「シード資金の残りが心もとない」「シリーズAにはまだKPIが届かない」「今このタイミングで何を優先すべきかわからない」と感じる経営者の方は多いでしょう。

シードとシリーズAの間に位置するプレシリーズAは、近年の日本のスタートアップ市場で急速に存在感を増しているラウンドです。しかし定義が曖昧な分、調達額やバリュエーション(企業評価額)の相場感、最適なスキームの選び方に迷いやすい局面でもあります。

本記事では、プレシリーズAの定義と各ラウンドとの違いを整理したうえで、調達タイミングの見極め方、VC・エンジェル・J-KISSなど手段ごとの特徴、そして投資家が重視する判断基準まで解説します。自社の状況に合った調達設計を描くために、ぜひ最後までご一読ください。

この記事でわかること
  • プレシリーズAの定義と、シード・シリーズAとの違い
  • 調達活動を始めるべきタイミングの判断基準
  • VC・エンジェル・J-KISS・ベンチャーデットなど調達手段ごとの特徴
  • 投資家を説得するための準備(PMF可視化・エクイティストーリー・バリュエーション設定)
  • よくある失敗パターンとその対策

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目次

プレシリーズAとは?シードとシリーズAの”谷間”で資金調達する意味

プレシリーズAとは?シードとシリーズAの"谷間"で資金調達する意味

プレシリーズAとは何か、資金調達ラウンド全体のどこに位置づけられるのかを正確に理解することが、適切な調達判断の出発点です。

まずはプレシリーズAの定義とPMF(プロダクト・マーケット・フィット)検証段階での役割を整理し、日本市場で需要が増えている背景も確認していきましょう。

プレシリーズAの定義と、資金調達ラウンドにおける位置づけ

プレシリーズAとは、シードで得た資金をもとにプロダクトを市場へ投入し、PMFの手応えを感じ始めた段階で実施する資金調達ラウンドです。調達額の目安は5,000万〜2億円程度で、シリーズAほどの明確なトラクションはないものの、初期顧客のフィードバックや継続利用データが蓄積されつつある時期に該当します。

押さえておきたいのは、これが単なる「つなぎ資金」ではないという点です。プレシリーズAはシリーズAの投資基準を満たすために必要な事業基盤の構築期間を確保するラウンドであり、チーム強化やプロダクト改良に集中投資して、次ラウンドの成功確度を引き上げる役割を担います

資金調達ラウンドの中での位置づけを整理した、全体の流れは以下のとおりです。

ラウンド事業フェーズ調達額の目安主な資金使途
シードMVP開発・初期検証数百万〜数千万円プロトタイプ開発・初期顧客獲得
プレシリーズAPMF手応え段階5,000万〜2億円チーム強化・プロダクト改良
シリーズAPMF達成・成長加速1〜5億円営業強化・市場拡大
シリーズB以降スケール・市場制圧5億円以上組織拡大・グローバル展開

自社が今どの段階にいるかを冷静に見極めることが、次のアクションを決める起点です。

なぜ?日本でプレシリーズAの需要が増加している背景

プレシリーズAの需要が日本で高まっている背景には、大きく3つの変化があります。それが、「レガシー産業へ参入するスタートアップの増加」、「社会人起業家の台頭」、そして「ステージ細分化トレンドの波及」です。

1. レガシー産業へ参入するスタートアップの増加

製造業・建設業などのレガシー産業は複雑な移行の流れを経る必要があり、PMF検証に時間が必要です。そのため、シード資金だけではシリーズAの基準に到達しきれないケースが増えています

2. 社会人起業家の台頭

業界経験を持つ起業家が専門人材を初期から採用する傾向があり、これにより資金消化が速まる可能性があります。シードで調達した資金の消化スピードが速く、追加の資金調達ニーズが前倒しで発生しやすいために、プレシリーズAが必要になるイメージです。

3. ステージ細分化トレンドの波及

海外VCがシリーズA以降へ投資をシフトする動きの中で、国内でもプレシリーズAへの投資事例が増加しています。近年は特にシリーズAの選別が厳しくなる環境下で、「シリーズA手前の資金調達」が独立したラウンドとして定着しつつある状況です。

