「最近よく耳にするアントレプレナーシップってどういう意味?」と気になっていませんか?
直訳で起業家精神を意味するアントレプレナーシップですが、単に起業家が持つマインドを意味するだけではありません。
そこで本記事ではアントレプレナーシップの本質的な意味や、求められる背景について解説していきます。
アントレプレナーシップ人材の特徴についても紹介するので、興味のある方はぜひ最後までご覧ください。
この記事の結論
- アントレプレナーシップとはチャレンジ精神旺盛な人などを指す
- アントレプレナーシップは現在の日本で非常に求められている
- 裁量ある環境や新しいアイデアの促進がアントレプレナーシップ教育には効果的
監修者
石橋 孝太郎 / Gazelle Capital 代表パートナー
2016.11にクルーズベンチャーズ株式会社を創業。 取締役として、コーポレートベンチャーキャピタルの設立と運用に従事。 同社にて創業初期の起業家を中心に投資活動を展開した。 その後同社を親会社に合併させたのち、退職。2019年にGazelle Capitalを新たに創業し、代表パートナーに就任。 また、個人として、学生向け中古教科書売買収益を活かした途上国の教育支援会社や、宮崎県にて事業承継を実施し、焼酎を中心とした酒販小売り会社であるLocalLocal株式会社を経営。 自身のもつ様々なバックグラウンドを活かし、多方面的に投資先と伴走をする。
Table of Contents
アントレプレナーシップとは
冒頭で述べた通り、アントレプレナーシップとは起業家精神を意味する言葉です。
しかし、起業家が持つ志向性という単純な意味ではありません。本質的には新しい領域に飛び込む姿勢や、失敗やチャレンジに対してポジティブであるなど、能動的な行動を指します。
そのため起業家に限らず、様々な職業の社会人が持つことができ、近年では学生にまで求められています。
アントレプレナーの類語
起業家を意味するアントレプレナーには複数の類語が存在しており、それぞれ以下の通り。
名称 | 直訳 | 意味 |
---|---|---|
アントレプレナー | 起業家 | 新しく事業を起こす人。自らが社長となることを指す。 |
イントレプレナー | 社内起業家 | 企業内で新たに事業を起こす人。自らが事業責任者としてチームを引っ張る人を指す。 |
シリアルアントレプレナー | 連続起業家 | 事業を連続させて立ち上げる人。既にアントレプレナーとして成功した人が、さらに別軸などで起業した際に使われる。 |
特に似ているのはアントレプレナーとイントレプレナーです。
アントレプレナーは自分自身が社長として事業を立ち上げる人を指すことに対して、イントレプレナーは社内での新規事業責任者などを表します。
イントレプレナーは自信で起業するリスクを負わない分、精神的には安定していますが、より能動的な姿勢が求められる特徴があります。
またインフォプレナーは、インフォメーションとアントレプレナーの造語となっており、自らの成功体験などを元に情報発信にて働く人という意味です。
日本でアントレプレナーシップが求められる背景
今日の日本ではアントレプレナーが急激に求められるようになりました。
ここではアントレプレナーシップの必要とされる背景について紹介していきます。
今回は紹介する背景理由は以下の通りです。
- 日本企業の競争力の低下
- グローバル化
- IT産業の急速成長
- コロナによる働き方の変化
では1つずつ解説していきます。
日本企業の競争力の低下
アントレプレナーシップが求められる背景として、日本企業の衰退状況が挙げられます。
以下はIMD「世界競争力年鑑」を基にした、63カ国(地域)の競争力に基づく統計と企業と、経営層へのアンケートから導き出された各国の競争力の総合順位です。
上記のように、ここ30年で大きく順位を落としており、日本企業の競争力が低下していることが見てとれます。
競争力が落ちた背景には、終身雇用の定着や日本人の安定思考が理由とされているため、チャレンジ精神の旺盛なアントレプレナーシップ人材が求められるようになりました。
グローバル化
日本企業の競争力低下が露呈した理由にも繋がり、グローバル化もアントレプレナーシップが必要とされる背景にあります。
