこうかっていう方々がたくさんいらっしゃるんですよね。

各企業が持ってるものを全部集めたらもう何でもできるんじゃないかみたいな仮説のもとで、お声がけさせていただいたら、各CVCの皆様、事業会社、オープンイノベーション企業の方々から非常に賛同をいただきまして、今そんなコミュニティが出来上がってるというような感じですね。

石橋:
僕自身、前職がCVCなんですけど、なかなかそういう動きってしないですよね。というのも、結局CVCの一担当者みたいな目線だけで見てしまうと、今松岡さんに伺った話って、極端な話、通常のCVCだったらあんまり関係ないっちゃ関係ないじゃないですか。

やっぱり自社のほうを向いて、自社と相性のいいようなところに戦略リターンと、もちろんピュアリターンも出るようなところに投資して、それにコミットしていこうっていう、そういう視野っていい意味でも悪い意味でも、一定数多いのかなと思うんですけれども。

そんな中、キャナルさんは本体でやりたいこととか、そもそも創業背景ってところが、そういう取り組みを今後もますますやっていこうというところのモチベーションというか、理由づけになっているっていうイメージなんですかね。

松岡:
そうですね。もちろんコミュニティに参加していただいているCVCの方で、自社の戦略にもう完全に合致しているところでの投資活動をされながら、我々のコミュニティにも参加していただくみたいな形も取っていただいている方々も非常に多いので。

エコシステム型で何かを進めていこうみたいなところについては、ある程度幅広くいろんなチャンネルを使いながら活動する必要があるのかなというふうに思ってますので、そういう期待には我々は応えられているのかなというふうに思っています。

石橋:
先日も僕たち自身も参加させていただきましたけれども、3月ですかね、THE CHAINという名前で、それこそ事業会社様とVCファンドのマッチングイベントっていうべきなんですかね、VCファンド側が「僕らはこういうファンドです」ってお話ししながら。

あれって事業会社さんは何人ぐらい参加してらっしゃったんでしょうか?

松岡:
イベント自体は合計200人ぐらい参加いただいた、かなり大きな形になりまして、石橋さんにもピッチで出ていただきましたので、本当にありがとうございました。

石橋:
とんでもないです。ああいう取り組みも、さっきの松岡さんのお話いただいたような背景から、そもそもプロジェクトとして始まったりとか、場合によっては今後も続けていこうというところにつながっていくって感じなんですかね。

松岡:
そうですね。事業会社・CVC側で言えば、「これからこんなことやりたいけど」っていうふうに思ってるものがいっぱいあると。

ただ一方でVCの皆様は、各投資活動もしくは設立したファンドの中にテーマを持たれてると思うので、この情報流動性をもっと上げたら、日本国内のイノベーションがもっと加速するだろうと、こう思えるので、やっぱりそれをコミュニティの力でなんとか力強く進めたいというふうに思ったので、皆さんつながってほしいという思いを込めて、THE CHAINというイベント名でやらせていただきました。

石橋:
ぜひ1VCとしては引き続きやっていただけると、ああいうエコシステムは何よりも、ああいうことをやってくれる事業会社さんが存在するっていうのも、日本のマーケットが結果的に大きくなってきたのかなとも思ったりもしますし。

ああいう動きっていうのは僕ら自身もやっていかないといけないのかもしれないですけど、本当に素直にありがたいところかなと思いますし、おそらく今後も続けていただけるだろうと思いつつ、ぜひ参加はできればなとは思っております。

松岡:
頑張ります。

石橋:
ありがとうございます。

起業家が選ぶべき理由、大企業連携の具体的支援

石橋:
改めて、例えばこれを見ていただいている起業家の方が、投資を引き受けていただく先としてキャナルベンチャーズさんを選ぶべき理由とか、キャナルさんとしてのそこの強みみたいなところも少し整理して教えていただければと思いますが、いかがでしょう。

松岡:
スタートアップの皆様と事業のグロースに向かって、一緒になって力強く歩んでいきたい、というふうに思っているCVCでございます。

仮に事業の内容がBtoBな事業でもBtoCな事業でも、どちらでも構わないと思うんですけれども、事業を大きく成長させていくとき、もしくはさせていった暁に、日本国内にあるその事業会社の皆様とつながりながら、最後事業を駆け上がっていくのか、それとも早い段階から一緒に組んでいくのか、という。

そういったところを、仮説を持って歩んでいこうとした時に、我々は非常に全業種のお客様と一緒にDXを進めているようなBIPROGYグループという存在ですので、我々はいろんなヒントを持っているといったところに期待していただきたいなと思います。

石橋:
とはいえ勝手なイメージなんですけど、大企業の方々の顧客が多いとなると、大企業向けのソリューションをこれから考えているですとか、現時点で持っているっていうスタートアップの方は、ドンピシャで相性がいいみたいな感じになるんですかね。

