Gazelle Capital 「未来の相談」を今から作る。CVCを起点としたL is BのM&A・長期的パートナーシップ戦略 | Gazelle Capital〜プレシード/シード特化のベンチャーキャピタル(VC)
 

「未来の相談」を今から作る。CVCを起点としたL is BのM&A・長期的パートナーシップ戦略

現場向けDXプラットフォーム事業を展開し、2024年3月にグロース市場へ上場した株式会社L is B。同社は上場直後という重要な局面で、Gazelle CapitalへのLP出資、さらには二人組合によるCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)「directX Ventures」の設立という、積極的な投資戦略に乗り出しました。

なぜ上場して間もないこのタイミングでスタートアップ投資という新たな成長エンジンを求めたのか。今回は株式会社L is B 取締役CFO兼株式会社directX Ventures代表取締役 パートナーの北嶋 正樹氏と、Gazelle Capitalの石橋孝太郎の対談を通し、Gazelle Capitalとのパートナーシップが、いかにして事業成長の新たな推進力となるのかを紐解きます。

決め手は「事業親和性」。L is BがGazelle Capitalをパートナーに選んだ理由

ーー 2024年3月26日に東京証券取引所グロース市場で上場されていますが、上場後まもないタイミングで、なぜLP投資という選択肢を検討されたのでしょうか?

北嶋:上場しますと、四半期ごとに結果を求められるため、PL(損益計算書)に大きく影響する、赤字を伴う研究開発投資などは、どうしても実施しにくくなります。そこで、BS(貸借対照表)を活用したM&Aやスタートアップ投資といった次の一手を打つ必要があるという考えがありました。

LP出資(VCファンド投資)は、リターン創出まで7〜8年という長期スパンで見られる一方、目先の1年間で赤字を増やさずに済む成長投資の手段として非常に魅力的でした。加えて、投資リターンだけでなく、その過程で多くの有望なスタートアップと出会えるという点にも期待していました。

ーー 数あるVCの中から、最終的にGazelle Capitalをパートナーに選ばれた理由をお聞かせください。

北嶋:一番の決め手となったのが、投資領域における親和性の高さです。お会いしたVCの多くは幅広い領域でリターンを追求されていましたが、例えば全く異なる業界の情報をいただいても、我々が事業シナジーを見出すのは容易ではありません。その点、Gazelle CapitalはDXやBtoB、SaaS領域に特化されており、我々の事業と最もフィットすると判断しました。

また、IVS(Infinity Ventures Summit)では6〜8社のVCとお話をさせていただき、その中で学んだのがファンドの規模感の重要性です。大規模なファンドに対して少額出資をしても、密なコミュニケーションを築くのは難しいのではないかと感じました。これは逆の立場でも、出資額の小さいLP(ファンド投資家)に多くの時間を割くのは難しいという現実があるからです。

石橋:私たちは、DX領域のシード・プレシード期に特化した投資活動を行っています。そして、我々のLPである事業会社様と投資先とのシナジーを創出し、学びの機会を共有いただくことは、当ファンドが提供する重要な価値の一つです。L is B様は、まさにそのDX領域で事業を展開し、近年上場されたSaaS企業です。当ファンドの投資先にとって、事業連携や知見の共有といった点で、これ以上ないパートナーであると確信しました。実際に出資いただいた後には、代表の横井様や北嶋様に投資先向けの勉強会を開催いただくなど、既に非常に有益な価値提供へと繋がっています。

自社単独でのソーシングは不可能。二人組合で実現するCVC戦略

ーー LP投資から約10ヶ月後にはCVC「directX Ventures」を組成されています。どのような経緯だったのでしょうか?