数十年前であれば海外との繋がりは弱く、交流にも様々な障壁がありました、しかし現在では、誰でもグローバルに活動することができるため、ビジネスにおいても海外企業を視野に入れざるを得ません。加えて、先に紹介した日本の競争力低下の背景が重なったわけです。
また日本人は保守的な人が多く、起業家精神を持つ人材が少ないと言われています。
ビジネスの規模がグローバル化し、イノベーションが求められる今、アントレプレナーシップは必要不可欠な要素となっていきました。
IT産業の急速成長
日本企業の競争力低下・グローバル化にはIT産業が急激に発展し、世界のトップランク企業を生み出していることも関係しています。
下の図は平成元年と平成30年の世界時価総額ランキングを比べた表で、日本企業がランキング上位から外れていることはもちろん、平成30年の上位企業の多くがITを主軸にしていることが特徴です。
AppleやAmazon、Microsoftといった有名企業は、設立より30~50年ほどしか経っていません。それにも関わらず、世界のトップを走っていることからIT産業の成長スピードが凄まじいことを物語っています。
注目されているIT産業は、まだ成長過程で整っていないことから新領域に飛び込んでいく姿勢が求められています。
ここから失敗や挫折を恐れず、前に進み続けるアントレプレナーシップ人材が求められるようになりました。
コロナによる働き方の変化
最後にコロナ禍によって働き方がリモートワーク中心となり、DX化が進んだこともアントレプレナーシップの必要性に紐づいています。
従来とは異なる働き方により、急激に早まる時代の変化スピードに対応するには一層チャレンジ精神のある人材が必要です。
近年、より一層アントレプレナーシップを耳にするようになった背景としては、コロナ情勢が大きく関与していると考えられます。
アントレプレナーシップ人材の特徴や必要な要素
ここからはアントレプレナーシップ人材の共通点や要素について紹介していきます。
アントレプレナーシップ人材を生み出すためにも、自分自身が起業家精神を持つためにも、以下の項目はチェックしておきましょう。
- リーダーシップ・マネジメント
- 自責志向
- チャレンジ精神旺盛
- コミュニケーション力
- クリエイティブ力
- 未来を描く力
では1つずつ解説します。
1.リーダーシップ・マネジメント
アントレプレナーシップは自らチームを率いて、新しい事業を立ち上げることからリーダーシップやマネジメント力を持っていることが特徴です。
必ずしもチームのリーダーとして活動することがアントレプレナーに求められるわけではありません。ただ、社会に大きなインパクトを与えるためには必然的にリーダーシップを持ち、チームをマネジメントすることが必要となります。
またアントレプレナーシップで意味するリーダーシップとは、周囲に同化し協調するだけではなく、周囲とは異なる考えであっても突き進むニュアンスが強いです。
2.自責思考
当事者意識を持ち、自らの行動に責任を負う考え方である自責思考は、多くの失敗や挫折を体験するアントレプレナーシップに欠かせません。
起業や新規事業立ち上げにかかわらず、新しいチャレンジは上手く運ばないケースがほとんど。そういった困難な状況でも、他人に責任を押し付けることなく、自らが進んで変化しようとする人こそ、イノベーションを起こす人材です。
そのため自責思考を持つことが、アントレプレナーシップへの近道の1つと言えるほど、大きな要素となっています。
3.チャレンジ精神旺盛
未開の領域や前代未聞の事例に飛び込んでいけるような、チャレンジ精神も重要です。
特に現代の日本人は保守的と言われていることもあり、革新的な人材は市場価値の高く、多くの場合はチャレンジ精神を兼ね備えています。
IT産業の急速な成長によって、一層将来を予想しにくく不透明な将来が続く現代にとって、挑戦は求められ続けるでしょう。
4.コミュニケーション力
アントレプレナーシップに必要なコミュニケーション能力は、単に会話が上手いだけでなく、ネットワークの構築やプレゼン力を意味します。
ビジネスの成功には人脈が必要であり、スタートアップ時などには相手を説得するプレゼン力が必要です。
また先に紹介したマネジメントスキルに付随する形で、他社との関係構築や組織を作りなど、イノベーションを起こすうえで重要な役割を果たします。
5.クリエイティブ力