松岡:
そうですね、特にそうなのかなというふうに思います。

ただ、やはり事業を成長させていくときに、私はもともとエンジニアなので、非常にどのようにシステムを作っていくのかっていったところについては一応経験はあるんですけども。

やっぱり初めから頑強なシステムを作っていって、それで事業をスケールさせていくっていうのは多分順番としては違うんだけれども、どこかのタイミングでいわゆる大企業、事業会社とデータのやり取りをするとか、サービスを一緒のレベルに乗せていくみたいなところに局面が来た時にはですね、どのようなサービスレベルが求められるんだろうかと。

細かい話で言うと、例えばセキュリティレベルなんて、どの段階でこのレベルまで持っていかなきゃいけないのかという。

石橋:
一個人としても分からないことが多いです。

松岡:
分からないというのがあると思うんですけども、この業界においてはこういうセキュリティレベルが求められますよみたいな話だとか、この業界においては、例えばそのデータをこのようなレベルで管理する、もしくはこのようなデータをやり取りできるように切り出せるようにするだとか。

そういったところについては、おそらく事業はある程度大きくなってから実装すると思うんですけども、その将来来るそういう局面について我々と一緒にコミュニケーションさせていただくだとか、そういうケースは想定していただけたらいいのかなというふうに思います。

AIエージェント時代の社会アーキテクチャを見据える

石橋:
最後にですね、キャナルベンチャーズさんとしてどういう領域に今注目をしているとか、既に51社投資先がいらっしゃる中で、いろんなご協業先っていうのもいらっしゃると思うんですけれども、今後こういう起業家さんをぜひ探しているみたいなところ、今後はよりここを注力していきたいみたいなイメージをもしお持ちであればいただければと思います。

松岡:
先ほど申し上げた通り、領域的なものについては幅広く見ていくって言ったところが変わらないと思っているので、そこについてはあまりないんですけれども、ただやっぱり今この瞬間で言うと技術的にはやはり「AI」というキーワードは外せないのかなと思ってまして。

これ自身はですね、AIの一つ一つがみたいな話よりかは、今盛んに議論されているようなAIエージェントみたいなものが実装された暁には、おそらくもうAIなんて言葉を使わずに、AIが当たり前に前提に配置されているようなものになっているんじゃないかと。

要は、スタートアップの皆さんだけじゃなくて、事業会社の皆さんも、世の中のいろんなところにインテリジェンスがあって、それがうまく結びついてる世界観の中でどういう事業をやろうか、みたいな話になるんだと思ってますので。

そこに向かって社会全体がどういうアーキテクチャになっていくのか、企業の中にコアとなる大きいAIが埋め込まれていくような世界とか、それともある程度小さいAIがいろいろ配置されていく中でどううまくつなぎ合わせていくのかみたいな、そういうアーキテクチャについては考えておくべきだと思っているし、そのようなアーキテクチャがどういう風になっていくのかっていうのは、私自身は非常に注目しています。

ニューコンビネーションで実現する社会DX

石橋:
最後に、起業家もこちらを見ていただける皆さんにもですね、キャナルベンチャーズさんとしてどういうところを目指しているのか、今後の展望についてもメッセージとしてお話をいただいて締めていければと思いますが、お願いしてもよろしいでしょうか。

松岡:
我々キャナルベンチャーズはCVCでございますので、事業会社の投資機能として活動しておりますけれども、事業会社が持っているアセット・ケーパビリティ、日本国内においては非常に素晴らしいものがたくさんあると思ってますので、ぜひここをうまく組み合わせながら、いわゆるイノベーションというニューコンビネーション、新結合だと思っているので、新たな結合というのをどんどん作っていって。

スタートアップの皆様は事業をスケールさせる、事業会社は自分たちのやりたいと思っていることを前に進めていく、その暁にはおそらく社会DXと言われているようなものだとか、社会課題を解決しようみたいなところに必ずたどり着くと思っていますので、そのような歩みを一緒にやっていきたいと思っています。

スタートアップの皆さんも自分たちの事業が成長した暁、社会実装をした暁にはこんな世界観が待っているんだというような話を、ぜひコミュニケーションさせていただきたいなと思います。

石橋:
ありがとうございます。今日は全体観のお話を伺ってまいりましたので、第2弾はですね、松岡さんだけではなくキャナルベンチャーズのチームの皆さんにも一部ご出演をいただきながら、キャナルベンチャーズの投資先を掘り下げてお話を伺ってまいります。

それでは松岡さん、次回もよろしくお願いいたします。

松岡:
よろしくお願いします。

【なぜ投資した?】事業領域の拡大を予想できたワケ|コロナ禍を乗り越えた出張サービス事業の成功の裏側【キャナルベンチャーズ 松岡亮介/浜田 大輔/七里 綾香 vol.02】

妊活支援から広がる女性キャリア支援の可能性

石橋:
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ投資TV、Gazelle Capital株式会社の石橋です。

