「アーリーアダプターって何?どんな特徴があるの?」と気になっていませんか?
起業や事業作りをすると耳にするアーリーアダプターですが、正式な意味や役割を知っている人は多くありません。
そこで本記事ではアーリーアダプターの特徴や重要性について紹介していきます。
アーリーアダプターの見つけ方や、実際にアーリーアダプターに着目して成功した事業についても解説していくので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の結論
- アーリーアダプターとは新しいものに対して積極的な人たち
- アーリーアダプターの発見には口コミやフレームワークの活用が効果的
- AirbnbやUberはアーリーアダプターを上手く獲得することで成功した
監修者
石橋 孝太郎 / Gazelle Capital 代表パートナー
2016.11にクルーズベンチャーズ株式会社を創業。 取締役として、コーポレートベンチャーキャピタルの設立と運用に従事。 同社にて創業初期の起業家を中心に投資活動を展開した。 その後同社を親会社に合併させたのち、退職。2019年にGazelle Capitalを新たに創業し、代表パートナーに就任。 また、個人として、学生向け中古教科書売買収益を活かした途上国の教育支援会社や、宮崎県にて事業承継を実施し、焼酎を中心とした酒販小売り会社であるLocalLocal株式会社を経営。 自身のもつ様々なバックグラウンドを活かし、多方面的に投資先と伴走をする。
Table of Contents
アーリーアダプターとは
アーリーアダプターとは、新しい商品やサービスをいち早く購入したり試したりする人たちの総称です。
初期採用者と呼ばれることもあり、最新や最先端に対して敏感なため新商品や新サービスを打ち出す際には、最もアプローチしやすい層としても知られています。
用語自体はイノベーター理論に属するマーケティング用語であり、類語にはアーリーマジョリティやラガードが挙げられます。
イノベーター理論とは
アーリーアダプターが登場するイノベーター理論とは、スタンフォード大学の社会学者であるエベレット・M・ロジャース教授(Everett M. Rogers)が1962年に発表した理論です。
イノベーションが起こる際の消費者行動を5種類に分けたもので、現在も多くの事業で参考にされています。
ここからはアーリーアダプターを詳しく理解するためにも、イノベーター理論の以下5種類について簡単に解説していきます。
用語 | 意味 | 特徴 | 全体割合 |
---|---|---|---|
イノベーター | 革新者 | 好奇心旺盛で、新しいものに最初に飛びつく人 | 2.5% |
アーリーアダプター | 初期採用者 | 社会の動きに敏感で、自ら情報収集し実践する人 | 13.5% |
アーリーマジョリティ | 前記追随者 | アーリーアダプターに比べては慎重だが、平均よりは新しいものを好む人 | 34% |
レイトマジョリティ | 後期追随者 | 多くの人に続く形で新しいものを取り入れる保守的な人 | 34% |
ラガード | 遅滞者 | イノベーションが常識や社会基盤になるまで取り入れない人 | 16% |
ではそれぞれ解説していきます。
イノベーター(革新者)
イノベーターは新しいものを真っ先に取り入れ、全体の2.5%を占める人たち。
最新や最先端に強い興味があり、商品・サービスの質に関わらず試すことが特徴です。
一般的にマニアと呼ばれる人たちに該当することが多く、発売初日に何時間も並んでまで購入しようとすることも珍しくありません。
アーリーアダプター(初期採用者)
冒頭で紹介した通り、新しいサービスをいち早く試すアーリーアダプター。
全体の13.5%にあたり、イノベーターにスピードこそ劣るものの、市場の中では非常に早い段階から新しいものに取り掛かります。
ただイノベーターとは異なり、サービスの質や効果に対して適切に判断して購買することが特徴です。
オピニオンリーダーと称され、社会を巻き込んで行く力を持っているとも言われています。実際、良い商品・サービスの認知拡大時に初期段階から口コミやレビューに取り掛かることが多いです。
アーリーマジョリティ(前期追随者)
イノベーター理論において34%を占めるアーリーマジョリティは、平均よりは早く新しい商品・サービスを取り入れる層です。
数値面でもイノベーター2.5%、アーリーアダプター13.5%、アーリーマジョリティ34%を合計すると、全体の50%を占める計算になります。
前記追随者とも呼ばれるアーリーマジョリティは、イノベーターやアーリーアダプターに比べて新しいものを取り入れる際に、しっかりと検討したり比較したりすることが特徴です。
レイトマジョリティ(後期追随者)
レイトマジョリティは後期追随者と言われており、全体の半数がイノベーションを導入した後に、遅れて新しいものを試みる全体の34%の人たちです。
平均より新しいものに取り掛かることが遅く、流行に流されることなく一般化した後に取り入れます。
後から追いかける特徴から、フォロワーズとも呼ばれていることも特徴の1つです。
ラガード(遅滞者)
全体の16%を占めるラガードは最もイノベーションから遠い存在で、生活に必要不可欠になるまで取り入れないことも多いです。
伝統主義とも言われており、自分たちの慣習を非常に尊重する特性を持っています。
革新的な商品・サービスであっても自ら試したり、使ったりすることがないため、マーケティング戦略ではターゲットから除外されることも特徴の1つです。
アーリーアダプターの重要性や影響力
先に紹介した通り、アーリーアダプターは全体の13.5%を占めており、イノベーションに対して敏感なことからマーケティング戦略において非常に重要な役割を担っています。
実際に初期段階のターゲットとして挙げられる事が多く、最先端の取り組みを社会に届けるため取り入れることは必要不可欠です。言い換えれば、イノベーターとアーリーアダプターを含む全体の16%を取り入れることが大切となるということ。