こうした市場環境を踏まえると、プレシリーズAは一時的なブームではなく、日本のスタートアップ市場に根づき始めた変化だといえるでしょう。

【比較表】プレシリーズAとシード・シリーズAの違い

【比較表】プレシリーズAとシード・シリーズAの違い

シード・プレシリーズA・シリーズAは連続した資金調達ラウンドですが、事業の成熟度や投資家が求める水準は大きく異なります。3つのラウンドの境界線を明確にすることで、次に取るべきアクションの判断基準が見えてくるでしょう。

各ラウンドのKPI基準と調達条件の違いを順に見ていきましょう。

事業フェーズと求められるKPIの違い

投資家が重視するKPIは、ラウンドごとに明確に異なります

ラウンド事業フェーズ重視されるKPI投資家の評価基準
シードMVP検証初期トラクション(MVPユーザーの反応等)チームの実行力・市場理解度
プレシリーズAPMF手応え段階MRR・ARR・継続率の初期値PMFの兆し・再現性の萌芽
シリーズAPMF達成LTV/CAC・売上成長率・NRRスケーラブルな成長モデルの実証

シード段階では、MVPの完成度と初期ユーザーの獲得が中心です。初期トラクション(MVPユーザーの反応等)が評価され、投資家はプロダクトそのものより「この課題に本気で向き合えるチームか」を見ています

プレシリーズA段階になると、求められる指標は一段と具体的になります。SaaS領域であれば、MRR(月次経常収益)やARR(年間経常収益)といったPMFの「兆し」を数値で示せるかが判断基準です。売上の絶対額より、「このまま伸びる根拠があるか」という再現性の兆しが問われる段階です。

シリーズA段階では、本格的な成長投資に値する証明が必要です。安定した売上成長率に加え、LTV(顧客生涯価値)がCAC(顧客獲得コスト)を上回る健全なユニットエコノミクスの実証が必要です。市場シェア拡大に向けた成長計画を語れる状態が、投資家にとっての「Go」の条件です。

自社のKPIがどの段階の水準にあるかを照らし合わせてください。「プレシリーズAのKPIには届いているが、シリーズAにはまだ足りない」、その差分こそが、次の調達で埋めるべきギャップです。

プレシリーズAでVCがどのように投資判断を下すのかについては、以下の動画でも解説しています。

調達額・バリュエーション・投資スキームの違い

各ラウンドごとに、調達額・評価額・投資スキームも大きく変わります

ラウンド調達額バリュエーション主な投資スキーム
シード数百万〜数千万円5,000万〜3億円J-KISS(新株予約権)
プレシリーズA5,000万〜2億円1.5億〜5億円J-KISS / みなし優先株
シリーズA1〜5億円5億〜30億円優先株式

シードで多く使われるJ-KISSは、バリュエーションを確定させずに資金を受け入れられる新株予約権型のスキームです。交渉コストが低い反面、ディスカウント率やキャップの設定次第で次ラウンドの希薄化に直結します

プレシリーズAでは、J-KISSを継続するケースと、みなし優先株へ移行するケースに分かれます。高評価額(例:5億円超)の場合は、優先株式での発行を検討する価値があるでしょう。

希薄化の影響は、数字で把握しておくことが欠かせません。たとえば、ポストマネー評価額5億円で1億円を調達すると、放出比率は20%になります。シードで15%放出済みであれば、創業者の持分は68%まで下がる計算です。シリーズAでさらに20%放出すれば約54%となり、過半数維持のラインが見えてきます。

各ラウンドの希薄化率を逆算しながら、調達額とバリュエーションのバランスを設計することが資本政策の基本です。

タイミングはどう見極める?プレシリーズAが必要になる2つの状況

タイミングはどう見極める?プレシリーズAが必要になる2つの状況

プレシリーズAの調達に動くべきタイミングは、早すぎても遅すぎてもリスクをともないます。動き出しが遅れれば交渉力を失い、早すぎればKPIの説得力が不足したまま投資家と向き合うことになりかねません。

資金繰りと事業進捗、2つの観点から判断基準を一緒に確認していきましょう。

シード資金の残りが12ヶ月を切っている

自社の資金がいつ尽きるかを示す指標がランウェイ(資金残存期間)です。「現在の資金残高 ÷ 月次バーンレート」で算出できます。

たとえば手元資金3,000万円でバーンレート月300万円であれば、ランウェイは10ヶ月です。「ランウェイが12ヶ月を下回る」前に準備を始めるのを、一つの目安にするとよいでしょう。ただし、プロダクト改善の進捗や市場環境も考慮した総合的な判断が前提です。