今回も前回に引き続きまして、キャナルベンチャーズ株式会社 代表取締役CEOの松岡さんにご出演いただいておりますので、今回もよろしくお願いします。

松岡:
よろしくお願いします。

石橋:
今回はキャナルベンチャーズさんの「なんで投資したんだシリーズ」というところで、キャナルベンチャーズさんが実際投資をされていらっしゃる、3社のスタートアップの方をご紹介いただきます。

そこで、なんでそのタイミングで投資しているのか、どういう戦略リターンというか戦略シナジーがあるんだというところをお伺いしながら、結果としてキャナルベンチャーズさんがどういうCVC活動をされていらっしゃるかというところを、起業家とかこれから起業されようとしている方にお届けできればなと思っております。

それでは早速なんですけれども、まずは松岡さんご自身に1社目のキャナルベンチャーズさんとしての投資先のご紹介を簡単にお伺いしたいと思うんですけれども。

松岡:
まず1社目はですね、株式会社ファミワンさんですね。代表の方は石川さんといいます。

石橋:
いつぐらいに出資をされたんですか?

松岡:
出資させていただいたタイミングは2022年ですね。シリーズAのタイミングで出資させていただきました。

石橋:
割とシリーズAっていうタイミングとなると、大体ファミワンさんはどういう事業ステータスでいらっしゃったタイミングなんですか?

松岡:
ファミワンさん自体は「妊活コンシェルジュ」というサービスを中心として、いわゆる女性のためのサービスということで立ち上げられていた方ですけれども。

石橋:
それがtoC向けだったんですね。

松岡:
そうですね。その後いろいろ事業を展開していく中で、じゃあtoBも含めて今後どういう歩みをしようかみたいなところで、我々とコミュニケーションさせていただいて、我々もいろんな判断の中で投資判断させていただいたという形ですね。

marbleMeとの連携で生まれた相乗効果

石橋:
toBのソリューションで、もともとは「妊活コンシェルジュ」というサービスをやってたってなると、どういう課題感を持っている事業会社さんに対してどういうソリューションがはまっていくのかってなかなか想像できない部分もあるんですけども。

実際今ご一緒している事業内容ですとか協業事例でいうと、そもそも具体的にどういう課題を解決していらっしゃって、今はどういうサービスをご一緒しているというイメージなんですか?

松岡:
実は我々の母体であるBIPROGYグループから新しい事業がちょうど同じぐらいのタイミングで立ち上がってきたときがありまして。そのときはですね、働いている女性のためのコミュニティプラットフォームみたいな形でmarbleMe(マーブルミー)というサービスがあるんですけども、それがちょうど立ち上がってきたタイミングです。

こちらについてはですね、我々は様々な形で多くの事業会社さんとコミュニケーションをさせていただくことが多いんですけれども。

そういった方々との話の中で、やはりこれから第一線で働く女性の方々もそうですし、様々な悩みだとか課題だとか、キャリアのこともそうですし、生活のこともそうですし、それをきちんと交換できるようなコミュニティプラットフォームを作ろうよということで、このmarbleMeというサービスが立ち上がりました。立ち上げ当初から、20数社を超える企業の皆さんからの賛同をいただいたものになります。

そういった中で、やはりこの妊活みたいなことも一つのテーマにはなりますので、BIPROGYが立ち上げたそのmarbleMeっていうコミュニティプラットフォームに対して、一つのサービスとして妊活に関する相談ができるというところをファミワンさんにうまく入っていただきたいというような形で、一緒になって歩みを始めたという感じですね。

石橋:
もちろんキャナルベンチャーズさんはCVCでいらっしゃるので、そういったmarbleMe、既存事業とのシナジーですね、戦略リターンというところもありつつも、「妊活コンシェルジュ」と聞いてしまうと、妊活だけだとちょっとマーケット規模としては純投資目線で考えると少し狭いマーケットなのかなと思ったりもしてしまうんですけれども。

そこの部分でキャナルベンチャーズさんが出資の判断をされた時には、どういう仮説を持って投資をされたんでしょうか。

松岡:
もちろんそのものだけを見れば、もしかしたらマーケットとしてはあまり大きくないのかなというふうに見えるかもしれないですけども、キャリアを歩んでいく中の一つとしては非常に解決したい課題でもありますし。

あと妊活をされている方々自身は重い病気というわけでもないので、きちんとコミュニケーションができる場があったりだとか、相談できる場があるといったところから、そこが解決したとき、もしくはそのコミュニケーションの先にどういうものを求めていくのかみたいなところで言うと、いろんな広がりだとか可能性があるマーケットかなというふうには思って見ていました。

石橋:
そこをある意味切り口にして、より拡大していく可能性があるよねっていうので、プレAラウンドからシリーズAか、でもアーリーなタイミングから出資をされているって感じですね。

松岡:
そうですね。

石橋:
ちなみに投資した後だと、予想通りというか期待通りの連携ができていらっしゃるのか、いい意味で期待を超えてこういう事例ができてきているみたいなところって、投資の後だとどんなイメージになるんですか?