北嶋:実は、LP出資を検討する最初の面談で、ご提案の一環として二人組合でのCVC設立というお話をいただいていました。正直なところ、その時は「CVC設立は少々飛躍があるな」と感じましたね。「二人組合」や「CVC」という仕組みは知っていましたが、より事業規模の大きな企業が取り組むものという先入観があったからです。ただ、驚きと同時に「これは挑戦してみたい」という気持ちが芽生えたことを覚えています。

ーー CVCを立ち上げようと思われたタイミングで、Gazelle Capitalに連絡をされたのでしょうか?

北嶋:いえ、LP出資後は月に一度、ファンドの運営報告を兼ねて定例会を実施していたので、その際にCVCを組成する話をしていました。定例会で他の二人組合の成功事例を伺ったり、Gazelle Capitalさんがどのようなスタートアップと面談しているのかを具体的に知るうちに、CVC設立の実現可能性に対する解像度が高まりました。「このような有望なスタートアップと出会えるのであれば、我々にとって大きな成長機会になる」という確信に変わった形です。

ーー Gazelle Capitalとパートナーを組んだからこそのメリットはどこにあるとお考えですか?

北嶋:最大のメリットは、ソーシング(投資先の発掘)機能です。弊社が単独で有望なスタートアップを見つけ出すのは極めて困難と言えるでしょう。また、投資実行に必要な契約実務などを私一人で担うのも現実的ではありません。

そのために専門人材を採用するコストと手間を考慮すれば、豊富な経験とネットワークをお持ちのGazelle Capitalさんに委ねるのが最も合理的だと判断しました。実際にパートナーシップを組んでみて、ご紹介いただく案件の「数」と「質の高さ」には良い意味で期待を上回るものがありました。豊富な選択肢の中から、我々の意思でじっくりと検討できるのは非常にありがたいと感じています。

石橋:弊社の基本的な役割分担として、ソーシングから初回面談、投資判断の基礎となるデューデリジェンス(DD)まで、VC業務の大部分を担います。その上で、L is B様とシナジーが見込めると判断した案件を北嶋様と横井様にご紹介し、ご興味をお持ちいただければ面談へと進んでいただく流れです。もちろん最終的な投資判断はL is B様に行っていただきます。そして投資実行後は、事業連携の推進はL is B様、ファイナンス面のサポートは弊社、という形で双方の強みを活かした支援体制を敷いています。

ーー 出資を判断する際の基準について、もう少し詳しく教えてください。

北嶋:判断軸はいくつかありますが、特に重視している点が2つあります。まず、私自身がその事業に強く興味を持てるか。そして最も重要なのが、「私がもしその会社のCFOとして参画したら、事業をさらに成長させられるか」という視点です。

具体的には、ご提示いただく事業計画の数字に蓋然性があり、そして成長への道筋が具体的に描けるかが重要です。これまでの経験から、その事業がスケールするかどうかを、ある程度解像度高く見極められると考えています。そのため、自身の知見が及ばない領域には投資しないというルールを設けています。

ーー 企業の成長戦略としてM&Aという手法もあります。CVCの立ち上げとM&Aとでは、狙いや目的をどのように使い分けていらっしゃいますか?

北嶋:M&Aも重要な成長戦略と位置付けており、昨年も1件実行しました。ただ、現在のM&Aのソーシングは、仲介会社様や金融機関からのご紹介に頼っているのが実情です。3年後、4年後の成長を考えた時に、仲介会社頼りではない、自社独自のソーシングチャネルを持つべきだと考えています。CVCを通じてスタートアップとの接点を広げておくことが、数年後のM&Aの「種まき」になると期待しています。出資が直接M&Aに繋がらずとも、この活動を通じて広がったネットワークから、将来的に「ご相談があるのですが」とお声がけいただく可能性を育んでいきたいです。

石橋:実際に、CVCとしての面談を進める中で、「場合によっては100%の株式売却ニーズもある」といった、M&Aの可能性を秘めた案件が出てくることもあります。CVCは、将来のM&Aに繋がる非常に有効な布石になり得ると我々も考えています。

CVCが生み出す「無形の資産」と成長の好循環

ーー パートナーとして、Gazelle Capitalにどのような印象をお持ちですか?