12ヶ月が基準になる理由は、調達活動に3〜6ヶ月かかるためです。ランウェイが6ヶ月を切った状態で交渉に入ると、投資家に「資金ショート間近の企業」と認識され、不利な条件を受け入れざるを得なくなるケースが少なくありません。

目標の着金時期から6ヶ月前には調達活動を開始し、並行してKPIの改善にも取り組んでください。資金に余裕があるうちに動き出せば、投資家との対話も対等な立場で進められます。

シリーズAの投資基準にあと一歩届かない

シリーズA投資家が求めるKPI水準は、ビジネスモデルによって異なります。SaaS企業であればARR1億円前後が一つの目安ですが、絶対基準ではなく成長率との複合評価です。BtoB企業の場合は、有料顧客数や契約パイプラインの厚みが重視されます。

「あと半年〜1年で到達できそうだ」という手応えがある状態こそ、プレシリーズA調達に適したタイミングです。

見落としがちなのが、業界特性による時間軸の違いです。金融・製造業などの規制産業やレガシー産業向けプロダクトでは、PoC(概念実証)に1年以上かかることも珍しくありません。こうした領域では「PoCの完了件数」「パイロット導入先の属性と規模」も投資判断の材料になります。

自社のKPIとシリーズA基準の乖離幅を定量的に把握し、その差をプレシリーズAの資金で埋められるか。この問いに明確に答えられる状態が、調達活動を始める条件です。

プレシリーズAの資金調達方法

プレシリーズAの資金調達方法

プレシリーズAでは、調達手段の選び方一つで資本政策の自由度が大きく変わります。エクイティだけに頼ると希薄化が進みやすく、逆にデットだけでは成長投資に必要な規模を確保しにくいのが実情です。

主要な4つの方法について、それぞれの特徴と使いどころを確認していきましょう。

VC・CVCからのエクイティ調達

プレシリーズAにおけるVC調達の目安は、5,000万〜2億円程度です。この時点でVCは、トラクション、経営チームの実行力、狙う市場の規模を重視します

この段階で意識すべきは、シリーズAでリード投資家になり得るVCとの早期接点づくりです。シード特化VCはプレシリーズAで出資したあと、シリーズAでもフォローオン投資を行うケースがあります。早い段階で関係を築いておくと、次ラウンドの調達がスムーズに進みやすくなるでしょう。

CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)も候補になります。事業会社の販路やアセットを活用できる点は、大きなメリットになります。ただし、CVCは社内稟議を経るため意思決定に時間がかかる傾向にあることから、ランウェイに余裕があるうちに接触を始めなければなりません。

エンジェル投資家からの出資

エンジェル投資家からの出資は、VC調達を補完する手段として活用されています

すでにシード期に出資を受けたエンジェル投資家がいる場合、追加出資の打診が最も手早い方法です。事業進捗を共有してきた関係性があるためDD(デューデリジェンス)の負担が少なく、数週間で着金まで進むケースもあるでしょう。ただし個人の資金枠は限られ、数百万〜数千万円にとどまることが多い点は理解しておかなければなりません

一方、新規エンジェルの開拓は、既存VCや投資家からの紹介が最も確度の高いルートです。プレシリーズAにおけるエンジェル出資の位置づけは、VCからのエクイティを軸に据えたうえで、足りない部分を埋めるギャップファンディングととらえてください。

J-KISS・コンバーティブルエクイティの活用

J-KISSに代表されるコンバーティブルエクイティ(CE)は、バリュエーションの確定をシリーズAまで持ち越せる点が最大の特徴です。シード〜プレシリーズAの段階では企業価値の算定根拠が乏しく、無理に評価額を決めると起業家・投資家のどちらかが不利になりかねません。

実務面でもJ-KISSは公開ひな形をほぼそのまま使えるため、契約交渉や弁護士費用を圧縮でき、着金までのスピードが株式発行と比べて格段に速くなります。経済産業省も「コンバーティブル投資手段活用ガイドライン」の中で、コンバーティブルエクイティの活用をおすすめしています。

投資家側にとっても、バリュエーションキャップやディスカウントの設定により有利な条件で転換できるメリットがあります。シリーズA移行時には、転換後の持株比率が資本政策に与える影響を、事前にシミュレーションしておきましょう。