松岡:
やはりBIPROGYが運営しているmarbleMeとの連携っていうのが非常にうまくいったというか、お互いに相乗効果があったかなというふうに思っています。決して、BIPROGYがやってるサービスに何か後押しをしてくださいという関係性だけじゃなくてですね。

様々な悩み・課題があって、そこのコミュニティプラットフォームでいろんな相談をしたい、メッセージを送りたいっていうようなところで集まっていただいてるmarbleMeのところに、サービスとしてしっかりとした石川さんのファミワンが加わっていただくことによって、もちろんコミュニティプラットフォームとしての信頼感も上がってくるのもそうですし。

こんなことも相談できたらいいんじゃないかなだとか、こんなコミュニケーションをしていいんじゃないかなっていうふうに、次なる可能性っていうのも切り開いていただいてると思ってますので、そういう意味で言うと、お互いにとって非常に良い関係性の中で事業の連携というのをさせていただいているのかなというふうに思っています。

小売店舗に革新をもたらすマルチタスクロボット

石橋:
ぜひちょっと2社目の具体的な投資先についてもご紹介をいただきたいんですが、今回は松岡さんだけではなくチームの皆さんにも来ていただいているところかと思いますので、ご紹介をいただければと思いますが。

松岡:
2社目の紹介はですね、我々キャナルベンチャーズの投資担当である七里から紹介したいと思いますので、よろしくお願い致します。

石橋:
それではここからですね、七里さんに実際に来ていただきましたので、2社目の紹介をいただきたいと思うんですけれども。

簡単に七里さんからご自身の自己紹介をいただいて、その流れでどういうところを今回2社目として担当されていらっしゃってというお話をいただければと思いますが、お願いしてもよろしいでしょうか。

七里:
私はですね、新卒でBIPROGY(旧:日本ユニシス株式会社)に入社をしまして、それからセールスですとか事業開発という仕事をしていきまして、その後2022年11月にキャナルベンチャーズにジョインをいたしました。

石橋:
2社目の投資先が七里さんのご担当案件だというところなんですけれども、具体的にどういう会社さんになるんでしょうか。

七里:
株式会社MUSEという会社をご紹介したいと思います。

MUSEは小売店舗のロボティクスを提供しているスタートアップで、私にとって初めて自分でお会いして投資実行まで至ったという思い入れのあるスタートアップになっております。

石橋:
ちなみに代表者の方はどういう方で、どういうご経歴をお持ちなんですか。

七里:
代表は笠置さんという方で、笠置さんはもともと公認会計士でいらしたんですけれども、その後コンサルティング会社で、その後は物流のロボットの事業開発をやられていて、そこで感じた原体験から小売店舗に最適化したロボティクスというところに取り組んでいるという代表の方になります。

一台で複数業務をこなす革新的なロボット

石橋:
小売業に最適化したロボティクスっていうと、分かるようで分からないんですけど、具体的に言うと小売業の方のどういう課題を、どのようにして解決されているのがMUSEさんの事業になるんでしょう。

七里:
そういう意味ですと、小売店舗の中のあらゆる課題を一つのロボットで解決するというところでやっております。

と言いますのも、やはり日中の小売店舗というところは人がとても行き交うと思うんですけれども、その中で例えば従業員の方の品出しというところをロボットで搬送することで自動化したりですとか、あとは店舗の中の棚画像ですね、棚にどんなものが置かれているかというところをロボットが巡回することで撮影しているところですとか。

あとはその案内というところで商品を載せて運んだりとかですね、というところですとか、お客さんを案内したりというところで、一つのロボットにいろんなユニットを載せてですね、あらゆるマルチタスクができるようなロボットを開発されています。

石橋:
投資されたのはどのぐらいの事業ステージで、いつぐらいの時期になられるんでしょうか。

七里:
投資させていただいたのは2024年になっておりまして、大体シリーズAという位置づけのラウンドで参加させていただきました。

石橋:
七里さんが松岡さんたちのチームというかキャナルベンチャーズさんに加わってから、2年目ぐらいのタイミングで投資をされたって感じなんですかね。

七里:
そうですね。1年半ぐらい経ったタイミングで、それまでも何件か担当させていただいたんですけど、自分で笠置さんと出会ってからというところで、初めて投資させていただいたというところになります。

石橋:
ちなみに松岡さん目線で見ても、1年半でゼロから案件発掘をしてきて、ご自身で投資仮説を作って投資実行されるというのは、早いほうのイメージなんですかね。

松岡:
キャナルの歴史を振り返ると、早いほうだと思うんですよ。

石橋:
大体皆さん、キャナルさんの場合は、CVC界隈とかもやられてるので一般的なケースとかもよくご存知かもしれないですけど、どのぐらい時間が経ってから、ご自身の担当案件をゼロから作られるものなんですかね。