起業家とは、社会に新しい価値を生み出す人と定義することもでき、アントレプレナーシップにもクリエイティブ力が求められます。
クリエイティブ力とはアートや音楽の才能があるという意味ではなく、まだ社会にない無い発想を考える意味合いが強いです。
実際にスティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾスは、既存のビジネスや物事から新しい価値を作り出すことで、大きなインパクトを生みだしました。
程度の差こそあれ、同じことを繰り返すだけではなく、自ら発想を転換させることがアントレプレナーシップには大切です。
6.未来を描く力
最後にアントレプレナーシップには未来を描く力も重要です。
先を見通す力は、VUCAと呼ばれる変化の激しい現代において、時代の流れを読み革新的アンチャレンジを実行するためには、非常に大切な役割を持っています。
現代であればイーロン・マスクのような起業家は、未来を描く力に長けており、新しいビジネスを次々と成功させていることも特徴的です。
終身雇用が崩壊している今、未来を描く力はアントレプレナーに限らず、全ての人に求められる力の1つとなっていくでしょう。
アントレプレナーシップの発掘や教育に必要なこと
次にアントレプレナーシップを育むために大切な、以下の要素について解説していきます。
- 新しいアイデアの促進
- 失敗を受け入れる環境
- 既存事業に囚われすぎない
- 裁量権を持って働く
自分自身がアントレプレナーシップを身につけることはもちろん、次代に続く世代からアントレプレナーを生み出すためにも重要な要素となっています。
では1つずつ見ていきましょう。
新しいアイデアの促進
前代未聞のイノベーションを生み出すためには、新しいアイデアを促すような環境が必要です。
アイデアを抑制するような環境下では、既存の価値しか生まれず、アントレプレナーシップも育みにくい状況となってしまいます。
特に一人ひとりが新しい考えを持てるように、アイデアに対して寛容な場を整えることが大切です。
失敗を受け入れる環境
「新規事業の成功確率は千三つ」と呼ばれるほど、チャレンジには失敗が付き物。しかし失敗したからと言って、挑戦機会を奪ってしまうとアントレプレナーシップが育っていきません。
「失敗しても再チャレンジすれば良い」「失敗は成功の糧だ」といった失敗や挫折に対してポジティブな印象を植え付けることが大切です。
失敗を受け入れ続けることで、次第にアントレプレナーシップが育っていき、自ら進んで行動できる人材へと成長していきます。
既存事業に囚われすぎない
既存の事業に囚われ過ぎると、アントレプレナーシップを育むことが難しくなります。
事業が大きくなるにつれ、仕組みが整い積極性や主体性が無くとも回り続けてしまうことが大きな理由です。
そのため定期的に新規事業を立ち上げたり、既存事業の中でも新しい取り組みをしたりと、チャレンジを続けることが大切。
起業家精神を意味するアントレプレナーシップを育むからこそ、今ある価値に囚われすぎずに新しい可能性に取り組みましょう。
裁量権を持って働く
裁量の大きさも主体性を大きく高めるために必要な要素です。
裁量とひとえに言っても幅広いですが、目標達成手段の自由度のような直接業務に関わることはもちろん、福利厚生や文化を作ることにおいても当てはまります。文化作りであれば、新しい社内イベントの立案を任せてみることも良いでしょう。
何もない状態から新しい価値を生み出す起業家のように、自由度の高い環境おいて自分で考え行動する人材を増やし、アントレプレナーシップを育むことに繋げてみてください。
生産性の高いアントレプレナーシップ人材を生み出そう!
いかがでしたでしょうか
本記事の要点をまとめると以下の通りです。
- アントレプレナーシップとはチャレンジ精神旺盛な人などを指す
- アントレプレナーシップは現在の日本で非常に求められている
- 裁量ある環境や新しいアイデアの促進がアントレプレナーシップ教育には効果的
アントレプレナーシップを持つ人材は企業の生産性を上げ、ひいては日本社会を活性化させる一員として必要不可欠。
ぜひ本記事を参考にして、アントレプレナーシップの採用や育成に取り組んでみてください。
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