J-KISSの仕組みと条件設計について、詳しくはこちらの記事も合わせてご覧ください。

J-KISSの条件設計のポイントについては以下の動画でも解説しています。

ベンチャーデット・融資との併用

エクイティ調達だけで必要資金をすべて賄おうとすると、株式の希薄化が大きくなりがちです。ベンチャーデットや日本政策金融公庫の融資を組み合わせれば、エクイティで調達する金額を圧縮でき、創業者の持分比率を守りやすくなります

エクイティとデット(融資)の違いは以下のとおりです。

項目エクイティデット(融資)
返済義務なしあり(元本+利息)
株式希薄化発生する発生しない
調達スピード3〜6ヶ月3週間〜1ヶ月
審査基準成長性・市場性返済能力・事業安定性

たとえば日本政策金融公庫のスタートアップ支援資金は無担保で利用でき、据置期間が最長5年と設定されています。月々の返済負担を抑えながらランウェイを延ばせる点で、プレシリーズAとの相性は良好です。申し込みから融資実行までは約3週間〜1ヶ月が一般的で、エクイティ調達と並行して手続きを進められます。

BtoB SaaSで月次課金の売上がある場合はファクタリングも検討の余地がありますが、プレシリーズA段階では売掛金の総額が小さくまとまった資金にはなりにくいため、あくまで短期のキャッシュフロー改善策と位置づけてください。

資金調達の際、調達手法の選定や条件の検討など、様々な場面で専門的な知識が求められます。十分な知識がないまま進めると、自社に最適な調達条件や進め方を見極めるのが難しいこともあるでしょう。

Gazelle Capitalが運営する「資金調達の窓口」は、年間1,000社以上の面談実績を持つ、あらゆる調達手法をサポートするサービスです。調達手法の選定などご相談いただけますので、ぜひご活用ください。

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プレシリーズAの資金調達を成功させる4つの準備

プレシリーズAの資金調達を成功させる4つの準備

資金調達の手段を把握したあとに問われるのは、投資家の意思決定を引き出すための「準備の質」です。プレシリーズAの調達を成功に導く準備として、次の4つは確実に押さえておきましょう。

PMFの確度を数値で可視化する

投資家がプレシリーズAで最初に確認するのは、PMFの「完成度」ではなく「進捗の手応え」を示す数値です。完全なPMF達成前でも、業態に合った指標を押さえていれば説得力は大きく変わります。

SaaSであればMRRが100〜300万円程度でも、一つの目安として月次成長率が10%以上で推移し、チャーンレートを低水準に維持できていれば「伸びしろがある」と評価するVCの担当者もいるでしょう。BtoBの受託型やコンサル型なら有料顧客数とリピート率、BtoCであればリテンション率やDAU/MAU比率が重視されます。自社の業態に即したKPIを選ぶことが出発点です。

さらに、ユニットエコノミクスの初期値も欠かせません。LTV÷CACの比率が3倍以上であれば健全性を示す一般的な目安ですが、プレシリーズA段階では正確な算出が難しいケースもあります。その場合は「顧客がなぜ使い続けるのか」という定性的なストーリーを添えてください。数値と顧客の声の両面が揃うことで、PMFの確度はぐっと伝わりやすくなります。

シードからシリーズAへのステップアップについては以下の動画でも解説しています。

PMF達成までに起業家がたどるべきプロセスについてはこちらの動画もご覧ください。

エクイティストーリーと資金配分を明確にする

エクイティストーリーの核心は「この資金で何が変わり、シリーズAにどうつながるのか」を一本の筋で語れるかどうかです。

シリーズAで求められるKPIをゴールに置き、逆算してプロダクト開発・マーケティング・採用の3領域へ資金を配分します。自社のボトルネックに応じて、重点領域の比率を引き上げてください。開発投資でチャーンを改善し、マーケティングで新規獲得を強化し、採用で実行体制を固める。この順序と優先度が噛み合って初めて、投資家は「使途どおりに実行できそうだ」と感じます

合わせて、経営陣への信頼を高める工夫も意識しておきましょう。過去のマイルストーン達成実績、現チームのスキル構成、計画未達時のリスクヘッジ策(コスト圧縮シナリオや追加デットの余地)を資金計画に盛り込むと、説得力は格段に上がります。