松岡:
CVCにジョインする前に新規事業とかをやっていく中で出資という手段を使って活動していた人間とかは、入ってもある程度スムーズに入ってくれると思うんですけども。

もともと七里はセールスの営業のキャリアで入ってきていた中で、キャナルベンチャーズは少し多忙を極めるようなところなので、そういった中で本当にいろいろスタートアップの皆さんと、笠置さんだけじゃなくて、いろんな方々とずっと深いコミュニケーションをして、自分の知見をどんどん高めていって、ここだというタイミングで、初めての案件を実行したんじゃないかなというふうに思います。

労働力不足とロボティクスの未来を見据えて

石橋:
改めて、先ほどの事業展開されていらっしゃるMUSEさんに、どういうところに今後のポテンシャルですとか、ないしはキャナルベンチャーズさん、BIPROGYさんとの戦略的な相性、シナジーみたいなところ、それぞれの描かれたポイントみたいなところがあれば、ぜひ伺いたいです。

七里:
最初のその仮説、ポテンシャルというところに関しましては、2つの目線からあると思っていて。

1つはやはり小売業界というところに対して労働力不足というところは避けて通れない社会課題ですが、そこに対して今セルフレジとかAIカメラとかいろんなソリューションが登場していますけれども、日中の店舗を走るロボットというところはまさに革新的なソリューションであって、まさに笠置さんたちのチームはそういったロボットを開発していけるチームというところで、非常にポテンシャルを感じております。

もう1つはロボティクスの目線なんですけれども、やはり人の労働力を代替するだけではなくて、人々にインスピレーションを与えるロボットというところをMUSEは置いてまして、それにすごい非常に共感しておりまして。

やはりロボットを通して働く人々もインスピレーションでさらに創造的な仕事ができるというところを目指しているというところに、我々としてもロボティクスの未来としてチャレンジしていきたいと思ったところが、仮説というかポテンシャルになりますね。

石橋:
ちなみにシリーズAとなると、例えば僕がエンドユーザーとしてスーパーマーケットとか小売店舗に行くと、MUSEさんのロボットが日中に動いてたりするケースとかもあるんですか?

七里:
実際に我々が投資させていただいた段階で、実証実験、PoC(Proof of Concept)ではあるんですけれども、いくつかのスーパーさんであるとか小売店舗さんで実証が進んでいた段階でしたので、これからさらに展開されて、グローバル展開も見据えられているというステージでしたので。

我々とあと親会社のBIPROGYとしてもですね、特に連携させていただいているところとしましては、ロボットが巡回することで取得できるデータの棚画像ですとか、そういった店舗の情報のデータというところを、さらに例えば発注を最適化するためですとか、最適な棚割りを探すためというところに活用するというところで、BIPROGYも含めて一緒にできていくんじゃないかというところで。

あとは、小売店舗さんの既存の持たれているデータをよりエンパワーメントできるんじゃないかというところで、今一緒にやらせていただいているところになります。

石橋:
今後はまさに今のその実証実験フェーズを超えつつも、BIPROGYさんのお客様であるとか小売業界、まずは国内中心なのかも分からないですけれども、将来的には海外を見据えて戦略リターンをしっかり描けるだろうみたいなイメージなんですね。

七里:
そうですね、BIPROGYグループのアセットも存分にご活用いただけるかなという可能性を感じております。

石橋:
ちなみに投資をされた後の、実際まだ1年ぐらいの動きで言うと、その七里さんの思い描いていたような成長みたいなところは、より超えていってるようなイメージでいるのか、その後の成長はどんな感じで実際に進んでいらっしゃるんですか。

七里:
非常に順調に進捗していると思っておりまして、そこのスピードについていくように私たちも必死になって何か貢献できるところがないかというのを日々探しているところになります。

石橋:
さっき松岡さんもちょっと触れていたかも分かりませんが、七里さんも多分僕がキャナルベンチャーズさんとお付き合いするようになった前後ぐらいのタイミングでキャナルベンチャーズさんに異動されてきたのかなって思うんですけれども。

キャナルさんの皆さんは割とフットワーク軽くいろんなイベントにいらっしゃいますけど、七里さんはその中でも図抜けてフットワークが軽く、いろんなところに足を運ばれたりですとか、VCやCVCの方々とも、もちろんスタートアップの皆さんとのリレーションというのが作られてるというのを地で行くっていうのが、誰がどう見てても分かるぐらい動かれてるんですよね。

そういうCVC担当の方が中にいらっしゃると、今後ますます七里さん案件みたいなものは増えるのかなと思いますし、場合によってはこれを見ていただいてる起業家の方だと、いろんなイベントとかで松岡さんに比べると七里さんのほうが会いやすいみたいなケースもあるかとは思うので、ぜひ起業家の方はフットワーク軽く、七里さん含めお声掛けいただくのがいいかなとは勝手ながら思っております。