北嶋:非常に密な連携が取れており、コミュニケーションが円滑であるという印象です。チャットでの質問に対しても、石橋さんをはじめキャピタリストの皆様が迅速かつ丁寧に回答してくださいます。形式的な関係に留まることなく、真摯に向き合っていただけていると感じています。また、ご紹介いただく案件数が豊富なため、スタートアップ業界の全体像を把握できる点も大きなメリットです。「シード期のファイナンスは現在このようなトレンドなのか」といったマクロな情報も得られ、CVCを運営する上で不可欠なインプットを網羅的に提供いただいていますね。

ーー 今後、この取り組みをどのように発展させていきたいですか?

北嶋:CVCとしてはまだスタートしたばかりですが、今後は投資先のスタートアップが成長していく過程を、単なる支援者という立場ではなく、チームの一員として伴走していきたいと考えています。共に汗を流し、成長していく経験を積むことができれば、これに勝る喜びはありません。

石橋:最終的にM&Aという形で大きな成果に繋がれば理想的ですが、その前段階として、例えば投資先のプロダクトをL is B様がOEMで事業化するなど、協業のモデルケースを数多く創出していきたいです。そうすることで、L is B様のIR資料に「新規事業」として掲載されるような、具体的かつ戦略的な成功事例が生まれると考えております。

ーー L is B様のように、新興のグロース上場企業がCVCを立ち上げるメリットを改めてお聞かせください。

北嶋:もっと多くの企業が取り組むべき価値ある戦略だと感じています。成長戦略に課題を感じている上場企業は少なくないはずです。CVCは金銭的なリターンだけでなく、弊社のメンバーがスタートアップの皆様と交流することで得られる刺激も非常に大きな価値を持ちます。最先端の情報や事業への情熱に触れることは、組織全体の活性化に直結します。リターンの有無に関わらず、スタートアップと定期的に接点を持つこと自体が、事業成長における無形の資産となるでしょう。

ーー 最後に、directX Venturesの今後の展望について教えてください。

北嶋:CVCの設立は、L is Bグループ全体のポテンシャルを大きく引き上げる戦略的な一手であったと確信しています。まだ始まったばかりですが、確かな手応えを感じており、今回の取り組みを一過性のものとせず、将来的には規模を拡大した2号ファンドの設立も実現したいと思っています。

石橋:高いご期待に応え続けることが、弊社の責務です。いつ、どのような優れた起業家が現れるかは予測できません。だからこそ、我々はこれまでと変わらず、真摯に起業家の開拓とスクリーニングを継続してまいります。この地道な努力を続けることが、L is B様にとってあらゆる成長機会を捉えることに繋がり、ひいては将来の飛躍に貢献できると信じています。

3号ファンド組成・積極投資中!

日本国内の製造業・建築建設業・医療介護・不動産などのレガシー産業をアップデートするスタートアップ企業に出資を行っています。
ぜひ起業家の皆さんとご面談の機会をいただけますと幸いです!

・投資フェーズ:プレシード・シード中心(一部プレシリーズAにも出資)
・投資分野:既存産業領域のDXを行う企業を中心にtoB、toC問わず出資を行う
・投資金額:最大5,000万円の出資を行う
・イグジット:IPO、M&A、またはセカンダリーによる売却を想定
・運用期間:2034年3月(最大2年間の延長可能性あり)出資検討期間:2週間〜2ヶ月程度

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執筆者

Gazelle Capital編集部 /

Gazelle Capitalは、日本を築いてきた国内産業にインターネットの力で変革、変化を及ぼし、新しい時代の中で産業を彼らと共に形を変えて紡いでいくためのベンチャーキャピタルです。創業初期から起業家に伴走し、様々な壁をともに乗り越え、ともに挑戦に伴走し続けていきます。

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