バリュエーションを適切に設定する

バリュエーション設定は、プレシリーズA最大の交渉ポイントです。高すぎるとシリーズAでダウンラウンドを招き、低すぎれば持分が過度に希薄化して経営の自由度を失いかねません。創業者の持分は、60〜70%以上を維持する方針で資本政策を設計しましょう。

プレシリーズAの現実的な相場は、プレマネーで5,000万〜2億円程度が目安です。たとえば5,000万円を調達する場合、プレマネー1.5億円であれば放出比率は約25%で、創業者持分を70%前後に維持できます。

適正値の判断が難しい場合は、J-KISSでバリュエーション確定をシリーズAまで先送りする方法も適しています。バリュエーションキャップとディスカウント率が設計変数になり、転換時にはキャップ算出額とディスカウント適用額のうち低い方が採用されます。

過度に楽観的なバリュエーションは、後続ラウンドの調達を困難にしかねません。資本政策表を作成し、シリーズAまでの持分推移をシミュレーションしたうえで交渉に臨んでください。

ピッチ資料と事業計画書を整える

数値・ストーリー・バリュエーションが固まったら、投資家との接点となる資料を仕上げます。準備すべきは以下の4点です。

  • ピッチデック(10〜15枚、課題・解決策・市場規模・トラクション・チーム・資金使途)
  • 事業計画書(3年分の損益・KPI推移・資金繰り表)
  • 資本政策表(シリーズAまでの持分推移シミュレーション)
  • DD想定資料(登記簿謄本・定款・株主名簿・契約書類・財務諸表)

ピッチデックは、各スライドで「なぜ今か」「なぜこのチームか」という投資家の疑問へ先回りして答える意識が大切です。補足データはアペンディックスに回し、本編の密度を保ちましょう。事業計画書と資本政策表は、放出比率の見通しが正確であるほど、投資家の信頼は高まります

合わせて、DD対応も早期に着手しておくと安心です。質問が来た当日に共有できる体制を整え、「調査に耐えうる経営体制」を見せるだけでも、交渉のスピードと条件は大きく変わります。

資金調達は、早い段階でプロに相談するほど選択肢が広がります。自社の状況を客観的に整理でき、タイミングを逃さず最適な手法を選びやすくなります。

資金調達の窓口では、融資・補助金・エクイティの中から御社のステージに合った手法の相談などを無料で対応。事業計画書がない段階からでもご利用いただけますので、まずはお気軽にご相談ください。

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プレシリーズAでよくある失敗パターンとその対策

プレシリーズAでよくある失敗パターンとその対策

プレシリーズAの資金調達では、準備や判断の遅れが調達条件を大きく左右します。事前に典型的な失敗パターンを知っておくだけでも、同じ落とし穴を避けられる確率は上がります。

特に多いケースとその対策を確認していきましょう。

調達タイミングが遅れて交渉力が低下する

ランウェイが短くなった状態で調達活動を始めると、投資家に「資金ショートが近い」と見抜かれ、バリュエーションの引き下げや厳しい契約条項を提示されやすくなります

これはタイミングの問題であり、準備の時期を前倒しするだけで状況は大きく変わるものです。資金が潤沢な段階であれば「今すぐ決めなくてもいい」という余裕が生まれ、複数の投資家と並行して交渉が可能に。条件を比較検討できる状態そのものが、最大の交渉レバレッジになります

月次バーンレートからランウェイを算出し、調達完了までに必要な3〜6ヶ月を逆算してスケジュールを組むようにしましょう。「まだ早いかもしれない」と感じる時期こそ、実は動き出すべきタイミングです。

バリュエーション設定を誤り株式を渡しすぎる

創業初期にエンジェル投資家や知人へ安易に株式を配分してしまうと、プレシリーズA時点で創業者の持分が想定以上に圧迫されます。シリーズA以降でさらに希薄化が進み、経営の主導権が揺らぎかねません。

VCの視点では、創業者持分が低い企業は経営判断の機動性低下リスクがあるとみなされ、投資判断でマイナス評価を受けやすい構造です。共同創業者間の配分を曖昧にしたまま進めた場合も、DDで問題視されるリスクがあります

すでに株式を渡してしまった場合でも、打てる手はあります。資本政策表を作成し、シリーズA・B・IPOまでの株主構成をシミュレーションしたうえで、ストックオプションプールの設計や既存株主との交渉余地を整理してみましょう。

プレシリーズAの資金調達に関するよくある質問

プレシリーズAの資金調達に関するよくある質問

プレシリーズAの資金調達を検討する中で、判断に迷いやすいポイントをQ&A形式で整理しました。自社の状況に照らし合わせながら、次のアクションを明確にしていってください。

  • プレシリーズAとシリーズAの違いは?
  • プレシリーズAの調達にかかる期間は?
  • シリーズAに到達できる確率は?
  • プレシリーズAの投資契約で注意すべき条件は?