改めて七里さん、2社目のご紹介ありがとうございました。

七里:
ありがとうございました。

出張DXから広がる企業バックヤード効率化の可能性

松岡:
3社目の紹介はですね、キャナルベンチャーズの投資担当であり、2017年のキャナルベンチャーズ設立時からのコアメンバーである浜田から紹介させていただきたいと思います。

石橋:
よろしくお願い致します。

それでは3社目の紹介としては、キャナルベンチャーズの創業メンバーのお一人でもあるキャピタリストを務めていらっしゃる浜田さんに来ていただきましたので、まず簡単に浜田さんから自己紹介をいただいてもよろしいでしょうか。

浜田:
キャナルベンチャーズの浜田です。

私もBIPROGYに入社しまして、金融の営業を10年間ほどやっていました。その後、突然ですけど保育園向けの事業を立ち上げていまして、医療・介護・保育・福祉業界をやった後に、やっぱり自社で事業をやっていくのは難しいというところもあって、CVCを立ち上げてイノベーションを加速しようというところで、CVCを立ち上げていきました。

石橋:
今、キャナルベンチャーズさん歴としては何年目になるんですか。

浜田:
歴としては9年目に入るのかな、これから。

石橋:
すごい、8年目。めっちゃ長いですね、冷静に考えて。

ちなみにじゃあその今回ご紹介いただく3社目の投資先さんは、いつぐらいに投資をされた、どういう会社さんになるんでしょうか。

浜田:
3社目にご紹介したいのは、株式会社トランスファーデータという会社になります。

石橋:
トランスファーデータさん。

浜田:
2019年に出資をしてまして、先ほどのMUSEは2号ファンドからでしたけども、1号ファンドの出資先になります。

石橋:
じゃあ割ともう投資されてからは約5年か、6年間ぐらい経たれてるってことですね。

AIトラベルが切り開く出張手配の自動化

石橋:
ちなみに改めてトランスファーデータさんは、お客様の課題をどのようにして課題解決されてるようなスタートアップの方なんでしょうか。

浜田:
トランスファーデータはですね、サービス名としてはAI Travelというものを提供してまして、もともとは株式会社AIトラベルという企業名だったんです。

石橋:
その社名のイメージがあります。

浜田:
出張の自動手配をしてくれるAIを提供している会社でして、会社で出張を手配するときにすごく煩雑な業務になるので、それをサポートしてくれる、そういうサービスを提供している会社です。

石橋:
今のお話を聞いて、トランスファーデータという社名がちゃんとしっくりきました。

ちなみに代表者の方はどういうご経歴で、なんでそういう出張の領域から事業を始めようみたいな、どういう背景だったのかってご存知ですか。

浜田:
代表の村田さんなんですけど、もともと楽天株式会社(現:楽天グループ株式会社)にいらっしゃいまして、楽天の中でエンジニアのご経験を持っていらっしゃるスーパーエンジニアの方なんですけれども。

社内の効率化みたいなところを取り組まれている時に、出張の領域とか経費精算の領域っていうのはだいぶ手がついていないと、まだまだいろいろやるべきことがあるというところで、もともとは個人向けの手配、旅行手配とかそういうところにも取り組まれたんですけれども。toBの出張の手配というところがだいぶニーズも高いというところで、法人向けの出張の手配というのをされたということになります。

石橋:
投資した2019年時点では、トランスファーデータ、AIトラベルの事業はどういうステータスでいらっしゃったんですか。

浜田:
投資した段階は、ラウンド的には大体プレAラウンドくらいに値すると。

石橋:
ちょっと早めですね。

浜田:
そうですね、社数をまだまだこれから増やすっていう段階。

石橋:
お客様の社数ってことですね。

浜田:
そうですね、お客様の社数を増やしていくっていうところでしたけれども、使われているお客様からの満足度は高いようなところは見受けられていたので、PMFしきってるわけではないんですけれども、きっとこれからPMFしていってマーケットグロースしていくだろうというところで、我々としてはご一緒させていただいております。

出張手配から社内システムDXへの展開を見据えて

石橋:
ぜひトランスファーデータさんに出資した背景みたいなところもお伺いしたいんですけど、第1弾の動画でも松岡さんからデータというキーワードも出てきましたし、今はトランスファーデータっていうぐらいなので、おそらくそこら辺のシナジーもあるんだろうなって勝手に想像はしてしまってるんですけども。

改めて、戦略リターンのキャナルベンチャーズさんとしての見立てていらっしゃる部分と、場合によっては純投資の観点で、出張って聞くとそんな投資をして規模が出るほどなんだっけみたいなところの市場仮説的なところも含めて、ぜひお伺いできればと思います。

