Gazelle Capital LP出資で新規事業の種を発掘 ラクーンホールディングスがGazelle Capitalに見出した戦略シナジー | Gazelle Capital〜プレシード/シード特化のベンチャーキャピタル(VC)
 

LP出資で新規事業の種を発掘 ラクーンホールディングスがGazelle Capitalに見出した戦略シナジー

中小企業やスタートアップを対象に、BtoBのEC事業やフィナンシャル事業を展開する株式会社ラクーンホールディングス。同社は新規事業創出を加速させるため、Gazelle CapitalをはじめとしたVCと協力してCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の活動に力を入れています。

今回は株式会社ラクーンホールディングスの三原正大氏とGazelle Capitalの石橋孝太郎の対談を通し、Gazelle CapitalへのLP出資が、いかにして事業成長の推進力となったのかを紐解きます。

会社の理念を叶えるためにCVCをスタート

https://www.raccoon.ne.jp/

ーー まずは、ラクーンホールディングスの事業概要をお聞かせください。

三原:当社はBtoB領域に特化しており、主に中小企業やスタートアップを対象に事業を展開しています。事業の柱は、大きく分けて「EC事業」と「フィナンシャル事業」の二つです。

EC事業では、卸売向けのECプラットフォーム「SUPER DELIVERY(スーパーデリバリー)」を運営しています。イメージとしては楽天市場のBtoB版のようなサービスで、メーカー様がサプライヤーとして出店し、小売店様がバイヤーとして仕入れを行う仕組みです。

フィナンシャル事業では、BtoB向けの後払い決済サービス「Paid(ペイド)」と売掛金保証サービスの「URIHO(ウリホ)」を展開しています。Paidは請求書の発行から発送、回収、さらに未回収時の保証までを一括して代行するサービスです。URIHOは万が一売掛金が回収できなくなった場合に、そのリスクを保証する仕組みとなっています。

ーー さまざまな自社サービスを展開されているなかで、CVCの取り組みを始めた経緯を教えてください。

三原:当社は「企業活動を効率化し便利にする」という理念のもと、インフラ的な役割を担う事業を展開してきました。ただ、私たちがターゲットとしている中小企業やスタートアップの皆さまには「会計業務をもっと効率化したい」「BtoBプロモーションが弱くて困っている」などの多様なニーズがあります。

そうしたニーズに対して、現時点で提供できているのは3つのサービスに限られており、十分とはいえません。本来であれば、もっと多角的にサービスを展開していきたいところですが、社内だけで新規事業を生み出し続けるのはやはり難しいものです。

そこでGazelle Capitalさんと提携させていただき、CVCという形で外部のスタートアップに出資することで、新しい事業の創出に挑戦することにしました。

決め手は出資前の「フットワークの軽さ」

ーー 数あるVCのなかで、Gazelle Capitalを出資先として選んだ理由をお聞かせください。

三原:Gazelle Capitalさんを知ったのは、スタートアップ向けのサービスを提供しているStart Passさんのイベントがきっかけでした。当社のメンバーがGazelle Capitalさんのキャピタリストと名刺交換させていただき、そこから接点が生まれました。当時はLP出資を本格的に検討し始めたタイミングで、さまざまなVCの方々とお会いして情報収集を進めていたフェーズでした。

そのなかでもGazelle Capitalさんに強く惹かれた理由は、石橋さんをはじめとするキャピタリストの方々が、出資前の段階から非常に親身になって相談に乗ってくださった点です。まだ出資も確定していない段階にもかかわらず、スタートアップの紹介までしていただいて「この方たちは本当に伴走してくれそうだな」という感触を強く持ちました。

実は、当時は当社がLP出資をするということが業界内でもあまり知られておらず、他のVCさんの中には「本当にやるのか?」と懐疑的な反応をされることもありました。そういったなかで、Gazelle Capitalさんは非常にフットワーク軽く、誠実に動いてくださったため、強く印象に残っていたということもありますね。

石橋:確かに、これまでLP投資の実績がなかった企業が、ある日突然まとまった数のファンドに出資するというのは業界でもほとんど聞かないケースかもしれません。

ーー それでも初期段階から献身的にサポートされていた理由は、どこにあったのでしょうか?

石橋:そうですね。特別な理由があったわけではない、というのが正直なところです(笑)。強いて言えば、私たちはどんな相手であっても、常にフラットな姿勢で接することを大切にしています。

国としてもスタートアップ支援や投資を後押しする流れがあるなかで、CVC設立に取り組む事業会社も年々増えてきています。ただし、その中にはスタートアップ業界に不慣れな方や業界内での認知がまだこれからという企業も少なくありません。

そうした方々に対しても短期的な成果にとらわれず、長期的な視点でコミュニケーションを重ねることが大切だと考えています。過去には初めてお会いしてから3年越しでLP投資に至ったケースもありました。そうしたご縁は日々の誠実なやり取りの積み重ねから生まれるものだと考えています。

「出資して終わり」ではないGazelle Capitalの支援

ーー実際に出資されてから、特に印象的だった変化や具体的な成果があればお聞かせください。

三原:まず大きな変化としては「Paid for Startup」というサービスが動き出したことです。今期から社内にスタートアップチームも立ち上がり、本格的にスタートアップ支援に取り組む体制が整ってきました。

このサービスが立ち上がった背景には、やはりGazelle Capitalさんのサポートがありました。実際に投資先のスタートアップをご紹介いただいたことが直接的なきっかけになっており、これはとても具体的な成果だと感じています。

ーー そうしたポジティブな成果が2号ファンドや3号ファンドへの出資につながったのでしょうか?