Q.プレシリーズAとシリーズAの違いは?

両者を分ける最大の判別軸はPMFの達成度です。プレシリーズAは「PMFに手が届きそうだが証明しきれていない」段階、シリーズAは「PMFを達成し再現性ある成長モデルが見えている」段階を指します。

調達規模にも差があります。プレシリーズAは5,000万〜2億円程度でJ-KISSなどの簡易スキームが多く、シリーズAでは1〜5億円規模で優先株式による本格的なエクイティ調達が主流です。

「自社はどちらに近いのか」と迷う方は、PMFを数値で説明できるかどうかを判断基準にするとよいでしょう

Q.プレシリーズAの調達にかかる期間は?

準備開始から着金まで3〜6ヶ月が標準的な目安です。投資家との初回面談からタームシート合意までに1〜3ヶ月、その後のDD〜払込みにも一定期間を要します。

注意すべきは「タームシート合意から着金までの空白期間」です。契約書チェック・契約締結・着金まで2週間程度かかるのが一般的で、つなぎ資金の確保が必要です。日本政策金融公庫の融資や既存株主からのブリッジ出資を並行して準備しておいてください。

Q.シリーズAに到達できる確率は?

米国のスタートアップの資金調達動向をもとに分析されたあるデータでは、シード調達を行ったスタートアップがシリーズAへ進める可能性は10%から20%程度、という結果が出ています。日本ではレイター投資の不足も指摘されており、さらに厳しい可能性もあるでしょう。

一方で、プレシリーズAを活用した企業は、到達確率を引き上げやすい傾向にあります。シリーズAの投資家が求める水準に対して、検証と実績を積む時間を確保できるためです。プレシリーズA調達の時点でシリーズA基準のKPI目標を逆算して設定し、投資家にも共有しておくのがおすすめです。

Q.プレシリーズAの投資契約で注意すべき条件は?

投資契約書の条件は、EXIT時の創業者リターンを大きく左右します。特に注意すべきは反希薄化条項(アンチダイリューション)と残余財産分配権(Liquidation Preference)の2つです。

まず、反希薄化条項には「フルラチェット型」と「加重平均型」があります。

  • フルラチェット型:ダウンラウンド時に既存投資家の取得価額を新株価格まで引き下げ、創業者持分が大幅に希薄化
  • 加重平均型:既存株主全体の加重平均で調整するため影響が緩やか

業界標準は加重平均型(ブロードベース)です。一般的に、投資家に有利な順は「フルラチェット > ナローベース加重平均 > ブロードベース加重平均」となっているため、タームシートで「加重平均型」と記載がある場合も、ブロードベースかナローベースかを必ず確認してください

合わせて、残余財産分配権は倍率1倍(1x)が基本線です。2倍以上が設定されていると、M&A総額が想定を下回った場合に創業者の取り分がゼロになるケースもあります。

タームシートには法的拘束力を持つ項目と持たない項目が混在しているため、署名前にスタートアップ投資に精通した弁護士への相談がおすすめです。

まとめ

まとめ

プレシリーズAは、シードとシリーズAの架け橋となるPMF検証期に重要なラウンドです。J-KISS等の活用でバリュエーションを先送りしつつ、ランウェイに余裕があるうちに準備を始めましょう

成功のためには、KPIの定量化と、創業者持分60〜70%以上を維持する資本政策、そして納得感のあるストーリー構築にあります。まずは自社の残月数を把握し、次のラウンドを見据えた指標を整理した上で、信頼できる専門家へ早期に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。

スタートアップの資金調達方法の全体像について、詳しくはこちらの記事も合わせてご覧ください。

「自社に合う資金調達方法がわからない」「そもそも誰に相談すればいいのかわからない」とお悩みではありませんか。 Gazelle Capitalが運営する「資金調達の窓口」では、御社のステージに合った調達プランをご提案しています。

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