その戦略リターン、純投資リターンのところでどんなイメージで投資の意思決定をされたんでしょうか。

浜田:
お察しいただいているとおりというところもあるんですけど、意外と出張市場自体はそもそも大きくて、そこだけでももちろんIPOを目指して大きく成長できる企業だなというふうには感じたんですけども。

当時はAIトラベルという社名でしたけども、今はトランスファーデータという名前になってまして、当時からですね、もともと村田さんが企業の業務効率化を目指して出張の自動化から入っているんですけども。

やっぱり出張の自動化の後にはですね、今だと生成AIが使われているのでイメージしやすいんですけど、今ならAIを使って出張どこ行く・いつ行くっていうのを指定したら、AIが自動手配してくれて精算もやってくれるというイメージがわくじゃないですか。そういう考えがそもそも当時から、トランスファーデータの中にはありまして。

当時で言うとその生成AIが出てくるとかそういう話はなかったんですけれども、イメージ的にはその出張の自動手配というところから、それを管理したり経費精算するところだったり、そのスケジューリングをする部分だったり、業務効率化をそこから社内システムに切り込んでいってバックヤードを効率化していくっていうイメージがだいぶ明確にあったので。

ただやってることは出張の自動手配というところで、なかなかバックヤードのシステムまで全部DXしていくみたいなところっていうのは、一社ではしんどい部分があるので、そこでやっぱりエンタープライズの企業だったり、BIPROGYと一緒にやれるところはあるんじゃないかっていうイメージが付加価値としてありまして。

外に見えてるところで言うとAIトラベル、出張の自動手配なんですけど、それを聞いた時に少し先の未来というか、先にやることではあったんですけど、そこをイメージしてご一緒させていただいたということです。

石橋:
でも結果論かも分からないですけど、出張AIエージェントなんですみたいな、出張領域に特化したAIエージェントというわけですかね。

その事業当時から創業者の方は見立てて、入り口は出張かもしれないけど経費精算とか言ったら後ろ側の連携もまあそれは必要だし、でも一スタートアップとしてはそこは重たいよねみたいな話になるのは明らかで。

でも出張って、当然人が多い会社さんのほうが多く出張されてると思うので、大企業の方が多くてシステム連携しないといけなくてってなるとBIPROGYだよねってなるのは、めちゃめちゃ今となっては綺麗に整理されるような話という気はしていて納得感もありますけど、これだって5~6年前の話ですもんね。

浜田:
当時からやっぱり移動のデータにすごいこだわっている、やっぱりデータが大事、それを使ったらいろんなものが変えられるっていうところは強く言われていて。

ただ、投資検討が始まるまでに1年以上かかっているんですね。初めは出張の自動手配って言われても領域が小さいんじゃないかと、僕もまさに初めはそう思っていたんですけど、いや違うっていうのを僕も理解して、ご一緒するまでにちょっと時間がかかったっていうのはありますね。

コロナ禍を乗り越えた長期伴走──出資直後に訪れた試練

石橋:
結果的にはすごくその後、今のトレンドとか含めてもめちゃめちゃ伸びてらっしゃるとか、それこそもう5年、6年と経たれてらっしゃるので、出資した時点で浜田さんが思い描いたBIPROGYグループとの連携とかっていうのもだいぶ進んできてらっしゃるんですか?

浜田:
2019年に出資してるんで、その後2020年にコロナが来るんですよ。なので、旅行というか出張自体が一旦ゼロくらいになるんですね。

石橋:
しんどい時期が急にやってくる。

浜田:
そうなんです。だから出資した後にスケジュール通りご一緒していくようなイメージはやっぱりちょっと難しくて、まずはきちっとその時の事業をどうするかっていうところで、財務的なものは詳細ちょっとお伝えはできないですけど。

そんな中でもきちっとトラクションを伸ばされて、事業としては成長されていたので、このコロナが明けた後には我々として改めて頑張らないといけないっていうところになって、ようやくですね、最近改めていろいろとご一緒できるところも増えてきたのかなと思って。

石橋:
むしろ、ちゃんと乗り越えてきたからこそ今があるみたいな。

浜田:
そうですね。

CVC投資家が9年在籍する価値──「当時の思い」をつむぐ力

石橋:
ちなみに松岡さん、これもさっきの七里さんの逆じゃないですけど、浜田さんみたいにCVCプロパーじゃなくてご本体から来ていらっしゃって9年選手って、シンプルにまず珍しいとも思うんですけれども。

ベテランプレイヤーがCVCにいることの効用って、それこそ3代目の代表として今来ていらっしゃる松岡さんとしては、新しい人が入ってきたり、きちんと長い人がいらっしゃるところのミックスというのはどういう効用があるなとか、どういう効果があるなというふうに考えていらっしゃったりするんですか?