三原:そもそも初めてLP出資を行う際、「一気に複数のVCに出資する」という戦略を採ったのは、業界にインパクトを出すという意味を込めています。一度きりで終わらせるのでは意味がないと考えていたので、継続的に関わることを前提に社内で合意を得た状態で進めていました。そういう意味では、2号ファンドや3号ファンドへの出資は最初から想定していた流れではありますが、それでもGazelle Capitalさんを継続してパートナーに選んだ理由は、大きく2つのことが明確にあります。

ひとつは、スタートアップやPaidの対象となり得る企業をご紹介いただく動きが非常に活発で、実際にそこから接点が生まれていること。もうひとつは、我々のビジネスモデルを深く理解いただいたうえで、継続的に的確なご提案をいただいていることです。毎月の定例ミーティングでも「この会社は相性が良いのでは」といった提案をいただけるのは、本当にありがたいです。

VCの中には「出資して終わり」というスタンスのところもあるのですが、Gazelle Capitalさんはそうではありません。こちらの事業にしっかりと向き合い、組織として継続的にサポートしてくださっていると感じています。今ではキャピタリストの皆さんも定例会に参加してくださるので、実務的にも大変助かっています。

石橋:ありがとうございます。私自身、以前は事業会社で経営企画を担当していて、CVCとしてスタートアップ投資に関わっていた時期がありました。その頃に、「VCって意外と動かないな……」と感じた経験があるんです(笑)。そのときの実感が今のスタンスに影響している部分があるのかもしれません。

与信がなくても取引できるコミュニティを目指して

ーー これからCVCとしてスタートアップ投資を検討している企業にとって、Gazelle Capitalはどのような点で頼りになると感じますか?

三原:今まで多くのVCとご縁をいただき、現在は8社のVCにLP出資しています。そのなかでもGazelle Capitalさんは特に印象に残っており、高い満足度があります。

たとえば、他のVCでも「こういうニーズがあります」と具体的に伝えれば、しっかりと対応してくれるところは多いです。ただGazelle Capitalさんは、こちらが「こういう情報があったら嬉しいな」といった抽象的な依頼でも、精度の高い情報を持ってきていただけます。そして特筆すべきは、石橋さんに限らず、どのメンバーにお願いしても同じレベルでしっかり対応していただける点です。

これからCVCを立ち上げたいが、まだパイプラインや明確な事業アイデアがないという企業でも、「Gazelle Capitalさんと組めばなんとかなる」という安心感があると思います。

石橋:ありがとうございます。ラクーンさんをはじめ、LP出資いただいている事業会社様との定例会には、基本的に全キャピタリストが参加するようにしています。というのも、投資先との連携を深めていくためには、実際に起業家と接しているメンバーと事業会社の皆さまが直接つながっていることが重要です。私のようなマネジメント層が常に間に立ってしまうと、スピード感や柔軟性が損なわれてしまうことがあるためです。

こうすることで、投資先との関係はもちろん、レイターステージの企業やこれまで接点のなかった企業とのご縁が自然と広がっていく、という好循環が生まれていると感じます。

ーー 最後に、今後のラクーンホールディングスの展望や、Gazelle Capitalに期待することがあればお聞かせください。

三原:当社としては、今後も成長に向けた投資を積極的に行っていく方針です。当社グループには現在約50万社の中小企業のお客様がいらっしゃいますが、その約7割が帝国バンクなどに情報が掲載されていない、いわば信用情報の「空白地帯」にある企業様です。

なかには開業したばかりでクレジットカードが作れなかったり、銀行との取引が難しかったりするケースもあります。ただ、当社にはその企業様たちの与信情報を独自に把握しているので「ラクーンの保証があれば取引して大丈夫」と思っていただける状態を作っていきたいと考えています。

将来的には、この50万社からなるネットワークを「安心して取引できるコミュニティ」にまで発展させたいですね。そして、そのなかで活用される新たなサービスもどんどん提供していきたいと考えています。

そのためには、新規事業の立ち上げが不可欠です。今後もGazelle Capitalさんをはじめ、VCの皆さまと連携しながら、スタートアップ投資やM&Aを通じた取り組みを進めていきたいと考えています。

3号ファンド組成・積極投資中!

日本国内の製造業・建築建設業・医療介護・不動産などのレガシー産業をアップデートするスタートアップ企業に出資を行っています。
ぜひ起業家の皆さんとご面談の機会をいただけますと幸いです!

・投資フェーズ:プレシード・シード中心(一部プレシリーズAにも出資)
・投資分野:既存産業領域のDXを行う企業を中心にtoB、toC問わず出資を行う
・投資金額:最大5,000万円の出資を行う
・イグジット:IPO、M&A、またはセカンダリーによる売却を想定
・運用期間:2034年3月(最大2年間の延長可能性あり)出資検討期間:2週間〜2ヶ月程度

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執筆者

Gazelle Capital編集部 /

Gazelle Capitalは、日本を築いてきた国内産業にインターネットの力で変革、変化を及ぼし、新しい時代の中で産業を彼らと共に形を変えて紡いでいくためのベンチャーキャピタルです。創業初期から起業家に伴走し、様々な壁をともに乗り越え、ともに挑戦に伴走し続けていきます。

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