ただしアーリーアダプターと、そこに続くアーリーマジョリティの間にはキャズムと呼ばれる大きな溝があり、キャズムを超えることが非常に難しいと言われています。
キャズム理論とは
ジェフリー・A・ムーアにより提唱されたキャズム理論とは、初期段階で上手くいった商品やサービスでも、大きな溝に落ちるように失敗してしまう理論。キャズムを超えられるかどうかは、イノベーションの定着を左右する重要な場面で、マーケティング戦略において活用されています。
実際に1993年にAppleから発売されたApple Newtonは、キャズムを超えられずに普及しなかった事例です。Apple Newton自体はタッチパネルによる文字認証を兼ね備えており、当時では比較的新しい商品でしたが、機能が不安定で高価だったことからアーリーマジョリティ以降には定着しない結果になりました。
Apple Newtonの例から分かるように、革新的であったとしてもキャズムを超えられなければ定着することはありません。これはキャズムの前後で、消費者の求める価値が異なっていることが理由です。アーリーアダプターまでの16%は最先端や新しいものであれば取り入れる可能性が高いことに対して、アーリーマジョリティ以降の84%は使い勝手の良さや安心感などに強い魅力を覚えます。
またキャズム理論について、より詳しく知りたい方は「キャズム理論とは?実際にキャズムを超えた企業と共通項」も合わせてご覧ください。
アーリーアダプターの見つけ方と獲得方法
イノベーションを普及させるためには、まずアーリーアダプターを囲う必要があることは説明しましたが、実際に見つけるためにも工夫が必要です。
ここからはアーリーアダプターの見つけ方と獲得方法について紹介していきます。
今回紹介する方法は以下の通りです。
- アンケートや口コミ
- インフルエンサー
- フレームワーク
ではそれぞれ解説していきます。
1.アンケートや口コミ
まずアーリーアダプターの発見には、アンケートや口コミを用いることが効果的です。
アーリーアダプターは新しい商品・サービスを闇雲に取り入れるわけではなく、価値を適切に判断しようとするため、アンケートのような実際の声が見える媒体で考え方を把握できます。
またアンケートの実施が難しい場合でも、似たサービスの口コミを見ることで、消費者がどこに魅力を感じて、どこに納得していないのかを把握することも可能です。
現在であればSNSを活用することで、消費者の声をいち早く掴めます。まずは実際に利用している人たちを観察するところから始めてみましょう。
2.インフルエンサー
アーリーアダプターの獲得にはインフルエンサーマーケティングがおすすめです。
インフルエンサーが持つ影響力を活用することで、新しいサービスの認知に繋げることができ、拡大の初速を上げるためには効果的。
またSNSインフルエンサーの場合、フォロワー数やインプレッション数を正確に把握することができるため、どれくらい認知が広まったのかなどの把握にも繋がります。同時に口コミを集めやすいこともポイントです。
3.フレームワーク
アーリーアダプターの発見と獲得にはフレームワーク活用も有効的です。
具体的にはジョブ理論とペルソナキャンバスなどがおすすめ。
ジョブ理論 | ペルソナキャンバス |
---|---|
購入目的を突き詰めていく方法 | ペルソナについて8項目を埋めつつ考える方法 |
ジョブ理論は顧客が消費・サービスを購入する理由について、深く考えていく方法です。新しいものを好むアーリーアダプターに合わせて、なぜ購入するのか?を突き詰めていきます。
またペルソナキャンバスも有効です。以下の8項目について深く考えることで、アーリーアダプターの行動を洗い出すことができます。
- 抱えている悩み・ゴール
- 状況
- 目的・成果
- 感情
- 代替手段
- 支払い方法
- 好きなメディア
- プロフィール
アーリーアダプターを見つける方法について思い浮かばない場合は、手軽で今すぐ試せるジョブ理論やペルソナキャンバスなどのフレームワークを使ってみましょう。
アーリーアダプターを取り入れ成功した事業
ここからは実際にアーリーアダプターを獲得することで成功した事業について紹介していきます。
今回は以下の2つについて紹介します。
- エアクロ
- タイミー
ではそれぞれ見ていきましょう。
女性の中でもアーリーアダプターに絞ってアプローチした「エアクロ」
エアクロの愛称で親しまれる「airCloset」はアーリーアダプターを的確に見抜いて、適切なプローチ方法を取ったサービスの1つです。
サービス内容としては、好みのファッション嗜好を登録するだけで、プロのスタイリストが選んだ服が届くというもの。
当時、画期的なサービスで世間にはまだ無かったため、集客が問題になると考えたエアクロは、ファッションに興味を持つ人の多い女性の中でも、新しいものに興味を持ちやすいアーリーアダプターに焦点を当てることにしました。
具体的には女性の中でもiPhoneを使っている人は、流行に敏感であると考え、Android版アプリは制作せずに、iOS版のアプリのみを作り込むことを選択。
2022年9月には80万人もの利用者を突破するほどの勢いを誇っており、ブームのきっかけは紛れもなくアーリーアダプターの発見とアプローチが適切だったことが理由でしょう。
アーリーアダプターを獲得して事業を成長させよう!
いかがでしたでしょうか。
本記事の要点をまとめると以下の通りです。
- アーリーアダプターとは新しいものに対して積極的な人たち
- アーリーアダプターの発見には口コミやフレームワークの活用が効果的
- AirbnbやUberはアーリーアダプターを上手く獲得することで成功した
新商品や新サービスを定着させるうえで、アーリーアダプターの発見と獲得は欠かせません。
ぜひ本記事を参考にアーリーアダプターの特徴を捉えて、事業を成長させましょう。
また具体的なアーリーアダプターの獲得・認知のご相談はGazelle Capitalまでご連絡ください。
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