松岡:
長くいてもらってるところで一番感じるのは、当時どういう思いで我々は投資判断したんだっけみたいなこともそうだし、すぐに連携できなくても、例えばスタートアップの皆様の事業がここまで進んでいったらBIPROGYグループとしてこういう連携ができるんじゃないかみたいなことを、かなり我々キャナルベンチャーズの中では相当ディスカッションするんですけれども。

その時にもちろんいろんな文面上に残ってることもあるし、その時いろんなことを考えたっていったところをやはり押さえてるってところは、私自身は非常に助かっていて。

当時のそれこそさっきあったようなコロナより前にあった世界観でいうと、こういうことを考えたよね、なぜそういうことを考えたんだろうかという。それは我々BIPROGYグループというものを背負ったときに、どういうふうにスタートアップの皆さんと一緒に歩むことができるのか、みたいなことの振り返りにもなるので、そういったところは非常に助かってますし。

新しく入ってきたメンバーも、その時に描いたストーリーだとかをちゃんと伝えることによって、次なる投資の時にはこういうことを考えた方がいいよねみたいなことだとか、そういったところにつながっていくというふうに思っているので、非常に大事な経験を還元してくれてるかなというふうに思ってます。

石橋:
しかも起業家の皆さんからしてもあるあるっぽいのも、CVCの方からご出資してもらったのは非常にありがたいものの、担当者の方がどうしても配置換えで2年3年で入れ替わってしまうと、次の担当者の方がまた関係構築ゼロから始めて、また場合によっては事業連携とかのスピード感が少し遅くなってしまったりという話は、どこの誰とも全然言うわけでもないですけど、あるあるとしてよく聞く話でもあるので。

そういうところも、浜田さんみたいにしっかり長くちゃんとCVCで活躍されている方がいらっしゃると、起業家の方も結果的にすごい安心感もあるのかなと思いますし、ぜひこれからも10年15年と長くCVCで活躍していただけるのは、僕らとしてもありがたいなと素直に思っているところでございます。

改めて浜田さん、3社目のご紹介ありがとうございます。

浜田:
ありがとうございます。

「挑戦が、挑戦を、つむぐ社会」へ──キャナルベンチャーズが求める起業家像

石橋:
最後にまとめとして、今回3社の起業家の方、投資先の方をご紹介いただきましたので、まずは今後どういう起業家の方に改めてキャナルベンチャーズさんとして出会っていきたいか、探しているかというところを、まずはメッセージをですね、ぜひ起業家の方にお話しいただけたらなと思うんですけれども。

松岡:
まずはやはり我々CVCという特徴がありますので、企業が持っている、事業会社が持っているものとうまく組み合わせながら、一緒になって事業を成長させていこう、そして社会実装を結びつけて思い描いている世界観を具体的なものにしていこうといったところを、一緒になって考えていきたいというふうに思ってます。

スタートアップの皆様も、様々な事業会社が持っているものを活用しながら事業を成長させていきたいよねっていうふうに思った時に、キャナルベンチャーズに声をかけていただけたらなと思います。

石橋:
これからもおそらく4号・5号ファンドと場合によっては続いていくのがキャナルベンチャーズさんなのかなと思いますけれども、今後キャナルベンチャーズさんとして今後の展望みたいなところでいうと、どんなイメージをお持ちなんですか?

松岡:
実は我々は「挑戦が、挑戦を、つむぐ社会」というビジョンを掲げています。

もちろんスタートアップの皆さんが取り組んでいる挑戦といったものを、きちんと事業会社の挑戦につなげていくことだとか、行政の皆さんの挑戦につなげていくみたいなこともそうですけれども、スタートアップの皆様以外の方々も、本当に素晴らしい将来に向かって挑戦されている方々ってたくさんいらっしゃいますので、そこがきちんとつむがれていく世界、社会っていうのを目指したいなというふうに思っています。

その中で、我々がミッションとして掲げているのは「一歩、踏み出す」という形になっています。

いろいろと難しいことだとか困難もあると思うんですけれども、我々キャナルベンチャーズは、必ずまず我々が一歩踏み出すっていうところをお約束しています。

ですので、本当にいろんな組み合わせだとか、いろんな世界観を実現していきたいとか、いろんな思いがあると思うんですけども、やはりその挑戦がつむがれていくように、そしてキャナルベンチャーズが必ずまず一歩を踏み出すといったところを信じていただいて、それを我々は実践していくだけというふうに思っています。

石橋:
ありがとうございます。ぜひ動画を見ていただいた起業家の方はですね、今後の可能性とかをぜひキャナルベンチャーズの皆さんと議論いただきながら、今後の可能性に賭けていただければ、場合によっては投資が入ってきたりですとか、そこらへんの議論も含めてご縁を作って、それこそつむいでいただければいいのかなと思っておりますので、ぜひ気軽にコンタクトを取ってみていただければなと思っております。

それでは改めて全2話にわたりまして松岡さん、お時間いただきましてありがとうございます。

松岡:
ありがとうございました。